JP7047606B2 - 溶鋼の取鍋精錬方法 - Google Patents
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Description
また、ポーラスプラグから溶鋼中に不活性ガスを送り込み、溶鋼を攪拌する。従来、取鍋底部に配置されるポーラスプラグは1カ所のみであったが、特許文献1に記載の発明は、ポーラスプラグが取鍋底部に複数配置され、当該複数のポーラスプラグは、取鍋底部の一方に偏在させて配置されている。複数のポーラスプラグからは、同一流量の不活性ガスが溶鋼中に吹き込まれている。
(1)取鍋内の溶鋼表面にCaOを含むフラックス層を形成し、取鍋中央部に2本又は3本の電極を前記フラックス層に浸漬させて通電する溶鋼の取鍋精錬方法において、
前記取鍋の底部にガス吹き込み用プラグを2カ所に配置し、当該ガス吹き込み用プラグそれぞれから吹き込まれるガスの流量について、ガス流量が大きい方のガス吹き込み用Bプラグのガス流量をQB、他方のガス吹き込み用Aプラグのガス流量をQA(いずれも単位はNL/min/t)とし、
平面視において、前記2本又は3本の電極すべての外周に外接する円であって最小半径rを持つ円を「電極の外接円」とし、取鍋内の溶鋼高さをH、電極の外接円の中心位置をCO、ガス吹き込み用Aプラグの中心位置をCA、ガス吹き込み用Bプラグの中心位置をCBとし、COとCA間の距離をLOA、COとCB間の距離をLOBとし、CAとCB間の距離をLABとし、CA-CO-CBがなす角度をθとし、
ガス吹き込み用Aプラグとガス吹き込み用Bプラグが下記(1)~(4)式を満足する位置に配置され、
QA、QBが以下に示す(5)~(7)式を満たすことを特徴とする、溶鋼の取鍋精錬方法。
0≦LOA≦r(ただし、L OA が0である場合を除く) (1)
LOB>r (2)
LAB≧0.42H (3)
0°≦θ≦90° (4)
2.33≦QB/QA (5)
QB≦4.50 (6)
0.30≦QA (7)
(2)前記フラックス層の、溶融状態に換算した厚さを100mm以上200mm以下とすることを特徴とする、上記(1)に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
(3)取鍋底部の半径をRとし、前記ガス吹き込み用Bプラグ中心位置は、取鍋壁面からの距離が0.1R以上であることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
(4)取鍋内の溶鋼量が130t以上であることを特徴とする、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
(5)取鍋内の溶鋼量が270t以上であることを特徴とする、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
上記のように、電極3を取鍋中央部に配置するのは、これにより取鍋内の溶鋼をまんべんなく加熱できるからである。ここで「取鍋中央部」とは、2本または3本の電極の外接円の中心が、取鍋底部(半径R)の中央から0.1×R以下の範囲にあることを意味している。
また本発明では、図1(B)に示すように、取鍋1の底部にガス吹き込み用プラグ2を2カ所に配置し、当該ガス吹き込み用プラグ2それぞれから不活性ガスを溶鋼中に吹き込むことにより、取鍋内溶鋼の攪拌を行う。
本発明では特に、電極をフラックス層に浸漬して通電加熱を行うものであり、電極近傍に位置するフラックスが優先的に高温に加熱されて溶融フラックスとなる。電極から離れた場所に存在する(例えば取鍋内壁近傍に存在する)フラックスは、比較的低温のままとなり、取鍋内平面方向にフラックスの温度差が発生する。取鍋精錬の精錬目的を達成するには、フラックスは溶融していることが好ましいため、溶鋼表面のフラックスは広範囲(取鍋内平面方向の全域を含む)で溶融していることが好ましい。電極近傍と電極から離れた位置との間のフラックスの入れ替わりが少ない限り、広範囲のフラックスの溶融を担保するには一定の時間が必要となるため、精錬処理時間の延長が必要となり、精錬処理時間の一部である精錬反応を進めるための時間は限られる。
0≦LOA≦r (1)
LOB>r (2)
ガス吹き込み用Aプラグ2Aとガス吹き込み用Bプラグ2B間の距離は、両プラグからのガス気泡の浮上領域が合体しないように、ガス吹き込み用Aプラグ2Aとガス吹き込み用Bプラグ2B間の距離をLABとし、取鍋内の溶鋼高さをHとし、下記(3)式を満足する位置とする。
LAB≧0.42H (3)
また、電極の外接円4の中心位置をCO、CA-CO-CBがなす角度をθとし、下記(3)式を満足する位置とする。なお、CA-CO-CBがなす角度としては、180°以下の角度と、その反対側に180°を超える角度があるが、そのうち、180°以下の角度をここでいう角度θとする。
0°≦θ≦90° (4)
0.30≦QA (7)
QB≦4.50 (6)
2.33≦QB/QA (5)
一方、フラックスの換算厚さが200mm超では、フラックス層が対流していてもフラックス層の厚さ方向に温度差が生じやすくなり、フラックス層表層の未滓化(未溶融)部分の発生を招く可能性が考えられる。
