JP7050584B2 - センサ - Google Patents
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Description
上記センサの一例としては、排気ガスなどの被測定ガスの濃度を検出するための酸素センサ,NOxセンサ,HCセンサといったガスセンサや、被測定ガスの温度を検出するための温度センサ、被測定ガスの圧力を検出するための圧力センサ、被測定ガスの湿度を検出するための湿度センサ、被測定ガス中の粒子量を検出するための微粒子センサなどが挙げられる。
特に、カバー体は自身の後端部を筒型のハウジングに固定するため、筒型に形状歪みが付与されていることに起因し、カバー体に応力が掛かるので、よりクラックが生じやすい。さらに、センサの小型化、軽量化に伴ってカバー体が薄肉化すると、尚更クラックが生じやすくなる傾向にある。
さらに、本発明のセンサに備えられるカバー体は、SUS310Sで構成される従来のカバー体に比べて、同程度の強度を有することから、従来のカバー体に代わるカバー体として利用可能である。
ガス流通口を備えるカバー体は、流通口を形成する際に加工応力がさらに加わることで、よりクラックが生じやすくなる傾向にあるため、本発明がさらに有効となる。
溶接部を介して固定されるカバー体は、溶接部で酸化減量が進みやすいため、本発明がさらに有効となる。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
[1-1.全体構成]
図1は、本発明を適用した実施形態の全領域空燃比センサ2(以下、空燃比センサ2ともいう)の全体構成を示す断面図である。
ハウジング38は、内燃機関の排気管に固定するためのネジ部39が外表面に形成された筒型部材であり、SUS430で構成されている。ガス検出素子4は、軸線方向(空燃比センサ2の長手方向:図中上下方向)に延びる板状形状である。カバー体42は、ガス検出素子4の先端部周囲を覆うようにハウジング38の先端側外周に固定された有底筒状の部材である。セラミックスリーブ6は、ガス検出素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状の部材である。絶縁コンタクト部材66は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔68の内壁面がガス検出素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される。5個の接続端子10は、ガス検出素子4と絶縁コンタクト部材66との間に配置される金属部材である。
ガス検出素子4は、軸線方向に延びる板状形状に形成された素子部と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータとが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。なお、空燃比センサ2として用いられるガス検出素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略する。
カバー体42は、複数のガス流通口を有する有底筒状に形成されており、ガス検出素子4の突出部分を覆う状態で、ハウジング38の先端側(図1における下方)外周に取り付けられている。カバー体42は溶接部43を介してハウジング38に固定されている。
外側筒状部材81は、筒状の外側側壁82と、外側側壁82の先端側に設けられる外側底壁83と、を有して構成される。外側筒状部材81は、外側側壁82に複数(本実施形態では、8個)の外壁ガス流通口84を備えている。
寸法変更段差部98は、軸線方向に垂直な板面形状に形成されており、軸線方向に垂直な断面における内側側壁92の内径寸法を変更するために備えられている。最大内径部97は、軸線方向に垂直な断面における内径寸法が寸法変更段差部98の最大内径寸法と等しい寸法となるように形成されている。最小内径部99は、軸線方向に垂直な断面における内径寸法が寸法変更段差部98の最小内径寸法と等しい寸法となるように形成されている。
内側筒状部材91は、内側底壁93において、被測定ガスを内側筒状部材91の内部から外部に排出するための内側底壁流通口100を備えている。
カバー体42の外側筒状部材81および内側筒状部材91は、それぞれ、18質量%以上22質量%以下のCr(クロム)、7質量%以上12質量%以下のNi(ニッケル)、1.0質量%以上3.0質量%以下のSi(ケイ素)、0.08質量%以下のC(炭素)、2.0質量%以下のMn(マンガン)、0.04質量%以下のP(リン)、0.01質量%以下のS(硫黄)、0.05質量%以上0.3質量%以下のNb(ニオブ)および0.1質量%以上0.25質量%以下のN(窒素)、0.001質量%以上0.1質量%以下のREM(希土類金属)を含有し、残部がFe(鉄)および不可避的不純物からなるオーステナイト系ステンレス鋼からなる材料で構成されている。
Siは、Feの代わりに酸化物となって耐酸化性(酸化減量)を向上させる。Siの含有量が1.0質量%未満であると、耐酸化性の向上効果が不十分となり、3.0質量%を超えると、高温で脆化し易くなる。
Mnは本発明の材料の高温環境下での脆性を向上させるが、Mnの含有量が2.0質量%を超えると耐酸化性を劣化させる。
