JP7056428B2 - 軌道の状態評価方法及び評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両が走行する軌道の状態を評価する方法及び装置に関する。特に、本発明は、鉄道車両の走行速度の変化に影響されることなく、簡易且つ安価に軌道の状態変化を検出可能であると共に、軌道の状態変化の種別を判定可能な評価方法及び評価装置に関する。
鉄道車両(以下、適宜、単に「車両」という)が走行する軌道は、車両が繰り返し走行することで、設置位置がずれたり、摩耗によって踏面の形状が崩れるなど、状態の劣化が生じる。したがい、軌道の状態を把握し、適切な手入れを施すことが必要である。
軌道の状態を評価する方法として、非営業車両である専用の軌道検測車によって軌道の変位などを測定する方法が知られている。しかしながら、軌道検測車は高価であるため、一部の鉄道会社しか保有していない。また、保有していてもその数が限られていることから、測定頻度は年に数回程度と低い。このため、軌道の状態を常時把握するには至っていない。また、軌道を手入れした結果や、手入れの効果が保持される期間などを定量的に評価する手段も無い。したがい、軌道の手入れとして、評価した軌道の状態に基づくメンテナンス(CBM:Condition Based Maintenance)ではなく、定期的なメンテナンス(TBM:Time Based Maintenance)を実施しているのが現状である。
上記のような問題を解決するため、通常の営業車両にセンシング機能を付加し、車両の営業走行中に軌道の状態を評価する方法が提案されている。例えば、輪重と横圧とを測定可能な台車(PQモニタリング台車)を営業車両に用いて、軌道の状態評価に応用する研究が進められている。しかしながら、PQモニタリング台車は既存の車両への適用が困難であり、車両を新規に製造する必要が生じるため、導入コストが高くなる。このため、より簡易且つ安価に軌道の状態を評価可能な方法が要望されている。
より簡易且つ安価な評価方法として、例えば、特許文献1に記載の方法が提案されている。特許文献1に記載の方法は、車体の振動加速度を測定して乗り心地レベルを演算し、特定地点での乗り心地レベルが、予め求めた同地点での乗り心地レベルの平均値と標準偏差とから決まる所定の範囲から外れた場合に、同地点の軌道状態が劣化したと判断する方法である(特許文献1の請求項3、段落0023、0024等)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、車両の走行速度を何ら考慮していない。たとえ軌道の同じ地点であっても、この地点を走行する営業車両の走行速度は変化するのが一般的である。そして、走行速度が変化すれば、たとえ軌道の状態に変化がなくても、車体の振動加速度、ひいては乗り心地レベルが変化するおそれがある。車両の走行速度を考慮していない特許文献1に記載の方法では、予め求めた同地点での乗り心地レベルの標準偏差に、車両の走行速度の変化に起因した乗り心地レベルのバラツキが含まれるおそれがある。このため、標準偏差が大きくなり、平均値と標準偏差とから決まる範囲も大きくなって、軌道状態の大きな変化が生じない限り、軌道状態の変化を検出できないおそれがある。
また、特定地点での乗り心地レベルが所定の範囲から外れた場合に、その原因が軌道状態の劣化に起因するものであるか、或いは車両の走行速度の変化に起因するものであるかを区別できないおそれもある。
さらに、車両の走行速度の変化の影響を排除するため、乗り心地レベルを評価する特定地点を走行する際の車両の走行速度を一定に保つことも考えられるが、営業車両に対してそのような制約を課すのは現実的ではない。
上記の問題点を解決するため、本発明者らは特許文献2に記載の方法を提案している。特許文献2に記載の方法によれば、鉄道車両の走行速度の変化に影響されることなく、簡易且つ安価に軌道の状態を評価可能である。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、軌道の状態変化を検出できるものの、軌道の状態変化が生じている場合に、その種別を判定することまでは提案されていない。したがい、迅速な軌道の手入れを可能にする等のため、軌道の状態変化を検出可能であるのみならず、軌道の状態変化の種別を判定可能な方法が望まれている。
特開平8-15098号公報 国際公開第2017/159701号
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、鉄道車両の走行速度の変化に影響されることなく、簡易且つ安価に軌道の状態変化を検出可能であると共に、軌道の状態変化の種別を判定可能な評価方法及び評価装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは、特許文献2にも記載のように、各種試験の結果を踏まえて鋭意検討し、測定時期の変化のみに起因した乗り心地レベル等の軌道の状態に関連する評価指標(車体等の振動加速度を用いて表わされる評価指標、第1評価指標)の変化を抽出できれば、この抽出した測定時期の変化のみに起因した評価指標の変化は軌道の状態変化を表していると考えられることに着眼した。そして、乗り心地レベル等の軌道の状態に関連する評価指標を目的変数とし、鉄道車両の走行速度及び測定時期を説明変数として多変量解析を行えば、評価指標の変化に対する走行速度の変化の影響と、評価指標の変化に対する測定時期の変化の影響とを分離して、測定時期の変化のみに起因した評価指標の変化を抽出できることを知見した。
さらに、本発明者らは、軌道の状態変化の種別を判定する方法について鋭意検討した結果、以下の(1)~(3)の事項を知見した。
(1)軌道の状態変化の種別としては、軌道を構成するレールの表面性状の劣化や、軌道のバラストの緩み、軌道を構成するレールの継ぎ目のずれ等を例示できる。
(2)上記のような軌道の状態変化の種別に応じて、軌道の状態変化に起因して車体等に発生する振動加速度の周波数帯域に差異が生じる。そして、この周波数帯域は、軌道の状態変化の種別毎に固有の周波数帯域となる場合が多い。
(3)したがい、軌道の状態変化を検出した場合、振動加速度について複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出し、この抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を用いて表わされる評価指標(第2評価指標)を用いれば、軌道の状態変化の種別が判定可能となることが期待できる。
