JP7035911B2 - 四軸組布及び積層物 - Google Patents

四軸組布及び積層物 Download PDF

Info

Publication number
JP7035911B2
JP7035911B2 JP2018162609A JP2018162609A JP7035911B2 JP 7035911 B2 JP7035911 B2 JP 7035911B2 JP 2018162609 A JP2018162609 A JP 2018162609A JP 2018162609 A JP2018162609 A JP 2018162609A JP 7035911 B2 JP7035911 B2 JP 7035911B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
multifilament
thread
spacing
oblique
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018162609A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020033799A (ja
Inventor
文啓 菅野
俊一 引野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Boseki Co Ltd
Original Assignee
Nitto Boseki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Boseki Co Ltd filed Critical Nitto Boseki Co Ltd
Priority to JP2018162609A priority Critical patent/JP7035911B2/ja
Publication of JP2020033799A publication Critical patent/JP2020033799A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7035911B2 publication Critical patent/JP7035911B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Description

本発明は、四軸組布、及び、当該四軸組布を含む積層物に関する。
コンクリート構造物からコンクリート片が剥落することを防止する技術として、ガラス繊維等の高強度マルチフィラメントヤーンからなる、組布等の多軸メッシュシートを用いた技術が知られている(例えば、特許文献1、2)。なお、組布とは、通常2~4方向に配列され、かつ、互いに交差するようにヤーンを積層してメッシュ状に配置し、交差するヤーン同士を接着剤等で固定したものである。
特許文献1によれば、透明樹脂層と、透明樹脂が含浸した、四軸メッシュ状のガラス連続繊維シートとを積層して構成される、コンクリート構造物の素地の表面状態を目視可能な、コンクリート構造物の強化コーティング構造が開示されている。
特許文献2によれば、マルチフィラメントヤーンからなる多軸メッシュシートと、不織布とを積層して構成される補修用基材と、当該補修用基材に含浸された硬化樹脂組成物とから構成される、コンクリート構造物の補修材料が開示されている。
しかし、ガラス繊維等の高強度マルチフィラメントヤーンからなる、多軸メッシュシートは、各軸方向の強度に優れているが、コンクリート構造物の強化・補修作業時に、ローラー等で圧力を加えられると、フィラメントの切断等に起因してほつれが生じ、施工性が悪化するという問題があった。
本発明者らは、前記問題を解決するために、高強度マルチフィラメントヤーンからなる、四軸組布の少なくとも一方の面に不織布を積層することで、樹脂の含浸性を確保しつつ、ローラー等が四軸組布に直接接触しないようにして、施工性を改善できることを見出した。
特開2011-169085 特開2017-186825
しかしながら、四軸組布と不織布との積層物に透明樹脂組成物を含浸させて複合物を得た場合に、四軸組布-樹脂間の界面の光の散乱に加えて、不織布-樹脂間の界面及び四軸組布-不織布間の界面で光の散乱が生じるため、当該複合物越しの視認性が悪化するという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、軸方向の優れた引張強度、不織布との積層物における優れた施工性及び樹脂含浸性及び、前記積層物と透明樹脂組成物との複合物における優れた複合物越しの視認性を実現可能な四軸組布を提供することを目的とする。また、本発明は、当該四軸組布を含む積層物を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の四軸組布は、並列された複数の第1のマルチフィラメント糸条と、前記第1のマルチフィラメント糸条と直交する複数の第2のマルチフィラメント糸条と、前記第1のマルチフィラメント糸条と斜交する複数の第1の斜交マルチフィラメント糸条と、前記第1の斜交マルチフィラメント糸条と反対方向から前記第1のマルチフィラメント糸条に斜交する複数の第2の斜交マルチフィラメント糸条と、を備える、四軸組布であって、前記複数の第1のマルチフィラメント糸条において、糸間隔は、第1の糸間隔d1と、前記第1の糸間隔d1より広い第2の糸間隔d2とが交互に繰り返されており、前記第1の糸間隔d1に対する前記第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が、2.4~3.0の範囲にあり、前記第1のマルチフィラメント糸条の糸幅bに対する前記第1の糸間隔d1の比(d1/b)が、1.0~1.4の範囲にあり、前記四軸組布の、前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向の中心部において、前記第2のマルチフィラメント糸条の糸間隔が均等であることを特徴とする。
