JP7035360B2 - スパンボンド不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、異なる2種類以上のポリオレフィン系樹脂からなる複合繊維で構成されてなり、地合均一性に優れた、特に衛生材料用途に好適なスパンボンド不織布に関するものである。
一般に、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料用の不織布には、肌触り、柔軟性および高い生産性が求められている。低コストで風合いに優れているポリオレフィン系樹脂は、単成分や複合成分からなる繊維として幅広く用いられており、異なる2種類以上のポリオレフィン系樹脂からなる複合繊維、特にポリプロピレン系樹脂を芯成分に配置し、ポリエチレン系樹脂を鞘成分に配置した芯鞘複合繊維については、その優れた柔軟性を利用した様々な用途態様についての検討がなされている。
ポリプロピレン系樹脂を芯成分とし、ポリエチレン系樹脂を鞘成分に配置した芯鞘複合繊維の柔軟性を高めるためには、細径化が効果的であることが知られているものの、生産性が低いこと、また生産性を上げるために高い紡糸速度で延伸することにより糸切れが発生し、安定して生産できないという課題があった。
このような芯鞘複合繊維の紡糸性を高める方法として、様々な提案がなされている。例えば、芯鞘複合繊維の芯成分のポリプロピレンと鞘成分のポリエチレンのそれぞれの重量平均分子量を数平均分子量で除した値を、2.5~4.0および1.5~4.0とすることにより、糸条の強度を高め紡糸性を上げることが提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では確かに強度を高めることにより紡糸性は改善されているものの、比較的メルトフローレートの小さいポリプロピレンおよびポリエチレンを原料として用いているため、糸切れが発生しやすく安定して生産できないという課題があった。
また、鞘成分として、オクテン-1を1~10質量%含有するコポリマーである直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、紡糸性を良好にすることが提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案ではメルトフローレートが5~45g/10分のポリプロピレンおよびポリエチレンを原料として用いており、紡糸性が悪く細い繊維径にできないため地合の均一性に劣るという課題があった。
特開平11-140766号公報 特公平7-103507号公報
そこで本発明の目的は、上記の課題に鑑み、単繊維繊維径が細径ながら紡糸性に優れた、異なる2種類以上のポリオレフィン系樹脂からなる複合繊維で構成され、均一性に優れた、特に衛生材料用途に好適なスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明のスパンボンド不織布は、メルトフローレートが155~850g/10分であるポリプロピレン系樹脂を芯成分とし、メルトフローレートが50~200g/10分であるポリエチレン系樹脂を鞘成分とし、かつ、横断面において、前記芯成分からなる芯部と前記鞘成分からなる鞘部の中心が同一である芯鞘型複合繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、前記複合繊維の単繊維繊維径が6.5~14.5μmであって、前記スパンボンド不織布の、通気量CV値が7%以下であり、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度が100Pa・sec以下であることを特徴とするスパンボンド不織布である。
本発明によれば、単繊維が細径ながら、紡糸安定性に優れかつ高生産性の、異なる2種類以上のポリオレフィン系樹脂からなる複合繊維から構成されてなる、柔軟で滑らかな優れた表面タッチを有するスパンボンド不織布が得られる。また、本発明によれば、前記の特性に加えて、均一性に優れているため、特に衛生材料の製造工程で多用される超音波接着の加工安定性を向上させることができる。
図1は、本発明のスパンボンド不織布を構成する複合繊維の横断面を例示する模式断面図である。 図2は、本発明のスパンボンド不織布を構成する他の複合繊維の横断面を例示する模式断面図である。 図3は、本発明のスパンボンド不織布を構成する他の複合繊維の横断面を例示する模式断面図である。
本発明のスパンボンド不織布は、メルトフローレートが155~850g/10分であるポリプロピレン系樹脂を芯成分とし、メルトフローレートが50~200g/10分であるポリエチレン系樹脂を鞘成分とし、かつ、横断面において、前記芯成分からなる芯部と前記鞘成分からなる鞘部の中心が同一である芯鞘型複合繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、前記複合繊維の単繊維繊維径が6.5~14.5μmであって、前記スパンボンド不織布の、通気量CV値が7%以下であり、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度が100Pa・sec以下であることを特徴とするスパンボンド不織布である。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、炭素数が2~10のポリオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキサン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、およびそれらのモノマーと他のα-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。これらは1種類単独でも、2種類以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、強度が強く、かつ衛生材料の生産時における寸法安定性に優れていることから、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。