本発明は、本発明者らの上記知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、鉄道車両が走行する軌道の状態を評価する方法であって、前記軌道の所定の地点で、複数の測定時期に前記鉄道車両の走行速度並びに前記鉄道車両が備える車体、台車及び軸箱のうちの何れかである車両構成要素の振動加速度を測定する第1手順と、前記第1手順で測定した前記車両構成要素の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標を目的変数とし、前記第1手順で測定した前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う第2手順と、前記第2手順の多変量解析によって得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化を検出する第3手順と、前記第3手順において前記軌道の前記所定の地点での状態変化を検出した場合、前記第1手順で測定した前記車両構成要素の振動加速度について、前記軌道の状態変化の種別毎に予め設定された複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出し、該抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に、該振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標を目的変数とし、前記第1手順で測定した前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う第4手順と、前記第4手順の多変量解析によって前記抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化の種別を判定する第5手順と、を含むことを特徴とする軌道の状態評価方法を提供する。
本発明によれば、第1手順において、鉄道車両の走行速度及び車両構成要素(車体、台車及び軸箱のうちの何れか)の振動加速度を測定する。走行速度は、通常の営業車両であってもブレーキ制御等のために測定している。また、振動加速度は、いわゆる動揺防止制御装置を搭載した鉄道車両では動揺防止制御を行うために測定している。このため、車両を新規に製造する必要等が生じることなく、簡易且つ安価に鉄道車両の走行速度及び車両構成要素の振動加速度を測定可能である。
車両構成要素の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標(例えば、乗り心地レベルなど)は、軌道の状態に関連する評価指標であると考えられる。本発明によれば、第2手順において、この軌道の状態に関連する第1評価指標を目的変数とし、走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも振動加速度及び走行速度の測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う。具体的には、目的変数が量的変数であり、説明変数が量的変数と質的変数の双方であるため、いわゆる拡張型数量化1類と称される多変量解析を行うことになる。
一般に、多変量解析によって得られた質的変数のカテゴリースコアは、目的変数に対する貢献度を表していることが知られている。したがい、本発明の第2手順における多変量解析によって得られた測定時期のカテゴリースコアは、第1評価指標に対する測定時期の貢献度を表している。換言すれば、測定時期のカテゴリースコアによって、測定時期の変化のみに起因した第1評価指標の変化を抽出できる。したがい、本発明によれば、第3手順において、測定時期のカテゴリースコアに基づき、軌道の所定の地点での状態変化を検出することが可能である。
以上のように、本発明によれば、鉄道車両の走行速度の変化に影響されることなく、簡易且つ安価に軌道の状態を検出可能である。
また、本発明によれば、第3手順において軌道の前記所定の地点での状態変化を検出した場合、第4手順において、第1手順で測定した車両構成要素の振動加速度について、軌道の状態変化の種別毎に予め設定された複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出し、該抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に、該振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標を目的変数とし、第1評価指標の場合と同様の多変量解析を行う。振動加速度成分を抽出する複数の互いに異なる周波数帯域は、それぞれ判定すべき軌道の状態変化の種別に応じた固有の周波数帯域を予め設定しておけばよい。
本発明の第4手順における多変量解析によって得られた測定時期のカテゴリースコアは、第2評価指標に対する測定時期の貢献度を表している。換言すれば、測定時期のカテゴリースコアによって、測定時期の変化のみに起因した第2評価指標の変化を抽出できる。第4手順では互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に多変量解析を行うため、第5手順において、互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に得られた測定時期のカテゴリースコアに基づき、軌道の所定の地点での状態変化の種別を判定可能である。具体的には、第5手順において、例えば、各周波数帯域に対応する測定時期のカテゴリースコアの大小を比較し、最も大きなカテゴリースコアが得られた周波数帯域に対応する状態変化の種別を判定結果とすることが可能である。
以上のように、本発明によれば、鉄道車両の走行速度の変化に影響されることなく、簡易且つ安価に軌道の状態変化を検出可能であると共に、軌道の状態変化の種別を判定可能である。
特許文献1に記載の方法では、車両の特性が全て同等であることを前提としている(特許文献1の段落0023等)。しかしながら、実際には同じ形式の車両であっても、編成毎に微妙な特性の違いがあり、振動加速度、ひいては第1評価指標及び第2評価指標も、たとえ軌道の状態に変化が無くても、編成に応じて変化するおそれがある。このため、多変量解析に用いるデータに複数の編成について測定した走行速度及び振動加速度が含まれる場合には、測定時期の変化のみに起因した第1評価指標及び第2評価指標の変化を精度良く抽出するため、質的な説明変数として編成番号を更に含む多変量解析を行うことが好ましい。
