JP7054128B2 - 磁性材料 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性材料に関する。
現在、日本の消費電力の半分以上が電動機、すなわち、モーターによる消費であり、その多くは産業機械、空調及び家電製品等によるものである。今後急速に進むことが予想される自動車の電動化(HEV、EV、FCV)に伴い、モーター需要の急速な拡大が予想される。中長期的なエネルギー需給戦略において、モーターの省エネ化は最重要課題の一つである。高効率モーターの性能は磁性材料に依存しており,省エネ化にあたっては、高性能な磁性材料の開発が鍵となる。
磁性材料は、電子機器の中で重要な役割を担う電子材料の一つであり、例えば、トランス又は電動機のコア(磁心)、永久磁石、磁気記録媒体及び磁歪振動子等の用途に幅広く用いられている。磁性材料としては、一般的に常磁性体、強磁性体及び反強磁性体が知られており、その性質に応じて磁性材料のもつ特性が大きく異なる。近年、強磁性を有する磁性材料が求められており、種々の材料の開発が進められている(例えば、非特許文献1を参照)。
G. Herzer et al, Acta Materialia 61 718-734 (2013)
現在主流となっている磁性材料は,産出国が偏在するレアアース(ネオジム,ジスプロシウム等)が大量に使用されている。これらの材料の入手性及び価格は,産出国の原料の生産動向に強く影響されることから、レアアースの使用量の削減、さらにはレアアースを使用しない磁性材料の開発が急務となっている。特に近年では、低コストでありながら、軽量かつ保磁力の強い磁性材料が強く求められているところ、そのような磁性材料は現在までに開発されていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、軽量であって優れた保磁力(例えば、室温において5.5kA/m(約70Oe)以上の保磁力を発揮できるソフト磁石)を有する磁性材料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を磁性材料として使用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の発明を包含する。
項1.下記一般式(1)
Mn (1)
(ここで、Aは、アルカリ金属を示し、MはFe又はNiを示し、1.5≦a≦2.5、0.5≦b≦1.5、0.5≦c≦1.5である)
で表される化合物を含有する磁性材料。
項2.下記一般式(2)
Mn (2)
(ここで、Dは、アルカリ土類金属を示し、MはFe又はNiを示し、0.5≦d≦1.5、0.5≦e≦1.5、0.5≦f≦1.5である)
で表される化合物を含有する磁性材料。
本発明に係る磁性材料は、軽量であって優れた保磁力を有することができる。
実施例1で得られた生成物のXRDパターンを示す。 実施例1で得られた生成物の磁気測定の結果を示し、(a)は外部磁場の大きさが1000Oe、(b)は外部磁場の大きさが100Oeで測定した結果である。 実施例1で得られた生成物の25℃における磁化曲線を示す。 比較例1で得られた生成物の磁気測定の結果を示す。 実施例1で得られた生成物及び公知の磁性材料の密度の逆数とキュリー温度(Tc)との関係を示す。 実施例2で得られた生成物の25℃における磁化曲線を示す。 実施例1及び実施例2で得られた生成物並びに公知の磁性材料の298Kにおける保磁力(X軸)と、飽和磁束密度(Y軸)との関係を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の磁性材料は、下記一般式(1)
Mn (1)
(ここで、Aは、アルカリ金属を示し、MはFe又はNiを示し、1.5≦a≦2.5、0.5≦b≦1.5、0.5≦c≦1.5である)
で表される化合物を含有する。以下、本明細書において式(1)で表される化合物を「化合物1」と表記する。
本発明の磁性材料の他の実施形態として、下記一般式(2)
Mn (2)
(ここで、Dは、アルカリ土類金属を示し、MはFe又はNiを示し、0.5≦d≦1.5、0.5≦e≦1.5、0.5≦f≦1.5である)
で表される化合物を含有する。以下、本明細書において式(2)で表される化合物を「化合物2」と表記する。
本発明の磁性材料は、化合物1又は化合物2を含むことで、軽量であって優れた保磁力を有することができる。ここでいう保磁力とは、磁化された磁性体が磁化されていない状態に戻るときに必要な反対向きの外部磁場の強さをいう。
一般的に磁性材料が強磁性体である場合、ソフト磁性材料、ハード磁性材料(永久磁石)及びこれらの中間に位置するセミハード材料に分類される。本発明の磁性材料は、その磁化特性及び保磁力から、ソフト磁石として好適である。例えば、本発明の磁性材料は、室温において、例えば、1kA/m(約13Oe)以上、好ましくは5.5kA/m(約70Oe)以上の保磁力を発揮することができる。
