JP7039660B2 - 直接発電及び熱ポンピングのための電気化学システム - Google Patents

直接発電及び熱ポンピングのための電気化学システム Download PDF

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Description

本発明は、機械的仕事の必要なしに、熱源からの直接発電のために、又は温度勾配に対抗して熱を移動させる(即ち熱を低温リザーバから高温リザーバへポンピングする)ために使用できる、電気化学的方法、システム及び装置に関する。
熱源からの発電
現在、世界のほとんどの電力は熱から生成され、熱は化石燃料(油、石炭及び天然ガス)の燃焼、熱核反応、又は比較的少ないが地熱リソース若しくは太陽放射の集中によって生成される。このような熱からの発電は、熱機関による熱の機械的仕事への変換を伴う。ガスタービン、蒸気タービン、有機サイクルタービン、往復ピストン機関等といった熱機関は、高温から低温への熱の流れ(下り温度勾配)から機械的仕事を生成するシステムである。火力発電プラント又はより小さな設備において熱機関によって機械的仕事が生成されると、機械的仕事はその後、電磁発電機によって電気エネルギに変換される。
熱を生成するために化石燃料を燃焼させることは、コストがかかり、環境に有害である。人工の気候変動に関与する二酸化炭素等の温室効果ガス、及び他の汚染物質(亜酸化窒素、硫黄酸化物、微粒子)が放出される。油及び天然ガスは、世界各地で乏しい高価な燃料である。石炭は安価であるが、環境により有害である。
熱核反応は大気放射を生成しないが、これらは、極めて悲惨な結果を伴う原発事故の並外れたリスクを有する。このようなリスクを防ぐために、熱核プラントは、多数の安全特徴を組み込んでおり、これにより熱核プラントの建設は極めて高価なものとなる。
比較的低温の熱、いわゆる低品位熱(low-grade heat:LGH)の源は、豊富に存在する。例えば、多数の産業プロセスが、現在十分に活用されていない廃熱として、LGHを生成している。地核は、LGHの形態の地熱エネルギの有り余る源である。太陽放射を単純で安価な吸収収集器を用いて吸収して、LGHを生成できる。このようなLGH源はゼロに近い非常に低いコストで熱を生成するが、これらは現在発電のために十分に活用されていない。この過小利用の理由は、LGHの低温によりシステムのカルノー効率が非常に低く、これは非常に大きな熱消費率(1kWhの電力を生成するために必要な熱の量)につながり、これに対応して資本コストが非常に高くなることである。典型的には、より高品位な熱を用いる設備と比較して、LGHからの発電のための設備は、1単位(kWh)の電力を生成するために、熱流のための投資をより多く必要とする(即ち設備は作動流体、機関/タービン、加えて蒸発性タワー等といった排熱機械を昇温させる必要がある)。
ヒートポンプ
熱機関が逆に動作するとき、熱機関は熱エネルギを、低温のリザーバから高温のリザーバに、即ち温度勾配から予期される自然な熱流に反して移動させる(又はポンピングする)ことができる。このようなモードで動作する場合、熱機関はヒートポンプであると見做され、これは(機械的仕事の生成とは対照的に)機械的仕事の入力を必要とする。ヒートポンプは今日、冷蔵装置、並びに建物及び車両の冷却用、そして次第に加熱用にもなっている空気調節ユニットにおいて広く使用されている。
電気化学システム
化学ポテンシャルを電力に変換する電気化学システム(バッテリ等)は、電磁生成及び/又は光電気生成の時代以前は、電気エネルギを生成する及び利用するための、人類にとって第1の方法であった。しかしながら、これらの早期のデバイスは、変換されている材料(ほとんどの場合金属)を消費するものであった。これにより、デバイスは極めて不経済なものとなる。
電気化学システムは通常、2つの電極において対応する電極電位を有する2つの電気化学反応(半電池反応)を含み、電極間には起電力(電圧差)が存在する。多数の電気化学反応がエントロピの大幅な変化によって進行し、これは、当該電気化学反応に関して、電極電位が温度によって大いに影響されることを意味する。電気化学反応がどのように温度に影響されるかについての例は、非特許文献1(以下「参考文献1」と呼ぶ)において確認できる。
温度差による生成
温度差発電は、電極電位が温度と共に大幅に変化する電気化学反応を用いる。理論的には、電極電位の温度依存係数(アルファ)は、システムにおけるエントロピの変化の関数であり(参考文献1)、多数の半電池反応に関するアルファの単純な決定を可能とした(参考文献1)。典型的には、温度差デバイスは2つの電極からなるが、一方は高温部分に、そしてもう一方は低温部分に置かれ、単一の電気化学反応が2つの電極において異なる速度及び平衡電圧で進行するため、電圧差が生成され、これを収穫できる。このような温度差デバイスの例は、非特許文献2において確認できる。このような従来の温度差反応は、反応物及び産物のマスフローが生成された熱電位を消散させるため、不十分な効率に悩まされる。更に、イオン伝導経路を低抵抗性に維持しながらの高温電極と低温電極とのの断熱が課題となり得る。
最近、システムを低温及び高温に交互に曝露することにより充放電できる、特定温度差ソリッドステートシステムが説明されている。温度差ソリッドステートシステムの例は、(1)非特許文献3;(2)Leeらによる特許文献1、発明の名称“Electrochemical System and Methods for Harvesting Heat Energy”、2015年4月9日公開;及び(3)非特許文献4において確認できる。これらのシステムは、一方が負のアルファを有し、もう一方が平坦な又は正の(アルファ)を有することにより、これらを足し合わせることで、全電池反応について有意な(アルファ)が達成されるように選択された、1対の半電池反応を採用する。2つの半電池反応は、イオン選択性膜の使用により仕切られ、熱電電圧の消散を制限する。その結果これらのシステムは、単一の電気化学反応を用いる従来の温度差システムよりも良好な効率を有する。更にこのシステムは、電池全体が充放電のために異なる温度に順次曝露されるため、電極の熱分離を必要としない。
米国特許出願公開第2015/0091150号明細書
"The Temperature Coefficients of Electrode Potentials: The Isothermal and Thermal Coefficients-The Standard Ionic Entropy of Electrochemical Transport of the Hydrogen Ion" by deBethune et al., Vol. 106, No. 7, Journal of the Electrochemical Society, July 1959 "A Review of Power Generation in Aqueous Thermogalvanic Cells" by Quickenden el al., J. Electrochem. Soc, Vol. 142, No. 11, November 1995 "An Electrochemical System for Efficiently Harvesting Low-Grade Heat Energy" by Lee el al., published 21 May 2014 "Charging-Free Electrochemical System for Harvesting Low-Grade Thermal Energy" by Yang et al., Vol. 111, No. 48, PNAS, 2 December 2014
本発明の実施形態は、電極組立体を提供し、上記電極組立体は:第1の循環電解質と接触するよう構成された第1の電極セットであって、上記第1の電極セットは第1の電極を含み、上記第1の電極は、上記第1の循環電解質に対して透過性であるか、又は上記第1の循環電解質に接触する、第1の電極セット;第2の循環電解質と接触するよう構成された第2の電極セットであって、上記第2の電極セットは第2の電極を含み、上記第2の電極は、上記第2の電解質に対して透過性であるか、又は上記第2の電解質に接触する、第2の電極セット;及び上記第1の電極セットと上記第2の電極セットとの間のセパレータであって、上記セパレータは上記第1の循環電解質を上記第2の循環電解質から分離して、上記第1の電極と上記第2の電極との間のイオン伝導性を維持するよう構成される、セパレータを備える。
本発明のいくつかの実施形態は、電気化学システムを提供し、上記電気化学システムは:第1の温度で動作するよう構成された第1の電極組立体であって、上記第1の電極組立体は第1の電極セット及び第2の電極セットを含む、第1の電極組立体;上記第1の温度とは異なる第2の温度で動作するよう構成された第2の電極組立体であって、上記第2の電極組立体は第1の電極セット及び第2の電極セットを含む、第2の電極組立体;上記第1の電極組立体の上記第1の電極セットと上記第2の電極組立体の上記第1の電極セットとの間を循環するよう構成された、第1の電解質;並びに第2の電解質上記第1の電極組立体の上記第2の電極セットと上記第2の電極組立体の上記第2の電極セットとの間を循環するよう構成された、第2の電解質を備える。
