JP7056401B2 - 連続鋳造用モールド内のボイル検出方法、連続鋳造鋳片の品質判定方法、連続鋳造設備の監視方法、連続鋳造用モールド内のボイル検出装置 - Google Patents
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また、連続鋳造時には、溶融金属中の非金属介在物等を浮上分離するために、連続鋳造用モールド内の溶融金属に対して、浸漬ノズルを介して不活性ガスを供給している。
また、浸漬ノズルに孔や亀裂等が生じた場合には、浸漬ノズルを通過する溶鋼が雰囲気ガスを巻き込んでしまい、この雰囲気ガスが連続鋳造用モールド内から湯面上に放出され、上述の「ボイル」が生じることになる。
なお、連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルが生じた場合には、湯面上のモールドパウダーが除去され、瞬間的に溶融金属が露出する。このため、連続鋳造用モールドを観察すると、ボイルが生じた際には、瞬間的に輝度の高い領域が観察されることになる。
このため、従来、連続鋳造時において、連続鋳造用モールドの湯面を監視して、ガス気泡のボイルを検出する手段が提供されている。
また、特許文献2には、テレビカメラによって画像を得て、記憶された画像を固定し、新たに入力される画像との画素毎の差を取り、ボイル発生有無を検知して判定処理する方法が提案されている。
また、特許文献4には、モールド内の溶鋼面を撮像して原画像データを得て、この原画像データの各画素の輝度値に応じて、ボイル発生値と非ボイル発生値とに2値化処理し、判定画像データをあらかじめ定めてある判定パターンと比較して、ボイル現象を判定する方法が提案されている。
なお、特許文献4においては、炎とボイルとを識別してボイル判定することを目的としているが、この方法では、十分な精度で、モールドパウダーの燃焼炎と連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルとを、識別することは困難であった。
また、前記ボイル判定ステップにおける判定ロジックが、前記切り出し画像と、正解ラベルを有する教師ラベルと、をもとに、教師あり学習手法によって構築されるので、モールドパウダーの燃焼炎と、連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを、さらに精度良く識別することが可能となる。
この場合、モールドパウダーの燃焼炎と、連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを、さらに精度良く識別することが可能となり、ガス気泡のボイルを確実に検出することが可能となる。
この場合、抽出された前記切り出し画像の特徴量として、画素ベクトルを用いているので、当該前記切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かをさらに精度良く判定することが可能となる。
この場合、抽出された前記切り出し画像の特徴量として、画素ベクトルをHOG特徴量に加工したものを用いているので、当該前記切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かをより一層精度良く判定することが可能となる。
そこで、本発明の連続鋳造鋳片の品質判定方法においては、上述の連続鋳造用モールド内のボイル検出方法によって前記連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを検出しているので、ガス気泡のボイルを精度良く検出することが可能となり、連続鋳造鋳片の品質判定を精度良く行うことができる。
そこで、本発明の連続鋳造設備の監視方法においては、上述の連続鋳造用モールド内のボイル検出方法によって前記連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを検出しているので、ガス気泡のボイルを精度良く検出することが可能となり、連続鋳造設備異常の有無を精度良く判断することができる。
さらに、前記ボイル判定手段における判定ロジックが、前記切り出し画像と、正解ラベルを有する教師ラベルと、をもとに、教師あり学習手法によって構築されるので、モールドパウダーの燃焼炎と、連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを、さらに精度良く識別することが可能となる。
この場合、モールドパウダーの燃焼炎と、連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを、さらに精度良く識別することが可能となり、ガス気泡のボイルを確実に検出することが可能となる。
この場合、抽出された前記切り出し画像の特徴量として、画素ベクトルを用いているので、当該前記切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かをさらに精度良く判定することが可能となる。
この場合、抽出された前記前記切り出し画像の特徴量として、画素ベクトルをHOG特徴量に加工したものを用いているので、当該前記切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かをより一層精度良く判定することが可能となる。
この連続鋳造設備1は、取鍋2によって転炉から溶鋼を移送し、ロングノズル3を介してタンディシュ4に溶鋼を移し、このタンディシュ4において大きな介在物を浮上分離した後、浸漬ノズル20を介して連続鋳造用モールド30内に溶湯を供給し、連続鋳造鋳片を連続的に鋳造するものである。
ここで、図2に示すように、タンディシュ4と浸漬ノズル20とは、上ノズル6及びスライディングノズル7を介して接続されている。