本発明の四軸組布によれば、前記複数の第1のマルチフィラメント糸条において、糸間隔は、第1の糸間隔d1と、前記第1の糸間隔d1より広い第2の糸間隔d2とが交互に繰り返されており、前記第1の糸間隔d1に対する前記第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が、1.5~8.0の範囲にあり、前記第1のマルチフィラメント糸条の糸幅bに対する前記第1の糸間隔d1の比(d1/b)が、1.0~4.0の範囲にあることにより、優れた軸方向の引張強度を得ることができる。また、本発明の四軸組布によれば、不織布との積層物としたときに、優れた施工性及び樹脂含浸性を得ることができ、さらに、前記積層物と透明樹脂組成物との複合物において、優れた複合物越しの視認性を実現することができる。
前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向の中心部において、前記第2のマルチフィラメント糸条の糸間隔が均等であれば、不織布との積層物とし、さらに当該積層物と透明樹脂組成物との複合物としたときに、当該複合物越しの視認性に大きく寄与する、前記複合物の中央部分において、マルチフィラメント糸条が密集する部分の形成が抑制され、かつ、十分な広さを備える空隙がより確実に形成されることで、優れた複合物越しの視認性をより確実に確保することができる。
本発明の四軸組布は、前記第1の糸間隔d1に対する前記第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が、1.5未満の場合には、複合物越しの視認性の向上に寄与する、十分な広さを備える空隙が形成されず、複合物越しの視認性を十分に高めることができない。また、本発明の四軸組布は、前記第1の糸間隔d1に対する前記第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が8.0超の場合には、単位長さ当りのマルチフィラメント糸条の数が減少するため、十分な軸方向の引張強度を確保することができない。
なお、糸間隔d1及びd2は、一つのマルチフィラメント糸条の中心と、これと平行に隣り合うマルチフィラメント糸条の中心との距離を意味する。
本発明の四軸組布は、前記第1のマルチフィラメント糸条の糸幅bに対する前記第1の糸間隔d1の比(d1/b)が、1.0未満の場合には、2本のマルチフィラメント糸条が重なりあう部分が生じ、この重なりあった部分へ樹脂が含浸し難くなるため、四軸組布と不織布との積層物において十分な樹脂含浸性が確保できない。また、本発明の四軸組布は、前記第1のマルチフィラメント糸条の糸幅bに対する前記第1の糸間隔d1の比(d1/b)が、4.0超の場合には、単位長さ当りのマルチフィラメント糸条の数が減少するため、十分な軸方向の引張強度を確保することができない。
なお、前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向の中心部とは、本発明の四軸組布における前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向の中心から、前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向の前後にそれぞれ、前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向における本発明の四軸組布の全長の10%に相当する長さ、を備える領域を意味する。また、前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向の中心部において、前記第2のマルチフィラメント糸条の糸間隔が均等とは、隣り合う2つの第2のマルチフィラメント糸条の糸間隔の比が0.8~1.2の範囲にあり、該中心部における最大の糸間隔に対する該中心部における最小の糸間隔の比が0.8以上であり、かつ、該中心部における最小の糸間隔に対する該中心部における最大の糸間隔の比が1.2以下であることを意味する。
また、本発明の積層物は、前記いずれかの構成を備える四軸組布の少なくとも一方の面に不織布を備えることを特徴とする。
本発明の積層物によれば、前記いずれかの構成を備える四軸組布が不織布を備えることで、優れた施工性及び樹脂含浸性を得ることができ、さらに、透明樹脂組成物との複合物における優れた複合物越しの視認性を実現することができる。
本発明の四軸組布の構成を説明するための模式図。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態の四軸組布5は、並列された複数の第1のマルチフィラメント糸条1と、前記第1のマルチフィラメント糸条1と直交する複数の第2のマルチフィラメント糸条2と、前記第1のマルチフィラメント糸条1と斜交する複数の第1の斜交マルチフィラメント糸条3と、前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3と反対方向から前記第1のマルチフィラメント糸条1に斜交する複数の第2の斜交マルチフィラメント糸条4と、から構成される。本実施形態では、図1に示すように、複数の第1のマルチフィラメント糸条1において交互に繰り返される2つの糸間隔のうち、狭いものをd1、広いものをd2とする。また、本実施形態では、図1に示すように、第1のマルチフィラメント糸条1の糸幅をbとする。
