JP7049355B2 - 新規免疫刺激化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫系を刺激可能である新規マクロライド化合物を提供する。本発明は、特に細胞内細菌、真菌及び原虫感染の治療における、及び免疫系の刺激が有益である場合のウイルス性疾患、慢性炎症状態及び癌の同時処置における、医学での使用のための新規化合物に関する。本化合物は、ワクチン接種における免疫調節アジュバントとしても使用され得る。新規マクロライドは、免疫系の調整効果を最大化する一方で、治療上望ましくない直接的な抗菌効果を最小限に抑える。本発明はまた、本発明の化合物を調製するための方法、及び医学における本化合物の使用のための方法を提供する。
細胞内細菌、真菌及び原虫感染は、健常者では無症状であるように見えるため、又は症状が軽度なので感染者が医療支援を求める傾向がないため、健常者では診断されないことが多い。このように、細胞内感染が潜在的に持続し得るか、又は疾患状態に進行し得る。正常なT細胞機能を妨害する状態は通常、潜伏感染から疾患進行につながり、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)(Mtb)などの細胞内感染は、HIV感染がAIDSに進行した患者における一般的な死因である。このように、細胞内感染を処置する方法及び手段が当技術分野で大いに必要とされている。
Mtbなどの細胞内病原体は、単球及びマクロファージの細胞内区画内に隠れる能力があり、これにより持続感染が引き起こされる。Mtbは肺におけるCD4Tヘルパー細胞によって認識され、適切な応答が開始されるものの、系は菌を死滅させる免疫を作り出せない(MacMicking,2012)。宿主による免疫認識を逃れるために、MtbはCD4Tヘルパー細胞に対するMHCクラスIIポケットで提示されるMtbペプチドの認識を阻害する一連の機序を発達させてきた。Toll様受容体2はMtbによって阻害されることが実証されており、同様にして、IFN-γ誘導性MHCクラスII発現を阻害する(Noss 2001)。加えて、データから、おそらくインバリアント鎖関連機序によって、Mtbがファゴソームプロセシング及び成熟を阻害する能力を有することが示唆される(Ramachandra 2001)。したがって、Mtbにより産生される免疫回避因子ゆえに、Mtb由来のMHCクラスIIペプチドの正常な抗原プロセシング、搭載及び提示が損なわれる。
エンドソームリソソーム経路は、病原体を取り込み、それらを12~15aa長のペプチドにプロセシングし、ペプチドは、HLA-DMによるインバリアント鎖ペプチドCLIPの除去後、MHCクラスIIポケットに搭載されるように設計されている。抗原搭載後、CD4Tヘルパー細胞の特異的T細胞受容体に対する提示のための、細胞表面へのMHCクラスII-ペプチド複合体の輸送が起こる(Roche 2015)。最近、Mtbにより発現されるタンパク質EsxHは、輸送に必要なエンドソーム選別複合体(ESCRT)機構を直接阻害することが報告された(Portal-Celhay 2016)。EsxHは、抗原提示単球及びマクロファージがCD4Tヘルパー細胞を活性化する能力を阻害する。インタクトなESCRT機構はT細胞の抗原プロセシング、提示及び活性化に必要であると思われるので、EsxHは、MHCクラスII経路を妨害することによってMtb誘導性免疫回避を説明する連結部である。
MHCクラスII提示の重要性は、原発性免疫不全症(PID)の患者においても実証されている。IFNGR及びIL-12が関与するIFN-γ回路に欠陥があるPID患者は、TBC及び非定型マイコバクテリア感染に陥るリスクが高くなる。MHCクラスIIの発現はIFN-γの発現に依存し、IFN-γ発現により制御され、IFN-γ回路の欠陥の結果、MHCクラスII発現がさらに減少し、CD4Tヘルパー細胞の活性化が不十分となる。
トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)などの原虫は、偏性的な細胞内寄生生物として細胞内に隠れることによって免疫認識を回避するための機序を発達させてきた。この機序は、MHCクラスII発現の妨害を含み、したがって特異的なCD4Tヘルパー細胞に対して提示されるべきトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)の量が減少する。詳細な機序は、MHCクラスIIのIFN-γ誘導性発現を阻害するトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)によって発現される可溶性タンパク質に依存する(Leroux 2015)。
さらに、異なる真菌感染がMHCクラスII発現に依存することが実証されている。クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococos neoformans)は、HIVを含む免疫不全の患者において生命を脅かす脳感染を引き起こし得る。クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococos neoformans)感染のマウスモデルでの研究から、IFN-γ依存的に、ミクログリア細胞の活性化及びそれらのMHCクラスIIの上方制御が生存に不可欠であることが実証されている(Zhou 2007)。
したがって、Mtb及び他の細胞内細菌、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)などの原虫、又はクリプトコッカス(Cryptococcus)により代表される真菌によって誘発される免疫回避機序を克服するために、単球、マクロファージ、ミクログリア又は他の感染細胞の細胞表面でのMHCクラスII及びMHCクラスIの発現増加は、病原体の免疫認識及び排除に有益であると思われる。
エリスロマイシン及びアジスロマイシンなどのマクロライドは、細菌感染の処置に長年使用されてきた。エリスロマイシンは、放線菌サッカロポリスポラ・エリスレア(Saccharopolyspora erythraea)の発酵によって産生されるポリケチド天然物マクロライドである。アジスロマイシンは、エリスロマイシンの半合成アザライド誘導体である。エリスロマイシンなどのマクロライドの抗菌活性を記載する多くの参考文献が存在する。この抗菌機序は、分子が細菌の50S細菌リボソーム上のP部位に結合し、ゆえにtRNA結合を妨害することを通じて達成される。
多くの参考文献は、半合成及び生合成工学を介したエリスロマイシンの類似体の生成を記載している。特に、エリスロマイシン、デソサミン及びミカロース/クラジノース上のグリコシル基の半合成的除去のための方法が記載されている。別のグリコシル基をエリスロマイシンアグリコンに付加するための生体内変換について、さらなる方法が記載されている(例えば、Gaisserら、2000,Schellら、2008及び国際公開第2001079520号パンフレットを参照)。しかし、この公表されている研究の主な焦点は、抗菌性エリスロマイシン類似体を生成させることであった。
直接的な抗菌活性を欠くマクロライドからの免疫刺激活性は、以前は報告されていなかった。驚くべきことに、発明者らは、本発明の化合物(化合物1、図1)が、免疫系のいくつかの細胞型において強力な免疫刺激効果を有することを発見した。1μM化合物1による末梢血単核細胞(PBMC)のインビトロ刺激24~48時間後(図1)、CD4 T細胞及びB細胞において活性化マーカーCD69が上方制御された(図2)。発明者らは、T細胞及びB細胞におけるMHCクラスI分子(HLA-ABC)の上方制御も観察し(図3)、このことから、細胞内感染に由来する抗原の抗原提示における影響が示された。化合物1によるPBMC集団中の単球の刺激は、共刺激分子CD80ならびに抗原提示分子MHCクラスII(HLA-DR)の上方制御につながった(図4)。マクロファージに分化した単球は、化合物1による刺激に応答してCD80も上方制御した(図5)。さらに、化合物1で刺激したPBMCは、免疫抑制性サイトカインIL-10の産生増加を伴うサイトカインプロファイル変化を発現し、このことから、ある一定の条件下での免疫阻害効果が示された(図6)。フローサイトメトリーで測定して、化合物1の免疫学的効果をさらに分析したところ、6日間の刺激後の、T細胞のサイトカイン推進性増殖プロファイルの変化が明らかになった(図7)。さらに、ウイルス特異的T細胞増殖は化合物1により影響を受けた。サイトメガロウイルス(CMV)抗原及び化合物1の存在下で培養したCMV感染ドナー由来のPBMCは、IL-7受容体α(CD127)の発現増加とともに、活性化CMV特異的CD8+T細胞の表現型の変化を示した(図8)。CD127はT細胞のホメオスタシス、分化及び機能に非常に重要であり、発現の低下はHIV及び他の慢性ウイルス性疾患の重症度と相関する(Crawleyら、Sem Imm 2012)。要約すると、化合物1は、抗原提示、共刺激及びT細胞活性化及び増殖に影響を与えることにより、免疫応答を特異的に活性化及び修飾する驚くべき能力を有する。これらの研究の多くにおいて、化合物2、(化合物20として)以前にSchellら2008で発表された、グリコシル化が変化した別の関連マクロライドエリスロマイシン類似体は、本アッセイにおいて殆ど又は全く活性を示さなかったので含めた。
