JP7039991B2 - 輪郭検出装置、描画装置、輪郭検出方法及び輪郭検出プログラム - Google Patents
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Description
例えば、カメラで人物を撮影した場合に、輪郭検出の技術を用いることで、撮影画像から当該人物の顔の輪郭や、目、鼻、口等の各パーツの輪郭を検出することができる。
また、輪郭検出の対象は、顔や顔のパーツに限定されず、爪の輪郭形状等、各種の輪郭検出に輪郭検出の技術を用いることができる。
例えば、従来輪郭検出に用いられる手法として、AAM(Active Appearance Model)やASM(Active Shape Model)がある。これらの手法は、顔の輪郭や各パーツの輪郭の特徴点の配置を形状モデル(Shape Model)と呼ばれるモデルで表現する。そして、この形状モデルと検出対象を含む画像にフィッティングさせることで検出対象の輪郭検出を行う。
また、非特許文献1には、ESR(Explicit Shape Regression)と呼ばれるアルゴリズムにより検出対象の輪郭を検出する技術が開示されている。
ESRにおいても、重心の周囲に特徴点が配置された形状モデル(初期形状)を生成し、これと検出対象を含む画像とのフィッティングを行う。この際、ESRでは、非特許文献1に記載されているように、2段階の弱リグレッサー(弱識別器)を組み合わせて適用し、形状モデル(初期形状)を徐々に正解位置である検出対象の輪郭に向かって収束させていくという回帰問題として輪郭検出を行う。
すなわち、できる限り検出対象と重なり合う位置に形状モデル(初期形状)を配置した方が検出対象の輪郭をより高精度に検出することができる。
このため、例えば顔の輪郭を検出する場合には、目、鼻、口等、周囲との輝度や色の差が大きく見つけやすいパーツの位置情報を参考に顔全体の輪郭を特定して、この輪郭とおよそ重なり合う位置に形状モデル(初期形状)を配置する等の手法がとられる。
この場合、例えば画像の中心を初期位置とする等が考えられるが、これは学習時と処理対象の検出時との撮影環境が変わらないこと、すなわち、撮影装置(カメラ)の画角内における爪の位置や大きさが変わらないことが条件となり、学習時と検出時との撮影環境が異なる場合には検出精度が低くなってしまうという問題があった。
図1から図12を参照しつつ、本発明に係る輪郭検出装置の第1の実施形態について説明する。
なお、以下の本実施形態では、輪郭の検出を行う対象である検出対象が指の爪である場合を例として説明する。
以下においては、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態における輪郭検出装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体11を有している。
筐体11の上面(天板)には操作部12が設置されている。
操作部12は、ユーザが各種入力を行う入力部である。
操作部12には、例えば、輪郭検出装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、爪Tの輪郭検出の開始を指示する検出開始釦等、各種の入力を行うための操作釦が配置されている。
なお、本実施形態では、検出対象である爪領域として処理対象であるユーザの爪T(これを処理対象爪STともいう。)と輪郭検出のための学習を行うための学習対象である不特定多数の爪T(これを学習対象爪GTともいう。)とについて、撮影や輪郭検出を行うことを想定している。以下において単に爪Tとしたときはこの両方を含むものとする。
また処理対象爪STに対応する指(すなわちユーザの指)を指U1とし、学習対象爪GTに対応する不特定多数の指を指U2とする。
表示部13は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態において、この表示部13には、例えば、指U1を撮影して得た指画像(爪Tの画像を含む指画像)、この指画像中に含まれる爪Tの爪輪郭(処理対象爪STの爪輪郭Ts)等の画像、各種の指示を表示させる指示画面等が適宜表示される。
なお、表示部13の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部12として機能する。
開口部14の内側には、本実施形態における処理対象である処理対象爪ST(処理対象爪STを含む指U1)を固定する指固定部3が配置されている。
なお、後述のように、本実施形態では、輪郭検出装置1により、学習対象爪GTも撮影するようになっており、学習対象爪GTを撮影する場合には、開口部14内に配置された指固定部3に学習対象爪GT及びこれに対応する指U2をセットするようになっている。
