JP7055598B2 - 滅菌容器 - Google Patents

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Description

本発明は、120℃以上の高温滅菌に耐えうる耐熱性と、良好な透明性、耐ブロッキング性、耐衝撃性を併せ持つ滅菌容器に関する
食品や医薬品を収容する容器は、内容物を入れた状態で加熱滅菌に供されるものがある。
現在使用されている加熱滅菌用の食品包装用容器は、通称レトルトパウチと呼ばれ、表面保護・印刷層(PETフィルム等)、バリア層(Al箔等)、ヒートシール層(ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルム)とを接着剤を介して貼り合せた構成になっており、ヒートシール層がパウチの内側となるため、内容物と接触する。このため、ヒートシール層には加熱滅菌時や保管時の内容物の保護に必要なヒートシール強度、内容物を充填したパウチの落下にも耐えうる十分な耐衝撃性、加熱滅菌に耐えられる耐熱性が求められる。
これに加えて近年は電子レンジによる加熱や内容物の視認等のニーズが高まっており、バリア層としてAl箔を使用しない場合も多く、その場合ヒートシール層に使用されるポリオレフィンフィルムの透明性が重要視されることがある。
また、現在使用されている加熱滅菌用の医療用容器には、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる硬質の容器と、可塑剤を含むポリ塩化ビニルやポリエチレンからなる軟質の袋がある。上記の硬質の容器は、血液、薬液などの内容液を滴下する際に、通気針または通気孔付の輸液セットを用いて空気を導入する必要があり、またこれらの器具による内容物の汚染などが生じるおそれがある。一方、軟質の袋は内容液を滴下する際に上記の硬質の容器とは異なり空気の導入が不要であり、内容液の滴下とともに袋自体が大気圧によって絞られる為、衛生性、運搬の利便性、廃棄物の嵩が小さい等の利点がある。しかしながらポリ塩化ビニル製については含まれる可塑剤、残留モノマーの毒性等の問題がある。
透明性を重視した加熱滅菌用のヒートシール層用フィルムに使用される材料としては、
・ポリエチレン:比較的密度の高いLLDPEやHDPE
・ポリプロピレン:ランダムPPに衝撃改良の為にエラストマー成分を配合したもの
が用いられている。
特許文献1では、エチレンと炭素原子数3~12のα-オレフィンとを共重合させて得られる直鎖状ポリエチレンからなる層を有する容器であり、該直鎖状ポリエチレンは、(i)密度が0.918~0.940g/cmの範囲にあり、(ii)GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)が1.5~3.0の範囲にあり、かつ、該直鎖状ポリエチレンからなる層は、(a)レトルト滅菌処理後のヘイズが30%以下であり、(b)変形開始温度(Td[℃])が滅菌処理温度よりも高温であることを特徴としている。しかしながら、この容器ではポリエチレン系樹脂のみを用いているため、120℃以上の高温滅菌には耐えられないという課題がある。
特許文献2では、低温での耐衝撃性と耐ブロッキング性に優れたレトルト用ポリプロピレン系フィルムが開示されている。このレトルト用ポリプロピレン系フィルムは、プロピレン・エチレンブロック共重合体が96~99wt%であり、高密度ポリエチレンが1~4wt%からなるフィルムであって、プロピレン・エチレンブロック共重合体が次の(a)~(c)に規定する特性を有することを特徴とする。
(a)融点が157~164℃であること。
(b)キシレン可溶分量が16~25%であること。
(c)MFRが1.0~3.0g/10分であること。
特許文献3では、レトルト食品包装用フィルムの材料として好適なポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。特許文献3のポリプロピレン系樹脂組成物は、極限粘度が2.0(dL/g)以上のプロピレンが主成分である単量体の重合体部分と、プロピレンとエチレンとの共重合体部分からなるプロピレン系共重合体(A)94~98重量部と、密度が0.920g/cm以上であるエチレン重合体(B)2~6重量部とを含有する組成物(但し、(A)と(B)の合計を100重量部とする)を、有機過酸化物(C)の存在下で溶融混練して得られ、メルトフローレートが1.5(g/10分)以上であることを特徴とする。
特許文献4のポリプロピレン系フィルムは、(a)プロピレン・エチレンブロック共重合体80~96重量%、(b)炭素数3~10のα-オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.86~0.90g/cmであるエチレン・α-オレフィン共重合体エラストマー2~10重量%、および(c)密度0.94~0.97g/cmのポリエチレン系重合体2~10重量%からなる樹脂組成物を溶融製膜したポリプロピレン系フィルムであって、(a)プロピレン・エチレンブロック共重合体は、20℃キシレン不溶部の割合が75~90重量%で、該不溶部の極限粘度([η])が1.8~2.2dl/gであり、該可溶部の極限粘度([η]EP)が2.5~3.3dl/gであって、かつ、[η]+0.6≦[η]EPであることを特徴とする。サンプルを135℃で30分レトルト処理した後の耐ユズ肌性、耐屈曲白化性が評価されている。
特許文献5は、デカン不溶分、デカン可溶分、該デカン不溶分及びデカン可溶分の極限粘度、MFRが特定範囲にあるプロピレン系重合体(A)の60~80重量%と、シングルサイト触媒を用いて重合され、特定密度及び特定MFRを有するエチレン・α-オレフィン共重合体(B)の20~40重量%と、(A)及び(B)の合計100重量部に対して造核剤0.1~0.4重量部含むプロピレン系樹脂組成物が開示されている。このプロピレン系樹脂組成物は、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、従来よりも肉薄化、軽量化した場合であっても剛性、低温耐衝撃性、透明性に優れるとされている。
