JP7031013B2 - 制御装置、制御プログラム及び制御方法 - Google Patents
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Description
空気調和の対象の室内空間が分割された複数の空間であり、それぞれの前記空間に少なくとも一つの室内機が対応付いた複数の空間である複数の分割空間について、それぞれの前記分割空間の空気調和を開始する優先順位を決定する順位決定部と、
前記室内空間の温度が目標温度になるべき時刻を示す目標時刻において前記目標温度となるように、それぞれの前記分割空間に対応付いた室内機の制御を、前記目標時刻よりも前にそれぞれの前記分割空間の前記優先順位に従って開始する制御開始部と
を備える。
図1から図15を参照して実施の形態1の空気調和システム1000を説明する。空気調和システム1000は、侵入熱負荷量を削減するために、室内空間のうち、外壁又は窓から遠いエリアから、順次、空気温度を変化させる。これにより、室内全体を均一に温度調節する場合よりも外壁又は窓から侵入する熱負荷を抑えることができるため、空気調和システム1000は省エネルギー性を高めることができる。
在室開始時刻前の空気調和負荷を想定すると、人及びオフィス機器の内部発熱は小さく、また、換気による熱負荷の影響も小さいと予想されるので、外壁又は窓からの侵入熱負荷の影響が大きい。ここで在室開始時刻としては、例として、始業開始時刻である。侵入熱負荷は、室外と室内の温度差に依存し、温度差が小さければ、侵入熱負荷も小さくなる。空気調和システム1000は、外壁又は窓から遠いエリアから順に室内を空気調和することで、空気調和の際の負荷を抑え、省エネルギー性を高めることができる。
(1)圧縮機11は、低温、低圧の冷媒を圧縮して、高温、高圧にする。
圧縮機11はインバータで駆動され、容量が制御される。容量とは単位時間当たりに圧縮機11が吐出する冷媒の量である。後述する制御開始部113が圧縮機11を制御する。
(2)四方弁12は、空気調和システム1000の冷房運転又は暖房運転の運転モードに応じて、冷媒の流れを切り替える。制御開始部113が四方弁12を切り替える。
(3)室外熱交換器13は、冷凍サイクル31を流れる冷媒と、室外空気との間で熱交換を行う。室外熱交換器13には、室外機ファン14が配置されている。室外機ファン14は、室外熱交換器13へ送風を行う。室外機ファン14の回転数を制御することにより、送風量を調整できる。制御開始部113が室外機ファン14の回転数を制御する。
(4)膨張弁21は、開度の大きさが制御可能な電子弁である。膨張弁21は、開度が制御されることで、冷媒の減圧量を制御する。制御開始部113が膨張弁21の開度を制御する。
(5)室内熱交換器22は、冷凍サイクル31を流れる冷媒と、室内空気との間で熱交換を行う。室内熱交換器22には、室内機ファン23が配置されている。室内機ファン23は、室内熱交換器22へ送風を行う。室内機ファン23の回転数を制御することにより、送風量を調整できる。制御開始部113が室内機ファン23の回転数を制御する。
図3は、制御装置100のハードウェア構成を示す。制御装置100はコンピュータである。制御装置100は、プロセッサ110を備えるとともに、主記憶装置120、補助記憶装置130、入力インタフェース140、出力インタフェース150及び通信インタフェース160といった他のハードウェアを備える。図3ではインタフェースはIFと表記している。プロセッサ110は、信号線170を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
補助記憶装置130は、データを不揮発的に保管する記憶装置である。補助記憶装置130の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)である。また、補助記憶装置130は、SD(登録商標)(Secure Digital)メモリカード、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であっても良い。
出力インタフェース150は、各種機器が接続され、各種機器にプロセッサ110により制御信号が出力されるポートである。出力インタフェース150からは、室外機10の圧縮機11、四方弁12及び室外機ファン14のそれぞれに、制御信号が出力される。また、出力インタフェース150からは、室内機20の膨張弁21及び室内機ファン23のそれぞれに、制御信号が出力される。
通信インタフェース160は、各種機器とプロセッサ110とが通信する通信ポートである。
