JP7052855B1 - ドレッグス改質剤、及びドレッグス改質方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような難ろ過性で強アルカリ性のドレッグススラリーを効率よく処理する方法が、例えば、特許文献1及び特許文献2に、提案されている。
また、本明細書において、「ドレッグススラリー又はドレッグス残渣」を「ドレッグス」ともいう。
また、本明細書において、「ドレッグス改質」とは、ドレッグスの性質が改良されていることをいう。当該「ドレッグス改質」とは、例えば、ドレッグス中のドレッグス成分の分散性を向上できること、ドレッグスの粘度を低減できること、ドレッグスの含水率を低減できること、ドレッグスから残アルカリ分を低減できること、ドレッグスから残アルカリ分の回収率を向上できること、ドレッグスを路盤材などに再利用可能な再生材料にできることなどが挙げられ、これらから1種又は2種以上を選択することができる。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
前記分散剤が、カルボン酸化合物であってもよい。
前記分散剤が、カルボン酸化合物であり、当該カルボン酸化合物が、ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩、及び/又は、ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩であってもよい。
前記ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩が、アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、もしくはその塩であってもよい。
前記ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩が、(メタ)アクリル酸系重合体もしくはその塩であってもよい。
前記分散剤は、洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものであってもよい。
前記方法は、ドレッグス含水率低減方法、又は、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法であってもよい。
前記水分測定装置が、光学式水分計であってもよい。
前記ドレッグス改質剤が、前記分散剤を含有するドレッグス改質剤であってもよい。
なお、本発明の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本実施形態に係るドレッグス改質剤などの薬剤は、分散剤を含有することが好適である。当該分散剤は、ドレッグスに含まれる無機物質を液体中又はスラリー中に分散可能な剤であることが好適である。当該分散剤は、ドレッグスの粘度を低減可能なドレッグス粘度低減剤であってもよい。
本実施形態の薬剤を使用するドレッグスは、緑液クラリファイヤにより排泥されたドレッグススラリーが好ましいが、ドレッグス残渣であってもよい。本実施形態の薬剤を、ドレッグススラリー又はドレッグス残渣に対して、添加し混合することで、ドレッグススラリー又はドレッグス残渣の改質が可能である。ドレッグスの形態は、特に限定されず、スラリー状、固形状などいずれでもよいが、スラリー状が好ましい。
ドレッグススラリー又はドレッグス残渣のpHは、好ましくは11以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは13以上である。
また、ドレッグススラリーの固形分濃度(蒸発残分)は、好ましくは1~40%、より好ましくは5~40%、さらに好ましくは8~30%である。全アルカリ度(Na2O換算値)は、特に限定されないが、好ましくは5~40g-Na2O/L、より好ましくは10~30g-Na2O/Lである。ファンネル粘度は、特に限定されないが、ドレッグスを60℃に加温したときに、好ましくは5~50秒、より好ましくは10~40秒である。
本実施形態に用いる分散剤として、ドレッグス成分(好適にはドレッグス中の無機物質)を分散可能な剤であれば特に限定されないが、例えば、カルボン酸化合物、及び/又は、リン酸塩系分散剤などが挙げられる。
分散剤として、例えば、ポリヒドロキシカルボン酸又はその塩、ポリカルボン酸ポリマー又はその塩、及び不飽和脂肪酸塩などのカルボン酸化合物、並びに、リン酸塩系分散剤などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。これら分散剤として、公知の製造方法にて製造可能なもの又は市場において入手可能なものを用いることができる。
本実施形態において、カルボン酸化合物とは、分子内に1つ又は2つ以上の置換又は非置換のカルボキシル基を有する化合物をいう。置換のカルボキシル基として、カルボン酸とアルコールから成るカルボン酸アルキルエステルなどが挙げられ、当該アルキル基の炭素数は1~8が好ましい。分子内に1個以上8個以下のカルボキシル基を有し、分子量(M.W.)として、好ましくは50~1000、より好ましくは90~500の範囲のものである。
カルボン酸化合物のうち、ポリヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸ポリマー、及びこれらの塩から選択される1種又は2種以上が、好ましい。
カルボン酸化合物として、さらに好ましくは、アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、(メタ)アクリル酸系重合体、並びにこれらの塩から選択される1種又は2種以上である。
