JP7055654B2 - 流出解析装置及び流出解析パラメータ調整方法 - Google Patents

流出解析装置及び流出解析パラメータ調整方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、流出解析装置及び流出解析パラメータ調整方法に関する。
近年、局地的かつ短時間に降る大雨(以下「局所豪雨」という。)が多発しており、メディアはこの局所豪雨のことを、いつどこで発生するか分からないという意味で「ゲリラ豪雨」という言葉で表現し、今ではこの言葉も広く世間一般に認知されてきた。局所豪雨による典型的な被害として、都市の内部で水が溢れる内水氾濫が頻発するようになってきた。これまで行政は、洪水を未然に防ぐため、築堤、河道掘削、護岸整備やダム建設など、主に大規模河川の増水や決壊による洪水を想定した対策を講じてきた。河川の氾濫は外水氾濫と呼ばれ、従来は外水氾濫に対する対策が重点的に行われてきたが、今後は、内水氾濫も考慮した対策が重要になってくると考えられる。実際、洪水被害(外水氾濫、内水氾濫)を被害額でみると、内水氾濫の被害額は全国の被害総額の約半分を占め、東京都では都の被害総額の90%を超えている。このように、堤防の整備が比較的進んだ都市部では、内水氾濫が新たな課題となっている。
このような都市全体での浸水リスクを評価する手法として分布型流出解析が広く用いられている。分布型流出解析は、ある地域の土地の利用形態や標高などの地形情報、下水管路の敷設状況などの土木情報に基づき、水文学的なモデルと水理学的なモデルとを適宜併用して構築される流出解析モデルを用いて降雨の流れ(以下「流出」という。)を追跡する流出解析方法である。具体的には、解析対象の地域が分割された複数のメッシュについて、上記の流出解析モデルと各メッシュの雨量データとを適用することによってメッシュごとの流出状況を解析することができる。しかしながら、実際には、取得可能な雨量データがこのような流出解析モデルに必ずしも適した態様で得られるとは限らず、また、土木情報についても必ずしも必要な全ての情報が得られるとも限らない。そのため、取得可能な雨量データや土木情報を流出解析モデルに適応させるために労力を要していた。このような課題を解決するために、流出解析モデルを用いる際の手間を低減する手法がいくつか提案されている。
その一方で、土木情報を用いずに流出解析を行う手法も提案されている。例えば、各メッシュに仮想的なタンク(以下「仮想タンク」という。)を割り当て、仮想タンク間の水の収支のみで流出解析を行う解析モデル(以下「仮想タンクモデル」という。)が提案されている。しかしながら、このような仮想タンクモデルでは、土木情報を用いていないため、動水勾配や径深、流積を計算するための水位を適切に定義することができず、必ずしも現実の流出に即した解析が行えない可能性があった。
また、解析モデルが適切に構築されたとしても、解析モデルのパラメータを適切に設定することができなければ、精度の良い解析結果を得ることはむずかしい。さらに、上記のような仮想的なパラメータを用いたモデルでは、物理的な意味に基づいてパラメータを設定することが特に難しくなる場合もある。そのため、実際の物理構造等の集約や統合によって簡素化又は単純化された解析モデルで解析を行おうとする場合において、その集約や統合によって表される仮想的なパラメータを適切に設定又は調整する技術の確立が望まれている。
特開2009-8651号公報 特開2005-128838号公報 特許第4682178号公報 特許第4185910号公報 特許第4082686号公報
本発明が解決しようとする課題は、仮想的なパラメータを用いて構築された流出解析モデルのパラメータをより適切に決定することができる流出解析装置及び流出解析パラメータ調整方法を提供することである。
実施形態の流出解析装置は、降雨分布入力部と、流出解析部と、解析精度評価部と、流出解析パラメータ調整部とを持つ。降雨分布入力部は、複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する。流出解析部は、前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う。解析精度評価部は、前記流出解析部による流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する。流出解析パラメータ調整部は、前記解析精度評価部によって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する。
実施形態の流出解析装置の構成の具体例を示す図。 実施形態の流出解析装置1が用いる流出解析モデルの概念を説明する図。 仮想水位と、流積及び径深との関係を示す図。 仮想水位と、動水勾配及び管路勾配との関係を示す図。 流出解析パラメータの調整に関する機能部を含む流出解析装置1の機能構成の具体例を示すブロック図。 局所的に存在する低精度メッシュの具体例を示す図。 浸水常襲区域に応じて設定された評価対象メッシュの具体例を示す図。
以下、実施形態の流出解析装置及び流出解析パラメータ調整方法を、図面を参照して説明する。
まず、実施形態の流出解析装置1が行う流出解析方法について説明する。
図1は、実施形態の流出解析装置の構成の具体例を示す図である。なお、図1には、流出解析装置1が備える機能部のうち、流出解析に関する機能部のみ示している。流出解析に用いられるパラメータ(以下「流出解析パラメータ」という。)の調整に関する機能部については後述する。
流出解析装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、流出解析装置プログラムを実行する。流出解析装置1は、流出解析装置プログラムの実行によって降雨分布入力部101、流出係数算出部102、流出解析部103、浸水リスク評価部104、地図情報記憶部105、メッシュ面積設定部106、下水道管理台帳データ記憶部107、仮想下水管径算出部108、仮想下水管勾配算出部109、仮想下水管粗度算出部110、マンホール総面積算出部111、容量算出部112及び診断結果表示部113を備える装置として機能する。なお、流出解析装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。流出解析装置プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。流出解析装置プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
降雨分布入力部101は、自装置に降雨分布情報を入力する。降雨分布情報は、雨量レーダ等から取得される、対象地域の降雨量の分布を示す情報である。具体的には、降雨分布情報は、メッシュ状に分割された対象地域について各メッシュの位置及び降雨量を示す情報の集合として得られる。
例えば、降雨分布入力部101は、国土交通省が運用するXバンドMPレーダなどの雨量レーダによって取得された降雨分布情報を入力する。XバンドMPレーダによって取得される降雨分布情報は、250m四方のメッシュ状のデータとして取得される。なお、降雨分布情報は、XバンドMPレーダ以外によって取得されたものであってもよい。例えば、降雨分布情報は、アメッシュデータ(Xバンドレーダの一つ)であってもよいし、実用化が進められている垂直方向の降雨情報を計測することができるフェーズドアレイレーダによって取得されるデータであってもよい。流出解析の視点では、降雨分布情報は、Xバンドレーダのように細かいメッシュサイズで取得されることが望ましいが、1km四方のCバンドレーダによって取得されてもよい。また、降雨分布情報は、降雨レーダで計測されたレーダの反射強度を、レーダ方程式などを用いて換算することによって取得されるが、対象地域に設置された地上雨量計によって取得されたデータを補正したものであってもよい。
流出係数算出部102は、降雨分布入力部101が入力した降雨分布情報に基づいて、各メッシュの流出係数を算出する。流出係数は、降雨量に対して地表を流下する雨水(有効降雨量)の割合を表す数値である。
例えば、流出係数算出部102では、人工衛星によって取得される電子的な地図情報データであるGIS(Geographic Information System)データを用いて、降雨分布情報が取得されるメッシュごとの流出係数を算出する。例えば、流出係数算出部102は、以下のような方法でメッシュごとの流出係数を算出することができる。まず、流出係数算出部102は、GISデータが示す色や色の変化、形状などを用いて各土地の利用形態を推定する。例えば、土地の利用形態とGISデータが示す色(具体的には数値として定義される)との対応関係が予め定められても良い。例えば、緑色の部分は山、灰色の部分は道路、所定サイズ以下の四角い部分は屋根というように定義される。流出係数算出部102は、このような対応関係に基づいて、各メッシュにおける土地の利用形態の割合を算出する。流出係数算出部102は、土地の利用形態と流出係数との対応関係を予め記憶する。流出係数算出部102は、土地の利用形態に対応付けられた流出係数を、上記の割合を重みとしてメッシュごとに加算した値をそのメッシュの流出係数として算出する。