したがって、本発明の一態様において、本明細書中で定義されるような実質的な抗菌活性のない式(I)の免疫刺激マクロライド(化合物1としても知られる。)が提供される:
Figure 0007049355000001
式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオマーも本発明の範囲内である。
本発明の別の態様において、3-ヒドロキシル位置でグリコシル化する生体内変換株の培養物に式IIを有するアグリコンを添加することを含む、式(I)の化合物を作製するための方法が提供される。
Figure 0007049355000002
本発明の好ましい実施形態において、生体内変換株は、AngMII(配列番号1)又はAngMIII(配列番号2)に対して70%以上の相同性、例えば75%以上、80%以上、90%以上又は95%以上の相同性、例えば100%の相同性など、を有するグリコシルトランスフェラーゼを発現する。
2つのアミノ酸配列間又は2つの核酸配列間の相同性は、パラメーター「同一性」によって述べられる。配列のアライメント及び相同性スコアの計算は、例えばタンパク質及びDNAアライメントの両方に有用な、完全なSmith-Watermanアライメントを使用して行われ得る。初期設定のスコア行列BLOSUM50及び単位行列は、それぞれタンパク質及びDNAアライメントに使用される。ギャップにおける最初の残基に対するペナルティは、タンパク質に対しては-12、DNAに対しては-16であり、一方、ギャップにおける追加残基のペナルティは、タンパク質に対しては-2、DNAに対しては-4である。アライメントはFASTAパッケージバージョンv20u6で生成させ得る。タンパク質配列の多重アライメントは、「ClustalW」を使用して生成させ得る。タンパク質アライメントを鋳型として使用し、DNA配列からの対応するコドンでアミノ酸を置き換えて、DNA配列の多重アライメントを行い得る。あるいは、アミノ酸配列及びDNA配列を整列させるために異なるソフトウェアを使用し得る。2つのアミノ酸配列のアライメントは、例えばEMBOSSパッケージ(http://emboss.org)バージョン2.8.0からのNeedleプログラムを使用することにより決定される。使用される置換行列はBLOSUM62、ギャップ開始ペナルティは10、ギャップ伸長ペナルティは0.5である。
一般的な化学的方法
当業者は、本発明の化合物が、既知のように、様々な方法で調製され得ることを認識するであろう。以下の経路は、式(I)の化合物の合成に使用され得るいくつかの方法の単なる例示である。
1つの一般的な経路において、エリスロマイシンAに半合成操作を行い、アジスロマイシンを生成させる。この変換のための方法は公知であるが(米国特許第3478014号明細書;米国特許第4328334号明細書;米国特許第4474768号明細書;Glansdorpら、2008)、これらの経路又は他の経路での変形物が同じ目的に対して使用され得る。ミカロース/クラジノース及び/又はデソサミンは、グリコシド切断など、さらなる化学的方法によって除去される。簡潔に述べると、一方法において、酸での処理により糖を除去し得る。アミノ糖の除去を促進するために、最初にジメチルアミンを酸化してN-オキシドを形成させ、次いでこれを熱分解により除去することが必要である。次いで、結果として得られる5-O糖及び3-O糖を酸性分解により除去し得る。適切な方法は、LeMahieu(1974)及びDjokic,S.ら(1988)によって教示される。最後に、本化合物は、アミノ糖を付加する細菌株を使用して生体内変換される。
本発明の化合物の一般的使用
本明細書中に記載のような化合物は、医学、医学研究において、又はそのような使用のための組成物の製造において使用され得る。したがって、以下において、「本発明の化合物」という用語が医学的用途又は医薬組成物に関連して使用される場合、この用語は、この化合物が、このような用途について知られていないという条件で、式(I)の化合物を含むことも意図される。
本発明の化合物は、直接的な抗菌効果を最小限に抑えるように設計されているが、むしろ免疫活性化特性に焦点を合わせている。化合物1を細菌E.コリ(E.coli)、S.サリバリウス(S.salivarius)、L.カゼイ(L.casei)、B.ロングム(B.longum)又はM.ルテウス(M.luteus)の培養物に添加する場合、抗菌効果は全く認められないか又は最小限しか認められない。宿主細胞に影響を及ぼす単独の免疫刺激特性がある化合物を有することの長所は、細菌耐性の発達が回避されることである。さらに、下痢及び偽膜性大腸炎を引き起こすクロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)の過剰増殖のリスクを伴う、腸内細菌叢に影響を与えるマクロライドの周知の副作用が回避される。多くの細胞内病原体、例えばMtb、ならびにウイルス及び癌は、すなわち、T細胞による検出を回避するため、HLA発現を下方制御することによって、免疫認識を回避するための機序を発達させている。介入の本化合物の機序は、感染細胞でのHLA分子の活性化及び発現上昇に依存する。HLA分子は、感染細胞の排除を可能にするT細胞に対する認識シグナルを提示するために、細胞内感染病原体由来のペプチドを搭載し、提示する。
本明細書中で開示される本発明の化合物は、細胞内細菌、真菌及び原虫感染、例えば、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリアが引き起こす非定型疾患、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)及びM.イントラセルラーレ(M.intracellulare)(マイコバクテリウム・アビウム-イントラセルラーレ(Mycobacterium avium-intracellulare)複合体又はMACとしても知られる。)、M.カンサシ(M.kansasii)、M.マリヌム(M.marinum)、M.フォーチュイタム(M.fortuitum)、M.ゴルジナエ(M.gordinae)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、M.ゲニタリウム(M.genitalium)、M.ホミニス(M.hominis)、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)、U.パルブム(U.parvum)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)及びサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)により引き起こされる細菌感染など、例えばトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、プラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、P.ビバクス(P.vivax)、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)及びリーシュマニア(Leishmania)により引き起こされる原虫感染など、及びヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及びエンセファリトゾーン・クニクリ(Encephalitozoon cuniculi)により引き起こされる真菌感染などの処置において使用され得る。