また、柔軟性が高く風合いに優れることから、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体もしくはエチレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、中密度、高密度および直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと記載する場合がある。)等などが挙げられ、紡糸性が優れているという点で、LLDPEが好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、2種以上の混合物であってもよく、また、エチレンとは異なる分岐成分、例えば、ブテン、ヘキセン、4-メチルペンテン、ヘプテン、およびオクテン等のα-オレフィンを共重合させたポリエチレン系樹脂や、更に熱可塑性エラストマー等を含有する樹脂組成物を用いることもできる。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂の融点は、80~160℃であることが好ましく、より好ましくは100~140℃である。融点を好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融点を160℃以下、より好ましくは140℃以下とすることにより、ポリプロピレン系樹脂と強固に接着しやすくなり糸切れなく紡糸しやすくなる。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、50~200g/10分である。MFRを50~200g/10分、好ましくは60~180g/10分であり、より好ましくは70~150g/10分とすることにより、生産性を高くするために高い紡糸速度で延伸したとしても、粘度が低いため変形に対し容易に追従することができ、安定した紡糸が可能となる。また、高い紡糸速度で延伸することにより、繊維の配向結晶化を進め高い機械強度を有する繊維とすることができる。
ポリエチレン系樹脂のMFRは、ASTM D-1238により、荷重が2160gで、温度が190℃の条件で測定される。
また、本発明のスパンボンド不織布を構成する複合繊維の樹脂として用いられるポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂としては、強度の観点から特にポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、2種以上の混合物であってもよく、また、プロピレンとは異なる分岐成分、例えば、エチレン、ブテン、ヘキセン、4-メチルペンテン、ヘプテン、およびオクテン等のα-オレフィンを共重合させたポリプロピレン系樹脂や熱可塑性エラストマー等を含有する樹脂組成物を用いることもできる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の融点は、80~200℃であることが好ましく、より好ましくは100~180℃である。融点を好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融点を200℃以下、より好ましくは180℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却しやすくなり、繊維同士の融着を抑制し安定した紡糸を行いやすくなる。
本発明のポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと記載する場合がある。)は、155~850g/10分である。MFRを150~850g/10分、好ましくは150~600g/10分、より好ましくは150~400g/10分とすることにより、生産性を高くするために高い紡糸速度で延伸したとしても、粘度が低いため変形に対し容易に追従することができ、安定した紡糸が可能となる。また、高い紡糸速度で延伸することにより、繊維の配向結晶化を進め高い機械強度を有する繊維とすることができる。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、ASTM D-1238により、荷重が2160gで、温度が230℃の条件で測定される。
本発明のスパンボンド不織布の、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度は、上記の理由と同じく、100Pa・sec以下であることが重要である。スパンボンド不織布の複素粘度は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂の種類、および異なる複素粘度の複数種類の樹脂を混合して使用する場合は、複数種類の樹脂を混合する際の質量比率により、調整することができる。
本発明のスパンボンド不織布を構成するポリエチレン系樹脂および異なる種類のポリオレフィン系樹脂からなる繊維の複合繊維は、ポリエチレン系樹脂の質量比率が20~50質量%であることが好ましく、また、異なる種類のポリオレフィン系樹脂の質量比率が50~80質量%であることが好ましい態様である。ポリエチレンの質量比率を好ましくは20~50質量%、より好ましくは25~40質量%とすることにより、十分な接着強度を有し、かつ柔軟な複合繊維とすることができる。また、異なる種類のポリオレフィン系樹脂の質量比率を好ましくは50~80質量%、より好ましくは60~75質量%とすることにより、実用に供し得る強度を有する複合繊維とすることができる。
本発明のスパンボンド不織布を構成する複合繊維は、単繊維繊維径が6.5~14.5μmであることが重要である。単繊維繊維径を6.5~14.5μm、好ましくは7.5~14.5μm、より好ましくは8.4~11.8μmとすることにより、スパンボンド不織布とした際に地合の均一性に優れたスパンボンド不織布を得ることができる。