例えば、GISデータに基づいて、山の割合が0.6、道路の割合が0.3、屋根の割合が0.1としてあるメッシュの土地の利用形態の割合が算出されたとする。そして、山の流出係数が0.6、道路の流出係数が0.8、屋根の流出係数が1として予め定義されているとする。この場合、流出係数算出部102は、そのメッシュの流出係数は0.7(=0.6×0.6+0.3×0.8+0.1×1)となる。なお、土地の利用形態に関する情報が詳細に取得できない場合には、対象地域を山林部、田畑部、都市部などのおおまかな利用形態に分類し、これらのおおまかな利用形態ごとに流出係数を予め定義しておいてもよい。
流出解析部103は、流出係数算出部102によって算出された各メッシュの流出係数を降雨分布情報が示すメッシュごとの降雨量に乗算することによって、各メッシュの有効降雨量を示す有効雨量情報を取得する。流出解析部103は、有効雨量情報を入力として流出解析を行うことにより、各メッシュの貯留量の変化を計算する。
具体的には、流出解析部103は、各メッシュに後述の仮想下水管(仮想管路)を設定した流出解析モデルを用いて流出解析を行う。この点において、本実施形態の流出解析モデルは、各メッシュに仮想タンクを設定した従来の仮想タンクモデル(例えば、特開2015-004245参照。)と異なる。
浸水リスク評価部104は、流出解析部103によって解析された各メッシュの流出量に基づいて、メッシュごとの浸水有無や浸水の度合い(以下「浸水リスク」という。)を判定する。
地図情報記憶部105は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。地図情報記憶部105は、流出係数算出部102による流出係数の算出に必要となる対象地域の地図情報を記憶する。例えば、GISデータであってもよいし、他の方法で取得された地図情報であってもよい。
メッシュ面積設定部106は、流出係数算出部102による流出係数の算出に必要となる各メッシュの面積を設定する。
下水道管理台帳データ記憶部107は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。下水道管理台帳データ記憶部107は、流出解析部103や浸水リスク評価部104の処理に必要となる下水道の物理緒元を示す情報(以下「下水道管理台帳データ」という。)を記憶する。
仮想下水管径算出部108は、下水道管理台帳データに基づいて、流出解析部103による流出解析に用いられる仮想下水管の管路径を算出する。
仮想下水管勾配算出部109は、下水道管理台帳データに基づいて、流出解析部103による流出解析に用いられる仮想下水管の勾配を算出する。
仮想下水管粗度算出部110は、下水道管理台帳データに基づいて、流出解析部103による流出解析に用いられる仮想下水管の粗度を算出する。
マンホール総面積算出部111は、流出解析部103による流出解析に用いられるマンホール総面積を算出する。マンホール総面積は、対象地域に存在するマンホールのメッシュごとの総面積を表す。
容量算出部112は、流出解析部103や浸水リスク評価部104で用いられる最大貯留量及び上限貯留量を算出する。最大貯留量は、対象地域に存在する管路のメッシュごとの総容量である。上限貯留量は、対象地域に存在するマンホールのメッシュごとの総容量と、上記の最大貯留量との和である。
診断結果表示部113は、上記各機能部の処理結果に関する情報を、メッシュごとに表示する。
図2は、実施形態の流出解析装置1が用いる流出解析モデルの概念を説明する図である。図2は、隣接する2つのメッシュ(メッシュi及びメッシュj)が、それぞれのメッシュに存在するマンホール(マンホールi及びマンホールj)を介して下水管路Pに接続された様子を模式的に示した図である。図2に示すこれらのマンホールは仮想的なものであり、各マンホールの断面積Aは各メッシュに存在するマンホールの総断面積(すなわちマンホール総面積)で表される。同様に、図2に示す下水管路Pも仮想的なものであり、各メッシュに対応する部分の管路の容量は、各メッシュに存在する管路の総容量(すなわち、最大貯留量)で表される。
このような仮想的なマンホール及び下水管路を想定したモデルでは、仮想下水管が満管になった場合に、溢れた水が即座に地表面に流出するのではなく、仮想的なマンホールに一時的に貯留され、仮想的なマンホールが満管になった時点で地表面に流出する状況を模擬することができる。すなわち、実施形態の流出解析モデルでは、動水勾配や径深、流積を計算するために必要なパラメータである水位を、雨水の流出経路(下水管路及びマンホール)が考慮された値として算出することができる。このような流出解析モデルによれば、従来の仮想タンクモデルよりも実際の水理学的現象をより正確に模擬することが可能になる。
なお、図2では簡単のため2つのメッシュ間の接続関係を示しているが、実際には、あるメッシュの周りには上下左右に隣接する4つのメッシュと、斜め方向に隣接する4つのメッシュとの合計8つのメッシュが存在する。そのため、図2のようなモデルで実際に流出解析を行う場合には、あるメッシュについて図2と同様の接続関係を隣接する8つのメッシュとの間に適用して流出解析を行うことになる。
例えば、メッシュiとメッシュjとの流量収支と、仮想水位との関係は次の式(1)~式(3)によって表される。
Figure 0007055654000001
Figure 0007055654000002
Figure 0007055654000003
式(1)~式(3)において、H(i,j)はメッシュjに隣接するメッシュiの仮想水位を表す。S(i)はメッシュiにおける貯留量を、Slim(i)はメッシュiの上限貯留量を、Smax(i)はメッシュiの最大貯留量をそれぞれ表す。D(i,j)はメッシュiとメッシュjとを接続する仮想下水管の管径(直径)を表す。A(i)はメッシュiのマンホール総面積を、Aは各メッシュの面積(以下「メッシュ面積」という。)をそれぞれ表す。
式(1)は、あるメッシュの貯留量が仮想下水管の容量を超えない場合における仮想水位の計算式である。式(1)は、あるメッシュiにおける仮想水位が、仮想下水管の管径D(i,j)と、メッシュiの下水管内に貯留しうる最大貯留容量Smax(i)に対する実際の貯留量の割合との積によって得られることを表している。すなわち、あるメッシュiにおける仮想水位は、仮想下水管の管径D(i,j)をメッシュiにおける仮想下水管の満管率で按分することによって得られる。この場合、メッシュiにおける貯留量が最大貯留容量Smax(i)を超過するまでは、仮想水位は0~D(i,j)範囲の値をとる。そのため、D(i,j)として適切な管径が設定されれば、仮想水位を実際の下水管の水位の近似値として算出することができる。
さらに、仮想下水管を円管ではなく矩形管として想定した場合には、仮想水位に対してより明確な物理的解釈が可能になる。すなわち、D(i,j)を矩形管の高さ方向(z軸方向)の辺の長さとした場合、矩形管の水位は式(1)で算出した仮想水位に一致する(勾配が0の場合)。式(1)はこの考え方を拡張したものである。従来の仮想タンクモデルでは、最大貯留容量及び貯留量に対して底面積というパラメータを用いて仮想水位を算出していたのに対し、本実施形態では、最大貯留容量及び貯留量に対して仮想下水管の管径(又は仮想下水管の高さ)という実際の管路情報に基づいて定義される仮想下水管のパラメータを用いて仮想水位を算出する。これにより、仮想水位の数値を現実的な値の範囲(0~D(i,j))で得られるようにすることができる。
式(2)は、あるメッシュの貯留量が仮想下水管の最大貯留量を超え、かつ上限貯留量を越えない場合の仮想水位の計算式を表している。貯留量が下水管の容量を超えた場合、下水管は満管状態であるため圧力管として取り扱うことができる。図2のモデルでは、仮想下水管を圧力管として考えた場合、仮想下水管の水頭(水位)はマンホールの高さとして得られる。式(2)はこのような場合の水頭(水位)を表現した式である。このような式を用いることによって、あるメッシュの仮想下水管が満管(圧力管状態)になってから、溢れた水が地表面に流出するまでの現象をより正確に表現することができる。
式(3)は、あるメッシュの貯留量が仮想下水管の上限貯留量を超えた場合の仮想水位の計算式を表している。式(3)は、溢れた水が地表面に流出し、実際に浸水が発生した後の現象を表現する式である。雨水が地表面に流出した後は、地表面の面積に応じて微小に仮想水位が上昇すると考えられる。メッシュ面積Aは、マンホール総面積Aよりも格段に大きい値をとる。そのため、式(3)は、地表面流出後に水位が急上昇することがないことを表現している。
以下、式(1)~式(3)を用いて、各メッシュ間の水量の収支を計算する方法を説明する。本実施形態における水量の収支の計算方法は、基本的には従来の仮想タンクモデルと同様である。具体的には、各メッシュ間の水量の収支は、次の式(4)によって表される「連続の式」と、式(5)によって表される「マニング式」とを用いて算出することができる。
