JP7050276B2 - アブラナ科植物の免疫活性化方法及び免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法 - Google Patents

アブラナ科植物の免疫活性化方法及び免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法 Download PDF

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本発明は、アブラナ科植物の免疫活性化方法及び免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法に関する。
近年、農業関連分野において、コンパニオンプランツを用いた栽培方法が注目されている。コンパニオンプランツとは、栽培作物と共生し、栽培作物に対して有益な効果を発揮する植物のことをいう。コンパニオンプランツによる効果としては、害虫の忌避効果、植物の生長の促進効果等が挙げられる。
例えば、特許文献1では、コンパニオンプランツを用いて、害虫による食害や病気の感染を防ぐ無農薬土耕栽培法が開示されている。また、特許文献1では、害虫による被害に対し有益な効果を発揮する植物の組み合わせが開示されている。
しかしながら、コンパニオンプランツについては、その作用機序も含め、まだ科学的に解明されている例が少ない。植物の組み合わせによる効果は様々であり、反対に生育が悪くなる等の悪影響を及ぼし合う組み合わせもある。
特開2006-55008号公報
ところで、コンパニオンプランツとして利用されている植物の1つに、シソ科ハッカ属のミントがある。ミントは、アロマ植物の中でも多くの変種が存在し、ミントの種類によって香気成分の組成も様々である。
本発明者らは、ミントの香気成分に着目し、その香気成分の受容植物としてアブラナ科植物を混栽等することにより、その香気成分によるアブラナ科植物への影響について検証を重ねた。
本発明は上記の検証から得た知見に基づいて完成されたものであり、ペパーミントの香気成分を利用したアブラナ科植物の免疫活性化方法、及び免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> アブラナ科植物の生育過程でペパーミントの香気成分を曝露させて、TI(トリプシンインヒビター)遺伝子及びICS1(イソコリスミ酸シンターゼ1)遺伝子の発現量を上昇させる、アブラナ科植物の免疫活性化方法。
> アブラナ科植物とペパーミントとを混栽することによりペパーミントの香気成分をアブラナ科植物に曝露させる>に記載の免疫活性化方法。
> アブラナ科植物がコマツナである<1>又は<2>に記載の免疫活性化方法。
> アブラナ科植物の生育過程でペパーミントの香気成分を曝露させて、TI(トリプシンインヒビター)遺伝子及びICS1(イソコリスミ酸シンターゼ1)遺伝子の発現量を上昇させる、免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法。
本発明によれば、ペパーミントの香気成分を利用したアブラナ科植物の免疫活性化方法、及び免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法を提供できる。
12種のミントの香気成分を曝露させたコマツナのTI(トリプシンインヒビター)遺伝子及びICS1(イソコリスミ酸シンターゼ1)遺伝子の発現量を示す図である。 ペパーミントの香気成分を曝露させたコマツナの、ペパーミント除去後の栽培時におけるTI遺伝子及びICS1遺伝子の発現量の経時変化を示す図である。 複数の地点からペパーミントの香気成分を曝露させたコマツナのTI遺伝子(同図(A))及びICS1遺伝子(同図(B))の発現量を示す図である。 ペパーミントの香気成分を曝露させたコマツナのSOT5-α(グルコシノレート合成酵素)遺伝子の発現量を示す図である。 ペパーミントの香気成分を曝露させたコマツナに載せて飼育したハスモンヨトウ幼虫(害虫)の体重増加率を示す図である。 温室内でペパーミントとコマツナとを混栽した場合の害虫によるコマツナの被食害率を示す図である。 温室内でペパーミント又はキャンディーミントの香気成分を曝露させたコマツナの害虫による被食害率を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<アブラナ科植物の免疫活性化方法>
