JP7042184B2 - エレベーター、エレベーター保守点検システムおよびエレベーター異常診断装置 - Google Patents

エレベーター、エレベーター保守点検システムおよびエレベーター異常診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、エレベーターの異常診断技術に関する。
エレベーターに発生する異常のうち、ブレーキ引き摺りを検出する技術がある。例えば、特許文献1には、「運転開始時にかご内積載荷重をかご定格積載量に対する割合として検出し、検出されたかご内積載荷重、かご定格積載量L、かご定格積載量に対する釣合い錘の割合を示すバランスポイントBP、綱車径D、ローピングによって定まる定数K、電動機の定格トルクTmに関連してブレーキ引き摺り判定値を定め、定常走行中のトルク指令値をブレーキ引き摺り判定値と比較することにより、ブレーキ装置の異常としてブレーキ引き摺りを検出する(要約抜粋)。」技術が開示されている。
特開2014-227233号公報
特許文献1に開示の技術では、エレベーターの定常走行時のモータトルク指令値に対して判定値を設定し、両者を比較することにより、ブレーキ引き摺り異常を検出している。このため、定常走行時のブレーキ引き摺りは検出できる。しかしながら、エレベーターの走行開始直後の加速時等、定常走行時以外の走行モードにおけるブレーキ引き摺りについても、検出ニーズがある。
また、モータトルク指令値の異常として現れるエレベーターの異常の原因は、ブレーキ引き摺りだけではない。例えば、防振ゴムの劣化等により、過負荷状態を検出できない状態や、最上階、最下階といった端階近傍に取り付けられた、乗りかごを減速させる端階減速装置の不具合等がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、エレベーターの走行モードによらず、エレベーターの異常の発生を精度よく検出するとともに、その異常の原因を推定する技術を提供することを目的とする。
本発明は、一端に乗りかごが他端に釣合錘が結合された主ロープが巻き掛けられた綱車を駆動するモータと、前記乗りかごの積載荷重を検出する荷重検出装置と、前記モータに流れる電流であるモータ電流を検出する電流検出器と、ロータリエンコーダと、前記ロータリエンコーダの出力パルスに基づいて前記乗りかごの速度および位置を検出する位置速度検出装置と、を備えるエレベーターであって、前記積載荷重と、前記モータ電流と、前記乗りかごの位置および速度と、予め記憶装置に保持されるトルク限界値とを用いて、前記モータに印加すべきトルクであるトルク指令値を演算するトルク演算部と、前記トルク指令値と予め保持されるトルク閾値とを用いて当該エレベーターの異常の有無を判別する異常有無判別部と、前記異常有無判別部が異常有りと判別した場合、前記積載荷重と予め記憶装置に保持される荷重判定値とを用いて、当該異常の原因である異常原因を推定する異常原因推定部と、前記異常原因推定部が推定した前記異常原因を出力する出力部と、を備え、前記異常有無判別部は、前記乗りかごの1回の走行において、前記トルク指令値が前記トルク閾値以上である状態が所定期間以上である場合、異常有りと判別し、前記異常原因推定部は、前記積載荷重と前記荷重判定値とを比較し、当該積載荷重が当該荷重判定値以上の場合、前記異常原因を、過負荷検出不能状態と推定し、当該積載荷重が当該荷重判定値未満の場合、当該異常原因を、前記綱車の駆動を拘束するブレーキ装置の異常であるブレーキ引き摺りと推定することを特徴とする。
本発明によれば、エレベーターの走行モードによらず、エレベーターの異常の発生を精度よく検出するとともに、その異常の原因を推定できる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第一の実施形態のエレベーターの構成例を示す概要図である。 第一の実施形態のエレベーターの制御盤の機能ブロック図である。 (a)は、第一の実施形態の判定値記憶部の格納データを説明するための説明図であり、(b)は、第一の実施形態の制御盤のハードウェア構成の一例を示す図である。 第一の実施形態のエレベーター正常走行時の速度およびトルク指令値の変化の様子を示す図である。 第一の実施形態のエレベーター異常走行時の速度およびトルク指令値の変化の様子を示す図である。 第一の実施形態のトルク指令値演算処理のフローチャートである。 第一の実施形態の異常診断処理のフローチャートである。 第二の実施形態の異常診断処理のフローチャートである。 本発明の変形例のトルク閾値を説明するための説明図である。
<<第一の実施形態>>
以下、図面を参照しながら、本発明の第一の実施形態を説明する。
本実施形態では、エレベーターに設置される荷重検出センサ、モータの電流検出器、ロータリエンコーダの出力を用いて、モータに要求されるトルクの指令値であるトルク指令値を算出する。そして、そのトルク指令値を、予め定めたトルク限界値と比較し、トルク指令値がトルク限界値を超えた場合、異常有りと判定する。そして、その際の、荷重検出センサの出力を用いてその異常の原因を推定する。
[エレベーター]
まず、本実施形態のエレベーター100の構成について説明する。図1は、本実施形態のエレベーター100の構成例を示す概要図である。
本図に示すように、本実施形態のエレベーター100は、乗りかご101と、荷重検出センサ102と、モータ103と、ロータリエンコーダ104と、制御盤107と、綱車108と、ブレーキ装置109と、釣合錘110と、主ロープ111と、端階減速検出スイッチ112と、を備える。