本発明の化合物は、これらの感染が単独で、又はウイルス性病原体又はウイルス性疾患が付随して、又は原発性もしくは二次的免疫不全の他の原因が付随して起こる場合の、細胞内細菌、真菌及び原虫感染の処置に使用し得る。原発性免疫不全の原因としては、遺伝性の遺伝的欠損及び体細胞突然変異が挙げられるが、一方で二次的免疫不全は、上記のものなどのウイルス感染により、又は糖尿病などの遺伝性もしくは非遺伝性状態又は栄養失調により、又は免疫抑制剤などの薬剤、薬物乱用又は他の環境要因により引き起こされ得る。
さらに、本発明の化合物は、ウイルス病原体又は、ウイルス性疾患、例えばHIV、アデノウイルス、アルファウイルス、アルボウイルス、ボルナ病、ブニヤウイルス、カリシウイルス、コンジローマ・アクミナータ(Condyloma Acuminata)、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルス、デング熱ウイルス、伝染性膿瘡、エプスタイン-バーウイルス、伝染性紅斑、ハンタウイルス、ウイルス性出血熱、ウイルス性肝炎、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、伝染性単核球症、インフルエンザ、ラッサ熱ウイルス、麻疹、耳下腺炎、モルスクム・コンタギオサム(Molluscum Contagiosum)、パラミクソウイルス、サシチョウバエ熱、ポリオーマウイルス、リフトバレー熱、風疹、スローディジーズウイルス(Slow Disease Virus)、天然痘、亜急性硬化性全脳炎、腫瘍ウイルス感染、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、狂犬病ウイルス及び呼吸器合胞体ウイルスに感染している患者を処置する場合など、免疫応答刺激が有用である、疾患、障害、状態及び症状に対する処置又は同時処置として使用され得る。
さらに、本発明の化合物は、癌、特に副腎癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳/CNS腫瘍、乳癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、眼の癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭及び下咽頭癌、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、基底及び扁平上皮細胞皮膚癌、黒色腫、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症及びウィルムス腫瘍の同時処置での使用に適していることが企図される。
したがって、先行技術のマクロライドを超える本発明の化合物の有利な特性としては、以下のもの:
-直接的な抗菌活性の低下
-MHCクラスI刺激の改善
-免疫調節の改善
-抗原提示細胞の活性化の改善
-T細胞応答の改善
-抗ウイルス活性の改善
-MHCクラスII抗原提示の改善
のうち1つ以上が挙げられ得る。
本発明の化合物を含む医薬組成物
本発明はまた、1つ以上の薬学的に許容可能な希釈剤又は担体と一緒に本発明の化合物を含む医薬組成物も提供する。同様に、本発明はまた、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と一緒に本発明の化合物を含む少なくとも1つの医薬組成物を含む医療用キットも提供する。本発明はまた、1つ以上の美容上又は獣医学上許容可能な賦形剤と一緒に本発明の化合物を含む美容用又は獣医用組成物にも関する。
本発明の化合物又は本発明の化合物を含む医薬、美容もしくは獣医用組成物は、非経口、経口、局所、又は粘膜(頬、舌下、経皮、膣、直腸、鼻腔、眼などを含む。)を介して、医療装置(例えばステント)を介して、又は吸入によって、などであるが限定されない、何らかの従来の経路によって投与し得る。処置は、単回投与又はある期間にわたる複数回投与からなり得る。
本発明の化合物及び本発明の医薬組成物の投与計画は、問題となる化合物又は組成物の薬学的特性に応じて変動し得る。投与計画は、単回投与又は1回以上の期間にわたる複数回投与からなり得る。投与は、特定の用途、処置しようとする疾患及び、治療しようとする患者の体調及び特徴(性別、体重及び年齢など)に応じて、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、より少ない頻度、又はより多い頻度であり得る。処置はまた、連続投与、例えば点滴を介した静脈内投与又はデポーもしくは徐放製剤を介したものなどでもあり得る。
本発明の化合物をそのまま投与することは可能であるが、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と一緒にそれを医薬組成物として与えることが好ましい。賦形剤は、本発明の化合物と適合性があり、その受容者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。適切な賦形剤の例を以下でさらに詳細に記載する。
本医薬組成物は、単位剤型を含む適切な剤型で好都合に提供され得、薬学の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。このような方法は、本発明の化合物を1つ以上の賦形剤との会合に至らせる段階を含む。一般に、本医薬組成物は、本発明の化合物を賦形剤と均一かつ十分に混合し、次いで、必要に応じて、得られた組成物を、例えば錠剤に成形することにより調製される。
本発明の化合物は、通常、経口又はいずれかの非経口経路など、いずれかの従来の投与経路によって、本発明の化合物を含む医薬組成物の形態で、場合によっては薬学的に許容可能な塩の形態で、薬学的に許容可能な剤型で投与される。治療しようとする障害及び患者、ならびに投与経路に応じて、本医薬組成物は、様々な用量及び/又は頻度で投与され得る。
本医薬組成物は、製造及び保管の条件下で安定でなければならず;したがって、必要に応じて、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されるべきである。溶液、分散液、エマルジョン及び懸濁液などの液体処方物の場合、賦形剤は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油及びそれらの適切な混合物などであるが限定されない溶媒又は分散媒ならびに、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)及び植物油を含む溶媒又は分散媒であり得る。
例えば、本発明の化合物は、香味料又は着色剤を含有し得る、錠剤、カプセル剤、フィルム、坐剤(ovules)、エリキシル剤、液剤、エマルジョン又は懸濁剤の形態で、経口、頬側又は舌下投与され得る。
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、それぞれが所定量の本発明の化合物を含有する、カプセル、カシェ剤又は錠剤などの別個の単位として;例えば錠剤又はカプセル剤の形態で複数単位として;粉剤又は顆粒剤として;水性液体もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤として;又は水中油液体エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョンとして、提供され得る。本医薬組成物は、ボーラス、舐剤又はペーストとしても提供され得る。
経口投与に適した本発明の化合物の液剤又は懸濁剤は、水、アルコール、ポリオールなどを含む1つ以上の溶媒、ならびにpH調整剤、安定化剤、界面活性剤、可溶化剤、分散剤、防腐剤、香料などの1つ以上の賦形剤も含有し得る。具体例としては、N,N-ジメチルアセトアミド、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール及びPhosal50PG(ホスファチジルコリン、大豆脂肪酸、エタノール、モノ/ジグリセリド、プロピレングリコール及びパルミチン酸アスコルビルからなる。)が挙げられる。本発明の医薬組成物は、エマルジョンの形態でもあり得、ここで式(I)による化合物は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンなどのエマルジョンで提供され得る。油は、天然油もしくは合成油、又は何らかの油様物質、例えば大豆油又はベニバナ油又はそれらの組み合わせであり得る。
