[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を図1~図6に基づいて説明する。図1に示す第1実施形態のシリンダ装置10は、緩衝器であり、シリンダ11と、ロッド12と、ピストン13と、ロッドガイド14と、シール部材15と、フリーピストン16と、取付アイ17と、取付アイ18と、ダストカバー19と、を備えている。
シリンダ11は、金属製であり、円板状の底部20と、底部20の外周縁部から底部20の中心軸線の延在方向である軸方向に沿って一側に延出する円筒状の側壁部21とを有している。側壁部21は、底部20とは反対側が開口22となっている。よって、シリンダ11は、軸方向の一端側に底部20を有し、軸方向の他端側に開口22を有する有底円筒状である。シリンダ11には、内部に流体としての液体あるいは気体が封入されている。
側壁部21は、円筒面からなる外周面21aと、外周面21aの開口22側に設けられて、外周面21aよりも径方向内方に凹む円環状の加締溝23と、外周面21aの加締溝23よりも底部20側に設けられて、外周面21aよりも径方向内方に凹む複数の加締凹部24とを有している。
ロッド12は、金属製であり、シリンダ11と軸線を一致させた同軸状に配置されるとともにシリンダ11の他端側の開口22から外部へと突出する。ロッド12は、シリンダ11から突出する側の先端部が、残りの大部分を占める主軸部25よりも小径の小径軸部26となっている。ロッド12の主軸部25の小径軸部26とは反対側の部分がシリンダ11内に配置されている。
ピストン13は、ロッド12の主軸部25の小径軸部26とは反対側の端部に取り付けられている。よって、ロッド12は、一端部がピストン13に取り付けられ、他端部がシリンダ11から突出している。ピストン13は、シリンダ11の側壁部21に摺動可能に嵌合されている。ピストン13には、その軸方向に貫通する図示略の流路が形成されている。
フリーピストン16は、ピストン13と底部20との間に配置されて、シリンダ11の側壁部21に嵌合されている。シリンダ11の複数の加締凹部24の裏側には、シリンダ11の内周面よりも径方向内方に突出する図示略の凸部がそれぞれ形成されることになり、これらの凸部と底部20との間にフリーピストン16が配置されている。
ロッドガイド14は、シリンダ11内の軸方向の開口22側に嵌合されている。ロッドガイド14は、円環状であり、ロッド12の主軸部25を摺動可能に支持する。ロッド12は、ピストン13を介してシリンダ11の側壁部21の内周部に支持されており、シリンダ11の側壁部21の内周部に嵌合されたロッドガイド14の内周部に支持されている。これにより、ロッド12は、シリンダ11内に、シリンダ11と同軸状に配置されている。
シール部材15は、シリンダ11の軸方向においてロッドガイド14よりも外部側に配置されて、シリンダ11内の開口22側に嵌合されている。シール部材15は、円環状であり、その外周側がシリンダ11に固定される一方、その内側にロッド12の主軸部25が摺動可能に嵌合されている。シール部材15は、開口22とロッド12の主軸部25との隙間をシールする。
シリンダ11の加締溝23の裏側には、シリンダ11の内周面よりも径方向内方に突出する図示略の環状凸部が形成されることになり、この環状凸部がロッドガイド14の底部20側への移動を規制する。
シリンダ11内には、ピストン13とロッドガイド14との間に室27が、ピストン13とフリーピストン16との間に室28が、フリーピストン16と底部20との間に室29が、それぞれ形成されている。室27および室28には液体である油液が充填されており、室29には気体である窒素ガスが充填されている。室27および室28は、ピストン13に設けられた図示略の流路で連通可能となっている。
ピストン13は、ロッド12の移動に伴いこれと一体にシリンダ11の内部を摺動して室27,28の容積を変化させ、その際に図示略の流路に生じる油液の流通抵抗で減衰力を発生させる。すなわち、シリンダ装置10は、油圧緩衝器である。
取付アイ17は、シリンダ装置10を被取付物へ取り付けるためのブラケットであり、円筒状のアイ本体31と、アイ本体31内に嵌合されるラバーブシュ32とを有している。アイ本体31は、金属製であり、ロッド12の小径軸部26の主軸部25とは反対側の端部に溶接により固定されている。アイ本体31は、円筒状をなしており、その軸線がロッド12の軸線に直交し、その軸方向の中央位置がロッド12の軸線上に位置する状態でロッド12に固定されている。
ラバーブシュ32は、金属製の円筒状のブシュ34と、ブシュ34の外周部に接着されたゴム製のラバー35とを有している。ラバーブシュ32は、ラバー35の外周部がアイ本体31の内周部に嵌合されることによりアイ本体31に取り付けられている。ラバーブシュ32は、ブシュ34が外力を受けない自然状態にあるとき、ブシュ34がアイ本体31と軸線を一致させた同軸状に配置される。
取付アイ18も、シリンダ装置10を被取付物へ取り付けるためのブラケットであり、円筒状のアイ本体41と、アイ本体41内に嵌合されるラバーブシュ42とを有している。アイ本体41は、金属製であり、シリンダ11の底部20の開口22とは反対側の端部に溶接により固定されている。アイ本体41は、円筒状をなしており、その軸線がシリンダ11の軸線に直交し、その軸方向の中央位置がロッド12の軸線上に位置する状態で底部20に固定されている。
ラバーブシュ42は、金属製の円筒状のブシュ44と、ブシュ44の外周部に接着されたゴム製のラバー45とを有している。ラバーブシュ42は、ラバー45の外周部がアイ本体41の内周部に嵌合されることによりアイ本体41に取り付けられている。ラバーブシュ42は、ブシュ44が外力を受けない自然状態にあるとき、ブシュ44がアイ本体41と同軸状に配置される。