Niは耐熱性を確保する元素であり、Niの含有量が7.0質量%未満であると耐熱性が不十分となり、12.0質量%を超えると原料コスト増につながる。
Crは耐熱性を確保する元素であり、Crの含有量が18.0質量%未満であると耐熱性が不十分となり、22.0質量%を超えると高温で脆化し易くなる。
Nbはカバー体の高温環境下での高温強度を向上させ、Nbの含有量が0.05質量%未満であると高温強度が確保できなくなり、0.30質量%を超えると靱性の低下を招く。
Nは固溶強化により高温強度を向上させるため、0.1質量%以上含有させる必要がある。しかし、Nを0.25質量%を超えて過剰に含有させるとCr窒化物の形成により脆化し易くなる。
Pは、オーステナイト系ステンレス鋼の熱間加工性を損なう元素であるため、可能な限り含有量を低減することが好ましいため0.04質量%以下とする。
Sは、Pと同様にオーステナイト系ステンレス鋼の熱間加工性を損なう元素であるため、可能な限り含有量を低減することが好ましいため0.01質量%以下とする。
REMは、耐高温酸化性の向上に有効であり、繰り返し酸化による酸化スケールの剥離性が向上し、酸化速度を低下させる。このような作用を奏するには、REMを合計で0.001質量%以上含有させる必要がある。しかし、REMを合計で0.1質量%を超えて過剰に含有させると、オーステナイト系ステンレス鋼が硬質化する可能性があり、また、原料コストが上昇してしまう。そこで、REMを含有させる場合には、REMの含有量の合計が0.001質量%以上0.1質量%以下となるようにする。
以上のような組成とすることで、クラックを防止する。
本実施形態のカバー体42(外側筒状部材81および内側筒状部材91)を構成する材料について、SUS310Sとの比較測定結果を説明する。
高温脆化の比較測定は、大気雰囲気下1050℃で500時間保持後、組織の断面像を取得し、試験前より結晶粒が粗大化したか否かを目視により判定した。
図2の測定結果に示すとおり、高温(1050℃)での高温脆化に関しては、本実施形態のカバー体42を構成する材料は、試験前より結晶粒がほとんど大きくならなかったのに対して、SUS310Sは結晶粒が粗大化し、高温脆化が生じていると考えられる。このことから、本実施形態のカバー体42を構成する材料は、SUS310Sに比べて、高温(1050℃)での高温脆化が生じがたいことが判る。
以上説明したように、本実施形態の全領域空燃比センサ2においては、カバー体42は、18質量%以上22質量%以下のCr(クロム)、7質量%以上12質量%以下のNi(ニッケル)、1.0質量%以上3.0質量%以下のSi(ケイ素)、0.08質量%以下のC(炭素)、2.0質量%以下のMn(マンガン)、0.04質量%以下のP(リン)、0.01質量%以下のS(硫黄)、0.05質量%以上0.3質量%以下のNb(ニオブ)および0.1質量%以上0.25質量%以下のN(窒素)、0.001質量%以上0.1質量%以下のREM(希土類金属)を含有し、残部がFe(鉄)および不可避的不純物からなるオーステナイト系ステンレス鋼からなる材料で構成されている。
よって、本実施形態の全領域空燃比センサ2によれば、カバー体42が高温環境下での脆性及び耐酸化性に優れ、カバー体42の脱落やクラックが生じることを抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
ここで、第2実施形態として、有底筒状形状の筒型検出素子104を備えるガスセンサ101(酸素センサ101)について簡単に説明する。なお、酸素センサ101は、例えば、内燃機関の排ガス中の酸素の濃度を検出する用途に用いられる。
酸素センサ101は、図に示すように、有底筒状の筒型検出素子104と、ハウジング138と、カバー体142と、を備えている。
このため、酸素センサ101は、第1実施形態の全領域空燃比センサ2と同様に、高温環境下での脆性及び耐酸化性に優れ、カバー体の脱落やクラックが生じることを抑制できる。
Claims (3)
- 後端側から先端側にかけて軸線方向に延び、内燃機関の排気管に取り付けられるセンサであって、
前記排気管内に流通する被測定ガスの状態を検出するセンシング部と、
前記排気管内に自身の少なくとも一部が露出すると共に、前記センシング部の径方向周囲を取り囲む筒型のカバー体と、
前記カバー体の後端側が固定される筒型のハウジングと、
を備えたセンサにおいて、
前記カバー体は、
Cr:18質量%以上22質量%以下、Ni:7質量%以上12質量%以下、Si:1.0質量%以上3.0質量%以下、C:0.08質量%以下、Mn:2.0質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.01質量%以下、Nb:0.05質量%以上0.3質量%以下およびN:0.1質量%以上0.25質量%以下、REM:0.001質量%以上0.1質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるオーステナイト系ステンレス鋼で構成されること、を特徴とするセンサ。 - 前記カバー体は、側壁に複数のガス流通口を備えること、を特徴とする請求項1に記載のセンサ。
- 前記カバー体は、側壁の後端部が溶接部を介して前記ハウジングの先端部に固定されること、を特徴とする請求項1または2に記載のセンサ。
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