Figure 0007055654000004
Figure 0007055654000005
式(4)及び式(5)において、Sはあるメッシュの貯留量を表す。貯留量Sについて、ここではiやj等のメッシュの識別子を省略して記載している。これは、以下で説明する他のパラメータについても同様である。Rはあるメッシュの有効降雨量を表す。Qはあるメッシュから隣接メッシュへの流出量を表す。Aは仮想下水管において、水が占める部分の断面積(流積)を表す。Rは仮想下水管の径深を表す。Iは仮想下水管の動水勾配を表す。nは仮想下水管の粗度を表す。ここで、式(5)を式(4)に代入することにより次の式(6)が得られる。式(6)において、流積A、径深R、動水勾配Iは、仮想下水管の水位に依存するパラメータである。
Figure 0007055654000006
図3は、仮想水位と、流積及び径深との関係を示す図である。ここで、仮想下水管を辺長Lの正方形の断面を持つ矩形管と想定した場合(図3(A))、流積A及び径深Rは仮想下水管の水位Hを用いて次の式(7)及び式(8)のように表される。また、仮想下水管を直径Dの円管と想定した場合(図3(B))、流積A及び径深Rは仮想下水管の水位Hを用いて次の式(9)~式(11)のように表される。式(7)~式(11)の各パラメータは、図3の各パラメータに対応している。
Figure 0007055654000007
Figure 0007055654000008
Figure 0007055654000009
Figure 0007055654000010
Figure 0007055654000011
図4は、仮想水位と、動水勾配及び管路勾配との関係を示す図である。管路勾配は、仮想下水管自身の勾配を表し、動水勾配は仮想下水管を流下する水面の勾配を表す。図4に示す関係から、動水勾配Iは、仮想水位H及び管路勾配Iを用いて次の式(12)のように近似することができる。式(12)の各パラメータは、図4の各パラメータに対応している。
Figure 0007055654000012
式(12)において、Kはメッシュの辺長を表し、メッシュの辺長はすなわち隣接するメッシュ間の距離を表す。H及びH’は、あるメッシュでの仮想下水管の水位(H)と隣接するメッシュでの仮想下水管の水位(H’)を表す。H及びH’は、上記の式(1)~式(3)によって算出される。なお、管路勾配I及び動水勾配Iについて、IがIに対して十分に小さいと仮定できる場合にはI≒0としても良い。
以上説明した式(6)~式(12)を組み合わせることにより流出解析モデルが得られる。ここでは、例として仮想下水管を円管と想定した場合の流出解析モデルについて説明する。円管の場合、式(9)~式(12)が基本式となり、これらをまとめると次の式(13)で表される流出解析モデルが得られる。具体的には、式(13)は、式(9)~式(12)を式(6)に代入して整理することによって得られる。
Figure 0007055654000013
ここで、式(13)におけるθは上記の式(11)によって表される。式(13)の右辺第2項は、隣接するメッシュ間の流入出量を表している。水量収支の関係上、あるメッシュから流出(又は流入)する水の流量と、隣接するメッシュに流入(又は流出)する水の流量とは、絶対値が同じで、かつ符号が異なる量となる。そのため、流出解析の精度を高めるためには、各メッシュ間で水深角θに関する平均化処理などを行うことによって、各メッシュ間の水量収支が上記関係を満たすように調整されてもよい。
なお、本実施形態では、流出解析モデルの構築にマニング式を用いているが、マニング式に代えて動水勾配を変数として含む他の式を用いても良い。例えば、クッター式を用いて、式(11)及び式(13)に相当する式を導出してもよい。
また、上記の実施形態では、仮想下水管として円管を想定した場合の流出解析モデルについて説明したが、これに代えて、仮想下水管として矩形管を想定した場合の流出解析モデルを導出してもよい。さらに、モデルの簡略化のため、径深や流積を仮想水位によって変動するパラメータとせずに固定値としてもよい。例えば径深=D/4、流積=π×D/8としても良い。
すなわち、動水勾配が仮想水位に応じて変化するパラメータであること及び、仮想水位が式(1)~式(3)のように貯留量に応じた算出式で求められることが表現されたモデルであれば、流出解析モデルには式(11)及び式(13)と異なる式が用いられても良い。
なお、上記説明では簡単のため、あるメッシュと、そのメッシュに隣接する1つのメッシュとの間の流出解析を行う場合を例に説明したが、実際の解析を行う場合には、あるメッシュに対して、隣接する全てのメッシュの影響を考慮する必要がある。具体的には、式(13)の第2項として、隣接する全てのメッシュ(例えば、上下左右斜めの全8メッシュ)について考慮した項を付加する必要がある。このように構築された流出解析モデルに対し、各メッシュの有効降雨量を入力として流量収支を計算することによって各メッシュの流出量(又は流入量)が算出される。
なお、仮想下水管の管径、仮想下水管の管路勾配、仮想下水管の粗度、マンホール総面積、最大貯留量、上限貯留量などのパラメータは、下水道管理台帳データを用いて算出可能である。これらのパラメータは、仮想下水管径算出部108、仮想下水管勾配算出部109、仮想下水管粗度算出部110、マンホール総面積算出部111、容量算出部112等によって、各メッシュ、又は互いに隣接するメッシュごとに予め算出される。
続いて、浸水リスクの評価について説明する。浸水リスク評価部104は、メッシュごとに、各メッシュについて算出された貯留量に基づいて以下のような評価を行う。例えば、あるメッシュの貯留量が最大貯留容量Smaxを超過した場合、浸水リスク評価部104は、そのメッシュについて「浸水の可能性がある」と判断する。また、あるメッシュの貯留量が上限貯留容量Slimを超過した場合、浸水リスク評価部104は、そのメッシュについて「浸水の可能性が極めて高い」と判断する。このような浸水リスクの判断基準は、診断対象地域の特性等に応じて適宜設定されてよい。
診断結果表示部113は、このように診断された各メッシュの浸水リスク(流出解析の結果を含む)を視覚的に識別可能な態様で表示させる。例えば、診断結果表示部113は、浸水リスクを各メッシュに対応させたメッシュ状の分布として表示させる。具体的には、貯留量が最大貯留量を超過したメッシュを黄色で表示させ、上限貯留量を超過したメッシュを赤色で表示させても良い。また、最大貯留量又は上限貯留量と、算出された貯留量に基づいて仮想下水管の満管率を算出し、満管率に応じた色で各メッシュを表示させるようにしてもよい。診断結果表示部113は、流出解析の結果や診断リスクの診断結果等に基づいて得られる情報であれば、どのような情報を表示させてもよい。また、情報表示の態様も、上記のような色で識別可能にする態様のほか、文字や記号、図形、グラフ等の視覚的な識別を可能にする態様であれば、他のどのような態様であってもよい。
以上、実施形態の流出解析装置1が行う流出解析方法について説明した。続いて、実施形態の流出解析装置1が、上記の流出解析に用いられる流出解析パラメータの調整方法について説明する。
図5は、流出解析パラメータの調整に関する機能部を含む流出解析装置1の機能構成の具体例を示すブロック図である。流出解析装置1は、図1で示した各機能部に加えて、流出解析パラメータ設定部114、流出解析パラメータ調整部115、実績情報記憶部、メッシュ毎実績データ生成部117、詳細解析部118、メッシュ毎詳細データ生成部119、評価指標算出部120及び解析精度評価部121を備える。なお、図5においては、図1に示した各機能部のうち、流出解析パラメータの調整に関係する機能部のみ示し、その他の各機能部を省略している。また、図5においては、メッシュ面積設定部106、仮想下水管径算出部108、仮想下水管勾配算出部109、仮想下水管粗度算出部110、マンホール総面積算出部111及び容量算出部112をまとめて流出解析パラメータ算出部130と記載している。
流出解析パラメータ設定部114は、有効雨量情報に基づき、流出解析モデルに対して流出解析パラメータを設定する。
流出解析パラメータ調整部115は、流出解析パラメータ設定部114によって設定された流出解析パラメータを、より精度の良い流出解析結果が得られるように調整する。具体的には、流出解析パラメータ調整部115は、流出解析部103による流出解析の結果と、診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて流出解析パラメータの同定を行う。流出解析パラメータ調整部115は、同定された流出解析パラメータで既存の流出解析パラメータを更新する。
実績情報記憶部116は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。実績情報記憶部116は、流出解析パラメータの調整に用いられる実績情報を記憶する。実績情報は、流出解析装置1による流出解析結果に対して、より確からしい流出の状況や浸水の状況を示す情報である。例えば、実績情報は、対象地域に存在する下水管の実際の水位や流量の情報であってもよいし、実際に発生した浸水に関する情報であってもよい。
