詳細な説明
本開示の態様は、タバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)の電気化学的還元に関する。本明細書に記載のある特定の方法によると、1種またはそれよりも多くのTSNAおよびニコチンを含有するタバコ組成物が溶媒と接触して、タバコ混合物が形成される。一部の実施形態では、タバコ混合物は、アノードおよびカソードを含む電気化学デバイスに導入される。タバコ混合物は、一部の場合には、アノードの少なくとも一部分およびカソードの少なくとも一部分と物理的に接触している、初期電解質混合物の少なくとも一部を形成し得る。一部の例では、アノードとカソードとの間に電位が印加され、それによって、初期電解質混合物中の1種またはそれよりも多くのTSNAが還元され、還元電解質混合物が生成される。ある特定の場合には、アノードとカソードとの間への電位の印加により、タバコ混合物(例えば、ニコチン)の非TSNA構成成分の電気化学的還元または任意の他の化学反応は引き起こされない。
タバコ植物および収穫されたタバコ葉は、一般に、TSNAを含有しないが、1種またはそれよりも多くのTSNAが、典型的には、タバコの乾燥および/または加工の間に(例えば、ニトロソ化反応を通して)形成される。結果として、TSNAは、タバコ含有喫煙用品(例えば、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ)および他のタバコ含有製品(例えば、噛みタバコ、嗅ぎタバコ)中にしばしば存在する。加えて、TSNAは、タバコ含有喫煙用品に火がつけられ、燃焼されたときに生成される煙(例えば、主流煙、副流煙)中にしばしば存在する。
少なくとも一部のTSNAは、動物およびヒトにおけるがん(例えば、口腔がん、肺がん、食道がんおよび膵臓がん)に関連している。特定の理論に縛られることを望むことなく、TSNAは、内因性および外因性化学作用の代謝に関与する、シトクロムP450のヘム活性部位と相互作用する(したがって、これを乱す)ことによって、生体損傷を引き起こし得る。実例として、TSNAのニトロソアミン官能基は、シトクロムP450分子のヘム活性部位において鉄原子と配位し得る。
TSNAは発がん性であるため、タバコ製品、例えば、タバコ含有喫煙用品中のTSNAのレベルを低減することが望ましいと考えられる。本発明者らは、驚くべきことに、TSNAを、電気化学的還元(電気還元とも称する)を通して低減することができることを見出した。これまで、ウラン、ニトライト、一酸化窒素、過酸化水素、二酸化炭素および酸素を含む、ある特定の化合物の電気化学的還元を、金属大環状化合物(例えば、コバルトポルフィリン、鉄ポルフィリン)によって触媒することができることは公知であったが、TSNAを電気化学的還元によって低減することができることは知られていなかった。特定の理論に縛られることを望むことなく、酸性溶液中のプロトン化TSNAは、図1に示されるように4電子反応で(例えば、ヒドラジンに)還元され得る。図1においてやはり示されるように、塩基性溶液中の非プロトン化TSNAは2電子反応で(例えば、アミンに)還元され得る。
一部の場合には、電気化学的還元を通してTSNAを低減する方法には、ある特定の利点が伴う。例えば、本明細書に記載のある特定の方法は、タバコ混合物中の1種またはそれよりも多くのTSNAを選択的に低減し得、タバコ混合物の1種またはそれよりも多くの非TSNA構成成分(例えば、ニコチン)を低減しない(またはそうでなければ、その化学組成を変化させない)ことがある。一部の場合には、本明細書に記載のある特定の方法は、有利なことに、加熱を必要とせず、周囲温度および/または圧力で行われ得る。加えて、一部の場合には、本明細書に記載のある特定の方法は、消費者向けタバコ製品に適さないと考えられる毒性金属の非存在下で行われる。ある特定の実施形態では、TSNAの電気化学的還元は、有機金属錯体(例えば、金属ポルフィリン錯体、金属フタロシアニン錯体)によって代わりに触媒される。ある例示的な非限定例では、TSNAの電気化学的還元は、生物材料から抽出することができるフェリプロトポルフィリンIXクロリド(「ヘミン」とも称する)によって触媒される。ある特定の金属電気触媒とは異なり、ヘミンはヒトに対して非毒性であり、安価で、容易に入手できる。
本明細書に記載のある特定の方法は、タバコ組成物を準備するステップを含む。本明細書で使用される場合、「タバコ組成物」という用語は、任意の未加工のまたは処理された(例えば、燃焼された)タバコ含有材料を含み得、タバコ抽出物(これらに限定されないが、分画タバコ抽出物、ろ過タバコ抽出物およびタバコ抽出物の蒸留物または凝縮物を含む)、刻みタバコ、タバコカットフィラー、膨張タバコまたは均質化タバコが挙げられ得る。タバコ組成物は、固体、液体、水溶液、非水溶液、懸濁液、スラリーまたはゲルであり得る。ある特定の実施形態では、タバコ組成物は、室温~約37℃および約37℃~約200℃の範囲のゾルゲル遷移温度を有する熱可逆性ゲルである。一部の例では、タバコ組成物はニコチンを含む。一部の例では、タバコ組成物はTSNAを含む。