図1~図3は、本発明のスパンボンド不織布を構成する複合繊維の横断面を例示する模式断面図である。
図1と図2は、芯鞘型複合繊維の断面を示す模式断面図である。図1において、芯部(a)と鞘部(b)の中心は同一であり、図2において、芯部(a)と鞘部(b)の中心は異なる。
具体的に、芯鞘型複合繊維は芯部(a)と鞘部(b)からなり、芯部(a)は、繊維の断面内において芯部(a)とは異なる重合体に少なくとも一部が取り囲まれるように配列され、かつ繊維の長さ方向に延びる部分をいう。また、鞘部(b)は、繊維の断面内において芯部(a)の少なくとも一部を取り囲むように配列され、かつ繊維の長さ方向に延びる部分をいう。偏芯の芯鞘型複合繊維には、芯部(a)の側面が露出した露出型と、芯部(a)の側面が露出していない非露出型が存在する。
図3は、サイドバイサイド型複合繊維の断面を示す模式断面図である。サイドバイサイド型複合繊維は、第1成分(c)と第2成分(d)が貼り合わされた構造である。これらの2成分の接合面は、直線もしくは曲線のいずれでもよく、2成分の粘度特性や吐出量比率によって異なる。複合繊維の横断面は円形であってもよく、楕円形等の異型断面とすることもできる。
本発明のスパンボンド不織布の目付は、10~100g/mであることが好ましい。目付を好ましくは10g/m以上、より好ましくは13g/m以上とすることにより、実用に供し得る機械的強度のスパンボンド不織布を得ることができる。一方、不織布を衛生材料用途で使用する場合には、目付を好ましくは100g/m以下、より好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは30g/m以下とすることにより、衛生材料に適した適度な柔軟性を有するスパンボンド不織布が得られる。
本発明のスパンボンド不織布は、通気量CV値が7%以下であることが重要である。通気量CV値が7%以下、好ましくは5%以下とすることにより、均一性の高いスパンボンド不織布となり、紙おむつ等の製造工程で多用されている超音波接着において、安定して均一な接着が可能となる。一方、CV値が7%より大きい、すなわち地合のムラが大きい不織布の場合には、ムラによる接着不足や過接着による穴あきを発生させることがある。上記のCV値は、単繊維繊維径を細化すること、および紡糸速度を高紡速化することによって調整することができる。
本発明のスパンボンド不織布は、摩擦係数の標準偏差MMDが0.0040~0.0070であることが好ましい態様である。摩擦係数の標準偏差MMDを0.0040~0.0070、より好ましくは0.0055~0.0065とすることにより、不織布表面のざらつきが少なく衛生材料用途として使用した際に表面タッチ性に優れるスパンボンド不織布が得られる。
次に、本発明のスパンボンド不織布を製造する方法について、具体的に説明する。
スパンボンド不織布を製造するためのスパンボンド法は、樹脂を溶融し、紡糸口金から紡糸した後、冷却固化して得られた糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸して、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブ化した後、熱接着する工程を要する製造方法である。
用いられる紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等種々の紡糸口金やエジェクターを採用することができる。なかでも、圧縮エアの使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせを用いることが好ましい態様である。
本発明において、ポリエチレン系樹脂および異なる種類のポリオレフィン系樹脂を溶融し紡糸する際の紡糸温度は、200~270℃であることが好ましく、より好ましくは210~260℃であり、さらに好ましくは220~250℃である。紡糸温度を上記の範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。
本発明で用いられる複合繊維の好ましい製造方法を例示すると、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂をそれぞれ別の押出機において溶融し計量して、複合紡糸口金へ、好ましくは図1に示すような繊維断面を形成する芯鞘繊維紡糸口金へと供給し、ポリプロピレン系樹脂を芯成分に配置し、ポリエチレン系樹脂を鞘成分に配置した芯鞘型断面の長繊維として紡出する。
紡出された長繊維の糸状は、次に冷却されるが、紡出された糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法等が挙げられ、またはこれらの方法を組み合わせる方法を採用することができる。また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸する温度および雰囲気温度等を考慮して適宜調整して採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。
紡糸速度は、3,500~6,500m/分であることが好ましく、より好ましくは4,000~6,500m/分であり、さらに好ましくは4,500~6,500m/分である。紡糸速度を3,500~6,500m/分とすることにより、高い生産性を有することになり、また繊維の配向結晶化が進み高い強度の長繊維を得ることができる。
また、前記のとおり、通常では紡糸速度を上げていくと、紡糸性は悪化して糸状を安定して生産することができないが、本発明では、従来には見出されていない特定の範囲のMFRを有するポリエチレン系樹脂および異なるポリオレフィン系樹脂を用いることにより、意図する芯鞘型等の複合繊維を安定して紡糸することができる。
続いて、得られた長繊維を、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブ化する。本発明においては、高い紡糸速度で延伸するため、エジェクターから出た繊維は、高速の気流で制御された状態でネットに捕集されることとなり、繊維の絡みが少なく均一性の高いスパンボンド不織布を得ることができる。