本実施形態に係るアブラナ科植物の免疫活性化方法は、アブラナ科植物にペパーミントの香気成分を曝露させることを含む。
ペパーミントを含むミント種は、コンパニオンプランツとして利用されており、多くの変種が存在し、その香気成分の組成も様々である。本発明者らは、このミント種の多様な香気成分組成に着目して、アブラナ科植物に対する作用について調査した。その結果、ペパーミントの香気成分を曝露させたアブラナ科植物のみに、アブラナ科植物の防御遺伝子の発現の有意な上昇が確認された。
本実施形態に係る免疫活性化方法を用いてアブラナ科植物の免疫を活性化することにより、害虫による食害、病害等を低減することができる。具体的には、例えば、アブラナ科植物に含まれる害虫忌避成分等の産生が促進されて、害虫による摂食が抑制される。この効果を利用して、アブラナ科植物の栽培に用いる農薬の使用量を抑制することも可能である。
また、本実施形態に係る免疫活性化方法を用いてアブラナ科植物の免疫を活性化することにより、アブラナ科植物のグルコシノレートの産生を促進することができる。グルコシノレートは、アブラナ科植物に含まれている辛味成分であり、害虫や病害に対する自衛に寄与することが多い。
アブラナ科植物は、特に限定されないが、例えば、コマツナ、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー、ワサビ等が挙げられる。
アブラナ科植物にペパーミントの香気成分を曝露させる方法については、特に限定されず、ペパーミントから香気成分が放出され、アブラナ科植物が香気成分を受容できる方法であればよい。
具体的には、例えば、ペパーミントの近傍にアブラナ科植物を混栽してもよい。また、ペパーミントの香気成分を受容できる範囲であれば、定植せずに、ペパーミントとアブラナ科植物とを異なる鉢等に植えて栽培してもよい。ペパーミントとアブラナ科植物との距離としては、特に限定されないが、例えば、2m以内であることが好ましく、可能な限り近傍であることがより好ましい。
また、香気成分を放出できる状態であれば、根を抜いたペパーミントをアブラナ科植物の近傍に添えてもよく、さらに、アブラナ科植物がペパーミントの香気成分を受容できる状態であれば、アブラナ科植物の根を抜いてもよい。
ペパーミントの香気成分をアブラナ科植物に曝露させる期間については、特に限定されず、例えば、3日間以上が好ましく、常時混栽することがより好ましい。曝露させた後は、アブラナ科植物の防御遺伝子の発現が上昇した状態が数日間持続する。これにより、植物内の昆虫忌避成分の量が増加するため、ペパーミントを撤去しても、免疫活性化の効果が持続する。
免疫活性化の評価方法としては、特に限定されず、例えば、アブラナ科植物に含まれるTI遺伝子、ICS1遺伝子等の発現を解析することにより確認する方法が挙げられる。
グルコシノレートの生産の促進を確認する方法としては、特に限定されず、例えば、グルコシノレート合成酵素遺伝子であるSOT5-α遺伝子の発現を解析する方法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、グルコシノレートを定量する方法等が挙げられる。
<免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法>
本実施形態に係る免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法は、アブラナ科植物にペパーミントの香気成分を曝露させる工程を含む。
本実施形態に係る生産方法は、上述したアブラナ科植物の免疫活性化方法と同様の方法であってもよい。
本実施形態に係る生産方法によれば、アブラナ科植物の免疫が活性化されるため、生育過程において、害虫による食害を低減することができる。また、生産されたアブラナ科植物は、免疫活性化効果の1つとして辛味成分でもあるグルコシノレートの生産が促進されるため、その風味の変化が期待できる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の予備実験及び実施例では、アブラナ科植物として、播種後14日間、直径7.5cmのポットで生育したコマツナ(Brassica rapa var. perviridis)を使用した。