メッシュ毎実績データ生成部117は、メッシュごとの実績情報を示すメッシュ毎実績データを生成する。メッシュ毎実績データ生成部117は、実績情報の整理やデータ変換等の処理によってメッシュ毎実績データを生成する。
詳細解析部118は、有効雨量情報に基づいて、流出解析部103が行う流出解析よりも詳細な流出解析(以下「詳細解析」という。)を行う。例えば、詳細解析部118は、分布型流出解析モデルを用いた流出解析を行う。このような詳細解析が行われることにより、メッシュ単位よりも粒度の細かい流出解析結果を得ることができる。例えば、各下水管やマンホールの単位での流出解析結果を得ることができる。
例えば、詳細解析は、降雨の初期浸透損失を考慮したモデルや非線形貯留池モデルなどを用いて降雨が下水管に流入するまでの初期の流出現象を水文学的に模擬するとともに、その後の下水管の流れを、いわゆるサン・ブナン方程式と呼ばれる開水路の水理学モデルを用いて解析することによって行われる。サン・ブナン方程式を最も正確に解く方法はダイナミックウェーブ法と呼ばれ、ダイナミックウェーブ法の慣性項を省略したディフィユーシブウェーブ法などを用いることもできる。このようなモデルを用いた詳細な流出解析は、InfoworksやMOUSE、SWMM等のパッケージソフトとして提供され、コンサルタント業界などで広く使われている。詳細解析部118は、このようなパッケージソフトを用いて実現されてもよい。
メッシュ毎詳細データ生成部119は、メッシュ毎の詳細解析結果を示すメッシュ毎詳細解析データを生成する。メッシュ毎詳細データ生成部119は、詳細解析結果の整理やデータ変換等の処理によってメッシュ毎詳細データを生成する。
評価指標算出部120は、所定の評価基準に基づいて、流出解析部103による流出解析の精度を判定するための指標値を算出する。評価指標算出部120は、この指標値を対象地域のメッシュごとに算出する。以下、このメッシュに算出される指標値をメッシュ毎指標値と記載する。
解析精度評価部121は、メッシュ毎指標値に基づいて、対象地域内の評価対象の区域に関する解析精度を評価する。例えば、解析精度評価部121は、評価対象の区域に含まれるメッシュのメッシュ毎指標値の総和をとり、その総和によって評価対象の区域の解析精度を評価する。なお、解析精度は、メッシュ毎指標値の総和以外の値で評価されてもよい。例えば、解析精度は、メッシュ毎指標値の平均値や最大値、最小値、中央値、分散、偏差等の任意の統計値を用いて評価されてもよい。また、解析精度は、メッシュ毎指標値を用いて所定の計算式で算出される値で評価されてもよい。
以下、本実施形態における流出解析パラメータの設定方法について詳細に説明する。図1~図4で説明した流出解析を行うためには、メッシュ面積A、メッシュ辺長L、マンホール総面積A、最大貯留量Smax、上限貯留量Slim、粗度n、仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iが適切に設定される必要がある。まず、流出解析パラメータ設定部114が、これらのパラメータの初期値を設定する方法について説明する。
[1.メッシュ面積A及びメッシュ辺長Lの設定]
メッシュ面積A及びメッシュ辺長Lは、全てのメッシュについて共通のパラメータであるため、メッシュ面積設定部106によって算出されたメッシュ面積を全てのメッシュに共通のパラメータとして設定する。例えば、降雨分布情報としてXバンドMPレーダによって取得されたデータを用いる場合、メッシュ辺長LはL=250mであるため、メッシュ面積Aは、250m×250m=6.25haとなる。
[2.最大貯留量Smax、上限貯留量Slim及びマンホール総面積Aの設定]
メッシュ面積A以外のパラメータは、下水道管理台帳データを用いて設定される。Smax、Slim及びAは、対象地域の各メッシュに対して定義されるパラメータである。上記の流出解析モデルでは、各メッシュについてそれぞれ一つの仮想下水管及び仮想マンホールが設定される。そのため、各メッシュの仮想下水管及び仮想マンホールに関するパラメータは、各メッシュに実在する下水管及びマンホールを総合的に表したものであることが望ましい。
例えば、Smax、Slim及びAは、下水道管理台帳データによって示される実際の下水管の容量やマンホールの容量、マンホールの数などに基づいて算出される。具体的には、容量算出部112は、実在する下水管の容量の総和をメッシュごとに算出することによって各メッシュの仮想下水管の最大貯留量Smaxを算出する。また、容量算出部112は、実在するマンホールの容量の総和をメッシュごとに算出することによって各メッシュの仮想マンホールの最大貯留量を算出する。容量算出部112は、仮想下水管の最大貯留量Smaxと仮想マンホールの最大貯留量との和をとることにより各メッシュの上限貯留量Slimを算出する。また、マンホール総面積算出部111は、実在するマンホールの断面積の総和をメッシュ毎に算出することによって各メッシュのマンホール総面積Aを算出する。
[3.粗度nの設定]
以上説明したパラメータはメッシュごとに設定されるパラメータであるのに対し、粗度n、仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iは、隣接する各メッシュ間に設定されるパラメータである。仮想下水管の粗度nは、式(13)の右辺第2項にのみ現れるパラメータである。右辺第2項は、式(5)のマニング式によって表される流量を示す項である。下水管の粗度は、通常その材質によって決まる。例えば、合成樹脂ライニング管の粗度は約0.010、コンクリート製の新しい下水管の粗度は約0.013、コンクリート製の古い下水管の粗度は約0.015である。そのため、粗度nは通常0.01~0.015の範囲で設定され、典型値として0.013とされることが多い。これは詳細な流出解析を行う分布型流出解析についても同様である。そのため、下水管の材質のばらつきが大きくない場合、仮想下水管の粗度として0.013などの典型値を採用いてもよい。また、実際の下水管の粗度が取得可能である場合には、隣接するメッシュを接続する複数の下水管の粗度の平均値を採用してもよい。
一方、下水管の材質のばらつきが大きい場合には、隣接する全てのメッシュ間で各メッシュを接続する複数の下水管の粗度の最大値及び最小値を予め算出し、この最大値及び最小値で定義される関数によって得られる値を各メッシュの粗度の初期値として設定する。例えば、上記関数は最大値及び最小値のいずれか一方を導出する関数であってもよいし、最大値及び最小値の平均値を導出する関数であってもよい。
[4.仮想下水管径Dの設定]
仮想下水管径Dは、式(13)の右辺第2項(マニング式に基づく)に現れるだけでなく、式(1)~式(3)の水位の算出式にも現れるパラメータである。式(1)は、仮想下水管径Dを貯留量と最大貯留量とで按分した値を仮想水位として導出する式である。上述したように、仮想水位は動水勾配を規定するパラメータであり、流出解析の精度に最も大きな影響を与えるパラメータである。そのため、仮想水位を左右する仮想下水管径Dは適切な値に設定される必要がある。
この仮想下水管径Dは、メッシュ間を接続する実際の複数の下水管の管径のうちの最大管径以上であると考えられる。例えば、複数の管径がd、d、d、・・・として与えられ、これらの下水管を1つの仮想下水管として表そうとした場合、下水管を流れる水の流量は変わらないため、仮想下水管径Dは、D=(d +d +d +・・・)1/2と表される。そのため、仮想下水管径Dの最小値は、d、d、d・・・のうちの最大値となる。一方、仮想下水管径Dは、d、d、d・・・の総和以上になることはない。従って、メッシュ間を接続する複数の下水管の管径のうちの最大管径をDmin、メッシュ間を接続する複数の下水管の管径の総和をDmaxとすれば、仮想下水管径Dの値の範囲はDmin≦D≦Dmaxとなる。
なお、仮想下水管径Dの値の範囲は、数学的なノルムの考え方に基づいて設定することも可能である。例えば、円管であり勾配が一定である仮想下水管を想定した場合、メッシュ間の流量Qは式(5)のマニング式を用いて次の式(14)のように表される。式(14)において、Cは粗度n及び勾配Iに基づいて算出される定数である。
Figure 0007055654000014
ここで、ある隣接メッシュ間が2つの下水管によって接続される場合を想定すると、隣接メッシュ間の流量Qと、第1の下水管の流量Q及び第2の下水管の流量Qとの間にはQ=Q+Qの関係が成り立つはずである。この関係は、式(14)を用いると次の式(15)のように表される。
Figure 0007055654000015
式(15)において、θは第1の下水管の勾配を示す角度である。Dは第1の下水管の管径を表す。θは第2の下水管の勾配を示す角度である。Dは第2の下水管の管径を表す。式(15)によって仮想下水管径DをD及びDのみで表すためには、その他のパラメータについてなんらかの仮定が必要である。例えば、以下に示す仮定1~3を置くことができる。
