本発明は、化合物((2R,2’R)-ビス(((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)オキシ)メチル) 1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボキシレート)、それを含んでなる医薬組成物、および血清アミロイドP成分(serum amyloid P component)(SAP)の枯渇が有益である疾患または障害の処置のためのその使用に関する。
血清アミロイドP成分(SAP)は、もっぱら肝臓により産生される、正常な、構造上一様の、可溶性、非線維性の構成血漿糖タンパク質であり、分子量は127,310Daである。SAPは、円盤様構造の環状五量体シンメトリーと非共有結合的に会合した5つの同一の25,462Daプロトマーから構成される。各サブユニットは、β鎖を連結する強固に係留されたループを有する平坦なβ-ゼリーロールから構成され、無傷の五量体の平面のB(結合)面に単一のカルシウム依存性リガンド結合部位を含有する。SAPは全てのタイプのアミロイド原線維と、多価相互作用によって付与される高いアビディティで結合する。この厳密にカルシウム依存性の相互作用が、総てのタイプの総てのヒトアミロイド沈着物におけるヒトSAPの普遍的存在、ゆえにそのタンパク質の名称の要因であり、ここで、Pは、アミロイドのこの成分の供給源である血漿を表す。特定のリガンドに対する特定のカルシウムに依存的な結合に関するその能力に加え、ヒトSAPの重要な特性は、そのタンパク質自体がタンパク質分解に対して本質的に耐性があるということである。アミロイド原線維に対するその旺盛な結合は、相互に安定化し、in vitroにおいてタンパク質分解および貪食分解から原線維を強く保護し1、ならびにin vivoにおいてアミロイドの持続に有意に寄与している2。これらの所見は、アミロイドーシスにおける治療標的としてのSAPの妥当性の確認を基礎とする(MB Pepys & TL Blundell、米国特許第6126918号、2000年10月3日)。さらに、SAPと新生アミロイド原線維の結合は、アミロイド原線維形成を強く促進する3-5。欧州特許出願EP0915088には、SAPとアミロイド原線維の結合の競合的阻害剤である化合物、ならびにそれらの製造のための方法が開示されている。本明細書に開示される化合物の1つは、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシ-ピロリジン-1-イル]-6-オキソ-ヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸(CPHPC)である。
SAPのこれらのパリンドローム二価リガンドの投与は、WO2003/013508、米国特許第7,045,499号;米国特許第7,691,897号;および米国特許第8,173,694号に記載されるように、化合物が投与される限り、循環からのSAPの急速かつほぼ完全な枯渇を招く6,7。この処置はまた、アミロイド沈着物に関連するSAPの量を低減するが、総てのSAPを除くわけではない7。
アミロイドは、豊富なプロテオグリカンおよびグリコサミノグリカンとともに、主として特徴的なタンパク質原線維からなる異常な不溶性の細胞外沈着物である8。約25の異なる無関連の、本来可溶性の、球状タンパク質が種々のタイプの全身性アミロイドーシスを引き起こすアミロイド原線維を形成するが、総てのアミロイド原線維が極めてよく似た形態および同じ交差βコア構造を有する。この構造は、アミロイドのゴールドスタンダーの診断基準である強い交差偏光における特徴的な赤緑複屈折を作り出すコンゴレッド色素分子の配向アレイと結合する。アミロイド沈着物中には特定の可溶性、非原線維性血漿タンパク質も存在し得るが、総てのタイプのアミロイド原線維へのその旺盛な特異的カルシウム依存性結合のために、唯一、血清アミロイドP成分(SAP)が総てのヒトアミロイド沈着物に普遍的である。
アミロイド沈着物は、影響を受けた組織および器官の構造および機能を破壊し、重度の疾患であるアミロイドーシスを引き起こす。全身性アミロイドーシスは、体中の結合組織および血管壁ならびに主要器官の実質に存在し得るが脳質それ自体には決して存在しないアミロイド沈着物により引き起こされる稀で致命的病態である。限局性アミロイドーシスでは、アミロイド沈着物は、単一の解剖学的位置または単一の器官/組織系に制限される。
脳血管壁に限局されるアミロイド沈着を伴う脳アミロイドアンギオパチーは、限局性アミロイドーシスの最も一般的かつ重要な形態である。脳アミロイドアンギオパチーは、認知症アルツハイマー病患者と非認知症の個人の両方で、実質的割合の脳内出血の原因であり、従って、それ自体、認知症の原因である。
全身性アミロイドーシス患者のCPHPCでの処置は、この薬物が投与される限り、循環SAPのほぼ完全な枯渇をもたらしたが、アミロイド沈着物に結合したSAPを総て除去するわけではなかった7。これらの患者は、処置されている間は臨床上安定に留まり、新たなアミロイド蓄積はなく、それらの器官の機能は維持されたが、おそらくはアミロイド結合SAPの完全な除去ができないために、アミロイドの退縮は全く見られなかった。組織中のアミロイド沈着物が疾患の直接的原因であるので、それらが排除されるべきことが極めて望ましい。このまだ満たされていない重要な医学的必要が、アミロイド沈着物に結合したSAPが抗ヒトSAP抗体の標的として使用されるアミロイドーシスの処置のための新規アプローチの発明に至った。このような抗体は血漿中のSAPと結合して組織傷害性の免疫複合体を形成し、これらの抗体はこの過程で消費されてそれらをアミロイド中のSAPとの結合に利用不能とするので、これらの抗体は正常なSAP循環濃度を有する患者には安全にまたは効果的に投与することはできなかった。しかしながら、CPHPCの事前投与は循環からSAPを枯渇させ、その結果、抗SAP抗体は安全に注入でき、アミロイド沈着物内に残った残留SAPと結合するために利用可能なままとなり得る。これらの抗体とアミロイド会合SAPとの結合は補体系を活性化し、マクロファージに貪食させ、アミロイド沈着物を破壊し、臨床利益につながる。
国際特許出願WO2009/000926は、アミロイドーシスの潜在的処置のための、SAPに特異的な抗体と併用投与される、循環からSAPを枯渇させる化合物の使用を開示している。
国際特許出願WO2009/155962は、マウスモノクローナル抗体Abp1を開示し、アミロイドーシスの処置における潜在的使用のための、循環からSAPを枯渇させる化合物と併用投与され得る種々のマウスモノクローナル抗体に関する結合および有効性データを提供している。
国際特許出願WO2011/107480は、SAPに特異的な抗原結合タンパク質、特に、ヒト化抗体、およびアミロイド沈着に関連する疾患の処置におけるそれらの潜在的使用を開示している。
組織構造および機能を破壊する細胞外アミロイド沈着によって明確に直接引き起こされるアミロイドーシスの稀な臨床病態に加え、アミロイド沈着物はまた、2つの極めて一般的な重要疾患であるアルツハイマー病および2型糖尿病にも存在する。これら後者の疾患では、アミロイド沈着物は顕微鏡的であり、それぞれ脳およびランゲルハンス島に限局され、それらがそれぞれ神経変性および糖尿病の病因に寄与しているかどうか、またはどのように寄与しているかは知られていない。従って、アルツハイマー病および2型糖尿病はアミロイドーシスの形態としては分類不能であるが、アミロイド関連疾患と見なされるべきである。しかしながらやはり、アミロイド沈着物はそれらに常に存在し、それらの沈着物もまた常にSAPを含有する15-19。アルツハイマー病の脳もまた、神経原線維錯綜として知られる、別のタイプの異常な不溶性原線維タンパク質凝集塊を含有し、SAPが、それがアミロイドに結合するのと同様にこれらに旺盛に結合している15-19。SAPを保持する、アミロイドではなく神経原線維錯綜が、前頭側頭骨認知症を含む他のタイプの認知症の脳に存在する。
アミロイドーシスにおけるその役割に加え、それとは全く独立に、ヒトSAPは大脳ニューロンに結合して侵入し、in vitroおよびin vivoでニューロンのアポトーシスを引き起こす9-13。ユニークな製薬等級の純粋ヒトSAP14はシナプス伝達を混乱させ、in vitro器官型齧歯類脳切片において異常なペアパルス比(paired pulse ratio)および長期増強を引き起こすことが示されている。
従って、ヒトSAPの大脳神経毒性は、ヒトにおいておそらく神経変性に寄与する9-12, 20。認知症の一般的なリスク因子のほとんどが脳のSAP暴露を増すという事実はこの概念と一致する。よって、重要なリスク因子である年齢は、加齢している脳の、通常のSAP濃度への長期暴露に関連し、一方、非穿通性頭部外傷および脳出血の主要なリスク因子は、脳に血液を流入させ、急激に脳のSAP含量を高める。アルツハイマー病では、SAPの脳含量は、アミロイド沈着物および神経原線維錯綜へのその結合のために異常に高い15-19。アミロイド沈着物ではなく神経原線維錯綜を伴う他の認知症の場合でもおそらくそうである。重要なこととしては、剖検時にプラークおよび錯綜が共存するまたはしない場合で、死亡時に認知機能が保たれていた高齢者よりも認知症アルツハイマー病患者でより高い脳SAP含量が報告されている20。脳のSAP含量と認知症の間の有意な正の相関20は、SAPの原因としての役割と一致する。