錠剤は、賦形剤、例えば、微結晶セルロース、ラクトース(例えばラクトース一水和物又は無水ラクトース)、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム及びグリシン、ブチル化ヒドロキシトルエン(E321)、クロスポビドン、ヒプロメロース、デンプンなどの崩壊剤(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及びある種の複合ケイ酸塩及び、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、マクロゴール8000、スクロース、ゼラチン及びアカシアなどの造粒結合剤を含有し得る。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクなどの滑沢剤が含まれ得る。
錠剤は、本発明の化合物を、場合によっては1つ以上の賦形剤とともに圧縮又は成形することにより作製され得る。圧縮錠剤は、適切な機械において、粉末又は顆粒などの自由流動形態の本発明の化合物を圧縮し、場合によっては結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤及び/又は分散剤と混合することにより調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化した本発明の化合物の混合物を適切な機械で成形することにより作製され得る。錠剤は、場合によっては、コーティングするか又は切れ目を入れてもよく、所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、それに含有される本発明の化合物の徐放又は制御放出を提供するためにさらに処理又は加工(treated of processed)し得る。
同様のタイプの固形医薬組成物は、ゼラチンカプセル中の充填剤としても使用され得る。これに関して好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液及び/又はエリキシルの場合、本発明の化合物は、様々な甘味料又は香味料、着色物質又は染料と、乳化剤及び/又は懸濁剤と、及び水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンなどの希釈剤及びそれらの混合物と組み合わせられ得る。
口腔での局所投与に適した本発明の医薬組成物としては、風味付けされた基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中で本発明の化合物を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤中で本発明の化合物を含むトローチ;及び適切な液体担体中に本発明の化合物を含む洗口液が挙げられる。
局所投与に適合した本発明の医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁剤、ローション、粉剤、液剤、ペースト、ゲル、含浸包帯、スプレー、エアロゾル又は油、経皮装置、散布剤などとして調製され得る。このような組成物は、本発明の化合物を含有する従来の方法を介して調製され得る。したがって、それらはまた、保存剤、薬物浸透を助ける溶媒、クリーム又は軟膏中の皮膚軟化剤及びローション中のエタノール又はオレイルアルコールなどの適合性の賦形剤も含み得る。賦形剤は、本組成物の約1%w/w~約98%w/wを構成し得る。好ましくは、賦形剤は、本組成物の約80%w/w以下を構成する。単なる例示として、クリーム又は軟膏は、所望の粘稠度を有するクリーム又は軟膏を生成させるのに十分な量で、約5~10%w/wの化合物を含有する十分な量の親水性物質及び水を混合することにより調製される。
経皮投与に適合した本発明の医薬組成物は、長期間にわたり受容者の表皮と密接に接触したままであることが意図された個別のパッチとして与えられ得る。例えば、本発明の化合物は、イオン導入によりパッチから送達され得る。
外部組織、例えば口及び皮膚への適用のために、本発明の医薬組成物は、好ましくは局所軟膏又はクリームとして適用される。軟膏中で処方される場合、本発明の化合物は、パラフィン又は水混和性の軟膏基剤のいずれかとともに使用され得る。
あるいは、本発明の化合物は、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤とともにクリーム中で処方され得る。
非経口投与の場合、本発明の化合物と、水、アルコール、ポリオール、グリセリン及び植物油などであるが限定されず水が好ましい無菌ビヒクルと、を含む液体単位剤型が調製される。本発明の化合物は、使用されるビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中で、コロイド状にし得るか、懸濁し得るか、又は溶解し得るかのいずれかである。溶液の調製において、本発明の化合物を注射用水中で溶解させ、適切なバイアル又はアンプルに充填して密封する前に、濾過滅菌し得る。
有利には、局所麻酔薬、保存剤及び緩衝剤などの薬剤をビヒクル中で溶解させ得る。安定性を高めるために、バイアルに充填した後、医薬組成物を凍結させ得、次いで真空下で水を除去し得る。次いで、乾燥した凍結乾燥粉末をバイアル中で密封し、使用前に液体を再構成するために付随の注射用水バイアルを供給し得る。
注射用途に適した本発明の医薬組成物は無菌水溶液又は分散液を含む。さらに、このような医薬組成物は、そのような無菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための無菌粉末の形態であり得る。全ての場合において、最終注射形態は無菌でなければならず、容易な注射針通過可能性のために効果的に流動性でなければならない。
非経口懸濁液は、本発明の化合物を溶解させる代わりにビヒクル中で懸濁し、滅菌が濾過によって達成され得ないことを除いて、溶液と実質的に同じように調製される。本発明の化合物は、無菌ビヒクル中で懸濁する前にエチレンオキシドに曝露することにより滅菌し得る。有利には、本発明の化合物の均一な分布を促進するために、界面活性剤又は湿潤剤が本医薬組成物中に含まれる。
上記で特に言及した成分に加えて、本発明の医薬組成物は、問題の処方物のタイプを考慮して、当技術分野で従来のものである他の薬剤を含み得ることを理解されたい。例えば、経口投与に適した医薬組成物は、香味料を含み得る。当業者は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,Mack Publishing Company,1990又はその最新版からの指針に基づいて、適切な処方物を選択する方法及びそれを調製する方法を知っている。当業者はまた、適切な投与経路及び投与量を選択する方法も知っている。
本発明の化合物の個々の投与量の最適な量及び間隔は、処置される状態の性質及び程度、投与の形態、経路及び部位及び処置される特定の対象の年齢及び状態によって決定され、医師が最終的に使用しようとする適切な投与量を決定することは当業者により認められる。この投与量は必要に応じて何度も繰り返し得る。副作用を発症した場合、通常の臨床業務に従って、投与量及び/又は投与頻度を変更し得るか又は減少させ得る。
文脈上別段の要求がない限り、本明細書中で言及される%値は全て%w/wである。
定義
冠詞「a」、「an」及び「the」は、本明細書中で、冠詞の文法的対象の1つ以上(すなわち少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「類似体」は、1つの類似体又は複数の類似体を意味する。
本明細書で使用される場合、「本発明の化合物(compound(s) of the invention)」という用語は交換可能に使用され、式(I)の化合物を指す。
本明細書中で使用される場合、「直接的な抗菌効果」という用語は、細菌のrRNA複合体への結合を通じて生じるエリスロマイシン及び類似体の抗菌活性を指す。この効果は、何れの宿主免疫系成分の存在も必要とせず、したがって、インビトロ最小阻害濃度(MIC)アッセイ及びディスク阻害アッセイなどの標準的な抗菌アッセイにおいて明らかである。