本発明の実施形態もまた電気化学システムを提供し、上記電気化学システムは:第1の温度で動作するよう構成された第1の電極組立体であって、上記第1の電極組立体は、第1の電解質のための第1の電極セット及び第2の電解質のための第2の電極セットを含む、第1の電極組立体;上記第1の温度とは異なる第2の温度で動作するよう構成された第2の電極組立体であって、上記第2の電極組立体は、上記第1の電解質のための第1の電極セット及び上記第2の電解質のための第2の電極セットを含む、第2の電極組立体;並びに上記第1の電解質を貯蔵するための第1の貯蔵タンク又は上記第2の電解質を貯蔵するための第2の貯蔵タンクのうちの少なくとも一方を備える。
本発明により、熱を機械的仕事に変換する必要が回避され、いずれの可動部品又は熱機関も用いない、熱源からの直接的な発電を提供する。
更に、本発明はLGHからの発電に好適である。
本発明は、1対の半電池反応を含むシステムを記載し、ここで反応物及び産物は可溶性であり、少なくとも2対の電極又は電極組立体の間で再循環する。これにより、高い熱力学的効率を有する連続的作動、及び高温側と低温側との間にイオン伝導性を必要としない、これらの間の容易な分離が可能となる。更に本発明は、半電池反応の反応物を分離するための新規の方法、及び過去に記述されていない電気化学ポテンシャルの温度係数を有する新規の半電池反応を記載する。
更に、本発明は、2つ以上の異なる温度の間で動作し、(1)機械的仕事(熱機関動作)を生成する必要なしに高温からの熱流から電力を直接収穫する;又は(2)機械的仕事入力(ヒートポンプ動作)の必要なしに、熱を低温から高温に直接ポンピングするために使用できる、電気化学システムを記載する。
電解質及び電気化学種は、全電池電気化学ポテンシャルが1mV/℃超の有意な温度係数を有するように選択される。電解質が電極組立体間を循環するとき、熱は電解質からそれぞれ追加又は廃棄される。更に、特定の実施形態では、熱は、低温の電解質との熱交換により、高温の電解質から取り戻される。
更に、本発明は、電極電位がpHに影響される状況において、温度感受性pH制御の導入によって、一方又は両方の半電池のpHを効率的に変化させることにより、電極電位に影響を及ぼす、方法及び組成物を提供する。このような電極電位の変化は、2つの異なる温度で動作することによって、電気化学電池から発電する能力を更に改善する。
以上は、後続の「発明を実施するための形態」をより良く理解できるように、本発明の特徴及び技術的利点をかなり大まかに概説したものである。本発明の更なる特徴及び利点は以下で説明する。当業者には、本開示の構想及び具体的な実施形態が、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の目的を実施するための他の構造又はプロセスを修正又は設計するための基礎として、容易に利用できることを理解されたい。
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本開示の他の特徴及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。様々な図及び例示的実施形態を通して、同様の参照符号を用いて同様の要素を示す。これより、添付の図面に示された例示的実施形態に対して詳細に言及する。
本発明のいくつかの実施形態による電気化学システムのブロック図 本発明のいくつかの実施形態による、熱機関のように動作する電気化学システムの概略図 本発明のいくつかの実施形態による、ヒートポンプのように動作する電気化学システムの概略図 本発明のいくつかの実施形態による、図1に示した電気化学システムの電極組立体中の電極対の分解立体図 本発明のいくつかの実施形態による、図1に示した電気化学システムにおける使用に好適な電極組立体の部分分解立体図 本発明のいくつかの実施形態による、図1に示した電気化学システムにおける使用に好適な電極組立体及び対応する電気極性を通る電解質の流れの概略図を含む、第1の電極組立体の概略断面図 本発明のいくつかの実施形態による、図1に示した電気化学システムにおける使用に好適な電極組立体及び対応する電気極性を通る電解質の流れの概略図を含む、第2の電極組立体の概略断面図 電極組立体が、電流の流れに直交する方向の熱伝達流体の流れにより熱交換を促進するための格子と一体化された、本発明のいくつかの実施形態による電気化学システムの斜視図 電解質を貯蔵した、本発明のいくつかの実施形態による電気化学システムの概略図 電解質を貯蔵した、本発明のいくつかの実施形態による電気化学システムの概略図 本発明のいくつかの実施形態による、Fe(SCN) 3-n/FeSCN半電池(正)及びFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池(負)の温度に対する電位の依存を示す図 本発明のいくつかの実施形態による、Fe(SCN) 3-n/FeSCN+半電池(正)及びFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池(負)の温度に対する電位の依存を示す図 本発明のいくつかの実施形態による、酸性電解質中のCu(I)/Cu(II)半電池(正)及びFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池(負)における温度に対する電位の依存を示す図 本発明のいくつかの実施形態による、酸性電解質中のCu(I)/Cu(II)半電池(正)及びFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池(負)における温度に対する電位の依存を示す図 本発明のいくつかの実施形態による、新規のセパレータを有する電気化学システムの酸性電解質中のCu(I)/Cu(II)||Fe(CN) 3-/Fe(CN)64-全電池における、上記酸性電解質を80℃まで経時的に加熱した場合の温度に対する電位の依存を示す図 本発明のいくつかの実施形態による、アルカリ性電解質中でCu2+/Cu対を用いた半電池における温度に対する電位の依存を示す図
本開示を理解可能とするために、詳細なステップ及び構造を以下の説明において提供する。本開示の実装は当業者が知る特別な詳細を限定するものではないことは明らかである。更に、本開示を不必要に限定しないよう、公知の構造及びステップについては詳述しない。本開示の好ましい実施を以下に詳述する。しかしながら、「発明を実施するための形態」に加えて、本開示を他の実施形態においても広く実装してよい。本開示の範囲は、「発明を実施するための形態」に限定されず、特許請求の範囲によって定義される。
電気化学システム
図1は、本発明のいくつかの実施形態による電気化学システム1000のブロック図である。図1を参照すると、電気化学システム1000は、第1の電極組立体1、第2の電極組立体2、熱交換デバイス5、第1の熱処理デバイス7及び第2の熱処理デバイス6を含む。電気化学システム1000は、熱交換デバイス5、第2の熱処理デバイス6及び第1の熱処理デバイス7を介して、第1の電極組立体1と第2の電極組立体2との間で第1の電解質31及び第2の電解質32を循環させるよう構成される。本実施形態では、太字でない矢印で示すように、第1の電解質31は、熱交換デバイス5及び第2の熱処理デバイス6を介して、第1の電極組立体1から第2の電極組立体2に向かって流れ、続いて熱交換デバイス5及び第1の熱処理デバイス7を介して、第2の電極組立体2から第1の電極組立体1に向かって戻る。同様に、太字の矢印で示すように、第2の電解質32は、熱交換デバイス5及び第2の熱処理デバイス6を介して、第1の電極組立体1から第2の電極組立体2に向かって流れ、続いて熱交換デバイス5及び第1の熱処理デバイス7を介して、第2の電極組立体2から第1の電極組立体1に向かって戻る。第1の電解質31及び第2の電解質32は、電気化学システム1000において第1の電極組立体1と第2の電極組立体2との間を再循環し、これは効果的である。
第1の電極組立体1は、第1の電極セット11及び第2の電極セット12を含み、これらについては、例えば図3A及び3Bを参照して詳述される。ある実施形態では、第1の電極組立体1は、第1の温度で動作するよう構成される。
第2の電極組立体2は、第1の電極組立体1と略同一又は同様である。第2の電極組立体2も同様に、第1の電極セット21及び第2の電極セット22を含む。第2の電極組立体2は、上記第1の温度より低い第2の温度で動作するよう構成される。本開示では便宜上、第1の温度及び第2の温度をそれぞれ高温及び低温と呼ぶ。しかしながら他の実施形態では、第1の温度は第2の温度より低い場合がある。