すなわち、好ましくは、前記第1手順において、複数の編成について前記鉄道車両の走行速度及び前記鉄道車両が備える前記車両構成要素の振動加速度を測定し、前記第2手順及び前記第4手順において、質的な説明変数として編成番号を更に含む多変量解析を行う。
上記の好ましい方法によれば、第2手順及び第4手順の多変量解析に用いるデータに複数の編成について測定した走行速度及び振動加速度が含まれる場合であっても、第1評価指標及び第2評価指標の変化に対する編成の変化の影響を分離することができ、測定時期の変化のみに起因した第1評価指標及び第2評価指標の変化を精度良く抽出可能である。このため、軌道の状態を精度良く評価可能(軌道の状態変化を精度良く検出可能であると共に、軌道の状態変化の種別を精度良く判定可能)である。
また、同一の編成内であっても、振動加速度を測定した車両構成要素の位置によって、振動加速度の大きさ、ひいては第1評価指標及び第2評価指標が変化するおそれがある。たとえば、一般的には、鉄道車両の進行方向前方に位置する車両構成要素よりも、進行方向後方に位置する車両構成要素の方が振動加速度は大きくなる傾向にある。このため、測定時期の変化のみに起因した第1評価指標及び第2評価指標の変化をより一層精度良く抽出するためには、質的な説明変数として振動加速度を測定した車両構成要素の位置を更に含む多変量解析を行うことが好ましい。
すなわち、好ましくは、前記第2手順及び前記第4手順において、質的な説明変数として前記振動加速度を測定した前記編成における前記車両構成要素の位置を更に含む多変量解析を行う。
上記の好ましい方法によれば、第1評価指標及び第2評価指標の変化に対する振動加速度を測定した編成における車両構成要素の位置の変化の影響を分離することができ、測定時期の変化のみに起因した第1評価指標及び第2評価指標の変化をより一層精度良く抽出可能である。このため、より一層精度良く軌道の状態を評価可能である。
なお、上記の好ましい方法において、質的な説明変数である「振動加速度を測定した編成における車両構成要素の位置」としては、号車番号を例示できる。また、号車番号と車体の前位又は後位との組み合わせ(例えば、3号車の前位など)を例示できる。
本発明における「車両構成要素の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標」には、前述のように、振動加速度を用いて算出される乗り心地レベルを例示できる。この他、振動加速度の二乗平均平方根(RMS)、振動加速度の最大値、振動加速度の振幅の大きさ、所定値以上の振幅を有する振動加速度の発生回数など、軌道の状態に関連する車両構成要素の振動加速度を用いて表わされる評価指標である限りにおいて、本発明の第1評価指標には特に制限はない。
また、本発明における「振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標」には、振動加速度成分の二乗平均平方根(RMS)を例示できる。この他、振動加速度成分を用いて算出される乗り心地レベル、振動加速度成分の最大値、振動加速度成分の振幅の大きさ、所定値以上の振幅を有する振動加速度成分の発生回数、振動加速度成分のパワースペクトル密度など、軌道の状態に関連する車両構成要素の振動加速度成分を用いて表わされる評価指標である限りにおいて、本発明の第2評価指標には特に制限はない。
算出するのに用いるパラメータが、振動加速度であるか、又は、抽出した振動加速度成分であるかの違いはあるものの、第1評価指標及び第2評価指標として同じ評価指標を用いる(例えば、双方共に乗り心地レベルやRMSを用いる)ことも可能であるし、異なる評価指標を用いる(例えば、第1評価指標として乗り心地レベルを用い、第2評価指標としてRMSを用いる)ことも可能である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、鉄道車両が走行する軌道の状態を評価する装置であって、前記軌道の所定の地点で複数の測定時期に測定された前記鉄道車両の走行速度並びに前記鉄道車両が備える車体、台車及び軸箱のうちの何れかである車両構成要素の振動加速度が測定時期と共に入力され、前記入力された前記車両構成要素の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標を目的変数とし、前記入力された前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う解析部と、前記解析部における多変量解析によって得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化を検出する評価部と、を備え、前記解析部は、前記評価部によって前記軌道の前記所定の地点での状態変化が検出された場合、前記入力された前記車両構成要素の振動加速度について、前記軌道の状態変化の種別毎に予め設定された複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出し、該抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に、該振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標を目的変数とし、前記入力された前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行い、前記評価部は、前記多変量解析によって前記抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化の種別を判定する、ことを特徴とする軌道の状態評価装置としても提供される。
本発明によれば、鉄道車両の走行速度の変化に影響されることなく、簡易且つ安価に軌道の状態変化を検出可能であると共に、軌道の状態変化の種別を判定可能である。