本明細書中で使用する場合、「実質的な抗菌活性なく」という用語は、E.コリ(E.coli)、S.サリバリウス(S.salivarius)、L.カセイ(L.casei)及びB.ロングム(B.longum)におけるその抗菌活性について本明細書中の例2に従って試験した場合、本発明の化合物のMIC値が>64μg/mLであることを意味するものとする。
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩としては、薬学的に許容可能な無機もしくは有機酸又は塩基から形成される従来の塩、ならびに四級アンモニウム酸付加塩が挙げられる。適切な酸性塩のより具体的な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パルモイック酸(palmoic)、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステロイック酸(steroic acid)、タンニンなどが挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容可能ではないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容可能な塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において有用であり得る。適切な塩基性塩のより具体的な例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカイン塩が挙げられる。
マクロライド、エリスロマイシンA、化合物1、化合物2、化合物3及びEM703の構造。 T細胞及びB細胞でのCD69上方制御。PBMCを化合物1、化合物2及び活性化対照LPS及びIFN-γで24時間処理した。初期活性化マーカーCD69の発現は、フローサイトメトリーでCD4+T細胞集団(左)及びCD19+B細胞集団(右)において測定した。値は、3つ組の試料における、平均蛍光強度、MFI及びエラーバー標準偏差を表す。 T細胞及びB細胞でのHLA-A、B、C上方制御。PBMCを化合物1又は2及び活性化対照LPS及びIFN-γで24時間処理した。HLA-A、B、Cの発現は、フローサイトメトリーでCD4+T細胞集団(左)及びCD19+B細胞集団(右)において測定した。値は、3つ組の試料における、平均蛍光強度、MFI及びエラーバー標準偏差を表す。 血液単球でのCD80及びHLA-DRの上方制御。PBMCを化合物1又は2ならびに活性化対照LPS及びIFN-γで24時間処理した。CD80及びHLA-DRの発現は、フローサイトメトリーで単球細胞集団において測定した。値は、3つ組の試料における、平均蛍光強度、MFI及びエラーバー標準偏差を表す。 血液単球でのCD80上方制御。PBMCを化合物1又は2ならびに活性化対照IFN-γで24時間処理した。CD80の発現は、フローサイトメトリーで単球細胞集団において測定した。値は、3つ組の試料における、平均蛍光強度、MFI及びエラーバー標準偏差を表す。 ELISAで測定した、化合物1での48時間又は1週間にわたる刺激後のPBMCからのIL-10の産生。 増殖色素(proliferation dye)Celltrace violet(Invitrogen)及びフローサイトメトリーで測定した、化合物1での6日間の刺激後のCD4 T細胞増殖。未処理細胞(UNT)又は化合物2を対照として使用した。 フローサイトメトリーで測定した、化合物1との温置後のCMV特異的CD8 T細胞上のIL-7受容体α(CD127)の上方制御。 化合物1又は2の存在下又は非存在下で5日間、CMVペプチドを用いて増殖させたPBMC由来(CMV+ドナー由来)のインターフェロンγ分泌(サイトメトリービーズアッセイにより測定した場合)。 指定された化合物で48時間刺激したマクロファージからのインターフェロンγ分泌(サイトメトリービーズアッセイにより測定した場合)。 指定された化合物で48時間刺激したPBMC又はマクロファージからのケモカインRANTES分泌(サイトメトリービーズアッセイにより測定した場合)。 指定された化合物で48時間刺激したPBMC又はマクロファージからのIL12p70分泌(サイトメトリービーズアッセイにより測定した場合)。 指定された化合物で48時間刺激したPBMC、マクロファージ又はCD4 T細胞からのIL 1b分泌(サイトメトリービーズアッセイにより測定した場合)。 指定された用量の化合物1を24時間前に注射したC57bl/6マウスの血中の%CD25high細胞。CD25発現は、フローサイトメトリーにより測定した。 指定された化合物を24時間前に注射した3匹の個別のC57bl/6マウスの脾臓における%MHCクラスI高CD11b+細胞。MHCクラスI及びCD11bの発現は、フローサイトメトリーにより測定した。
実験
材料
別段の指示がない限り、以下の例で使用する試薬は全て、市販品を入手する。
抗体
抗CD80 V450、抗CD69 PE、抗HLA-DR APC-R700、抗CD127-APC及び抗抗HLA-A、B、C FITCはBD Biosciencesから購入した。T細胞増殖アッセイ用のCelltrace violetは、Invitrogenから購入した。ELISA抗体はBD Biosciencesから購入した。
培地
25mM HEPES、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、10%ウシ胎児血清(Gibco)、100μg/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンを補給したRPMI-1640(Invitrogen)。
一般的な生物学的方法
免疫刺激に対する本発明の化合物の効果は、以下に記載の方法の1つ以上を使用して試験し得る:
一般的な化合物の方法
化合物分析-溶液中の溶解度及び安定性
発酵ブロス及び化合物の分析
以下に記載のように得られた発酵ブロスのアリコートを、等体積の酢酸エチルとともに30分間激しく振盪し、次いで遠心分離によって分離するか、又は既に単離された化合物をメタノール:水(9:1、0.1mg/mL)中で溶解させ、次に遠心分離によって分離した。上清をLC-MS及びLC-MS/MSにより分析し、40℃で加熱したLuna HPLCカラム(250×4.6mm;Phenomenex(Macclesfield,UK))を使用して、塩基不活性化Luna C18逆相シリカ(粒径5ミクロン)でクロマトグラフィーを行った。クォータナリポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン及び、Bruker EsquireイオントラップMSに接続されたダイオードアレイ検出器から構成されるAgilent 1100 HPLCシステム。
移動相A=水中0.1%ギ酸
移動相B=アセトニトリル中0.1%ギ酸
勾配:T=0分、B=50%;T=4.5分、B=50%;T=7分、B=100%;T=10.5分、B=100%;T=10.75分、B=50%;T=13分、B=50%。
化合物はLC-MS及びLC-MS/MSにより同定し、LC-MS/MSにより内部標準に対して定量した。
フローサイトメトリーによるマーカー発現の分析
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、Ficoll-Paque密度遠心分離で健常ドナーから精製した。37℃、5%COで24~72時間にわたり、25mM HEPES、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10%ウシ胎児血清、100μg/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone)を補給した完全RPMI-1640培地(Invitrogen)中で細胞を培養し、漸増濃度の化合物1及び2で刺激した。次に、細胞をPBS中で洗浄し、細胞表面マーカーに特異的なモノクローナル抗体(BD Pharmingen)で染色し、BD FACS Canto IIフローサイトメーターを使用してフローサイトムトリー(flow cytomtery)で分析した。全試料を2つ組で試験した。
サイトメガロウイルス(CMV)培養
