JP7035863B2 - 機械部品の破断分割方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機械部品の破断分割方法に関し、例えば内燃機関におけるコネクティングロッドの大端部をロッド部とキャップ部とに破断して分割する場合等のような機械部品の破断分割方法に関する。
コネクティングロッドの大端部をロッド部とキャップ部とに破断して分割する方法は、コンロッドクラッキング技術とも称されていて、コネクティングロッドの加工に多用されている。この方法は、大端部に形成された軸穴の内周面あるいは軸穴に隣接するボルト穴の内周面に、破断開始部として機能するV溝状のノッチ部をレーザ加工あるいは機械加工等により予め形成しておき、そのノッチ部の先端に応力を集中させるような拡径外力を負荷することで亀裂(クラック)を発生させて破断させる工法である。
そして、上記軸穴の内周面を含む大端部の外周面にノッチ部を予め形成する方法が特許文献1に、上記ボルト穴の内周面にノッチ部を予め形成する方法が特許文献2に、それぞれ開示されている。
特許第4171658号公報 国際公開第2012/101748号
しかしながら、特許文献1,2に代表されるような従来の破断分割方法では、予め形成されているノッチ部を起点として亀裂が発生して、ある程度はノッチ部の深さ方向に破断が進行することにはなるものの、一旦破断が開始されてしまうとその後の破断進行方向は積極的にはコントロールすることができない。
そのため、例えばボルト穴の一部がねじ穴(めねじ部)となっているような場合には、ねじ穴にまで破断面が及んでしまい、ねじ山あるいは谷部の一部が破損してしまうことがあり、事後的なボルト締結に際して支障をきたすなど、なおも改善の余地が残されている。
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、破断面の進行方向そのものを積極的にコントロールできるようにした機械部品の破断分割方法を提供するものである。
本発明は、厚み方向に貫通する軸穴が形成されている機械部品を上記軸穴の両側の破断面から破断して二つの半割り部品に分割する際に、上記機械部品の上記破断面に相当する位置に、当該破断面に沿って微細直径の複数のリード穴を予め形成しておくとともに、少なくとも上記軸穴の内周面のうち直径方向で互いに対向する位置に、破断開始部となるノッチ部を予め形成しておく方法とした。
本発明によれば、破断面に相当する位置に複数のリード穴が予め形成されていて、亀裂の進行に基づく破断面は、複数のリード穴に沿ってそれらに誘導されるかたちで進行することになるので、リード穴の位置の選定によって破断面進行方向を積極的にコントロールすることができるようになる。そのため、予め予定していた位置に破断面を発生させることができ、破断面のずれや一部の欠けによる二次的不具合を未然に防止することができる。
本発明に係る機械部品の破断分割方法を実施するためのより具体的な第1の実施の形態を示し、一例として本発明方法によって製造された部品がリンク部材として採用されている複リンク式ピストンクランク機構を備えた内燃機関の概略説明図。 図1に示したロアリンク単独での斜視図。 図2に示したロアリンクの垂直断面図。 図3に示したロアリンクが二分割される前のロアリンク素材の拡大断面図。 図4のA部の拡大図。 図4に示したロアリンク素材を破断により二分割するための工法を示し、(a)は図4に示したロアリンク素材の概略的な斜視図、(b)はロアリンク素材の正面図、(c)は図4の一方の破断面を上方から見た平面図。 本発明に係る機械部品の破断分割方法を実施するための第2の実施の形態として、図4に示したロアリンク素材を破断により二分割するための工法を示し、(a)は図4に示したロアリンク素材の概略的な斜視図、(b)はロアリンク素材の正面図、(c)は図4の一方の破断面を上方から見た平面図。 本発明に係る機械部品の破断分割方法を実施するための第3の実施の形態を示し、図4に示したロアリンク素材を破断により二分割するための工法を示す説明図。
図1~6は本発明に係る機械部品の破断分割方法を実施するためのより具体的な第1の実施の形態を示し、特に図1は、一例として本発明方法によって製造された部品がリンク部材として採用されている複リンク式ピストンクランク機構を備えた内燃機関の概略を示している。
図1に示すように、複リンク式ピストンクランク機構自体は公知のものであり、ピストン1にピストンピン2を介して一端が連結されたアッパリンク3と、このアッパリンク3の他端にアッパピン4を介して連結され、且つクランクシャフト5のクランクピン6に連結されたロアリンク7と、このロアリンク7の自由度を規制するコントロールリンク8と、を備えている。