本発明の一実施形態に係る軌道の状態評価装置の概略構成を示す模式図である。 鉄道車両の走行速度(区間内の平均走行速度)と乗り心地レベル(区間内の平均乗り心地レベル)との関係の一例を示す図である。 図2に示す乗り心地レベルを車両の走行速度及び車体の振動加速度の測定時期(年月)によって時系列に整理した図である。 図2に示すものと同じデータを用いて、本発明の一実施形態に係る評価方法の第2手順において多変量解析を行い、横軸に測定時期(年月)を、縦軸に測定時期のカテゴリースコアをプロットした図である。 軌道の状態変化の種別に応じて異なる車体の振動加速度のパワースペクトラムの一例を示す。 本発明の一実施形態に係る評価方法の第4手順において多変量解析を行い、横軸に測定時期(年月)を、縦軸にカテゴリースコアβ3(n3)をプロットした図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る軌道の状態評価装置及び評価方法について説明する。なお、本実施形態では、振動加速度の測定対象である車両構成要素が車体である場合を例に挙げて説明するが、車両構成要素が台車や軸箱である場合も同様に実施可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る軌道の状態評価装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る軌道の状態評価装置(以下、適宜、単に「評価装置」という)100は、鉄道車両1が矢符の方向に走行する軌道7の状態を評価する装置であって、解析部10と、評価部20とを備えている。本実施形態に係る評価装置100は、例えば、解析部10及び評価部20としての機能を奏するプログラム(後述の解析部10及び評価部20が実行する処理内容に相当するプログラム)がインストールされたパーソナルコンピュータから構成されている。また、本実施形態に係る評価装置100は、鉄道車両1内ではなく、別の場所に設置されている。
本実施形態に係る軌道の状態評価方法(以下、適宜、単に「評価方法」という)は、第1手順~第5手順を含み、評価装置100及び後述の動揺防止制御装置を用いて実行される。具体的には、動揺防止制御装置によって第1手順が実行され、評価装置100の解析部10によって第2手順及び第4手順が実行され、評価装置100の評価部20によって第3手順及び第5手順が実行される。
<第1手順>
本実施形態に係る評価方法の第1手順では、軌道7の所定の地点で、複数の測定時期に鉄道車両1の走行速度並びに鉄道車両1が備える車体2の振動加速度を測定する。
本実施形態に係る評価装置100を適用する鉄道車両1には、公知の動揺防止制御装置が搭載されている。この動揺防止制御装置は、車体2の前後にそれぞれ設けられ、車体2を台車3A、3Bに対して左右方向(図1の紙面に垂直な方向)に押圧するアクチュエータ4A、4Bを備えている。また、動揺防止制御装置は、車体2の前後(図1の左右)にそれぞれ設けられ、車体2の左右方向の振動加速度を測定する加速度センサ5A、5Bを備えている。さらに、動揺防止制御装置は、入力された各加速度センサ5A、5Bで測定した振動加速度に基づき各アクチュエータ4A、4Bを制御する制御器6を備えている。したがい、制御器6には、加速度センサ5Aによって測定した車体2の前位の振動加速度と、加速度センサ5Bによって測定した車体2の後位の振動加速度とが入力されることになる。
また、本実施形態の制御器6には、鉄道車両1のブレーキ制御等のために車体2に設けられた機器(図示せず)が検出した鉄道車両1の走行速度も入力される。
さらに、本実施形態の制御器6は、入力された鉄道車両1の走行速度を積算すると共に、鉄道車両1が駅に到達したことを示す駅信号を受信して前記積算値を補正することで、鉄道車両1の位置(距離程)を算出するように構成されている。或いは、本実施形態の制御器6は、外部からGPS(Global Positioning System)信号を受信して鉄道車両1の位置を算出するように構成されている。換言すれば、本実施形態の制御器6は、振動加速度を測定した軌道7の地点の位置を算出するように構成されている。
以上のように、本実施形態に係る評価方法の第1手順は、動揺防止制御装置によって実行される。
<第2手順>
本実施形態に係る評価方法の第2手順では、第1手順で測定した車体2の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標を目的変数とし、第1手順で測定した鉄道車両1の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う。
本実施形態に係る評価装置100が備える解析部10には、軌道7の所定の地点で複数の測定時期(例えば、直近から1年間に亘る時期)に測定された鉄道車両1の走行速度及び鉄道車両1が備える車体2の左右方向の振動加速度が測定時期と共に入力される。本実施形態では、左右方向の振動加速度を測定・入力する場合について例示しているが、本発明はこれに限るものではなく、例えば加速度センサ5A、5Bが車体2の上下方向の振動加速度を測定可能であれば、測定した上下方向の振動加速度を解析部10に入力することも可能である。
具体的には、例えば、制御器6に入力された鉄道車両1の走行速度及び振動加速度が、制御器6が算出した鉄道車両1の位置(すなわち、振動加速度を測定した軌道7の地点の位置)及び測定時期(年月)に関係付けられた状態で記憶される。また、本実施形態では、制御器6に入力された鉄道車両1の走行速度及び振動加速度は、鉄道車両1が属する編成の編成番号及び振動加速度を測定した車体2の位置(車体2の号車番号及び加速度センサ5A、5Bの区別(すなわち、車体2の前位・後位の区別))にも関連付けられた状態で記憶される。そして、複数の測定時期に亘って制御器6に逐次記憶されたこれらのデータを、例えばCFカードと称されるような外部記憶媒体に適宜のタイミングで出力する。このデータが出力された外部記憶媒体を評価装置が設置されている場所まで手動で運び、この外部記憶媒体を介して、記憶されたデータが解析部10に入力される。ただし、本発明はこれに限るものではなく、制御器6と解析部10との間が無線ネットワークで接続され、制御器6に逐次記憶されたデータを無線ネットワークを利用して解析部10に送信する構成を採用することも可能である。
本実施形態の解析部10には、同一の軌道7を走行する一つの編成を構成する全ての鉄道車両1から上記のデータが入力される。また、同一の軌道7を走行する編成番号の異なる複数の編成から(各編成を構成する全ての鉄道車両1から)上記のデータが入力される。
解析部10は、入力された車体2の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標を目的変数とし、入力された鉄道車両1の走行速度を量的な説明変数とし、入力された測定時期(年月)を質的な説明変数として少なくとも含む多変量解析(拡張型数量化1類)を行う。本実施形態の解析部10は、好ましい構成として、質的な説明変数として、編成番号と、振動加速度を測定した編成における車体2の位置(車体2の号車番号及び車体の前位・後位の区別)とを更に含む多変量解析を行う。