続いて、得られた不織繊維ウェブを、熱接着により一体化することにより、意図するスパンボンド不織布を得ることができる。
上記の不織繊維ウェブを熱接着により一体化する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど各種ロールにより、熱接着する方法が挙げられる。
熱接着時のエンボス接着面積率は、5~30%であることが好ましい。接着面積を好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上とすることにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、接着面積を好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下とすることにより、特に衛生材料用のスパンボンド不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。
ここでいう接着面積とは、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことを言う。
熱エンボスロールに施される彫刻の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。
熱ロールの表面温度は、鞘成分として使用しているポリエチレン系樹脂の融点に対し-20~-5℃とすることが好ましい態様である。熱ロールの表面温度を、ポリエチレン系樹脂の融点に対し-20℃以上とすることにより、適度に熱接着させ不織布形態を保持し、また耐摩耗性を向上させることができる。また、熱ロールの表面温度を、ポリエチレン系樹脂の融点に対し-5℃以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、特に衛生材料用のスパンボンド不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。
また、熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、5~50N/cmであることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは5N/cm以上、より好ましくは10N/cm以上、さらに好ましくは15N/cm以上とすることにより、十分に熱接着させ不織布として実用に供しうる強度および耐摩耗性を得ることができる。一方、ロールの線圧を好ましくは50N/cm以下、より好ましくは40N/cm以下、さらに好ましくは30N/cm以下とすることにより、特に衛生材料用の不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。
本発明のスパンボンド不織布は、柔軟で極めて高い均一性を有することから、使い捨て紙おむつやナプキンなどの衛生材料用途に好適に利用することができる。衛生材料のなかでも、特に紙おむつのバックシートに好適に利用することができる。
次に、実施例に基づき、本発明のスパンボンド不織布について具体的に説明する。
(1)メルトフローレート(MFR):
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレートは、ASTM D-1238により、荷重が2160gで、温度が190℃の条件で測定される。また、ポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートも、ASTM D-1238により、荷重が2160gで、温度が230℃の条件で測定される。
(2)複素粘度(Pa・sec):
キャピラリーレオメーターRHEOSOL -G3000を用い、20mmパラレルプレート、ギャップ0.5mm、温度230℃、ひずみ34.9%、振動数0.3~63rad/secにおける不織布シートの複素粘度(Pa/sec)を測定した。
(2)単繊維繊維径(μm):
エジェクターで牽引し、延伸した後、ネット上に捕集した不織ウェブからランダムに小片サンプル10個を採取し、マイクロスコープで500~1000倍の表面写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の幅を測定し、平均値から単繊維繊維径(μm)を算出した。
(3)紡糸速度(m/分):
上記の単繊維繊維径と使用する樹脂の固形密度から長さ10,000m当たりの質量を単繊維繊度として、小数点以下第二位を四捨五入して算出した。単繊維繊度(dtex)と、各条件で設定した紡糸口金単孔から吐出される樹脂の吐出量(以下、単孔吐出量と略記する。)(g/分)から、次の式に基づき、紡糸速度を算出した。
・紡糸速度=(10000×単孔吐出量)/単繊維繊度。
(4)目付:
JIS L1913(2010年)6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(5)通気量CV値(%):
JIS L1913(2010年)フラジール形法に準じて、15cm角にカットした繊維シート10枚を、テクステスト社製の通気性試験機FX3300を用いて試験圧力1
25Paで測定した。得られた値の変動係数の百分率から通気量CV値(%)とした。
(6)摩擦係数の標準偏差MMD:
カトーテック(株)製の自動化表面試験機 KES-FB4 AUTO-Aを用いて、各サンプルの100mm×100mmの範囲を、ピアノ線を巻いた端子に50gf/cmの荷重をかけ、1.0mm/secの速さで滑らせ、摩擦係数の標準偏差 MMDを測定した。
(7)融解ピーク:
示差走査熱量計(TA Instruments社製DSCQ1000)で昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、吸熱している融解ピークの個数を計測した。
(実施例1)