脳脊髄液中のおよび脳内アミロイド沈着物および神経原線維錯綜に結合したSAPの量は、それぞれ全身性細胞外液中の量および全身性アミロイド沈着物上の量よりも劇的に少ない。アルツハイマー病患者において、通常の20~50mg/Lから<0.1mg/Lへの、CPHPCによる血漿SAPの枯渇は、CSF SAP濃度を2~30μg/Lから<0.1μg/Lへ低下させる21。ヒトSAPは肝臓によってのみ産生され、血液を介して脳に届く22。従って、CPHPC処置は脳脊髄液から事実上総てのSAPを除去し、SAP結合は完全に可逆的であるので、脳内アミロイド沈着物および神経原線維錯綜からもそれを除去する。さらに、アルツハイマー病患者では、CPHPCは脳脊髄液に入り21、そこでそれは遊離のSAPの、アミロイド原線維、神経原線維錯綜および大脳ニューロンへの結合も遮断することができる。総てのアミロイド原線維タイプがin vitroにおいてプロテアーゼおよび貪食細胞によって分解され得1、全身性アミロイド沈着物は、in vivoにおいて、それらの個々の原線維前駆体タンパク質の存在量が十分に低下されていると自発的にゆっくり退縮する8。従って、アミロイドクリアランスの機構はin vivoにおいて機能する。ヒトSAPが、そのアミロイドとの結合には依存せずにそれ自体で神経細胞傷害性がある9-13という確証は、SAP枯渇の潜在的、付加的な直接的利益を実証する。
総ての血漿タンパク質はin vivoにおいて罹患または損傷関節に入るが、様々な異なる関節症を有する患者では、臨床上検出可能な滲出を示さなかった一部の関節への放射性標識SAPの取り込みが見られた。さらに、滑膜滲出液中のSAPの濃度は、SAPの分子サイズから予測されるものよりも実質的に低く、シンチグラフィー的に可視化したSAPは溶液中で遊離状態ではなく、実際には関節内の固形構造に結合していたことを示す。高齢者の関節軟骨および/または関節包は、骨関節炎の範囲または重篤度よりもむしろ年齢に関連した顕微鏡的アミロイド沈着物を含有する場合が多く、これらの沈着物はSAPの限局性を説明し得る。SAPはまた、in vivoならびにin vitroで、露出したDNAおよびクロマチン、またアポトーシス細胞に旺盛に結合する。従って、骨関節炎の関節における細胞死の増加はSAP沈着の配位子を提供し得る。WO2004/108131は、骨関節炎症状の緩和をもたらすCPHPC((R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシ-ピロリジン-1-イル]-6-オキソ-ヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸)の注射による骨関節炎患者の処置を開示している。
ヒトSAPは、in vitroおよびin vivoの両方で、あらゆる形態の遊離DNAに、またクロマチンにも旺盛に結合する。実際に、SAPは、カルシウム依存性相互作用でDNAと特異的に結合する唯一の正常ヒト血漿タンパク質である23,24。これに対して、マウスおよびウマを含むいくつかの他種に由来するSAPは、たとえ結合するにしてもDNAには弱く結合するだけで、イヌおよびウサギはSAP遺伝子を持ってさえおらず、従ってSAPを産生しない。免疫誘導が免疫原自体の注射によるのではなく免疫原をコードするDNAの注射によって達成されるDNAワクチン接種が、感染に対する防御免疫の誘導のための極めて望ましいアプローチとして、また、癌における潜在的免疫療法的介入として鋭意検討されている。しかしながら、DNAワクチン接種はマウス、イヌ、ウサギおよびウマにおいては有効であるものの、ヒト、また、ヒトと同様にDNAに旺盛に結合するSAPを有するウシでも、一貫して失敗してきた。DNAワクチン接種が機能する種では、SAPはDNAに結合しないかまたは存在しない。さらに、ヒトSAPのトランスジェニック発現を伴うマウスでの、それを枯渇させるためのCPHPCを用いた実験により、ヒトSAPの存在がDNAワクチン接種の有効性を妨げることが確認される25,26。
SAPはいくつかの細菌種に結合するが、他には結合しない。SAPが結合する病原性細菌については、SAPはin vitroおよびin vivoにおいて有力な抗オプソニン効果を有し、貪食作用を低下させ、その生物を死に至らせ、従って、宿主の自然免疫系からそれらを保護する27。感染力および毒性を増進するこの効果は、SAPの細菌への結合を阻害するためのCPHPCの投与によって排除される27。SAPはまた、侵襲性カンジダ症患者の組織の真菌細胞の表面に結合して存在する28。この結合は、病原性生物の表面における、真菌タンパク質から形成されるアミロイド原線維の存在を反映している28。
CPHPCは薬理学的に有効であるが、その経口バイオアベイラビリティは約3~5%と極めて低くかつ変動し、従って、静注または皮下注射による非経口投与のみが所望のSAP枯渇を達成するために最適である。しかしながら、治療的SAP枯渇に対する既存の、また潜在的な適応のほとんどは長期投与を要する。長期静脈内投与は実用的ではない。長期皮下投与は実現可能ではあるが、注射は針で刺す不快感を生じ得るので、忍容されない患者もいる7。
WO2003/051836は、SAP枯渇が有益な効果を持つ疾患の処置に有用なD-プロリンプロドラッグを開示している。そこに開示されている25の例は主として油状物として得られたものであり、そのうち5つだけが固体であった。欧州特許庁での手続きにおいて、WO2003/051836に対する欧州均等物に対する分割出願が、(R)-1-(6-{(R)-2-[1-(2,2-ジメチル-プロピオニルオキシ)-エトキシカルボニル]-ピロリジン-1-イル}-6-オキソ-ヘキサノイル)-ピロリジン-2-カルボン酸 1-(2,2-ジメチル-プロピオニルオキシ)-エチルエステルに対するクレームを伴って出願された。本出願の出願時に、グラクソスミスクライングループ社(Glaxo Group Limited)は、EP0915088およびWO2003/051836、ならびにそれらの対応する出願に対するライセンスを含む、Pentraxin Therapeutics Limited社とライセンスおよび研究提携を結んでいる。
医薬開発に好適な物理化学的特性を有しつつ、経口投与後に十分にSAPを枯渇させ得る量でCPHPCを生成できる化合物の必要がある。
驚くべきことに、式(I)の化合物(2R,2’R)-ビス(((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)オキシ)メチル) 1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボキシレート)は医薬開発に好適な物理化学的特性を有し、かつ、経口投与後に十分にSAPを枯渇させ得る量でCPHPCを生成できることが見出された。
よって、第1の態様において、本発明は、式(I):
に従う、化合物(2R,2’R)-ビス(((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)オキシ)メチル) 1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボキシレート)を提供する。
式(I)の化合物は、以下「本発明の化合物」とも呼ばれる。
本発明の化合物は、良好な物理化学的特性を呈し、かつ、経口投与後に十分にSAPを枯渇させ得る量でCPHPCを生成することができる。
式(I)の化合物は良好なpH溶液安定性および腸ミクロソーム安定性、ならびに低い肝ミクロソーム安定性を有し、容易にCPHPCを生成し、式(I)の化合物は、ヒトにおいて経口投与した際に循環レベルのCPHPCを容易に生成することが示唆される。また、式(I)の化合物は、シトクロムp450とのいずれの相互作用も示さず、式(I)の化合物はCYP450により媒介される薬物-薬物相互作用(drug-drug interactions)(DDI)を示さないことが示唆される。加えて、式(I)の化合物は高結晶性であり、このことは有効物質の調剤および医薬製剤製造の生存に関して有利である。
この特性を有する化合物の使用は、SAPの枯渇(血清アミロイドP成分)が有益である疾患または障害、例えば、アミロイドーシス(全身性アミロイドーシスおよび限局性アミロイドーシスを含む)、アルツハイマー病、II型糖尿病、骨関節炎、細菌感染、侵襲性カンジダ症(invasive candidiasis)およびその他の真菌感染の処置において、DNAワクチンの投与と組み合わせて優位性をもたらし得る。
さらなる態様において、本発明は、治療上有効な量の式(I)の化合物と1種類以上の薬学上許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
さらなる態様では、被験体における循環SAPの枯渇のための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物が提供される。
さらなる態様では、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置において使用するための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物が提供される。