複数のプロセッサは、制御プログラム101の実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ110と同じように、制御プログラム101を実行する装置である。
図4から図14を参照して、制御装置100の動作を説明する。
図4は、制御装置100の動作を示すフローチャートである。制御装置100の動作は、制御方法に相当する。また、制御装置100の動作は、制御プログラム101の処理に相当する。
ステップS11の前段階として、室内空間300が、複数のエリアに分割される。以下、室内空間300を分割して得られる個々のエリアを分割空間301と記す。区別が必要な場合、個々の分割空間301は、分割空間301A,301B,...のように記す。
室内空間300の分割は、人が行っても良いし、制御装置100が行っても良い。室内空間300は、室内機20の設置位置に応じて分割される。それぞれの分割空間301と、分割空間301の空気調和を担う室内機20とが対応付けられる。
制御装置100が分割を行う場合、制御装置100の分割部111が、室内空間300を複数の分割空間301に分割する。分割部111は、室内空間300に配置された複数の室内機20の配置に基づいて、室内空間300を複数の分割空間301に分割する。例えば、分割部111は、室内機20に取り付けられた赤外線センサにより、周辺の室内機20の高温あるいは低温の吹出空気を検出し、周辺の室内機の位置関係を認識する。分割部111は、周辺の室内機の位置関係に基づき、室内空間300を分割する。あるいは、補助記憶装置130が、室内空間300のCADデータ及び室内機20の配置情報を記憶しており、分割部111は補助記憶装置130に記憶された情報を用いて室内空間300を複数の分割空間301に分割することができる。
図6は、図5の分割空間301AのX-X断面を示す。図5は、天井から床へ向かう方向を透過した室内空間300の状態を模式的に示す。図5では、1台の室内機20が一つの分割空間301を担当している。つまり、一つの分割空間301に1台の室内機20が対応付いている。具体的には室内空間300は、以下のようである。室内空間300は、外郭部材200によって形成されている。外郭部材200は、外壁210、窓220、内壁230、天井材240及び床材250で構成される。内壁230とは、他の部屋または廊下と面する壁面である。室内空間300は分割空間301Aから分割空間301Iに分割されている。分割空間301Aから分割空間301Iには、室内機20aから室内機20iが対応付いている。破線401は、分割空間301を形成する仮想線である。
室内機20aから室内機20iは、温度センサ24aから温度センサ24iを備えている。
ステップS11では、順位決定部112は、それぞれの分割空間301へ室内空間300の外から侵入する侵入熱負荷の大きさに基づいて、優先順位を決定する。
ステップS11において、順位決定部112は、それぞれの分割空間301の侵入熱負荷を計算する。ステップS12において、順位決定部112は、分割空間301Aから分割空間301Iの侵入熱負荷の大きさに応じて、複数の分割空間301の優先順位を決定する。順位決定部112は、侵入熱負荷が小さいほど、分割空間301の優先順位を高くする。以下に、ステップS11で順位決定部112が行う、侵入熱負荷の計算方法を説明する。
外皮からの侵入熱負荷Lwは、以下の式1で計算できる。
式1で*は乗算を示す。
Lw=A*K*△T (式1)
式1の意味は以下のようである。
A:外皮の面積、
K:外皮の熱貫流率、
△T:室内と室外との空気温度差。
外皮とは、外壁210、窓220、内壁230、天井材240又は床材250が該当する。
室内温度Tinと室外温度TOUTの温度差△Tは、以下のように計算する。室内温度Tinは、目標温度502である。室外温度TOUTは、隣接する空間の空気温度である。外壁210からの侵入熱負荷Lw1又は窓220からの侵入熱負荷Lw2を計算する場合は、隣接する空間の空気温度は、外気温度である。内壁230からの侵入熱負荷Lw3を計算する場合は、隣接する空間の空気温度は、内壁230を隔てた他の部屋または廊下の空気温度である。天井材240からの侵入熱負荷Lw4を計算する場合は、隣接する空間の空気温度は、天井材240を隔てた、天井裏の空気温度である。床材250からの侵入熱負荷Lw5を計算する場合は、隣接する空間の空気温度は、床材250を隔てた、床裏の空気温度である。
隣接する空間の空気温度は、以下の(1)から(4)のいずれかの値を使用できる。
(1)隣接する空間の空気温度は、隣接する空間に設置した温度センサが取得した値を用いる。