また、ペパーミントを含むミント種については、1個体ずつ直径10.5cmのポットに植え、丈が40cmになるまで生育したものを使用した。
上記植物の生育は、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間(光度:80μEm-2-1)、暗期8時間の条件下で行った。
<予備実験:有用ミント種の同定>
予備実験として、コマツナの免疫を活性化することができる香気成分を放出するミント種を同定するために、12種のミントの香気成分をコマツナに曝露させて、コマツナの防御遺伝子であるTI遺伝子及びICS1遺伝子の発現を解析した。
まず、ミント1個体が植えられたポットから周囲5cmの距離に、コマツナ1個体が植えられたポットを5個ずつ配置して、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間(光度:80μEm-2-1)、暗期8時間の条件下で、3日間生育した。ミントとしては、ペパーミント、アップルミント、オレンジミント、クールミント、キャンディーミント、グレープフルーツミント、ペニーロイヤルミント、スペアミント、オーデコロンミント、パイナップルミント、レモンミント、及びイングリッシュミントの12種を使用した。
コントロールとしては、ミントを配置せずに同条件で生育した。
次に、以下の手順により、防御遺伝子の発現を解析した。
3日間生育した上記コマツナ約100mgを液体窒素下で粉砕して、セパゾールRNA(ナカライテスク株式会社)500μLを加えて、5分間静置した後、1.5mLチューブに移し、クロロホルム(和光純薬工業株式会社)を100μL加えて、転倒混和して3分間静置した。次いで、微量冷却遠心機(日立工機株式会社のCF15RX II)を用いて、12000×g、4℃で15分間遠心分離を行い、上清を新しい1.5mLチューブに移し、等量のイソプロパノール(和光純薬工業株式会社)を加えて、転倒混和して10分間静置した。そして、12000×g、4℃で10分間遠心分離を行い、沈殿に70%エタノールを1mL加えて、ボルテックスミキサーにより撹拌して、12000×g、4℃で5分間遠心分離を行い、沈殿を室温で乾燥させて、100μLの蒸留水でRNAを溶解させた。
83.3ng/μLの上記RNA溶液6μLにgDNA Removerを添加した4×DN Master Mix(東洋紡株式会社)を加えて、37℃で5分間インキュベートした。次いで、氷上で5×RT Master Mix II(東洋紡株式会社)を2μL加え、CFX Connect Real Time PCRシステム(Bio-Rad社)を用いて、37℃で15分間、50℃で5分間、98℃で5分間反応させた。その後、逆転写産物に蒸留水を40μL加えて後述するリアルタイムPCRに用いた。
上記逆転写産物5μL、蒸留水3μL、各プライマー2μL(5μM)、SYBR GREEN qPCR(東洋紡株式会社)10μLを混合し、Light Cycler Nano(Roche社)を用いて、リアルタイムPCR解析を行った。PCRのプログラムとしては、95℃で60秒間プレヒートした後、95℃で15秒、60℃で30秒のステップを45サイクル、融解ステップは、0.1℃/secの速度で65℃から95℃まで温度を上昇させるプログラムを用いた。上記プライマーの塩基配列は、表1に示す。
Figure 0007050276000001
予備実験の遺伝子発現解析の結果を図1に示す。図1の縦軸は、コントロールの遺伝子発現量を1とした場合の相対的な遺伝子発現量である。図1に示すとおり、コマツナでは、ペパーミントの香気成分を曝露させた場合のみ、コントロールと比べTI遺伝子及びICS1遺伝子の発現量が有意に上昇した。この結果から、コマツナの免疫を活性化させる香気成分を放出するミントとして、ペパーミントが選定された。
<実施例1:ペパーミントの香気成分によるコマツナの防御遺伝子の発現量の経時変化の確認>
実施例1では、ペパーミントの香気成分を曝露させたコマツナの、ペパーミント除去後のTI遺伝子及びICS1遺伝子の発現量の経時変化を確認した。
まず、ペパーミント1個体が植えられたポットから周囲5cmの距離に、コマツナ1個体が植えられたポットを5個配置して、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間(光度:80μEm-2-1)、暗期8時間の条件下で、7日間生育した。その後、ペパーミントを撤去して、上記の条件下で16日間生育した。