本実施形態に用いるポリヒドロキシカルボン酸又はその塩は、特に限定されないが、ヒドロキシ基及びカルボキシル基を有し、分子の末端にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸のうち、アルドン酸が好ましく、このアルドン酸のうち、グルコン酸がより好ましい。
本実施形態に用いるポリカルボン酸ポリマーとは、置換又は非置換のカルボキシル基を有する水溶性高分子重合体が挙げられ、非置換のカルボキシル基が好ましい。当該「重合体」は、モノポリマー又はコポリマーのいずれでもよい。ポリカルボン酸ポリマー塩であってもよい。
ポリカルボン酸ポリマーとして、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、ポリクエン酸、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリ(3-ヒドロキシ)酪酸、及びポリイタコン酸などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの組み合わせのことをいう。
以下に(メタ)アクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体について説明する。
本実施形態に用いる(メタ)アクリル酸系重合体として、(メタ)アクリル酸系モノポリマー及び/又は(メタ)アクリル酸系コポリマーを使用することができる。
(メタ)アクリル酸系モノポリマーとして、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸単独重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独重合体などが挙げられる。
本実施形態に用いる(メタ)アクリル酸系重合体として、上述した(メタ)アクリル酸系の単独重合体及び共重合体から1種又は2種以上を使用することができる。
本実施形態に用いるマレイン酸系重合体として、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸単独重合体、無水マレイン酸-酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸-スチレン共重合体、及び無水マレイン酸-アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
マレイン酸系共重合体は、マレイン酸の単量体と、これ以外の前記共重合可能な不飽和単量体又は不飽和オリゴマーとが重合した共重合体が挙げられる。
マレイン酸系重合体として、上述したマレイン酸系の単独重合体及び共重合体から選択される1種又は2種以上を使用することができる。
本実施形態に用いる「カルボン酸ポリマー」又は水溶性高分子重合体の重量平均分子量は、標準ポリスチレンを標準物質として、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析により、測定することができる。
本実施形態に用いる不飽和脂肪酸塩として、例えば、直鎖、分岐鎖又は環状鎖のいずれでもよく、このうち、直鎖不飽和脂肪酸が好ましい。また、不飽和脂肪酸塩の炭素数は、特に限定されないが、5~12が好ましい。直鎖不飽和脂肪酸のうち、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、アラキドン酸塩などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
本実施形態に用いるリン酸塩系分散剤として、例えば、水溶性リン酸塩などが挙げられ、当該水溶性リン酸塩として、ヘキサメタリン酸塩、トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。このうち、ヘキサメタリン酸塩が好ましい。
本実施形態に係るドレッグス改質剤などの薬剤には、上記分散剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜、任意成分を含んでもよい。当該任意成分として、特に限定されないが、例えば、pH調整剤、消泡剤、防食剤、スケール防止剤、殺菌剤、殺藻剤などの種々の水処理薬剤から選択される1種又は2種以上を使用してもよい。
本実施形態に用いる分散剤は、ドレッグス改質作用、ドレッグス含水率低減作用、ドレッグス分散作用、ドレッグス粘度低減作用、及び残アルカリ分回収率向上作用などを有するので、当該分散剤を、ドレッグス改質剤、ドレッグス含水率低減剤、ドレッグス分散剤、ドレッグス粘度低減剤、残アルカリ分回収率向上剤などの薬剤に含有させることができ、又はこれら薬剤に使用することができる。本発明は、前記分散剤自体を、上述したドレッグス改質剤などの薬剤として使用することもできる。本発明は、ドレッグス改質、ドレッグス含水率低減、ドレッグス分散、ドレッグス粘度低減、残アルカリ分回収率向上などの目的のために用いる、前記分散剤もしくは分散剤成分又はその使用を提供することができる。また、前記分散剤又は分散剤成分は、上述したドレッグス改質剤などの薬剤又は製剤を製造するために使用することができる。また、本発明は、前記分散剤をドレッグスに対して使用する又は添加する、ドレッグス改質方法、ドレッグス含水率低減方法、ドレッグス分散方法、ドレッグス粘度低減方法、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法などを提供することも可能である。