第1の電極組立体1と第2の電極組立体2との間に配置される熱交換デバイス5は、第1の温度~第2の温度の温度範囲で動作するよう構成される。本開示では便宜上、この温度範囲を中間温度と呼ぶ。更に、熱交換デバイス5は、第1の熱交換器51及び第2の熱交換器52を含む。ある実施形態では、各第1の熱交換器51及び第2の熱交換器52はそれぞれ、金属、グラファイト若しくは他の炭素系材料等の熱伝導性材料、又は導電性複合材料製のプレート熱交換器を含む。第1の熱交換器51は、高温の第1の電極組立体1の第1の電極セット11からの第1の電解質31と、低温の第2の電極組立体2の第1の電極セット21からの第1の電解質31との間で熱を伝達するよう構成される。同様に、第2の熱交換器52は、高温の第1の電極組立体1の第2の電極セット12からの第2の電解質32と、低温の第2の電極組立体2の第2の電極セット22からの第2の電解質32との間で熱を伝達するよう構成される。
第1の電極組立体1と熱交換デバイス5との間に配置された第1の熱処理デバイス7は、高温で動作するよう構成される。更に、第1の熱処理デバイス7は、第1の熱プロセッサ71及び第2の熱プロセッサ72を含む。
熱交換デバイス5と第2の電極組立体2との間に配置された第2の熱処理デバイス6は、低温で動作するよう構成される。更に、第2の熱処理デバイス6は、第1の熱プロセッサ61及び第2の熱プロセッサ62を含む。
ある実施形態では、電気化学システム1000は、熱流から直接発電する熱機関として機能する。その場合、熱源(図示せず)は、高温で動作する第1の熱処理デバイス7中の電解質に熱を提供する。更に、第1の熱処理デバイス7は熱を吸収するよう構成され、第1の熱プロセッサ71及び第2の熱プロセッサ72はそれぞれ、プレート熱交換器等の熱交換器を含んでよい。対照的に、第2の熱処理デバイス6は熱を廃棄するよう構成され、第1の熱プロセッサ61及び第2の熱プロセッサ62もそれぞれ、プレート熱交換器等の熱交換器を含んでよい。あるいは、蒸気源(図示せず)を用いて、例えば低品位蒸気である蒸気の、第1の熱処理デバイス7中の電解質への注入によって熱を提供する。その場合、第1の熱処理デバイス7の第1の熱プロセッサ71及び第2の熱プロセッサ72はそれぞれベンチュリミキサを含んでよく、一方で第1の熱プロセッサ61及び第2の熱プロセッサ62はそれぞれ蒸発冷却器を含んでよい。電気化学システム1000において生成された電気エネルギは、機械的仕事に変換されることなく、電気負荷として機能する電気デバイス8によって収穫できる。
別の実施形態では、電気化学システム1000は、熱を低温から高温へポンピングするヒートポンプとして機能する。その場合、熱源(図示せず)は、低温で動作する第2の熱処理デバイス6中の電解質に熱を提供する。更に、第2の熱処理デバイス6は熱を吸収するよう構成され、第1の熱プロセッサ61及び第2の熱プロセッサ62はそれぞれ、プレート熱交換器等の熱交換器を含んでよい。対照的に、第1の熱処理デバイス7は熱を廃棄するよう構成され、第1の熱プロセッサ71及び第2の熱プロセッサ72はそれぞれ、プレート熱交換器等の熱交換器を含んでよい。あるいは、蒸気源(図示せず)は、例えば低品位蒸気である蒸気の、第2の熱処理デバイス6中の電解質への注入によって熱を提供する熱源として機能してよい。その場合、第2の熱処理デバイス6の第1の熱プロセッサ61及び第2の熱プロセッサ62はそれぞれベンチュリミキサを含んでよく、一方で第1の熱プロセッサ71及び第2の熱プロセッサ72はそれぞれ蒸発冷却器を含んでよい。ここでは電源として機能する電気デバイス8を用いて、機械的仕事からの変換を行うことなく、電力を電気化学システム1000に提供する。
電気化学システム1000において、第1の電解質31及び第2の電解質32はそれぞれ、O+ze→Riタイプの電気化学反応を起こす可溶性電気化学種で構成され、ここでO及びRはそれぞれ電解質iのための酸化種及び還元種であり、これにより半電池反応及び全電池反応は以下のように定義される:
第1の電極組立体1において:
+ze→R(第1の電解質31に関する半電池反応)
→O+ze(第2の電解質32に関する半電池反応)
+R→O+R(全電池反応)
第2の電極組立体2において:
→O+ze(第1の電解質31に関する半電池反応)
+ze→R(第2の電解質32に関する半電池反応)
+R→O+R(全電池反応)
確認できるように、全電池反応は1対の電極組立体において反転でき:第1の電極組立体1における産物は第2の電極組立体2における反応物であり、従ってシステムは全体として、連続的な電気化学サイクルを含む。電気化学種は、全電池反応が電池電圧の有意な温度係数を有するように選択され、これは、上記1対の電極組立体において、システムのエントロピの変化に有意な差が存在することを意味する。ある実施形態では、温度係数はおよそ1ミリボルト/1セルシウス度(mv/℃)以上である。異なる温度で動作させることにより、異なる電極組立体における反応がエントロピの増大又は減少と共に進行し、従って熱が吸収又は廃棄される。
電気化学システム1000は、図2A及び2Bを参照して更に議論するように、どちらの電極においてどちらの反応が起こるかに応じて、熱源から電力を生成する電気化学熱機関として、又は直接気化学ヒートポンプとして機能できる。
熱機関のように動作する電気化学システム
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による、熱機関のように動作する電気化学システム1001の概略図である。図2Aを参照すると、電気化学システム1001は、例えば、熱源9が高温ゾーンの第1の熱処理デバイス7の第1の熱プロセッサ71及び第2の熱プロセッサ72に熱を提供するよう構成されることを除いて、図1を参照して説明及び例示した電気化学システム1000と同様である。電気化学システム1001は発電のために使用されるため、熱源からの熱は、高温の第1の電極組立体1の直前の電解質に加えられる。更に、第1の電極組立体1及び第2の電極組立体2は、第1の電気コネクタ1a及び第2の電気コネクタ2aをそれぞれ介して、電気負荷81に直列に電気的に接続される。動作中、高温の第1の電極組立体1における反応は、エントロピの増大(熱吸収)と共に進行し、一方で低温の第2の電極組立体における反応は、エントロピの減少(熱廃棄)と共に進行する。その結果、第1の電極組立体1と第2の電極組立体2との間に電圧差が確立される。更に、電気負荷81を通して電気エネルギを収穫できる。このモードにおいて電気化学システム1001は、機械的仕事への変換を行うことなく、熱流から直接電力を生成する熱機関として動作する。
ヒートポンプのように動作する電気化学システム
図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による、ヒートポンプのように動作する電気化学システム1002の概略図である。図2Bを参照すると、電気化学システム1002は、例えば、熱源9が低温ゾーンの第2の熱処理デバイス6の第1の熱プロセッサ61及び第2の熱プロセッサ62に熱を提供するよう構成されることを除いて、図1を参照して説明及び例示した電気化学システム1000と同様である。電気化学システム1002は、温度勾配に対抗して熱をポンピングするために使用されるため、熱は、低温の第2の電極組立体2の直前の電解質から廃棄される。更に、第1の電極組立体1及び第2の電極組立体2は、第1の電気コネクタ1a及び第2の電気コネクタ2aをそれぞれ介して、電源82に直列に電気的に接続される。動作中、高温の第1の電極組立体1における反応はエントロピの減少(熱廃棄)と共に進行し、低温の第2の電極組立体2における反応はエントロピの増大(熱吸収)と共に進行する。その結果、動作を続けるサイクルのためにシステムに電気エネルギを供給する必要がある。このモードにおいて電気化学システム1002は、温度勾配に対抗して熱をポンピングするヒートポンプとして機能する。更に、いずれの機械的仕事も入力することなく熱のポンピングが行われるよう、電気化学システム1002は、電源82からの直接的な電力入力を必要とする。
電極セット及び電極セットを備える電極組立体
図3Aは、本発明のいくつかの実施形態による、図1に示した電気化学システム1000の第1の電極組立体1中の電極対の分解立体図である。第1の電極組立体1及び第2の電極組立体2は構造が略同じであるため、簡潔にするために、第1の電極組立体1についてのみ詳述する。図3Aを参照すると、第1の電極組立体1は、第1の電極セット11、第2の電極セット12、第1の電極セット11と第2の電極セット12との間のセパレータ100、及び1対のエンドプレート107を含む。更に議論されることになるセパレータ100は、第1の電極セット11と第2の電極セット12との間のイオン伝導性を維持しながら、第1の電極セット11中の第1の電解質31を第2の電極セット12中の第2の電解質32から分離するよう構成される。第1の電極セット11及び第2の電極セット12はセパレータ100に関して対称に位置決めされるため、簡潔にするために、第1の電極セット11についてのみ議論する。
第1の電極セット11は、電極102、マニホールド103及びバイポーラプレート105を含む。更に、不活性材料製のガスケット101が、セパレータ100とマニホールド103との間に配置され、別のガスケット104がバイポーラプレート105とマニホールド103との間に配置される。ガスケット101及び104は、1対のエンドプレート107によって組み立てられる際、第1の電極セット11と第2の電極セット12との係合を容易にする。エンドプレート107は、フェノール類等の絶縁材料を含む。