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、Ficoll-Paque密度遠心分離で健常CMV陽性ドナーから精製した。PBMCは、PBS中の5μM celltrace violet(Invitrogen)で15分間標識し、次いで完全細胞培養培地で洗浄した。37℃、5%COで6~8日間、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10%ウシ胎児血清、100μg/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone)を補給したAIM-V培地(Invitrogen)中で、CMV pp65タンパク質にまたがるペプチドライブラリ(1μgペプチド/mL、JPT)の存在下で標識PBMCを培養した。BD FACS Canto IIフローサイトメーターを使用して、フローサイトメトリーで細胞増殖を評価した。
ELISA
完全RPMI培地中、37℃、5%COで、2.5μMの化合物1及び100U/mLのIL-2(Miltenyi Biotechnologies)とともに48時間及び7日間温置した後、上清IL-10を標準的なサンドイッチELISA(抗体は全てBD Biosciencesより)で測定した。
TLR2アッセイ
試料及び対照は、標準的なアッセイ条件を使用したInvivogenでの細胞レポーターアッセイを使用して、組み換えHEK-293-TLR細胞株上で二つ組で試験した。これらの細胞株は、ヒトTLR2タンパク質ならびに分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)であるレポーター遺伝子を機能的に過剰発現する。このレポーター遺伝子の産生は、NFκB誘導性プロモーターによって推進される。TLRレポーター細胞株の活性化の結果は、陰性対照と比較した、光学密度値として与える(OD)。
20μLの各試験品を使用して、200μLの最終反応体積でhTLR2レポーター細胞株を刺激した。少なくとも2つの試験濃度-20μM及び10μMで試料を2つ組で試験した。
細胞透過性の評価(双方向)
Caco-2細胞単層の先端(A)面に10μMの試験品を添加し(37℃の、0.3%DMSO及び5μM LY入りのHBSS緩衝液中)、90分間の温置後に側底(B)区画への化合物透過性を測定した。能動輸送を調べるために逆方向(側底から先端側)でもこれを行った。試験化合物及び標準対照化合物の両方のレベルを定量化するためにLC-MS/MSを使用する。流出比は、BからAへの透過性をBからAへの透過性により除することによって計算した。
薬物透過性:Papp=(VA/(面積×時間))×([薬物]アクセプター/(([薬物]初期、供与体)×希釈係数)。
代謝安定性の評価(ミクロソーム安定性アッセイ)
ミクロソームにおける代謝率は次のように試験した:
ヒト肝臓ミクロソームを緩衝液C(0.1Mリン酸カリウム緩衝液、1.0mM EDTA、pH7.4)で2.5mg/mLの濃度に希釈した。ミクロソーム安定性試験は、30μLの1.5μM化合物添加溶液をウェルに(1.5μLの500μM添加溶液(10μLの10mM DMSO保存溶液を190μL ACNに添加して最終的に1μMの最終試験濃度にする。)及び18.75μLの20mg/mLの肝臓ミクロソームを479.75μLの緩衝液Cに)添加することにより行った。全試料を37℃でおよそ15分間予備温置した。これに続いて、穏やかに混合しながら15μLのNADPH溶液(6mM)を添加することにより反応を開始させた。アリコート(40μL)を0、5、15、30及び45分で取り出し、内部標準を含有するACN(135μL)でクエンチした。タンパク質を遠心分離(4000rpm、15分)により取り出し、LC-MS/MSにより化合物濃度について試料プレートを分析した。次に、標準的方法により半減期を計算し、分析物の濃度を元来存在する量と比較した。

例1
化合物1の生成
az-AGの生成
アジスロマイシンアグリコンは、文献(Djokic,S.ら1988)に記載の方法を使用して作製した。簡潔に述べると、アジスロマイシンは3-O及び5-O糖の酸性除去によりアジスロマイシンアグリコンに変換される。5-Oアミノ糖を最初に酸化し、熱分解して開裂を促進する。
エリスロマイシンアグリコン(エリスロノリド)をグリコシル化可能な生体内変換株の作製
S.エリスレア(S.erythraea)18A1(pAES52)の作製
angAI、angAII、angCVI、ang-orf14、angMIII、angB、angMI及びangMIIをactII-ORF4 pactI/III発現系(Roweら、1998)とともに含有する発現プラスミド、pAES52を以下のように作製した。
アンゴラマイシン糖生合成遺伝子は、American Type Culture Collection(Manassas,Virginia,USA)から入手したS.ユーリセルムス(S.eurythermus)ATCC23956株のコスミドライブラリから増幅させた。生合成遺伝子クラスター配列は、EU038272、EU220288及びEU232693として寄託された(Schellら、2008)。
生合成遺伝子カセットを前述のようにベクターpSG144において構築し(Schellら、2008,ESI)、糖生合成に必要な8個が得られるまで連続遺伝子を追加し、プラスミドpAES52を作製した。
pAES52を18A1株に形質転換した(国際公開第2005054265号パンフレット)。
S.エリスレア(S.erythraea)18A1へのpAES52の形質変換
標準的方法を使用して、S.エリスレア(S.erythraea)18A1に、プロトプラストにより、pAES52を形質転換した(Kieserら、2000、Gaisserら、1997)。得られた株はISOM-4522と命名し、2017年1月24日にNCIMBにおいて受入番号NCIMB42718で寄託された。
S.エリスレア(S.erythraea)SGT2の作製(pAES54)
actII-ORF4 pactI/III発現系(Roweら、1998)とともにangAI、angAII、angCVI、ang-orf14、angMIII、angB、angMI及びangMIIを含有する発現プラスミド、pAES54を以下のように作製した。
アンゴラマイシン糖生合成遺伝子は、American Type Culture Collection(Manassas,Virginia,USA)から入手したS.ユーリセルムス(S.eurythermus)ATCC23956株のコスミドライブラリから増幅させた。生合成遺伝子クラスター配列は、EU038272、EU220288及びEU232693として寄託された(Schellら、2008)。
生合成遺伝子カセットを前述のようにベクターpSG144において構築し(Schellら、2008,ESI)、糖生合成に必要な8個が得られるまで連続遺伝子を追加し、プラスミドpAES52を作製した。
プラスミドpAES54は、actII-ORF4 pactI/IIIプロモーター系を含有する11,541bp SpeI-NheI断片を連結することによって作製され、pGP9からの5,087bpのXbaI-SpeI断片とともに、8個のang遺伝子がpAES52から切り出され、これは、アプラマイシン耐性遺伝子、oriC、放線菌における移入のためのoriT及び統合型形質転換のためのattP部位を有するphiBT1インテグラーゼを含有する。(適合性のNheI及びXbaI部位をライゲーション中に削除した。)
次に、pAES54をS.エリスレア(S.erythraea)SGT2に形質転換した(Gaisserら、2000,国際公開第2005054265号パンフレット)。
S.エリスレア(S.erythraea)SGT2へのpAES54の形質転換
標準的方法を使用して接合によりS.エリスレア(S.erythraea)SGT2にpAES54を移入した。簡潔に述べると、標準的な手順を介してE.コリ(E.coli)ET12567 pUZ8002に対してpAES54で形質転換を行い、アプラマイシン(50μg/mL)、カナマイシン(50μg/mL)及びクロラムフェニコール(33μg/mL)選択で2TY上に広げた。このプレートを37℃で一晩温置した。これ由来のコロニーを使用して、新鮮な液体2TY培養物を用意し、これを対数期後期に達するまで37℃で温置した。細胞を回収し、洗浄し、S.エリスレア(S.erythraea)SGT2の胞子と混合し、R6のプレート上に広げ、28℃で温置した。24時間後、これらのプレートに3mgアプラマイシン及び2.5mgナリジクス酸を含有する1mLの滅菌水を重ね、28℃でさらに5~7日間温置した。このプレート上の接合完了体を、アプラマイシン(100μg/mL)を含有するR6の新鮮なプレートに移した。