ダストカバー19は、筒状をなすカバー本体51と、カバー本体51の軸方向の端部に、この端部を閉塞するように取り付けられる取付部材52(取付部)とを有している。
取付部材52は、金属製であり、図2に示すように、中央に取付孔61が形成された有効円板状の取付板部62と、取付板部62の外周縁部から取付板部62の軸方向に沿って一側に延出する円筒状の嵌合部63と、嵌合部63の取付板部62とは反対側の端縁部から嵌合部63の軸方向に沿って取付板部62とは反対方向に拡径しながら延出する拡径部64と、を有している。取付板部62、嵌合部63および拡径部64は、同軸状に形成されている。
取付部材52には、切欠部67(位置決め部)が、取付板部62の外周部から嵌合部63にかけて形成されている。切欠部67は、取付板部62に形成される部分が、取付板部62の径方向に延在して取付板部62を軸方向に貫通しており、嵌合部63に形成される部分が嵌合部63の軸方向に延在して嵌合部63を径方向に貫通している。
カバー本体51は、合成樹脂製の一体成形品であり、図3に示すように、円筒の一部形状をなす主体部71と、主体部71の軸方向の一端側の端縁部から主体部71の軸方向に沿って縮径しつつ延出する窄部72と、窄部72の主体部71とは反対側の端縁部から主体部71の軸方向に沿って主体部71とは反対方向に延出する円筒状の嵌合部73と、主体部71から窄部72にかけて形成された突出部74と、を有している。主体部71は、円筒面の一部形状をなす外面71aと円筒面の一部形状をなす図1に示す内面71bとを有している。突出部74は、主体部71の外面71aよりも径方向外方に突出している。
カバー本体51には、図4に示すように、嵌合部73の円筒面の一部形状をなす内周面73aから径方向内方に突出する突条部77が形成されている。突条部77は、嵌合部73の軸方向に沿って延在しており、嵌合部73の周方向における突出部74とは反対側の端部に形成されている。嵌合部73、窄部72および主体部71は、軸線を一致させて同軸状に形成されており、この軸線が、カバー本体51の図5に示す軸線Oとなる。この軸線Oは、図2,図4に示す取付部材52の軸線でもあり、ダストカバー19の軸線でもある。図5に示すように、ダストカバー19はロッド12と同軸状に配置されるため、ダストカバー19の軸線Oは、ロッド12の軸線となる。カバー本体51は、図2に示すように、突条部77および嵌合部73の突条部77に繋がる部分の肉厚が、略一定である残りの部分の肉厚よりも厚くなっている。
取付部材52は、その周方向において、図4に示すように、切欠部67の位置を突条部77に合わせて突条部77を嵌合させながら、図2に示すように、カバー本体51の窄部72および嵌合部73の内側に嵌合される。このとき、取付部材52は、拡径部64がその外周部において窄部72の内周部に全面的に当接し、嵌合部63がその外周部において嵌合部73の内周部に嵌合する。言い換えれば、取付部材52は、その周方向において切欠部67の位置を突条部77に合わせなければ、拡径部64がカバー本体51の窄部72に全面的に当接することはなく、嵌合部63がカバー本体51の嵌合部73の内側に嵌合されることもない。取付部材52は、カバー本体51に対し、上記のように嵌合された状態で、例えば、接着剤により接着されて一体化される。このように接着されて一体化されることにより、取付部材52とカバー本体51とが筒状のダストカバー19となる。
図1,図3に示すように、カバー本体51の突出部74は、主体部71の窄部72とは反対側の端部近傍の中間位置から窄部72の中間位置まで形成されている。よって、主体部71は、窄部72とは反対側の端部に、突出部74が形成されていないことにより円筒状をなす円筒状部81を有している。主体部71は、その軸方向における位置を嵌合部73と重ね合わせた部分が、円筒状部81と同一の円筒に配置される半円筒状の部分円筒部82となっている。円筒状部81の軸線および部分円筒部82の軸線は、カバー本体51の図5に示す軸線Oである。
図1に示すように、円筒状部81は円筒面からなる外周面81aと円筒面からなる内周面81bとを有している。部分円筒部82は円筒面の一部形状をなす外面82aと円筒面の一部形状をなす内面82bとを有している。外周面81aおよび外面82aは同一円筒面に配置されて主体部71の外面71aを構成し、内周面81bおよび内面82bは同一円筒面に配置されて主体部71の内面71bを構成している。
円筒状部81の窄部72とは反対側の端部は、開口部85となっている。開口部85の内径すなわち円筒状部81の内周面81bの径は、シリンダ11の外径すなわち側壁部21の外周面21aの径よりも若干大径となっている。
図5に示すように、突出部74は、部分円筒部82の外面82aが含まれる円筒面よりも径方向外側に突出している。突出部74は、部分円筒部82の周方向における中央と、部分円筒部82の軸線Oとを含む基準平面を基準とした鏡面対称状をなしている。図4に示す上記した突条部77は、この基準平面に配置されて、嵌合部73の内周面73aにおける突出部74とは反対側の位置に配置されている。
突出部74は、部分円筒部82の周方向両側の端縁部のそれぞれから広がる平板状の平板状部91と、両側の平板状部91のそれぞれの部分円筒部82とは反対側の端縁部から延出する湾曲板状の湾曲板部92と、両側の湾曲板部92の部分円筒部82とは反対側の端縁部同士を結ぶ平板状の平板状部93と、によって形成されている。
平板状部91は、平面からなる外面91aと平面からなる内面91bとを有している。湾曲板部92は円筒面の一部形状をなす外面92aと円筒面の一部形状をなす内面92bとを有している。平板状部93は、平面からなる外面93aと平面からなる内面93bとを有している。突出部74は、両側の平板状部91の外面91aと、両側の湾曲板部92の外面92aと、平板状部93の外面93aとを含んでいる。突出部74は、両側の平板状部91の内面91bと、両側の湾曲板部92の内面92bと、平板状部93の内面93bとを含んでいる。