(2)隣接する空間の空気温度は、外皮の温度を温度センサで計測した値を用いる。
(3)隣接する空間の空気温度は、一般的な推定手法で推定した値を用いる。
(4)隣接する空間の空気温度は、一般的な値として予め用意された値を用いる。
次に、図5の分割空間301Eを例に説明する。分割空間301Eは外壁210、窓220及び内壁230を持たない。分割空間301Eでは,外皮は、天井材240及び床材250である。よって、順位決定部112は、分割空間301Eの侵入熱負荷Lwとして、侵入熱負荷Lw4、侵入熱負荷Lw5の合計を計算する。
少なくともいずれかの外皮の侵入熱負荷を計算しても良い。分割空間301Aを例にとれば、以下のようである。上記の説明では、分割空間301Aの侵入熱負荷Lwとして、侵入熱負荷Lw1、侵入熱負荷Lw2、侵入熱負荷Lw4、侵入熱負荷Lw5の合計を用いた。しかし、外壁210及び窓220の侵入熱負荷の影響が大きい場合、順位決定部112は、外壁210及び窓220の侵入熱負荷のみを計算しても良い。
順位決定部112は、空気調和の対象の室内空間300が分割された複数の空間であり、それぞれの空間に少なくとも一つの室内機20が対応付いた複数の空間である複数の分割空間301について、それぞれの分割空間301の空気調和を開始する優先順位を決定する。
順位決定部112は、分割空間301への侵入熱負荷の小さい順に、分割空間301に空気調和の優先順位をつける。優先順位は、侵入熱負荷が小さいほど高い。
ステップS13以降は制御開始部113による動作である。ステップS13において、制御開始部113は、室外機10の起動時刻を決定する。制御開始部113は、目標時刻501に、すべての分割空間301の温度が目標温度502に到達するように、起動時刻を決定する。
(1)制御開始部113は、目標時刻501に予測される外気温、起動時刻として決定しようとする候補時刻に予測される外気温のようなデータを用いて、目標時刻501に目標温度502となるのに必要となる空気調和の負荷を計算する。制御開始部113は、計算した空気調和の負荷と、すべての室内機20の空気調和の能力とに基づき、計算した空気調和の負荷を処理するために必要とする時間を計算する。制御開始部113は、目標時刻501から必要とする時間だけ遡った時刻を、室外機10の起動時刻として採用する。
(2)制御開始部113は、機械学習を用いて、目標時刻501における室内空間300の空気温度と、目標温度502との差が小さくなるように、室外機10の起動時刻を学習する。
制御開始部113は、室外機10の起動時刻を、室外機10の起動前日の深夜、あるいは、目標時刻501を有する当日の早朝のような時期に、先行して決定する。
決定した起動時刻になった場合(ステップS14でYES)、制御開始部113は、室外機10の運転を開始する(ステップS15)。なお、室外機10の運転開始とは、制御開始部113が圧縮機11及び室外機ファン14の運転を開始することを意味する。
制御開始部113は、ステップS12で順位決定部112によって決定された優先順位に基づいて、室内機20の運転開始時刻をずらした運転を行う。
制御開始部113は、室内空間300の温度が目標温度502になるべき時刻を示す目標時刻501において目標温度502となるように、それぞれの分割空間301に対応付いた室内機20の制御を、目標時刻501よりも前にそれぞれの分割空間301の優先順位に従って開始する。制御開始部113は、それぞれの分割空間301に対応付いた室内機20の制御として、室内機20の稼働を、優先順位に従って開始する。
(1)ステップS16において、制御開始部113は、優先順位<1>の分割空間301Fに対応付いた、室内機20fの運転を開始する。室内機20fの運転開始とは、制御開始部113が、室内機20fの膨張弁21fの開度の制御と、室内機ファン23fの回転数の制御とを開始することである。
(2)ステップS17において、制御開始部113は、分割空間301Fの温度が、目標温度502に到達したかどうかを判定する。制御開始部113は、分割空間301Fの温度を温度センサ24fから取得することで、判定可能である。分割空間301Fの温度が目標温度502に到達した場合(ステップS17でYES)、
(a)制御開始部113は、現在の時刻が目標時刻501かどうか、
又は、
(b)すべての分割空間301の温度が目標温度502に到達したかどうか、
を判定する(ステップS18)。
(3)(a)又は(b)の少なくともいずれかに該当する場合(ステップS18でYES)、制御開始部113は、すべての室内機20の運転を開始する(ステップS)。