コントロールリンク8は、一端がコントロールシャフト9の偏心軸部9aに揺動可能に支持され、他端がロアリンク7にコントロールピン10を介して連結されている。なお、図1の11はシリンダブロック、12はシリンダである。
図2は図1に示したロアリンク7単独での斜視図を示し、図3は図2に示したロアリンク7の垂直断面図を示している。図2,3に示すように、ロアリンク7は、クランクピン6に嵌合する円筒状のクランクピン軸受部13を中央に有し、且つこのクランクピン軸受部13を挟んで互いにほぼ180°反対側となる位置に、アッパピン用ピンボス部14およびコントロールピン用ピンボス部15がそれぞれに設けられている。
このロアリンク7は、全体として、菱形に近い平行四辺形の厚板状をなしており、クランクピン軸受部13の直径の延長線方向に延びる分割面16,17において、アッパピン用ピンボス部14を含むロアリンクアッパ7Aと、コントロールピン用ピンボス部15を含むロアリンクロア7Bと、の二部品に分割して形成されている。これらのロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bは、クランクピン軸受部13をクランクピン6に嵌め込んだ上で、互いに逆向きに挿入される一対のボルト18,19によって互いに締結されている。
なお、ロアリンクアッパ7Aはアッパピン4で軸支持されたアッパリンク3を受容し、ロアリンクロア7Bはコントロールピン10で軸支持されたコントロールリンク8を受容することになる。そのため、ロアリンクアッパ7Aは上面が開放された断面コ字状(二股状またはクレビス状)のものとして形成されていると共に、ロアリンクロア7Bは下面が開放された断面コ字状(二股状またはクレビス状)のものとして形成されている。また、図1に示したコントロールリンク8も、ロアリンク7あるいは既存のコネクティングロッドと同様に、大端部においてリンク本体8aとキャップ部8bとの二分割されていて、ボルト8cにより締結されている。
このような構造のロアリンク7は、例えば調質鋼等を用いて、ロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとが一体となった一部品として熱間鍛造により製造され、穴明け等の必要な機械加工が施された後に、後述する手法により分割面16,17から破断分割されて、互いに対をなすロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに仕上げられることになる。
以上の説明から明らかなように、上記ロアリンク7が本願発明での厚板状の機械部品に相当し、ロアリンク7が二分割されたことによって形成されたロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとが、本願発明での半割り部品にそれぞれ相当している。同様に、上記クランクピン軸受部13が本願発明での軸穴に相当している。
ここで、図3に示すように、ロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bは、クランクピン軸受部13の両側において、互いに逆向きの二本のボルト18,19、すなわちロアリンクアッパ7A側から挿入されるボルト18と、ロアリンクロア7B側から挿入されるボルト19とで、互いに締結固定されることになる。
各ボルト18,19が挿入される部分には、ロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに跨るかたちで、それぞれにボルト穴20,21が貫通形成されている。そして、これらのボルト穴20,21のうち、分割面16,17よりもボルト18,19の頭部18a,19a側の部分が貫通穴20a,21aとされているのに対して、分割面16,17をはさんでボルト18,19の頭部18a,19aとは反対側の部分がねじ穴(めねじ部)20b,21bとされている。これらの貫通穴20a,21aとねじ穴20b,21bとからなる各ボルト穴20,21は、分割面16,17からロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに破断分割される前に、上記機械加工の一環として加工が施される。
ここでは、図2から明らかなように、クランクピン軸受部13の両側の分割面16,17は、クランクピン軸受部13の中心を通る仮想平面Q1上にはなく、その仮想平面Q1からそれぞれオフセット量αだけ互いに逆方向にオフセットしている。そのため、双方の分割面16,17同士の関係だけに着目するならば、両者はオフセット量α×2に相当する段差を有する段付き形状となっている。この段差は、各ボルト穴20,21のうち各ねじ穴(めねじ部)20b,21bの始端部を分割面16,17から意図的にオフセットさせるために設定される。この点については後述する。