突出部74は、両側の平板状部91、両側の湾曲板部92および平板状部93のそれぞれのカバー本体51の軸方向における図1に示す開口部85側の端縁部と、円筒状部81とを結ぶ開口側壁部96と、図4に示すように、両側の平板状部91、両側の湾曲板部92および平板状部93のそれぞれのカバー本体51の軸方向における取付部材52側の端縁部と、窄部72とを結ぶ取付側端壁部97と、を有している。
図5に示す両側の平板状部91は、いずれも、部分円筒部82の軸線Oと平行をなしており、部分円筒部82から離れるほど、部分円筒部82の周方向における中央と部分円筒部82の軸線Oとを含む基準平面からの距離が長くなるように基準平面に対し傾斜している。両側の湾曲板部92は、いずれも、円筒の一部形状をなしており、部分円筒部82の軸線Oと平行をなしている。両側の湾曲板部92は、いずれも、繋がる平板状部91から部分円筒部82とは反対側に延出し、延出先端側が互いに近接するように径方向外側に凸に湾曲している。平板状部93は、部分円筒部82の軸線Oと平行をなし、上記した基準平面と直交するように広がっている。
突出部74の内側は、主体部71の円筒面の一部形状をなす内面71bよりも径方向外方に凹む凹状部101となっている。言い換えれば、突出部74の突出方向とは反対の裏側は、突出方向に凹む凹状部101となっている。凹状部101は、両側の平板状部91の内面91bと、両側の湾曲板部92の内面92bと、平板状部93の内面93bと、を含んでいる。
図1に示すように、ダストカバー19は、軸方向の一端に開口部85が設けられており、軸方向の他端に取付部材52の取付板部62が設けられている。ダストカバー19は、カバー本体51の部分円筒部82と突出部74とが、開口部85と取付板部62との間に形成された胴部105となっており、よって、この胴部105に、内側の凹状部101を含む突出部74が形成されている。
図5に示すように、突出部74およびその内側の凹状部101のダストカバー19の周方向における中央と、ダストカバー19の軸線Oとは、上記した基準平面に配置されている。よって、ダストカバー19の軸線Oを基準として、突出部74およびその内側の凹状部101とは反対側に、図2,図4に示す突条部77が形成されている。
図2に示すように、ダストカバー19は、その取付部材52の取付孔61にロッド12の小径軸部26が嵌合されており、この状態で取付部材52の取付板部62がロッド12に溶接により固定されている。取付部材52がロッド12に固定された状態で、取付板部62は、ロッド12と同軸状に配置され、ロッド12の軸線に対し直交して広がる。この状態で、嵌合部63および拡径部64も、ロッド12と同軸状に配置されている。
ダストカバー19は、図1に示すように、一端の開口部85にシリンダ11が挿通され、他端の取付板部62でロッド12に取り付けられている。ダストカバー19は、ロッド12に取り付けられた状態で、ロッド12のシリンダ11から突出する部分の少なくとも一部とシリンダ11の開口22側の一部とを覆っている。ダストカバー19は、シリンダ11よりも径の大きい開口部85を一側に、ロッド12に取り付けられる取付板部62を他側に有している。
ダストカバー19の胴部105は、凹状部101が形成されていることから、図5に示すようにダストカバー19の軸線Oに対して垂直方向に切断した断面面積が、図1に示す開口部85の開口面積よりも大きくなっている。また、ダストカバー19は、開口部85と取付板部62との間に、径方向外方に突出する突出部74が形成されている。ダストカバー19は、図5に示すように、突出部74の内側の凹状部101の底面である平板状部93の内面93bのダストカバー19の軸線Oからの突出方向の長さL1が、この突出方向と直交する方向の長さである、ダストカバー19の軸線Oからの主体部71の部分円筒部82の内面82bまでの長さL2よりも大きくなっている。言い換えれば、ダストカバー19およびシリンダ11の径方向において、部分円筒部82の内面82bとシリンダ11の側壁部21の外周面21aとの隙間よりも、突出部74の平板状部93の内面93bとシリンダ11の側壁部21の外周面21aとの隙間の方が大きくなっている。
シリンダ装置10は、図1に示すピストン13をシリンダ11の加締溝23に当たる位置に設けられた、ロッド12をシリンダ11に対して案内する図示略のロッドガイドに当接させる状態が、ロッド12がシリンダ11に対して最も突出した状態となり、この状態においても、胴部105は、シリンダ11の開口22よりもシリンダ11の底部20側に延びている。言い換えれば、ロッド12がシリンダ11に対して最も突出した状態において、凹状部101は、シリンダ11の開口22よりもシリンダ11の底部20側に延びている。さらに言い換えれば、ダストカバー19の円筒状部81は、ロッド12がシリンダ11に対して最も突出した状態にあっても、シリンダ11の開口22よりも底部20側に位置している。
ここで、ダストカバー19は、図2に示す取付部材52の取付板部62が、その取付孔61にロッド12の小径軸部26を嵌合させた状態でロッド12に溶接により固定されることになり、その後、ロッド12の小径軸部26の主軸部25とは反対側の端部に取付アイ17のアイ本体31が溶接により固定されることになる。その際に、アイ本体31は、その軸方向の中央位置の軸直交面上に切欠部67が位置するように取付部材52に対しロッド12の周方向における位置が決められてロッド12に溶接される。すなわち、ダストカバー19の取付板部62よりも外側には、被取付物への取り付け用の取付アイ17が設けられ、ダストカバー19の取付板部62には、この取付アイ17に対してダストカバー19の取り付け方向を決める位置決め部としての切欠部67が形成されている。