ブレーキ装置109は、綱車108を拘束し、昇降路114内を昇降する乗りかご101を制動する。釣合錘110は、乗りかご101の昇降時の負荷を軽減する。主ロープ111は、綱車108に巻き掛けられ、乗りかご101と釣合錘110とを連結する。
モータ103は、綱車108を駆動させる。モータ103には、モータ103に流れる電流(以下、モータ電流と呼ぶ)を検出する電流検出器(図2参照)113が取り付けられる。電流検出器113が検出したモータ電流は、エレベーター制御装置105に出力される。
荷重検出センサ102は、例えば、乗りかご101の下部に設置され、乗りかご101の積載量(以下、積載荷重と呼ぶ)に比例した信号を出力する。荷重検出センサ102からの信号は、エレベーター制御装置105に出力される。
荷重検出センサ102は、例えば、乗りかご101の下に取り付けられた非接触式電流センサと検出板とかご下防振ゴムとにより構成される。荷重検出センサ102は、乗りかご101に積載時のかご下防振ゴムの撓み量を非接触式電流センサで捉え、これを出力値(信号)としてエレベーター制御装置105に出力する。
ロータリエンコーダ104は、モータ103に取り付けられ、モータ103の回転に応じた出力パルスをエレベーター制御装置105に出力する。
端階減速検出スイッチ112は、昇降路114内の最上階および最下階といった端階の手前に取り付けられ、乗りかご101の通過を検出する。乗りかご101が端階減速検出スイッチ112前を通過した場合、エレベーター制御装置105に、例えば、通過を意味する通過信号を出力する。
制御盤107は、エレベーター100全体の動作を制御する。本実施形態では、乗りかご101の走行を制御するとともに、乗りかご101を駆動するモータ103への異常負荷の原因を推定、診断する。
本実施形態の制御盤107は、エレベーター制御装置105と、エレベーター異常診断装置106と、を備える。図2は、本実施形態のエレベーター制御装置105およびエレベーター異常診断装置106の、主として、本実施形態に係る機能を取り上げた機能ブロック図である。
エレベーター制御装置105は、ユーザや保守員等からの指示や、エレベーター100が備える各種の検出装置等からの出力に応じて、エレベーター100の運行を制御する。
エレベーター異常診断装置106は、エレベーター100の稼働状態の監視や異常の診断を行う。本実施形態では、乗りかご101の走行時に、モータ103のトルクリミッタが動作したかを判断し、1回の走行中に、所定期間以上(例えば、120ms以上、連続または断続的に累積して)動作した場合、異常と判断する。そして、その時の積載量(積載荷重)に応じて、異常の原因を推定することにより、エレベーターの異常を診断する。
[エレベーター制御装置]
エレベーター制御装置105は、図2に示すように、トルク演算部151と、モータ制御部152と、記憶部153と、荷重演算部154と、位置速度演算部155と、端階減速検出部156と、を備える。
記憶部153には、エレベーター制御装置105の各処理を実現するために必要なデータ、各処理を実行中に生成されるデータ、実行したことにより生成されるデータが格納される。本実施形態では、例えば、トルク指令値の最大値であるトルク限界値が格納される。
荷重演算部154は、荷重検出センサ102の出力値を用いて、乗りかご101の積載量(積載荷重)を算出する。算出結果は、トルク演算部151に出力される。本実施形態では、荷重検出センサ102と荷重演算部154とで、荷重検出装置を構成する。
上述のように、乗りかご101の荷重は、かご下防振ゴムの撓み量に基づいて算出される。荷重演算部154は、エレベーター100の据付時に初期値セットを行う。この初期値セットでは、はじめに、乗りかご101を無負荷状態(積載0%)とし、その時の荷重検出センサ102の出力値を取得する。そして、無積載状態(積載0%)に対応づけて記憶部153に記憶する。次に、乗りかご101に定格積載量のウェートを積載して定格積載状態(積載100%)とし、その時の荷重検出センサ102の出力値を取得する。そして、定格制裁状態(積載100%)に対応づけて記憶部153に記憶する。この2点により、かご下防振ゴムの撓み量と荷重検出センサ102の出力値の関係を決定し、以後、その関係を用いて、荷重検出センサ102の出力値から、乗りかご101の積載荷重を算出する。
なお、荷重演算部154は、積載荷重が乗りかご101の定格積載量以上の所定の値を超えた場合、過負荷であると判定し、ブザー等で報知し、走行を停止させる。過負荷を検出する際に用いる判定値(過負荷検出値)は、例えば、定格荷重105%程度に設定される。過負荷検出値は、予め記憶部153に記憶される。
位置速度演算部155は、ロータリエンコーダ104の出力パルスを用いて、乗りかご101の位置および速度を算出する。算出結果は、トルク演算部151に出力される。本実施形態では、ロータリエンコーダ104と位置速度演算部155とにより、位置速度検出装置を構成する。
乗りかご101の位置は、例えば、エレベーター100の据え付け時等に、出力パルス数と乗りかごの位置とを対応づけたテーブルを作成し、運用時には、出力パルス数をカウントすることにより、位置を算出する。速度は、例えば、単位時間当たりの出力パルス数をカウントすることにより得る。