図4は、図3に示したロアリンク7がロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに二分割される前の状態を拡大して示していて、図3に示したボルト18,19は装着されていない。ただし、ロアリンク7として最低限必要な機械加工は完了しているものとする。
ここでは、ロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに分割するいわゆるクラッキング工法に特徴があるので、ロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに分割される前の両者が一体となった部材をロアリンク素材27と称するものとする。同様に、図2,3の分割面16,17に相当する部分は、後述するように亀裂の進行による破断によって形成されるものであるので、図4および以下の説明では、図2,3の分割面16,17となるべき部分を破断面16a,17aと称するものとする。
図4に示すロアリンク素材27は、図2に基づいて先に説明したように、クランクピン軸受部13の中心を通る仮想平面Q1を想定した場合に、クランクピン軸受部13の両側の破断面16a,17aは上記仮想平面Q1上にはなく、当該仮想平面Q1からそれぞれオフセット量αだけオフセットした位置に当該仮想平面Q1と平行に設定される。すなわち、仮想平面Q1を基準とした場合に、一方の破断面16aと他方の破断面17aとは、オフセット量αだけ互いに逆向きにオフセットした位置に設定されていて、それぞれのオフセット量αの総和(オフセット量α×2)が、双方の破断面16a,17a同士の段差となっている。
図6は図4に示したロアリンク素材27を破断により二分割するための工法を示していて、同図(a)は図4に示したロアリンク素材27の概略的な斜視図を示し、同図(b)はロアリンク素材27の正面図を示している。さらに、同図(c)は図4の一方の破断面16aを上方から見た平面図を示している。
図4に示したロアリンク素材27では、同図のA部を拡大した図5に示すように、クランクピン軸受部13の内周面のうち仮想平面Q1上において互いに対向する位置、すなわちクランクピン軸受部13の内周面の直径方向で対向する位置に、微細なノッチ部22が予め形成されている。このノッチ部22は、破断時において、亀裂発生による破断開始部となるもので、例えばレーザ加工あるいは機械加工によりV溝状のものとして形成され、ロアリンク素材27の板厚方向に沿って形成される。このノッチ部22は必ずしもV溝状のものである必要はなく、例えば長U字溝状のものであっても良い。
さらに、図6の(a),(b)に示すように、ロアリンク素材27のうち、クランクピン軸受部13の両側の破断面16a,17aに相当する位置に、その破断面16a,17aに沿って、直径が微細な複数(図6では四つ)のリード穴23が所定のピッチ、こでは等ピッチで予め形成されている。これらの複数のリード穴23は、後述するように、破断時の亀裂または破断の進行方向を積極的にコントロールするべく、上記進行方向を特定の方向に誘導するために形成される。
複数のリード穴23は、互いに平行であって且つ中心線方向がロアリンク素材27の板厚方向を指向しつつ貫通するように、例えばドリリング等によって形成される。言い換えるならば、ノッチ部22が仮想平面Q1上にあるのに対して、複数のリード穴23は仮想平面Q1からオフセット量αだけオフセットした破断面16a,17a内に形成され、それぞれのリード穴23も仮想平面Q1には及ばないように設定されている。すなわち、クランクピン軸受部13の両側の破断面16a,17aのうち、一方の破断面16aに相当する位置に形成された複数のリード穴23の中心線を通る平面と、他方の破断面17aに相当する位置に形成された複数のリード穴23の中心線を通る平面とが、クランクピン軸受部13の内周面で対向するノッチ部22同士を結んだ仮想平面Q1に対して、互いに逆方向にオフセットしている。
このようなノッチ部22と複数のリード穴23が形成されたロアリンク素材27について、仮想平面Q1とは直交する方向に、クランクピン軸受部13の内周側から当該クランクピン軸受部13を拡径させるような拡径力Fを負荷するものとする。その結果、ロアリンク素材27は、ノッチ部22での亀裂発生を契機として、予め複数のリード穴23が形成されている破断面16a,17aに沿って破断して、図2,3に示したロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bに二分割される。拡径力Fを負荷する手段としては、拡縮径可能な図示外のマンドレルをクランクピン軸受部13に挿入するものとし、例えば特開2006-315098号公報や特開2010-196882号公報に開示されているものと同等のものを使用することができる。