ロッド12に固定された状態の取付部材52の切欠部67に対しロッド12の周方向に位置決めされてロッド12に固定された取付アイ17は、切欠部67に突条部77を嵌合させることで切欠部67に対しロッド12の周方向に位置決めされたカバー本体51に対しても、ロッド12の周方向に位置決めされる。すなわち、取付アイ17のアイ本体31は、その軸方向の中央位置の軸直交面に、突条部77と、突出部74および凹状部101のロッド12の周方向における中央とが位置するように、ダストカバー19に対しロッド12の周方向の位置が決められる。
シリンダ装置10は、図6に示すように、建築物の地震による振動を減衰させる減震機構121を構成するものである。減震機構121は、例えば、建築物の壁の厚さ方向一側の壁面を形成するボードと、同じ壁の厚さ方向他側の壁面を形成するボードとの間の空間部に配置されるものである。
減震機構121は、例えば建築物の図示略の梁に固定されて梁から下方に延出する上部固定板122と、建築物の図示略の土台に固定されて土台から上方に延出する下部固定板123と、上部固定板122の下端部に固定される金属製の上側支持部材125(被取付物)と、下部固定板123の上端部に固定される金属製の下側支持部材126(被取付物)と、実施形態のシリンダ装置10と、上側支持部材125にシリンダ装置10のシリンダ11の底部20に取り付けられた取付アイ18を回動可能に連結するボルト等の金属製の連結部材128と、下側支持部材126にシリンダ装置10のロッド12に取り付けられた取付アイ17を回動可能に連結するボルト等の金属製の連結部材129と、を有している。
上側支持部材125には、壁の厚さ方向に貫通する図示略の貫通穴が形成されており、下側支持部材126にも壁の厚さ方向に貫通する図示略の貫通穴が形成されている。上部固定板122および下部固定板123は、上側支持部材125および下側支持部材126のこれらの貫通穴が、それぞれ壁の厚さ方向に沿って水平に配置され、互いに平行をなして高さ位置を合わせるように施工される。
そして、シリンダ装置10を、胴部105において突出部74が鉛直方向下側に、部分円筒部82が鉛直方向上側に位置する姿勢として、上側支持部材125の図示略の貫通穴と取付アイ18のブシュ44の内周側とに連結部材128を挿通させて、この連結部材128によって上側支持部材125と取付アイ18とを回動可能に連結させる。また、下側支持部材126の図示略の貫通穴と取付アイ17のブシュ34の内周側とに連結部材129を挿通させて、この連結部材129によって下側支持部材126と取付アイ17とを回動可能に連結させる。
これにより、シリンダ装置10は、略水平に配置される。そして、このように上側支持部材125および下側支持部材126に取り付けられた施工状態で、シリンダ装置10は、胴部105において突出部74および凹状部101が鉛直方向下側に、部分円筒部82が鉛直方向上側に位置する姿勢となる。その結果、突出部74および部分円筒部82からなる胴部105を、ダストカバー19すなわちロッド12の軸線Oに対して垂直方向に切断した断面面積の鉛直方向の長さが、この断面面積の水平方向の長さよりも長くなる。言い換えれば、施工状態で、シリンダ装置10は、図5に示すように、ロッド12の軸線Oから、その鉛直方向下方にある胴部105の外面である平板状部93の外面93aまでの距離が、ロッド12の軸線Oから、その水平方向側方にある胴部105の外面である部分円筒部82の外面82aまでの距離よりも長くなる。さらに言い換えれば、施工状態で、シリンダ装置10は、図5に示すように、ロッド12の軸線Oから、その鉛直方向下方にある胴部105の内面である平板状部93の内面93bまでの距離L1が、ロッド12の軸線Oから、その水平方向側方にある胴部105の内面である部分円筒部82の内面82bまでの距離L2よりも長くなる。
減震機構121は、地震により建物が揺れて土台と梁との間に相対的な振動を生じた場合、土台に下部固定板123および下側支持部材126を介して連結されたシリンダ装置10のロッド12が、梁に上部固定板122および上側支持部材125を介して連結されたシリンダ11に対して軸方向に相対移動することになり、その際に、減衰力を発生させて、振動を減衰させる。
なお、シリンダ装置10を、胴部105において、突出部74が鉛直方向下側に、部分円筒部82が鉛直方向上側に位置する姿勢となれば、上側支持部材125および下側支持部材126に対して上記とは逆向きに取り付けても良い。すなわち、上側支持部材125の図示略の貫通穴と取付アイ17のブシュ34の内周側とに連結部材128を挿通させて、この連結部材128によって上側支持部材125と取付アイ17とを回動可能に連結させ、下側支持部材126の図示略の貫通穴と取付アイ18のブシュ44の内周側とに連結部材129を挿通させて、この連結部材129によって下側支持部材126と取付アイ18とを回動可能に連結させても良い。
特許文献1には、シリンダから突出するロッドに蛇腹状のダストカバーの一端を連結し、このカバーの他端をシリンダの開口部側に連結する構造の油圧緩衝器が記載されている。このような蛇腹状のダストカバーは、全周にわたって径方向に大型となるため、油圧緩衝器全体の大型化を招いてしまう。また、蛇腹状のダストカバーはそれ自身が伸縮する必要があるため、材質的に経時劣化を生じ易い。
特許文献2には、ピストンロッドに取り付けられたアンダカバーをピストンロッドと一体に、シリンダに対して移動させる装置が記載されている。この装置において、アンダカバー内に結露を生じることがあり、結露により生じた水分がアンダカバー内に溜まると、シリンダが結露の影響を受ける可能性がある。アンダカバーを大型化すれば、結露により生じた水分をシリンダから逃がして溜めることができるが、装置全体が大型化してしまう。