図2に示すように、指固定部3は装置手前側に開口部31を有する箱状の部材であり、指固定部3内部には指U1(又は指U2)を固定する指固定部材32が配置されている。
指固定部材32は、指U1(又は指U2)を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。
指固定部3の天面奥側は開口しており、この開口部分からは指固定部3内に挿入された指U1(又は指U2)の爪Tが露出するようになっている。
また、指固定部3の天面手前側は指U1(又は指U2)の浮き上がりを防止して指U1(又は指U2)の上方向の位置を規制する指押え34となっている。指U1(又は指U2)及びその爪Tは、下側から指固定部材32によって支持され、指U1(又は指U2)の上側が指押え34によって押さえられることで、高さ方向の位置が所定の位置に位置決めされる。
また、本実施形態では、指挿入方向の奥側には、爪Tを載置する爪載置部35が設けられている。
この爪載置部35に爪Tの先を載置させることにより、爪Tの水平方向(すなわち、X方向及びY方向)の位置が規定されるとともに、その高さ方向の位置も規制される。
撮影部50は、撮影装置51と、照明装置52とを備えている。
撮影装置51は、例えば、200万画素程度以上の画素を有する固体撮像素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。
照明装置52は、例えば白色LED等の照明灯である。本実施形態では、撮影装置51を囲むように複数の照明装置52が配置されている。
なお、撮影装置51及び照明装置52の位置は図示例に限定されない。例えば、撮影部50の撮影装置51及び照明装置52は、爪Tの上方位置に固定配置されていてもよいし、撮影部50が移動手段によって移動可能に構成されている場合には、爪Tの上方位置に移動することが可能となっていればよい。
なお、学習対象爪GTを含む指の画像Igを撮影部50において取得することは必須ではない。
輪郭検出装置1が学習対象爪GTを含む指U2の画像Ig(画像Igのデータ、学習データ)を取得する手法はいかなるものでもよく、例えば輪郭検出装置1とは別の装置において、撮影部50と同様の撮影部によって撮影された学習対象爪GTを含む指U2の画像Igを取得してもよい。また、輪郭検出装置1が各種ネットワークと接続可能である場合には、ネットワーク上の各種サーバ装置等に蓄積されている爪Tの画像を学習対象爪GTを含む指U2の画像Igのデータ(学習データ)として取得してもよい。
処理対象爪ST(爪T)を含む指U1の画像Itのデータ(処理対象データ)と学習対象爪GTを含む指U2の画像データ(学習データ)とを撮影部50(又はこれと同様の撮影部)における撮影で取得する場合には、できるだけ撮影条件を同じにして撮影を行うことが好ましく、特に照明装置52からの光の照射角度等、撮影時の照明の条件については、爪Tの表面に光が反射した際の反射光の輝度等に影響するため、できるだけ揃えることが好ましい。
なお、輪郭検出装置1の後述する記憶部82等に背景画像が記憶されている場合には背景のみの撮影を行って背景画像Ibのデータを取得する必要はない。
後述するように、本実施形態では、検出情報生成部812が輪郭検出情報を生成する際、及び輪郭検出部813が爪輪郭Tsや指輪郭Usを生成する際に、指U1(又は指U2)が背景とともに撮影された画像(例えば、図3(a)の画像Igb参照)から背景画像Ibを差し引いた差分画像(背景無し画像)を生成し、この差分画像(背景無し画像)を学習データ(図4の画像Ig参照)や処理対象データ(図7の画像It参照)とするようになっている。
また、背景無し画像の生成は、学習データ(図4の画像Ig参照)や処理対象データ(図7の画像It参照)ともに行うことが必須ではなく、例えば、学習データ(図4の画像Ig参照)のみについて行い、後述する検出情報生成部812による学習については背景無し画像である学習データ(図4の画像Ig参照)を用いて行うようにしてもよい。
制御装置80は、例えば筐体11の天面の下面側等に配置された図示しない基板等に設置されている。
制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
本実施形態において、プログラム記憶領域820には、例えば輪郭検出情報を生成するための検出情報生成プログラム輪郭情報生成プログラム821aや処理対象である爪輪郭Tsの検出を行うため輪郭検出プログラム821b等が格納されている。