メルトフローレート(MFR)が170g/10分のポリプロピレン単独重合体樹脂と、MFRが100g/10分のポリエチレン単独重合体樹脂(LLDPE)を、それぞれ押出機で溶融し、紡糸温度が235℃で、孔径φが0.30mmの矩形芯鞘口金から、単孔吐出量が0.43g/分で、ポリプロピレン系樹脂を芯成分に配置し、ポリエチレン系樹脂を鞘成分に配置した芯鞘型断面にて紡出した糸条を、冷却固化した後、矩形エジェクターでエジェクターの圧力を0.50MPaとした圧縮エアによって、牽引し延伸し、移動するネット上に捕集して芯鞘型複合繊維の長繊維からなる不織繊維ウェブを得た。得られた芯鞘型複合繊維の長繊維の特性は、単繊維繊維径は10.9μmであり、これから換算した紡糸速度は5,049m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れが0回と良好であった。
引き続き、得られた不織繊維ウェブを、上ロールに金属製で水玉柄の彫刻がなされた接着面積率16%のエンボスロールを用い、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、線圧が30N/cmで、熱接着温度が120℃の温度で熱接着し、目付が18g/mのスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布について、複素粘度、通気量CV値、摩擦係数の標準偏差MMDおよび融解ピークを測定し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂のMFRを300g/10分にしたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。得られた芯鞘型複合繊維からなる長繊維の特性は、単繊維繊維径が10.5μmであり、これから換算した紡糸速度は5,457m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れが0回と良好であった。得られたスパンボンド不織布について、複素粘度、通気量CV値、摩擦係数の標準偏差MMDおよび融解ピークを測定、評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂のMFRを850g/10分にしたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。得られた芯鞘型複合繊維からなる長繊維の特性は、単繊維繊維径が9.8μmであり、これから換算した紡糸速度は6,264m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れが0回と良好であった。得られたスパンボンド不織布について、複素粘度、通気量CV値、摩擦係数の標準偏差MMDおよび融解ピークを測定、評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂のMFRを60g/10分とし、エジェクター圧力を0.15MPaにしたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。芯鞘長繊維の特性は、単繊維繊維径が18.0μmであり、これから換算した紡糸速度は1,857m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れが10回と不良であった。得られたスパンボンド不織布について、複素粘度、通気量CV値、摩擦係数の標準偏差MMDおよび融解ピークを測定し、評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエチレン樹脂のMFRを20g/10分とし、エジェクター圧力を0.15MPaにしたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。得られた芯鞘型複合繊維の長繊維の特性は、単繊維繊維径が17.4μmであり、これから換算した紡糸速度は1,899m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れが8回と不良であった。得られたスパンボンド不織布について、複素粘度、通気量CV値、摩擦係数の標準偏差MMDおよび融解ピークを測定し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007035360000001
実施例1~3は、高い紡糸速度でも紡糸性が良好であり、高い生産性と安定性を有する結果であった。また、実施例1~3は、高い紡糸速度で細径化を達成しているため、均一性と表面タッチ性に優れていた。
一方、比較例1および2で示すように、比較的MFRの小さいポリプロピレン系樹脂および/またはポリエチレン系樹脂を使用し複素粘度が高い場合は、高い紡糸速度では糸切れが発生し、安定して生産できないという問題が発生した。また、比較例2と3に示すように、太い単繊維繊維径では低い紡糸速度のためネット上へ着地するまでに繊維同士のもつれが発生し均一性に劣る結果であった。
(a):芯部
(b):鞘部
(c):第1成分
(d):第2成分

Claims (1)

  1. メルトフローレートが155~850g/10分であるポリプロピレン系樹脂を芯成分とし、メルトフローレートが50~200g/10分であるポリエチレン系樹脂を鞘成分とし、かつ、横断面において、前記芯成分からなる芯部と前記鞘成分からなる鞘部の中心が同一である芯鞘型複合繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、前記複合繊維の単繊維繊維径が6.5~14.5μmであって、前記スパンボンド不織布の、通気量CV値が7%以下であり、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度が100Pa・sec以下であることを特徴とするスパンボンド不織布。
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