特開平8-244791号公報 特開平10-158463号公報 特開2009-13332号公報 特開2012-172124号公報 特許第5511685号
上記の従来技術による材料では、透明性、耐熱性、剛性、耐ブロッキング性の全てを満足する容器を提供できていないのが実情である。特に120℃以上の温度での加熱滅菌に対する耐性を有し、且つ、透明性、剛性、耐ブロッキング性を備えた容器の提供には大いなる要望がある。
本発明の目的は、120℃以上の高温滅菌に耐えうる耐熱性と、良好な透明性、耐ブロッキング性、耐衝撃性を併せ持つ容器を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討した結果、特定のプロピレン系樹脂と特定のエチレン系樹脂とを特定の配合比で含む組成物を加熱滅菌して使用される容器の一つの層として使用することで、透明性、耐熱性、剛性、耐ブロッキング性に優れた容器が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の態様[1]~[6]を含むものである。
[1]70~95質量%の下記(a1)~(a2)の要件を満たすプロピレン系樹脂(A)と、
(a1)230℃、2.16kg荷重下のMFRが0.3~5.0g/10分
(a2)エチレン含有量が3.0~10.0質量%
5~30質量%の下記(b1)~(b3)のすべての要件を満たすエチレン系樹脂(B)と、
(b1)190℃、2.16kg荷重下のMFRが0.3~3.0g/10分
(b2)密度が890~915kg/m
(b3)GPCで測定して求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である。
を含む(ただし(A)と(B)の合計を100質量%とする)樹脂組成物の層を含む容器。
[2]前記プロピレン系樹脂(A)が、更に下記の要件(a3)を満たすことを特徴とする、[1]に記載の容器。
(a3)DSCにより測定される融点が135℃以上、170℃以下である。
[3]前記プロピレン系樹脂(A)が、
プロピレン含量が100~94質量%、エチレン含量が0~6質量%であるプロピレン単独重合成分及び/またはプロピレン・エチレン共重合成分である[α1]を100~75質量%と、
プロピレン含量が85~70質量%、エチレン含量が15~30質量%であるプロピレン・エチレン共重合成分である[α2]を0~25質量%とを
含んでいることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の容器。
[4]前記プロピレン系樹脂(A)が更に下記の要件(a4)~(a6)
(a4)室温n-デカンに不溶な成分(Dinsol)の、NMR測定によって求められるペンタッド分率が95mol%以上であり、かつ
(a5)室温n-デカンに可溶な成分(Dsol)の、135℃デカリン中における極限粘度([η]sol)が2.5dl/g~4.0dl/gであり、さらに、
(a6)室温n-デカンに可溶な成分(Dsol)中のエチレンに由来する構造単位の含有量(C2sol)が20~30質量%である、
を満たす[1]~[3]のいずれか1項に記載の容器。
[5]120℃以上で加熱滅菌処理が可能な[1]~[4]のいずれか1項に記載の容器。
[6]上記[3]に記載のプロピレン系樹脂(A)の製造方法であって、
少なくとも1段の重合プロセスを含み、
その1段目において、プロピレン100~94質量%とエチレン0~6質量%(ただしプロピレンとエチレンの合計を100質量%とする)とを(共)重合する工程を含み、
さらに2段目において、プロピレン85~70質量%とエチレン15~30質量%(ただしプロピレンとエチレンの合計を100質量%とする)とを共重合する工程を含み、
前記1段目の(共)重合体成分と2段目の共重合体成分とが、1段目/2段目が75~100/25~0の質量比であり、且つプロピレン系樹脂(A)中のエチレン含有量が3.0~10.0質量%となるプロピレンとエチレンの共重合工程を含むことを特徴とする、プロピレン系樹脂(A)の製造方法。
本発明によれば、120℃以上の高温滅菌に耐えうる耐熱性と、良好な透明性、耐ブロッキング性、耐衝撃性を併せ持つ容器が提供される。
本発明にかかる容器は、レトルトパウチに代表される食品包装用容器あるいは輸液バッグや輸液ボトルなどの医療用容器であり、120℃以上の高温滅菌が必要な内容物を収容する容器に関する。
本発明にかかる容器は、その少なくとも1層が特定のプロピレン系樹脂組成物からなるものである。以下、プロピレン系樹脂組成物について詳細に説明する。
[プロピレン系樹脂組成物]
本発明にかかるプロピレン系樹脂組成物は、70~95質量%の下記(a1)~(a2)の要件を満たすプロピレン系樹脂(A)と、5~30質量%の下記(b1)~(b3)のすべての要件を満たすエチレン系樹脂(B)とを含む(ただし(A)と(B)の合計を100質量%とする)。
(a1)230℃、2.16kg荷重下のMFRが0.3~5.0g/10分
(a2)エチレン含有量が3.0~10.0質量%
(b1)190℃、2.16kg荷重下のMFRが0.3~3.0g/10分
(b2)密度が890~915kg/m
(b3)GPCで測定して求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である。
<プロピレン系樹脂(A)>
プロピレン系樹脂(A)の230℃、2.16kg荷重下のMFRは、0.3~5.0g/10分の範囲内である。MFRが0.3g/10分未満であると、エチレン系樹脂(B)と混合して得られる組成物の押出成形性が悪化する虞があり、5.0g/10分を超えるとブロー成形時にドローダウンが大きくなる。プロピレン系樹脂(A)のMFRは、0.5g/10分以上であることが好ましい。また、MFRは4.0g/10分以下であることが好ましい。