本実施形態に係る薬剤を、ドレッグススラリー及び/又はドレッグス残渣に対して添加することが好ましく、より好適にはドレッグススラリーに対して添加することであり、さらに好適には、緑液クラリファイヤでの引抜き以降のドレッグススラリーである。
通常、緑液処理により発生したドレッグススラリーに対して、廃棄の前に、ドレッグス残渣を得るために、ドレッグス脱水工程が行われる。このため、本実施形態の薬剤を、ドレッグス脱水工程におけるドレッグススラリーに対して添加することが好ましく、より好ましくは、洗浄後のドレッグススラリーに対して添加することが好ましく、洗浄後であって濃縮前、濃縮中若しくは濃縮後のドレッグススラリー、又はシャワーラインのドレッグススラリーのいずれでもよい。さらにより好ましくは、本実施形態で係る薬剤を、洗浄後であって濃縮前又は濃縮中のドレッグススラリーに対して添加することである。当該濃縮方法として、沈降濃縮方法、ドラムフィルター方法、又はこれらの組み合わせた方法が好ましいが、これらに限定されない。
通常、脱水工程を経て得られたドレッグス残渣は、水系外に出される。
本実施形態の薬剤を用いることによって、緑液処理で発生したドレッグスをより良好に改質する技術を提供することができる。
さらに、本実施形態の薬剤を用いて得られたドレッグス残渣は良好に改質されており、改質されたドレッグス残渣は、例えば、含水率が低減されていること、残アルカリ分が低減されていること、粘度が低減されていることなどから少なくも1つの性質を有する。このことにより、本実施形態の改質されたドレッグス残渣は、路盤材などに再利用可能は再生材料にしやすいなどの利点も有する。また、本実施形態の薬剤を使用することによって、残アルカリ分の回収率向上、含水率低減によって、ドレッグス残渣の廃棄量をより低減でき、搬送量及び廃棄コストも低減できる。
2-1.本実施形態に係るドレッグス改質方法の概要
本実施形態に係るドレッグス改質方法は、薬剤を用いるドレッグス改質方法を提供することができる。当該薬剤は、ドレッグスを改質可能な薬剤であれば特に限定されないが、上記「1.」の本実施形態の薬剤を用いることが好ましい。
このように、本実施形態のドレッグス改質方法によって、緑液処理で発生したドレッグスをより良好に改質する技術を提供することができる。
また、本実施形態に係るドレッグス改質方法は、ドレッグス含水率低減方法、ドレッグス分散方法、ドレッグス粘度低減方法、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法などから選択される1種又は2種以上にも適用することができる。
なお、本発明の実施形態に係るドレッグス改質方法では、上記「1.」などの構成と重複する、ドレッグス、分散剤、薬剤などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
本実施形態のドレッグス改質方法は、本第一実施形態として、本実施形態のドレッグス改質剤などの薬剤を用いることを特徴とするドレッグス改質方法を提供することができる。
本実施形態のドレッグス改質方法は、本第二実施形態として、ドレッグス残渣をモニタリングすることを特徴とするドレッグス改質方法を提要することができる。
以下に、本実施形態におけるパルプ製造の概要、本第一実施形態の方法、本第二実施形態の方法について、説明する。
本実施形態の方法が適用可能なパルプ製造系の一例として、図1に、パルプ製造系1の概略構成図を示すが、本実施形態の方法はこのパルプ製造系1の適用に限定されず、様々なパルプ製造系に適用することができる。
パルプ製造系1は、蒸解系10と、黒液処理系20と、緑液清澄化系30と、消和・苛性化系40と、を備えることができる。これら系は、図1において実線で示される管で互いに連通され、全体として循環路を構成してもよい。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
蒸解系10は、蒸解釜11を有し、この蒸解釜11の下流にはパルプ精製部が設けられていてもよい。蒸解釜11には、パルプの原料である木材チップと、水酸化ナトリウムを含有する白液とが投入され、木材チップの蒸解が行われる。
これによって生じたパルプはパルプ精製部へと移送され、漂白、抄紙工程などを順次受け、紙が製造される。一方で、廃液である黒液は、水酸化ナトリウムの回収などのため、後述するエバポレータ21へと移送される。
黒液処理系20は、上流から順に、エバポレータ21と、ボイラ22と、を有してもよい。黒液は、エバポレータ21で濃縮された後、ボイラ22へと移送され、このボイラ22内で燃焼される。これにより、黒液に含有されていた無機ナトリウム塩が溶融し、ボイラ22の底部からスメルトとして排出される。排出されたスメルトは、溶解タンク31へと移送される。
緑液清澄化系30は、上流から順に、溶解タンク31と、緑液クラリファイヤ32と、清澄緑液タンク33と、を有してもよい。スメルトは、溶解タンク31において水に撹拌され、溶解又は分散する。これにより、水酸化ナトリウムに加え、炭酸ナトリウムを豊富に含有する緑液(「粗緑液」ともいう。)が生成される。溶解タンク31には、図示しない送液ポンプが設けられており、粗緑液はこの送液ポンプに吸引され、緑液クラリファイヤ32へと移送される。粗緑液は、残存する未溶解成分が、緑液クラリファイヤ32において除去される。その後、清澄緑液タンク33へと移送されて貯留され、やがて苛性化系41へと移送される。
緑液クラリファイヤとして、特に限定されないが、例えば、多段クラリファイヤ、ユニットクラリファイヤ、貯槽兼用型クラリファイヤ、沈降濃縮式クラリファイヤなどが挙げられ、このうち、貯槽兼用型が好ましい。