図6の(c)は、一方の破断面16aでの破断の進行状態を示している。同図の(b),(c)に示すように、拡径力Fを負荷されたロアリンク素材27では、仮想平面Q1上のノッチ部22を破断開始部として亀裂が発生し、その亀裂はノッチ部22が形成されたクランクピン軸受部13の内周面から遠ざかる方向に破断面16aに沿って進行する。
この場合、ノッチ部22が設定されている仮想平面Q1と、複数のリード穴23が形成されている破断面16aとは、図4に示したオフセット量αだけオフセットしている。そのため、図6の(b)に示すように、ノッチ部22を破断開始部とする亀裂は、最初にノッチ部22から複数のリード穴23のうちでもクランクピン軸受部13の内周面に最も近いリード穴23に向かって斜めに進行する。以降は、クランクピン軸受部13の内周面に最も近いリード穴23に達した亀裂は、破断面16aに沿って順次隣のリード穴23に向かって進行する。
ここでは、理解を容易にするために、図6の(c)に関するかぎりにおいて、複数のリード穴23のうちクランクピン軸受部13に近いものから順に23a~23dの符号を付している。そのため、ノッチ部22を破断開始部として発生した亀裂による破断は、同図に矢印P1で示す方向に、リード穴23a~23dの順に進行することになる。このような挙動は、もう一方の破断面17aにおいてもほぼ同時に進行する。
この破断面16aでの破断の進行を微視的に見た場合、ノッチ部22で発生した亀裂は、最初にクランクピン軸受部13の内周面に最も近いリード穴23aの手前の穴以外に部位に及び、それに続いて、亀裂はクランクピン軸受部13の内周面に最も近いリード穴23aに及ぶようになる。亀裂がクランクピン軸受部13の内周面に最も近いリード穴23aに及ぶと、そのリード穴23aで亀裂の連続性は一旦断たれることになる。
この状態でも、ロアリンク素材27にはなおも拡径力Fが負荷されているので、クランクピン軸受部13の内周面に最も近いリード穴23aの内周面を破断開始部として亀裂が発生して、そのリード穴23aの後方側に隣接している穴以外の部位に亀裂が発生するようになり、その亀裂は次のリード穴23bに及ぶようになる。このような挙動は、最終のリード穴23dを通過するまで繰り返される。
つまり、図6の(c)の例では、穴領域以外の領域で発生した亀裂がリード穴23aに及ぶことで亀裂の連続性が一旦は断たれるものの、再びそのリード穴23aを破断開始部として穴領域以外の隣接する領域で亀裂が発生するようになり、このような断続的な破断がリード穴23b~23dの順に破断面16aの全域で繰り返されることになる。そして、最終的には、破断面16aのほか、もう一方の破断面17aから、図2,3に示したロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに分割される。
このように、ノッチ部22が設定されている仮想平面Q1からオフセット量αだけオフセットしている位置に破断面16a,17aを設定し、その破断面16a,17aに複数のリード穴23(23a~23d)を予め形成してあるので、仮想平面Q1上のノッチ部22での亀裂発生を破断開始部としつつも、その仮想平面Q1からオフセットしている破断面16a,17aに沿って破断を進行させることができる。
そのため、図4に示すように、破断面16a,17aにボルト穴20,21が開口してはいても、破断面16a,17aが及んでいるのは貫通穴20a,21aであって、ねじ穴(めねじ部)20b,21bには破断面16a,17aが及んでいない。その結果、破断面16a,17aでの破断によってねじ穴(めねじ部)20b,21bのねじ山や谷部に欠損等が発生することがなく、以降のボルト穴20,21へのボルト締結に際して、締め込み不良等の二次的不都合の発生を未然に防止することができる。
図7は本発明に係る機械部品の破断分割方法の第2の実施の形態を示していて、同図の(a)~(c)は図6の(a)~(c)と同じ状態を示している。そして、図6と共通する部分には同一符合を付してある。
この第2の実施の形態では、ロアリンク素材27の破断面16a,17aに相当する位置に予め形成される複数のリード穴24のそれぞれの中心線方向が、図6のものとは90°異なっている点で相違している。
図4のほか図7の(a),(b)に示すように、クランクピン軸受部13の両側の破断面16a,17aに相当する位置に、その破断面16a,17aに沿って、直径が微細な複数(図7では三つ)のリード穴24が所定のピッチで、ここでは等ピッチで予め形成されている。これらの複数のリード穴24は、後述するように、破断時の亀裂の進行方向または破断進行方向を積極的にコントロールするべく、上記進行方向を特定の方向に誘導するために形成される。これらの複数のリード穴24は、互いに平行であって且つ中心線方向が破断面16a,17aに沿った破断進行方向を指向するように、例えばドリリング等によって形成される。