前記第1のマルチフィラメント糸条1としては、例えば、ガラス繊維糸、炭素繊維糸、アラミド繊維糸、ビニロン繊維糸を使用することができる。強度に優れ、かつ、樹脂と複合化した際に透明化することが容易であることから、前記第1のマルチフィラメント糸条1としては、ガラス繊維糸が好ましい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1として使用可能なガラス繊維糸としては、Eガラス繊維組成を備える糸、高強度ガラス繊維組成を備える糸、耐アルカリガラス繊維組成を備える糸を挙げることができる。前記Eガラス繊維組成は、SiOを52~56質量%、Bを5~10質量%、Alを12~16質量%、CaOとMgOとを合計20~25質量%、NaOとKOとLiOとを合計0~1質量%含む。また、前記高強度ガラス繊維組成は、SiOを57~70質量%、Alを18~30質量%、CaOを0~13質量%、MgOを5~15質量%、NaOとKOとLiOとを合計0~1質量%、TiOを0~1質量%、Bを0~2質量%含む。また、前記耐アルカリガラス繊維組成は、SiOを54~65質量%、Alを0~2質量%、CaOとMgOとSrOとBaOとZnOとを合計0~10質量%、NaOを10~17質量%、KOを0~8質量%、LiOを0~5質量%、TiOを0~7質量%、ZrOを12~25質量%%含む。汎用性に優れることから、前記第1のマルチフィラメント糸条1としては、Eガラス繊維組成を備える糸が好ましい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1は、複数の同一種の又はそれぞれ異なる種類のマルチフィラメント糸条からなる、合糸であっても、合撚糸であってもよい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1を構成するフィラメントのフィラメント径は、例えば、3~30μmであり、4~24μmであってもよく、5~18μmであってもよく、9~17μmであってもよい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1におけるフィラメント集束本数は、例えば、50~6000本であり、100~5000本であってもよく、200~4000本であってもよく、400~2000本であってもよく、500~1200本であってもよい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1の重量は、例えば、1~10000tex(g/1000m)であり、3~5800texであってもよく、10~2500texであってもよく、50~1000texであってもよく、100~800texであってもよく、150~500texであってもよい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1の撚り数は、例えば、0~500T/mであり、0~300T/mであってもよく、0~200T/mであってもよく、0~50T/mであってもよく、0~10T/mであってもよく、0~0.5T/mであってもよい。なお、前記第1のマルチフィラメント糸条1が合撚糸である場合に、第1のマルチフィラメント糸条1の撚り数は、合撚の際に付与される撚り数を意味する。
前記第1のマルチフィラメント糸条1の糸幅bは、例えば、1.0~4.0mmであり、1.5~3.5mmであってもよく、1.8~3.2mmであってもよい。なお、糸幅bは、複数の第1のマルチフィラメント糸条1の糸幅を測定し、平均を算出することで求めることができる。
前記第1のマルチフィラメント糸条1の糸幅bは、前記第1のマルチフィラメント糸条1のフィラメント径、フィラメント集束本数、四軸組布5製造時に前記第1のマルチフィラメント糸条1にかかる張力の大きさ等を調整することにより制御可能である。
前記第1のマルチフィラメント糸条1において、四軸組布5の軸方向の引張強度、取扱性及び製造効率の両立の観点から、(フィラメント径(単位:μm)×集束本数)/(糸幅b(単位:μm))は、2.0~20.0であることが好ましく、2.5~12.0であることがより好ましく、3.0~8.0であることがさらに好ましく、3.5~6.0であることが特に好ましい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1は、四軸組布5において、例えば、2.0~6.0本/25mmで並列され、3.0~5.5本/25mmで並列されてもよく、4.0~5.0本/25mmで並列されてもよい。
複数の第1のマルチフィラメント糸条1において交互に繰り返される2つの糸間隔のうち、狭い糸間隔d1は、例えば、1.0~5.0mmであり、好ましくは、1.5~4.5mmであり、より好ましくは、2.0~4.0mmである。
複数の第1のマルチフィラメント糸条1において交互に繰り返される2つの糸間隔のうち、広い糸間隔d2は、例えば、5.5~20.0mmであり、好ましくは、6.0~15.0mmであり、より好ましくは、6.5~10.0mmである。
前記糸間隔d1に対する糸間隔d2の比(d2/d1)は、1.5~8.0の範囲にあり、好ましくは、1.8~3.0の範囲にある。
前記糸幅bに対する糸間隔d1の比(d1/b)は、1.0~4.0の範囲にあり、好ましくは、1.2~2.0の範囲にある。