一般的に、緑液クラリファイヤから引抜かれたスラッジは、ドレッグス成分を含み粘性のあるスラリー状であり、このスラリー状のドレッグスを脱水するドレッグス脱水工程を行うことで、ドレッグススラリーからろ液とドレッグス残渣とに分離し、このろ液は残アルカリ分として回収されて再利用され、ドレッグス成分を含むドレッグス残渣は排水設備へ送られるか、廃棄物として廃棄されている。
また、本実施形態におけるドレッグス脱水系は、ドレッグスの固形分を濃縮するように構成されている濃縮装置を少なくとも備えることが好ましく、より好ましくは、ドレッグスを洗浄するように構成されている洗浄装置と当該濃縮装置とを備えることである。
また、濃縮工程により、ドレッグス含水率低減、及びドレッグス中の残アルカリ分の低減ができるので、廃棄などの観点から、濃縮工程を行うことが好ましい。
例えば、沈降濃縮装置の一例として、ドレッグスを撹拌機付きの希釈タンクで洗浄用温水で洗浄した後に、ドレッグスウォッシャーで濃縮し、さらに洗浄ドレッグスとして廃棄又はドレッグスフィルターに移送されるように構成されている沈降濃縮装置などが挙げられる。
例えば、ドレッグスフィルター方法として、特に限定されないが、例えば、ドラムフィルター方法、ベルトフィルター方法、及びプレコートフィルター方法から選択される1種又は2種以上が一般的に採用されうる。これら方法を実施する装置として、ドラムフィルター装置、ベルトフィルター装置、プレコートフィルター装置などが挙げられる。
例えば、ベルトフィルター装置の一例として、ドレッグス残渣を移送するベルト上で、振動などにてドレッグス残渣の薄い層を形成させ、このドレッグス残渣を剥ぎ取って廃棄するように構成されているベルトフィルター装置が挙げられる。
消和・苛性化系40は、苛性化系41と、白液クラリファイヤ42と、白液タンク43と、を有してもよい。消和・苛性化系40は、この白液クラリファイヤ42の下流に位置するライムマッドフィルター45、キルン44をさらに有してもよい。苛性化系41、白液クラリファイヤ42、白液タンク43は、互いに連通され、全体として循環路を構成する。
本第一実施形態に係るドレッグス改質方法では、上記「1.」「2-1.」「2-2.」、下記「2-4.」「3.」などの構成と重複する、ドレッグス、分散剤、薬剤などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」「2-1.」「2-2.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
本第一実施形態に係るドレッグス改質方法は、上記「1.」のドレッグス改質剤などの薬剤を、ドレッグスに対して添加することが好適である。
当該薬剤として、分散剤が好適であり、カルボン酸化合物がより好適であり、このうち、ポリヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸ポリマー、及びその塩から選択される1種又は2種以上が、より好適である。さらに、アルドン酸及びその分子内ラクトン、(メタ)アクリル酸系共重合体、及びこれらの塩から選択される1種又は2種以上が、さらにより好適である。
添加する際のドレッグスのpHは、好ましくは11以上、より好ましくは12以上である。
図1を参照して、本第一実施形態におけるドレッグス改質方法の一例を説明するが、本実施形態はこれに限定されない。なお、上記「2-2-3.緑液清澄化系」などの構成と重複する説明は適宜省略する。
本第一実施形態における緑液清澄化系30は、黒液処理系20から送られてきた、スメルトを含む粗緑液を清澄化し、消和・苛性化系40に清澄緑液を送るように構成されており、具体的には、溶解タンク31と、緑液クラリファイヤ32と、清澄緑液タンク33とを備えられている。さらに、緑液清澄化系30は、緑液クラリファイヤ32で発生するスラッジ(ドレッグススラリー)を引抜き、このドレッグススラリーを脱水することで、ろ液とスラッジ残渣を得、ろ液は残アルカリ分としてパルプ製造系内で再利用し、スラッジ成分を含むスラッジ残渣は系外に廃棄するように構成されているドレッグス脱水系50を備える。
なお、本第二実施形態に係るドレッグス残渣のモニタリングを用いる、ドレッグス改質方法では、上記「1.」、「2-1.」「2-2.」、「2-3.」、下記「2-5.」「3.」などの構成と重複する、ドレッグス脱水系、分散剤、薬剤、ドレッグス改質方法などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」「2-1.」「2-2.」「2-3.」「2-4.」「3.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
しかしながら、従来、ドレッグスは、高粘度であってかつ高アルカリであるため取り扱いも難しく、ドレッグス測定専用の測定装置もなく手分析でドレッグスの性状を分析していた。このため、従来、ドレッグス分析の回数は極めて少なく、ドレッグスの管理は十分に行われてこなかった。このため正確にドレッグスの状態が把握できず、ドレッグス脱水工程において、系外に出すドレッグス残渣の含水率が十分に低減できない状態にあった。
モニタリングをする監視場所は、ドレッグス脱水系、すなわちドレッグス脱水工程を実施できる場所のいずれでもよいが、好ましくは、濃縮場所及び当該濃縮以降の場所(濃縮装置、ライン又は流路など)であり、系外に送られるまでである。濃縮場所及び当該濃縮以降の場所として、例えば、沈降濃縮装置及び沈降濃縮処理以降の場所、ドレッグスフィルター装置及びドレッグスフィルター処理以降の場所が挙げられる。さらに、好ましくは濃縮以降の場所であり、より好ましくは、沈降濃縮以降の場所、及び/又はドレッグスフィルター処理以降後の場所であり、さらに好ましくは、ドレッグスフィルター処理以降の場所である。また、モニタリング数は、単数又は複数のいずれでもよい。これにより、より簡便に、より精度よく、ドレッグス残渣の含水率をモニタリングすることができる。