また、本実施形態において記憶部82には、検出情報生成部812により生成された輪郭検出情報を記憶する輪郭検出情報記憶領域822、輪郭検出部813により検出された爪Tの輪郭の情報が記憶される輪郭情報記憶領域823等が設けられている。
本実施形態において輪郭検出情報は、形状モデルである初期形状MTs(爪輪郭Trs)を構成する各特徴点Trpの座標値や、変位量関数(回帰関数)からなるリグレッサー(識別器)、その他各種のパラメータ等からなり、事前の学習によって得られる情報である。検出情報生成部812によって生成された輪郭検出情報は、記憶部82の輪郭検出情報記憶領域822に記憶される。
本実施形態において、学習とは、例えばサポートベクターマシン(support vector machine, SVM)等の教師あり学習等の機械学習である。
教師あり学習では、まず全ての学習データの画像(例えば図4の画像Ig参照)について、検出に関わる正解情報を取得する。
本実施形態では、検出情報生成部812は、複数の学習データについて、指U2の領域を画する特徴点Urpで構成される正解の指輪郭Ursと検出対象である学習対象爪GTの領域を画する特徴点Trpで構成される正解の爪輪郭Trsとを事前に正解情報として取得する。
正解の指輪郭Urs及び正解の爪輪郭Trsを得る手法は特に限定されないが、例えば学習データに基づく画像(例えば図4の画像Ig参照)を表示部13等に表示させて、当該画像を見ながら人が入力用のペン等を用いて指輪郭Ursや爪輪郭Trsであると思われる部分をなぞる等により指定し入力することで、当該入力情報が制御装置80において取得される。
本実施形態では、検出情報生成部812は、初期形状MTsを構成する特徴点Trpのうち、爪Tの延在方向(図3から図5等においてY方向)における最も爪先側に位置する特徴点Trpを基準点Stpとする。
また、検出情報生成部812は、各学習データから爪Tの輪郭検出に有用な特徴量を抽出する特徴抽出を行う。特徴量は例えば各画素の輝度値や色、隣接する画素間における輝度値や色の変化量等である。
検出情報生成部812は、モデルデータにおける指U2の正解の指輪郭Ursを構成する特徴点Urpの座標値、初期形状MTsを構成する特徴点Trpの座標値、基準点Stpの情報、及び特徴量に関する情報等を輪郭検出情報として記憶部82の輪郭検出情報記憶領域822に記憶させる。
学習においては、学習データにおける指U2の指画像Igに、初期形状MTsを配置して、特徴量等を参照しながら初期形状MTsを構成する各特徴点Trpの座標の移動を繰り返す。これにより初期形状MTsを徐々に検出対象である学習対象爪GTの爪輪郭Trsに合せ込んでいく。
各種の学習データを用いた学習を繰り返し行うことにより、初期形状MTsを爪輪郭Trsに合せ込むためのパラメータ(識別器等)等で構成される輪郭検出情報の検出精度が徐々に向上していく。輪郭検出情報記憶領域822に記憶されている輪郭検出情報はこうした学習結果を反映して随時更新されるようになっている。
本実施形態において、輪郭検出部813は、例えばESR(Explicit Shape Regression)と呼ばれるアルゴリズムにより処理対象爪STの爪輪郭Tsを検出する。
ESRは、初期形状MTsと処理対象爪STの爪輪郭Tsとのフィッティングを行うものであり、このフィッティングの際に非特許文献1に記載されているように、2段階の弱リグレッサー(弱識別器)を組み合わせて適用し、初期形状MTsを徐々に正解位置である処理対象爪STの爪輪郭Tsに向かって収束させていくという回帰問題として輪郭検出を行う。
また輪郭検出部813は、この指輪郭Usから爪幅方向UWの指U1のサイズを検出する。そして、図9に示すように、モデルデータにおける指輪郭(特徴点Urpで構成される指輪郭)のサイズを指U1のサイズに合わせて拡縮する。
これによりモデルデータにおける指Uに含まれる初期形状MTsのサイズも指U1のサイズに合わせて拡縮される。
本実施形態では、処理対象データにおける指U1の指画像について、正解の指輪郭Usを構成する特徴点Upを取得して、この特徴点Upのうち、爪Tの延在方向(図8及び図10等においてY方向)における最も爪先側に位置する特徴点Utpの上に初期形状MTsの基準点Stpが位置するように初期形状MTsを配置し、これを初期形状MTsの初期位置と決定する。
初期形状MTsの初期位置が決まると、初期形状MTsを初期位置から処理対象爪Tに合せ込む。具体的には、処理対象データにおける指U1の画像Itにおける特徴点Utpの上に基準点が来るように初期形状MTsを配置して、特徴量等を参照しながら初期形状MTsを構成する各特徴点Trpの座標の移動を繰り返す。これにより初期形状MTsを徐々に検出対象である処理対象爪Tの爪輪郭Tsに合せ込んでいくことで処理対象爪の爪輪郭Tsを検出する。