本実施形態では、第1評価指標として、特許文献1に記載の1式を用いて算出される乗り心地レベルを用いている。具体的には、本実施形態の解析部10は、入力された車体2の振動加速度を、入力された軌道7の地点の位置(振動加速度を測定した軌道7の地点の位置)に基づき、軌道7の状態を評価する単位である評価区間毎に纏めて、各評価区間内の平均乗り心地レベルを算出し、これを第1評価指標としている。同様に、本実施形態の解析部10は、入力された鉄道車両1の走行速度を、軌道7の状態を評価する評価区間毎に纏めて、各評価区間内の平均走行速度を算出し、これを量的な説明変数としている。
すなわち、軌道7の状態を評価する各評価区間iについての乗り心地レベル(平均乗り心地レベル)をyiとし、定数をβ0、編成番号のカテゴリースコアをβ1(n1)、振動加速度を測定した編成における車体2の位置(車体2の号車番号及び車体2の前位・後位の区別)のカテゴリースコアをβ2(n2)、測定時期(年月)のカテゴリースコアをβ3(n3)、各評価区間iについての走行速度(平均走行速度)をxi、走行速度xiの回帰係数をβ4とすると、解析部10は、実際の乗り心地レベル(車体2の振動加速度によって直接算出される乗り心地レベル)と、以下の式(1)で近似計算される乗り心地レベルとの残差の二乗和が最小となるように、β0、β1(n1)、β2(n2)、β3(n3)、β4を、各評価区間i毎に決定することになる。
yi=β0+β1(n1)+β2(n2)+β3(n3)+β4・xi ・・・(1)
上記の式(1)において、n1は1~sまでの整数であり、sは多変量解析に用いるデータに含まれる編成番号の数を意味する。例えば、多変量解析に用いるデータに3つの編成番号に関連付けられた走行速度及び振動加速度が含まれているとすれば、s=3であり、各編成番号に対応するカテゴリースコアβ1(1)~β1(3)がそれぞれ決定される。
また、上記の式(1)において、n2は1~tまでの整数であり、tは多変量解析に用いるデータに含まれる振動加速度を測定した編成における車体2の位置(車体2の号車番号及び車体2の前位・後位の区別)の数を意味する。例えば、多変量解析に用いるデータに1~6号車それぞれの前位・後位で測定した(加速度センサ5A、5Bで測定した)振動加速度が含まれているとすれば、t=6×2=12であり、各号車番号と前位又は後位との組み合わせに対応するカテゴリスコアβ2(1)~β2(12)がそれぞれ決定される。
さらに、上記の式(1)において、n3は1~uまでの整数であり、uは多変量解析に用いるデータの測定時期(年月)の数を意味する。例えば、多変量解析に用いるデータに2015年1月から2015年12月までに測定した走行速度及び振動加速度が含まれているとすれば、u=12であり、各測定時期に対応するカテゴリースコアβ3(1)~β3(12)がそれぞれ決定される。
なお、本実施形態では、好ましい構成として、振動加速度を測定した編成における車体2の位置を、各号車番号と前位又は後位との組み合わせによって表わしているが、前位・後位の区別をすることなく、単に各号車番号だけで表わすことも可能である。この場合、例えば、多変量解析に用いるデータに1~6号車それぞれの前位・後位で測定した振動加速度が含まれているとしても、式(1)におけるt=6であり、各号車番号に対応するカテゴリスコアβ2(1)~β2(6)がそれぞれ決定されることになる。
また、本実施形態の解析部10は、好ましい構成として、入力された測定時期、編成番号、及び振動加速度を測定した編成における車体2の位置の全てを質的な説明変数とする多変量解析を行っているが、本発明はこれに限るものではない。例えば、車体2の位置の違い(号車番号の違い等)による振動加速度の差が無視できる程度である場合には、入力された測定時期及び編成番号のみを質的な説明変数とする多変量解析を行うことも可能である。この場合、解析部10は、実際の乗り心地レベルと、以下の式(2)で近似計算される乗り心地レベルyiとの残差の二乗和が最小となるように、β0、β1(n1)、β3(n3)、β4を、各評価区間i毎に決定することになる。
yi=β0+β1(n1)+β3(n3)+β4・xi ・・・(2)
さらに、例えば、多変量解析に用いるデータが全て同一の編成番号(同じ編成)に関連付けられた走行速度及び振動加速度である場合には、入力された測定時期のみを質的な説明変数とする多変量解析を行うことも可能である。この場合、解析部10は、実際の乗り心地レベルと、以下の式(3)で近似計算される乗り心地レベルyiとの残差の二乗和が最小となるように、β0、β3(n3)、β4を、各評価区間i毎に決定することになる。
yi=β0+β3(n3)+β4・xi ・・・(3)
以上のように、本実施形態に係る評価方法の第2手順は、解析部10によって実行される。
<第3手順>
本実施形態に係る評価方法の第3手順では、第2手順の多変量解析によって得られた測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)に基づき、軌道7の所定の地点での状態変化を検出する。
具体的には、評価部20が、解析部10における多変量解析によって得られた測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)に基づき、軌道7の各評価区間iでの状態変化を検出する。第2手順の多変量解析によって得られた測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)は、乗り心地レベルyiに対する測定時期の貢献度を表している。換言すれば、測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)によって、測定時期の変化のみに起因した乗り心地レベルyiの変化を抽出できる。したがい、測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)に基づき、軌道7の各評価区間iでの状態変化を検出することが可能である。
以上のように、本実施形態に係る評価方法の第3手順は、評価部20によって実行される。
以下、上記の第2手順及び第3手順について、より具体的に説明する。
本発明者らは、鉄道車両1の走行速度と乗り心地レベルとの関係を調査した。具体的には、所定の期間に亘って、軌道7の所定の評価区間を走行する鉄道車両1の該評価区間内の平均走行速度を測定すると共に、該評価区間内の平均乗り心地レベルを測定する試験を実施した。なお、試験を実施した期間内に軌道7の前記評価区間に手入れを施した。また、試験を実施した期間内であって前記手入れを施した後に、軌道7の前記評価区間に劣化が生じていることを確認した。
図2は、上記試験によって測定した鉄道車両1の走行速度(評価区間内の平均走行速度)と乗り心地レベル(評価区間内の平均乗り心地レベル)との関係を示す図である。