浸漬ノズル20を介して供給される溶鋼には、不活性ガス導入手段10により、不活性ガスの一種であるアルゴンガスが吹き込まれている。さらに、鋳型空間内に貯留された溶鋼の上には、溶鋼の保温と凝固シェルSと連続鋳造用モールド30の内壁との間の潤滑性を確保するために、モールドパウダー9が供給される。
このため、本実施形態においては、連続鋳造用モールド30内から放出されたガス気泡のボイルを検出する連続鋳造用モールド内のボイル検出装置50が配設されている。
まず、撮像カメラ51を用いて、連続鋳造用モールド30の湯面を動画撮影して動画データを動画記録部に格納する。なお、本実施形態では、図2に示すように、連続鋳造用モールド30の長辺方向において浸漬ノズル20の一方側と他方側の2つの撮像カメラ51によって、それぞれ動画撮影する構成とされている。
次に、動画記録部に格納された撮像データから、ボイルの候補の画像を切り出す。切り出し画像取得ステップS102では、以下の静止画像データ取得ステップS121と、移動平均処理ステップS122と、2値化処理ステップS123と、切り出し画像抽出ステップS124と、を実施する。
動画記録部に格納された動画像データをフレームごとに静止画像データ(以下、単に「画像データ」という。)として切り出す。
次に、得られた画像データに対して移動平均処理を実施する。前段階での移動平均画像データに重み係数αを掛け、得られた画像データに重み係数(1-α)を掛けて、これを加えたものを今回の移動平均画像データとした。なお、本実施形態では、重み係数αを0.8以上0.99以下の範囲内としている。
次に、移動平均画像データから連続鋳造用モールド内湯面部分の画像(以下「部分画像」という。)を抽出し、これをグレースケール化し、輝度に応じて低輝度部と高輝度部に2値化処理して2値化画像を得る。すなわち、移動平均画像データから連続鋳造用モールド内湯面部分のみを抽出することによって図5(a)に示す部分画像を生成し、部分画像を、図5(b)に示すようにグレースケール化し、図5(c)に示すように輝度に応じて低輝度部と高輝度部に2値化して2値化画像を得た。なお、連続鋳造用モールド内湯面部分のみを抽出する処理はどのように実装されてもよい。例えば、動画像データから切り出された画像データにおいて、予め定義された所定の領域の画像を抽出することによって、部分画像が生成されてもよい。所定の領域は、撮像カメラ51の撮像領域などに応じて予め設計者などによって定義されてもよい。
次に、2値化画像から高輝度部の輪郭データを抽出する。本実施形態では、Suzuki85のアルゴリズムを利用し、2値化画像から高輝度部の輪郭を認識し、図5(d)に示すように、認識した輪郭を含むことのできる最小の長方形(外接矩形)形状として抽出した。なお、輪郭の認識手法は、Suzuki85に限定される必要は無く、他のアルゴリズム等を用いて実現されてもよい。
そして、前記抽出した長方形(外接矩形)の頂点の座標を計算し、外接矩形の頂点座標に基づき、静止画像データから高輝度部の画像(以下、切り出し画像をいう。)を切り出す。
上述の切り出し画像には、ガス気泡のボイル以外に、モールドパウダー9の燃焼炎も含まれるため、切り出し画像からボイルと炎を判定する識別モデルを作成する必要がある。そこで、まず、切り出し画像抽出ステップS124で抽出した複数の切り出し画像それぞれに対して、切り出し画像が、ガス気泡のボイルに該当するか否かを人が判定して教師ラベルとして付与する。切り出し画像と教師ラベルのセット(以下、教師データという。)を教師データ格納部へ格納する。
識別モデルの入力として使用する切り出し画像の特徴量を作成する。切り出し画像の特徴量には、切り出し画像の画素ベクトルや輪郭部の面積を用いることも可能であるが、本実施形態においては、切り出し画像の特徴量として、輝度の勾配方向と強度をピクセル毎に算出したものを用いており、より具体的には、HOG(Histgram of Oriented Gradient)特徴量を用いている。
まず、1つの切り出し画像を所定のサイズ(本実施例では、横40ピクセル×縦30ピクセルとした)に縮小・拡大する。切り出し画像、ブロック、セル、ピクセルの関係を図6(a)に示す。本実施例ではセルサイズを5×5ピクセル、ブロックサイズを3×3セルとした。
切り出し画像の特徴量(本実施形態においてはHOG特徴量)を入力として、切り出し画像が連続鋳造用モールド30内から放出されたガス気泡のボイルに該当するか燃焼炎に該当するか(以降、切り出し画像のクラスという)を出力する識別モデルを、教師データ格納部に格納された複数の教師データに基づいて、機械学習手法の一つである教師あり学習によって構築し、識別モデル格納部へ格納する。教師あり学習の具体例として、K-近傍法、サポートベクターマシン、深層学習などがあるが、本実施形態ではK-近傍法を使用する。
上述した撮像ステップS101と同様に、撮像カメラ51を用いて、連続鋳造用モールド30の湯面を動画撮影して動画データを動画記録部に格納する。
次に、上述した切出し画像取得ステップS102と同様に、動画記録部に格納された撮像データから、ボイルの候補の画像を切り出す。この切り出し画像取得ステップS02では、静止画像データ取得ステップS21と、移動平均処理ステップS22と、2値化処理ステップS23と、切り出し画像抽出ステップS24と、を実施する。
これにより、静止画像データから高輝度部の切り出し画像を取得する。
識別モデルの入力として使用する切り出し画像の特徴量を作成する。特徴量計算ステップS03では、前述した特徴量計算ステップS104と同様の処理を行う。
次に、切り出し画像の特徴量と識別モデル格納部に格納されている識別モデルを用いて、切り出し画像のクラスを判定する。判定結果として、撮像時刻/切り出し画像の座標(例:矩形の頂点や重心など)/切り出し画像のクラスをボイル判定結果格納部に格納する。