端階減速検出部156は、端階減速検出スイッチ112の出力に基づき、乗りかご101が端階減速中であるか否かを検出する。端階減速中であることを検出した場合、端階減速中であることを意味する端階減速信号を出力する。端階減速検出スイッチ112と端階減速検出部156とにより、端階減速検出装置を構成する。
本実施形態では、端階減速検出部156は、昇降路114内の端階減速検出スイッチ112の設置位置を、乗りかご101が通過したことを検出し、端階減速信号を出力する。より詳細には、乗りかご101が上昇時に最上階の手前に設置された端階減速検出スイッチ112位置を通過した後、停止するまでの間と、乗りかご101が下降時に最下階の手前に設置された端階減速検出スイッチ112位置を通過し停止するまでの間とにおいて、端階減速信号を、トルク演算部151に出力する。
なお、端階減速検出部156は、端階減速検出スイッチ112の設置位置を乗りかご101が通過したことを検出したタイミングで、位置速度演算部155から、その時の乗りかご101の速度を検出し、併せて出力するよう構成してもよい。また、このとき、検出した乗りかご101の速度が、予め定めた規定値以上である場合、強制的に乗りかご101を停止させる、または、正規の速度まで減速させる信号を、エレベーター制御装置105の乗りかご101の走行を制御する処理部に出力するよう構成してもよい。また、本実施形態では、端階減速検出部156および端階減速検出スイッチ112は、備えなくてもよい。
トルク演算部151は、乗りかご101の走行時にモータ103に印加するトルク(モータトルク)の指令値であるトルク指令値を演算する。走行時のモータトルクは、走行指令および乗りかご101の積載量(積載荷重)、位置、速度に応じて定まる。本実施形態のトルク演算部151は、荷重演算部154の出力である積載荷重と、電流検出器113の出力である検出電流と、位置速度演算部155の出力である乗りかご101の位置および速度と、記憶部153に記憶されるトルク限界値と、を用いて、トルク指令値を演算する。
本実施形態では、トルク演算部151は、まず、荷重演算部154と位置速度演算部155と、電流検出器113との出力を用いて、その時点で、モータ103に印加する最適なトルク値(必要トルク)を算出する。ここでは、トルク演算部151は、荷重演算部154を介して得る荷重検出センサ102の出力値を電流検出器113の出力値である電流値と比較演算できる電流値に変換する。また、位置速度演算部155を介して得るロータリエンコーダ104のパルス波形を電流検出器113および荷重検出センサ102から得た電流値と比較演算できる電流値にそれぞれ変換する。そして、これらを組合せて演算し、モータ103に印加する最適なトルク値(必要トルク)を算出する。
そして、トルク演算部151は、必要トルクを算出後、算出した必要トルクを記憶部153に格納されるトルク限界値と比較する。そして、必要トルクがトルク限界値未満の場合、必要トルクをトルク指令値として出力する。一方、必要トルクがトルク限界値以上の場合、トルク限界値をトルク指令値として出力する。
算出したトルク指令値は、モータ制御部152とエレベーター異常診断装置106へ出力される。なお、エレベーター異常診断装置106へは、トルク指令値を算出する際に用いた積載荷重とともに送信される。このとき、トルク限界値も送信してもよい。
モータ制御部152は、トルク演算部151からトルク指令値を受け取ると、モータ103で生じるトルクの値が、トルク指令値に一致するようモータ103の駆動を制御する。
[エレベーター異常診断装置]
エレベーター異常診断装置106は、異常有無判別部161と、異常原因推定部162と、出力部163と、判定値記憶部164と、を備える。
判定値記憶部164には、異常が発生しているか否かを判断するために用いる判定値が格納される。本実施形態では、図3(a)に示すように、トルク限界値164aと、カウンタ判定値164bと、荷重判定値164cと、が格納される。
トルク限界値164aは、エレベーター制御装置105で用いるトルク限界値と同じ値である。例えば、エレベーター制御装置105に設定された値を、エレベーター制御装置105から受け取り、格納する。
カウンタ判定値164bは、後述する異常診断処理で、必要トルクがトルク限界値164aを越えた期間を判定するために用いる判定値である。予め設定され、判定値記憶部164に格納される。
荷重判定値164cは、後述する異常診断処理で、過負荷検出不能であるか否かを判定するために用いる判定値である。予め設定され、判定値記憶部164に格納される。
異常有無判別部161は、トルク演算部151が算出したトルク指令値とトルク限界値164aとカウンタ判定値164bとを用いて、エレベーター100の異常の有無を判別する。特に、本実施形態では、モータ103、すなわち、乗りかご101の走行に異常が発生しているか否かを判定する。判定結果は、異常原因推定部162に出力される。
本実施形態では、異常有無判別部161は、乗りかご101の1回の走行中に、トルク指令値にトルク限界値が設定される期間が、所定期間以上となる場合、異常有りと判別する。所定期間であるか否かの判定に、上記カウンタ判定値164bを用いる。
本実施形態では、このように、異常の有無の判別に、トルク指令値を用いる。正常時のモータ103のトルク指令値は、例えば、図4のように変化する。
図4は、乗りかご101の走行時の速度210とトルク指令値220の変化の様子と、トルク指令値220とトルク限界値230との関係と、を示す図である。横軸が時間で縦軸が速度210およびそれに対応したトルク指令値220を示す。ここでは、かご重負荷時の上昇運転の場合を示す。