ある実施形態では、電極102は炭素で構成される。炭素繊維クロス若しくはフェルト、又は他の多孔質炭素構造が電極102に好適である。というのはこれらが、これらを通る第1の電解質31及び第2の電解質32のための流路を提供し、また良好な電子伝導性を維持しながら電極表面への電気活性種の良好な輸送を提供するためである。循環する電解質と共に炭素電極を使用する例は、(1)“Redox Flow Batteries: A Review” by Weber et al., J. Appl. Electrochem., published 2 September 2011;及び(2) “A Comparative Study of Carbon Felt and Activated Carbon Based Electrodes for Sodium Polysulfide/Bromine Redox Flow Battery” by Zhou et al., published 24 May 2006において確認できる。炭素の利点は、炭素が安価で豊富な材料であり、化学的に不活性であり、その伝導性が温度より悪影響を受けないことである。しかしながら、様々な技術的及び経済的考察に応じて、本発明は、電極材料としての炭素の使用に限定されない。ニッケル、鉄、又は銅発泡体及びメッシュといった、好適な電気化学特性を有する他の伝導性材料も使用できる。
マニホールド103は、第1の電解質31の流れのための流入口103a、流出口103b及び内部チャネル103cを含む。更に、マニホールド103は、電極102を収容するための窓(番号付与せず)を有して設計される。同様に、第2の電極セット12において、マニホールド103は、第2の電解質32の流れのための流入口103a、流出口103b及び内部チャネル103cを含む。
バイポーラプレート105は第1の電解質31に対して非透過性である。同様に、第2の電極セット12において、バイポーラプレート105は第2の電解質31に対して非透過性である。ある実施形態では、バイポーラプレート105は、グラファイト若しくはグラファイト箔、炭素被覆アルミニウム、又は他の好適な導電性材料で作製される。更に、本実施形態では、バイポーラプレート105は、電気化学システム1000が熱機関として機能する場合には電気エネルギの収穫を、又は電気化学システム1000がヒートポンプとして機能する場合には電圧の印加を、促進するための接続端子106aを含む。
図3Aを参照して説明及び例示した実施形態は、単一の電極対(第1の電極セット11及び第2の電極セット12)で構成される電極組立体を提供する。構造が単純であるにもかかわらず、第1の電極組立体1及び第2の電極組立体2により、電気化学システム1000は、機械的仕事への変換を行うことなく電気エネルギを収穫できるか、又は電力を印加することにより、機械的仕事を入力することなく温度勾配に対抗して熱を直接ポンピングできる。図3Aの電極組立体は単一の電極対を採用しているが、複数の対の電極を直列に接続できる。図3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、図1に示した電気化学システム1000における使用に好適な電極組立体40の部分分解立体図である。図3Bを参照すると、電極組立体40は8対の電極を含み、これらはそれぞれ、分解立体図に示されるように、第1の電極セット411及び第2の電極セット412を有する。第1の電極セット411及び第2の電極セット412はそれぞれ、エンドバイポーラプレート106に接続端子106aが設けられていることを除いて、図3Aに示された第1の電極セット11及び第2の電極セット12と同様である。これらの複数の対の電極は、絶縁ロッド108及びナット109を用いてエンドプレート107によって組み立てられる。電極組立体40において、電極対はバイポーラプレート105、106によって互いに電気的に接続される。更に、バイポーラプレート105は、隣接する電極対の2つの電極と電気的に接触する。
図4A及び4Bはそれぞれ、本発明のいくつかの実施形態による、図1に示した電気化学システム1000における使用に好適な電極組立体及び対応する電気極性を通る電解質の流れの概略図を有する、第1の電極組立体41及び第2の電極組立体42の概略断面図である。図3Bを参照して説明及び例示した電極組立体40のように、第1の電極組立体41及び第2の電極組立体42もまた、複数の電極対を有する。複数の電極対を有する電極組立体により、単一の電極対を用いた場合よりも、その端子106aにおいてより高い電圧を印加できるか、又はより多くのエネルギを収穫できる。
電解質
電気化学システム1000における電解質31、32は、液体形態であり、溶媒、支持イオン、及び電極102において反転可能な還元/酸化反応を起こす電気化学種を含む。ある実施形態では、溶媒は液体水であるが、アルコール類(エタノール、メタノール、ブタノール、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、MIPK)、アミン類、ニトリル類等といった他の液体溶媒を水に加えて添加できるか、又は上記他の液体溶媒で水を完全に置換できる。
ここで説明する電気化学システムの動作における(即ち非機械的熱機関又はヒートポンプとしての電気化学システムの動作における)電気エネルギ出力/入力と熱入力/出力との間の直接的なリンクとしての液体電解質の使用は、比較的容易な熱伝達という別個の利点を有する。液体は一般に、熱伝達に最も効率的な物質である。伝導による熱流のみを可能とする固体とは異なり、液体は、伝導性熱伝達メカニズム及び対流性熱伝達メカニズムの両方を有することができる。ガス状物質も熱対流を可能とするが、これらの本質的な熱伝導性は、これらの密度が低いことにより極めて低い。従って、熱は、プレート熱交換器等といった十分に確立されたメカニズム及び装置を介して、液体電解質から容易に追加又は廃棄できる。
液体電解質及び液体溶液中で起こる電気化学反応の使用は、2つの反応の産物及び反応物が再循環ポンプを介して高温セグメントと低温セグメントとの間を容易に輸送されるという別の別個の利点を有する。
水系電解質に関する1つの問題は、これらの高い熱容量であり、これは、熱吸収電気化学反応と比較して、電解質を高温に加熱するためだけに相当量の熱が消費されることを意味する。しかしながら、以下に更に議論するように、温度上昇のこの熱を効率的に取り戻すことができる。
半電池反応のための電気化学種は、全電池反応が1mV/℃以上の温度依存係数を有するように、電極電位が温度と共に変化するよう、選択される。これに関して、半電池反応を、これらが電極電位の反対の温度係数を有することによって、一方が有意な負の(アルファ)を有し、もう一方が有意な正の(アルファ)を有するように、選択すると有利である。このようにして、全電池反応が1つの酸化性半電池反応及び1つの還元性半電池反応からなるため、半電池反応(半電池反応)は全電池反応のアルファに関して相加的である。
高い負の(アルファ)を有する電気化学半電池反応の一例は、鉄のヘキサシアノ錯体の還元/酸化である:
Fe(CN) 3-+e⇔Fe(CN) 4-
高い負の(アルファ)を有する半電池反応の別の例は、キノン類、及びスルホン化ベンゾキノン/ハイドロキノン等のこれらの誘導体を形成するための、ハイドロキノンの酸化、並びにこの逆の反応である。これらの半電池反応の例は、“Experimental and Theoretical Studies Redox Reactions of o-Chloranil in Aqueous Solution” by Zare et al., J. Phys. Chem. B 2009において確認できる。これらの有機化合物は、良好な電気化学特性を有し、レドックスフロー電池等の電気化学システムにおいて使用される。この電池の例は(1)“An Inexpensive Aqueous Flow Battery for Large-Scale Electrical Energy Storage Based on Water-Soluble Organic Redox Couples” by Yang et al., Journal of the Electrochemical Society, 2014;及び(2)“Novel Organic Redox Flow Batteries Using Soluble Quinonoid Compounds as Positive Materials” by Xu et al., IEEE, 2009において確認できる。金属イオンとは対照的に、これらの有機化合物の1つの制約は、非常に高い温度におけるこれらの制限された安定性である。従って、本発明の電気化学システムにおけるこれらの使用は、およそ70℃未満に制限される。
高い正の(アルファ)を有する反応の例は、価数が高い鉄(III)及び銅(II)イオンの、価数が低い鉄(II)及び銅(I)への還元(及びそれぞれの酸化)である:
Fe3++e⇔Fe2+
Cu2+⇔Cu
しかしながらこれらの電気化学反応は両方とも、本発明の電気化学システムの設計時に考慮する必要がある特異性を有する。Fe3+イオンの使用に関して、昇温下における以下の錯体形成反応は好都合である:
Fe3+→Fe(3-n)+(OH)
Fe3+→Fe(3-n)+Cl
Fe(3-n)+(OH)及びFe(3-n)+Cl複合種の酸化電位は実際には、Fe3+イオンの酸化電位より小さく、これにより高い正の(アルファ)は、複合体の形成によって打ち消され、場合によっては反転される。従って、Fe3+/Fe2+対を利用して、電気化学システムは、過塩素酸塩ClO4等の非錯体形成対イオンを有する高酸性媒体において設計され、これは更なる制約をもたらし得る。
Cu/Cu2+対の使用は、Cuイオンの不安定性によりひどく制限される。しかしながら、(錯体形態での溶液中のCuイオンの高い可溶性及び安定性をもたらす)塩素イオン、アンモニウムイオン及びpHの特定の組み合わせにより、Cu(I)/Cu(II)対について有意に高い正のアルファが維持されることを発見した。“Electrochemical Study of Binary and Ternary Copper Complex in Ammonia-Chloride Medium” by Vazquez-Arenas et al., Electrochimica Acta, June 2007(以下「参考文献2」と呼ぶ)において確認できるように、Cuイオンは、NH及びClを有する錯体の形成に関してCu2+イオンよりも強い親和性を有することが公知である。塩素イオン、アンモニウムイオン及びpHを慎重に検討することにより、当業者は、優勢なCu種が可溶性CuCl 及びCu(NH)Clであるシステムを設計できる。この場合におけるpHの役割は、それに応じて多少のNHが錯体形成のために存在するように、アンモニアとアンモニウムイオン(NH+H⇔NH4+)との間の均衡に影響を及ぼすことである。
アンモニウムイオン及び塩素イオンの存在下での、本発明の電気化学システムにおけるCu/Cu2+対の使用は、2つの一般的な条件に分けることができる:(i)およそ4未満の酸性pH、Cu(II)イオンはCu2+のように錯体化したものが優勢ではない、およそ4未満の酸性pH、及び(ii)Cu(II)が錯体Cu(NH 2+及びCu(NH 2+の形態で優勢に存在する、およそ8.5~10.5の範囲のアルカリ性pH(参考文献2)。
酸性環境において、硫酸イオン(SO 2-)の添加はpH最大4の可溶性Cu(II)水酸化物の析出を抑制するため、硫酸イオン(SO 2-)は電解質に含められる。これらの条件において適切な電気化学反応は、おそらく以下のタイプのものである:
Cu2++e+nCl+mNH⇔CuCl(NH 1-n
ここでおそらくn=1、2、又は3でありm=0又は1である。
また、これらの反応は極めて有意な正の(アルファ)を有することが分かっている。
アルカリ性環境において適切な電気化学反応は、おそらく以下のタイプのものである:
Cu(NH 2++e+Cl+mNH⇔CuCl(NH(aq)
ここでおそらくk=4又は5である。
これらの反応は強い正の(アルファ)を有することが分かっている。
Cu(I)錯体を用いたシステムを設計する際、これらの錯体が大気酸素による酸化に対する感受性が高いことを認識する必要があり、システムが環境中の酸素から隔離されるよう注意が必要である。
本発明によるいくつかの実施形態では、比較的高い正の(アルファ)を有する電気化学反応は、高濃度のチオシアン酸イオン(SCN)の存在下におけるFe3+/Fe2+の還元/酸化である。Fe3+イオンはSCNとの様々な錯体Fe(III)(SCN) 3-nを形成することが当該技術分野において公知である。(1)“Leaching of Gold in Thiocyanate Solutions” by Barbosa-Filho et al.;及び(2)“Study of Stoichiometry of Ferric Thiocyanate Complex for Analytical Purposes Including F--Determination” by Najib et al., volume 42, 135-155, Iraqi National Journal of Chemistry, 2011において確認できるように、2M超のSCN濃度、及び6:1超のSCNと(Fe3++Fe2+)との比では、n=5又は6であると考えられる。他方で、Fe2+イオンは、高いSCN濃度であっても、FeSCN錯体しか形成しない。従って本発明者らは、2M超のSCN濃度、及び6:1超の、SCNと(Fe3++Fe2+)との比における適切な電気化学反応は、以下であると考える:
Fe(III)(SCN) 3-n+e⇔Fe(II)SCN+(n-1)SCN
ここでn=5又は6である。
また、この反応は有意な正のアルファを有することが分かっている。
チオシアン酸イオンは酸化に対して感受性であり、従ってFe(III)/Fe(II)チオシアン酸錯体を用いたシステムを設計する際は、大気酸素へのアクセスを排除するよう注意が必要である。
セルフヒーリングセパレータ
2つの液体電解質を用いる電気化学システムは、電気回路の完成のための良好なイオン伝導性を保証し、かつ電解質における電気的中性を維持しながら、電気活性種を、対応する電極から分離して保持するための、セパレータを必要とする。電気活性種の性質に応じて、対応する選択性透過膜が使用されることになる。例えば電気活性種が負に帯電している場合、Nafion等のカチオン交換膜が使用されることになる。電気活性種が正に帯電した金属イオンである場合、対応するアニオン選択性膜が使用されることになる。
幅広いこのような電気化学セパレータがレドックスフロー電池及び電気透析の分野のために開発されており、他とのイオン伝導性を維持しながら特定の化学物質をブロックするよう特別に適合された特性を有する多数の好適なセパレータが存在する。レドックスフロー電池のためのセパレータの例は、“Review-Membranes for Redox Flow Battery Applications” by Prifti et al., published 19 June 2012に記載されている。
それにもかかわらず、電気化学膜セパレータは、コストがかかることが多く、またこれらの選択性は限定されていることが多い。本発明によるいくつかの実施形態では、セルフヒーリング膜セパレータが提供され、これは、第1の電解質31及び第2の電極32のうちの一方と反応した場合に可溶性材料を形成する。例えば、セルフヒーリングセパレータは、銅、鉄、又はニッケルイオンを採用する電気化学システムに、特に反対の半電池反応がFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-対を伴う場合に好適である。このセパレータは、特定の鉄、ニッケル又は銅イオンがFe(CN) 3-及びFe(CN) 4-と反応して、特定の他の一価イオン、特に:アンモニウム(NH )、カリウム(K)に対して高い透過性、及びナトリウム(Na)又はリチウム(Li)に対して比較的低い透過性を有する立方晶構造を有する、不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩を形成するという事実に基づくものである。
従って、本発明の電気化学システムが第1の電解質31中でFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池反応を、及び第2の電解質32中で(上述のような好適なリガンド(それぞれNH/Cl又はSCN)の存在下で)Cu(I)/Cu(II)又はFe(II)/Fe(III)対を採用する場合、不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩が2つの電解質31と電解質32との間で形成され、これはセルフヒーリング型となる。即ち、セパレータのどこにFe(CN)又は銅/鉄イオンの漏れを可能とする細孔又は欠陥が存在しても、不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩を形成するためのこれらのイオンの反応によって即座に充填(回復)され、更なる漏れをブロックする。このようなヘキサシアノ鉄酸塩は、これらのNH 及びKといった電気化学的に不活性なイオンの高い透過性により、依然としてイオン伝導性を維持する。
いくつかの実施形態では、電気化学セパレータは、いずれの特定の選択透過特性を有しない標準的な膜(例えばナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリ酢酸セルロース、ガラス繊維等(電気化学システムにおいて使用されるNafion等の選択性透過膜よりもコストが低い順である)から作製された膜)等の多孔質支持体上に予備形成される。例えば、ナイロン膜にKFe(CN)の溶液を予浸又は含浸させ、続いて上記ナイロン膜をFe(III)Clの溶液に浸透させるか、又は上記ナイロン膜にこれを噴霧して、不溶性鉄ヘキサシアノ鉄酸塩プルシアンブルー(Fe(III)[Fe(II)(CN))を形成する。次に上記セパレータを水ですすいで乾燥させた後、電気化学システムにおいて使用する。