また、プロピレン系樹脂(A)は、プロピレン・エチレン共重合成分を含み、エチレン含有量が3.0~10.0質量%の範囲内である。プロピレン系樹脂(A)としては、プロピレン含量が100~94質量%、エチレン含量が0~6質量%であるプロピレン単独重合成分及び/またはプロピレン・エチレン共重合成分である[α1]を100~75質量%と、プロピレン含量が85~70質量%、エチレン含量が15~30質量%であるプロピレン・エチレン共重合成分である[α2]を0~25質量%とを含んでいることが好ましい。この好ましいプロピレン系樹脂は、成分[α1]と成分[α2]のブロック共重合体、あるいは成分[α1]中のプロピレン単独重合成分とプロピレン・エチレン共重合成分とのブロック共重合体とを示し、以下、プロピレン系樹脂(A1)という。なお、ここで言う「含量」は、後述する製造方法に示すように、原料の仕込み量に相当する。
プロピレン系樹脂(A)は、さらに下記要件(a3)を満たすことが好ましい。
(a3)DSCにより測定される融点が135℃以上、170℃以下である。
融点が135℃未満になると、得られる容器の耐熱性が低下し、120℃以上での滅菌処理後の透明性が悪化することがある。
プロピレン系樹脂(A)は、さらに下記の要件(a4)~(a6)を満たすことが好ましい。
(a4)室温n-デカンに不溶な成分(Dinsol)の、NMR測定によって求められるペンタッド分率が95mol%以上であり、かつ
(a5)室温n-デカンに可溶な成分(Dsol)の、135℃デカリン中における極限粘度([η]sol)が2.5dl/g~4.0dl/gであり、さらに、
(a6)室温n-デカンに可溶な成分(Dsol)中のエチレンに由来する構造単位の含有量(C2sol)が20~30質量%である。
要件(a4)~(a6)の各測定は、プロピレン系樹脂(A)から室温n-デカンに不溶な成分(Dinsol)と可溶な成分(Dsol)とを分離し、それぞれに対して実施する。分離方法としては、プロピレン系樹脂(A)のサンプル5gにn-デカン200mlを加え、145℃で30分間加熱溶解し、その後、約3時間かけて20℃まで冷却して、さらに30分間放置することで、析出物(Dinsol)を濾別する。濾液は約3倍量のアセトン中に入れ、n-デカン中に溶解していた成分(Dsol)を析出させ濾別する。
要件(a4)は、DinsolのNMR(核磁気共鳴スペクトル法)によるmmmmペンタッド分率であり、Dinsol中の立体規則性を示す。Dinsolは、主にプロピレン単独重合成分であり、結晶性を有している。このDinsolのNMR測定によって求められるペンタッド分率が95mol%以上であることで、良好な耐ブロッキング性が得られる。
一方、Dsolは、主にプロピレン・エチレン共重合成分であり、結晶性を示さないか、結晶性が低い成分である。Dsolの、135℃デカリン中における極限粘度([η]sol)が2.5dl/g~4.0dl/gであることにより、良好な耐ブロッキング性、フィッシュアイレベルが得られる。[η]solは2.8dl/g~3.6dl/gであることが好ましい。
また、Dsol中のエチレンに由来する構造単位の含有量(C2sol)が20~30質量%であることにより、良好な透明性、レトルト後のヒートシール強度が得られる。C2solは20~28質量%であることが好ましい。
<プロピレン系樹脂(A)の製造方法>
本発明で使用するプロピレン系樹脂(A)の製造方法は、上記の要件(a1)~(a2)を満たす限り特に限定されるものではないが、プロピレンとエチレンの共重合成分の重合プロセスを含む。特にプロピレン系樹脂(A1)の製造方法としては、以下の方法が好ましい。
少なくとも1段の重合プロセスを含み、
その1段目において、プロピレン100~94質量%とエチレン0~6質量%(ただしプロピレンとエチレンの合計を100質量%とする)とを(共)重合する工程を含み、
さらに2段目において、プロピレン85~70質量%とエチレン15~30質量%(ただしプロピレンとエチレンの合計を100質量%とする)とを共重合する工程を含み、
前記1段目の(共)重合体成分と2段目の共重合体成分とが、1段目/2段目が75~100/25~0の質量比であり、且つプロピレン系樹脂(A)中のエチレン含有量が3.0~10.0質量%となるプロピレンとエチレンの共重合工程を含む。
特に、1段目においてはプロピレンの単独重合を行い、2段目においてプロピレンとエチレンとを共重合させることが好ましい。
また、重合は触媒存在下に連鎖移動剤となる水素ガスを用いる方法が好ましい。触媒としては、メタロセン化合物を含有する触媒あるいはチーグラーナッタ触媒が使用できるが、チーグラーナッタ触媒を使用することで立体規則性に優れたプロピレン単独重合成分を含むプロピレン系樹脂(A)が得られる。重合に使用するチーグラーナッタ触媒としては公知の種々の触媒を使用することができる。
例えば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与対を含有する固体状チタン触媒成分と、(b)有機金属化合物触媒成分と、(c)有機ケイ素化合物触媒成分とからなる触媒を用いることができる。
<エチレン系樹脂(B)>
(b1):エチレン系樹脂(B)の190℃、2.16kg荷重下のMFRは、0.3~3.0g/10分の範囲内である。MFRが0.3g/10分未満であると、プロピレン系樹脂(A)と混合して得られる組成物の押出成形性が悪化する虞があり、3.0g/10分を超えるとブロー成形時にドローダウンが大きくなる。エチレン系樹脂(B)のMFRは、0.5g/10分以上であることが好ましい。また、MFRは2.5g/10分以下であることが好ましい。
(b2):エチレン系樹脂(B)の密度は、890~915kg/mの範囲内である。エチレン系樹脂(B)の密度が低いと耐ブロッキング性が悪化し、高いと耐衝撃性が悪化する恐れがある。
(b3):また、エチレン系樹脂(B)のGPCで測定して求められる分子量分布(Mw/Mn)3.0以下である。
エチレン系樹脂(B)としては、上記(b1)~(b3)の要件を同時に満たすものであれば特に制限されず、市販のエチレン系ポリマーを使用することができる。特に、エチレンに炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したエチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましく、エチレンと1-ヘキセンとの共重合体がより好ましい。また、エチレン系樹脂(B)は、2種以上のエチレン・α-オレフィン共重合体を組み合わせて上記(b1)~(b3)の要件を同時に満たすようにしてもよい。