前記第2のマルチフィラメント糸条2としては、前記第1のマルチフィラメント糸条1と同じ特徴をもつマルチフィラメント糸条を使用することができる。前記第2のマルチフィラメント糸条2は、前記第1のマルチフィラメント糸条1と同一の糸条であっても、異なる糸条であってもよい。
前記第2のマルチフィラメント糸条2は、四軸組布5において、例えば、2.0~6.0本/25mmで並列され、3.0~5.5本/25mmで並列されてもよく、4.0~5.0本/25mmで並列されてもよい。
複数の前記第2のマルチフィラメント糸条2の糸間隔は、例えば、1.0~10.0mmであり、3.0~8.0mmであってもよく、4.0~7.0mmであってもよい。
複数の前記第2のマルチフィラメント糸条2の糸間隔は、前記第1のマルチフィラメント糸条1の走行方向の中心部において、均等であることが好ましく、前記第1のマルチフィラメント糸条1の走行方向の全体において、均等であることがより好ましい。
前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3は、前記第1のマルチフィラメント糸条1と斜交しており、前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3と前記第1のマルチフィラメント糸条1とがなす角度は、例えば、40~50°であり、43~47°であることが好ましく、45°であることがより好ましい。
前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3は、四軸組布5において、例えば、1.4~4.2本/25mmで並列され、2.1~3.9本/25mmで並列されてもよく、2.8~3.5本/25mmで並列されてもよい。
複数の前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3の糸間隔は、例えば、3.0~10.0mmであり、5.0~9.5mmであってもよく、7.0~9.0mmであってもよい。
前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4は、前記第1の斜交マルチフィラメント糸3と反対方向から前記第1のマルチフィラメント糸条1と斜交しており、前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4と前記第1のマルチフィラメント糸条1とがなす角度は、例えば、40~50°であり、43~47°であることが好ましく、45°であることがより好ましい。また、前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4は、前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3と直交することが好ましい。
前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4は、四軸組布5において、例えば、1.4~4.2本/25mmで並列され、2.1~3.9本/25mmで並列されてもよく、2.8~3.5本/25mmで並列されてもよい。
複数の前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4の糸間隔は、例えば、3.0~10.0mmであり、5.0~9.5mmであってもよく、7.0~9.0mmであってもよい。
前記第1のマルチフィラメント糸条1、前記第2のマルチフィラメント糸条2、前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3、及び、前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4が、それぞれの交点において接着剤で結合されることで、本実施形態の四軸組布5が形成される。
前記第1のマルチフィラメント糸条1、前記第2のマルチフィラメント糸条2、前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3、及び、前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4を結合させる接着剤としては、例えば、110~180℃で溶融接着可能な、繊維状又は粉末状のポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂を用いることができる。
本実施形態の四軸組布5は、例えば、特開2005-163220号公報に記載の製造装置を適宜設計変更することで製造可能である。
本実施形態の四軸組布5の単位面積当たりの重量は、例えば、70~230g/mであり、110~210g/mであってもよく、150~190g/mであってもよい。
本実施形態の四軸組布5の厚さは、例えば、300~600μmであり、250~500μmであってもよく、200~400μmであってもよい。
本実施形態の四軸組布5において、前記第1のマルチフィラメント糸条1、前記第2のマルチフィラメント糸条2、前記第1の斜交マルチフィラメント糸条3、及び、前記第2の斜交マルチフィラメント糸条4から選ばれる2つの糸条の交点は、異なる組み合わせの糸条の交点と重なり合わないことが、四軸組布5の厚さ低減の観点から好ましい。
本実施形態の積層物は、本実施形態の四軸組布5の少なくとも一方の面に、熱ラミネート(温度条件135~165℃、プレスロール圧0.18~0.2N/mm)により、不織布を積層することで得ることができる。なお、不織布は、本実施形態の四軸組布5の両面に積層してもよい。
本実施形態の積層物に用いることができる不織布は、特に限定されず、例えば、ポリエステル繊維不織布、ポリプロピレン繊維不織布、ポリエチレン繊維不織布、アクリル繊維不織布、ナイロン繊維不織布、ビニロン繊維不織布、またそれらの混合不織布を例示することができる。