さらなる態様では、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置方法が提供される。
さらなる態様では、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物の使用が提供される。
さらなる態様では、抗SAP抗体(特に、WO2011/107480に開示されている抗体)の1以上の投与形と式(I)の化合物の1以上の投与形とを含んでなるパーツのキットが提供される。
図1:式(I)の化合物のI型のXRPDスペクトル。
図2:pH6、7、7.5および8のリン酸緩衝生理食塩水中での式(I)の化合物のin vitro物理的加水分解。
図3:ヒトミクロソーム中での式(I)の化合物のin vitro腸ミクロソーム安定性。「0/3/6/12/30分」は、分析のためにサンプルが混合物から採取された時間(分)を意味する。
図4:ヒト血液中での式(I)の化合物のin vitro血液安定性。「0/5/10/30/60分」は、分析のためにサンプルが混合物から採取された時間(分)を意味する。
図5:ヒト肝ミクロソーム中での式(I)の化合物のin vitro肝ミクロソーム安定性。「0/3/6/12/30分」は、分析のためにサンプルが混合物から採取された時間(分)を意味する。
発明の具体的説明
定義
以下の用語は、それとともに以下に示される意味を有するものとし、本発明の説明および範囲を理解する上で有用である。
「薬学上許容可能な」とは、米国連邦政府の規制当局または米国以外の諸国の対応する部局(例えば、EMA、欧州医薬品庁)によって承認もしくは認可されていること、または米国薬局方または欧州薬局方(Ph.Eur.)に列挙されていることを意味する。
「治療上有効な量」とは、疾患または障害を処置するために被験体に投与された際に、その疾患に対してそのような処置を果たすために十分な化合物の量を意味する。
用語「抗体」は、免疫グロブリン様ドメインを有する分子を意味して最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、組換え抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体および異種コンジュゲート抗体、ならびに抗原結合フラグメントを含む。本発明による抗体はヒト補体系を活性化し、かつ/またはアミロイド沈着物の退縮をもたらす。
「処置」という場合には急性処置もしくは予防および確立された症状の緩和、ならびに/または疾患もしくは障害の進行の遅延を含み、無症候患者における症状再発の抑制を含み得ることが認識されるであろう。
「抗体」に関する用語「抗SAP」、すなわち、「抗SAP抗体」は、C反応性タンパク質(C-reactive protein)(CRP)などの近縁分子を含む他のいずれのタンパク質とも全くまたは有意に結合せずに、ヒトSAPと結合する抗体を意味する。
用語「CDR」は、相補性決定領域を意味する。抗体のCDRは、本明細書で使用する場合、Kabat、Chothia、AbMおよびcontact法を含む周知のCDRナンバリング法のいずれかを用いて決定されるCDRを意味する。
「循環SAP」は、in vivoおよびin vitroにおいて血漿中に遊離型で存在し、組織内のアミロイド沈着物と会合していないSAPを意味する。
医薬組成物、投与経路および用量
式(I)の化合物を療法において使用するために、それは通常、標準的な製薬実務に従って医薬組成物へと処方される。
よって、本発明は、治療上有効な量の式(I)の化合物と1種類以上の薬学上許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
本発明はまた、治療上有効な量の式(I)の化合物と1種類以上の薬学上許容可能な担体を混合することを含んでなる、医薬組成物の製造方法も提供する。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含んでなる投与形も提供する。
好適には周囲温度および大気圧で混合することにより製造され得る本発明の医薬組成物は、通常、経口投与に適合され、従って、錠剤、カプセル剤、経口液体製剤、散剤、顆粒剤、またはトローチ剤の形態であり得る。
一つの実施態様では、経口投与用の本発明の医薬組成物が提供される。
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は単位用量形態であってよく、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム);打錠滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸ナトリウムデンプン);および許容可能な湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの従来の担体を含有し得る。錠剤は、通常の製薬実務で周知の方法に従ってコーティングしてもよい。
経口液体製剤は、例えば、油性懸濁液、非水溶液、エマルション、シロップまたはエリキシルの形態であってよく、または投与直前に好適な水性もしくは非水性ビヒクルで再構成するための乾燥製品の形態であってもよい。このような液体製剤は、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアガム)、非水性ビヒクル(食用油、例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールまたは精留植物油を含み得る)、保存剤(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)、および所望により従来の香味剤または着色剤、適当であればバッファー塩および甘味剤などの従来の添加剤を含み得る。経口投与用の製剤は、有効化合物の放出制御を与えるように適宜処方してもよい。
別の実施態様では、投与形は錠剤またはカプセル剤である。
本組成物は、投与方法に応じて0.1%~99重量%、好ましくは10~60重量%の有効物を含有し得る。前述の障害の処置において使用される化合物の用量は、通常、障害の重篤度、患者の体重、および他の類似の因子によって異なる。しかしながら、一般的な指針として、好適な単位用量は0.05~5000mg、1.0~1000mg、または100~600mg、例えば、100、200または300mgであってよく、このような単位用量は1日2回以上、例えば、1日2回または3回投与されてよい。このような療法は数日、数週間、数か月または数年にわたり得る。
本発明はさらに、療法において使用するための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
よって、式(I)の化合物は、SAP枯渇が有益である疾患の処置において使用するためのものである。
本発明はさらに、SAP枯渇において使用するための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置において使用するための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
さらなる態様では、治療上有効な量の式(I)の化合物の投与を含んでなる、SAP枯渇が有益である被験体における疾患または障害の処置方法が提供される。
さらなる態様では、治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物の投与を含んでなる、SAP枯渇が有益である被験体における疾患または障害の処置方法が提供される。
本発明はさらに、被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる、被験体におけるSAP枯渇の方法を提供する。
本発明はさらに、被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる、被験体におけるSAP枯渇の方法を提供する。