<プロピレン系樹脂組成物の製造方法>
本発明にかかるプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂(A)とエチレン系樹脂(B)との合計100質量%中、前記プロピレン系重合体(A)70~95質量%、好ましくは75~90質量%と前記エチレン系樹脂(B)5~30質量%、好ましくは10~25質量%の範囲で含む。
プロピレン系樹脂(A)の量が70質量%未満の組成物は、耐ブロッキング性、剛性が悪化する。一方、95質量%を超えるとエチレン系樹脂(B)の量が少なくなりすぎて、透明性、耐衝撃性が悪化する。
本発明にかかるプロピレン系樹脂組成物は、さらに必要に応じて、通常、オレフィン系重合体に添加される酸化防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤、種々の合成樹脂等の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明にかかるプロピレン系樹脂組成物は、種々公知の製造方法により調製することができる。例えば、予め得られたプロピレン系重合体(A)とエチレン系樹脂(B)とを前記記載の量で、必要に応じて各種添加剤を配合して、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサーなどの種々公知の装置を用いて混合する方法、あるいは混合した後、単軸押出機あるいは二軸押出機、ブラベンダー又はロール等の種々公知の混練機を使用して、170~300℃、好ましくは190~250℃で溶融混練する方法等が挙げられる。
[容器]
本発明にかかる容器は、上記のプロピレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有するものである。特に、レトルトパウチに代表される食品包装用容器あるいは輸液バッグや輸液ボトルなどの医療用容器などで、120℃以上の加熱滅菌処理に供される容器として適している。
これら容器は、まず、上記のプロピレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有するシート又はフィルムを製造し、さらに得られたシート又はフィルムを所望の形状に成形して製造することができる。
かかるシート又はフィルムは、プロピレン系樹脂組成物を用い、種々公知の成形方法、例えば、押出し機の先端にT-ダイあるいはサーキュラーダイを備えたフィルム成形機で製造し得る。
かかるシート又はフィルムの厚さは、用途に応じて種々決め得るが、10μm~2mmの範囲が好ましく、10~800μmの範囲がより好ましい。本発明にかかるプロピレン系樹脂組成物は、比較的薄いフィルムとしても低温での耐衝撃性に優れている。
かかるシート又はフィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよいが、未延伸フィルムが好ましい。
かかるシート又はフィルムは単層でもレトルトパウチ等の容器材料として使用し得るが、延伸または未延伸ポリアミドフィルム、一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム、アルミニウム箔または紙等とラミネートすることにより、複層のフィルム又はシートとして用いることができる。
また、ボトル形状の容器は、ブロー成形により製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
まず、使用したプロピレン系樹脂(A)及びエチレン系樹脂(B)について説明する。
<プロピレン系樹脂(A)>
[製造例1](プロピレン系樹脂(A):[PP1]の製造)
(1)固体状チタン触媒成分の調製
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン442mlおよび2-エチルヘキシルアルコール390.6gを130℃で2時間加熱反応を行って均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸21.3gを添加し、さらに130℃にて1時間攪拌混合を行い、無水フタル酸を溶解させた。
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、-20℃に保持した四塩化チタン200ml中に、この均一溶液の75mlを1時間にわたって滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル(DIBP)5.22gを添加し、これより2時間同温度にて攪拌保持した。
2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンに再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱した。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンにて溶液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。
上記の様に調製された固体状チタン触媒成分はヘキサンスラリーとして保存されるが、このうち一部を乾燥して触媒組成を調べた。固体状チタン触媒成分は、チタンを2.3質量%、塩素を61質量%、マグネシウムを19質量%およびDIBPを12.5質量%の量で含有していた。
(2)前重合触媒の調製
(1)で調製した固体状チタン触媒成分87.5g、トリエチルアルミニウム19.5mL、ヘプタン10Lを内容量20Lの攪拌機付きオートクレーブに装入し、内温15~20℃に保ちプロピレンを263g装入し、100分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去およびヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で0.7g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行って触媒スラリーを得た。