本実施形態の積層物に用いることができる不織布の単位面積当たりの質量は、例えば、5~100g/mであり、8~50g/mであってもよく、10~30g/mであってもよい。
例えば、本実施形態の積層物は、不織布を備える側の面を手にとって、コンクリート構造物の劣化部分に押し当て、不織布を備える側の面からローラー等を用いて透明樹脂組成物を塗布又は含浸させ、透明樹脂組成物を硬化させて本実施形態の積層物と透明樹脂組成物とを複合化して複合物とするとともに、当該複合物とコンクリート構造物とを接着することで、コンクリート構造物の劣化部分からのコンクリート片の剥落を防止することができる。本実施形態の積層物を用いることで、ローラー等を用いた際のマルチフィラメント糸条のほつれが防止されるため、優れた施工性が実現される。また、本実施形態の積層物と透明樹脂組成物との複合物において、複合物越しの視認性が優れているため、コンクリート構造物の素地の表面状態の目視が可能となる。
本実施形態の積層物に塗布又は含浸することに適する透明樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルアクリレート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ジアリルフタレート樹脂が挙げられる。
本実施形態の積層物に塗布又は含浸することに適する透明樹脂組成物は公知の添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、湿潤・分散剤、増粘剤、消泡剤等を挙げることができる。湿潤・分散剤としては、例えば、アニオン性化合物(硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩等)、カチオン性化合物(脂肪族アミン塩等)等を挙げることができる。増粘剤としては、例えば、水溶性高分子(セルロース等)、アルギン酸、粘土鉱物(シリカ、層状ケイ酸塩等)等を挙げることができる。消泡剤としては、ミネラルオイル、シリコン系消泡剤等を挙げることができる。
本実施形態の四軸組布5を構成する各糸条の屈折率、不織布の屈折率、及び、透明樹脂組成物の屈折率から任意に選択された2つの屈折率の差は、複合物越しの視認性を確保するために、0.05以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましく、0.01以下であることがさらに好ましい。屈折率調整の観点からは、四軸組布5を構成する各糸条は同一の屈折率を備えることが好ましく、本実施形態の四軸組布5を構成する糸条の屈折率と不織布の屈折率との差は、0.05以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましく、0.01以下であることがさらに好ましい。なお、四軸組布5を構成する各糸条及び不織布の屈折率は、これらの糸条又は不織布を構成する繊維の屈折率を、JIS K 7142に準拠した液浸法(ベッケ線法)により測定することで求めることができる。
なお、本実施形態の積層物と、透明でない樹脂組成物とを複合化させることも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
第1のマルチフィラメント糸条1、第2のマルチフィラメント糸条2、第1の斜交マルチフィラメント糸条3、第2の斜交マルチフィラメント糸条4として、フィラメント径13μmのフィラメントが800本集束されてなる、280texのEガラス繊維組成を備える糸を用いた。また、各糸条の交点を結合させる接着剤として、繊維状ポリアミド樹脂(ユニチカ株式会社製フロールM(商品名))を用いた。
不織布として、15g/mのポリエステル繊維製不織布(ユニチカ株式会社製マリックス70150WTO(商品名);表1中、PEsと表記する)、及び、15g/mのポリエステル/ポリエチレン繊維製混合不織布(ユニチカ株式会社製エルベスT0153WDO(商品名);表1中、PEs/PEと表記する)を用いた。
第1のマルチフィラメント糸条1における、第1の糸間隔d1、第2の糸間隔d2及び糸は幅bが表1に示されるようにして実施例1~2、比較例1~4及び参考例1の四軸組布5を作成した。次いで、熱ラミネート(温度条件135~165℃、プレスロール圧0.18~0.2N/mm2)により、実施例1~2及び比較例1~4の四軸組布5に、PEs不織布又はPEs/PE不織布を積層することで実施例1~2及び比較例1~4の積層物を得た。
なお、実施例1~2、比較例1~4及び参考例1において、第2のマルチフィラメント糸条2の糸間隔は6.0mm、糸幅は2.5mmであった。第1の斜交マルチフィラメント糸条3の糸間隔は8.0mm、糸幅は2.5mmであり、第1のマルチフィラメント糸条1と第1の斜交マルチフィラメント糸条3とのなす角度は45°であった。第2の斜交マルチフィラメント糸条4の糸間隔は8.0mm、糸幅は2.5mmであり、第1のマルチフィラメント糸条1と第2の斜交マルチフィラメント糸条4とのなす角度は45°であった。
実施例1~2、比較例1~4及び参考例1の四軸組布5について、JIS R 3420に準拠して引張強度を測定した。引張強度が15kN/m以上の場合に「○」、15kN/m未満の場合に「×」とした。結果を表1に示す。
実施例1~2及び比較例1~4の積層物並びに参考例1の四軸組布5について、ハンドレイアップ法により透明樹脂組成物(アクリルウレタン樹脂)を塗布した際の施工性を評価した。目のほつれが発生しなかった場合に「○」、目のほつれが発生した場合に「×」とした。結果を表1に示す。