すなわち、先の第1の実施の形態と同様に、クランクピン軸受部13の内周面のノッチ部22を破断開始部として当該内周面から遠ざかる方向に破断面16a,17aに沿って破断が進行する場合に、ロアリンク素材27の破断面16a,17aでの破断進行方向と平行に、複数のリード穴24が形成される。なお、図4に示すように、ノッチ部22が仮想平面Q1上にあるのに対して、複数のリード穴24は仮想平面Q1からオフセット量量αだけオフセットした破断面16a,17a内に形成される点は図6の第1の実施の形態と同様である。
図7の(c)は、一方の破断面16aでの破断の進行状態を示している。同図の(b),(c)に示すように、この例では、ロアリンク素材27の厚みを二分する仮想中心線Q2上にボルト穴20が設定されていると共に、上記仮想中心線Q2を対称中心として三つのリード穴24が左右対称に形成されている。
ここでは、図7の(c)に関するかぎりにおいて、三つのリード穴24の配列のうち、配列の両側のものを24aとし、真ん中のものを24bとしている。それ故に、真ん中に位置するリード穴24bは上記仮想中心線Q2上に位置している。そして、配列の両側に位置するリード穴24aは、クランクピン軸受部13に対して非貫通となっている。同時に、真ん中に位置するリード穴24bは、ボルト穴20のうち貫通穴20aに対して貫通してはいても、そのボルト穴20よりも破断進行方向後方側にのみ形成されている。また、いずれのリード穴24a,24bも図4の仮想平面Q1には及んでいない点は、先の第1の実施の形態と同様である。
クランクピン軸受部13の両側の破断面16a,17aでの破断に際しての拡径力Fの負荷方法は、先の第1の実施の形態と同様である。図7の(b),(c)に示すように、拡径力Fを負荷されたロアリンク素材27では、仮想平面Q1上のノッチ部22を破断開始部として亀裂が発生し、その亀裂はクランクピン軸受部13の内周面から遠ざかる方向に破断面16aに沿って進行する。
この場合、ノッチ部22が設定されている仮想平面Q1と、複数のリード穴24a,24bが形成されている破断面16a,17aとは、図4に示したオフセット量αだけオフセットしている。そのため、ノッチ部22を破断開始部とする亀裂は、最初にノッチ部22から複数のリード穴24a,24bのうちでも深さの大きな両側のリード穴24aの最深部に向かって斜めに進行する。
以降は、その亀裂は、破断面16a上にある両側の二つのリード穴24aに沿ってノッチ部22から遠ざかる方向に進行し、ボルト穴20のうち貫通穴20aの部分に及ぶようになると共に、やがてはその貫通穴20aにまで貫通している真ん中のリード穴24bの最深部にも及ぶようになる。結果として、図7の(c)に矢印P2,P3で示す方向に亀裂進行に伴う破断が進行することになる。このような挙動は、もう一方の破断面17aにおいてもほぼ同時に進行する。そして、最終的には、三つのリード穴24a,24bの末端まで亀裂進行に伴う破断が進行し、破断面16aのほか、もう一方の破断面17aから、図2,3に示したロアリンクアッパ7Aとロアリンクロア7Bとに分割されることになる。
このように、ノッチ部22が設定されている仮想平面Q1からオフセット量αだけオフセットしている位置に破断面16a,17aを設定し、その破断面16a,17aに、中心線方向が破断進行方向を指向する複数のリード穴24(24a,24b)を予め形成してあるので、仮想平面Q1上のノッチ部22での亀裂発生を破断開始部としつつも、その仮想平面Q1からオフセットしている破断面16a,17aに沿って破断を進行させることができる。
そのため、破断面16a,17aにボルト穴20,21が開口してはいても、破断面16a,17aが及んでいるのは貫通穴20a,21aであって、ねじ穴(めねじ部)20b,21bには破断面16a,17aが及んでいない。その結果、先の第1の実施と同様に、破断面16a,17aでの破断によってねじ穴(めねじ部)20b,21bのねじ山や谷部に欠損等が発生することがなく、以降のボルト穴20,21へのボルト締結に際して、締め込み不良等の二次的不都合の発生を未然に防止することができる。
また、複数のリード穴24(24a,24b)は、仮想中心線Q2を対称中心として左右対称に形成されているので、破断面16a,17aでの破断進行方向に沿って安定して破断が進行することになる。
しかも、真ん中のリード穴24bは仮想中心線Q2上に位置していると共に、ボルト穴20,21よりも破断進行方向後方側にのみ形成されている。そのため、図7の(c)に示すように、ボルト穴20,21を挟んでロアリンク素材27の厚み方向両側から矢印P3の方向をもって進行してきた亀裂が、破断進行過程の末期において中央のリード穴24bにて合流するかたちとなる。このように、中央のリード穴24bが矢印P3で示す左右からの亀裂の合流部として機能することで、破断末期の亀裂合流部での段差の発生や、局部的な欠損の発生を未然に防止することができる。