<仮定1>仮想下水管と実際の下水管の断面積当たりの流量は一定である。
この仮定は次の式(16)によって表される。また、式(16)とQ=Q+Qとの関係から式(17)が成り立つ。
Figure 0007055654000016
Figure 0007055654000017
式(17)は、あるメッシュ間を接続する下水管として2つの下水管を想定した場合に成り立つ式であるが、これを拡張すると、あるメッシュ間を接続する下水管がN個の場合には次の式(18)が成り立つ。
Figure 0007055654000018
すなわち、仮定1の下では、仮想下水管径Dは、実際の下水管径D、D・・・、Dを用いて次の式(19)で表すことができる。
Figure 0007055654000019
<仮定2>各下水管の最大流量に対する実際の流量の割合(流量比率)は一定である。
一般に、流量比率は、θ/2π(1-sinθ/θ)^(5/3)で与えられることが知られている。ここでのθは、各下水管の勾配を表す角度である。『A^B』の表記は、AのB乗を表している。この場合、仮定2は次の式(20)で表される。
Figure 0007055654000020
この式(20)は、仮想下水管と実際の各下水管との流量比率が一定であるという仮定を表した式である。この場合、式(20)及び式(15)から次の式(16)が得られる。
Figure 0007055654000021
ここで、仮定1と同様に、式(21)をN個の下水管の場合に拡張すれば、仮定2の下では次の式(22)が成り立つと考えられる。
Figure 0007055654000022
一般に、X=[X、X、・・・、X]のn次のベクトルのpノルム(1≦p≦∞)は、数学的に次の式(23)と定義される。
Figure 0007055654000023
このノルムの考え方を用いれば、仮定1の下での仮想下水管径を表す式(19)は、仮想下水管径が実際の下水管径の2ノルムで与えられることを意味し、仮定2の下での仮想下水管径を表す式(22)は、仮想下水管径が実際の下水管径の8/3ノルムで与えられることを意味している。
<仮定3>仮想下水管の水位と実際の下水管の水位とは同じである。
仮定3は、仮想下水管径Dを、隣接メッシュ間を接続する下水管径の総和DMAX(=D+D+・・・+D)であると仮定することと同義である。換言すれば、仮定3は、仮想下水管径Dは実際の下水管径の1ノルムであると仮定することである。
以上説明した仮定1~3は、実際の現象において厳密には成立しない関係である可能性はあるものの、このようにある仮定を置くことで仮想下水管径Dを実際の下水管径のノルムとして定義することができる。このように考えれば、仮想下水管径Dの値の範囲を、実際の下水管径のP(1≦p≦∞)ノルムの範囲として定義することができる。
流出解析パラメータ設定部114は、このように決定される仮想下水管径の最大値及び最小値で定義される関数によって得られる値を、各メッシュを接続する仮想下水管の管径の初期値として設定する。上記関数は、粗度nの場合と同様に、最大値及び最小値のいずれか一方を導出する関数であってもよいし、最大値及び最小値の平均値を導出する関数であってもよい。
[5.仮想下水管勾配Iの設定]
仮想下水管は、実際の複数の下水管を一つの下水管として仮想的に表現するものであることからすれば、その勾配は、複数の下水管を代表したものであることが妥当であると考えられる。このような考えに基づけば、仮想下水管勾配のとりうる最大値(以下「Is_max」という。)を、隣接メッシュ間を接続する複数の下水管の勾配のうちの最大値とすることがまず考えられる。
一方で、実際の下水管には、管径が小さいほど勾配が大きく、管径が大きいほど勾配が小さい傾向が見られる。そのため、例えば、隣接メッシュ間を接続する複数の下水管の勾配の中央値をIs_maxとしてもよい。この場合、管径の大きい下水管が支配的な環境ではIs_maxに比較的小さい勾配が採用され、管径の小さい下水管が支配的な環境ではIs_maxに比較的大きい勾配が採用されることになる。
なお、仮想下水管勾配のとりうる最小値(以下「Is_min」という。)は、単純に0としてもよいし、隣接メッシュ間を接続する複数の下水管の勾配のうちの最小値を採用しても良い。
流出解析パラメータ設定部114は、このように決定される仮想下水管勾配の最大値及び最小値で定義される関数によって得られる値を、各メッシュを接続する仮想下水管の管径の初期値として設定する。上記関数は、上記他のパラメータと同様に、最大値及び最小値のいずれか一方を導出する関数であってもよいし、最大値及び最小値の平均値を導出する関数であってもよい。
続いて、流出解析パラメータ調整部115が、上記各パラメータを調整する方法について説明する。ここでは一例として、上記各パラメータのうちの仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iを調整する方法について説明する。なお、以下で説明する調整方法は、他のパラメータの調整方法としても用いることができる。
まず、流出解析パラメータ調整部115は、流出解析部103による流出解析結果や、浸水リスク評価部104による浸水リスクの評価結果と比較するためのデータとして、メッシュ毎実績データ生成部117からメッシュ毎実績データを取得する。例えば、メッシュ毎実績データは、メッシュ単位の貯留量を時系列に示す情報(以下「貯留量時系列データ」という。)として生成される。
一方で、流出解析パラメータ調整部115は、評価指標算出部120から、メッシュ毎指標値を取得する。このメッシュ毎指標値Jは、例えば、貯留量時系列データの平均平方二乗誤差として、次の式(24)及び式(25)により算出される。
Figure 0007055654000024
Figure 0007055654000025
式(24)において、Tは任意の評価期間を表す。式(25)において、S(t)はあるメッシュの貯留量時系列データを表し、S^(t)は流出解析部103によって算出された当該メッシュの貯留量時系列データを表す。なお、メッシュ毎指標値Jは、平均平方二乗誤差(平均誤差)以外の値で表されてもよい。例えば、メッシュ毎指標値Jは、浸水に最も影響を与えると思われるピーク流量誤差で表されても良い。この場合、メッシュ毎指標値Jは、例えば次の式(26)で表される。
Figure 0007055654000026
また、例えば、メッシュ毎指標値Jは、実績値がピーク値をとる時刻における誤差として表されても良い。この場合、メッシュ毎指標値Jは例えば次の式(27)及び式(28)で表される。
Figure 0007055654000027
Figure 0007055654000028
また、例えば、メッシュ毎指標値Jは、浸水発生有無の一致性に対応づけられた各値で表されても良い。この場合、メッシュ毎指標値Jは例えば次の式(29)で表される。
Figure 0007055654000029
また、例えば、メッシュ毎指標値Jは、浸水量の差で表されても良い。この場合、メッシュ毎指標値Jは例えば次の式(30)で表される。
Figure 0007055654000030
式(30)において、sum(Sover(t))は実際の総浸水量を表し、sum(S over(t))は流出解析部103の解析結果から得られる総浸水量を表す。
以上、メッシュ毎指標値Jの具体例について説明したが、メッシュ毎指標値Jには、実績情報と流出解析結果とに基づいて流出解析の精度に関する指標値として算出可能な値であればどのような指標値が用いられても良い。解析精度評価部121は、このように算出されたメッシュ毎指標値に基づいて、評価対象地域についての解析の精度を示す指標値(以下「評価値」という。)を算出する。例えば、解析精度評価部121は、評価対象地域に含まれる各メッシュのメッシュ毎指標値の総和を評価値として算出する。なお、評価対象地域は、対象地域の全体であってもよいし一部であってもよい。
流出解析パラメータ調整部115は、以上のようにして算出された評価値に基づいて、その評価値が最小化(最適化)されるように仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iを調整する。具体的には、流出解析パラメータ調整部115は、仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iのそれぞれを、0~1の範囲の値をとる1つのパラメータα(以下「調整パラメータ」という。)を用いて調整する。αは、仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iのそれぞれに設定される。以下では、仮想下水管径Dについて設定される調整パラメータをαと記載し、仮想下水管勾配Iについて設定される調整パラメータをαと記載する。また、調整パラメータαを用いた調整の対象となるパラメータを、以下では調整対象パラメータという。ここでの調整対象パラメータは、具体的には、仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iである。