伝達性海綿状脳症(プリオン病)の多くの形態は脳内のアミロイド沈着物に関連し、よって、本発明は、ヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、クロイツフェルト・ヤコブ病自体、クールー病および様々な他の形態のヒトプリオン病、また、ウシ海綿状脳症、ミュールジカおよびヘラジカの慢性消耗病、ならびにミンクの伝達性脳症を含む、これら総ての疾患または障害に関する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病、骨関節炎、細菌感染、侵襲性カンジダ症(invasive candidiasis)、伝達性海綿状脳症、ヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeld-Jakob)病、クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeld-Jakob)病、クールー病、その他のヒトプリオン病、ウシ海綿状脳症、ミュールジカおよびヘラジカの慢性消耗病、ならびにミンクの伝達性脳症からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病、骨関節炎、細菌感染、侵襲性カンジダ症(invasive candidiasis)、伝達性海綿状脳症、ヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeld-Jakob)病、クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeld-Jakob)病、クールー病、その他のヒトプリオン病、ウシ海綿状脳症、ミュールジカおよびヘラジカの慢性消耗病、ならびにミンクの伝達性脳症からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害が伝達性海綿状脳症、ヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、クロイツフェルト・ヤコブ病、クールー病、ウシ海綿状脳症、ミュールジカおよびヘラジカの慢性消耗病、ならびにミンクの伝達性脳症からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害が伝達性海綿状脳症、ヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、クロイツフェルト・ヤコブ病、クールー病、ウシ海綿状脳症、ミュールジカおよびヘラジカの慢性消耗病、ならびにミンクの伝達性脳症からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択され、被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシスであり、被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシスであり、前記被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、ヒトDNAワクチンの有効性の改善方法であって、前記被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、ヒトDNAワクチンの有効性の改善方法であって、前記被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、DNAワクチンと組み合わせた式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明はさらに、DNAワクチンと組み合わせた本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
本発明はさらに、ヒトDNAワクチンの有効性の改善において使用するための式(I)の化合物を提供する。
本発明はさらに、ヒトDNAワクチンの有効性の改善において使用するための本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、ヒトDNAワクチンの有効性の改善における式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明はさらに、ヒトDNAワクチンの有効性の改善における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
本発明はさらに、ヒトDNAワクチンの有効性の改善において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
「ヒトDNAワクチンの有効性の改善」とは、DNAワクチンがヒトDNAワクチンによりコードされる免疫原に対する免疫防御性免疫応答を誘導することを可能とすることを意味する。
被験体は哺乳類であり得る。被験体は一般にヒトである。
用語「アミロイドーシス」は、全身性アミロイドーシス(限定されるものではないが、AL型アミロイドーシス、AA型アミロイドーシス、透析アミロイドーシス、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシス、遺伝性全身性アミロイドーシスを含む)と限局性アミロイドーシス(限定されるものではないが、脳アミロイドアンギオパチーを含む)の両方を包含する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置において使用するための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇において使用するための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、in vivoでSAP枯渇において使用するための式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための式(I)の化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置において使用するための式(I)の化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置において使用するための本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置における式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、SAPの枯渇における式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
アミロイドーシスの処置のために使用される場合、式(I)の化合物は抗SAP抗体とともに投与され得る。
ある実施態様では、抗SAP抗体はヒトSAPのA面と結合する。ある実施態様では、抗SAP抗体は、WO11/107480の配列番号28内に存在する重鎖相補性決定領域(CDR)と配列番号35内に存在する軽鎖CDRを含んでなる。
ある実施態様では、抗SAP抗体は、WO11/107480の配列番号28の重鎖可変領域と配列番号35の軽鎖可変領域を含んでなる。
ある実施態様では、抗SAP抗体は、ヒトIgGlまたはIgG3ヒト定常ドメインを含んでなる。
ある実施態様では、抗SAP抗体は、WO11/107480の配列番号62の重鎖と配列番号64の軽鎖を含んでなる。
ある実施態様では、抗SAP抗体は、WO11/107480内に配列番号1、配列番号2および配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6として記載される重鎖および軽鎖CDRを含んでなる。
よって、さらなる態様では、本発明は、抗SAP抗体との併用投与において、被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる、アミロイドーシスの処置方法を提供する。
一つの実施態様では、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の投与は逐次的である。
このような逐次投与は、時間的に近接していても(例えば、同時)時間的に離れていてもよい。さらに、これらの化合物が同じ投与形で投与されるかどうかは問題ではなく、例えば、一方の化合物を静脈内に投与して、他方の化合物を経口投与してもよい。
さらなる実施態様では、式(I)の化合物をまず投与する。さらなる実施態様では、被験体の循環SAPレベルが2mg/L未満のレベルまで低下した際に抗SAP抗体が投与される。一つの実施態様では、循環SAPレベルは1mg/L以下のレベルまで低減されている。さらなる実施態様では、循環SAPレベルは0.5mg/L以下のレベルまで低減されている。
循環SAPのレベルは、市販のELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)キット(例えば、Hycult Biotech社からのHK331ヒトSAP ELISAキット)を用いて測定することができる。
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、5~8日間かまたは被験体のSAP循環レベルが2mg/L未満のレベルにまで低減されるか、どちらか長い方で投与される。一つの実施態様では、被験体のSAP循環レベルは1mg/L以下まで低減されている。さらなる実施態様では、被験体のSAP循環レベルは0.5mg/L以下まで低減されている。さらなる実施態様では、式(I)の化合物の投与は、200~2000mg(好ましくは250~1000mg、より好ましくは250~600mg)の単回用量の抗SAP抗体が投与される間とその後4~6日間続けられる。これは「治療コース」を形成し、患者は所望の治療効果を達成するために数コースを必要とし得る。患者はまた間欠的反復処置を必要とする場合もある。一つの実施態様では、治療コースは必要に応じて3~6週間隔で少なくとも1回反復される。さらなる実施態様では、治療コースは3~6週間隔で少なくとも1回反復された後、必要に応じて6~12か月間隔で少なくとも1回の治療コースが実施される。
さらなる態様では、SAP枯渇が有益である被験体における疾患または障害の処置方法であって、抗SAP抗体との併用投与において、治療上有効な量の式(I)の化合物の投与を含んでなる方法が提供される。
さらなる態様では、SAP枯渇が有益である被験体における疾患または障害の処置方法であって、抗SAP抗体との併用投与において、治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物の投与を含んでなる方法が提供される。