実施例1~2及び比較例1~4の積層物並びに参考例1の四軸組布5について、ハンドレイアップ法により透明樹脂組成物(アクリルウレタン樹脂)を塗布した際の樹脂含浸性を評価した。樹脂含浸不足によるガラス繊維の白化が発生しない場合に「○」、樹脂含浸不足によるガラス繊維の白化が発生した場合に「×」とした。結果を表1に示す。
実施例1~2及び比較例1~4の積層物並びに参考例1の四軸組布5について、ハンドレイアップ法により透明樹脂組成物(アクリルウレタン樹脂)を塗布して複合物を得て、当該複合物を用いて視認テストを行うことで複合物越しの視認性を評価した。視認テストは、3m簡易式視力表に使用される視力0.1のランドルド環(外径45mm)を指標体とし、指標体から50mm離れた位置に前記複合物を設置し、前記複合物から500mm離れた場所から前記複合物越しに指標体を目視することにより実施した。視力0.6~1.2の観察者5名で指標体を目視した際に、3人以上の観察者が指標体の開口位置が確認できた場合に「○」、指標体の開口位置を確認できた観察者が3人未満の場合に「×」とした。結果を表1に示す。
Figure 0007035911000001
表1から、第1のマルチフィラメント糸条1において、第1の糸間隔d1に対する前記第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が、1.5~8.0の範囲にあり、前記第1のマルチフィラメント糸条1の糸幅bに対する前記第1の糸間隔d1の比(d1/b)が、1.0~4.0の範囲にある実施例1~2の四軸組布5又は積層物によれば、四軸組布5における軸方向の優れた引張強度、四軸組布5と不織布との積層物における優れた施工性及び樹脂含浸性及び、前記積層物と透明樹脂組成物との複合物における優れた複合物越しの視認性を実現可能なことが明らかである。
また、表1から、第1の糸間隔d1に対する第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が1.5未満である、比較例1の積層物では、当該積層物と透明樹脂組成物との複合物における優れた複合物越しの視認性を実現できないことが明らかである。
また、表1から、第1の糸間隔d1に対する第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が8.0超である、比較例2の四軸組布5では、十分な引張強度が得られないことが明らかである。
また、表1から、第1のマルチフィラメント糸条1の糸幅bに対する第1の糸間隔d1の比(d1/b)が1.0未満である、比較例3の積層物では、十分な樹脂含浸性が得られないことが明らかである。
また、表1から、第1のマルチフィラメント糸条1の糸幅bに対する第1の糸間隔d1の比(d1/b)が4.0超である、比較例4の四軸組布5では、十分な引張強度が得られないことが明らかである。
なお、表1中比較例1と参考例1との対比より、四軸組布5と不織布とが積層されることで、積層物の施工性が向上するが、複合物越しの視認性が悪化することが明らかである。
1…第1のマルチフィラメント糸条、2…第2のマルチフィラメント糸条、3…第1の斜交マルチフィラメント糸条、4…第2の斜交マルチフィラメント糸条、5…四軸組布。

Claims (2)

  1. 並列された複数の第1のマルチフィラメント糸条と、
    前記第1のマルチフィラメント糸条と直交する複数の第2のマルチフィラメント糸条と、
    前記第1のマルチフィラメント糸条と斜交する複数の第1の斜交マルチフィラメント糸条と、
    前記第1の斜交マルチフィラメント糸条と反対方向から前記第1のマルチフィラメント糸条に斜交する複数の第2の斜交マルチフィラメント糸条と、を備える、四軸組布であって、
    前記複数の第1のマルチフィラメント糸条において、糸間隔は、第1の糸間隔d1と、前記第1の糸間隔d1より広い第2の糸間隔d2とが交互に繰り返されており、
    前記第1の糸間隔d1に対する前記第2の糸間隔d2の比(d2/d1)が、2.4~3.0の範囲にあり、
    前記第1のマルチフィラメント糸条の糸幅bに対する前記第1の糸間隔d1の比(d1/b)が、1.0~1.4の範囲にあり、
    前記四軸組布の、前記第1のマルチフィラメント糸条の走行方向の中心部において、前記第2のマルチフィラメント糸条の糸間隔が均等であることを特徴とする、四軸組布。
  2. 請求項1記載の四軸組布において、前記四軸組布の少なくとも一方の面に不織布を備えることを特徴とする、積層物。
JP2018162609A 2018-08-31 2018-08-31 四軸組布及び積層物 Active JP7035911B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018162609A JP7035911B2 (ja) 2018-08-31 2018-08-31 四軸組布及び積層物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018162609A JP7035911B2 (ja) 2018-08-31 2018-08-31 四軸組布及び積層物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020033799A JP2020033799A (ja) 2020-03-05
JP7035911B2 true JP7035911B2 (ja) 2022-03-15

Family

ID=69667395