トルク指令値220は、乗りかご101の加速走行211、定常走行212、減速走行213の各走行フェーズの速度210の変化に応じて変化する。定常走行212中のトルク指令値220は、略一定である。一方、加速走行211時および減速走行213時に、トルク指令値220の絶対値は大きくなる。しかしながら、正常に走行している限り、トルク指令値220が、トルク限界値230を越えることはない。
図5は、エレベーター100に異常がある場合(エレベーター異常走行時)の、トルク指令値221の変化の様子を示す図である。エレベーター100に、例えば、過負荷状態やブレーキ異常等の異常がある場合、モータ103は、大きなトルクを必要とする。このため、トルク演算部151は、必要トルクとしてトルク限界値以上の値を算出する。しかしながら、トルク演算部151は、トルクリミッタ機能を備え、トルク限界値を超えるトルク指令値を出さないように制御する。このため、トルク指令値として、トルク限界値が出力される。
本実施形態の異常有無判別部161は、この特性を利用し、1回の走行中、すなわち、加速走行211、定常走行212、減速走行213を行う間に、トルク指令値としてトルク限界値が出力される期間が所定期間以上の場合、異常有りと判別する。
異常原因推定部162は、異常有無判別部161が異常有りと判別した場合、エレベーター制御装置105から受信した積載荷重と、荷重判定値164cとを用いて、異常の原因である異常原因を推定する。推定結果は、出力部163へ出力する。
上述のように、例えば、荷重検出装置の過負荷検出不能状態やブレーキ装置109に引き摺り(ブレーキ引き摺り)が発生している場合、算出された必要トルクがトルク限界値230を越え、トルク指令値221としてトルク限界値230が算出される。
異常原因推定部162は、荷重演算部154の演算結果に基づき、トルク指令値221としてトルク限界値230が出力される原因を推定する。具体的には、積載荷重が荷重判定値164c以上の場合、過負荷検出不能状態と推定する。一方、積載荷重が荷重判定値164c未満の場合、ブレーキ装置109の異常であるブレーキ引き摺りと推定する。
通常、乗りかご101の積載荷重が、上述の過負荷検出値(例えば、105%)以下の場合、トルク指令値は、トルク限界値に達することはない。従って、トルク指令値がトルク限界値に達した場合は、乗りかご101に、過負荷検出値より大きな負荷がかかった状態で、そのような過負荷を検出できずに走行してしまった可能性が高い。
上述のように、乗りかご101の積載荷重は、かご下防振ゴムの撓み量によって算出される。ところが、かご下防振ゴムは経年劣化により硬化する。このような状態では、乗りかご101の実際の積載量と、荷重検出装置を用いて算出した積載量との間に差異が発生する。例えば、実際の乗りかご101の積載量が定格積載量の108%であった場合、本来であれば108%と算出されるべきであるが、105%未満と算出されることがある。
例えば、過負荷検出値が定格積載量の105%と定められている場合、本来の積載量が108%の場合、過負荷として検出されるべきであるが、かご下防振ゴムが劣化している場合、検出されない。すなわち、過負荷検出不能状態である。
本実施形態では、積載荷重が所定値以上の状態で、トルク指令値がトルク限界値に達している場合、過負荷検出不能状態と推定する。このような推定を行うため、荷重判定値164cには、過負荷検出値を下回る値が設定される。例えば、定格荷重の90%等が設定される。
すなわち、本実施形態の異常原因推定部162は、定格荷重の90%しか積載していないにも係らず、トルク指令値としてトルク限界値が出力される状態である場合、例えば、かご下防振ゴムの劣化等で過負荷検出不能状態であると推定する。
なお、過負荷検出不能状態の場合、エレベーター制御装置105は、想定されたかご積載量よりも重負荷のため、走行時にモータトルクをより多く印加しようとする。しかしながら、トルク指令値がトルク限界値に達していた場合、それ以上トルクを印加することができない。このため、エレベーター100の走行開始時に、進行方向に対して反転するなど、異常状態が発生する可能性がある。
なお、ブレーキ引き摺り状態は、エレベーターのブレーキ装置109が何らかの理由により作用したまま走行する状態である。
出力部163は、異常原因推定部162が推定した異常原因を受け取り、外部に出力する。本実施形態では、ネットワーク130を介して、保守員が携帯する保守端末120に出力する。
なお、制御盤107は、図3(b)に示すように、各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)171と、CPU171による演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置173と、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)等のメモリ172と、入出力インタフェース(I/F)175と、通信インタフェース(I/F)174とを含むハードウェアと、記憶装置173に記憶され、CPU171により実行されるソフトウェアとから構成される。
上記各機能は、記憶装置173に格納されたプログラム等がメモリ172に読み出され、CPU171の制御に従って動作することにより、ソフトウェアとハードウェアとが協働して実現される。
また、各機能の処理に用いる各種のデータ、処理中に生成される各種のデータ、各機能により生成されるデータは、メモリ、または、記憶装置に格納される。