代替的な生体内変換株
あるいは、BIOT-2945(Schellら、2008)を生体内変換株として使用し得るが、それは、これによってもまたアンゴロサミンがエリスロノリドに付加されるからである。
アジスロマイシンアグリコンの生体内変換
SV2培地(40mL)及び8μLチオストレプトン(25mg/mL)を含有するエーレンマイヤーフラスコ(250mL)に、ISOM-4522株の胞子ストック0.2mLを接種し、30℃で温置し、2.5cmスロー(throw)を用いて300rpmで48時間振盪した。
Figure 0007049355000003
EryPP培地(7mL)を含有する無菌のバンジされた(bunged)ファルコンチューブ(50mL)を準備し、抗生物質不含の種フラスコからの培養物(ファルコンチューブあたり0.5mL)を接種した。ファルコンチューブを30℃で温置し、24時間2.5cmスロー(throw)を用いて300rpmで振盪した。
Figure 0007049355000004
24時間後、アジスロマイシンアグリコン(DMSO中0.5mM、50μL)を各ファルコンチューブに添加し、さらに6日間、2.5cmスロー(throw)を用いて300rpmで温置を続けた。
化合物1の単離
全ブロスをpH9.5に調整し、1体積の酢酸エチルで2回抽出した。遠心分離(3,500rpm、25分)後、吸引により有機層を回収した。有機層を合わせ、真空下で減量したところ、化合物1を含有した茶色のゴム状物質が出現した。この抽出物を酢酸エチル(200mL)と塩化アンモニウム水溶液(20mLの50%濃縮溶液)との間で分配した。分離後、有機層をさらなる体積(200mL)の塩化アンモニウム水溶液で抽出した。次に、合わせた水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整し、次いで1体積当量の酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、真空下で減量して茶色の固形物を得た。次に、この抽出物をシリカカラムに適用し、次のもので段階的に(500mLロットで)溶出した。
Figure 0007049355000005
化合物1は主にF及びGにあった。これらの溶媒を合わせ、真空下で減量し、化合物1を含有する茶色の固形物を得た。次に、この物質を分取HPLC(C18 Gemini NXカラム、Phenomenex、溶媒として20mM酢酸アンモニウム及びアセトニトリル使用)により精製した。標的化合物を含有する分画をプールし、乾固させ、その後C18 SPEカートリッジ上で脱塩した。
例2
直接的な抗菌活性の評価
最小阻害濃度(MIC)アッセイを使用して、一般的な腸内細菌(エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種サリバリウス(Streptococcus salivarius subsp. salivarius)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)及びビフィドバクテリウム・ロングム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.infantis)及び一般的な哺乳類の皮膚分離株ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)の4種類の菌株に対するマクロライド化合物の生物学的活性を評価した。NCIMBから入手したM.ルテウス(M.luteus)を除き、DSMZ(Brunswick,Germany)から細菌株を購入し、-80℃にて20%グリセロール中で保存した。陽性対照(アジスロマイシン及びエリスロマイシン)及び試験化合物1及び2の保存溶液(100%DMSO)をブロス中で希釈して、256μg/mLの作業用ストック濃度にした(最終アッセイ試験濃度は128μg/mL~0.00391μg/mLの範囲)。全ての他の化合物の保存溶液をブロス中で希釈して、128μg/mLの作業用ストック濃度にした(最終アッセイ試験濃度は64μg/mL~0.00195μg/mLの範囲)。37℃にて好気的に温置したM.ルテウス(M.luteus)を除き、細菌株を37℃にて嫌気性チャンバーにおいて適切なブロス中で培養した。18時間培養物をブロス中でOD595が0.1になるように希釈し、次いでさらに1:10希釈した。96ウェルプレートにおいて、二つ組で、試験化合物の200μLの作業用ストックをウェル1に移し、ブロス中で連続希釈(1:2)した。100μLの細菌懸濁液を各ウェルに分注し、完全に混合した。適切な無菌対照を含め、プレートを嫌気性チャンバー中で、又は好気的に(M.ルテウス(M.luteus))37℃で18時間温置した。MICは、目に見える増殖がない最初のウェル中の試験化合物の濃度であるものとした。
Figure 0007049355000006
表1で示されるデータから見られ得るように、化合物1、は、試験した菌株の何れに対しても抗菌活性を示さないが、一方でエリスロマイシン及びアジスロマイシンは、多くの株に対して強力な活性を示す。
例3
免疫刺激活性の評価
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、Ficoll-Paque密度遠心分離で健常ドナーから精製した。25mM HEPES、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10%ウシ胎児血清、100μg/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone)を補給した完全RPMI-1640培地(Invitrogen)中で細胞を培養した。組織培養プレート中の化合物1及び2の濃度を上昇させ、37℃、5%COで24時間(試験1~4)又は48時間~1週間(試験5)、細胞を刺激した。細胞をプレートから取り出し、PBSで洗浄し、BD Pharmingenからのモノクローナル抗体及びFACS Canto IIフローサイトメーターを使用したフローサイトメトリーで、細胞特異的表面マーカー及びMHCクラスIの発現について分析した。
完全RPMI培地中、37℃、5%COで、2.5μMの化合物1及び100U/mLのIL-2(Miltenyi Biotechnologies)とともに48時間及び7日間温置した後、上清IL-10を標準的なサンドイッチELISA(抗体は全てBD Biosciencesより)で測定した。
試験1:1μM化合物1による末梢血単核細胞(PBMC)の24時間のインビトロ刺激後(図1)、CD4+T細胞及びB細胞において活性化マーカーCD69が上方制御された(図2)。
試験2:発明者らは、T細胞及びB細胞における分子MHCクラスI(HLA-ABC)の上方制御も観察し(図3)、このことから、ウイルス抗原の抗原提示における影響が示された。
試験3:化合物1によるPBMCの刺激は、単球における、共刺激分子CD80ならびに抗原提示分子MHCクラスII(HLA-DR)の上方制御につながった(図4)。
試験4:マクロファージに分化した単球は、化合物1による刺激に応答してCD80も上方制御した(図5)。
試験5:48時間及び7日間、化合物1で刺激したPBMCは、サンドイッチELISAで測定して、免疫抑制性サイトカインIL-10の産生増加を伴うサイトカインプロファイル変化を発現した。これは、ある一定の条件下での免疫抑制効果を示す(図6)。
試験6:PBMCを化合物1で刺激し、IL-2(Miltenyi Biotechnologies)及びCell Trace Violet Dye(Invitrogen)の存在下にてRPMI培地中で6日間培養した。フローサイトメトリーにより増殖を測定した。化合物1の免疫学的効果を分析したところ、T細胞のサイトカイン推進性の増殖プロファイルの変化が明らかになった(図7)。
試験7:CMVウイルス特異的T細胞増殖も化合物1により影響を受けた。サイトメガロウイルス(CMV)抗原及び化合物1の存在下で6日間にわたり培養したCMV感染ドナー由来のPBMCは、フローサイトメトリーで測定して、IL-7受容体α(CD127)の発現増加とともに、活性化CMV特異的CD8+T細胞の表現型の変化を示した(図8)。CD127はT細胞のホメオスタシス、分化及び機能に非常に重要であり、発現の低下はHIV及び他の慢性ウイルス性疾患の重症度と相関する(Crawleyら、Sem Imm 2012)。