ドレッグス残渣の含水率をモニタリングする際に、当該含水率を測定するための水分測定装置又は水分測定方法は、特に限定されない。水分測定装置にて、測定されたドレッグス残渣の含水率は、外部又は内部に送信される。当該内部又は外部は、例えば、コンピュータ、データベース、クラウドシステム、ネットワークシステムなどであってもよく、外部又は内部に備えられた記憶部又は制御部であってもよい。
水分測定装置として、好ましくは光学式水分測定装置(光学式水分計)であり、当該光学式水分測定装置として、例えば、近赤外水分計、γ線密度計などが挙げられるが、これに限定されない。また、水分測定装置は、非接触型が好ましく、非接触型であっても、手分析(蒸発残分)と同様の含水率の増減の傾向を得ることができる。
水分測定装置と対象物との距離は、使用する水分測定装置(例えば、近赤外水分計など)の機種に応じて適宜設定することができる。また、水分測定装置の検出部は、特に限定されず、水分測定可能なラインセンサカメラ(CMOSなど)であってもよい。
水分測定装置の使用温度は、特に限定されないが、好ましくは0~40℃、より好ましくは5~40℃であり、使用湿度範囲は、特に限定されないが、好ましくは30~80%RHである。
また、後記〔実施例〕に示すように、近赤外線による方法の測定結果(ドレッグス含水率)と、乾燥機による方法(蒸発残分)の測定結果(ドレッグス含水率)とは、図6に示すように、比例関係にあることが認められたため、ドレッグス含水率を近赤外線による方法にて測定することが、より良好な精度の観点から、好ましい。
本第二実施形態で使用する薬剤は、ドレッグスが分散可能な剤であれば特に限定されないが、前記ドレッグス改質剤を用いることが好ましい。
本第二実施形態では、前記モニタリングから得られたドレッグス残渣の含水率から、ドレッグスに対する薬剤の添加量を調整し制御する。本第二実施形態における薬剤の添加の制御は、前記モニタリングから得られたドレッグス残渣の含水率から、ドレッグス(好適にはドレッグススラリー)に対する薬剤の添加量を調整し制御するように構成されていることが好ましい。
薬剤の添加場所は、本第一実施形態の「ドレッグス改質剤を添加する場所」と同じであることが好ましく、より好ましくは、洗浄場所後のライン又は流路、濃縮場所に薬剤を流入させるためのライン又は流路、及び濃縮場所のいずれか1種又は2種以上である。
また、本実施形態における装置又はシステムは、本実施形態の薬剤添加の制御工程に従って動作又は実施を行うことができる。
ステップ100において、制御部は、水分測定装置にドレッグス残渣の含水率をモニタリングさせる。制御部は、水分測定装置に対して、モニタリングにて得られた含水率の結果を、制御部に送信させるように指示してもよい。なお、制御部は、水分測定装置の測定結果と、手分析(蒸発残分)による含水率との整合性をとるように、水分測定装置の測定結果を、手分析(蒸発残分)による含水率換算に変換してもよい。手分析(蒸発残分)による含水率は、予めドレッグス残渣の含水率(蒸発残分)を記憶されている記憶部から制御部に送信し、制御部が手分析(蒸発残分)による含水率換算の演算式を算出しこれを用いてもよく、他の部で算出された含水率換算の演算式を、制御部が受信しこれを用いてもよい。水分測定装置の測定結果である含水率を、蒸発残分の含水率にするための含水率換算演算式として、特に限定されず、現場ごとに適切な演算式を求めることもできるが、例えば式1;Y=aX+bの演算式において、aを1~4程度、より好ましくは2~3、bを10~40程度、より好ましくは20~30を設定してもよい。
Y=aX+b・・・式1
Y;手分析(蒸発残分)による含水率%
X;水分測定装置による含水率%
a;一次関数の傾き
b;一次関数の切片
「モニタリングにて得られた含水率」は、連続的に又は定期的に水分測定装置にてリアルタイムに「得られた含水率」であってもよく、また、水分測定装置にて連続的に又は定期的に測定され、記憶部に記憶されている含水率のデータから、判定部によって、時間間隔や日時、曜日等を考慮して「含水率データ」を選択し、読み込まれた「含水率データ」であってもよい。
「所定の含水率」は、仮設定していたものを、現場の状況(例えば、水系の管理状況や運転状況、ドレッグス残渣の状況など)に応じて、適宜変更してもよい。所定の含水率のデータは、記憶部に予め記憶していたものであってもよく、必要に応じて制御部に送信されうる。
第二含水率設定値より高い(NO)と判定した場合には、薬剤添加量をそのままの状態にするように薬剤添加部に指示する、又は、薬剤添加部に特に指示をせず、薬剤添加量を維持する。ステップ101に戻る。
このようにすることによって、ドレッグス残渣の含水率を適切な範囲内に調整することができる。これにより、ドレッグス改質、ドレッグス含水率低減、ドレッグス分散、ドレッグス粘度低減、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上などが良好に行うことができる。
また、上記には、ステップ102にて「所定の含水率」の上限設定による薬剤添加量の制御、次いで、ステップ103にて「所定の含水率」の下限設定による薬剤添加量の制御を行っているが、「所定の含水率」の下限設定による薬剤添加量の制御、次いで「所定の含水率」の上限設定による薬剤添加量の制御の順でも行うことも可能である。