さらに、先にも述べたように、複数のリード穴24はクランクピン軸受部13に対しては貫通していないので、例えば破断完了後にクランクピン軸受部13の仕上げ切削加工を行う場合に、複数のリード穴24がクランクピン軸受部13に貫通している場合のようないわゆる断続切削となることがない。そのため、クランクピン軸受部13の内周面での「ばり」の発生や、仕上げ面の「むら」の発生を未然に防止することができる。
加えて、図6に示した第1の実施の形態では、複数のリード穴23の中心線方向が破断面16a,17aでの破断進行方向と直交しているので、ノッチ部22を破断開始部とする亀裂の進行が断続的なものとなることは先に述べた通りである。これに対して、図7に示した第2の実施の形態では、複数のリード穴24の中心線方向が破断進行方向に一致しているので、亀裂の進行が断続的なものとなることはなく、亀裂の進行は複数のリード穴24の中心線方向に沿った連続したものとなる。そのため、第1の実施の形態に比べて、第2の実施の形態の方が亀裂発生に必要な応力は低くなり、結果として、破断面16a,17aでの破断に必要な拡径力Fも小さくて済むことになる。
その一方、先に述べた第1の実施の形態では、図6に示すように、複数のリード穴23が破断面16a,17aの全幅に及んでいるので、第2の実施の形態に比べて、亀裂発生に基づく破断面16a,17aでの破断進行方向のコントロール性が良く、破断進行方向の誘導性に着目した場合には、第1の実施の形態の方が有利となる。
図8は本発明に係る機械部品の破断分割方法の第3の実施の形態を示す図で、図6,7の(a)と共通する部分には同一符合を付してある。
図8に示す第3の実施の形態では、ロアリンク素材27に予め形成される複数のリード穴23,24の配置形態として、第2の実施の形態における三つのリード穴24に加えて、第1の実施の形態における単一のリード穴23を付加したものである。より具体的には、中心線方向が図4の破断面16a,17aでの破断進行方向を指向する三つのリード穴24の配置形態は図7の(a)に示したものと全く同一である。その一方、中心線方向がロアリンク素材27の厚み方向を指向するものについては、図6の(a)に示した三つのリード穴23のうち、クランクピン軸受部13の最も近いもののみを単独で付加している。
中心線方向が破断進行方向を指向する三つのリード穴24も、中心線方向がロアリンク素材27の厚み方向を指向する単一のリード穴23も、仮想平面Q1からオフセット量αだけオフセットした同じ破断面16a,17a上に形成されるので、結果として、単一のリード穴23は他の三つのリード穴24と交差することになる。
したがって、この第3の実施の形態では、第1の実施の形態における破断進行方向の誘導性の良さと、第2の実施の形態における破断進行時の発生応力低減化とを両立できるようになる。特に、中心線方向が破断進行方向を指向する三つのリード穴24に加えて、中心線方向がロアリンク素材27の厚み方向を指向する単一のリード穴23がクランクピン軸受部13の近くに付加されていることで、ノッチ部22を契機とした亀裂発生直後の破断面16a,17aの進行方向の誘導性に優れたものとなる。
ここで、上記第1~第3の実施の形態におけるリード穴23,24の数は一例にすぎず、例えばロアリンク素材27の大きさ等を考慮して、任意に設定することが可能である。
また、上記各実施の形態では、図1に示した複リンク式ピストンクランク機構のロアリンク7を例にとって説明したが、同図のコントロールリンク8の大端部において、リンク本体8aとキャップ部8bとに破断する場合においても本発明を適用することができる。さらに、本発明は、図1に示した複リンク式ピストンクランク機構のロアリンク7やコントロールリンク8に限らず、一般的なコネクティングロッドのほか、同種の機械部品の破断にも当然に適用することができる。加えて、対称となる機械部品は必ずしも鍛造品である必要はなく、例えば鋳造品や焼結部品、さらにはチタン合金等の部品であっても良い。
7…ロアリンク(機械部品)
7A…ロアリンクアッパ(半割り部品)
7B…ロアリンクロア(半割り部品)
13…クランクピン軸受部(軸穴)
16a…破断面
17a…破断面
20…ボルト穴(穴部)
21…ボルト穴(穴部)
22…ノッチ部
23,23a,23b,23c,23d…リード穴
24,24a,24b…リード穴
27…ロアリンク素材
Q1…仮想平面
Q2…仮想中心線

Claims (10)

  1. 厚板状の機械部品に厚み方向に貫通する軸穴が形成されていて、上記機械部品を上記軸穴の両側の破断面から破断して二つの半割り部品に分割する方法であって、