見られ得るように、化合物1は、抗原提示、共刺激及びT細胞活性化及び増殖に影響を与えることにより、免疫応答を特異的に活性化及び修飾するという驚くべき能力を有する。これらの研究の多くにおいて、化合物2、(化合物20として)以前にSchellら2008で発表された、グリコシル化が変化した別の関連マクロライドエリスロマイシン類似体が含まれ、本アッセイでは活性を殆ど又は全く示さなかった。
試験8:未処理であるか又は化合物1もしくは化合物2に3日間曝露したかのいずれかでの、CMV抗原の存在下で培養したCMV感染ドナーからのPBMC。化合物1への曝露は、高レベルのIFN-γの分泌を誘導したが、一方で抗原培養単独又は化合物2と合わせられた抗原は、IFN-γ分泌を誘導しなかった(図9)。
試験9:化合物1又は2に48時間曝露した、健常ドナーからのマクロファージ。化合物1に曝露されたマクロファージのみがIFN-γを分泌し、一方で未処理マクロファージ及び化合物2に曝露したマクロファージはIFN-γを分泌しなかった(図10)。したがって、化合物1は、健常ドナーからのマクロファージにおいIFN-γ分泌を誘導可能である。
試験10:化合物1又は2に2日間にわたり曝露したPBMC及びマクロファージ(図11)。PBMCでのRANTESの基底発現は、化合物2による影響を受けなかったが、一方で化合物1は発現の2倍の上方制御を誘導した。RANTESの発現はマクロファージではごく僅かであり、化合物1は高発現を誘導した。
試験11:化合物1及び2に2日間にわたり曝露したPBMC及びマクロファージ。PBMC及びマクロファージは化合物1に応答してIL-12p70を分泌したが、一方で化合物2は未処理細胞を超える分泌を誘導できなかった(図12)。
試験12:化合物1及び2に2日間にわたり曝露したPBMC、マクロファージ及びCD4+T細胞。IL-1β分泌は、化合物1により、マクロファージでは増加し、PBMCでは僅かに増加し、一方でCD4+T細胞ではIL-1βは誘導されなかった(図13)。
試験13:0.165mg/kg~5mg/kgで化合物1をC57bl/6マウスにi.v.投与した。同じ群中の体重と同様に(示さない。)、5mg/kgの最大用量を投与した動物ではCD25+細胞の量が増加した(図14)。
試験14:化合物1又は2をC57bl/6マウスにi.v.投与した。24時間後、脾臓を摘出し、CD11b+脾臓細胞でのMHCクラスI発現を評価したところ、化合物1は、高いMHC I発現を伴う脾臓細胞の増加を誘導したが、一方で化合物2を注射したマウスからの脾臓細胞では効果は観察されなかった。
例4
TLR2に対する活性の評価
TLR2受容体の刺激について測定したTLR2レポーターアッセイ(一般的な方法を参照)を使用して、化合物を試験した。刺激効果は、分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の放出による陰性対照と比較した場合の光学密度の上昇(OD)として測定し、表2で示す。
Figure 0007049355000007
見られ得るように、化合物1は5μMまで下げた濃度でTLR2を刺激し、一方、エリスロマイシンA、アジスロマイシンならびに化合物2及び3、(化合物17及び20として)Schellら、2008年で以前発表されたグリコシル化が変化した関連マクロライドエリスロマイシン類似体は、20μMまでの濃度で刺激を殆ど又は全く示さなかった。
例5
caco-2透過性の評価
標準的なcaco-2双方向透過性アッセイ(一般的な方法を参照)を使用して、化合物を試験した。生成されたデータを表3で示す。
Figure 0007049355000008
表3のデータから見られ得るように、化合物1は、アジスロマイシン及びEM703の両方よりも、細胞透過性が高く、流出率が低い(例えば欧州特許第1350510号明細書を参照)。
例6
代謝安定性の評価
本発明の化合物の代謝安定性を標準的なヒトミクロソーム安定性アッセイにおいて評価した(一般的な方法を参照)。半減期が長い化合物ほど、投与後の半減期が長くなることが予想され、これは投与頻度を減少させるのに有用であり得る。半減期が短い化合物ほど、活性物質が患者の系に入ると急速に分解する「ソフトドラッグ」としての使用に有用であり得る。評価した化合物の半減期は、以下の表4で示す:
Figure 0007049355000009
参考文献
Figure 0007049355000010

Figure 0007049355000011
特許及び特許出願を含む本出願において言及される全ての参考文献は、可能な限り最大限に参照により本明細書に組み込まれる。
配列表1 <223>AngMII
配列表2 <223>AngMIII
Figure 0007049355000012

Claims (7)

  1. 式(I)の化合物
    Figure 0007049355000013

    又はその薬学的に許容可能な塩を含む、細胞内感染の処置のための医薬
  2. 請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩及び1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む、細胞内感染の処置のための医薬組成物。
  3. 細胞内感染が、細胞内細菌、細胞内原虫及び細胞内真菌感染から選択される、請求項1又は2に記載の医薬又は医薬組成物
  4. 細胞内感染が、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、非定型疾患を引き起こすマイコバクテリア、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)及びM.イントラセルラーレ(M.intracellulare)(マイコバクテリウム・アビウム-イントラセルラーレ(Mycobacterium avium-intracellulare)複合体又はMACとしても知られる)、M.カンサシ(M.kansasii)、M.マリヌム(M.marinum)、M.フォーチュイタム(M.fortuitum)、M.ゴルジナエ(M.gordinae)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、M.ゲニタリウム(M.genitalium)、M.ホミニス(M.hominis)、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)、U.パルブム(U.parvum)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)及びサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)により引き起こされる細胞内細菌感染から選択される、請求項に記載の医薬又は医薬組成物
  5. 細胞内感染が、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、プラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、P.ビバクス(P.vivax)、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)及びリーシュマニア(Leishmania)によって引き起こされる細胞内原虫感染から選択される、請求項に記載の医薬又は医薬組成物
  6. 細胞内感染が、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及びエンセファリトゾーン・クニクリ(Encephalitozoon cuniculi)によって引き起こされる細胞内真菌感染から選択される、請求項に記載の医薬又は医薬組成物
  7. 細胞内感染により引き起こされる疾患の処置又は予防を必要とするヒト以外の動物対象に、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を投与することを含む、細胞内感染により引き起こされる疾患を処置又は予防するための方法。
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