なお、全部または一部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(field-programmable gate array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
[保守端末]
エレベーター異常診断装置106から異常原因を受信した保守端末120は、ユーザインタフェースに出力することにより、保守員に異常原因を通知する。
ユーザインタフェースは、例えば、表示装置や音声出力装置とする。保守端末120では、表示装置に異常原因を表示したり、音声出力装置から異常原因を出力したりする。
なお、保守端末120は、例えば、CPU、メモリ、記憶装置、ユーザインタフェース、通信インタフェースを備える、携帯型の情報処理装置で実現される。保守端末120は、制御盤107との間でデータの送受信を行うことにより、エレベーター保守点検システムを構成する。
[トルク指令値演算処理]
次に、エレベーター制御装置105のトルク演算部151によるトルク指令値演算処理の流れを説明する。図6は、本実施形態のトルク指令値演算処理の処理フローである。本処理は、乗りかご101が走行を開始することを契機に開始される。走行の開始は、エレベーター制御装置105内部の乗りかご101の走行を制御する処理部からトルク演算部151に通知される。また、本処理は、乗りかご101が目的階に到達し、停止するまで、所定の時間間隔で繰り返される。乗りかご101の停止も、同処理部から通知される。
トルク演算部151は、乗りかご101の走行開始を検出すると(ステップS1001)、上記手法で必要トルクの演算を行う(ステップS1002)。
次に、トルク演算部151は、算出した必要トルクと、トルク限界値とを比較する(ステップS1003)。すなわち、必要トルクが、トルク限界値以上であるか否かを判別する。
そして、必要トルクがトルク限界値以上の場合(S1003;Yes)、トルク指令値としてトルク限界値を設定する(ステップS1004)。
一方、必要トルクがトルク限界値未満の場合(S1003;No)、算出した必要トルクをトルク指令値と設定する(ステップS1005)。
そして、トルク演算部151は、設定したトルク指令値を出力する(ステップS1006)。本実施形態では、モータ制御部152およびエレベーター異常診断装置106に出力する。このとき、トルク演算部151は、必要トルク演算に用いた荷重演算部154からの出力も、併せてエレベーター異常診断装置106に出力する。
その後、トルク演算部151は、乗りかご101が停止したか否かを判別し(ステップS1007)、停止した場合、すなわち、走行停止を検出した場合(S1007;Yes)、処理を終了する。一方、走行中の場合(S1007;No)は、ステップS1002へ戻り、処理を繰り返す。
[異常診断処理]
次に、エレベーター異常診断装置106による異常診断処理の流れを図7のフローチャートを用いて説明する。上述のように、本実施形態のエレベーター異常診断装置106は、乗りかご101の走行の異常の有無を、トルク指令値で判定し、その原因を、積載荷重により推定する。
本実施形態の異常診断処理は、トルク指令値生成処理同様、乗りかご101が走行を開始することを契機に開始される。走行の開始は、エレベーター制御装置105を介して通知される。また、本処理は、乗りかご101が目的階に到達し、停止するか、あるいは、異常の判定が確定するまで、継続される。
異常有無判別部161は、走行開始を検出する(ステップS1101)と、まず、検出時間計数カウンタ(以下、カウンタ)を初期化する(ステップS1102)。ここでは、0クリアする。
次に、異常有無判別部161は、エレベーター制御装置105から、トルク指令値および積載荷重を受信すると(ステップS1103)、トルク指令値とトルク限界値164aとを比較する(ステップS1104)。ここでは、トルク指令値がトルク限界値164a以上であるか否かを判別する。トルク限界値164aは、判定値記憶部164に記憶される。
カウンタの値がカウンタ判定値164b未満(S1104;No)であれば、エレベーター制御装置105から、異常有無判別部161は、走行停止信号を受信したかを判別する(ステップS1111)。すなわち、走行停止を検出したかを判別する。
ここで、走行停止を未検出であれば(S1111;No)、ステップS1103へ戻り、次のトルク指令値および積載荷重の受信を待つ。一方、走行停止を検出していれば(S1111;Yes)、処理を終了する。なお、処理を終了する前に、異常無しとの結果を出力部163に出力してもよい。
一方、比較した結果、トルク指令値がトルク限界値164a以上であれば(S1104;Yes)、カウンタをカウントアップ(ステップS1105)する。カウントアップ量は、予め定めて、例えば、判定値記憶部164に記憶しておく。例えば、1インクリメントするよう構成してもよい。また、予め定めた時間間隔Δtだけ加算するよう構成してもよい。
次に、異常有無判別部161は、トルク指令値がトルク限界値164a以上である期間が1回の走行中、所定期間以上であるか否かを判別する(ステップS1106)。具体的には、異常有無判別部161は、カウントアップ後のカウンタの値が、カウンタ判定値164b以上であるか否かを判別する。カウンタ判定値164bは、カウントアップ量に応じて、予め定め、判定値記憶部164に格納しておく。
