JP7049817B2 - 果汁含有飲料 - Google Patents
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Description
ところが果汁含有飲料において、特に果汁を多く含む場合や酸度の高い果汁を含む場合に、飲用した際に不快な刺激と嫌味を伴った飲み難さ(イガイガ感)があることがあり、このイガイガ感は、アルコールを含む場合により感じられるようになる傾向がある。
このようにイガイガ感を感じられるようなときには、飲料の嗜好性が低下してしまう。
本発明は、果汁含有飲料において、飲んだときにイガイガ感が感じられるのを抑制できる新規な技術を提供することを目的とする。
[1] 酢酸1-フェニルエチルを0.02~2.0ppm含む、果汁含有飲料。
[2] 酢酸オクチルをさらに含み、該酢酸オクチルの含有量が0.02~0.2ppmである[1]に記載の果汁含有飲料。
[3] 果汁含有率が10%以上である[1]または[2]に記載の果汁含有飲料。
[4] 果汁含有率が10%以上60%以下である[3]に記載の果汁含有飲料。
[5] 果汁が柑橘類の果物に由来する果汁である[1]から[4]のいずれか一つに記載の果汁含有飲料。
[6] 前記柑橘類がグレープフルーツまたはレモンである[5]に記載の果汁含有飲料。
[7] アルコールをさらに含有する[1]から[6]のいずれか一つに記載の果汁含有飲料。
[8] アルコールの含有量が1~10容積%である[7]に記載の果汁含有飲料。
[9] 炭酸ガスをさらに含有する[1]から[8]のいずれか一つに記載の果汁含有飲料。
[10] 果汁含有飲料において、その含有量が0.02~2.0ppmとなるように酢酸1-フェニルエチルを含有させることを含む、イガイガ感の抑制方法。
本実施形態は飲んだときにイガイガ感が感じられるのが抑制(以下、単に、イガイガ感抑制、ともいう)されている果汁含有飲料に関し、酢酸1-フェニルエチルを含有する。
なお、本明細書において、イガイガ感とは、飲料中の果汁に含まれる酸に由来する酸味および収斂味、さらに、ポリフェノール類やリモノイドなどに由来する苦味および渋味などにより発生する、上述のとおり、飲用した際に不快な刺激と嫌味を伴った飲み難さを意味する。
このうち、本発明に係る構成を適用することでイガイガ感をより抑制できるため、飲料中に柑橘類の果物に由来する果汁が含有されることが好ましく、柑橘類の中でもグレープフルーツ、レモンがより好ましい(すなわち、グレープフルーツ、レモン、またはこれらの混合果汁が含有されることが好ましい)。
また、果汁として市販のジュースや濃縮ジュース、ペーストなどを用い、本実施形態の飲料を調製するようにしてもよい。具体的には、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)で指定されたジュースや濃縮ジュースを挙げることができ、例えばこれらのうち1種または2種以上を本実施形態の果汁含有飲料調製のために用いることができる。
ここで、果汁含有率とは、果実等の食用部分を搾汁して得られ、濃縮等の処理を行っていない搾汁(ストレート果汁)のBrix値または酸度を100%としたときの、相対濃度である。また、本明細書においてBrix値は、JAS規格に基づき、試料の温度(液温度)20℃における糖用屈折計の示度をいう。Brix値の測定は、公知の方法、装置を用いて行うことができる。また、酸度は、100g中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(無水クエン酸g/100g)で表すことができる。酸度もまた、JAS規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
果汁含有率をBrix値または酸度のいずれに基づいて算出するかはJAS規格に基づき果物の種類ごとに定められている。例えば、グレープフルーツはBrix値に基づいて算出し、また、レモンは酸度に基づいて算出する。果汁含有率をJAS規格のBrix値に基づいて換算する場合、果汁に加えられた糖類、はちみつ等のBrix値は除いて算出される。
例えば、グレープフルーツについてはBrix値(Bx9°)に基づいて定めることができ、Brix値がBx54°の濃縮グレープフルーツジュースを飲料中5重量%配合した場合、30%の果汁率の飲料を得ることができる。
ここで、イガイガ感を抑えることができるとともに飲料のおいしさも改善することがきるため、酢酸オクチルをさらに含み、該酢酸オクチルの含有量が0.02~0.2ppm(より好ましくは0.02~0.1ppm、さらにより好ましくは0.02~0.07ppm)であることが好ましい。
また、酢酸1-フェニルエチル、酢酸オクチルの飲料における含有量の測定は例えばガスクロマトグラフィー質量分析法によって行うことができる。測定は例えば実施例に示す条件に基づいて行うことができる。
飲料のpHや酸度は適宜設定でき、特に限定されない。例えば、pHは2.5~4.5とすることができる。また、酸度は0.2~0.8とすることができる。なお、酸度は、国税庁所定分析法にて定められた酸度の測定方法に基づいて算出される。
また、本実施形態の果汁含有飲料は炭酸ガスを含有する炭酸飲料としてもよい。炭酸ガスを飲料中に含有させる方法は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。また、炭酸ガスの含有量(ガスボリューム)は特に限定されないが、例えば1.5~4.5とすることができる。本明細書中においてガスボリューム(G.V.)とは、炭酸飲料中の炭酸ガス量を表す単位を示し、標準状態(1気圧、20℃)における、炭酸飲料の体積に対する炭酸飲料中に溶解した炭酸ガスの体積の比を指す。このガスボリュームは、たとえば、京都電子工業社製ガスボリューム測定装置GVA-500Bを用いて測定することができる。より具体的には、試料温度を20℃とし、ガスボリューム測定装置にて、容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とうした後、このガスボリュームの測定を行うことができる。