図2に示すように、本発明者らの想定した通り、走行速度が大きくなると、乗り心地レベルも大きくなる傾向にあることが分かった。したがい、前述のように、鉄道車両1の走行速度を考慮していない特許文献1に記載の方法では、軌道状態の大きな変化が生じない限り、軌道状態の変化を検出できないと考えられる。
図3は、図2に示す乗り心地レベルを鉄道車両1の走行速度及び車体2の振動加速度の測定時期(年月)によって時系列に整理した図である。
図3から分かるように、単純な乗り心地レベルの変化(時系列変化)によって軌道状態の変化(軌道7の手入れ、軌道7の劣化)を検出することは困難である。これは、図2に示すように、乗り心地レベルの変化には、軌道7の状態変化のみならず、鉄道車両1の走行速度等も影響しているため、鉄道車両1の走行速度が異なる条件で算出された乗り心地レベルが混在するデータをそのまま用いたのでは、軌道7の状態変化のみを抽出することができないからである。
図4は、図2に示すものと同じデータを用いて、本実施形態に係る評価方法の第2手順において式(1)で表わされる多変量解析を行い、横軸に測定時期(年月)を、縦軸にカテゴリースコアβ3(n3)をプロットした図である。
図4に示すように、軌道7の評価区間に手入れを施した年月には、カテゴリースコアβ3(n3)が絶対値の大きな負の値になっていることがわかる。すなわち、この年月において軌道7の評価区間に手入れを施したことで、軌道7の評価区間における乗り心地レベルyiの値が低下(乗り心地が向上)していることを認識可能である。このため、本実施形態に係る評価方法の第3手順において、例えば、測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)が、予め決定した所定のしきい値以下の負の値になれば、軌道7の評価区間の状態が良好であると自動的に評価することが可能である。換言すれば、軌道7の状態が変化(改善)したことを自動的に検出可能である。このような評価(検出)は、前述の図3に示す結果では行うことができない。
また、図4に示すように、軌道7の評価区間に劣化が生じた年月には、カテゴリースコアβ3(n3)が絶対値の大きな正の値になっていることがわかる。すなわち、この年月において軌道7の評価区間が劣化したことで、軌道7の評価区間における乗り心地レベルyiの値が上昇(乗り心地が低下)していることを認識可能である。このため、本実施形態に係る評価方法の第3手順において、例えば、測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)が、予め決定した所定のしきい値以上の正の値になれば、軌道7の評価区間の状態が劣化していると自動的に評価することが可能である。換言すれば、軌道7の状態が変化(劣化)したことを自動的に検出可能である。このような評価は、前述の図3に示す結果では行うことができない。
なお、評価部20による上記のような自動的な評価(検出)の結果を、又は、評価装置100が具備するモニタ(図示せず)に図4に示すような測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)をプロットしたグラフを表示させ、それを人間が目視した結果を、以下のように有効活用することが期待できる。
(1)カテゴリスコアβ3(n3)が所定のしきい値以上の正の値であり続けた場合(すなわち、軌道7の評価区間の状態が劣化して、乗り心地が低下し続けている場合)、その評価区間の手入れの優先順位を上げる。
(2)軌道7の評価区間の手入れ前後でのカテゴリスコアβ3(n3)の値を比較することにより(すなわち、手入れ前後での乗り心地レベルの改善幅を評価することにより)、その評価区間の手入れの効果を定量化する。
(3)軌道7の評価区間の手入れ後におけるカテゴリスコアβ3(n3)の値の経時変化率を評価することで、乗り心地レベルが手入れ前と同等になるまでの期間を予測し、その予測期間に至るまでの間に、その評価区間で再度手入れを行うように計画を見直す。
以上に説明したように、本実施形態に係る評価装置100及び評価方法によれば、第1手順~第3手順を実行することにより、鉄道車両1の走行速度の変化に影響されることなく、また、編成の違いや振動加速度を測定した車体2の位置の違いに影響されることなく、簡易且つ安価に軌道7の状態変化を検出可能である。
<第4手順>
本実施形態に係る評価方法の第4手順は、第3手順において軌道7の所定の地点での状態変化を検出した場合に実行される。本実施形態では、軌道7の所定の地点での状態が劣化したことを検出した場合に第4手順を実行する。第4手順では、第1手順で測定した車体2の振動加速度について複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出し、該抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に、該振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標を目的変数とし、第1手順で測定した鉄道車両1の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う。
具体的には、まず解析部10が、入力された車体2の振動加速度について複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出する。
図5は、軌道7の状態変化の種別に応じて異なる車体2の振動加速度のパワースペクトラムの一例を示す。図5(a)は軌道7のバラストの緩みが生じている場合に得られるパワースペクトラムの一例を、図5(b)は軌道7を構成するレールの継ぎ目のずれが生じている場合に得られるパワースペクトラムの一例を示す。図5において、軌道7の状態変化前のパワースペクトラムは破線で、軌道7の状態変化後のパワースペクトラムは実線で示している。
図5(a)に示す例では、軌道7のバラストの緩みが生じることにより、1.1~2.5Hz程度の周波数帯域で振動加速度のパワースペクトル密度が大きくなっている。一方、図5(b)に示す例では、軌道7を構成するレールの継ぎ目のずれが生じることにより、0.4~0.9Hz程度の周波数帯域で振動加速度のパワースペクトル密度が大きくなっている。換言すれば、軌道7の状態変化の種別に応じて、軌道7の状態変化に起因して車体2に発生する振動加速度の周波数帯域に差異が生じているといえる。本発明者らが検討したところによれば、軌道7の状態変化に起因して発生する振動加速度の周波数帯域は、軌道7の状態変化の種別毎に固有の周波数帯域となる場合が多い。したがい、この振動加速度の周波数帯域の差異に基づき、軌道7の状態変化の種別が判定可能となることが期待できる。