(4)(a)と(b)のいずれにも該当しない場合(ステップS18でNO)、制御開始部113は、制御開始部113は、優先順位<2>の分割空間301Hに対応付いた、室内機20hの運転開始を準備する(ステップS19)。以降、同様の処理が繰り返される。
(1)制御開始部113は空気調和の優先順位の最も高い分割空間に対応付いた室内機20から運転を開始する(ステップS16)。
(2)制御開始部113は、優先順位1の分割空間301に対応付いた室内機20に設置されている温度センサ24から、入力インタフェース140を介して室内温度を取得する。
(3)制御開始部113は、優先順位1の分割空間301の室内温度が目標温度502に達したとき、優先順位2の分割空間301に対応付いた室内機20の運転を開始する(ステップS17でYES、ステップS18でNO)。
(4)(1)から(3)の処理を、全ての分割空間301の空気温度が分割空間301の目標温度502に達するか、時刻が目標時刻501に達するまで繰り返す。
(1)優先順位1の分割空間301の室温が目標温度に達した場合、制御開始部113は、優先順位2の分割空間301に対応付いた室内機20の運転を開始する。
(2)このとき、優先順位1の分割空間301に対応した室内機20については、制御開始部113は、優先順位1の分割空間301の室温を保つよう、間欠的に運転する。
(3)優先順位2の分割空間301の室温が目標温度に達した場合、制御開始部113は、優先順位3の分割空間301に対応付いた室内機20の運転を開始する。
(4)このとき、優先順位2の分割空間301に対応付いた室内機20については、制御開始部113は、優先順位2の分割空間301の室温を保つよう、間欠的に運転する。
(5)制御開始部113は(1)から(4)を繰り返して、最終的には全ての室内機20を運転し、全ての分割空間301で目標温度502に到達するようにする。
制御装置100は、侵入熱負荷が大きい外壁及び窓のような部材から遠い分割空間から順に室内を温度調節する。よって、制御装置100は侵入熱負荷を抑え、省エネルギー性を高めることができる。
図9を参照して実施の形態1の変形例1を説明する。変形例1では、順位決定部112は、それぞれの分割空間301の侵入熱負荷Lwを、室内機20を運転することにより求める。
変形例1では順位決定部112は、分割空間301ごとの侵入熱負荷の大きさを、分割空間301に対応付いている室内機20を運転させた際の分割空間301の温度変化に基づいて計算する。具体的には以下のようである。
図4のステップS11では、順位決定部112は、分割空間301ごとの侵入熱負荷の大きさを、外壁210、窓220、内壁230のような外皮について侵入熱負荷量Lwを計算する。変形例1では、順位決定部112は、すべての室内機20を運転した際の、それぞれの分割空間301の空気温度の変化傾向から侵入熱負荷Lwを判定する。
以下にステップS11aを説明する。順位決定部112は、室内機20の起動時刻をずらす予冷又は予暖の空気調和制御を実施する前に、すべての室内機20を同時刻に同一運転条件で運転する。このとき、順位決定部112は、それぞれの分割空間301に設置された室内機20の温度センサ24から室温の変化速度を検出する。変化速度が速いほど、侵入熱負荷Lwの小さい分割空間301と考えることができる。順位決定部112は、室温が目標温度502に到達するのが速い分割空間301ほど、高い優先順位を決定する。これにより、順位決定部112は、外皮の侵入熱負荷Lwの小さい順に、優先順位を決定できる。その他の動作については、図4と同じである。
変形例1では、図4のステップS11に対して、順位決定部112は侵入熱負荷Lwを求めるために複雑な計算が不要となる。また、順位決定部112は、外皮性能及び壁面積のようなデータを用いることなく、分割空間301の優先順位を決定できる。また、順位決定部112は現実の温度変化から侵入熱負荷を求めるので、精度の高い優先順位を求めることができる。
図10から図12を参照して実施の形態1の変形例2を説明する。変形例2では、制御開始部113が、順位決定部112により決定された優先順位に従って、室内機20の吹き出し空気の風向を変えることによって、それぞれの分割空間301の空気調和開始時刻をずらす。図4のステップS16では、それぞれの分割空間301の空気調和の開始時刻をずらすために、それぞれの室内機20の運転開始の時刻をずらした。これに対して変形例2では、室内機20の吹き出し空気の風向を変えることによって、分割空間301の空気調和の開始時刻をずらす。
図11は、変形例2における制御装置100のハードウェア構成を示し、図3に対応する。図11は、制御開始部113が制御信号によってルーバー25を制御できることを示す。