そこで、本発明では、フラックス層の換算厚さを100mm以上200mm以内とすることが好ましい。フラックス層の換算厚さを100mm以上200mm以内とするためには、取鍋の寸法から算出されるフラックス容積と、想定されるフラックス組成でのフラックス密度から必要となるフラックス投入量を算出したり、投入量とフラックス厚さ(全部溶融前提)の相関(過去の実績)に基づいてフラックスの投入量を決定したり、フラックス厚さを測定しながら投入量を調整したり、すればよい。
本実施例1では、通電加熱型の溶鋼脱硫処理を行った(図1参照)。取鍋底部の溶鋼に接触する領域は、半径Rが1.4mの円形(溶鋼表面位置では概ね半径が1.5m)である。通電加熱用の電極3を3本配置した。3本の電極3は、正三角形の頂点位置に配置されている。3本の電極3すべての外周に外接する円が電極の外接円4である。電極の外接円の中心位置COは、平面視して前記取鍋底部の中心と同じ位置であり、電極の外接円4の半径rは0.6mである。取鍋内の溶鋼高さHは、2.5mである。
また、本発明の実施例程度の少な目のガス流量では顕著な通電性の悪化は見られなかった。
上記実施例1の表1記載の本発明例7、比較例1のガス吹込み条件、プラグ条件を用い、それぞれ「本発明例A」「比較例B」とし、溶鋼量を60~80t、130t、270tの3条件とする条件で、通電加熱型の溶鋼脱硫処理を行った。
取鍋底部の溶鋼に接触する領域は各々、半径Rが1.2、1.4、1.8mの円形(溶鋼表面位置では概ね半径が1.3、1.6、2.0m)である。通電加熱用の電極3を3本配置した。3本の電極3は、正三角形の頂点位置に配置されている。3本の電極3すべての外周に外接する円が電極の外接円4である。電極の外接円の中心位置COは、平面視して前記取鍋底部の中心と同じ位置であり、電極の外接円4の半径rは各々、0.5、0.6、0.8mである。また、取鍋内の溶鋼高さは各々、2.2、2.6、3.4mである。
即ち第1に、溶鋼量60~80tでは、溶融フラックス指標の平均値では改善しているものの、ばらつき範囲で比べると効果が不明瞭な場合がありえる。第2に、溶鋼量130tは、平均値では改善している。ばらつき範囲で比べても、差異が認められる。第3に、溶鋼量270tは、平均値では改善している。ばらつき範囲の比較においても明瞭に改善効果が見られる。
以上のとおり、取鍋内溶鋼量が130t以上、更には270t以上とすることで、従来法と比較したときのフラックス溶融促進効果がより一層顕著となることが明らかとなった。
2 ガス吹き込み用プラグ(プラグ)
2A ガス吹き込み用Aプラグ
2B ガス吹き込み用Bプラグ
3 電極
4 電極の外接円
5 溶鋼
6 フラックス層
7 気泡
8 上昇流
9 横行流
11 溶鋼表面
12 取鍋壁面
15 未溶融のフラックス
21X フラックス層X領域
21Y フラックス層Y領域
21Z フラックス層Z領域
22 気泡上昇領域
r 電極の外接円の半径
CO 電極の外接円の中心位置
CA ガス吹き込み用Aプラグの中心位置
CB ガス吹き込み用Bプラグの中心位置
θ CA-CO-CBがなす角度
Claims (5)
- 取鍋内の溶鋼表面にCaOを含むフラックス層を形成し、取鍋中央部に2本又は3本の電極を前記フラックス層に浸漬させて通電する溶鋼の取鍋精錬方法において、
前記取鍋の底部にガス吹き込み用プラグを2カ所に配置し、当該ガス吹き込み用プラグそれぞれから吹き込まれるガスの流量について、ガス流量が大きい方のガス吹き込み用Bプラグのガス流量をQB、他方のガス吹き込み用Aプラグのガス流量をQA(いずれも単位はNL/min/t)とし、
平面視において、前記2本又は3本の電極すべての外周に外接する円であって最小半径rを持つ円を「電極の外接円」とし、取鍋内の溶鋼高さをH、電極の外接円の中心位置をCO、ガス吹き込み用Aプラグの中心位置をCA、ガス吹き込み用Bプラグの中心位置をCBとし、COとCA間の距離をLOA、COとCB間の距離をLOBとし、CAとCB間の距離をLABとし、CA-CO-CBがなす角度をθとし、
ガス吹き込み用Aプラグとガス吹き込み用Bプラグが下記(1)~(4)式を満足する位置に配置され、
QA、QBが以下に示す(5)~(7)式を満たすことを特徴とする、溶鋼の取鍋精錬方法。
0≦LOA≦r (ただし、L OA が0である場合を除く) (1)
LOB>r (2)
LAB≧0.42H (3)
0°≦θ≦90° (4)
2.33≦QB/QA (5)
QB≦4.50 (6)
0.30≦QA (7) - 前記フラックス層の、溶融状態に換算した厚さを100mm以上200mm以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
- 取鍋底部の半径をRとし、前記ガス吹き込み用Bプラグの中心位置は、取鍋壁面からの距離が0.1R以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
- 取鍋内の溶鋼量が130t以上であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
- 取鍋内の溶鋼量が270t以上であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
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