さらなる態様では、抗SAP抗体との併用投与において、治療上有効な量の式(I)の化合物の投与を含んでなる、SAP枯渇の方法が提供される。
さらなる態様では、抗SAP抗体との併用投与において、治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物の投与を含んでなる、SAP枯渇の方法が提供される。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択され、抗SAP抗体との併用投与において、前記被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、被験体における疾患または障害の処置方法であって、前記疾患または障害がアミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択され、抗SAP抗体との併用投与において、前記被験体に治療上有効な量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における、式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における、式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、全身性アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AL型アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AA型アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、透析アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、遺伝性全身性アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、限局性アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、脳アミロイドアンギオパチーの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、全身性アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AL型アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AA型アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、透析アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、遺伝性全身性アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、限局性アミロイドーシスの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、脳アミロイドアンギオパチーの処置において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、SAPの枯渇において使用するための、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、全身性アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AL型アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AA型アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、透析アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における、式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、遺伝性全身性アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、限局性アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、脳アミロイドアンギオパチーの処置における、抗SAP抗体との併用投与における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、全身性アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AL型アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AA型アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、透析アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、遺伝性全身性アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、限局性アミロイドーシスの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、脳アミロイドアンギオパチーの処置における、抗SAP抗体との併用投与における本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
当業者ならば、式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物と抗SAP抗体の併用投与は循環SAPレベルが好適なレベルまで低減された際にのみ行うべきであることを理解するであろう。
別の態様では、本発明は、SAP枯渇が有益である疾患または障害の処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、SAPの枯渇において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシス、アルツハイマー病、2型糖尿病および骨関節炎からなる群から選択される疾患または障害の処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、全身性アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AL型アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、AA型アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、透析アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、遺伝性全身性アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、限局性アミロイドーシスの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、本発明は、脳アミロイドアンギオパチーの処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物および抗SAP抗体の使用を提供する。
一つの実施態様では、疾患または障害はアミロイドーシスである。
さらなる実施態様では、疾患または障害は全身性アミロイドーシスである。
さらなる実施態様では、疾患または障害はAL型アミロイドーシスである。
さらなる実施態様では、疾患または障害はAA型アミロイドーシスである。
さらなる実施態様では、疾患または障害は透析アミロイドーシスである。
さらなる実施態様では、疾患または障害はATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスである。
さらなる実施態様では、疾患または障害は遺伝性全身性アミロイドーシスである。
別の実施態様では、疾患または障害は限局性アミロイドーシスである。
さらなる実施態様では、疾患または障害は脳アミロイドアンギオパチーである。
一つの実施態様では、疾患または障害はアルツハイマー病である。
一つの実施態様では、疾患または障害は2型糖尿病である。
一つの実施態様では、疾患または障害は骨関節炎である。
本発明の別の実施態様では、アミロイドーシスの処置に有用な、1以上の単位用量の抗SAP抗体と1以上の単位用量の式(I)の化合物を含有する製品または「パーツのキット」が提供される。
一つの実施態様では、パーツのキットは、1単位用量の抗SAP抗体と1以上の単位用量の式(I)の化合物を含んでなる。
好適には、パーツのキットは、1以上の単位用量の式(I)の化合物および単位用量の抗SAP抗体の個別または逐次投与用に処方される。
一つの実施態様では、パーツのキットは、1以上の単位用量の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物と単位用量の抗SAP抗体を含んでなる容器を含んでなる。