αはα=0の時に調整対象パラメータが最小値をとり、α=1の場合に調整対象パラメータが最大値をとるように定義されたパラメータである。流出解析パラメータ調整部115は、調整パラメータを用いて、調整対象パラメータを最大値から最小値の範囲内で変動させて詳細解析部118に詳細解析を実行させることにより、複数の詳細解析の結果を得る。流出解析パラメータ調整部115は、詳細解析部118によって実行された詳細解析の結果と、流出解析部103によって実行された流出解析の結果とに基づいて算出される評価値を、複数の詳細解析結果ごとに取得する。ここで取得される評価値は、流出解析部103によって実行された流出解析の結果とメッシュ毎実績データとに基づいて算出された上述の評価値と同様の方法で算出される。流出解析パラメータ調整部115は、このようにして得られる複数の評価値の最小値を与える調整パラメータによって決定される値を、調整後のパラメータ値として調整対象パラメータを調整する。なお、調整対象パラメータの変動範囲を規定する最大値及び最小値は、流出解析パラメータ設定部114が上述の方法によって算出したものである。
例えば、流出解析パラメータ調整部115は、仮想下水管径D及び仮想下水管勾配Iを、次の式(31)及び式(32)に基づいて変動させる。
Figure 0007055654000031
Figure 0007055654000032
このように構成された実施形態の流出解析装置1は、従来の仮想タンクモデルを拡張し、仮想タンクを、仮想下水管と、仮想下水管と地表面とを接続する仮想マンホールとで表した流出解析モデルを用いて流出解析を行う構成を備える。このような構成を備えることにより、簡易な解析モデルを用いつつ、より現実に即した流出解析結果を得ることができる。
さらに実施形態の流出解析装置1は、流出解析パラメータの初期値を、物理的な根拠を持つ確からしい値の範囲内に設定する流出解析パラメータ設定部114と、実績情報及び詳細解析の結果に基づいて流出解析パラメータを調整する流出解析パラメータ調整部115とを備える。このような構成を備えることにより、実施形態の流出解析装置1は、このような構成を備えることにより、上記の流出解析の精度をより向上させることが可能となる。
また、流出解析の対象となる地域には多数のメッシュが含まれることが多く、通常の流出解析パラメータの調整方法では、パラメータの調整に多くの計算が必要となる。具体的には、メッシュ数をNとした場合に仮想管径D及び仮想管渠勾配Iを各メッシュについて独立に推定しようとすると2×N個のパラメータを同定する必要がある。これに対して、実施形態の流出解析装置1は、各流出解析パラメータを物理的な根拠を持つ確からしい値の範囲内で変動させる1つの調整パラメータαを推定することによって各流出解析パラメータを同定する。そのため、実施形態の流出解析装置1は、流出解析パラメータの調整に係る計算量を削減することができ、より短時間で流出解析パラメータを調整することができる。
また、一般に、調整すべきパラメータの数が多い場合や評価用の実績情報が十分に得られない場合、パラメータ同定の結果が同定に用いられたデータに応じて大きくばらつくことが可同定性の問題として知られている。これに対して、実施形態の流出解析装置1は、流出解析パラメータの初期値を、物理的な根拠を持つ確からしい値の範囲内に設定する。そのため、各流出解析パラメータがその範囲外の値に同定されることがなく、パラメータ同定の結果のばらつきを小さくすることができる。
以下、実施形態の流出解析装置1の変形例について説明する。
<第1の変形例>
第1の変形例では、流出解析パラメータ調整部115は、式(31)に代えて次の式(33)に基づいて仮想下水管径Dを調整する。
Figure 0007055654000033
式(33)は、仮想下水管径Dを、実在する下水管の管径のN次のpノルムとして定義した式である。Nはメッシュの総数であり、pは1~∞の範囲で調整可能なパラメータである。上述したとおり、pノルムはp(ノルム数)について単調減少する性質を有するため、仮想下水管径Dは、p=1の場合にDmaxの値をとり、p=∞の場合にDminの値をとる。この場合、流出解析パラメータ調整部115はαに代えてpを調整パラメータとして用い、pを1~∞の範囲で変動させながら、評価値を最小化するpを探索する。このように、仮想下水管径Dをpノルムで定義した場合のpを調整パラメータとして用いることにより、仮想下水管径DをDmax及びDminの単純な線形補間によってではなく、Dmax及びDminのpに応じた非線形補間によって表すことができる。このような非線形補間では、仮想下水管径DがDminに近づくほど、仮想下水管径Dをより細かく微調整することができる。また、上述のとおり、仮想下水管径Dを実在する下水管の管径のpノルムとして定義した場合、pの値は水理学に基づいて設定される仮定に応じて異なる値となることが想定される。そのため、最適値の探索によって得られるpの値は、仮想下水管径Dを一意に決定するだけでなく、決定された仮想下水管径Dを用いて得られた流出解析の結果に対する水理学的な考察に役立てることができる。
<第2の変形例>
第2の変形例は、上記実施形態に記載の調整方法で第1のパラメータ調整を実施し、さらに以下の方法で第2のパラメータ調整を行う2段階のパラメータ調整方法である。実際の流出解析においては、ある特定のメッシュの解析誤差が他のメッシュの解析誤差よりも大きくなるという状況が一般に生じうる。このような状況が生じる理由は必ずしも明確ではないが、例えば、ある特定のメッシュ近傍における下水管の段差接合など、下水管路の構造上の理由によって生じる貯留が原因として考えられる。このような理由によって生じる部分的な解析精度の乖離は、各メッシュのメッシュ毎指標値を比較することによって、その発生箇所を把握することができる。具体的には、流出解析パラメータ調整部115は、次の式(34)によって部分的に解析精度が低下しているメッシュ(以下「低精度メッシュ」という。)を特定する。
Figure 0007055654000034
式(34)において、Jijはi及びjで識別されるメッシュ(以下「メッシュ(i,j)」という。)のメッシュ毎指標値を表し、Jallは評価対象地域における各メッシュのメッシュ毎指標値の平均的な値を表す。例えば、Jallは平均値であってもよいし、中間値であってもよい。σは評価対象地域に含まれる各メッシュのメッシュ毎指標値の分散を表す。kは調整用のパラメータであり、統計学的には一般に2~3程度の値に設定される。すなわち、式(34)は、あるメッシュのメッシュ毎指標値が平均的な指標値の値よりも著しく低下しているか否かを各メッシュ毎指標値の分散に基づいて判定する式である。
図6は、局所的に存在する低精度メッシュの具体例を示す図である。図6は、M×N個(M=5、N=5)のメッシュで構成される診断対象地域の例を示している。例えば、流出解析パラメータ調整部115は、25(=5×5)個の各メッシュについて式(34)を用いた判定を行うことにより、低精度メッシュとしてメッシュ(2,2)を特定する。そして、流出解析パラメータ調整部115は、特定されたメッシュ(2,2)の周辺に位置するメッシュ(以下「周辺メッシュ」という。)のメッシュ毎指標値を用いて、メッシュ(2,2)についての局所的な評価関数Jlocalを次の式(35)によって算出する。
Figure 0007055654000035
式(35)において、Jij(i=1,2,…、j=1,2,…)はメッシュ(i,j)のメッシュ毎指標値を表す。すなわち、式(35)はメッシュ(2,2)及びその周辺メッシュのメッシュ毎指標値の平均値を評価関数とする式である。なお、ここでは、メッシュ(1,2)、メッシュ(2,1)、メッシュ(2,3)及びメッシュ(3,2)をメッシュ(2,2)の周辺メッシュとしているが、メッシュ(2,2)の斜め方向に位置するメッシュ(1,1)、メッシュ(1,3)、メッシュ(3,1)及びメッシュ(3,3)が周辺メッシュに含まれても良い。また、周辺メッシュは、メッシュ(2,2)の周辺に位置する上記よりも広い範囲のメッシュで構成されてもよい。
流出解析パラメータ調整部115は、このように算出される評価関数Jtotalの値を最小化するように周辺メッシュの仮想下水管径Dij及び仮想下水管勾配Is(ij)を同定する。この場合、1つの低精度メッシュに対して同定すべきパラメータが8つ存在するため、二分探索のような単純な探索方法での同定は困難な場合がある。そのため、ここでのパラメータの同定方法には、粒子フィルタ(パーティクルフィルタ)やアンサンブルカルマンフィルタ、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)、遺伝的アルゴリズム(GA)、パーティクルスワームオプティミゼーション(PSO)などのデータ同化手法やメタヒューリスティック手法が用いられても良い。以下では、粒子フィルタを用いた場合のパラメータ同定の手順を示す。
まず、同定の対象となる8つのパラメータ(D12、D32、D21、D23、I12、I32、I21、I23)のそれぞれについて、候補となる値を複数生成する。8つのパラメータをベクトルX=[X,X,X,X,X,X,X,X]=[D12,D32,D21,D23,I12,I32,I21,I23]と表した場合、候補となる値は次の式(36)によって生成される。