これらに対して、第1実施形態のシリンダ装置10は、ダストカバー19が、一端に設けられてシリンダ11が挿通される開口部85と、他端に設けられてロッド12に取り付けられる取付部材52の取付板部62と、開口部85と取付板部62との間に形成され、ロッド12の軸線Oに対して垂直方向に切断した断面面積が開口22の開口面積よりも大きい胴部105と、を有している。
そして、シリンダ装置10は、被取付物である上側支持部材125および下側支持部材126に取り付けられた状態で、胴部105の前記断面面積の鉛直方向の長さが、胴部105の前記断面面積の水平方向の長さよりも長い。よって、結露により生じた水分を胴部105内でシリンダ11よりも下方に逃がすことが可能となり、シリンダ11への結露の影響を抑制することができる。
すなわち、結露により生じた水分にシリンダ11が接触する状態が継続すると、シリンダ11に腐食を生じる可能性がある。特に、シリンダ11の開口22が、結露により生じた水分に接触する状態が継続すると、シリンダ11の開口22が腐食する等して、シール部材15のシール性を低下させてしまう可能性がある。第1実施形態のシリンダ装置10は、このようなシール性の低下を抑制することができる。
しかも、胴部105の前記断面面積の水平方向の長さを鉛直方向の長さよりも短くできるため、この方向については、大型化を抑制することができる。よって、例えば、厚さが薄い壁の厚さ方向両側のボード間にも容易に設置することができる。
言い換えれば、ダストカバー19は、シリンダ11よりも径の大きい開口部85を一側に、ロッド12に取り付けられる取付板部62を他側に有し、開口部85と取付板部62との間に、径方向外方に突出する突出部74が形成され、突出部74の内側の凹状部101のロッド12の中心からの突出方向の長さが、ロッド12の中心からの前記突出方向と直交する方向の長さよりも大きくなっている。よって、結露により生じた水分を凹状部101でシリンダ11よりも下方に逃がすことが可能となり、シリンダ11への結露の影響を抑制することができる。
しかも、ダストカバー19は、開口部85と取付板部62との間に、凹状部101を内側に形成するように径方向外方に突出する突出部74が形成される形状であるため、突出部74以外の部分の大型化を抑制することができる。よって、例えば、厚さの薄い壁の厚さ方向両側のボード間にも容易に設置することができる。
また、胴部105は、ロッド12がシリンダ11に対して最も突出した状態において、シリンダ11の開口22よりも底部20側に延びている。よって、ロッド12がシリンダ11に対して最も突出した状態となっても、結露により生じた胴部105の凹状部101内に溜められた水が開口部85から流出するのを抑制することができる。
また、ダストカバー19の取付板部62よりも外側には、被取付物である上側支持部材125あるいは下側支持部材126への取り付け用の取付アイ17が設けられ、取付板部62には、取付アイ17に対してダストカバー19の取り付け方向を決める切欠部67が設けられている。よって、取付アイ17をダストカバー19に対して位置決めしつつロッド12に取り付けることができる。
すなわち、取付アイ17のアイ本体31をロッド12に溶接により固定する際に、同様にロッド12に固定される取付部材52の切欠部67との周方向の位置関係が決められた状態になるようにして固定する。これにより、組み上がったシリンダ装置10においては、取付アイ17に対する連結部材129の挿入方向と、突出部74および凹状部101のロッド12の軸線Oに対する方向とを、ロッド12の周方向の90度異なる位置に配置することができる。よって、減震機構121において、連結部材128,129が高さを合わせて水平に配置されるように上側支持部材125および下側支持部材126を設置することで、突出部74および凹状部101を、ダストカバー19における鉛直下側部分に容易に配置することができる。
また、ダストカバー19に平坦面からなる二カ所の外面91aと、一カ所の外面93aとを有するため、印刷や刻印、貼り付けられるシール等の表示部をこれらのいずれかに設けるようにすることで、表示部を容易に設けることができる。したがって、施工時の注意事項や、製品識別情報等の表示部を容易に設けることができる。
また、ロッド12のシリンダ11からの突出部分と、シリンダ11の開口22と、シリンダ11の開口22に設けられたシール部材15とをダストカバー19で覆って保護することができる。よって、特に施工時において生じ易い、これらの損傷を抑制することができる。
また、ダストカバー19はロッド12に固定されるもののシリンダ11には固定されないため、弾性変形する必要がない。よって、経時劣化を生じにくい材料で形成することができる。
また、突出部74の突出方向の先端に平坦面からなる外面93aを有するため、この外面93aにおいて、シリンダ装置10を台等の載置面に載置させれば、シリンダ装置10を、その転がりを規制して安定的に載置面に載置させることができる。よって、シリンダ装置10の台等の載置面からの脱落を抑制することができ、破損等を抑制することができる。加えて、シリンダ装置10をディスプレイする場合にも、ディスプレイ台等の載置面に載置させれば、シリンダ装置10を転がりを規制して安定的に載置させることができるため、ディスプレイ用の転がり防止の治具が不要になる。