別の実施態様では、パーツのキットは、1以上の単位用量の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を含んでなる第1の容器と単位用量の抗SAP抗体を含んでなる第2の容器を含んでなる。
パーツのキットは、アミロイドーシスを治療または予防するための、1以上の単位用量の式(I)の化合物と単位用量の抗SAP抗体の投与に関する指示をさらに含んでなり得る。
本発明の別の実施態様では、1以上の単位用量の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物と1以上の単位用量のDNAワクチンを含有する製品または「パーツのキット」が提供される。
好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジおよびブリスターパックなどが含まれる。
WO2011/139917は、トランスサイレチンの発現の調節、およびトランスサイレチンアミロイドーシスの治療、予防、遅延または緩和に潜在的に有用な抗トランスサイレチン(抗TTR)アンチセンスオリゴヌクレオチドを開示している。
別の態様では、本発明は、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスの処置方法であって、i)被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を抗SAP抗体との併用投与において投与すること、およびii)被験体に治療上有効な量の抗TTRアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明の一つの実施態様では、抗TTRアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ISIS420915である。
一つの実施態様では、工程i)およびii)は逐次に行われる。
一つの実施態様では、工程ii)は、工程i)の後に行われる。
WO2009/040405は、トランスサイレチンミロイドーシスの治療または予防に有用な四量型のトランスサイレチンを安定化させるための薬剤を開示している。
よって、別の態様では、本発明は、ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシスの処置方法であって、i)被験体に治療上有効な量の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物を抗SAP抗体との併用投与において投与すること、およびii)被験体に治療上有効な量のWO2009/040405に記載の薬剤を投与することを含んでなる方法を提供する。
一つの実施態様では、工程i)およびii)は逐次に行われる。
一つの実施態様では、工程ii)は、工程i)の後に行われる。
一般合成経路
式(I)の化合物は、反応スキーム1に実質的に従って合成され得る。
式(I)の化合物は、溶媒(例えば、1,4-ジオキサン)、塩基(例えば、炭酸カリウム)および触媒量のTBAI(テトラブチルヨウ化アンモニウム)の存在下での、式(II)のカルボン酸クロロメチルとCPHPCの反応により製造され得る。
式(II)のカルボン酸クロロメチルは、溶媒(例えば、水、ジエチルエーテルまたはジクロロメタン)および塩基(例えば、テトラブチル臭化アンモニウム、炭酸ナトリウム、ピリジンまたはジメチルアミノピリジン)の存在下での、クロロメチルスルホクロリデートとテトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸の反応により製造され得る。
クロロメチルスルホクロリデート(クロロ硫酸クロロメチルとしても知られる)およびテトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸は市販されている(例えば、Sigma AldrichまたはFisher Scientificから)。
CPHPCは、EP0915088に開示されている実験手順に従って合成され得る。
以下の実施例は本発明を説明する。この実施例は本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の化合物、組成物、および方法を製造および使用するために当業者に指針を与える。本発明の特定の実施態様が記載されるが、当業者ならば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更および修飾が行えることを認識するであろう。
限定されるものではないが、特許および特許出願を含め、本明細書に引用されている総ての刊行物は、各個の刊行物が、あたかも完全に示されているかのように引用することにより本明細書の一部とされることが具体的かつ個々に示されている場合と同様に、引用することにより本明細書の一部とされる。
以下の中間体および実施例は本発明の化合物の製造を説明する。
略語
aq. 水性
DCM ジクロロメタン/塩化メチレン
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
HCl 塩酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
iPr2O イソプロピルエーテル
min 分
MS 質量分析
Na2SO4 硫酸ナトリウム
NMR 核磁気共鳴
RT 室温
TBAI テトラブチルヨウ化アンモニウム
TOF タイムオブフライト
1Hおよび13C NMRスペクトルは、Bruker 300または400MHz NMR分光計で記録した。化学シフトは100万分の1(単位ppm)で記録した。高分解能マススペクトルは、分析的高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と連結したMicromass LCT(TOF)分光計にて記録した。HPLCは、水中0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)および100%アセトニトリル(溶媒B)にて、以下の溶出勾配0~0.5分 5%B、0.5~3.75分 5%から100%B、3.75~4.5 100%B、4.5~5 100%から5%B、5~5.5 5%Bを用い、流速1.3mL/分、40℃で溶出するWaters X-Terra MS C18カラム(3.5μm 30×4.6mm内径)で行った。マススペクトル(MS)は、Waters LCT質量分析計にて、エレクトロスプレーポジティブイオン化[MH+分子イオンを得るためのES+ve]またはエレクトロスプレーネガティブイオン化[(M-H)-分子イオンを得るためのES-ve]モードを用いて記録した。
分析的HPLCは、水中0.1%ギ酸(溶媒A)およびアセトニトリル中0.1%ギ酸(溶媒B)にて、以下の溶出勾配 0~3.2分:5%から100%B、3.2~4.0分 100%Bを用い、流速1.8mL/分、40℃で溶出するXSelect XP C18カラム(2.5μm 30×4.6mm内径)で行った。マススペクトル(MS)は、Waters ZQ質量分析計にて、エレクトロスプレーポジティブイオン化[MH+分子イオンを得るためのES+]またはエレクトロスプレーネガティブイオン化[(M-H)-分子イオンを得るためのES-]モードを用いて記録した。
実験
テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸クロロメチル
機械的撹拌機を備えた3Lフラスコに、水(50mL)中、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸(50g、384mmol)の懸濁液を投入した後、水(600mL)中、Na2CO3(163g、1537mmol)の溶液をゆっくり加えた。この無色の水溶液を0℃に冷却し、臭化テトラブチルアンモニウム(12.39g、38.4mmol)を加えた。DCM(250mL)中、クロロメチルスルホクロリデート(127g、768mmol)の溶液を、激しく撹拌しながら、0℃で1時間かけて滴下した。この反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、室温まで上昇させ、その温度で一晩撹拌した。反応中に形成した沈澱を濾去し、濾液をDCM(2×300mL)で抽出した。有機相を集め、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。
黄色の油性残渣をDCM(100mL)に溶かし、シリカパッド(500g)に載せ、シクロヘキサン中10%EtOAc(1L)、次いでDCM(250mL)で溶出させ、標題化合物を淡黄色油状物(24g、35%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 5.74 (s, 2 H), 3.97 (m, 2 H), 3.45 (m, 2 H), 2.64 (m, 1 H), 1.86 (m, 4 H)。
副生成物の存在のためにマイナーピークが見られた。
(2R,2’R)-ビス(((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)オキシ)メチル) 1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボキシレート
機械的撹拌機を備えた3Lフラスコに、1,4-ジオキサン(200mL)中、(2R,2’R)-1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボン酸)(30g、88mmol)の懸濁液を投入した。K2CO3(30.5g、220mmol)を撹拌懸濁液に室温で加え、この反応混合物を室温で10分間撹拌した後、80℃に加熱した。1,4-ジオキサン(100mL)に溶かしたテトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸クロロメチル(36.2g、203mmol)の溶液に、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(6.51g、17.63mmol)を加えた。室温で10分撹拌した後、沈澱を濾過し、橙色の濾液を、上記で調製した反応混合物に30分かけて滴下した。80℃で8時間後、この反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に取り、NaHCO3水溶液(1×100mL)、亜硫酸ナトリウム水溶液(1×100mL)、0.5N HCl(1×50mL)、水(1×100mL)およびブラインで洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、木炭とともに15分撹拌し、セライトベッドで濾過し、真空濃縮し、標題化合物を淡黄色ガムとして得、これは結晶化した。非晶質固体をiPr2Oに取り、濾過し、標題化合物を灰白色粉末として得た(28g、50.9%)。
結晶化
最終精製
数バッチの(2R,2’R)-ビス(((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)オキシ)メチル) 1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボキシレート)(106g、170mmol)を集め、酢酸エチル(200mL)中で希釈し、マグネチックスターラーを含む2Lフラスコで加熱還流した。20分後、固体は溶解し、フラスコを加熱システムから取り出し、濾過し、自然に室温まで冷却した。温度が50℃まで落ちた際にいくらかの結晶が現れ始めた。結晶化工程を完了させるために、この生成物を撹拌せずに室温で一晩静置した。混合物を濾過し、iPr2O(1×150mL)およびペンタン(2×100mL)で順次洗浄した。生成物を35℃、5ミリバールで5時間乾燥させ、生成物を白色粉末として得た(82.5g、80%)。
LC/MS : m/z 625 [M+H]+, Rt 2.68分。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 5.84 (d, J = 5.5 Hz, 2 H), 5.74 (d, J = 5.5 Hz, 2 H), 4.46 (m, 2 H), 4.01-3.91 (m, 4 H), 3.70-3.59 (m, 2 H), 3.58-3.38 (m, 6 H), 2.67-2.55 (m, 2H), 2.43 - 1.54 (m, 24 H)。
回転異性体の存在のためにいくつかのマイナーピークが見られた。
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 173.20, 171.41, 171.21, 79.55, 66.33, 58.53, 46.95, 33.68, 29.11, 28.53, 24.88, 24.20, 22.52。
HRMS : m/z C30H45N2O12 [M+H]+の理論値625.2972, 実測値625.3010。
XRPDデータは、PANalytical X’Pert Pro粉末回折装置、モデルPW3040/60にて、X’Celerator検出器を用いて取得した。取得条件は、放射線:Cu Kα、ジェネレーター電圧:40kV、ジェネレーター電流:45mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ、ステップ当たりの時間:31.75秒。サンプルは、ケイ素ウエハー(ゼロバックグラウンドプレート)上に数ミリグラムのサンプル(式(I)の化合物)を載せて粉末の薄層とすることにより作製した。
式(I)の化合物の結晶性固体のXRPDスペクトルを図1に示す。
式(I)の化合物のI型 に特徴的なXRPD角度および面間隔d(d-spacing)を表1に記録する。ピーク指定のそれぞれに関して許容誤差はおよそ±0.1°2θである。ピーク強度は、優先される配向のためにサンプルごとに変動し得る。
ピークの位置はHighscoreソフトウエアを用いて測定した。
さらなる態様では、本発明は、結晶形態の式(I)の化合物を提供する。
さらなる態様では、本発明は、実質的に図1に示されるXRPDスペクトルを特徴とする結晶性固体としての式(I)の化合物を提供する。
さらなる態様では、本発明は、表1のピークから選択される、Cu Kα線を用いて測定した場合の少なくとも9つの回折角度を含んでなるXRPDスペクトルを特徴とする結晶性固体としての式(I)の化合物を提供する。さらなる態様では、本発明は、表1のピークから選択される、Cu Kα線を用いて測定した場合の少なくとも8つの回折角度または少なくとも7つの回折角度または少なくとも6つの回折角度または少なくとも5つの回折角度または少なくとも4つの回折角度を含んでなるXRPDスペクトルを特徴とする結晶性固体としての式(I)の化合物を提供する。さらなる態様では、本発明は、表1のピークから選択される、Cu Kα線を用いて測定した場合の少なくとも3つの回折角度を含んでなるXRPDスペクトルを特徴とする結晶性固体としての式(I)の化合物を提供する。
比較化合物
以下に報告されるデータは、式(I)の化合物と(2R,2’R)-ビス(1-(ピバロイルオキシ)エチル) 1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボキシレート)(比較化合物)を比較する。
(2R,2’R)-ビス(1-(ピバロイルオキシ)エチル) 1,1’-アジポイルビス(ピロリジン-2-カルボキシレート)((R)-1-(6-{(R)-2-[1-(2,2-ジメチル-プロピオニルオキシ)-エトキシカルボニル]-ピロリジン-1-イル}-6-オキソ-ヘキサノイル)-ピロリジン-2-カルボン酸 1-(2,2-ジメチル-プロピオニルオキシ)-エチルエステルとしても知られる)は、WO2003/051836に開示されている実験プロトコールに従って合成され得る。
物理化学的特性
物理的形態
式(I)の化合物は結晶性固体として得ることができる。対照的に、比較化合物は油状物として得られる(WO2003/051836参照)。
溶解度
溶解度を決定するためのプロトコール
既知量の式(I)の化合物を好適な容器(例えば、ねじ蓋式透明ガラスバイアル)に秤量し、既知容量の必要培地を加えた(例えば、人工胃液(Simulated Gastric Fluid)pH1.6[SGF]、人工摂食状態腸液(Simulated Fasted State Intestinal Fluid)pH6.5[FeSSIF]、人工絶食状態腸液(Simulated Fasted State Intestinal Fluid)pH6.5[FaSSIF]、水[精製水]、またはブリトン-ロビンソン(Britton-Robinson)バッファー)。化合物を30秒~1分間ボルテックス混合することによりこれらの媒体で湿らせた。次に、サンプルを、溶けていない固体が残存しているか確認するために視覚的に確認した。サンプルを穏やかなミキサー(例えば、ローラーミキサー)に移し、所望の時点に達するまで振盪させた。適当な時点でサンプルを視覚的に再評価した。総ての固体が溶解したならば、溶解度を>xmg/mL(ここで、xは、使用した既知の重量を加えた容量で割った商である)として記録した。溶けていない固体が残っていれば、そのサンプルの一部を取り、遠心分離して固体を除去して明澄な上清を残した。この上清を好適な希釈剤で容積的に希釈して分析に好適な濃度の分析サンプルとした。次に、この希釈サンプルを既知濃度の標準品に対してHPLCなどの好適な方法により分析した。その後、この化合物の溶解度は、標準品の濃度、標準品の相対的応答(例えば、ピーク面積)および記載の分析サンプル、ならびに分析サンプルの希釈率の知見を用いて計算することができる。
種々の水性媒体中での式(I)の化合物の溶解度を以下の表2に示す。
よって、式(I)の化合物は、生物学的に関連のある媒体中で極めて可溶性である。
シトクロムp450および薬物-薬物相互作用
式(I)の化合物および比較化合物を以下のシトクロムp450(CYP 450)アッセイで評価した。結果を以下の表3に示す。
このアッセイは、蛍光基質を用いて、バクトソーム源由来のシトクロムP450(CYP)3A4、2C9、2C19、1A2および2D6酵素に対する阻害を評価するように設計された。化合物(式(I)の化合物または比較化合物)をメタノールに1.65mMで溶かした。娘溶液をメタノールにて660、264、106、42、17、6.8、2.7、1.1および0.43μMで作製した。NADPH補因子は、2%NaHCO3中、1mL当たりグルコース-6-リン酸(7.8mg)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(6単位)、NADP(1.7mg)を用いて調製した。