また、本実施形態の果汁含有飲料はエタノールなどのアルコールを含有するアルコール飲料とすることができる。アルコールが含まれる場合の含有量は特に限定されないが、本発明に係る構成とすることでイガイガ感をより抑制することができるため、1~10容積%(より好ましくは3~10容積%)が好ましい。アルコール源として用いられるベース酒は特に限定されないが、蒸留酒を挙げることができる。蒸留酒としては、ウィスキー、ブランデー、焼酎、及びスピリッツ、及び原料用アルコール等が例示できる。
例えば、濃縮果汁を原料として用い、これを水で希釈する。炭酸飲料とする場合には、希釈に炭酸水を用いるようにしてもよい。次いで当該希釈液にその含有量が0.02~2.0ppmとなるように酢酸1-フェニルエチルを添加し、さらにその他必要に応じて加えられる成分を添加するなどして果汁含有飲料を調製する。
添加する順序などは特に限定されず、当業者が適宜設定できる。また、炭酸飲料とする場合、上記希釈において炭酸水を用いる方法のほか、容器に充填する前に所定のガスボリュームになるようにカーボネーションを行うことにより、炭酸飲料とすることもできる。
容器への封入方法などは特に限定されず、例えば常法に従って行うことができる。
容器も公知のものを適宜選択して用いることができ、素材や形状など特に限定されない。容器の具体例としては、例えば、紙容器、透明又は半透明のビン、PETボトル等の透明又は半透明のプラスチック容器、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶などが挙げられる。
また、容器詰飲料とするにあたり、必要に応じて殺菌等の工程を経て製造することができる。殺菌する方法は特に限定されず当業者が適宜設定でき、例えば、飲料を容器に充填した後に熱水シャワー殺菌等の加熱殺菌を行う方法や、飲料を殺菌してから容器に充填する方法などを挙げることができる。
[官能試験1]
1Lとする量の水に原料用アルコールを5v/v%、グレープフルーツ果汁をストレート換算で41w/v%配合し、さらに炭酸ガスを加えてガスボリュームを2.0に調整したベース液を作成した。本ベース液に酢酸1-フェニルエチル、酢酸オクチルを添加して、下記の表1、2に示す実施例、参考例、比較例の飲料を調製した。
表中、エキス分とは、飲料中に含まれる糖分(炭水化物)、タンパク質、アミノ酸、苦味質、不揮発性有機酸、ミネラル、ポリフェノール、色素成分などからなる不揮発性固形分を言い、国税庁所定分析法に従って算出される。また、酸度とは、クエン酸に換算した酸度を言い、国税庁所定分析法にて定められた酸度の測定方法に基づいて算出される。
各飲料における酢酸1-フェニルエチル(Cas.93-92-5)と酢酸オクチル(Cas.112-14-1)の含有量はガスクロマトグラフィー質量分析法による分析を行った(なお、同様の分析を官能試験2、3でも行った)。分析結果を飲料ごとに表に示す。また、分析条件を以下に示す。
1.0gの試料に対して100μLの内部標準(20ppm リナロール-d5)を添加した後に、超純水で50倍希釈した。希釈した試料の香気成分をTwisterに吸着(40℃、2時間)させ、二次元ガスクロマトグラフ質量分析(GC-GC/MS)分析を行い、内部標準添加法により定量を行った。
<GC条件>
装置:昇温気化型注入口(CIS4,Gerstel社製)、加熱脱着ユニット(TDU,Gerstel社製)、GC System(7890B、Agilent Technologies社製)、Mass Selective Detector(5977、Agilent Technologies社製)
LTMカラム(1st:DB-WAX,20m×0.18mm;0.3μm、2nd:DB-5,10m×0.18mm;0.4μm,Agilent Technologies社製)
TDU:20℃(1min)-(720℃/min)-250℃(3min)
CIS4:-50℃(1.5min)-(12℃/sec)-240℃(45min)
スプリット比:10:1
注入口圧:508.28kPa
1stカラム温度:40℃(3min)-(5℃/min)-180℃(0min)
2ndカラム温度:40℃(31min)-(5℃/min)-180℃(0min)
MSD:SCAN mode,m/z 29-230,20Hz,EI
試料は8℃でパネリストに提供した。各評価結果についてそれぞれ平均値を算出し、表に示した。
ベース液のグレープフルーツの果汁含有率を変更し、該ベース液に酢酸1-フェニルエチル、酢酸オクチルを添加して実施例9、10、11の果汁含有飲料を得た。
得られた実施例9、10、11の飲料について、実施例1~8と同様の官能試験を行った。対照としてベース液を用いた。結果を表3に示す。
1Lとする量の水に原料用アルコールを5v/v%、レモン果汁をストレート換算で13w/v%配合し、さらに炭酸ガスを加えてガスボリュームを2.0に調整したベース液を作成した。本ベース液に酢酸1-フェニルエチル、酢酸オクチルを添加して、実施例12の飲料を調製した。
得られた実施例12の飲料について、実施例1~8と同様の官能試験を行った。対照として、ベース液を用いた。結果を表4に示す。
Claims (3)
- その果汁含有率が10%以上60%以下で柑橘類の果物に由来する果汁を含み、さらに1~10容積%でアルコールを含有する果汁含有飲料であって、
酢酸1-フェニルエチルを0.02~2.0ppm含み、
酢酸オクチルを0.02~0.2ppm含む前記果汁含有飲料。 - 前記柑橘類がグレープフルーツまたはレモンである請求項1に記載の果汁含有飲料。
- 炭酸ガスをさらに含有する請求項1または2に記載の果汁含有飲料。
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