(3)本重合
内容量58Lの管状重合器に、プロピレンを30kg/時間、水素を40NL/時間、前記(2)で製造した前重合触媒スラリーを固体状チタン触媒成分として0.44g/時間、トリエチルアルミニウム4.9mL/時間、ジシクロペンチルジメトキシシラン1.6mL/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.3MPa/G(G=ゲージ圧力)であった。
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が1.5mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.20(モル比)、水素/エチレン=0.078(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.0MPa/Gで重合を行った。
得られたパウダーは、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行った。これにより、ポリプロピレン部とエチレン・プロピレン共重合体部とを有する、プロピレン系樹脂(A)[PP1]を得た。
[製造例2](プロピレン系樹脂(A)[PP2]の製造)
(1)マグネシウム化合物の調製
内容積500Lの攪拌機付き反応槽を窒素ガスで充分に置換し、エタノール97.2kg、ヨウ素640g及び金属マグネシウム6.4kgを投入したのち、攪拌しながら、還流条件下で系内から水素ガスの発生がなくなるまで反応させ、体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧乾燥させることにより目的のマグネシウム化合物(固体生成物)を得た。
(2)固体状チタン触媒成分の調製
窒素ガスで充分に置換した内容積500Lの攪拌機付き反応槽に、上記(1)で得られたマグネシウム化合物(粉砕していないもの)30kg、精製ヘプタン150L,四塩化ケイ素4.5L及びフタル酸ジエチル4.3Lを仕込んだ。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン144Lを加えて110℃で2時間反応させたのち、固体成分を分離して80℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン228Lを加え、110℃で2時間反応させたのち、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体状チタン触媒成分を得た。
(3)前重合触媒の調製
内容積500Lの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン230Lを投入し、さらに、前記(2)で得られた固体触媒成分25kgを加え、次いで、この固体触媒成分中のTi原子1モルに対し、トリエチルアルミニウムを0.6モル及びシクロヘキシルメチルジメトキシシランを0.4モルの割合で加えたのち、プロピレンをプロピレン分圧で29.4kPa/G(0.3kg/cmG)になるまで導入し、25℃で4時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、二酸化炭素を供給し24時間攪拌し、前重合触媒スラリーを得た。
(4)重合
内容積200Lの攪拌機付き重合装置(R-1)に、上記(3)の前重合触媒スラリーをTi原子換算で3ミリモル/hrで、トリエチルアルミニウムを413ミリモル/hr(7.5ミリモル/kg-PP)で、シクロヘキシルメチルジメトキシシランを105ミリモル/hr(1.9ミリモル/kg-PP)でそれぞれ供給し、重合温度80℃、全圧3MPa・Gでプロピレンを重合させた。この際、プロピレンを99.93mol%及び水素を0.07mol%のガス組成になるように調整して供給した。次いで、R-1から連続的にパウダーを抜き出し、内容積200Lの攪拌機付き重合装置(R-2)へ移送した。R-2では重合温度50℃、全圧1.1MPa・Gでプロピレンとエチレンを共重合させた。この際、プロピレンを81.4mol%,エチレンを14.5mol%及び水素を4.1mol%のガス組成になるように調整して供給した。このようにしてプロピレン系樹脂(A)[PP2]を得た。
[製造例3](プロピレン系樹脂(A)[PP3]の製造)
(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の調製は[製造例1]と同様に行った。
(3)本重合
内容積500Lの攪拌機付き重合槽に液化プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレン130kg/h、前重合触媒スラリーを固体状チタン触媒成分として0.9g/h、トリエチルアルミニウム4.9ml/h、ジシクロペンチルジメトキシシラン8.3ml/hを連続的に供給し、温度70℃で重合した。また重合槽内の気相部の水素濃度が0.4mol%、エチレン濃度が2.0mol%となるように、水素及びエチレンを連続的に供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてパウダー状のプロピレン・エチレン共重合体(PP3)を得た。
[製造例4](プロピレン系樹脂(A)[PP4]の製造)
(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の調製は[製造例1]と同様に行った。
(3)本重合
内容積500Lの攪拌機付き重合槽に液化プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレンを130kg/h、前重合触媒スラリーを固体状チタン触媒成分として0.7g/h、トリエチルアルミニウムを4.0ml/h、ジシクロペンチルジメトキシシランを6.8ml/hで連続的に供給し、温度70℃で重合した。また重合槽内の気相部の水素濃度が1.0mol%、エチレン濃度が2.2mol%となるように、水素及びエチレンを連続的に供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてパウダー状のプロピレン・エチレン共重合体(PP4)を得た。