検出情報生成部812は、学習対象(本実施形態では爪輪郭)を含む指U2の画像Igのデータである学習データが所定数所得されたかを判断し(ステップS4)、取得されていない場合(ステップS4;NO)には、ステップS2に戻って処理を繰り返す。
他方、学習データが所定数所得されたと判断される場合(ステップS4;YES)には、当該学習データについて正解の指輪郭Urs及び正解の爪輪郭Trsを取得する(ステップS5)。さらに、検出情報生成部812は、学習データのうちからモデルデータを取得し(ステップS6)、モデルデータにおける正解の爪輪郭Trsを初期形状MTsとして設定する(ステップS7)。
そして、検出情報生成部812は、モデルデータにおける正解の指輪郭Ursの座標値、初期形状MTsの正解の爪輪郭Trsの座標値、その他各種パラメータ等を輪郭検出情報として、記憶部82の輪郭検出情報記憶領域822に記憶させる(ステップS8)。
具体的には、次に説明する輪郭検出処理(図12参照)と同様に、検出情報生成部812は、画像Igにおける指U2の正解の指輪郭Ursの指幅UWを取得するとともに、モデルデータにおける指U2の正解の指輪郭Ursの指幅UWを取得して、このモデルデータにおける指U2の指幅UWが学習対象爪GTの指U2のサイズに合うようにモデルデータにおける指U2(爪輪郭Trsである初期形状MTsを含む指輪郭Urs)のサイズを拡縮する。これにより、初期形状MTsが学習対象爪GTと同等のサイズとなり、合せ込みやすい状態となる。
さらに、検出情報生成部812は、初期形状MTsの基準点Stpと、指U2の正解の指輪郭Ursの爪先側(すなわち、指U2の指幅UWに直交する指U2の延在方向の爪先側)の頂点とが重なり合う位置を初期位置として設定し、当該初期位置に初期形状MTsを当該初期位置に配置する。そして検出情報生成部812は、初期形状MTsを徐々に指U2の爪輪郭Trsに合せ込んでいくことにより、学習対象爪GTの爪輪郭Trs(爪領域の輪郭)を検出する。こうした学習対象爪GTの爪輪郭Trsの検出処理を繰り返す学習を行うことにより輪郭検出の際に適用するパラメータ等の輪郭検出情報がより検出精度の高いものとなっていく。検出情報生成部812は、学習により更新された輪郭検出情報を適宜輪郭検出情報記憶領域822に記憶させ、その内容を更新して行く。
次に、処理対象爪STを含む指U1を撮影部50により撮影して処理対象爪STを含む指U1の指画像を取得する(ステップS12)。そして、この指画像から背景画像Ibを差し引いた画像It(差分画像、図7・図10参照)を処理対象データとして取得する(ステップS13)。
画像It(差分画像)が取得されると、輪郭検出部813は、当該画像Itから指U1の指輪郭Usを取得し(ステップS14)、さらに、指U1の指輪郭Usから指U1の指幅UWを取得する(ステップS15)。指U1の指幅UWが取得されると、輪郭検出部813は、指U1の指幅UWに合うようにモデルデータにおける指U2(爪輪郭Trsである初期形状MTsを含む指輪郭Urs)のサイズを拡縮する(ステップS16)。これにより、初期形状MTsが処理対象爪STと同等のサイズとなり、合せ込みやすい状態となる。
なお、学習時と処理対象爪STの爪輪郭Tsの検出時とで適用される同じ初期形状MTsである。
そして輪郭検出部813は、初期形状MTsを徐々に指U1の爪輪郭Tsに合せ込んでいくことにより、処理対象爪STの爪輪郭Ts(爪領域の輪郭)を検出する。
最終的に爪Tの輪郭として採用された検出結果(輪郭を構成する各点の座標値)は、検出対象であるユーザの爪Tの輪郭として、輪郭情報記憶領域823に記憶される。
また、検出結果としての処理対象爪STの爪輪郭Tsは、ネイルプリント以外にも自動的に処理対象爪STの表面を整えるオート爪磨き等、各種ネイルケア等を行う場合の対象領域とすることができる。
フィッティングによる輪郭検出を行う場合、初期形状MTsを配置する初期位置が検出精度に影響を与えるところ、初期位置はできるだけ検出対象(本実施形態では爪輪郭)の近くに設定することが好ましい。この点、検出対象である爪輪郭Tsは指の先端側に位置するものであるところ、本実施形態では、学習時に用いた初期形状MTsを処理対象爪STの爪輪郭Tsの検出に適用し、初期形状MTsの爪先側の頂点である基準点Stpと指U1の爪先側の頂点Utp(指輪郭Usの指幅方向UWと直交する長さ方向Yの先端部の特徴点Up)とが重なる位置に初期位置を設定する。
このため、初期形状MTsが必ず爪輪郭Tsの近傍に初期配置されるため、爪輪郭Tsの検出精度が向上する。