連続鋳造用モールド30内に不活性ガス導入手段10によって不活性ガスを供給すると、この不活性ガスの気泡が凝集して粗大化し、粗大化したガス気泡が湯面上で放出されることがある。このとき、湯面上の溶融したモールドパウダー9が溶鋼内に巻き込まれ、連続鋳造用鋳片の内部品質が低下する。
浸漬ノズル20に孔や亀裂等が生じると、浸漬ノズル20を通過する溶鋼に雰囲気ガスを巻き込んでしまい、この雰囲気ガスが連続鋳造用モールド30内から湯面上に放出され、ガス気泡のボイルが生じることになる。
また、切り出し画像の特徴量としてHOG特徴量を用いたものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の特徴量を用いてもよい。
50 連続鋳造用モールド内のボイル検出装置
51 撮像カメラ(撮像手段)
52 静止画像データ取得手段
53 移動平均処理手段
54 2値化処理手段
55 輪郭抽出手段
56 ボイル判定手段
S01 撮像ステップ
S21 静止画像データ取得ステップ
S22 移動平均処理ステップ
S23 2値化処理ステップ
S24 切り出し画像抽出ステップ
S04 ボイル判定ステップ
Claims (10)
- 連続鋳造時に連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを検出する連続鋳造用モールド内のボイル検出方法であって、
前記連続鋳造用モールド内を動画撮像して動画データを得る撮像ステップと、
前記動画データから静止画像データを切り出す静止画像データ取得ステップと、
前記静止画像データを移動平均処理して移動平均画像データを得る移動平均処理ステップと、
前記移動平均画像データをグレースケール化し、輝度に応じて低輝度部と高輝度部とに2値化して2値化画像を得る2値化処理ステップと、
前記2値化画像から前記高輝度部の輪郭データを切り出し画像として抽出する切り出し画像抽出ステップと、
抽出された前記切り出し画像に基づいて、当該切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かを判定するボイル判定ステップと、
を備えており、
前記ボイル判定ステップにおける判定ロジックが、前記切り出し画像と、正解ラベルを有する教師ラベルと、をもとに、教師あり学習手法によって構築されることを特徴とする連続鋳造用モールド内のボイル検出方法。 - 前記ボイル判定ステップにおいては、抽出された前記切り出し画像の特徴量を用いて、当該切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出方法。
- 前記切り出し画像の特徴量として、画素ベクトルを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出方法。
- 前記切り出し画像の特徴量は、画素ベクトルをHOG特徴量に加工したものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出方法。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出方法を用いて、前記連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルの検出状況に応じて、得られた連続鋳造鋳片の品質を判定することを特徴とする連続鋳造鋳片の品質判定方法。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出方法を用いて、前記連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルの検出状況に応じて、連続鋳造設備における異常の有無を判断することを特徴とする連続鋳造設備の監視方法。
- 連続鋳造時に連続鋳造用モールド内から放出されたガス気泡のボイルを検出する連続鋳造用モールド内のボイル検出装置であって、
前記連続鋳造用モールド内を動画撮像して動画データを得る撮像手段と、
前記動画データから静止画像データを切り出す静止画像データ取得手段と、
前記静止画像データを移動平均処理して移動平均画像データを得る移動平均処理手段と、
前記移動平均画像データをグレースケール化し、輝度に応じて低輝度部と高輝度部とに2値化して2値化画像を得る2値化処理手段と、
前記2値化画像から前記高輝度部の輪郭データを切り出し画像として抽出する切り出し画像抽出手段と、
抽出された前記切り出し画像に基づいて、当該切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かを判定するボイル判定手段と、
を備えており、
前記ボイル判定手段における判定ロジックが、前記切り出し画像と、正解ラベルを有する教師ラベルと、をもとに、教師あり学習手法によって構築されることを特徴とする連続鋳造用モールド内のボイル検出装置。 - 前記ボイル判定手段は、抽出された前記切り出し画像の特徴量を用いて、当該切り出し画像が、前記連続鋳造用モールド内から放出された前記ガス気泡のボイルに該当するか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出装置。
- 前記切り出し画像の特徴量として、画素ベクトルを用いることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出装置。
- 前記切り出し画像の特徴量は、画素ベクトルをHOG特徴量に加工したものであることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の連続鋳造用モールド内のボイル検出装置。
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