[製造例5](プロピレン系樹脂(A)[PP5]の製造)
(1)マグネシウム化合物の調製
攪拌機付き反応槽(内容積500L)内を窒素ガスで充分に置換し、エタノール97.2kg、ヨウ素640g、及び金属マグネシウム6.4kgを投入し、攪拌しながら還流条件下で系内から水素ガスの発生が無くなるまで反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧乾燥させることにより目的のマグネシウム化合物(固体触媒の担体)を得た。
(2)固体触媒成分の調製
窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積500L)に、前記マグネシウム化合物(粉砕していないもの)30kg、精製ヘプタン(n-ヘプタン)150L、四塩化ケイ素4.5L、及びフタル酸ジ-n-ブチル5.4Lを加えた。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン144Lを投入して110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して80℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン228Lを加え、110℃で2時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分を得た。
(3)前重合触媒の調製
内容積500Lの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン230Lを投入し、前記の固体状チタン触媒成分を25kg、トリエチルアルミニウムを固体状チタン触媒成分中のチタン原子に対して1.0mol/mol、ジシクロペンチルジメトキシシランを1.8mol/molの割合で供給した。その後、プロピレンをプロピレン分圧で29.4kPa/G(0.3kg/cm )になるまで導入し、25℃で4時間反応させた。反応終了後、固体状チタン触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、更に二酸化炭素を供給し24時間攪拌し、前重合触媒スラリーを得た。
(4)重合
内容積200Lの攪拌機付き重合装置に前記前重合触媒スラリーを成分中のチタン原子換算で3mmol/hrで、トリエチルアルミニウムを4mmol/kg-PPで、ジシクロペンチルジメトキシシランを1mmol/kg-PPでそれぞれ供給し、重合温度80℃、重合圧力(全圧)2.75MPa/G(28kg/cmG)でプロピレンとエチレンを反応させた。この時、重合装置内のエチレン濃度を、2.4mol%、水素濃度を、5.5mol%とし、所望のエチレン含有量及び分子量となるように調整した。
製造例1~5で得られたプロピレン系樹脂[PP1]~[PP5]の物性を表1に示す。
各評価項目の測定方法は以下の通り:
・メルトフローレート(MFR:g/10分)
JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
・Dsol、Dinsolの分別法(デカン可溶分分別法)
最終生成物(すなわち、本発明のプロピレン系樹脂(A))のサンプル5gにn-デカン200mlを加え、145℃で30分間加熱溶解した。約3時間かけて、20℃まで冷却させ、30分間放置した。その後、析出物(以下、n-デカン不溶部:Dinsol)を濾別した。濾液を約3倍量のアセトン中入れ、n-デカン中に溶解していた成分を析出させた(析出物(A))。析出物(A)とアセトンを濾別し、析出物(Dsol)を乾燥した。なお、濾液側を濃縮乾固しても残渣は認められなかった。
・エチレン含有量(質量%:wt%と記す)
プロピレン系重合体(A)について、1段目重合体中(プロピレン-エチレン共重合体の場合)、2段目(最終生成物)中、Dsol(C2sol)中のエチレンに由来する骨格濃度を測定するために、サンプル20~30mgを1,2,4-トリクロロベンゼン/重ベンゼン(2:1)溶液0.6mlに溶解後、炭素核磁気共鳴分析(13C-NMR)を行った。プロピレン、エチレン、α-オレフィンの定量はダイアッド連鎖分布より求めた。例えば、プロピレン-エチレン共重合体の場合、PP=Sαα、EP=Sαγ+Sαβ、EE=1/2(Sβδ+Sδδ)+1/4Sγδを用い、以下の計算式(Eq-1)および(Eq-2)により求めた。
プロピレン(mol%) = (PP+1/2EP)×100/[(PP+1/2EP)+(1/2EP+EE)] …(Eq-1)
エチレン(mol%) = (1/2EP+EE)×100/[(PP+1/2EP)+(1/2EP+EE)] …(Eq-2)
なお、本実施例におけるエチレン含有量の単位は、質量%に換算して表記した。
・融点
結晶融点はJIS-K7121に従って、示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製(Diamond DSC))を用いて下記測定条件にて測定を行うことにより求めることができる。なお、下記測定条件で測定を行った際の、第3ステップにおける吸熱ピークの頂点を結晶融点(Tm)と定義した。吸熱ピークが複数ある場合はピークの高さが最大となる吸熱ピーク頂点を結晶融点(Tm)と定義する。
(測定条件)
測定環境:窒素ガス雰囲気
サンプル量: 5mg
サンプル形状: プレスフィルム(230℃成形、厚み400μm)
サンプルパン: 底が平面のアルミ製サンプルパン
第1ステップ: 30℃より10℃/minで200℃まで昇温し、10min間保持する。
第2ステップ: 10℃/minで30℃まで降温する。
第3ステップ: 10℃/minで200℃まで昇温する。
・Dinsolペンタッド分率(mmmm:〔%〕)