次に、予備実験と同様の防御遺伝子発現の解析方法を用いて、ペパーミントを撤去後、2日目、4日目、8日目、12日目、16日目のコマツナのTI遺伝子及びICS1遺伝子の発現量を解析した。コントロールとしては、ペパーミントを配置せずに同条件で生育したコマツナを用いた。
実施例1の遺伝子発現解析の結果を図2に示す。図2の縦軸は、コントロールの遺伝子発現量を1とした場合の相対的な遺伝子発現量であり、横軸はペパーミント撤去後に経過した日数である。図2に示すとおり、TI遺伝子の発現が上昇した状態は8日間持続し、ICS1遺伝子の発現が上昇した状態は4日間持続した。この結果から、ペパーミントの香気成分によりコマツナの免疫が活性化した状態が、数日間持続することが分かった。
<実施例2:コマツナの免疫活性化に有効なペパーミントとの距離の確認>
実施例2では、コマツナの免疫活性化を実現するために有効なコマツナとペパーミントとの距離を確認した。
まず、ペパーミント1個体が植えられたポットからの距離5cm、50cm、及び100cmに、コマツナ1個体が植えられたポットを5個ずつ合計15個配置し、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間(光度:80μEm-2-1)、暗期8時間の条件下で、7日間生育した。
次に、予備実験と同様の防御遺伝子発現の解析方法を用いて、7日間生育後のコマツナのTI遺伝子及びICS1遺伝子の発現量を解析した。コントロールとしては、ペパーミントを配置せずに同条件で生育したコマツナを用いた。
実施例2の遺伝子発現解析の結果を図3に示す。図3の縦軸は、コントロールの遺伝子発現量を1とした場合の相対的な発現量である。図3に示すとおり、ペパーミントが植えられたポットから5cmの距離に配置したコマツナのみ、コントロールと比べTI遺伝子及びICS1遺伝子の発現量が有意に上昇した。この結果から、本実施例の条件下では、コマツナの免疫活性化に有効なペパーミントとの距離は、50cm以内にあることが分かった。
<実施例3:ペパーミントの香気成分によるグルコシノレートの産生促進効果の確認>
実施例3では、ペパーミントの香気成分を曝露させたコマツナのグルコシノレート合成酵素の遺伝子発現解析を行い、グルコシノレートの産生促進効果を確認した。
まず、ペパーミント1個体が植えられたポットから周囲5cmの距離に、コマツナ1個体が植えられたポットを5個配置して、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間(光度:80μEm-2-1)、暗期8時間の条件下で、7日間生育した。
次いで、予備実験と同様の遺伝子発現の解析方法を用いて、7日間生育後のコマツナに含まれるグルコシノレート合成酵素であるSOT5-αの遺伝子の発現量を解析した。但し、プライマーは、表2に示す塩基配列のものを使用した。コントロールとしては、ペパーミントを配置せずに同条件で生育したコマツナを用いた。
Figure 0007050276000002
実施例3の遺伝子発現解析の結果を図4に示す。図4の縦軸は、コントロールの遺伝子発現量を1とした場合の相対的な遺伝子発現量である。図4に示すとおり、SOT5-α遺伝子の発現量は、コントロールに比べ、約15倍上昇した。この結果から、ペパーミントの香気成分をコマツナに曝露させることにより、コマツナに含まれるグルコシノレートの産生が促進されることが分かった。
<実施例4:室内での害虫による食害の確認>
実施例4では、ペパーミントの香気成分をコマツナに曝露させた場合の、害虫による食害に対する効果について確認した。
ペパーミント1個体が植えられたポットから周囲5cmの距離に、コマツナ1個体が植えられたポットを5個配置して、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間(光度:80μEm-2-1)、暗期8時間の条件下で、7日間生育した。次いで、ペパーミントを撤去し、コマツナ1個体につき害虫1匹をコマツナの葉に載せ、上記と同じ条件下で、4日間飼育し、害虫の体重増加率を測定した。コントロールとして、ペパーミントを配置せず同条件で生育したコマツナの葉に載せた害虫の体重増加率を用いた。