ここで、カウンタの値がカウンタ判定値164b未満の場合(S1106:No)、ステップS1111へ進む。一方、カウンタの値がカウンタ判定値164b以上の場合(S1106;Yes)、異常有無判別部161は、異常有りと判別し、処理を、異常原因推定部162に引き継ぐ。
異常原因推定部162は、積載荷重と荷重判定値164cとを比較する(ステップS1107)。すなわち、積載荷重が荷重判定値164c以上であるか否かを判別する。荷重判定値164cは、予め判定値記憶部164に格納しておく。
積載荷重が、荷重判定値164c以上の場合(S1107;Yes)、異常原因推定部162は、異常原因を、過負荷検出不能状態であると推定し(ステップS1108)、推定結果を出力部163に出力する。
一方、積載荷重が、荷重判定値164c未満の場合(S1107;No)、異常原因推定部162は、異常原因を、ブレーキ引き摺りであると推定し(ステップS1109)、推定結果を出力部163に出力する。
推定結果を受け取った出力部163は、推定結果を外部に出力し(ステップS1110)、処理を終了する。本実施形態では、出力部163は、ネットワーク130を介して保守端末120に送信する。
なお、ステップS1111で走行停止を検出した場合、異常無しであることを、出力部163に出力するよう構成してもよい。この場合、出力部163は、異常無しであることを、保守端末120に出力してもよい。
以上説明したように、本実施形態は、積載荷重と、モータ電流と、ロータリエンコーダの出力と、予め記憶装置に保持されるトルク限界値とを用いて、モータ103に印加するトルク指令値を演算するトルク演算部151と、トルク指令値とトルク限界値とを用いて、エレベーター100の異常の有無を判別する異常有無判別部161と、異常有りと判別された場合、積載荷重を用いて、異常の原因を推定する異常原因推定部162と、を備える。
このように、本実施形態によれば、エレベーター100の異常の有無を、モータ103のトルク指令値で判定する。例えば、トルク指令値がトルク限界値である状態が所定期間を超えた場合、エレベーター100に異常があると判定する。そして、その際に受け取った乗りかご101の積載荷重に応じて、異常の原因が、過負荷検出不能によるものか、ブレーキ引き摺りによるものかを判定する。
本実施形態によれば、判定にトルク指令値というモータ103の駆動に直結する値と、トルク限界値との関係を用いることにより、異常の発生の有無を高い精度で判別できる。さらに、積載荷重を用いることにより、異常の種類についても、過負荷検出不能状態であるか、ブレーキ引き摺りが発生しているか、推定できる。これにより、保守員は、異常の原因を予め知ることができ、効率よく保守点検作業を行うことができる。
例えば、過負荷検出不能状態となるのは、防振ゴムの劣化によるものが大きい。従って、過負荷検出不能状態と推定された場合、保守員は、防振ゴムに劣化が発生していると判断し、防振ゴムを点検したり、その取り換えを検討したりすればよい。また、ブレーキ引き摺り異常と判断された場合、ブレーキの再調整を行えばよい。
このように、本実施形態によれば、保守員に、異常の原因である可能性の高い具体的な点検個所を通知できる。従って、保全作業のさらなる効率化を図ることができ、かつ、現地作業性も改善する。
<<第二の実施形態>>
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。第一の実施形態では、エレベーター100の異常の原因として、過負荷検出不能状態及びブレーキ引き摺りの発生のいずれかを推定している。本実施形態では、さらに、異常原因として、端階減速検出スイッチ112の異常も推定する。
本実施形態のエレベーター100は、基本的に第一の実施形態と同様である。以下、本実施形態について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
本実施形態のエレベーター100の構成は、図1および図2で説明した第一の実施形態と基本的に同様である。ただし、本実施形態では、上述のように、さらに、異常の原因として、端階減速検出スイッチ112の異常も推定する。従って、本実施形態では、端階減速検出部156および端階減速検出スイッチ112は、必須な構成である。
また、本実施形態のトルク演算部151は、トルク指令値をエレベーター異常診断装置106に通知する際、積載荷重とともに、端階減速信号を受信している場合、当該端階減速信号も送信する。
また、異常原因推定部162は、異常有無判別部161が異常有りと判別した場合、判定に用いたトルク指令値とともに端階減速信号を受信しているか否かを判別する。そして、端階減速信号を受信している場合、端階減速中と判別し、端階減速検出スイッチ112の異常、すなわち、端階減速検出スイッチ異常(以後、単に、スイッチ異常とも呼ぶ)と推定する。
端階減速検出スイッチ112の取り付け位置が正規の取り付け位置よりも端階側に設置されている場合、または、端階減速検出スイッチ112の動作不良により乗りかご101が正しく減速されない場合、乗りかご101を安全に着床させるために、強制的に減速させる必要がある。このような場合、トルク指令値がトルク限界値に到達する可能性がある。
本実施形態では、端階減速中、すなわち、乗りかご101が上昇時に最上階の手前に設置された端階減速検出スイッチ112位置を通過した後と、乗りかご101が下降時に最下階の手前に設置された端階減速検出スイッチ112位置を通過した後に、トルク指令値が所定期間以上トルク限界値となった場合、端階減速検出スイッチ112の異常と推定する。