基質調製物は次の通りであった:
・7-メトキシ-4-トリフルオロメチルクマリン-3-酢酸エチルエステル(FCA):アセトニトリル中12.5mM
・エトキシレゾルフィン(ER):アセトニトリル中0.05mM
・4-メチルアミノメチル-7-メトキシクマリン(MMC):メタノール中2.5mM
・3-ブチリル-7メトキシクマリン(BMC):DMSO中2.5mM
・7-ベンジルオキシキノリン(7BQ):アセトニトリル中2.5mM
・ジエトキシフルオレセイン(DEF):アセトニトリル中0.1mM
10mgのタンパク質/mLの濃度のバクトソーム(Cypex source)をリン酸バッファー50mM pH7.4で希釈した:
・23.8mLのバッファーおよび0.11mLのFCAを伴う0.33mLのバクトソームCYP2C9
・23.6mLのバッファーおよび0.275mLのERを伴う0.33mLのバクトソームCYP1A2
・23.8mLのバッファーおよび0.11mLのMMCを伴う0.33mLのバクトソームCYP2D6
・23.8mLのバッファーおよび0.11mLのBMCを伴う0.33mLのバクトソームCYP2C19
・23.6mLのバッファーおよび0.275mLの7BQを伴う0.33mLのバクトソームCYP3A4H
・23.6mLのバッファーおよび0.275mLのDEFを伴う0.33mLのバクトソームCYP3A4L
プレインキュベーションは、5μLの化合物溶液を220μLの希釈バクトソームを混合すること、およびそれを37℃で10分間温めることからなった。インキュベーションは、25μLのNADPHの添加で開始した。次に、基質代謝産物の蛍光をSAFIRE機(Tecan社から)で5分間読み取った:
・FCA(2C9):410nmで励起および510nmで蛍光
・ER(1A2):530nmで励起および590nmで蛍光
・MMC(2D6):410nmで励起および485nmで蛍光
・BMC(2C19):410nmで励起および465nmで蛍光
・7BQ(3A4H):410nmで励起および530nmで蛍光
・DEF(3A4L):485nmで励起および530nmで蛍光
化合物濃度に対して基質生産の阻害をプロットしてIC50値の決定を可能とした。
組換えヒトCYP450を用いた蛍光に基づくスクリーニングアッセイにおいて、式(I)の化合物およびそのモノエステル誘導体は、主要なヒト肝シトクロムP450(Cypex):CYP3A4-DEFおよび3A4-7BQの有意な阻害を示さなかった(IC50>33μM)。他のアイソフォームも、両化合物により有意に阻害されなかった(IC50>33μM)。対照的に、比較化合物は、CYP3A4-DEFおよびCYP3A4-7BQの有意な阻害を示した。
全身濃度が低くなっていく化合物では、腸管阻害のみが関連するのでCYP3A4阻害のみが関連する(CYP3Aは腸細胞に存在し、腸細胞初回通過の一因となる)。
物理的安定性
物理的安定性を決定するためのプロトコール:
このアッセイは、種々のpHのバッファー中での化合物の物理的安定性を決定するために設計された。式(I)の化合物をDMSOに1mg/mLで溶かした。リン酸バッファー(PBS)は、K2HPO4 50mM溶液とKH2PO4 50mM溶液を混合することにより調製し、pH6.0、7.0、7.5、8.0の4種類のバッファーを得た。
安定性試験は室温で行い、792μLのPBS 50mM pH6.0、7.0、7.5または8.0(1%DMSO)に8μLのDMSO溶液を加えることにより開始した。75μlの混合物を0、1、2、4および24時間に採取し、内部標準を含有する225μLのアセトニトリルを加えた。
2μLのサンプルを液体クロマトグラフィーシステムに注入し、Ascentis C18カラム(50×2.1mm内径、2.7μm)にて、水中0.1%ギ酸(A)およびアセトニトリル中0.1%ギ酸(B)で、以下の溶出2分勾配:1.2分で5から95%Bへ、0.6分95%Bおよびカラムの再平衡化に0.1分を用い、0.5mL/分、50℃で溶出させた。
サンプルは、エレクトロスプレーイオン源、ポジティブモード、および以下のマストランジションを用いた質量分析により分析した:
・式(I)の化合物:625~368
・CPHPCのモノエステル:483~226
・CPHPC:341~226
「CPHPCのモノエステル」とは、式(III)の化合物(R)-1-(6-オキソ-6-((R)-2-((((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)オキシ)メトキシ)カルボニル)ピロリジン-1-イル)ヘキサノイル)ピロリジン-2-カルボン酸を意味する。
式(I)の化合物の加水分解を種々のpH(pH6~pH8)で評価し、結果を図2に示す。式(I)の化合物は、7.5未満のpHでは加水分解に対する感受性が低いと思われた。酸性環境(7.0未満のpH)では24時間後に加水分解された式(I)の化合物は20%未満であった。
腸および肝ミクロソーム加水分解
腸および肝ミクロソームアッセイプロトコール
このアッセイは、ミクロソームマトリックス内での化合物の安定性を決定するために設計された。化合物(式(I)の化合物)をDMSOに1mg/mLで溶かした。娘溶液をメタノール/水(50/50)中30.3ng/mLで調製した。ミクロソーム(Xenotech社から)をリン酸バッファー50mM pH7.4で、0.625mgタンパク質/mLに希釈した。
プレインキュベーションは、ミクロソーム溶液395μLを100μL NaHCO3(2%)とともに37℃で7分間温めることからなった。インキュベーションは、5μLの娘溶液を加えることにより開始した。混合物の50μLアリコートを0、3、6、12および30分に採取し、内部標準を含有する150μLのアセトニトリルで急冷した。
4000rpmで10分の遠心分離の後、2μLのサンプルを液体クロマトグラフィーシステムに注入し、Ascentis C18カラム(50×2.1mm内径、2.7μm)にて、水中0.1%ギ酸(A)およびアセトニトリル中0.1%ギ酸(B)で、以下の2分溶出勾配:1.2分で5から95%Bへ、0.6分95%Bおよびカラムの再平衡化に0.1分を用い、0.5mL/分、50℃で溶出させた。
サンプルは、エレクトロスプレーイオン源、ポジティブモード、および以下のマストランジションを用いた質量分析により分析した:
・式(I)の化合物:625~368
・CPHPCのモノエステル:483~226
・CPHPC:341~226
親物質の消失、また、あり得る代謝産物、すなわち、モノエステルおよび二酸型の出現のパーセンテージを算出するための対照を設けた。
図3から見て取れるように、式(I)の化合物は、30分後であってもヒト腸ミクロソーム中で低率の加水分解を示し、式(I)の化合物は消化管内で過度に不安定にはならず、従って吸収に利用可能であることが示唆される。
腸から、式(I)の化合物は腸壁を経て輸送され、血液および肝臓(どちらも循環SAPの場である)に送られる。
血液加水分解を決定するためのプロトコール
このアッセイは、新鮮な血液中での化合物の安定性を決定するために設計された。化合物(式(I)の化合物)をDMSOに1mg/mLで溶かした。娘溶液をDMSO中100μg/mLで調製した。新鮮な血液を等張性バッファーpH7.4で1/2希釈した。
プレインキュベーションは、792μLの血液を37℃で7分間温めることからなった。インキュベーションは、5μLの娘溶液を加えることにより開始した。50μLの混合物を0、5、15、30および60分に採取した。50μLの水をサンプルに加えた後、内部標準を含有する300μLのアセトニトリルで急冷した。
4000rpmで10分の遠心分離の後、2μLのサンプルを液体クロマトグラフィーシステムに注入し、Ascentis C18カラム(50×2.1mm内径、2.7μm)にて、水中0.1%ギ酸(A)およびアセトニトリル中0.1%ギ酸(B)で、以下の2分にわたる溶出勾配:1.2分で5から95%Bへ、0.6分95%Bおよびカラムの再平衡化に0.1分を用い、0.5mL/分、50℃で溶出させた。
サンプルは、エレクトロスプレーイオン源、ポジティブモード、および以下のマストランジションを用いた質量分析により分析した:
・式(I)の化合物:625~368
・CPHPCのモノエステル:483~226
・CPHPC:341~226
親物質の消失、また、あり得る代謝産物、すなわち、モノエステルおよび二酸型の出現のパーセンテージを算出するための対照を設けた。
ヒト血液において、式(I)の化合物のCPHPCへの高率の加水分解が見られ(CPHPCへの変換率およそ75%が60分以内に達成された)、式(I)の化合物がひと度吸収されれば活性なCPHPCへと切断され得ることが示唆される。
in vitro肝ミクロソーム活性を、上記で詳説したプロトコール(腸および肝ミクロソームアッセイプロトコール)を用いて評価した。
ヒト肝ミクロソームでは、式(I)の化合物のCPHPCへの高率の加水分解が見られ(CPHPCへの変換率およそ70%が30分以内に達成された)、式(I)の化合物がひと度吸収されれば活性なCPHPCへと切断され得ることが示唆される。