化合物1において、Aはアルカリ金属である限りは、その種類は特に限定されない。AはLi、Na、K、Cs及びRbからなる群より選ばれる1種であることが好ましい。この場合、磁性材料は、軽量であって優れた保磁力を有し易く、また、化合物1の製造も容易となる。
化合物1において、aは1.5≦a≦2.5であり、1.8≦a≦2.3であることが好ましく、1.9≦a≦2.1であることがより好ましく、1.95≦a≦2.05であることが特に好ましい。
化合物1において、bは0.5≦b≦1.5であり、0.8≦b≦1.3であることが好ましく、0.9≦b≦1.1であることがより好ましく、0.95≦b≦1.05であることが特に好ましい。
化合物1において、cは0.5≦c≦1.5であり、0.8≦c≦1.3であることが好ましく、0.9≦c≦1.1であることがより好ましく、0.95≦c≦1.05であることが特に好ましい。
化合物1は、KFeMnであることが好ましい。この場合、室温(例えば25℃)においても強い磁性を有し易く、また、低い外部磁場の環境においても、高い磁化を示すので、いわゆる自発磁化を有することも可能となる。
化合物1において、主相である結晶構造の存在量は特に限定的ではない。例えば、主相である結晶構造の存在量は、化合物1を基準として80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。化合物1は、単相の結晶構造からなる材料として形成され得る。ただし、本発明の効果を損なわない限り、化合物1は、複数の結晶構造を有する材料して形成されていてもよい。なお、化合物1の結晶構造は、X線回折測定により確認することができる。
化合物2において、Dはアルカリ土類金属である限りは、その種類は特に限定されない。DはMg、Ca、Ba及びSrからなる群より選ばれる1種であることが好ましい。この場合、磁性材料は、軽量であって優れた保磁力を有し易く、また、化合物2の製造も容易となる。
化合物2において、dは0.5≦d≦1.5であり、0.8≦d≦1.3であることが好ましく、0.9≦d≦1.1であることがより好ましく、0.95≦d≦1.05であることが特に好ましい。
化合物2において、eは0.5≦e≦1.5であり、0.8≦e≦1.3であることが好ましく、0.9≦e≦1.1であることがより好ましく、0.95≦e≦1.05であることが特に好ましい。
化合物2において、fは0.5≦f≦1.5であり、0.8≦f≦1.3であることが好ましく、0.9≦f≦1.1であることがより好ましく、0.95≦f≦1.05であることが特に好ましい。
化合物2は、Mg Fe Mn であることが好ましい。この場合、室温(例えば25℃)においても強い磁性を有し易く、また、低い外部磁場の環境においても、高い磁化を示すので、いわゆる自発磁化を有することも可能となる。
化合物2において、主相である結晶構造の存在量は特に限定的ではない。例えば、主相である結晶構造の存在量は、化合物2を基準として80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。化合物2は、単相の結晶構造からなる材料として形成され得る。ただし、本発明の効果を損なわない限り、化合物2は、複数の結晶構造を有する材料して形成されていてもよい。なお、化合物2の結晶構造は、X線回折測定により確認することができる。
化合物1及び化合物2(以下、「化合物1,2」と表記することがある)は、例えば、粒子状の粉末の形態となり得る。化合物1,2が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に限定されない。化合物1,2の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)観察により測定する。ここでいう平均粒子径とは、例えば、電子顕微鏡による直接観察によって測定された一次粒子の円相当径の算術平均値をいう。
化合物1及び化合物2を製造する方法は特に限定されず、公知の製造方法を広く適用することができる。
例えば、所定の原料を加熱する加熱工程を備える製造方法によって、化合物1又は化合物2を製造できる。化合物1を製造する場合、前記原料は、Aを含有する原料と、Mを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む。化合物2を製造する場合、前記原料は、Dを含有する原料と、Mを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む。
化合物1を製造する場合、前記原料は、Aを含有する原料、Mを含有する原料及びMnを含有する原料を各1種類ずつ含む3種類の混合物であってもよい。あるいは、Aを含有する原料、Mを含有する原料及びMnを含有する原料はいずれも、1種又は2種以上とすることもできる。さらに、原料は、A、上記M及びMnの内の2種類又はそれ以上の元素を同時に含む化合物を原料の一部として用いることができる。この場合は、原料は、3種類未満の混合物となる。