保守員は、このような異常の通知を受けた場合、端階減速検出スイッチ112の取り付け位置を点検する。
[異常診断処理]
本実施形態のエレベーター異常診断装置106による異常診断処理の流れを、図8のフローチャートを用いて説明する。以下、本処理の説明においても、第一の実施形態と異なる点に主眼をおいて説明する。
第一の実施形態の異常診断処理同様、異常有無判別部161は、走行停止を検出するまで(ステップS1111)、ステップS1101からS1106までの処理を行い、異常の有無を判別する。そして、ステップS1106において、カウンタの値がカウンタ判定値164b以上の場合(S1106;Yes)、異常有無判別部161は、異常有りと判別し、処理を、異常原因推定部162に引き継ぐ。
本実施形態では、異常原因推定部162は、積載荷重と荷重判定値164cとの比較に先立ち、端階減速中であるか否かを判別する(ステップS2101)。判別は、上述のように、端階減速信号を受信しているか否かで行う。
そして、端階減速中と判別された場合(S2101;Yes)、異常原因をスイッチ異常と推定し(ステップS2102)、推定結果を出力部163に出力し、ステップS1110へ移行する。
一方、端階減速中でない場合(S2101;No)、ステップS1107へ移行し、処理を継続する。
以上説明したように、本実施形態は、第一の実施形態に、さらに、端階減速検出部を備える。このため、第一の実施形態同様、エレベーター100の走行異常の有無を、モータ103のトルク指令値で判定し、その原因を推定する。このため、第一の実施形態同様、異常の発生の有無を高い精度で判別できる。
さらに、端階検出中であるか否か、および、積載荷重と用いることにより、異常の種類についても、端階減速検出スイッチ112の異常であるか、過負荷検出不能状態であるか、ブレーキ引き摺りが発生しているか、を推定できる。これにより、保守員は、異常の原因を予め知ることができ、効率よく保守点検作業を行うことができる。
このように、本実施形態によれば、端階減速検出スイッチ112の異常と推定された場合、保守員は、予め、端階減速スイッチの位置調整、取り換え等の用意をし、保守に向かうことができる。すなわち、本実施形態によれば、第一の実施形態同様、保守員に、異常の原因である可能性の高い具体的な点検個所を通知できる。従って、保全作業のさらなる効率化を図ることができる。また、現地作業性も改善する。
<変形例>
なお、上記各実施形態では、異常の有無を判別し、異常有りの場合、その原因を推定し、推定結果を、出力部163を介して外部に出力している。しかしながら、出力はこれに限定されない。例えば、異常有無判別部161が異常の有無を判別し、その結果を、原因の出力に先立ち、出力部163を介して外部に出力してもよい。このとき、異常有り、と判定された場合のみ、出力してもよい。
<変形例>
なお、上記各実施形態では、乗りかご101の走行異常の発生の有無の判別を、トルク指令値が、所定期間、トルク限界値であるか否かで行っている。しかしながら、異常の有無の判別に用いる閾値は、これに限定されない。
例えば、図9に示すように、定常走行時のトルク指令値の最大値(定常最大値)223とトルク限界値230との間の値を、異常の有無の判別用の閾値(トルク閾値)231として用いてもよい。このトルク閾値231を定常最大値223とトルク限界値230との間の所定の値に設定することにより、異常発生の予兆を得ることができる。
すなわち、1回の走行中に、所定期間、継続的あるいは断続的に、トルク閾値231を超える状態が発生し、その累積期間が予め定めたカウンタ判定値で定まる期間より長い場合、走行異常の予兆があると判断する。そして、以降は、上記実施形態同様、異常予兆の原因を判別する。
このトルク閾値231の設定値に応じて、様々なレベルで予兆を判断できる。すなわち、トルク閾値231を、より定常最大値223に近い値に設定することにより、早めに、故障の予兆を検出できる。一方、トルク閾値231を、よりトルク限界値230に近い値に設定することにより、無駄な警告を減らすことができる。
また、判別は、複数の値を用いてもよい。例えば、定常最大値223とトルク限界値230との間の値として設定するトルク閾値231による判別と、トルク限界値230による判別とを組み合わせてもよい。
この場合、例えば、判別に用いる複数の閾値それぞれにカウンタを設ける。そして、より小さい閾値から、トルク指令値と比較し、それぞれのカウンタをカウントアップする。そして、それぞれのカウンタについて、判定値を超えた場合、原因を推定する。ただし、閾値がトルク限界値以外の場合は、原因を推定して出力後、当該閾値より大きい閾値についての判定を継続する。
また、この場合、保守員に通知する際は、トルク指令値がどの閾値を超えたことによる通知であるか判別可能な態様で行う。
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得る。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
100:エレベーター、101:乗りかご、102:荷重検出センサ、103:モータ、104:ロータリエンコーダ、105:エレベーター制御装置、106:エレベーター異常診断装置、107:制御盤、108:綱車、109:ブレーキ装置、110:釣合錘、111:主ロープ、112:端階減速検出スイッチ、113:電流検出器、114:昇降路、120:保守端末、130:ネットワーク、