図2及び図3を参照して、本第二実施形態におけるドレッグス改質方法の一例を説明するが本実施形態はこれに限定されない。なお、上記「2-2-3.緑液清澄化系」などの構成と重複する説明は適宜省略する。
本第二実施形態における緑液清澄化系は、黒液処理系20から送られてきた、スメルトを含む粗緑液を清澄化し、消和・苛性化系40に清澄緑液を送るように構成されており、具体的には、溶解タンク31と、緑液クラリファイヤ32と、清澄緑液タンク33とを備えられている。さらに、緑液清澄化系は、緑液クラリファイヤ32で発生するドレッグススラリーを脱水することで、ろ液とスラッジ残渣を得、ろ液は残アルカリ分としてパルプ製造系内で再利用し、スラッジ残渣は系外に廃棄するように構成されているドレッグス脱水系50を備える。
本第二実施形態では、さらに、ドレッグス残渣の含水率の低減を向上させるために、脱水工程におけるドレッグススラリーに対して薬剤を添加するように構成されている薬剤添加部52を備える。当該薬剤添加部52は、ドレッグススラリーに対して、適切になるように、薬剤の種類及び添加量、添加温度などの添加条件を調整し制御するように構成されている。
本実施形態では、さらに、薬剤添加部52の薬剤添加を制御する制御部55が備えられており、当該制御部55は、水分測定装置53からの含水率データの信号を受信することができ、水分測定装置53によるドレッグス残渣の水分測定を制御してもよい。
また、本実施形態の方法を、上述したドレッグス改質方法などの方法を実施又は管理するための装置(例えば、コンピュータ、ノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレットPC、PLC、サーバ、クラウドサービスなど)又は当該装置に備える制御部(当該制御部はCPUなどを含む)によって実現させることも可能である。また、本実施形態の方法を、記録媒体(不揮発性メモリ(USBメモリなど)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、CD、DVD、ブルーレイなど)などを備えるハードウェア資源にプログラムとして格納し、前記制御部によって実現させることも可能である。前記制御部によって、上述したドレッグス改質、残アルカリ分回収率向上などのシステムなど、当該制御部もしくは当該システムを備える装置を提供することも可能である。また、当該管理装置には、タッチパネルやキーボードなどの入力部、ネットワークや内部若しくは外部アクセスなどの通信部、タッチパネルやディスプレイなどの表示部などを備えてもよい。
本実施形態は、ドレッグスに対して本実施形態の分散剤を添加する機能を含むドレッグス改質を実現させるプログラムを提供することができる。
本実施形態は、ドレッグス残渣の含水率をモニタリングする機能と、当該含水率からドレッグスに対する薬剤の添加量を制御する機能とを含むドレッグス改質を実現させるプログラムを提供することができる。
本実施形態のプログラムはこれらに限定されず、一例として、当該プログラムを装置にて本実施形態の方法を実施することもできる。
本実施形態に係るドレッグス脱水系では、上記「1.」、「2.」などの構成と重複する、ドレッグス脱水系、分散剤、薬剤、ドレッグス改質方法などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」、「2.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
本実施形態に係るドレッグス脱水系は、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御するように構成されている、ドレッグス改質を制御する装置とを備えることが、この含水率からドレッグススラリーに対する薬剤の添加量を適切に調整するように制御できるので、好ましい。これにより、ドレッグス残渣の含水率を低減できるとともに、さらにドレッグススラリーの状態に適合した薬剤添加量にし、薬剤使用量を低減することも可能である。
さらに、本実施形態に係るドレッグス脱水系は、濃縮後のドレッグス残渣の含水率をモニタリング可能なように構成されている水分測定装置を備えることが好ましい。
さらに、本実施形態に係るドレッグス脱水系は、ドレッグススラリーの固形分を濃縮する濃縮装置及び、ドレッグススラリーに対して薬剤を添加する薬剤添加装置を備えることが好ましく、さらにドレッグススラリーを洗浄する洗浄装置を備えることがより好ましい。
〔1〕
分散剤を含有するドレッグス改質剤。
〔2〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物、及び/又は、リン酸塩系分散剤である、前記〔1〕に記載のドレッグス改質剤。当該ドレッグス改質剤は、ドレッグス含水率低減剤、ドレッグス分散剤、ドレッグス粘度低減剤、又は残アルカリ分回収率向上剤のいずれかであってもよい。
〔3〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物である、前記〔1〕に記載のドレッグス改質剤。
前記カルボン酸化合物は、ポリヒドロキシカルボン酸又はその塩、ポリカルボン酸ポリマー又はその塩、及び不飽和脂肪酸塩などのカルボン酸化合物、並びに、リン酸塩系分散剤から選択される1種又は2種以上であることが好適である。
〔4〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物であり、
当該カルボン酸化合物が、ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩、及び/又は、ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のドレッグス改質剤。