また、学習(機械学習)を用いて処理対象爪STの爪輪郭Tsの検出を行うため、ユーザの手を煩わせることなく、ネイルプリント等の処理を行う際の対象領域を正確に検出することができる。
そして、爪の場合、周りの皮膚(指部分)との輝度差や色の差が小さく、何ら限定がない状態では学習(機械学習)等において指と爪との識別が難しいところ、本実施形態では比較的輝度差や色の差が大きく、自動的に検出することが容易である指部分をまず検出し、その後、爪輪郭について学習(機械学習)等による自動的な輪郭検出を行う。
これにより、ユーザの手を煩わせない自動的な輪郭検出を高精度に行うことが可能となる。
これにより、初期形状MTsと学習対象爪GTの爪輪郭とのサイズを同等に合わせた上で合せ込み処理を行うことができ、より迅速に正確な輪郭検出を行うことができる。
このため、背景によって指の輪郭検出の精度が落ちるおそれがなく、より高精度な輪郭検出を安定的に行うことができる。
このため、指輪郭Ursのサイズを容易に検出することができる。
次に、図13及び図14を参照しつつ、本発明に係る輪郭検出装置を爪にネイルデザインを描画する描画装置(以下、「ネイルプリント装置」という。)に適用した例を第2の実施形態として説明する。
なお、本実施形態では、輪郭検出装置の構成及び作用・効果は第1の実施形態で説明したものと同様であるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
なお、図13では図示を省略しているが、ネイルプリント装置100は、図10に示す内部構成が、例えば図1に示すような操作部12や表示部13等を備える筐体11内に収容されて構成されている。
描画部40は、描画部本体である描画ヘッド41、ユニット支持部材42、ユニット支持部材42をX方向(図13等におけるX方向、ネイルプリント装置100の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46、ユニット支持部材42をY方向(図13等におけるY方向、ネイルプリント装置100の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48等を備えて構成されている。
本実施形態の描画ヘッド41は、インクジェット方式で描画を行うインクジェットヘッドである。なお、描画ヘッド41はインクジェット方式で描画を行うものに限定されない。例えば、処理対象爪STの表面に直接先端部を接触させて描画を行うペン等を備えて構成されていてもよい。
ヘッド移動機構を備えることにより、処理対象爪STを撮影する際には、指固定部3の上方に撮影部50が配置されるようにし、描画時には指固定部3の上方に描画ヘッド41が配置されるように、適宜移動させることができる。
描画部40における描画ヘッド41、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48は、制御装置80の図示しない描画制御部に接続され、該描画制御部815によって制御される。
具体的には、処理対象爪STの輪郭形状等に基づいてネイルデザインの画像データを拡大、縮小、切出し等することにより爪Tの形状に合わせ込む合せ込み処理を行う。
また、輪郭検出部813により検出された爪情報に応じて、適宜曲面補正等を行う。
これにより、描画ヘッド41によって描画されるネイルデザインの描画用データが生成される。
ネイルデザイン記憶領域824には、処理対象爪STに描画されるネイルデザインの画像データが記憶されている。
本実施形態において、ネイルプリント装置100で爪Tへの描画を行う場合、ユーザは、装置電源を入れ、さらに描画開始ボタン等の操作部12を操作する。これにより、操作に応じた描画開始指示がネイルプリント装置100の制御装置80に入力される(ステップS21)。
描画開始指示が入力されると、制御部81は、ネイルデザインを選択させるネイルデザイン選択画面を表示部13に表示させ(ステップS22)、ユーザによる選択を促す。
ユーザが操作部12等から所望のネイルデザインを選択すると、当該選択指示に従って爪Tに描画すべきネイルデザインが選択される(ステップS23)。
ネイルデザインが選択されると、制御部81は、指固定部の所定位置に描画対象となる爪の指を配置するように指示する指示画面を表示部13に表示させ(ステップS24)、ユーザに処理対象爪ST(及びその指U1)の固定を促す。
ユーザは指示に従って指U1を指固定部3に挿入し、処理対象爪STの先を位置決め手段である爪載置部35に載置することで位置決め固定する。