Figure 0007055654000036
式(36)において、Xnowは、現在のパラメータ値を表す。すなわち、Xnowは、第1のパラメータ調整方法で調整されたパラメータ値である。Xsigmaは、各パラメータ値の標準偏差を表す。なお、標準偏差σは、3σで母集団の99%の範囲を覆うため、Xsimgaの算出が難しい場合には、例えば、Xsimga=(Xmax-Xmin)/3と簡易的に設定してもよい。ここでのXmax及びXminは、第1のパラメータ調整方法で設定された各パラメータの最大値及び最小値に対応する。また、rand(0,1)は、平均が0であり標準偏差が1である正規乱数を表す。Pは粒子フィルタの粒子数を表す。例えばP=100の場合、Xnowに基づいて候補となるパラメータ値の組み合わせが100通り設定される。Pは必要に応じて任意に設定されてよい。
なお、式(36)のrand(0,1)を、diag(rand(0,1),rand(0,1),…,rand(0,1))に置き換えることで要素ごとに別の乱数値を与えることも可能である。なお、diag(要素,…)は、各要素を対角成分に持つ対角行列を意味する。
式(36)によってP組のパラメータセット(=粒子)を生成した後、各パラメータセットの流出解析パラメータを用いて流出解析部103と同様の流出解析を行う。一般に、粒子フィルタでは、解析結果の予測誤差の尤度で重みづけを行うが、ここでは簡単のため、式(35)に示した評価関数Jlocalの値を用いて、上記尤度の代わりとなる適合度を定義する。この場合、適合度Lは次の式(37)のように定義される。
Figure 0007055654000037
式(37)において、σはJlocal(k)の標準偏差を表す。例えば、粒子数P=100とした場合、式(36)によって生成された100個のパラメータセットを用いて行われた流出解析の結果に基づいて、kで識別されるパラメータセットごとの評価関数Jlocal(k)を予め算出しておく。そして、各粒子の重みW(k)を、式(37)で算出された適合度Lを用いて次の式(38)ように定義する。
Figure 0007055654000038
式(38)で算出される各粒子kの重みW(k)は0~1の範囲の値をとる。重みW(k)が算出された後、この重みの割合に応じて粒子X(k)を次の式(39)のように複製する。
Figure 0007055654000039
式(39)と式(36)とは同様の式であるが、以下の3点において異なる。相違点の1つは、右辺第1項がk番目の粒子の値X(k)となっている点である。また他の相違点の1つは、Xnew(l)として新たに生成される粒子数は、複製元の各粒子の重みの割合に応じたP以下の数となる点である。このとき、全てのkについて式(39)で新たに生成された粒子数の総和はPとなる。また他の相違点の1つは、標準偏差がXsimgaとは異なるX’sigmaとなっている点である。ここで、X’sigmaは各パラメータに対して揺らぎを与えるための定数であり、Xsigmaより小さい値に設定される。例えば、X’sigma=、Xsigma/2と設定されてもよい。
この式(39)によってXnew(l)で表される新たな粒子(パラメータセット)がP(=100)個生成される。このようなパラメータセットの生成と、生成されたパラメータセットを用いた流出解析とを繰り返し実行することにより、評価関数Jlocalの値を最小化するパラメータセットが最終的に得られる。流出解析パラメータ調整部115は、これらの処理を、適合度Lのばらつきがある所定値以下となるまで繰り返すように構成されてもよいし、予め決められた所定の回数だけ繰り返すように構成されても良い。
流出解析パラメータ調整部115は、このようにして得られるP(=100)個の粒子(パラメータセット)の代表値を算出することによって、更新後のパラメータセットを決定する。ここで算出される代表値として典型的には平均値が用いられるが、外れ値の影響が無視できない場合には、平均値に代えて中央値が用いられても良い。
第2の変形例として説明した上記のパラメータ調整方法は、ある程度の計算負荷が必要となるものの、解析精度が不十分なメッシュの流出解析パラメータを部分的に改善することができる。また、ある程度の計算負荷が必要になるとはいえ、全てのメッシュについて流出解析パラメータを個別に推定する場合に比べれば、第2の変形例のパラメータ調整方法に要する計算量は十分に少ない。そのため、より短時間かつ効果的に流出解析パラメータを調整することができる。
<第3の変形例>
第3の変形例は、第1のパラメータ調整において解析精度の評価に用いられる評価値を、一部のメッシュのメッシュ毎指標値を用いて算出するパラメータ調整方法である。これは、メッシュ毎指標値がある一部のメッシュに対してしか算出できない場合というよりは、あえて、特定の範囲のメッシュに着目して流出解析パラメータを調整したい場合を想定したものである。このようなパラメータ調整方法において、例えば、浸水常襲区域に着目する場合が想定される。
図7は、浸水常襲区域に応じて設定された評価対象メッシュの具体例を示す図である。この場合、浸水常襲区域(図の網掛け部分)に対応するメッシュのメッシュ毎指標値のみに着目することによって、より浸水リスクの評価に適した流出解析パラメータを同定することができる。
<第4の変形例>
第4の変形例は、流出解析部103による流出解析の精度を評価するための情報として、実績情報に代えて詳細解析部118による流出解析の結果を用いるパラメータ調整方法である。この場合、メッシュ毎実績データ生成部117は、詳細解析部118による流出解析の結果を実績情報と同様に整理又は変換することによって、メッシュ毎実績データを生成する。流出解析パラメータ調整部115は、このような詳細解析の結果から生成されたメッシュ毎実績データに基づいて、上記と同様の方法で流出解析パラメータを調整する。
なお、流出解析パラメータ調整部115は、実績情報が存在しない場合に詳細解析の結果を用いるように構成されてもよいし、実績情報が得られていない一部の情報に詳細解析の結果を代用するように構成されてもよい。なお、実績情報と詳細解析の結果とに大きな乖離がある場合、流出解析パラメータ調整部115は、詳細解析の結果を、実績情報に適合するように予め調整しておくことが望ましい。
<第5の変形例>
第5の変形例は、実績情報として浸水の発生状況を示す情報のみ取得可能である場合におけるパラメータ調整方法である。ここでいう浸水の発生状況を示す情報とは、各メッシュにおける浸水の発生有無又は浸水量と、浸水の発生時刻との対応を示す情報である。このような場合、評価値を式(29)や式(30)のように定義することによって、流出解析パラメータ調整部115は、浸水実績を示す情報のみで流出解析パラメータを調整することができる。例えば、新たな診断対象地域に対する流出解析モデルを構築するような水防対策の初期段階においては、対象地域について取得可能な情報が少ない場合が多く、流出解析パラメータをある程度精度良く、かつ効率的に設定することが難しい。第5の変形例によるパラメータ調整方法によれば、このような初期段階においても、ある程度精度の良い流出解析パラメータを設定することが可能となる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、流出解析の結果と診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて流出解析の精度に関する評価値をメッシュごとに算出し、算出した評価値に基づいて流出解析の精度を判定する解析精度評価部と、解析精度評価部によって評価された流出解析の精度に応じて、流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を調整する流出解析パラメータ調整部と、を持つことにより、仮想的なパラメータを用いて構築された流出解析モデルのパラメータをより適切に決定(設定又は調整)することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同ように、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…流出解析装置、101…降雨分布入力部、102…流出係数算出部、103…流出解析部、104…浸水リスク評価部、105…地図情報記憶部、106…メッシュ面積設定部、107…下水道管理台帳データ記憶部、108…仮想下水管径算出部、109…仮想下水管勾配算出部、110…仮想下水管粗度算出部、111…マンホール総面積算出部、112…容量算出部、113…診断結果表示部、114…流出解析パラメータ設定部、115…流出解析パラメータ調整部、116…実績情報記憶部、117…メッシュ毎実績データ生成部、118…詳細解析部、119…メッシュ毎詳細データ生成部、120…評価指標算出部、121…解析精度評価部、130…流出解析パラメータ算出部

Claims (11)