解析部10は、複数のフィルタ(バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ又はローパスフィルタ)を具備する。フィルタは、後述の第5手順で判定する軌道7の状態変化の種別の数と同じ数だけ設けられ、各フィルタは、判定する軌道7の状態変化にそれぞれ対応している。例えば、判定する軌道7の状態変化の種別が、軌道7を構成するレールの表面性状の劣化、軌道7のバラストの緩み、及び、軌道7を構成するレールの継ぎ目のずれの3つであるとすれば、各種別に対応する3つのフィルタが設けられる。そして、各フィルタが通過させる振動加速度の周波数帯域(通過周波数帯域)は、判定する軌道7の状態変化の種別に応じて、互いに異なる周波数帯域に設定されている。判定する軌道7の状態変化の種別が上記の3つの場合、軌道7を構成するレールの表面性状の劣化に対応するフィルタには、例えば中心周波数が5Hzで帯域幅が±1.0Hzの通過周波数帯域が設定される。また、軌道7のバラストの緩みに対応するフィルタには、例えば中心周波数が1.8Hzで帯域幅が±0.7Hzの通過周波数帯域が設定される。さらに、軌道7を構成するレールの継ぎ目のずれに対応するフィルタには、例えば中心周波数が0.6Hzで帯域幅が±0.2Hzの通過周波数帯域が設定される。各フィルタの通過周波数帯域は、軌道7の状態変化の種別毎に図5に示すような振動加速度のパワースペクトラムを事前に調査し、状態変化前後でパワースペクトル密度が大きく変化する周波数帯域を特定して、この特定した周波数帯域に基づき予め設定すればよい。
解析部10に入力された車体2の振動加速度が解析部10が具備する各フィルタを通過することで、複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分が抽出される。
なお、軌道7の状態変化に起因して発生する振動加速度の周波数帯域は、軌道7の状態変化の種別が同じであっても、振動加速度を測定する軌道7の地点に応じて異なる可能性がある。例えば、軌道7の状態変化の種別がレールの継ぎ目のずれで同じであっても、橋梁、踏切、曲線区間等、軌道7の地点が異なれば、発生する振動加速度の周波数帯域が異なる可能性がある。このため、例えば、軌道7の地点毎に(評価区間i毎に)対応する上記複数のフィルタを設け、同じ状態変化の種別に対応するフィルタであっても、各地点に対応するフィルタの通過周波数帯域を異なる周波数帯域に設定可能にすることが好ましい。
また、軌道7の地点に応じて、発生する軌道7の状態変化の種別が異なる可能性もある。このため、軌道7の地点毎に設けるフィルタの数を変更可能にすることが好ましい。
次に、解析部10は、抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に(解析部10が具備する複数のフィルタをそれぞれ通過した振動加速度成分毎に)、該振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標を目的変数とし、入力された鉄道車両1の走行速度を量的な説明変数とし、入力された測定時期(年月)を質的な説明変数として少なくとも含む多変量解析(拡張型数量化1類)を行う。本実施形態の解析部10は、好ましい構成として、第2手順と同様に、質的な説明変数として、編成番号と、振動加速度を測定した編成における車体2の位置(車体2の号車番号及び車体の前位・後位の区別)とを更に含む多変量解析を行う。
本実施形態では、第2評価指標として、振動加速度成分の二乗平均平方根(RMS)を用いている。具体的には、本実施形態の解析部10は、抽出した振動加速度成分を、入力された軌道7の地点の位置(振動加速度を測定した軌道7の地点の位置)に基づき、軌道7の状態を評価する単位である評価区間i毎に纏めて、各評価区間i内の平均RMS(二乗平均平方根の平均値)を算出し、これを第2評価指標としている。同様に、本実施形態の解析部10は、入力された鉄道車両1の走行速度を、軌道7の状態を評価する評価区間i毎に纏めて、各評価区間i内の平均走行速度を算出し、これを量的な説明変数としている。
すなわち、軌道7の状態を評価する各評価区間iについてのRMS(平均RMS)をyiとすれば、第2手順と同様に、解析部10は、実際のRMS(抽出された車体2の振動加速度成分によって直接算出されるRMS)と、前述の式(1)で近似計算される(ただし、前述の式(2)又は式(3)で近似計算することも可能である)RMSとの残差の二乗和が最小となるように、β0、β1(n1)、β2(n2)、β3(n3)、β4を、各評価区間i毎に決定することになる。
第4手順の多変量解析は、抽出した振動加速度成分毎に(複数のフィルタをそれぞれ通過した振動加速度成分毎に)行われる。すなわち、抽出した振動加速度成分毎に、β0、β1(n1)、β2(n2)、β3(n3)、β4を決定する。
以上のように、本実施形態に係る評価方法の第4手順は、解析部10によって実行される。
<第5手順>
本実施形態に係る評価方法の第5手順では、第4手順の多変量解析によって抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に得られた測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)に基づき、軌道7の所定の地点での状態変化の種別を判定する。
具体的には、評価部20が、解析部10における多変量解析によって抽出した振動加速度成分毎に得られた、測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)に基づき、軌道7の各評価区間iでの状態変化の種別を判定する。第4手順の多変量解析によって得られた測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)は、第2評価指標(RMS)yiに対する測定時期の貢献度を表している。換言すれば、測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)によって、測定時期の変化のみに起因した第2評価指標(RMS)yiの変化を抽出できる。このため、第5手順において、互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に得られた測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)に基づき、軌道7の各評価区間iでの状態変化の種別を判定可能である。具体的には、第5手順において、例えば、各周波数帯域に対応する測定時期のカテゴリースコアβ3(n3)の大小を比較し、最も大きなカテゴリースコアβ3(n3)が得られた周波数帯域に対応する状態変化の種別を判定結果とすることが可能である。