そして、このように処理対象爪STが爪載置部35により位置決めされた状態で、撮影制御部811が撮影部50を動作させて処理対象爪STを撮影し(ステップS25)、処理対象としての処理対象爪STの領域を含む処理対象画像のデータである処理対象データを取得する。
また、本実施形態の輪郭検出部813は、第1の実施形態で示した輪郭検出の他、指画像(検出対象画像)Itから処理対象爪STの高さ(処理対象爪STの垂直方向の位置、処理対象爪STの垂直位置)、処理対象爪STの表面の、XY平面に対する傾斜角度(処理対象爪STの傾斜角度、爪曲率)等を検出する。
処理対象爪STの輪郭等の爪情報が検出されると、制御装置80は、検出された処理対象爪STの輪郭に、選択されたネイルデザインをフィッティングし、さらに適宜曲面補正等の補正を行って描画用データ(ネイルデザインの描画データ)を生成する(ステップS27)。
そして、描画用データが生成されると、制御装置80は、描画部40に描画用データを出力するとともに、ヘッド移動部49を動作させて描画ヘッド41を適宜移動させながら描画用データに基づく描画処理を行わせる。これにより描画用データに基づくネイルデザインが爪Tに描画される(ステップS28)。
すなわち、本実施形態では、描画装置であるネイルプリント装置100が、第1の実施形態で示した輪郭検出装置1を備えている。このため、爪T(処理対象爪ST)という、指部分との境界等を検出することが難しい対象について、比較的時間を掛けず、またユーザの手を煩わせずに精密に描画範囲となる爪領域を特定し、はみ出し等のない美しい仕上がりのネイルプリントを行うことができる。
検出対象の領域とのフィッティングを行う際の初期形状MTsの配置位置が輪郭検出に多少でも影響を与えるようなアルゴリズムを用いる場合には、上記各実施形態で示したような手法を用いることが好ましい。
このため、例えば、AAM(Active appearance model)、ASM(Active Shape model)ACM(Active Contour Model)等を輪郭検出部813が初期形状MTsと処理対象爪STの爪輪郭Tsとのフィッティングを行う際に用いることのできるアルゴリズムとして用いる場合にも本実施形態を適用することが可能である。
例えば、モデルデータにおける指輪郭Ursと指U1の指輪郭Usとの指の延在方向における長さ寸法を合わせるようにサイズ調整を行ってもよい。
例えば、顔の輪郭や目・鼻・口等の顔のパーツの輪郭等を検出対象としてもよい。
このように、顔の輪郭や顔のパーツを検出する場合には、位置決め手段として、例えばあごの位置を固定する顎載せ台等を設置し、これに顎を固定した状態で学習対象画像や検出対象画像を取得するための撮影を行う。
また、検出対象が医療用の撮影装置で撮影された医療用画像に含まれる各種臓器等である場合には、輪郭検出を行った後の処理として、医師等による画像診断や患者への健康状況の情報提供等が行われてもよい。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
学習対象爪を含む指の画像データである複数の学習データを用いて検出対象である爪輪郭を検出する学習を行い、輪郭検出情報を得る検出情報生成部と、
前記輪郭検出情報を、処理対象爪を含む指の画像データである処理対象データに適用して検出対象である前記処理対象爪の爪輪郭を検出する輪郭検出部と、を備え、
前記検出情報生成部は、前記複数の学習データに基づいて複数の特徴点で構成される初期形状を設定し、前記初期形状を構成する前記特徴点のうち基準位置に対応する特徴点を基準点とし、
前記輪郭検出部は、前記処理対象爪を含む指の指輪郭における前記基準位置に対応する点と、前記基準点とが重なるように前記初期形状の初期位置を配置し、前記初期形状を前記初期位置から前記処理対象爪に合せ込むことで前記処理対象爪の前記爪輪郭を検出する輪郭検出装置。
<請求項2>
前記検出情報生成部は、前記複数の学習データについて、前記指の領域を画する前記特徴点で構成される正解の指輪郭と前記学習対象爪の領域を画する前記特徴点で構成される正解の爪輪郭とを取得するとともに、前記学習データのうちからモデルデータを抽出し、前記モデルデータにおける前記正解の爪輪郭を初期形状とする請求項1に記載の輪郭検出装置。
<請求項3>
前記輪郭検出部は、前記処理対象データについて、前記指の領域を画する特徴点で構成される指輪郭を取得するとともに、前記指輪郭から求められる前記処理対象データにおける前記指のサイズ情報に応じて前記モデルデータにおける前記学習対象爪を含む指のサイズを拡縮する請求項1又は請求項2に記載の輪郭検出装置。
<請求項4>