  1. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力部と、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う流出解析部と、
    前記流出解析部による流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価部と、
    前記解析精度評価部によって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整部と、
    を備え
    前記流出解析パラメータ調整部は、前記仮想管路の直径を、各隣接メッシュ間を接続する実際の複数の下水管の直径のpノルムで表し、前記pノルムについて1から∞の範囲の値をとるノルム数pを用いて前記直径を変化させることにより、前記評価値を最適化する前記仮想管路の直径及び勾配を同定する、
    流出解析装置。
  2. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力部と、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う流出解析部と、
    前記流出解析部による流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価部と、
    前記解析精度評価部によって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整部と、
    を備え、
    前記流出解析パラメータ調整部は、前記評価値に基づいて決定される所定のメッシュを含む範囲のメッシュについて、前記仮想管路の直径及び勾配を前記範囲内のメッシュの評価値に基づいて同定する、
    流出解析装置。
  3. 前記流出解析パラメータ調整部は、前記所定のメッシュとして解析精度が低下しているメッシュを特定する、
    請求項2に記載の流出解析装置。
  4. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力部と、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う流出解析部と、
    前記流出解析部による流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価部と、
    前記解析精度評価部によって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整部と、
    を備え、
    前記流出解析パラメータ調整部は、前記実績情報と前記流出解析の結果との間での各メッシュのピーク流量の誤差または前記ピーク流量の平均誤差を指標値とし、前記診断対象地域において評価対象となる各メッシュの前記指標値に基づいて前記評価対象となるメッシュについて前記仮想管路の直径及び勾配を同定する、
    流出解析装置。
  5. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力部と、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う流出解析部と、
    前記流出解析部による流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価部と、
    前記解析精度評価部によって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整部と、
    前記降雨分布情報に基づいて、前記診断対象地域に関して前記流出解析部よりも詳細な第2の流出解析を行う詳細解析部と、
    を備え、
    前記流出解析パラメータ調整部は、前記流出解析部による流出解析の結果と、前記第2の流出解析の結果とに基づいて、前記仮想管路の直径及び勾配を同定する、
    流出解析装置。
  6. 前記流出解析パラメータ調整部は、前記仮想管路の直径及び勾配が取り得る値の最大値及び最小値を設定し、所定の範囲内で調整可能な調整パラメータを用いて前記直径又は勾配を変化させることにより、前記評価値を最適化する前記仮想管路の直径及び勾配を同定する、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の流出解析装置。
  7. 前記調整パラメータは、0から1の範囲内で調整可能なパラメータである、
    請求項に記載の流出解析装置。
  8. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力ステップと、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する流出解析ステップと、
    前記流出解析ステップによる流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価ステップと、
    前記解析精度評価ステップによって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整ステップと、
    を有し、
    前記流出解析パラメータ調整ステップにおいて、前記仮想管路の直径を、各隣接メッシュ間を接続する実際の複数の下水管の直径のpノルムで表し、前記pノルムについて1から∞の範囲の値をとるノルム数pを用いて前記直径を変化させることにより、前記評価値を最適化する前記仮想管路の直径及び勾配を同定する、
    流出解析パラメータ調整方法。
  9. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力ステップと、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う流出解析ステップと、
    前記流出解析ステップによる流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価ステップと、
    前記解析精度評価ステップによって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整ステップと、
    を備え、
    前記流出解析パラメータ調整ステップにおいて、前記評価値に基づいて決定される所定のメッシュを含む範囲のメッシュについて、前記仮想管路の直径及び勾配を前記範囲内のメッシュの評価値に基づいて同定する、
    流出解析パラメータ調整方法。
  10. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力ステップと、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う流出解析ステップと、
    前記流出解析ステップによる流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価ステップと、
    前記解析精度評価ステップによって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整ステップと、
    を有し、
    前記流出解析パラメータ調整ステップにおいて、前記実績情報と前記流出解析の結果との間での各メッシュのピーク流量の誤差または前記ピーク流量の平均誤差を指標値とし、前記診断対象地域において評価対象となる各メッシュの前記指標値に基づいて前記評価対象となるメッシュについて前記仮想管路の直径及び勾配を同定する、
    流出解析パラメータ調整方法。
  11. 複数のメッシュに分割された診断対象地域の降雨量を示す情報であって前記メッシュごとの降雨量を示す降雨分布情報を入力する降雨分布入力ステップと、
    前記降雨分布情報に基づいて各メッシュ間における流量の収支バランスを計算することにより各メッシュの貯留量を算出する第1の流出解析を行う流出解析ステップと、
    前記流出解析ステップによる流出解析の結果と、前記診断対象地域における実際の流出に関する実績情報とに基づいて、前記流出解析の精度に関する評価値を前記メッシュごとに算出し、前記評価値に基づいて前記流出解析の精度を判定する解析精度評価ステップと、
    前記解析精度評価ステップによって評価された前記流出解析の精度に応じて、前記流出解析に用いられる各メッシュに存在する管路を代表する仮想管路の直径及び勾配を決定する流出解析パラメータ調整ステップと、
    前記降雨分布情報に基づいて、前記診断対象地域に関して前記流出解析ステップよりも詳細な第2の流出解析を行う詳細解析ステップと、
    を備え、
    前記流出解析パラメータ調整ステップは、前記流出解析ステップによる流出解析の結果と、前記第2の流出解析の結果とに基づいて、前記仮想管路の直径及び勾配を同定する、
    流出解析パラメータ調整方法。
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