あるいは、電気化学システムにおいてFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-対が使用されていなかったとしても、同一の原理を用いてセパレータを作製できる。このような実施形態では、通常の安価な非選択性透過膜に、KFe(CN)、KFe(CN)、又はこれらの組み合わせを浸透又は含浸させ、上記膜を、前の段落に記載した2つの予備形成されたヘキサシアノ鉄酸塩セパレータの間に配置する。中央のKFe(CN)、KFe(CN)、又はこれらの組み合わせは、いずれの鉄、銅、又はニッケルイオンのための捕捉バッファとしての機能を果たし、反対の電解質へのこれらの交差を防止する。
実施形態で説明したセルフヒーリングヘキサシアノ鉄酸塩セパレータを使用する際、ヘキサシアノ鉄酸塩自体が電気化学的に活性であり、酸化/還元反応を起こすことができることを考慮する必要がある。従って、電気化学システムを設計する際、ヘキサシアノ鉄酸塩セパレータの両側における酸化還元電位がヘキサシアノ鉄酸塩の酸化/還元が起こる電位から十分に除外されていることに注意する必要がある。例えば、電位がSHEに対しておよそ0.2V未満である場合、鉄ヘキサシアノ鉄酸塩プルシアンブルーは、プルシアンホワイト(Fe(II)[Fe(II)(CN))に還元され、およそ0.8V超の電位でベルリングリーン(Fe(III)[Fe(III)(CN))に還元される。Cl及びNHの存在下のCu(I)/Cu(II)の半反応、並びにSCNの存在下のFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-及びFe(II)/Fe(III)の半反応は全て、0.35-0.6Vの範囲において使用できるため、セパレータの有意な還元/酸化が回避される。
特定の半電池反応に関して、電極電位は電解質のpHに依存する。更に、電解質のpHを温度依存性のものとした場合、電極電位も間接的に温度に依存する。
pHに依存する以下の2つのタイプの半電池反応が存在する:(i)電気化学反応が陽子の消費又は放出を伴う場合;及び(ii)金属イオン錯体の形成がpHに依存する場合。
熱伝達機能が一体化された電極組立体
図5は、本発明のいくつかの実施形態による電気化学システム1003の斜視図であり、ここで電極組立体は、電流の流れに直交する方向の熱伝達流体の流れによる熱交換を促進するための格子と一体化されている。電気化学システム1003は、例えば1つ以上の電極組立体が熱伝達機能と一体化されることを除いて、図1を参照して説明及び例示した電気化学システム1000と同様である。図5を参照すると、例示的な電極組立体58は、熱を吸収及び廃棄するために熱交換器110aと一体化される。ある実施形態では、熱交換器110aは、熱及び電気伝導性の格子を含み、この格子は、電極組立体58のバイポーラプレート105に接続される。このような格子は、電極組立体58中の電極が直列に接続されるように、2つのバイポーラプレート105に電気的に接続される。同時に、上記格子は開口110b及び110aを有し、これらを通って、熱伝達流体が、バイポーラプレート105の間の電流の方向(暗色の矢印で示す)を横断する方向に流れることができる。熱伝達流体は、ガス又は液体とすることができ、熱を入力する又は熱を廃棄するために使用される。
いくつかの実施形態では、ヒートポンプモードのために、電極組立体と熱伝達機能との格子を介した一体化が用いられる。これは便利なことに、スプリットユニット空気調節装置として実装される。例えば、一体化された熱伝達格子を有する高温の電極組立体を外側に配置して熱を廃棄し、一方で一体化された熱伝達格子を有する低温の電極組立体を内部に配置して熱を吸収する。液体電解質は、外部ユニットと内部ユニットとの間を循環し、その間ファンは、格子の開口を通して送風して、従来の空気調節装置と同様に、(外部ユニットの)熱を除去し、内部ユニットからの熱を吸収する。
上述の熱伝達格子は、アルミニウム、銅、炭素といった様々な熱及び電気伝導性の材料で作製できる。格子はまた、炭素繊維又は粒子を含浸させたポリマーといった、熱及び電気伝導性の複合材料でも作製できる。
貯蔵タンク
図6A及び6Bは、本発明のいくつかの実施形態による、電解質を貯蔵した電気化学システム1004の概略図である。図6Aを参照すると、電気化学システム1004は、例えば貯蔵タンク13、14、15及び16が設けられていることを除いて、図1を参照して説明及び例示した電気化学システム1000と同様である。貯蔵タンク13、15は第1の電解質31を貯蔵するよう構成され、貯蔵タンク14、16は第2の電解質31を貯蔵するよう構成される。更に、それぞれ第1の電解質31及び第2の電解質32のための貯蔵タンク13、14は、第1の電極組立体1と第2の熱処理デバイス6との間に配置され、それぞれ第1の電解質31及び第2の電解質32のための貯蔵タンク15、16は、第2の電極組立体2と第1の熱処理デバイス7との間に配置される。貯蔵タンク13~16により、第1の電解質31又は第2の電解質32の全てが再循環されるわけではなく、その一部又は全部が後の使用のために貯蔵タンク13~16に貯蔵される。このような動作の1つの利点は、電力需要及び/又は熱供給の時間的変動に応じて、電気化学システム1004を電力の生成及び貯蔵両方のために使用できる点である。
ある実施形態では、ピーク電力需要の間、電解質31及び32をそれぞれ貯蔵タンク15及び16から高温の電極組立体1に供給でき、続いて電気化学反応産物の低温再生を行うことなく貯蔵タンク13及び14に配向できる。反対に、図6Bを参照すると、電力需要が低い夜間に、電解質31、32を貯蔵タンク13、14から再生し、貯蔵タンク15、16に再び貯蔵できる。
いくつかの実施形態では、冷却剤の高い需要及び低い可用性を経験した熱発電プラントのオペレータは、低圧蒸気流を、ランキンサイクルタービンの底部から、貯蔵タンクを有する熱機関モードで動作する電気化学システム1004に向かって転換してよい。熱吸収と共に進行する高温の電気化学反応は、低圧蒸気からの直接的な発電をもたらし、熱は反応の産物中に吸収され、上記産物はタンク13、14に貯蔵される。従って電解質31、32が活性吸熱体として作用するため、冷却は必要ない。電力需要が低く温度が一般に比較的低い夜間に、電解質31、32は再生され、熱は比較的低温の周囲環境に廃棄される。
前の段落に記載したこのような動作は、以下の2つの理由により特に有利である:(i)オペレータは、機械的仕事を用いない直接変換、及び貯蔵タンク13、14中の電解質31、32に貯蔵された余剰の電気化学エネルギにより、ランキンサイクルの底部から通常予期されるよりも多くの電力を、ピーク需要の間に蒸気のエンタルピから収穫できること;並びに(ii)オペレータは電解質31、32を活性冷却剤として使用できること。この後者の点は、電力に対する空気調節需要が高く冷却剤可用性が低い暑い日には極めて重要である。
液体電解質、特に水系液体電解質は、高い熱容量を有することができ、これは、電解質が低温の電極組立体と高温の電極組立体との間を再循環するときに、電解質を昇温させるためだけに大量の熱が消費されることを意味する。この熱はその後、電解質の温度を再び低下させてサイクルを完了させるときに、少なくとも部分的に取り戻される。液体電解質は良好な熱伝達特性を有するため、この熱の取り戻しは、プレート熱交換器等の熱交換器において効率的に行うことができる。
電気化学システム1004のためのこのような復熱式熱交換のための新規のアプローチは、復熱式熱交換器のプレートに透湿性熱伝導性複合体を使用することを含む。通常、プレート熱交換器は金属製のプレートを有し、これは熱伝導性であるが、液体及び熱を交換するガスに対して不透過性であるため、熱交換物質の混合が起こらない。溶媒蒸気が電気化学システム1004内を通過できるようにする材料を使用することが有利である。とい
うのは、(i)復熱式熱交換は、同一の電解質の異なる温度の複数の流れを伴い(ii)電解質中の電気化学種は不揮発性であり、それぞれの電解質中にとどまり、その一方で高温流中の溶媒のみがプレートを通って低温流へと蒸散するため、不透過性プレートにより分離された流れを維持する必要があまりないためである。熱交換器における透湿性プレートの使用により、著しく効率的な熱交換が可能となり、これは高温の流れの蒸発冷却及び低温の流れにおける凝縮による加熱によって補助される。
良好な透湿性を有する材料としては、限定するものではないが、ポリメチルメタクレート(PMMA)又はポリフェニレンオキシドファミリー由来のポリマーが挙げられる。炭素粒子を含浸したこれらのポリマーで作製された複合材料は、熱伝導複合体による従来の熱コンダクタンス、及び材料の透湿性特性による蒸発性熱交換の両方によって、高効率の熱交換を可能とする。
実施例1:高濃度のチオシアン酸塩の存在下におけるFe 3+ /Fe 2+ 対の温度係数の確立
サイズ2×2cm、厚さ3.2mmの1対の炭素フェルト電極を用いて、電気化学デバイスを準備する。炭素フェルト電極は、両側をグラファイト箔の層で補強し、電気的測定用の源測定ユニット(source measurement unit:SMU)に接続される。2つの電極は、2M KClに浸漬したNafion膜セパレータで隔てられる。