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018162609A Active JP7035911B2 (ja) 2018-08-31 2018-08-31 四軸組布及び積層物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7035911B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113863707B (zh) * 2021-10-08 2022-09-30 合肥双诺建筑结构工程有限公司 一种采用碳纤维布加固的钢筋混凝土梁及加固方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001329511A (ja) 2000-05-19 2001-11-30 Toho Earthtech Inc コンクリート構造体およびその補強方法
JP2003027483A (ja) 2001-07-13 2003-01-29 Polymer Processing Res Inst 多軸積層不織布からなるジオグリッドおよびその製法
JP2003336158A (ja) 2002-03-11 2003-11-28 Maeda Kosen Co Ltd 溶着補強用繊維シート
WO2005095701A1 (ja) 2004-03-30 2005-10-13 Ube Nitto Kasei Co., Ltd. 不織布の製造方法及び不織布
JP2016003423A (ja) 2014-06-19 2016-01-12 ダイオ化成株式会社 ネット状資材

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001329511A (ja) 2000-05-19 2001-11-30 Toho Earthtech Inc コンクリート構造体およびその補強方法
JP2003027483A (ja) 2001-07-13 2003-01-29 Polymer Processing Res Inst 多軸積層不織布からなるジオグリッドおよびその製法
JP2003336158A (ja) 2002-03-11 2003-11-28 Maeda Kosen Co Ltd 溶着補強用繊維シート
WO2005095701A1 (ja) 2004-03-30 2005-10-13 Ube Nitto Kasei Co., Ltd. 不織布の製造方法及び不織布
JP2016003423A (ja) 2014-06-19 2016-01-12 ダイオ化成株式会社 ネット状資材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020033799A (ja) 2020-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4897621B2 (ja) コンクリート構造物の補修・補強用繊維強化樹脂シート及びその製造方法
CN106988022A (zh) 一种无纺布
JP7035911B2 (ja) 四軸組布及び積層物
US6524980B1 (en) Roofing membranes using composite reinforcement constructions
ES2870850T3 (es) Malla aleatoria y método de producción para la misma y material moldeado de resina reforzada con fibra que usa la malla aleatoria
EP3190307B1 (en) Energy-absorbing member
US20060154020A1 (en) Nonwoven base fabric for reinforcing
JP7010222B2 (ja) メッシュ及びコンクリート剥落防止材
CN104972670B (zh) 一种三维整体复合材料及制作方法
US6796115B1 (en) Needle punched yarns
JP6843394B2 (ja) 強靱糸、耐切創性を備えた編織物及び手袋
JP2019119458A (ja) 結束テープ
MXPA03006350A (es) Metodo de hilos troquelados con aguja.
JP4667069B2 (ja) 炭素繊維シート
JP2003105975A (ja) 補強シート及び補強方法
JP2023019668A (ja) 補強用メッシュの製造方法及び補強用メッシュ巻回体
JP7410406B2 (ja) 接着性多軸不織布及びタイルユニット
CN214727000U (zh) 一种动物皮革纤维缠绕基布及皮革
CN207062516U (zh) 一种无纺布
JP7238391B2 (ja) 繊維シート積層体の製造方法、繊維シート積層体、及びコンクリート剥落防止材
JP2004249507A (ja) 強化繊維シート
JP2016223054A (ja) 耐切創性を備えた糸、編織物及び手袋
JP2019010792A (ja) メッシュシート積層体及びコンクリート剥落防止材
JP4355101B2 (ja) 多軸繊維シート及びそれを基材とした樹脂複合材料
JP6855768B2 (ja) メッシュ積層体及びコンクリート剥落防止材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7035911

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150