前記ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩が、アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、もしくはその塩である、及び/又は、前記ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩が、(メタ)アクリル酸系重合体もしくはその塩である、ことが好適である。
〔5〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物であり、
当該カルボン酸化合物が、グルコン酸もしくはその塩、及び/又は、ポリ(メタ)アクリル酸塩である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤。
〔6〕
前記薬剤が、引抜き後以降のドレッグスに添加するために用いるものである、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤。より好適には、前記薬剤が、洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものであることが好適である。
ドレッグスを改質するために用いる、分散剤又は分散剤の使用。当該分散剤は、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載されたものであることが好適である。
〔8〕
ドレッグス改質剤を製造するための分散剤の使用。当該ドレッグス改質剤は、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載されたものであることが好適である。
前記〔1〕~〔6〕のいずれか一つに記載のドレッグス改質剤をドレッグススラリーに対して添加する、ドレッグス改質方法。ドレッグス改質方法は、ドレッグス含水率低減方法、ドレッグス分散方法、ドレッグス粘度低減方法、又はドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法のいずれかであってもよい。
水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御する、ドレッグス改質方法。
前記水分測定装置が、非接触型であることが好適である。
〔11〕
前記水分測定装置が、光学式水分計(好適には近赤外水分計)又はγ線密度計である、前記〔10〕に記載のドレッグス改質方法。
〔12〕
前記ドレッグス改質剤が、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一つに記載のドレッグス改質剤である、前記〔10〕又は〔11〕に記載のドレッグス改質方法。
〔13〕
ドレッグス残渣の含水率をモニタリングするように構成されている水分測定装置と、
当該含水率からドレッグススラリーに対してドレッグス改質剤を添加するように構成されている薬剤添加装置とを備える、ドレッグス改質装置。
さらに、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御するように構成されている制御装置を備えてもよい。
〔14〕
水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御するように構成されている、ドレッグス改質を制御する装置。当該制御装置は、好適には、コンピュータである。
〔15〕
前記〔13〕に記載のドレッグス改質装置又は〔14〕に記載のドレッグス改質制御装置を備える、ドレッグス脱水系又はドレッグス脱水装置。当該ドレッグス脱水系又はドレッグス脱水装置は、緑液処理系もしくは緑液処理装置、又は、パルプ製造系もしくは製造装置であってもよい。
ドレッグススラリーとして、某製紙工場の苛性化工程から採取した薬剤無添加のドレッグススラリーを用い、このドレッグススラリーの性状を表1に示した。
ドレッグススラリーの含水率は、蒸発残分にて、ドレッグス残渣の含水率を求めた。具体的には、試料100mLを、あらかじめ質量をはかり恒量を得た蒸発皿(乾燥前)にとり、これを105℃~110℃の乾燥器で恒量に達するまで乾燥し、デシケーター中で放冷した後蒸発皿の増量(乾燥後)をはかって、蒸発残分とした。〔乾燥前の試料質量-乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量〕×100(%)から、含水率(%)を求めた。
ドレッグススラリーの全アルカリ度(Na2O換算値)とは、SCAN-N 30:85に準じて求めたものである("Total, active and effective alkali", SCAN-N 30:85, Scandinavian pulp, paper and board testing committee.)。
ドレッグススラリーの粘性(ファンネル粘度)の測定は、西日本試験機のファンネル粘度計 S-251/流下型粘度計を使い、スラリーを60℃に加温し、500mL通過時間を測定した。
ドレッグススラリーをポリ瓶に50mL採取し、温浴中で所定温度(60℃)まで加熱した。このドレッグススラリー中に、薬剤500mg/L、及び5000mg/Lの所定量になるように薬剤を添加し、均一になるよう十分混合した。混合したスラリー全量を吸引濾過器(最大吸引圧力:-0.070MPa)でNo.5Aろ紙 6mmを入れた桐山漏斗にスラリーを投入、60秒間吸引濾過した。
濾過後の脱水ケーキ全量を取り出し、ろ紙を剥がし湿潤質量を測定した(Ww)。