害虫としては、孵化後7日程度のハスモンヨトウ(Spodoptera litura)(住化テクノサービス株式会社)の三齢幼虫を用いた。孵化後は、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間、暗期8時間の条件下で、人工飼料を与え飼育・継代した。
実施例4の害虫の体重増加率の結果を図5に示す。図5の縦軸は、コントロールの体重増加率を1とした場合の相対的な体重増加率である。図5に示すとおり、コントロールに比べ体重増加率が約30%減少している。この結果から、コマツナは害虫抵抗性を獲得していることが確認された。
<実施例5:野外での害虫によるコマツナの被食害率の確認1>
実施例5では、ペパーミントをコマツナの近傍に配置して混栽した場合の、害虫による食害に対する効果を確認した。
2016年4月に東京都葛飾区の野外に設置された温室にて、ペパーミント4個体の周囲0.5m、1m、及び2mの距離にコマツナを5個体ずつ合計15個体配置した。またコントロールとしては、ペパーミントの近傍で生育していないコマツナを、温室内の13m離れた場所に配置して、16日間栽培した。試験中は、定期的に水遣りを行い、植物が乾燥しないようにした。
16日後に、害虫により食害された葉の面積を確認し、損失した葉の面積から食害率を算出した。
実施例5の害虫によるコマツナの被食害率の結果を図6に示す。図6の縦軸は、元々の葉の面積100%に対して、食害のため損失した葉の面積の割合である。図6に示すとおり、全ての距離において、ペパーミントの近傍で生育していないコントロールのコマツナに比べ、害虫によるコマツナの被食害率が有意に低下した。ペパーミントの周囲0.5mの距離に配置したコマツナに関しては、コントロールに比べ被食害率が約半分に低下した。
<実施例6:野外での害虫によるコマツナの被食害率の確認2>
実施例6では、ペパーミント1個体が植えられたポットから周囲5cmの距離に、コマツナ1個体が植えられたポットを5個配置して、24±1℃、蛍光灯下で明期16時間(光度:80μEm-2-1)、暗期8時間の条件下で、7日間生育した。その後、コマツナのみを東京都葛飾区の野外に設置された温室内にランダムに定植して、16日間栽培した。また、上記と同じ条件で、ペパーミントの代わりにキャンディーミントの周囲でコマツナを生育した後、上記と同じ条件で、コマツナを16日間栽培した。
コントロールとして、ペパーミント又はキャンディーミントの香気成分を曝露させず、上記と同じ条件で生育したコマツナを用いた。試験中は、定期的に水遣りを行い、植物が乾燥しないようにした。上記の温室内での栽培は、2017年6月に実施された。
16日後に、害虫により食害された葉の面積を確認し、損失した葉の面積から食害率を算出した。
実施例6の害虫によるコマツナの被食害率の結果を図7に示す。図7の縦軸は、元々の葉の面積100%に対して、食害のため損失した葉の面積の割合である。図7に示すとおり、予めペパーミントの香気成分を曝露させたコマツナでは、害虫によるコマツナの被食害率は、コントロールに比べ半分以下に低下した。一方、予めキャンディーミントの香気成分を曝露させたコマツナでは、ペパーミントの場合と異なり、コントロールとの被食害率の有意な低下は確認できなかった。この結果から、ペパーミントの香気成分を曝露させたことにより、コマツナは害虫抵抗性を獲得したことが分かった。また、同じハッカ属であっても、キャンディーミントではコマツナに対する免疫活性化効果は確認できず、ミントの種類によって、免疫活性化作用が異なることが分かった。

Claims (4)

  1. アブラナ科植物の生育過程でペパーミントの香気成分を曝露させて、TI(トリプシンインヒビター)遺伝子及びICS1(イソコリスミ酸シンターゼ1)遺伝子の発現量を上昇させる、アブラナ科植物の免疫活性化方法。
  2. アブラナ科植物とペパーミントとを混栽することによりペパーミントの香気成分をアブラナ科植物に曝露させる請求項に記載の免疫活性化方法。
  3. アブラナ科植物がコマツナである請求項1又は2に記載の免疫活性化方法。
  4. アブラナ科植物の生育過程でペパーミントの香気成分を曝露させて、TI(トリプシンインヒビター)遺伝子及びICS1(イソコリスミ酸シンターゼ1)遺伝子の発現量を上昇させる、免疫が活性化されたアブラナ科植物の生産方法。
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