151:トルク演算部、152:モータ制御部、153:記憶部、154:荷重演算部、155:位置速度演算部、156:端階減速検出部、161:異常有無判別部、162:異常原因推定部、163:出力部、164:判定値記憶部、164a:トルク限界値、164b:カウンタ判定値、164c:荷重判定値、
171:CPU、172:メモリ、173:記憶装置、174:通信I/F、175:入出力I/F、
210:速度、211:加速走行、212:定常走行、213:減速走行、220:トルク指令値、221:トルク指令値、223:定常最大値、230:トルク限界値、231:トルク閾値

Claims (6)

  1. 一端に乗りかごが他端に釣合錘が結合された主ロープが巻き掛けられた綱車を駆動するモータと、
    前記乗りかごの積載荷重を検出する荷重検出装置と、
    前記モータに流れる電流であるモータ電流を検出する電流検出器と、
    ロータリエンコーダと、
    前記ロータリエンコーダの出力パルスに基づいて前記乗りかごの速度および位置を検出する位置速度検出装置と、を備えるエレベーターであって、
    前記積載荷重と、前記モータ電流と、前記乗りかごの位置および速度と、予め記憶装置に保持されるトルク限界値とを用いて、前記モータに印加すべきトルクであるトルク指令値を演算するトルク演算部と、
    前記トルク指令値と予め保持されるトルク閾値とを用いて当該エレベーターの異常の有無を判別する異常有無判別部と、
    前記異常有無判別部が異常有りと判別した場合、前記積載荷重と予め記憶装置に保持される荷重判定値とを用いて、当該異常の原因である異常原因を推定する異常原因推定部と、
    前記異常原因推定部が推定した前記異常原因を出力する出力部と、を備え
    前記異常有無判別部は、前記乗りかごの1回の走行において、前記トルク指令値が前記トルク閾値以上である状態が所定期間以上である場合、異常有りと判別し、
    前記異常原因推定部は、前記積載荷重と前記荷重判定値とを比較し、当該積載荷重が当該荷重判定値以上の場合、前記異常原因を、過負荷検出不能状態と推定し、当該積載荷重が当該荷重判定値未満の場合、当該異常原因を、前記綱車の駆動を拘束するブレーキ装置の異常であるブレーキ引き摺りと推定すること
    を特徴とするエレベーター。
  2. 請求項記載のエレベーターであって、
    前記乗りかごが端階減速中であることを検出する端階減速検出装置をさらに備え、
    前記異常原因推定部は、前記積載荷重と前記荷重判定値との比較に先立ち、前記端階減速検出装置が前記乗りかごが前記端階減速中であることを検出したか否かを判別し、前記端階減速中であることが検出された場合、前記異常原因を、前記端階減速検出装置が備える端階減速検出スイッチ異常と推定すること
    を特徴とするエレベーター。
  3. 請求項1または2に記載のエレベーターであって、
    前記異常有無判別部が用いる前記トルク閾値は、前記トルク限界値であること
    を特徴とするエレベーター。
  4. 請求項1または2に記載のエレベーターであって、
    前記異常有無判別部が用いる前記トルク閾値は、定常走行時の前記トルク指令値の最大値以上であり、かつ、前記トルク限界値未満の値であること
    を特徴とするエレベーター。
  5. 請求項1から4いずれか1項記載のエレベーターと、
    前記エレベーターと通信可能な保守端末と、を備えるエレベーター保守点検システムであって、
    前記出力部の出力先は、前記保守端末であり、
    前記保守端末は、前記異常原因を受信すると、当該異常原因を表示装置に表示すること
    を特徴とするエレベーター保守点検システム。
  6. 一端に乗りかごが他端に釣合錘が結合された主ロープが巻き掛けられた綱車を駆動するモータと、
    前記乗りかごの積載荷重を検出する荷重検出装置と、
    前記モータに流れる電流であるモータ電流を検出する電流検出器と、
    ロータリエンコーダと、
    前記ロータリエンコーダの出力パルスに基づいて前記乗りかごの速度および位置を検出する位置速度検出装置と、
    前記積載荷重と、前記モータ電流と、前記乗りかごの位置および速度と、予め記憶装置に保持されるトルク限界値とを用いて、前記モータに印加すべきトルクであるトルク指令値を演算するトルク演算部と、を備えるエレベーターの異常を診断するエレベーター異常診断装置であって、
    前記トルク指令値と予め保持されるトルク閾値とを用いて前記エレベーターの異常の有無を判別する異常有無判別部と、
    前記異常有無判別部が異常有りと判別した場合、前記積載荷重と予め保持される荷重判定値とを用いて、当該異常の原因である異常原因を推定する異常原因推定部と、
    前記異常原因推定部が特定した前記異常原因を出力する出力部と、を備え
    前記異常有無判別部は、前記乗りかごの1回の走行において、前記トルク指令値が前記トルク閾値以上である状態が所定期間以上である場合、異常有りと判別し、
    前記異常原因推定部は、前記積載荷重と前記荷重判定値とを比較し、当該積載荷重が当該荷重判定値以上の場合、前記異常原因を、過負荷検出不能状態と推定し、当該積載荷重が当該荷重判定値未満の場合、当該異常原因を、前記綱車の駆動を拘束するブレーキ装置の異常であるブレーキ引き摺りと推定すること
    を特徴とするエレベーター異常診断装置。
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