前記輪郭検出部は、前記指輪郭を構成する前記特徴点のうち指先側のいずれかの特徴点の上に前記基準点が位置するように前記初期形状を配置することで、前記初期形状の初期位置を決定する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の輪郭検出装置。
<請求項5>
前記学習データについて前記正解の指輪郭以外の背景を除いた背景無し画像を生成し、
前記検出情報生成部による前記学習は前記背景無し画像を用いて行われる請求項2に記載の輪郭検出装置。
<請求項6>
前記検出情報生成部は、前記初期形状を構成する前記特徴点のうちいずれかの点を前記初期形状の位置の基準となる基準点とし、この基準点を前記学習データにおける前記指の指先側のいずれかの位置に配置することで、前記初期形状の初期位置を設定し、
前記輪郭検出部は、前記指の指先側のいずれかの位置に配置された前記初期形状を前記初期位置から前記学習対象爪に合せ込むことで前記学習対象爪の前記爪輪郭を検出する学習を行う請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の輪郭検出装置。
<請求項7>
前記指輪郭の前記サイズ情報は、指幅方向の長さ寸法である請求項3に記載の輪郭検出装置。
<請求項8>
前記指輪郭における前記基準位置に対応する点は、前記指輪郭の指幅方向と直交する長さ方向の先端部の特徴点である請求項1から7のいずれか一項に記載の輪郭検出装置。
<請求項9>
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の輪郭検出装置と、
前記輪郭検出装置により検出された輪郭内に描画を施す描画部と、
を備える描画装置。
<請求項10>
学習対象爪を含む指の画像である複数の学習データを用いて検出対象である爪輪郭を検出する学習を行い、輪郭検出情報を得る検出情報生成工程と、
前記検出情報生成工程において生成された前記輪郭検出情報を、処理対象爪を含む指の画像データである処理対象データに適用して検出対象である前記処理対象爪の爪輪郭を検出する輪郭検出工程と、を含み、
前記検出情報生成工程は、前記複数の学習データに基づいて初期形状を設定して、前記初期形状を構成する前記特徴点のうち基準位置に対応する特徴点を基準点とし、
前記輪郭検出工程は、前記処理対象爪を含む指の指輪郭における前記基準位置に対応する点と、前記基準点とが重なるように前記初期形状の初期位置を配置し、前記初期形状を前記初期位置から前記処理対象爪に合せ込むことで前記処理対象爪の前記爪輪郭を検出す輪郭検出方法。
<請求項11>
輪郭検出装置のコンピュータに、
学習対象爪を含む指の画像である複数の学習データを用いて検出対象である爪輪郭を検出する学習を行い、輪郭検出情報を得る検出情報生成機能と、
前記検出情報生成機能により生成された前記輪郭検出情報を処理対象爪を含む指の画像データである処理対象データに適用して検出対象である前記処理対象爪の爪輪郭を検出する輪郭検出機能と、を実現させ、
前記検出情報生成機能は、前記複数の学習データ基づいて複数の特徴点で構成される初期形状を設定し、前記初期形状を構成する前記特徴点のうち基準位置に対応する特徴点を基準点とし、
前記輪郭検出機能は、前記処理対象爪を含む指の指輪郭における前記基準位置に対応する点と、前記基準点とが重なるように前記初期形状の初期位置を配置し、前記初期形状を前記初期位置から前記処理対象爪に合せ込むことで前記処理対象爪の前記爪輪郭を検出する輪郭検出プログラム。
40 描画部
50 撮影部
81 制御部
82 記憶部
812 検出情報生成部
813 輪郭検出部
100 ネイルプリント装置(描画装置)
T 爪
U1 処理対象指
U2 学習対象指
Claims (13)
- 学習対象となる爪を含む指の画像データを用いて爪の輪郭である爪輪郭を検出する学習を行い、モデルとなる爪の輪郭の形状および基準位置の情報を得る生成部と、
処理対象となる爪を含む指の画像データから指の輪郭である指輪郭を検出する指輪郭検出部と、
前記指輪郭検出部で検出された指の輪郭における基準位置と前記モデルとなる爪の輪郭の基準位置とが重なるようにして、前記モデルとなる爪の輪郭の形状を前記処理対象となる爪の初期形状として配置し、配置された前記初期形状を前記処理対象となる爪に合せ込むように変形させることで、前記処理対象となる爪を含む指の画像データから前記処理対象となる爪の輪郭を検出する爪輪郭検出部と、
を備える輪郭検出装置。 - 前記生成部は、前記学習対象となる爪を含む指の画像データと、前記学習対象となる爪の正解となる輪郭の情報とを含む複数の学習データを用いて、爪の輪郭を検出する学習を行い、