以上のように、本実施形態に係る評価方法の第2手順は、評価部20によって実行される。
図6は、本実施形態に係る評価方法の第4手順において式(1)で表わされる多変量解析(ただし、式(1)の左辺は、第2評価指標(RMS))を行い、横軸に測定時期(年月)を、縦軸にカテゴリースコアβ3(n3)をプロットした図である。図6(a)は、軌道7を構成するレールの継ぎ目のずれに対応するフィルタ(中心周波数が0.6Hzで帯域幅が±0.2Hzの通過周波数帯域が設定されたフィルタ)を通過することで抽出された振動加速度成分を用いた多変量解析によって得られた結果の一例を示す。図6(b)は、軌道7のバラストの緩みに対応するフィルタ(中心周波数が1.8Hzで帯域幅が±0.7Hzの通過周波数帯域が設定されたフィルタ)を通過することで抽出された振動加速度成分を用いた多変量解析によって得られた結果の一例を示す。
図6に示す例では、第3手順で検出した軌道7の評価区間に劣化が生じた年月において、図6(a)に示すカテゴリースコアβ3(n3)の方が図6(b)に示すカテゴリースコアβ3(n3)よりも大きくなっている。したがい、軌道7の評価区間の劣化の種別は、軌道7を構成するレールの継ぎ目のずれであると判定可能である。
1・・・鉄道車両
2・・・車体
3A、3B・・・台車
5A、5B・・・加速度センサ
10・・・解析部
20・・・評価部
100・・・評価装置

Claims (6)

  1. 鉄道車両が走行する軌道の状態を評価する方法であって、
    前記軌道の所定の地点で、複数の測定時期に前記鉄道車両の走行速度並びに前記鉄道車両が備える車体、台車及び軸箱のうちの何れかである車両構成要素の振動加速度を測定する第1手順と、
    前記第1手順で測定した前記車両構成要素の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標を目的変数とし、前記第1手順で測定した前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う第2手順と、
    前記第2手順の多変量解析によって得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化を検出する第3手順と、
    前記第3手順において前記軌道の前記所定の地点での状態変化を検出した場合、前記第1手順で測定した前記車両構成要素の振動加速度について、前記軌道の状態変化の種別毎に予め設定された複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出し、該抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に、該振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標を目的変数とし、前記第1手順で測定した前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う第4手順と、
    前記第4手順の多変量解析によって前記抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化の種別を判定する第5手順と、
    を含むことを特徴とする軌道の状態評価方法。
  2. 前記第1手順において、複数の編成について前記鉄道車両の走行速度及び前記鉄道車両が備える前記車両構成要素の振動加速度を測定し、
    前記第2手順及び前記第4手順において、質的な説明変数として編成番号を更に含む多変量解析を行うことを特徴とする請求項1に記載の軌道の状態評価方法。
  3. 前記第2手順及び前記第4手順において、質的な説明変数として前記振動加速度を測定した前記編成における前記車両構成要素の位置を更に含む多変量解析を行うことを特徴とする請求項2に記載の軌道の状態評価方法。
  4. 前記第1評価指標は、前記振動加速度を用いて算出される乗り心地レベルであることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の軌道の状態評価方法。
  5. 前記第2評価指標は、前記振動加速度成分の二乗平均平方根であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の軌道の状態評価方法。
  6. 鉄道車両が走行する軌道の状態を評価する装置であって、
    前記軌道の所定の地点で複数の測定時期に測定された前記鉄道車両の走行速度並びに前記鉄道車両が備える車体、台車及び軸箱のうちの何れかである車両構成要素の振動加速度が測定時期と共に入力され、前記入力された前記車両構成要素の振動加速度を用いて表わされる第1評価指標を目的変数とし、前記入力された前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行う解析部と、
    前記解析部における多変量解析によって得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化を検出する評価部と、を備え、
    前記解析部は、前記評価部によって前記軌道の前記所定の地点での状態変化が検出された場合、前記入力された前記車両構成要素の振動加速度について、前記軌道の状態変化の種別毎に予め設定された複数の互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分を抽出し、該抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に、該振動加速度成分を用いて表わされる第2評価指標を目的変数とし、前記入力された前記鉄道車両の走行速度を量的な説明変数とし、少なくとも前記測定時期を質的な説明変数として多変量解析を行い、
    前記評価部は、前記多変量解析によって前記抽出した互いに異なる周波数帯域の振動加速度成分毎に得られた前記測定時期のカテゴリースコアに基づき、前記軌道の前記所定の地点での状態変化の種別を判定する、
    ことを特徴とする軌道の状態評価装置。
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