図12は、変形例2の室内空間300を示す。図12では分割空間301J、301K、30lL、301M、301N、301Oの、6つを示している。分割空間301Jと分割空間301Mには、室内機20jが対応付いている。分割空間301Kと分割空間301Nには、室内機20kが対応付いている。分割空間301Lと分割空間301Oには、室内機20lが対応付いている。それぞれの分割空間301の優先順位は、優先順位<1>から優先順位<6>である。分割空間301Jから分割空間301Oには、それぞれ温度センサ24jから温度センサ24oが配置されている。室内機20jは温度センサ24j、24mと接続している。室内機20kは温度センサ24k、24nと接続している。室内機20lは温度センサ24l、24oと接続している。
1回目のステップS16aにおいて、制御開始部113は、図12の優先順位<1>の分割空間301Nに対応付いた、室内機20kの吹き出し空気の風向を変えることによって、分割空間301Nの空気調和を開始する。なお、運転停止中のように空気を吹き出していない状態から、室内機20kが空気を吹き出した場合も、吹き出し空気の風向を変えることに該当する。この場合は、風向の無い状態から風向の有る状態になるからである。図12では、室内機20kは、空気を吹き出していない状態から、空気の吹き出しを開始する。制御開始部113が室内機20kのルーバー25を制御することで、室内機20kは、吹き出し空気の風向を変えることができる。他の室内機20も同様である。
2回目のステップS16aにおいて、制御開始部113は、図12の優先順位<2>の分割空間301Kに対応付いた、室内機20kの吹き出し空気の風向を変えることによって、分割空間301Kの空気調和を開始する。以下、図4のフローチャートと同様に処理が進む。
変形例2では1台の室内機20に複数の分割空間301を対応付けることが容易であるので、実施の形態1に比べ、室内機20に対して分割空間301を柔軟に設定できる。
図13を参照して実施の形態1の変形例3を説明する。図4のステップS16では、それぞれの分割空間301の空気調和の開始時刻を異なる時刻とするために、室内機20の運転開始時刻をずらした。これに対して、変形例3は、室内機20の吹出し空気の風速を変えることで、それぞれの分割空間301の空気調和の開始時刻をずらす。
1回目のステップS16bにおいて、制御開始部113は、図13の優先順位<1>の分割空間301Rに対応付いた、室内機20pの吹き出し空気の風速を変えることによって、分割空間301Rの空気調和を開始する。なお、運転停止中のように空気を吹き出していない状態から、室内機20pが空気を吹き出した場合も、吹き出し空気の風速を変えることに該当する。この場合は、風速の無い状態から風速の有る状態になるからである。図13では、室内機20pは、空気を吹き出していない状態から、空気の吹き出しを開始する。室内機20pは、最も大きな風速によって、分割空間301Rを空気調和する。制御開始部113が室内機20pの室内機ファン23pを制御することで、室内機20pは、吹き出し空気の風速を変えることができる。
2回目のステップS16bにおいて、制御開始部113は、優先順位<2>の分割空間301Qの空気調和を開始する。制御開始部113は、室内機ファン23pの風速を中の大きさとすることで、優先順位<2>の分割空間301Qの空気調和を開始する。以下、図4のフローチャートと同様に処理が進む。
変形例3では1台の室内機20に複数の分割空間301を対応付けることが容易であるので、実施の形態1に比べ、室内機20に対して複数の分割空間301を柔軟に設定できる。
変形例1から変形例3を含む実施の形態1の効果をまとめておく。
図14は、制御装置100による効果を示す。一点鎖線は、空気調和システム1000の比較例1を示す。破線は、空気調和システム1000の比較例2を示す。実線は、空気調和システム1000を示す。
以下に、制御装置100のハードウェア構成の補足をしておく。図3の制御装置100では、制御装置100の機能がソフトウェアで実現されるが、制御装置100の機能がハードウェアで実現されても良い。
図15は、制御装置100の変形例に係る制御装置100の構成を示す。図15の電子回路600は、分割部111、順位決定部112、制御開始部113、主記憶装置120、補助記憶装置130、入力インタフェース140、出力インタフェース150及び通信インタフェース160の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路600は、信号線601に接続している。電子回路600は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。制御装置100の構成要素の機能は、1つの電子回路で実現されても良いし、複数の電子回路に分散して実現されても良い。別の変形例として、制御装置100の構成要素の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されても良い。