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたペンタド分率(mmmm,%)は、上記のDinsol成分においてMacromolecules 8,687(1975)に基づいて帰属した13C-NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。13C-NMRスペクトルは、日本電子製EX-400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o-ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
・極限粘度[η]sol
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち造粒ペレット約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
Figure 0007055598000001
<エチレン系樹脂(B)>
エチレン系樹脂(B)として以下のPE1~PE6を用いた。
PE1:エボリュー(登録商標)SP0510、(株)プライムポリマー製
PE2:下記製造例6により製造
PE3:エボリュー(登録商標)SP2120、(株)プライムポリマー製
PE4:ウルトゼックス(登録商標)1540L、(株)プライムポリマー製
PE5:タフマー(登録商標)A-0585X、Mitsui Elastomers Singapore社製
PE6:タフマー(登録商標)P-0480、Mitsui Elastomers Singapore社製
[製造例6](PE2の製造)
・オレフィン重合用触媒(2)の調製
充分に窒素置換された攪拌機付きの容量110LSUS製容器に脱水ヘキサンを40L装入し、ジャケットにブライン(冷媒)を通液した。次いで、メチルアルモキサン/ヘキサン溶液2.04L(Al原子換算で3mol)、次いで下記化学式(1)で表される遷移金属錯体4.8g(Zr原子換算で6mmol)を挿入し、攪拌しながら5℃前後で2時間以上反応させて、オレフィン重合用触媒(2)を得た。
Figure 0007055598000002
・エチレン・1-ヘキセン共重合体の製造
充分に窒素置換された容積130Lの攪拌翼付加圧連続重合反応器の一つの供給口に、脱水精製したn-ヘキサンを19.9L/時の流量で連続的に供給し、同時に連続重合反応器の別の供給口に、水素を4.0NL/h、エチレンを5.3kg/時の流量で、ヘキセン-1を7.7kg/時の流量で連続的に供給した。そして、上記で得られたオレフィン重合用触媒(2)を0.025mmol/時の流量で連続的に供給し、重合温度165℃、全圧2.9MPa/G、攪拌回転数256rpmの条件下で連続溶液重合を行った。重合反応器外周に設けられたジャケットに冷媒を流通させ、別に設置されたガスブロワを用いて気相部を強制的に循環させ、これを熱交換器で冷却することにより、重合反応熱を除去した。
上記条件で重合を行うことによって生成したエチレン・ヘキセン-1共重合体を含むヘキサン溶液は、重合反応器内平均溶液量30Lを維持するように、重合反応器最下部に設けられた排出口を介してエチレン・ヘキセン-1共重合体として5.0kg/時の速度で連続的に排出させた。
使用するエチレン系樹脂[PE1]~[PE6]の物性を表2に示す。各評価項目の測定方法は以下の通り:
・メルトフローレート(MFR:g/10分)
JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
・密度[kg/m
JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
・Mw/Mn測定〔重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)〕
ウォーターズ社製GPC-150C Plusを用い以下の様にして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6-HT及びTSKgel GMH6-HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株))および酸化防止剤としてBHT(和光純薬工業(株))0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1質量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×10については東ソー(株)製を用い、1000≦Mw≦4×10についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
Figure 0007055598000003
○実施例・比較例
<フィルム>
上記に示すプロピレン系樹脂(A)及びエチレン系樹脂(B)を表3~表5に示す比で配合した樹脂100質量部に対して、酸化防止剤(イルガノックス(登録商標)1010、BASF社製)750ppm、熱安定剤(イルガフォス(登録商標)168、BASF社製)750ppm、ステアリン酸カルシウム500ppmを添加し、二軸混練機(神戸製鋼製、スクリュー径30mm)で混練して樹脂組成物を得た。さらに、スクリュー径75mmφの単層キャスト機を用いて、キャストロール温度40℃、引取速度55m/分(表5については30m/分)にて膜厚70μmのフィルムを成膜した。得られたフィルムは、40℃で24時間エージングした後、物性評価を実施した。結果を表3~5に併せて示す。各評価の方法は以下の通りである。
・ヘイズ
ASTM D-1003(JIS K7105)に準拠して測定した。
・フィルムの耐衝撃性(-20℃フィルムインパクト)
フィルムを5cm×5cmにサンプリングし、-20℃でインパクトテスター(下から上へ先端1インチ(2.5cm)のハンマーを荷重3.0Jで突き上げる方式)で面衝撃強度を測定し、耐衝撃性を評価した。
・ブロッキング強度