前記爪輪郭検出部は、前記処理対象となる爪を含む指の画像データと、前記学習により得られたモデルデータを用いて、前記処理対象となる爪の輪郭を検出する、請求項1に記載の輪郭検出装置。 - 前記生成部は、前記学習対象となる爪を含む指の画像データと、前記学習対象となる爪の正解となる輪郭の情報とを含む複数の学習データに基づいて、複数の特徴点で構成される初期形状を設定し、前記初期形状を構成する前記特徴点のうち基準位置に対応する特徴点を基準点とし、
前記爪輪郭検出部は、前記処理対象となる爪を含む指の輪郭における前記基準位置に対応する点と、前記基準点とが重なるように前記初期形状の初期位置を配置し、前記初期形状を前記初期位置から前記処理対象となる爪に合せ込むことで前記処理対象となる爪の輪郭を検出する、請求項1または2に記載の輪郭検出装置。 - 前記生成部は、前記複数の学習データについて、前記指の領域を画する前記特徴点で構成される正解の指輪郭と前記学習対象となる爪の領域を画する前記特徴点で構成される正解の爪輪郭とを取得するとともに、前記学習データのうちからモデルデータを抽出し、前記モデルデータにおける前記正解の爪輪郭を初期形状とする請求項3に記載の輪郭検出装置。
- 前記爪輪郭検出部は、前記処理対象となる爪を含む指の画像データから前記指の領域を画する特徴点で構成される指輪郭を取得するとともに、前記指輪郭から求められる前記画像データにおける前記指のサイズ情報に応じて前記モデルデータにおける前記学習対象となる爪を含む指のサイズを拡縮する請求項4に記載の輪郭検出装置。
- 前記爪輪郭検出部は、前記指輪郭を構成する前記特徴点のうち指先側のいずれかの特徴点の上に前記基準点が位置するように前記初期形状を配置することで、前記初期形状の初期位置を決定する請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の輪郭検出装置。
- 前記学習データについて前記正解の指輪郭以外の背景を除いた背景無し画像を生成し、
前記生成部による前記学習は前記背景無し画像を用いて行われる請求項4に記載の輪郭検出装置。 - 前記生成部は、前記初期形状を構成する前記特徴点のうちいずれかの点を前記初期形状の位置の基準となる基準点とし、この基準点を前記学習データにおける前記指の指先側のいずれかの位置に配置することで、前記初期形状の初期位置を設定し、
前記爪輪郭検出部は、前記指の指先側のいずれかの位置に配置された前記初期形状を前記初期位置から前記学習対象となる爪に合せ込むことで前記学習対象となる爪の前記爪輪郭を検出する学習を行う請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の輪郭検出装置。 - 前記指輪郭の前記サイズ情報は、指幅方向の長さ寸法である請求項5に記載の輪郭検出装置。
- 前記指輪郭における前記基準位置に対応する点は、前記指輪郭の指幅方向と直交する長さ方向の先端部の特徴点である請求項3から9のいずれか一項に記載の輪郭検出装置。
- 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の輪郭検出装置と、
前記輪郭検出装置により検出された輪郭内に描画を施す描画部と、
を備える描画装置。 - 輪郭検出装置が、
学習対象となる爪を含む指の画像データを用いて爪の輪郭を検出する学習を行い、モデルとなる爪の輪郭の形状および基準位置の情報を得る生成処理と、
処理対象となる爪を含む指の画像データから指の輪郭を検出する指輪郭検処理と、
前記指輪郭検処理で検出された指の輪郭における基準位置と前記モデルとなる爪の輪郭の基準位置とが重なるようにして、前記モデルとなる爪の輪郭の形状を前記処理対象となる爪の初期形状として配置し、配置された前記初期形状を前記処理対象となる爪に合せ込むように変形させることで、前記処理対象となる爪を含む指の画像データから前記処理対象となる爪の輪郭を検出する爪輪郭検出処理と、
を実行する輪郭検出方法。 - 輪郭検出装置のコンピュータに、
学習対象となる爪を含む指の画像データを用いて爪の輪郭を検出する学習を行い、モデルとなる爪の輪郭の形状および基準位置の情報を得る生成処理と、
処理対象となる爪を含む指の画像データから指の輪郭を検出する指輪郭検処理と、
前記指輪郭検処理で検出された指の輪郭における基準位置と前記モデルとなる爪の輪郭の基準位置とが重なるようにして、前記モデルとなる爪の輪郭の形状を前記処理対象となる爪の初期形状として配置し、配置された前記初期形状を前記処理対象となる爪に合せ込むように変形させることで、前記処理対象となる爪を含む指の画像データから前記処理対象となる爪の輪郭を検出する爪輪郭検出処理と、
を実行させる輪郭検出プログラム。
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