Claims (9)
- 空気調和の対象の室内空間が分割された複数の空間であり、それぞれの前記空間に少なくとも一つの室内機が対応付いた複数の空間である複数の分割空間について、それぞれの前記分割空間の空気調和を開始する優先順位を決定する順位決定部と、
前記室内空間の温度が目標温度になるべき時刻を示す目標時刻において前記目標温度となるように、それぞれの前記分割空間に対応付いた室内機の制御を、前記目標時刻よりも前にそれぞれの前記分割空間の前記優先順位に従って開始する制御開始部と
を備え、
前記順位決定部は、
それぞれの前記分割空間へ前記室内空間の外から侵入する侵入熱負荷の大きさが小さいほど、前記優先順位を高く決定し、
前記制御開始部は、
前記室内機の制御を、前記優先順位の高い順に開始する制御装置。 - 前記順位決定部は、
前記分割空間ごとの前記侵入熱負荷の大きさを、前記分割空間を形成する形成部材の断熱性能と、前記形成部材の面積と、前記形成部材の外側の領域の温度とに基づいて計算する請求項1に記載の制御装置。 - 前記順位決定部は、
前記分割空間ごとの前記侵入熱負荷の大きさを、前記分割空間に対応付いている前記室内機を運転させた際の前記分割空間の温度変化に基づいて計算する請求項1または請求項2に記載の制御装置。 - 前記制御開始部は、
それぞれの前記分割空間に対応付いた前記室内機の制御として、前記室内機の稼働を、前記優先順位の高い順に開始する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記制御開始部は、
それぞれの前記分割空間に対応付いた前記室内機の制御として、前記室内機の吹き出す風の風向を対応付いた前記分割空間に向けることを、前記優先順位の高い順に開始する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記制御開始部は、
それぞれの前記分割空間に対応付いた前記室内機の制御として、対応付いた前記分割空間を空気調和するように前記室内機の吹き出す風の風速を変化させることを、前記優先順位の高い順に開始する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記制御装置は、さらに、
前記室内空間に配置された複数の前記室内機の配置に基づいて、前記室内空間を前記複数の分割空間に分割する分割部を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の制御装置。 - コンピュータに、
空気調和の対象の室内空間が分割された複数の空間であり、それぞれの前記空間に少なくとも一つの室内機が対応付いた複数の空間である複数の分割空間について、それぞれの前記分割空間の空気調和を開始する優先順位を決定する処理、
前記室内空間の温度が目標温度になるべき時刻を示す目標時刻において前記目標温度となるように、それぞれの前記分割空間に対応付いた室内機の制御を、前記目標時刻よりも前にそれぞれの前記分割空間の前記優先順位に従って開始する処理、
を実行させ、
前記優先順位を決定する前記処理では、
それぞれの前記分割空間へ前記室内空間の外から侵入する侵入熱負荷の大きさが小さいほど、前記優先順位を高く決定し、
前記室内機の制御を前記優先順位に従って開始する前記処理では、
前記室内機の制御を、前記優先順位の高い順に開始する、
制御プログラム。 - コンピュータが、
空気調和の対象の室内空間が分割された複数の空間であり、それぞれの前記空間に少なくとも一つの室内機が対応付いた複数の空間である複数の分割空間について、それぞれの前記分割空間の空気調和を開始する優先順位を決定し、
前記室内空間の温度が目標温度になるべき時刻を示す目標時刻において前記目標温度となるように、それぞれの前記分割空間に対応付いた室内機の制御を、前記目標時刻よりも前にそれぞれの前記分割空間の前記優先順位に従って開始し、
前記優先順位を決定する際には、
それぞれの前記分割空間へ前記室内空間の外から侵入する侵入熱負荷の大きさが小さいほど、前記優先順位を高く決定し、
前記室内機の制御を前記優先順位に従って開始する際には、
前記室内機の制御を、前記優先順位の高い順に開始する、
制御方法。
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