化合物2を製造する場合、前記原料は、Dを含有する原料、Mを含有する原料及びMnを含有する原料を各1種類ずつ含む3種類の混合物であってもよい。あるいは、Dを含有する原料、Mを含有する原料及びMnを含有する原料はいずれも、1種又は2種以上とすることもできる。さらに、原料は、D、上記M及びMnの内の2種類又はそれ以上の元素を同時に含む化合物を原料の一部として用いることができる。この場合は、原料は、3種類未満の混合物となる。
Aを含有する原料は、例えば、A単体(つまり、金属A)であってもよいし、あるいは、Aを含む化合物であってもよい。Aを含む化合物としては、例えば、KOH、KCl、KNO、CHCOOK、KCO、K、LiCO、NaCO、RbCO、CsCO等が挙げられる。A元素を含む化合物は、水和物であってもよい。
Dを含有する原料は、例えば、D単体(つまり、金属D)であってもよいし、あるいは、Dを含む化合物であってもよい。Dを含む化合物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、塩化マグネシウム(MgCl)、炭酸マグネシウム(MgCO)、硝酸マグネシウム(Mg(NO)、シュウ酸マグネシウム(MgC)、酢酸マグネシウム(Mg(CHCOO))、炭酸バリウム(BaCO)、水酸化バリウム(Ba(OH))、過酸化バリウム(BaO)、塩化バリウム(BaCl)、シュウ酸バリウム(BaC)、炭酸カルシウム(CaCO)、シュウ酸カルシウム(CaC)、シュウ酸ストロンチウム(SrC)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))、塩化ストロンチウム(Sr(Cl))、酸化ストロンチウム(SrO)、シュウ酸ストロンチウム(SrC)等が例示される。
を含有する原料は、M単体(つまり、金属M)であってもよいし、あるいは、Mを含む化合物であってもよい。Mを含む化合物としては、金属Mの酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩等が例示される。金属Mを含む化合物は、水和物であってもよい。
を含む化合物のさらなる具体例として、FeC・2HO、FeO、NiC・2HO、NiO、Ni(OH)等が挙げられる。
を含有する原料は、上述のMを含有する原料と同様の原料を採用することができる。
Mnを含有する原料は、例えば、Mn単体であってもよいし、あるいは、Mnを含む化合物であってもよい。Mnを含む化合物としては、酸化マンガン(MnO)、水酸化マンガン(Mn(OH))、塩化マンガン(MnCl)、炭酸マンガン(MgCO)、酢酸マンガン(Mn(CHCOO))等が例示される。
Aを含有する原料、Dを含有する原料、Mを含有する原料、Mを含有する原料及びMnを含有する原料はいずれも水和物であってもよい。
なお、原料はいずれも市販品を使用してもよく、あるいは、別途合成して使用することもできる。
原料は、Aを含有する原料又はDを含有する原料と、Mを含有する原料又はMを含有する原料と、Mnを含有する原料とを所定の配合割合で混合することで調製することができる。混合方法は、特に制限されず、例えば、各原料を均一に混合できる方法を採用することができる。具体的には、乳鉢混合、メカニカルミリング処理、共沈法、各原料を溶媒中に分散させた後に混合する方法、各原料を溶媒中で一度に分散させて混合する方法等を採用することができる。これらのなかでも、乳鉢混合を採用するとより簡便な方法で化合物1又は化合物2を得ることができる。より均一な混ざり合った原料混合物を得る場合は、共沈法を採用することができる。
Aを含有する原料又はDを含有する原料と、Mを含有する原料又はMを含有する原料と、Mnを含有する原料との混合割合については、特に限定的ではない。例えば、最終生成物である所望の組成を有する化合物が得られるように、各原料を配合することが好ましい。具体的には、各原料に含まれる各元素の比率が、目的とする化合物1又は化合物2中の各元素の比率と同一となるように各原料の配合割合を調整することが好ましい。
上記加熱工程は、例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気等で行うことができる。あるいは、上記加熱工程は、真空等の減圧下で行ってもよい。
加熱工程における加熱温度(焼成温度ともいう)は500~1500℃であることが好ましい。この場合、加熱工程の操作をより容易に行うことができるとともに、得られる化合物がスピネル型構造を形成しやすい。
加熱工程における加熱時間は特に限定的ではなく、例えば、10分~48時間が好ましく、30分~24時間がより好ましい。
所定時間加熱を行った後、冷却することで目的の化合物が得られる。冷却速度は特に限定されない。また、一度冷却してから再度、前記加熱温度にて加熱処理を行って焼成を行ってもよい。
なお、上記製造方法の他に、例えば、共沈法、ゾルゲル法、水熱合成法などの方法によって、化合物1又は化合物2を製造することができる。
本発明の磁性材料は、前記製造方法で製造した化合物1及び/又は化合物2と、その他、必要に応じて添加される材料とを、適宜の方法で混合することで調製できる。