    上記機械部品のうち上記破断面に相当する位置に、当該破断面に沿って微細直径の複数のリード穴を予め形成しておく機械部品の破断分割方法において、
    少なくとも上記軸穴の内周面のうち直径方向で互いに対向する位置に、破断開始部となるノッチ部を予め形成しておくことを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  2. 請求項に記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記軸穴の両側の破断面のうち、一方の破断面に相当する位置に形成された上記複数のリード穴の中心線を通る平面と、他方の破断面に相当する位置に形成された上記複数のリード穴の中心線を通る平面とが、上記軸穴の内周面で対向する上記ノッチ部同士を結んだ平面に対して互いに逆方向にオフセットしていることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  3. 請求項またはに記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記破断のための加工は、上記軸穴の内周側から上記二つの半割り部品同士が離間する方向に拡径力を負荷するものであり、
    上記複数のリード穴の中心線方向が、上記軸穴の内周面側を上記破断開始部として当該内周面から遠ざかる方向に向かう破断進行方向を指向するように設定されていることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  4. 請求項またはに記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記破断のための加工は、上記軸穴の内周側から上記二つの半割り部品同士が離間する方向に拡径力を負荷するものであり、
    上記複数のリード穴の中心線方向が、上記軸穴の中心線方向と平行となるように設定されていることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  5. 請求項に記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記中心線方向が上記破断進行方向を指向している上記複数のリード穴に加えて、
    上記中心線方向が上記軸穴の中心線方向と平行な少なくとも一つのリード穴を形成しておくことを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  6. 請求項またはに記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記中心線方向が上記破断進行方向を指向している上記複数のリード穴は、上記軸穴に貫通していないものであることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  7. 請求項に記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記中心線方向が上記破断進行方向を指向している上記複数のリード穴は、上記破断進行方向に合致していて且つ上記機械部品の厚みを二分する仮想中心線を対称中心として左右対称に配列されていることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  8. 請求項に記載の機械部品の破断分割方法において、
    中心線方向が上記破断進行方向を指向している上記複数のリード穴は奇数個であることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  9. 請求項に記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記機械部品のうち上記軸穴の両側であって且つ上記仮想中心線上には、中心線方向が上記破断面と略直交する穴部が予め形成さていて、
    上記奇数個のリード穴のうち配列方向の真ん中に位置するリード穴は、上記仮想中心線上であって且つ上記穴部よりも破断進行方向後方側に形成されていることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
  10. 請求項1~のいずれか一つに記載の機械部品の破断分割方法において、
    上記機械部品は、アッパリンクとロアリンクとコントロールリンクとを含む複リンク式ピストンクランク機構を備えた内燃機関のうち上記いずれか一つのリンク部材であることを特徴とする機械部品の破断分割方法。
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