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態を主に図7に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、ダストカバー19の取付部材52Aが第1実施形態の取付部材52とは一部相違している。取付部材52Aは、取付板部62から、ダストカバー19の軸方向の外側に立ち上がる一対(図7では斜視図とした関係上一方のみ図示)の位置決め壁部151(位置決め部)を有している。これらの位置決め壁部151は、互いに平行であり、切欠部67から同等距離の位置に形成されている。これらの位置決め壁部151は、ロッドの軸線Oからも同等距離の位置に配置されている。
これら位置決め壁部151の対向面間の距離は、取付アイ17のアイ本体31の軸方向の長さより若干長く、これらの位置決め壁部151の間にアイ本体31を挿入し配置することで、アイ本体31は、その軸方向の中央位置の軸直交面上に切欠部67が位置するように取付部材52Aに対しロッド12の周方向における位置が決められる。よって、作業者は、一対の位置決め壁部151の間にアイ本体31を配置するという容易な作業で、アイ本体31を取付部材52Aに対しロッド12の周方向に位置決めすることができる。
作業者は、アイ本体31を、このように取付部材52Aに対しロッド12の周方向に位置決めした状態で、その軸線がロッド12の軸線と直交するように径方向に位置決めして、ロッド12に溶接する。これにより、アイ本体31の軸直交方向にダストカバー19の突出部74および凹状部101を配置することができる。したがって、アイ本体31を、取付部材52A、すなわちダストカバー19に対し容易に位置決めしつつロッド12へ取り付けることができる。
なお、以上の第1,第2実施形態においては、突出部74および凹状部101を、ダストカバー19に一組のみ設けたが、ダストカバー19の周方向において、突出部74および凹状部101とは180度異なる位置に、同様の突出部74および凹状部101を設けても良い。すなわち、ダストカバー19において、突出部74および凹状部101の組を、鏡面対称状に二組設けても良い。この場合、ダストカバー19の周方向において、突出部74および凹状部101の一方の組側に、突条部77が配置されることになる。
このように構成することにより、減震機構121において上記と同様に連結部材128,129が高さを合わせて水平に配置されるように上側支持部材125および下側支持部材126を設置すれば、シリンダ装置10を上側支持部材125および下側支持部材126へ連結部材128,129で組み付けることにより、ダストカバー19は、いずれか一組の突出部74および凹状部101が必ず鉛直下側に配置されることになり、減震機構121において、突出部74および凹状部101が鉛直下側に配置されないという誤組み付けが生じるのを防止できる。
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態を主に図8~図12に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、図8に示すように、第1実施形態の取付アイ17にかえてブラケット17Bが設けられており、第1実施形態の取付アイ18にかえてブラケット18Bが設けられている。
ブラケット17Bは、長方形状の基板部201と、基板部201の平行な二箇所の長辺から基板部201に対し垂直に立ち上がる互いに平行な一対の取付板部202とからなっている。ブラケット17Bは、基板部201の厚さ方向に見て長方形状をなしている。一対の取付板部202には、それぞれ、厚さ方向に貫通する取付穴203が形成されている。これらの取付穴203は軸線を一致させている。
ブラケット17Bは、金属製であり、図9に示すロッド12の小径軸部26の主軸部25とは反対側の端部に基板部201の中央が溶接により固定されている。ブラケット17Bは、ロッド12の軸方向から見て長方形状をなす。ブラケット17Bは、両側の取付穴203がロッド12の軸線から等距離の位置に配置され、両側の取付穴203の軸線がロッド12の軸線に直交している。ブラケット17Bは、例えば、一対の取付板部202の間に図6に示す下側支持部材126が配置された状態で、一対の取付板部202のそれぞれの取付穴203に図6に示す連結部材129が挿通されて下側支持部材126に回動可能に連結される。
図8に示すように、ブラケット18Bも、長方形状の基板部211と、基板部211の平行な二箇所の長辺から基板部211に対し垂直に立ち上がる互いに平行な一対の取付板部212とからなっている。一対の取付板部212には、それぞれ、厚さ方向に貫通する取付穴213が形成されている。なお、図8は斜視図とした関係上一方の取付穴213のみが図示されている。一対の取付板部212のそれぞれの取付穴213は軸線を一致させている。
ブラケット18Bは、金属製であり、シリンダ11の底部20のブラケット17Bとは反対側の端部に溶接により固定されている。ブラケット18Bは、両側の取付穴213がシリンダ11の軸線から等距離の位置に配置され、両側の取付穴213の軸線がシリンダ11の軸線に直交している。ブラケット18Bは、例えば、一対の取付板部212の間に図6に示す上側支持部材125が配置された状態で、一対の取付板部212のそれぞれの取付穴213に図6に示す連結部材128が挿通されて上側支持部材125に回動可能に連結される。
第3実施形態においては、図9に示すように、ダストカバー19が、第1実施形態のカバー本体51とは一部異なるカバー本体51Bと、第1実施形態の取付部材52とは一部異なる取付部材52B(取付部)とからなっている。
取付部材52Bは、金属製であり、中央に取付孔61Bが形成された有効円板状の取付板部62Bと、図9,図10に示すように、取付板部62Bの外周縁部から取付板部62Bの軸方向に沿って一側に延出する円筒状の嵌合部63Bと、を有している。取付板部62Bおよび嵌合部63Bは、同軸状に形成されている。