磁性材料は、化合物1又は化合物2を1種または2種以上含むことができる。磁性材料は、1種以上の化合物1と、1種以上の化合物2とを両方含むこともできる。また、本発明の効果が阻害されない程度であれば、磁性材料は、化合物1,2以外の材料を含むこともできる。磁性材料は、化合物1,2以外の材料を含む場合、磁性材料は、化合物1又は化合物2を磁性材料の全質量に対し50質量%以上含むことができ、80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、99質量%以上含むことが特に好ましい。
磁性材料は、化合物1のみからなるものであってもよいし、磁性材料は、化合物2のみからなるものであってもよい。あるいは、磁性材料は、化合物1及び化合物2のみからなる場合もある。
本発明の磁性材料は、軽量であって優れた保磁力を有することができる。そのため、本発明の磁性材料は、電子機器等、各種用途に好適に利用することができる。特に、本発明の磁性材料は、ソフト磁性材料として好適に使用できることから、例えば、変圧器及び磁気ヘッド等に応用できる。その他、本発明の磁性材料は、癌の治療用の磁性材料に好適に使用でき、この用途の場合、ナノ粒子化された磁性材料が特に好適である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
MgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、FeC・2HO(純正化学、99.9%(3N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を準備し、MgO、FeC・2HO及びMnOをマグネシウム、鉄及びマンガン比が1:1:1となるように秤量した。次いで、これらを、めのう乳鉢で約30分混合して原料を得た。その後、原料をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P-6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度にて1時間焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例2)
CO((株)レアメタリック製、99.9%(3N))、FeC・2HO(純正化学、99.9%(3N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を準備し、KCO、FeC・2HO及びMnOをカリウム、鉄及びマンガン比が2:1:1となるように秤量した。次いで、これらを、めのう乳鉢で約30分混合して原料を得た。その後、原料をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P-6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度にて1時間焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(比較例1)
MgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、CoC(高純度化学、99%(2N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を準備し、MgO、CoC及びMnOをマグネシウム、コバルト及びマンガン比が1:1:1となるように秤量した。次いで、これらを、めのう乳鉢で約30分混合して原料を得た。その後、原料をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P-6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度にて3時間焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
<評価方法>
[粉末X線回折(XRD)測定]
X線回折装置((株)リガク製 RINT-UltimaIII/G)を用いて合成した試料の測定を行った。X線源にはCuKα線を用い、印加電圧40kV、電流値40mAとした。測定は0.02°/secの走査速度で10°~80°の角度範囲で行った。
[ICP-AES測定]
ICP-AES測定は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社の「iCAP6500」)を使用して行った。
[磁気測定]
磁化測定は、zero-field cooling (ZFC)およびfield-cooled (FC)条件下で測定した。測定に用いた装置は、SQUID磁束計(Quantum Design社製MPMS(Magnetic Properties Measurement System )装置)であり、約20mgの粉末状試料を使用して磁化を測定した。外部磁場の大きさは、10Oe、100Oeもしくは1000Oeに固定した。温度は、ZFCで冷却後、外部磁場10Oe、100Oeもしくは1000Oeを印加し、磁化の温度依存性を測定した。測定温度範囲は5Kから300Kとした。常温まで測定後、そのまま外部磁場をかけながら、5K近傍まで冷却後(FC)、常温まで測定した。その後ZFCで冷却後、磁場に対する磁化曲線を±10.0kOeの範囲で測定し、磁場に対するヒステリシスが存在するかどうかを観察した。