その後、105℃の乾燥器内で12時間以上乾燥し、放冷後に乾燥質量を測定した(Wd)。脱水ケーキ中の含水率を次式より求めた。
脱水ケーキ中の含水率(質量%)=[(Ww-Wd)/Ww]×100
薬剤1:グルコン酸ナトリウム
薬剤2:アクリル酸単独重合体(Na)(上記<カルボン酸ポリマーの重量平均分子量の測定方法>による重量平均分子量1,000~20,000)
薬剤3:ノニオン性界面活性剤 ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
図5に、薬剤1~薬剤3を各ドレッグススラリーに対して添加した場合、その添加後の脱水ケーキ中の含水率の評価を示した。
石灰泥フィルター処理の際に、石灰泥の脱水に使用されているノニオン性界面活性剤タイプの薬剤3のポリオキシアルキレナルキルエーテルをドレッグススラリーに添加し混合したが、ドレッグスの含水率の低減が認められなかった。逆に、薬剤使用量500mg/Lと5000mg/Lのポリオキシアルキレナルキルエーテルを使用したときのドレッグス含水率は、ブランク(無添加)のときのドレッグスの含水率よりも、上昇したことを確認した。すなわち、石灰泥の含水率低下作用を有するノニオン性界面活性剤であるポリオキシアルキレナルキルエーテルに、ドレッグスの含水率の低減が認められず、かえって上昇が認められた。
薬剤2のアクリル酸単独重合体を、粘性のあるドレッグススラリーに添加し混合した場合でも、ドレッグスの含水率の低減を確認したが、グルコン酸ナトリウムを使用した方がドレッグスの含水率低下作用に優れた効果を示した。
薬剤無添加の場合この粘性は26.8秒であったが、薬剤1及び薬剤2ともに、粘性のあるドレッグススラリーに対してそれぞれを添加し混合した場合、それぞれの粘性度は、5000mg/L添加で26.0秒及び26.5秒であり、ドレッグス固形分の分散性が向上したため、ドレッグスの粘度低下が認められた。
このように、薬剤1及び薬剤2ともに分散タイプの薬剤といえ、ドレッグススラリーに混合したときに良好な分散性も確認できた。
ドレッグス残渣として、某製紙工場の苛性化工程から採取した薬剤無添加のドレッグス残渣(表1のドレッグススラリー1)を用いた。
ドレッグス残渣に、水道水を添加して、含水率を任意に代えた試料を3つ作成し、この3つについて、手分析(蒸発残分)及び近赤外水分計にて測定し、これらの結果を図5に示す。
ドレッグス残渣の含水率を、株式会社ケット科学研究所製の近赤外水分計「KJT-130」(商品名)にて、上方から、測定した。
<近赤外水分計KJT-130>
測定方式:近赤外線反射方式(3波長方式)
再現性:0±0.O05(校正板使用時)
測定距離:本体より150±25mm
測定径:約φ25mm
応答時間:約2秒
使用温度範囲:10℃~40℃
使用湿度範囲:O%~80%(結露なきこと)
これにより、近赤外水分計のような非接触型の水分測定装置であっても、得られた測定結果は、手分析によるドレッグス残渣の含水率の測定結果と相関関係にあることが確認できた。これにより、近赤外水分計のような非接触型の水分測定装置でも、ドレッグス残渣の含水率の増減も測定できることが確認できた。さらに、非接触型の水分測定装置は、手分析よりも簡便に測定でき、さらに手分析では難しいモニタリングもできるという利点を有する。また、非接触型の水分測定装置を用いることで、連続的又は断続的といった任意の期間でのドレッグススラリー及びドレッグス残渣のモニタリングも可能である。
Claims (10)
- アルドン酸及び/又はその分子内ラクトンもしくはその塩、及び/又は、(メタ)アクリル酸系重合体もしくはその塩を分散剤として含有する、ドレッグススラリー及び/又はドレッグス残渣に添加するためのドレッグス改質剤。
- 洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものである、請求項1に記載のドレッグス改質剤。
- アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、もしくはその塩を分散剤として含有する、ドレッグス改質剤。
- 洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものである、請求項3に記載のドレッグス改質剤。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤をドレッグススラリーに対して添加する、ドレッグス改質方法。
- ドレッグス含水率低減方法、又は、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法である、請求項5に記載のドレッグス改質方法。
- 水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質可能な剤の添加量を制御する、ドレッグス改質方法。
- 前記水分測定装置が、光学式水分計である、請求項7に記載のドレッグス改質方法。
- 前記含水率が所定の範囲より増加した場合には、前記ドレッグス改質可能な剤の添加量を増加させること、又は、前記含水率が所定の範囲より減少した場合には、前記ドレッグス改質可能な剤の添加量を減少させることを、フィードバック制御する、請求項7又は8に記載のドレッグス改質方法。
- 前記ドレッグス改質可能な剤が、請求項1~4のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤である、請求項7、8又は9に記載のドレッグス改質方法。
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