嵌合部63Bは、図10に示すように、嵌合部63Bを径方向に貫通する貫通孔222と、嵌合部63Bを径方向に貫通する貫通孔223(位置決め部)とを有している。
図10に示すように、貫通孔222は、嵌合部63Bの軸方向の中間部分に形成されている。貫通孔222は、嵌合部63Bの周方向に等間隔で複数、具体的には4箇所形成されており、貫通孔223も嵌合部63Bの周方向に等間隔で複数、具体的には4箇所形成されている。貫通孔222と貫通孔223とは、嵌合部63Bの周方向に交互に等間隔で形成されている。
図9,図11に示すカバー本体51Bは、合成樹脂製の一体成形品であり、第1実施形態のカバー本体51と同様の主体部71、窄部72及び突出部74を有している。カバー本体51Bは、窄部72の主体部71とは反対側の端縁部から主体部71の軸方向に沿って主体部71とは反対方向に延出する円筒状の嵌合部73Bが、第1実施形態の嵌合部73とは相違している。
嵌合部73Bには、図12に示すように、その円筒面の一部形状をなす内周面73Baから径方向内方に突出する凸部231が形成されている。嵌合部73Bの径方向における凸部231の裏側は、嵌合部73Bの円筒面の一部形状をなす外周面73Bbよりも径方向内方に凹む凹部232となっている。
凸部231は、嵌合部73Bの軸方向の中間部分に形成されている。凸部231は、嵌合部73Bの周方向に等間隔で複数、具体的には4箇所形成されている。凹部232は、凸部231と嵌合部73Bの周方向における位置を合わせて複数、具体的には4箇所形成されている。嵌合部73Bの周方向に隣り合う所定の2カ所の凸部231間の中央位置が、嵌合部73Bの周方向における突出部74の中央位置と、嵌合部73Bの周方向における位置を一致させている。
カバー本体51Bの凸部231の頂上面の嵌合部73Bの中心軸線からの距離は、取付部材52Bの嵌合部63Bの外周面63Baの半径よりも短く、貫通孔222の嵌合部63Bの内周面63Bb側の開口部222aの中心軸線からの距離に対し同等以下となっている。これにより、カバー本体51Bの嵌合部73Bの内側に取付部材52Bの嵌合部63Bを嵌合させたときに、各貫通孔222に一対一で凸部231が嵌合して、カバー本体51Bと取付部材52Bとが一体化されてダストカバー19となる。
図11に示すように、カバー本体51Bは、嵌合部73Bの窄部72とは反対側の端縁部から嵌合部73Bの径方向内側に広がる中間板部241を有している。中間板部241は内周縁部が長方形状をなしている。カバー本体51Bは、この中間板部241の長方形状の内周縁部からカバー本体51Bの軸方向に沿って窄部72とは反対方向に突出する長方形の角筒状の角筒部242を有している。
長方形状の角筒部242の内側部分を、ロッド12の軸方向から見て長方形状をなすブラケット17Bが通過可能となっている。このとき、角筒部242とブラケット17Bの基板部201とが互いに長辺を略平行させないと、角筒部242の内側をブラケット17Bが通過できないようになっている。よって、角筒部242の内側をブラケット17Bが通過可能な位置は、カバー本体51Bの周方向に180度ピッチの2カ所となっている。
図12に示すように、取付部材52Bは、その周方向において、貫通孔222の位置を凸部231に合わせて、嵌合部63Bがカバー本体51Bの嵌合部73Bの内側に嵌合される。すると、嵌合部63Bがその外周部において嵌合部73Bの内周部に嵌合することになり、複数の貫通孔222にそれぞれ一対一で対応して凸部231が嵌合する。取付部材52Bは、図9に示すように、取付板部62Bが中間板部241に当接することで、カバー本体51Bに対する軸方向の行き過ぎが規制される。
取付部材52Bは、図12に示すように、その周方向において貫通孔222の位置を凸部231に合わせなければ、嵌合部63Bがカバー本体51Bの嵌合部73Bに適正に嵌合された状態にはならない。すなわち、貫通孔222にそれぞれ一対一で対応する凸部231が嵌合する際に生じるクリック感をもって嵌合部63Bが嵌合部73Bに適正に嵌合されたことを作業者に認識させる。取付部材52Bは、カバー本体51Bに対し、上記のように嵌合されることにより一体化される。このように一体化されることにより、取付部材52Bとカバー本体51Bとが筒状のダストカバー19となる。
ここで、第3実施形態においては、図9に示す取付部材52Bの取付板部62Bが、その取付孔61Bにロッド12の小径軸部26を嵌合させた状態でロッド12に溶接により固定されることになり、その後、ロッド12の小径軸部26の主軸部25とは反対側の端部にブラケット17Bが溶接により固定されることになる。その際に、ブラケット17Bは、図10に示すように、基板部201の短辺方向の中央位置がいずれか一つの貫通孔223と取付部材52Bの周方向における位置が合うように、あるいは、基板部201の長辺方向の中央位置がいずれか一つの貫通孔223と取付部材52Bの周方向における位置が合うように、取付部材52Bに対し取付部材52Bの周方向における位置が決められて図9に示すロッド12に溶接される。これにより、図10に示すように、ブラケット17Bは、取付部材52Bの貫通孔222に対し、取付部材52Bの周方向における位置が決められてロッド12に溶接される。
その後、突出部74に対し周方向に位置決めされて形成された凸部231を有するカバー本体51Bが、凸部231において取付部材52Bの貫通孔222に嵌合する。その結果、ブラケット17Bに対しダストカバー19がロッド12の周方向に位置決めされる。すなわち、ダストカバー19の取付板部62Bよりも外側には、被取付物への取り付け用のブラケット17Bが設けられ、ダストカバー19の取付部材52Bには、このブラケット17Bに対してダストカバー19の取り付け方向を決める位置決め部としての貫通孔223が形成されている。