図1は、実施例1で得られた生成物のXRDパターンである。格子定数がa=8.4082(2)A、単位格子体積(V)が594.4(0)Aであった。なお、信頼度因子は、Rwp=3.92%、R=3.09%、χ=1.31であった。また、実施例1で得られた生成物は、ρ=4.4606 gcm-3であり、結晶構造は、スピネル(立方晶)であった。
また、ICP-AES測定の結果、実施例1で得られた生成物はMg0.962Fe1.04Mn0.98であることがわかった。以下、実施例1で得られた生成物を「MgFeMnO」と表記する。
図2は、実施例1で得られたMgFeMnOの磁気測定の結果を示しており、(a)は、外部磁場の大きさが1000Oe、(b)は外部磁場の大きさが100Oeで測定した結果を示している。
また、図3は、実施例1で得られたMgFeMnOの(298K)における磁化曲線を示している。
図2及び図3から、実施例1で得られたMgFeMnOは、低い外部磁場の環境においても、強い磁化を示し、自発磁化を有することがわかった。特に図3における磁化曲線にはヒステリシスが見られたことから、MgFeMnO強磁性体に特徴付けられる挙動が見られることがわかる。但し、保磁力が小さく、かつ、室温(298K)で角形比が0.5以下(表2参照)であるためソフト磁性材料であることが判った。
図4は、比較例1で得られた生成物の磁気測定の結果を示しており、外部磁場の大きさが1000Oeで測定した結果である。なお、図示等はしていないが、比較例1の生成物は、MgCoMnOであった。
比較例1で得られたMgCoMnOは、低温では磁性を有するが、室温領域(例えば298K)では、自発磁化を有していなかった。すなわち、保磁力は0.0kA/mであった。
表1は、実施例1で得られたMgFeMnO及び比較例1で得られた生成物MgCoMnOの5Kでの磁気測定の結果に基づいた磁気特性の比較を示している。
Figure 0007054128000001
表1より、MgFeMnOは、MgCoMnOに比べて、優れた保磁力を有していることがわかる。
表2は、実施例1で得られたMgFeMnOの5K及び298Kそれぞれの温度での磁気測定の結果を示している。
Figure 0007054128000002
表2から、実施例1で得られたMgFeMnOの5K及び298Kのいずれにおいても優れた磁気特性を有していることがわかる。
図5は、実施例1で得られたMgFeMnO及びその他各種公知の磁性材料の密度の逆数とキュリー温度(Tc)との関係を示している。なお、MgFeMnOのキュリー温度は、温度-磁化曲線より外挿して見積もった値である。
図5から、実施例1で得られたMgFeMnOは、従来磁性材料より軽量ある。また、磁性が消失する温度(キュリー温度)が比較的高く、比較的高い耐久性を有することがわかる。
図6は、実施例2で得られた生成物の25℃における磁化曲線を示している。なお、実施例2で得られた生成物は、XRD測定からKFeMnOであり、結晶構造は、NaxCoOに類似する層状構造であった。
図6より、実施例2で得られたKFeMnOの磁化曲線にはヒステリシスが見られたことから、298Kにおいて強磁性体に特徴付けられる挙動が見られることがわかる。但し、保磁力が小さく、かつ、室温(298K)において角形比が0.5以下(表3参照)であるためソフト磁性材料であることが判った。
図7は、実施例1で得られたMgFeMnO及び実施例2で得られたKFeMnO、ならびにその他各種公知の磁性材料の298Kにおける保磁力H(X軸)と、飽和磁束密度Ms(Y軸)との関係を示している。実施例1で得られたMgFeMnO及び実施例2で得られたKFeMnOは、従来公知のソフト磁性材料(ソフト磁石)の性能と比較して優れた保磁力を発揮できることがわかる。
Figure 0007054128000003
表3は、実施例1で得られたMgFeMnO及び実施例2で得られたKFeMnOの298Kにおける磁気測定の結果を示している。
本発明の磁性材料は、電子機器等、各種用途に好適に利用することができ、特に、ソフト磁性材料としての性能を有することから、例えば、変圧器及び磁気ヘッド等に応用できる他、癌の治療用磁性材料としても好適に使用できる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)
    FeMn (1)
    (ここで、1.8≦a≦2.30.8≦b≦1.30.8≦c≦1.3である)
    で表される化合物を含有する磁性材料。
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