MD方向10cm×TD方向10cmのフィルムのチルロール面どうしを重ね合わせ、50℃の恒温槽に200g/cmの荷重下で3日間保持する。その後、23℃、湿度50%の室内にて24時間以上状態調節した後、引張速度200mm/minで剥離させたときの剥離強度を測定し、剥離強度を試験片幅で割った値をブロッキング係数とし、耐ブロッキング性を評価した。ここで、ブロッキング係数が小さいほど、耐ブロッキング性に優れる。
・MD方向引張弾性率
引張試験機を用いて、下記試験片、測定条件にて測定
試験片:JIS K6781
チャック間80mm、引張速度200mm/分、測定温度23℃
・121℃滅菌処理後の外観
得られたフィルムに対して121℃で滅菌処理を施した後、目視で外観を評価した。滅菌処理は、以下の条件で実施した。
(滅菌条件:装置、雰囲気、時間等)
評価基準は以下の通り。
○:滅菌後の白化、収縮共に滅菌前と変化無く問題なし。
△:滅菌後に部分的に白化又は収縮が認められる
×:滅菌後に全面的な白化又は収縮が認められる
Figure 0007055598000004
Figure 0007055598000005
Figure 0007055598000006
<ボトル>
上記に示すプロピレン系樹脂(A)及びエチレン系樹脂(B)を表6~表8に示す比で配合した樹脂100質量部に対して、酸化防止剤(イルガノックス(登録商標)1010、BASF社製)750ppm、熱安定剤(イルガフォス(登録商標)168、BASF社製)750ppm、ステアリン酸カルシウム500ppmを添加し、二軸混練機(神戸製鋼製、スクリュー径30mm)で混練して樹脂組成物を得た。さらに、下記成形条件で中空成形を行い、内容量600ml、ボトル重量30g、胴部の厚み400μmの単層・円筒状中空容器を成形した。
・成形機:日本製鋼(株)製、型番:JEB-7中空成形機
・押出機のシリンダー温度:200℃
・ダイ温度:200℃
・金型温度:15℃
・樹脂押出量:7kg/h
各評価の方法は以下の通りである。
・ヘイズ
ASTM D-1003(JIS K7105)に準拠して測定した。測定はボトルの胴部分に対して実施した。
・シャルピー衝撃強度
シャルピー衝撃強度は、JIS K7111に従って下記の条件で行い、4mm厚の射出試験片を用いて測定した。
温度:0℃
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ)
ノッチは機械加工である。
・ブロッキング性
得られたボトルをSUS製のトレーに入れて121℃で滅菌処理を施した後、ブロッキング性を観察した。
○:ボトルとSUS製トレーの融着が認められない
×:ボトルとSUS製トレーの融着が認められる
・MD方向引張弾性率/121℃滅菌処理後の外観
フィルムと同様の方法で評価した。
Figure 0007055598000007
Figure 0007055598000008
Figure 0007055598000009

Claims (5)

  1. 70~95質量%の下記(a1)~(a2)の要件を満たすプロピレン系樹脂(A)と、
    (a1)230℃、2.16kg荷重下のMFRが0.3~5.0g/10分
    (a2)エチレン含有量が3.0~10.0質量%
    5~30質量%の下記(b1)~(b3)のすべての要件を満たすエチレン系樹脂(B)と、
    (b1)190℃、2.16kg荷重下のMFRが0.3~3.0g/10分
    (b2)密度が890~915kg/m
    (b3)GPCで測定して求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である。
    を含む(ただし(A)と(B)の合計を100質量%とする)樹脂組成物の層を含み、
    前記プロピレン系樹脂(A)が更に下記の要件(a4)~(a6):
    (a4)室温n-デカンに不溶な成分(Dinsol)の、NMR測定によって求められるペンタッド分率が95mol%以上であり、かつ
    (a5)室温n-デカンに可溶な成分(Dsol)の、135℃デカリン中における極限粘度([η]sol)が2.5dl/g~4.0dl/gであり、更に、
    (a6)室温n-デカンに可溶な成分(Dsol)中のエチレンに由来する構造単位の含有量(C2sol)が20~30質量%である、
    を満たす容器。
  2. 前記プロピレン系樹脂(A)が、更に下記の用件(a3)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の容器。
    (a3)DSCにより測定される融点が135℃以上、170℃以下である。
  3. 前記プロピレン系樹脂(A)が、
    プロピレン含量が100~94質量%、エチレン含量が0~6質量%であるプロピレン単独重合成分及び/またはプロピレン・エチレン共重合成分である[α1]を100~75質量%と、
    プロピレン含量が85~70質量%、エチレン含量が15~30質量%であるプロピレン・エチレン共重合成分である[α2]を0~25質量%とを
    含んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の容器。
  4. 120℃以上で加熱滅菌処理が可能な請求項1~のいずれか1項に記載の容器。
  5. 請求項3に記載のプロピレン系樹脂(A)の製造方法であって、
    少なくとも1段の重合プロセスを含み、
    その1段目において、プロピレン100~94質量%とエチレン0~6質量%(ただしプロピレンとエチレンの合計を100質量%とする)とを(共)重合する工程を含み、
    さらに2段目において、プロピレン85~70質量%とエチレン15~30質量%(ただしプロピレンとエチレンの合計を100質量%とする)とを共重合する工程を含み、
    前記1段目の(共)重合体成分と2段目の共重合体成分とが、1段目/2段目が75~100/25~0の質量比であり、且つプロピレン系樹脂(A)中のエチレン含有量が3.0~10.0%となるプロピレンとエチレンの共重合工程を含むことを特徴とする、プロピレン系樹脂(A)の製造方法。
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