ロッド12に固定された状態の取付部材52Bの貫通孔222に対しロッド12の周方向に位置決めされてロッド12に固定されたブラケット17Bを、角筒部242の内側に挿通させるようにして、カバー本体51Bが取付部材52B及びシリンダ11に被せられる。このとき、カバー本体51Bを、角筒部242の内側にブラケット17Bを通過させることが可能な位相として取付部材52B及びシリンダ11に被せ、位相をそのままで、嵌合部73Bを嵌合部63Bに嵌合させる。すると、凸部231が貫通孔222に嵌合する。これにより、ブラケット17Bが、カバー本体51Bに対してロッド12の周方向に位置決めされる。
第3実施形態においても、ブラケット17Bが下側支持部材126に、ブラケット18Bが上側支持部材125に、それぞれ取り付けられた施工状態で、シリンダ装置10は、突出部74が鉛直方向下側に、部分円筒部82が鉛直方向上側に位置する姿勢となる。
[第4実施形態]
次に、本発明に係る第4実施形態を主に図13に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図13に示すように、第4実施形態においては、ダストカバー19に、第1実施形態の突出部74および凹状部101に加えて、これらとダストカバー19の周方向において180度異なる位置に同様の突出部74および凹状部101を設けている。すなわち、ダストカバー19において、突出部74および凹状部101の組を、鏡面対称状に二組設けている。この場合、図示は略すが、ダストカバー19の周方向において、突出部74および凹状部101の一方の組側に、突条部77が配置されることになる。
このように構成することにより、減震機構121において上記と同様に連結部材128,129が高さを合わせて水平に配置されるように上側支持部材125および下側支持部材126を設置すれば、シリンダ装置10を上側支持部材125および下側支持部材126へ連結部材128,129で組み付けることにより、ダストカバー19は、いずれか一組の突出部74および凹状部101が必ず鉛直下側に配置されることになり、減震機構121において、突出部74および凹状部101が鉛直下側に配置されないという誤組み付けが生じるのを防止できる。
よって、被取付物への取り付けの際に、より、取付方向を意識せずに容易に配置することができる。すなわち、第1実施形態では、突出部74を「上」と認識するか、もしくは、「下」と認識するかの判断が作業者により分かれる。ブラケットである取付アイ17,18の方向が定まっているので、上下以外の方向に取り付くことはない。第4実施形態では、どちらの方向に取り付けた場合も、結露により生じ水が開口部85から流出するのを抑制することができる。なお、第3実施形態のダストカバー19においても、同様に、第3実施形態の突出部74および凹状部101に加えて、これらとダストカバー19の周方向において180度異なる位置に、同様の突出部74および凹状部101を設けることが可能である。
上述する各実施の形態のダストカバー19は、例えば図2では、取付部材52の取付板部62が、その取付孔61にロッド12の小径軸部26を嵌合させた状態でロッド12に溶接により固定されているが、これに限らず、ダストカバー19は、取付部材52を介さずに、ロッド12またはブラケット17に嵌合させた状態で固定してもよい。
以上に述べた実施形態の第1の態様は、一端側に底部を有するシリンダと、該シリンダの他端側から突出するロッドと、を有するシリンダ装置であって、前記ロッド側に取り付けられ、該ロッドの前記シリンダから突出する部分の少なくとも一部を覆う筒状のダストカバーを有し、該ダストカバーは、一端に設けられて前記シリンダが挿通される開口部と、他端に設けられて前記ロッド側に取り付けられる取付部と、前記開口部と前記取付部との間に形成され、前記ロッドの軸線に対して垂直方向に切断した断面面積が前記開口部の開口面積よりも大きい胴部と、を有し、被取付物に取り付けられた状態で、前記胴部の前記断面面積の鉛直方向の長さが、前記胴部の前記断面面積の水平方向の長さよりも長い。これにより、結露による影響を抑制することができ、大型化を抑制することができる。
第2の態様は、第1の態様において、前記胴部は、前記ロッドが前記シリンダに対して最も突出した状態において、前記シリンダの他端部よりも前記シリンダの一端側に延びている。これにより、ロッドがシリンダに対して最も突出した状態となっても、結露により生じた水が開口部から流出するのを抑制することができる。
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記ダストカバーの前記取付部よりも外側には、被取付物への取り付け用のブラケットが設けられ、前記取付部には、前記ブラケットに対して前記ダストカバーの取り付け方向を決める位置決め部が設けられている。これにより、被取付物に対してダストカバーを容易に配置することができる。
第4の態様は、一端側に底部を有するシリンダと、該シリンダの他端側から突出するロッドと、を有するシリンダ装置であって、前記ロッド側に取り付けられ、該ロッドの前記シリンダから突出する部分の少なくとも一部を覆う筒状のダストカバーを有し、該ダストカバーは、前記シリンダよりも径の大きい開口部を一側に、前記ロッド側に取り付けられる取付部を他側に有し、前記開口部と前記取付部との間に、径方向外方に突出する突出部が形成され、該突出部の内側の前記ロッドの中心からの突出方向の長さが、前記突出方向と直交する方向の長さよりも大きい。これにより、結露による影響を抑制することができ、大型化を抑制することができる。
第5の態様は、第4の態様において、前記突出部が、前記シリンダから径方向外方に突出する第1突出部と第2突出部とを有し、前記第1突出部と前記第2突出部とは互いに対向する。これにより、被取付物に対してダストカバーを更に容易に配置することができる。