電極を1.3ミリリットルの以下の電解質に浸す:(1)電解質1:0.15M Fe(ClO+0.15M Fe(ClO+2M KSCN+1.25M NaSCN;及び(2)電解質2:0.15M KFe(CN)+0.15M KFe(CN)+1M KCl+1.25M NaCl
銀ストリップを、電極に触れずに基準電極として電解質2に挿入する。
電気化学デバイスをまず20℃に冷却し、次に95℃に加熱した後、再び周囲温度に冷却して、開回路電位を測定する。両方の電解質において、対応する電気活性種の酸化及び還元形態の濃度比が1:1であるため、銀電極に対して測定された電位は、対応する半電池反応の見掛け電位である。
図7A及び7Bは、Fe(SCN) 3-n/FeSCN半電池(正)及びFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池(負)の、温度に対する電位の依存を示す図である。図7Aは電位トレースを示し、図7Bは温度トレースを示す。
図7Aでは、高い方の電圧がFe(SCN) 3-n/FeSCN||Ag/AgCl電池に対応し、低い方の電圧がFe(SCN) 3-/Fe(CN) 4-||Ag/AgCl電池に対応する。
図7Bでは、3つの温度センサの読み取り値が採用される:T+及びT-は電気化学デバイスの2つの側部に取り付けられ、Tenvは水浴の温度である。
Ag/AgCl半電池電位は、およそ0.25mV/℃の正の(アルファ)を有し、従ってこれらの生トレースは、Fe(SCN) 3-n/FeSCN対の正値(アルファ)を過小に見積もり、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池の負値の(アルファ)を過大に見積もることに留意されたい。
図7A及び7Bから、Fe(SCN) 3-n/FeSCN対に関する未調整値は、およそ0.42mV/℃であると推定でき、0.25mV/℃のAg/AgCl電極に関する文献値を用いて調整することにより、本発明者らは0.67mV/℃に至る。これはFe(SCN) 3-n/FeSCNレドックス対にとって有意な(アルファ)である。
図7A及び7Bから、全電池Fe(SCN) 3-n/FeSCN||Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-の(アルファ)がおよそ1.94mV/℃であることも推定でき、これは安価な鉄系汎用塩で構成された電気化学システムにとって比較的高い値であり、経済的な直接発電又はヒートポンピングを可能とする。
実施例2:酸性電解質中のCu 2+ /Cu 対の温度係数の確立
サイズ2×2cm、厚さ3.2mmの1対の炭素フェルト電極を用いて、電気化学デバイスを準備する。サイズ2x2cm、厚さ3.2mmの1対の炭素フェルト電極を用いて電気化学デバイスを準備する。炭素フェルト電極は、両側をグラファイト箔の層で補強し、電気的測定用の源測定ユニット(SMU)に接続される。2つの電極は、CuSOに浸漬したNafion膜で隔てられる。
電極を1.3ミリリットルの以下の電解質に浸す:
(1)電解質1:0.2M KFe(CN)+0.2M KFe(CN)+0.5M KCl;及び(2)電解質2:0.2M CuCl+0.2M CuSO+0.5M (NHSO+0.3M KCl(pH3.01)。
銀ストリップを、電極に触れずに基準電極として電解質1に挿入する。
電気化学デバイスを85℃に加熱した後、再び周囲温度に冷却して、開回路電位を測定する。両方の電解質において、対応する電気活性種の酸化及び還元形態の濃度比が1:1のであるため、銀電極に対して測定された電位は、対応する半電池反応の見掛け電位である。電解質2中で起こり得る電気化学反応は:Cu2++e+nCl+mNH⇔CuCl(NH 1-nである。しかしながら、Cu錯体の正確な化学量論は決定されていないため、簡潔にするためにCu(I)/Cu(II)として示す。
図8A及び8Bは、本発明のいくつかの実施形態による、酸性電解質中のCu(I)/Cu(II)半電池(正)及びFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池(負)における温度に対する電位の依存を示す図である。図8Aは電位トレースを示し、図8Bは温度トレースを示す。
図8Aでは、高い方の電圧がCu(I)/Cu(II)||Ag/AgCl電池に対応し、低い方の電圧がFe(CN) 3-/Fe(CN) 4-||Ag/AgCl電池に対応する。
図8Bでは、3つの温度センサの読み取り値が採用される:T+及びT-は電気化学デバイスの2つの側部に取り付けられ、Tenvは水浴の温度である。
Ag/AgCl半電池電位は、およそ0.25mV/℃の正の(アルファ)を有し、従ってこれらの生トレースは、Cu(I)/Cu(II)対の正値(アルファ)を過小に見積もり、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-半電池の負値の(アルファ)を過大に見積もることに留意されたい。
図8A及び8Bから、Cu(I)/Cu(II)対に関する最大未調整値は、75℃においておよそ1.10mV/℃であることが推定できる。0.25mV/℃のAg/AgCl電極に関する文献値を用いて調整することにより、本発明者らは1.35mV/℃に至る。これは、Cu(I)が高水溶性錯体として存在する液体電解質中のCu(I)/Cu(II)リドックス対にとって、比較的高い(アルファ)である。
この実施例で使用されるセパレータはカチオン交換膜Nafionであり、これはCu2+イオンに対して透過性である。しかしながら、セパレータの他方の側の電解質はフェロシアン酸塩及びフェリシアン酸塩を含有するため、Cu2+イオンの通過は銅ヘキサシアノ鉄酸塩の非透過性層の形成をもたらし、これは、少なくとも温度が75℃に達するまで、Cu(I)/Cu(II)||Ag/AgCl電池の熱的に生成された電圧を保持できる。75℃超における熱電圧の低下の理由は公知である。
図8A及び8Bから、最高75℃での全電池Cu(I)/Cu(II)||Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-の(アルファ)はおよそ2.55mV/℃であることも推定でき、これは電気化学システムにとって、特に安価な鉄系及び銅系汎用塩で構成された電気化学システムにとって極めて高い値であり、経済的な直接発電又はヒートポンピングを可能とする。
実施例3:新規のヘキサシアノ鉄酸塩セパレータを有する、酸性電解質中のCu(I)/Cu(II)||Fe(CN) 3- /Fe(CN) 4- 電気化学に基づく電気化学システム
サイズ2×2cm、厚さ3.2mmの1対の炭素フェルト電極を用いて、電気化学デバイスを準備する。炭素フェルト電極は、両側をグラファイト箔の層で補強し、電気的測定用の源測定ユニット(SMU)に接続される。
電極は以下のように3層のセパレータで隔てられる:
セパレータNo.1はKDI-Blueと命名され、(i)ナイロン膜(細孔サイズ:0.45μm)を60℃の1M KFe(CN)、pH4中に30分間置き、続いて(ii)浸漬済みナイロン膜を取り出し、余分な溶液を吸い取り、乾燥させ、その後(iii)乾燥膜を90℃の1M FeClに更に30分浸漬し、そして(iv)脱イオン水で洗浄することによって調製される。
セパレータNo.2はKDI-Yellowと命名され、ナイロン膜(細孔サイズ:0.45μm)を60℃の1M KFe(CN)、pH4中に30分間置き、続いて、余分な溶液を吸い取って乾燥させることによって調製される。この層は、KDI-Blue層を通って移動するCu2+イオンを捕捉するためのバッファとしての機能を果たす。
セパレータNo.3は、上述のように調製されたKDI-Blueの別の層である。
電極を、1.3ミリリットルの以下の電解質に浸す:(1)電解質1:0.6M KFe(CN)+0.5M (NHSO(pH4.02)(Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-対100%還元);及び(2)電解質2:0.6M CuSO+2M KCl+0.5M (NHSO(pH4.07)(Cu(I)/Cu(II)対100%酸化)
電気化学デバイスは、2つの半電池間の平衡に至るまで短絡させて放置され、電極間の電圧は略0Vである。この時点で、図9に示すように、電気化学デバイスを80℃に加熱して、全電池電圧を記録する。図9は、発明のいくつかの実施形態による、新規のセパレータを有する電気化学システムの酸性電解質中のCu(I)/Cu(II)||Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-全電池における、上記酸性電解質を80℃まで経時的に加熱した場合の温度に対する電位の依存を示す図である。図9から、全電池Cu(I)/Cu(II)||Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-の熱係数はおよそ2.85mV/℃であり、これは電気化学システムにとって、特に安価な鉄系及び銅系汎用塩で構成された電気化学システムにとって極めて高い値であり、経済的な直接発電又はヒートポンピングを可能とする。
実施例4:アルカリ性電解質中のCu 2+ /Cu 対の温度係数の確立
以下の電解質を5mLバイアル中で調製する:
0.3M CuCl+0.3M CuSO+4M NHCl(pH9.5)
白金ワイヤ電極及び飽和カロメル電極(saturated calomel electrode:SCE)を上記バイアルに浸漬し、電圧を記録する。上記電解質において、対応する電気活性種(それぞれCu(II)及びCu(I))の酸化及び還元形態の濃度比が1:1であるため、SCEに対して測定された電位は、Cu(II)/Cu(I)半電池反応の見掛け電位である。
pH9.5かつNH4+及びCl濃度4Mにおいて、起こり得る電気化学反応が以下の錯体の間で起こる:
Cu(NH 2++e+Cl+mNH⇔CuCl(NH(aq)
ここでおそらくk=4又は5である。
バイアルを加熱した後冷却し、電圧を記録して、見掛け電極電位の温度係数を推定する。このような実験は開放バイアル中で実施されるため、酸素によるCu(I)のCu(II)への酸化を原因とする、継続的な電位の上昇がある。しかしながら、温度変化の1℃毎の増分で瞬時電位変化を平均することによって、依然として(アルファ)を推定できる。これに基づくと、図10に示すように、温度係数は0.70mV/℃であると推定される。図10は、本発明のいくつかの実施形態による、アルカリ性電解質中のCu2+/Cu対を用いた半電池における温度に対する電位の依存を示す図である。SCEはおよそ0.21mV/℃の正の(アルファ)を有することに留意されたい。SCE温度係数に関する調整を行うことにより、本発明者らは、0.91mV/℃という、アルカリ性媒体中のCu(II)/Cu(I)対についての(アルファ)に至る。
実施例5:低品位熱源からの発電
直列に接続された第1の電極組立体1及び第2の電極組立体2を備える、直接発電のための電気化学システムを構成する。上述の実施例1~4から選択した液体電解質31及び32は、電極組立体1と電極組立体2との間を再循環する。電解質31、32の流れは、例えば図2A及び2Bに示すように、第1の電極組立体1及び第2の電極組立体2において逆の極性を有する。従って、第1の電極組立体1で起こる電気化学反応は、第2の電極組立体2で完全に反転する。更に、第1の電極組立体1は高温で動作し、第2の電極組立体2は低温で動作する。選択された電気化学反応の電極電位の温度係数により、第1の電極組立体1の正端子と第2の電極組立体2の負端子との間で電圧が生成され、この電圧は電気負荷81を通して電流を引き込むことによって収穫される。
熱交換器71及び72を介して熱源9から第1の電極組立体1に入る直前に、電解質31、32に熱を加える。第1の電極組立体1を出ると、「使用済みの」電解質はまだ温かいため、上記電解質の熱は、熱交換器51及び52中の「新鮮な」電解質の次の流れへと取り戻される。第2の電極組立体2に入る直前に、熱交換器61及び62を介して周囲環境に熱を廃棄することにより、上記「使用済みの」電解質を更に冷却する。上記「使用済みの」電解質は、低温の第2の電極組立体2で再生され、サイクルが完了する。
本開示を1つ以上の実装例に関して図示及び説明したが、当業者であれば、本明細書及び添付の図面を読んで理解することに基づいて、同等の変形及び修正を思いつくだろう。本開示は、全てのこのような修正及び変形を含むものであり、以下の請求項の範囲によっ
てのみ限定される。
1、41 第1の電極組立体
1a 第1の電気コネクタ1a
2、42 第2の電極組立体
2a 第2の電気コネクタ
5 熱交換デバイス
6 第2の熱処理デバイス
7 第1の熱処理デバイス
8 電気デバイス
9、82 熱源
11、21 第1の電極セット
12、22 第2の電極セット
13、14、15、16 貯蔵タンク
31 第1の電解質
32 第2の電解質
40、58 電極組立体
51 第1の熱交換器
52 第2の熱交換器
61、71 第1の熱プロセッサ、熱交換器
62、72 第2の熱プロセッサ、熱交換器
81 電気負荷
100 セパレータ
101 不活性材料製のガスケット
102 電極
103 マニホールド
103a 流入口
103b 流出口
103c 内部チャネル
104 別のガスケット
105 バイポーラプレート
106 エンドバイポーラプレート
106a 接続端子
107 エンドプレート
108 絶縁ロッド
109 ナット
110a 熱交換器、開口
110b 熱交換器、開口
411 第1の電極セット
412 第2の電極セット
1000 電気化学システム
1001 電気化学システム
1002 電気化学システム
1003 電気化学システム
1004 電気化学システム

Claims (13)

  1. 電気化学システムにおいて、
    第1の温度で維持され、第1の温度で動作する第1の電極組立体であって、前記第1の電極組立体は第1の電極セット及び第2の電極セットを含む、第1の電極組立体、
    前記第1の温度とは異なる第2の温度で維持され、第2の温度で動作する第2の電極組立体であって、前記第2の電極組立体は第1の電極セット及び第2の電極セットを含む、第2の電極組立体、
    前記第1の電極組立体の前記第1の電極セットと前記第2の電極組立体の前記第1の電極セットとの間を流れて循環する、第1の電解質
    前記第1の電極組立体の前記第2の電極セットと前記第2の電極組立体の前記第2の電極セットとの間を流れて循環する、第2の電解質、並びに
    前記第1の電極組立体の前記第1の電極セットと前記第2の電極セットとの間、または前記第2の電極組立体の前記第1の電極セットと前記第2の電極セットとの間のセパレータであって、前記セパレータは、不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩プルシアンブルー(Fe(III) [Fe(II)(CN )] )を備える非選択性透過膜を含み、前記セパレータは、前記第1の電解質及び前記第2の電解質において不溶性である不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩を形成して、前記第1の電極組立体の前記第1の電極セットと前記第2の電極セットとの間及び前記第2の電極組立体の前記第1の電極セットと前記第2の電極セットとの間のイオン伝導性を維持しながら、前記第1の電解質と前記第2の電解質との間の電気活性種の移動をブロックする、セパレータ
    を備える、
    電気化学システム。
  2. 前記第1の電極組立体と前記第2の電極組立体との間に熱交換デバイスを更に備え、
    前記熱交換デバイスは、前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度範囲で動作するよう構成される、請求項1に記載の電気化学システム。
  3. 前記第1の温度で動作するよう構成された第1の熱処理デバイス、及び前記第2の温度で動作するよう構成された第2の熱処理デバイスを更に備える、請求項1に記載の電気化学システム。
  4. 前記第1の温度は前記第2の温度より高く、
    前記第1の熱処理デバイスは、熱源から熱を吸収するよう構成される、請求項3に記載の電気化学システム。
  5. 前記第1の温度は前記第2の温度より高く、
    前記第1の熱処理デバイスは熱を廃棄するよう構成される、請求項3に記載の電気化学システム。
  6. 前記第1の電解質は、鉄のヘキサシアノ錯体で構成された種を含み、
    前記第2の電解質は、Cu(I)/Cu(II)対又はFe(II)/Fe(III)対で構成された種を含む、請求項1に記載の電気化学システム。
  7. 前記第2の電解質は、前記Cu(I)/Cu(II)対で構成された種、及びSO 2-又はNH/Clから選択されたリガンドを含む、請求項6に記載の電気化学システム。
  8. 前記第2の電解質は、前記Fe(II)/Fe(III)対で構成された種、及びSCNから選択されたリガンドを含む、請求項6に記載の電気化学システム。
  9. 前記第1の電解質を貯蔵するための第1の貯蔵タンク又は前記第2の電解質を貯蔵するための第2の貯蔵タンクのうちの少なくとも一方
    さらに備える、請求項1に記載の電気化学システム。
  10. 前記第1の温度で動作し、熱源からの熱を吸収するよう構成された、第1の熱処理デバイスを更に備える、請求項9に記載の電気化学システム。
  11. 前記第1の電極組立体に、貯蔵された前記第1の電解質を、前記第1の処理デバイスを介して提供するための第3の貯蔵タンク、又は前記第1の電極組立体に、貯蔵された前記第2の電解質を、前記第1の処理デバイスを介して提供するための第4の貯蔵タンクのうちの少なくとも一方を更に備える、請求項10に記載の電気化学システム。
  12. 前記第2の温度で動作し、熱を廃棄するよう構成された、第2の熱処理デバイスを更に備える、請求項9に記載の電気化学システム。
  13. 前記第1の貯蔵タンクが、貯蔵された前記第1の電解質を、前記第2の処理デバイスを介して前記第2の電極組立体に提供すること、又は前記第2の貯蔵タンクが、貯蔵された前記第2の電解質を、前記第2の処理デバイスを介して前記第2の電極組立体に提供することのうちの少なくとも一方が実施される、請求項12に記載の電気化学システム。
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