「タバコ」という用語には、Nicotiana種植物、またはNicotiana種植物の葉、茎、軸、花、根、種もしくは任意の他の部分の任意の構成成分もしくは亜成分を含む、Nicotiana種植物の1種もしくはそれよりも多くの構成成分が含まれる。「Nicotiana種」という用語は、本明細書において、タバコブレンドを形成するNicotiana属の単一の種およびNicotiana属の2種またはそれよりも多くの種の両方を示すために使用される。
一部の実施形態では、本方法は、タバコ組成物を少なくとも1種の溶媒と接触させてタバコ混合物を形成するステップを含む。溶媒は、タバコ組成物の少なくとも一部分を少なくとも部分的に溶解および/または懸濁することが可能な任意の液体であり得る。ある特定の実施形態では、溶媒は水性溶媒である。一部の例では、例えば、溶媒は、H2Oおよび/またはD2Oを含む。ある特定の実施形態では、溶媒は有機溶媒である。好適な有機溶媒の非限定例としては、アルコール(これらに限定されないが、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールを含む)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、石油エーテル、クロロホルム、塩化メチレン、トルエンまたはこれらの組合せが挙げられる。ある特定の例では、タバコ組成物および少なくとも1種の溶媒から形成されるタバコ混合物は、溶液である。ある特定の例では、タバコ混合物は懸濁液である。
ある特定の実施形態によると、タバコ混合物はニトロソアミンを含む。ニトロソアミンは、一般に、アミンに結合したニトロソ基(すなわち、NO基)を含む化学化合物を指す。一部の実施形態では、タバコ混合物はタバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)を含む。TSNAの非限定例としては、4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、N-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)およびN-ニトロソアナバシン(NAB)が挙げられる。
一部の実施形態では、タバコ混合物は、少なくとも約10μg/L、少なくとも約50μg/L、少なくとも約100μg/L、少なくとも約500μg/L、少なくとも約1mg/L、少なくとも約5mg/L、少なくとも約10mg/L、少なくとも約50mg/L、少なくとも約0.1g/L、少なくとも約0.2g/L、少なくとも約0.3g/L、少なくとも約0.4g/L、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約0.6g/L、少なくとも約0.7g/L、少なくとも約0.8g/L、少なくとも約0.9g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約1.1g/L、少なくとも約1.2g/L、少なくとも約1.3g/L、少なくとも約1.4g/L、少なくとも約1.5g/L、少なくとも約1.6g/L、少なくとも約1.7g/L、少なくとも約1.8g/L、少なくとも約1.9g/L、または少なくとも約2.0g/LのTSNAの濃度を有する。一部の実施形態では、タバコ混合物は、約10μg/L~約100μg/L、約10μg/L~約500μg/L、約10μg/L~約1mg/L、約10μg/L~約5mg/L、約10μg/L~約10mg/L、約10μg/L~約50mg/L、約10μg/L~約0.1g/L、約10μg/L~約0.5g/L、約10μg/L~約1.0g/L、約10μg/L~約1.5g/L、約10μg/L~約2.0g/L、約100μg/L~約500μg/L、約100μg/L~約1mg/L、約100μg/L~約5mg/L、約100μg/L~約10mg/L、約100μg/L~約50mg/L、約100μg/L~約0.1g/L、約100μg/L~約0.5g/L、約100μg/L~約1.0g/L、約100μg/L~約1.5g/L、約100μg/L~約2.0g/L、約1mg/L~約5mg/L、約1mg/L~約10mg/L、約1mg/L~約50mg/L、約1mg/L~約0.1g/L、約1mg/L~約0.5g/L、約1mg/L~約1.0g/L、約1mg/L~約1.5g/L、約1mg/L~約2.0g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、約0.1g/L~約1.0g/L、約0.1g/L~約1.5g/L、約0.1g/L~約2.0g/L、約0.2g/L~約1.0g/L、約0.2g/L~約1.5g/L、約0.2g/L~約2.0g/L、約0.5g/L~約1.0g/L、約0.5g/L~約1.5g/L、約0.5g/L~約2.0g/L、約1.0g/L~約2.0g/L、または約1.5g/L~約2.0g/Lの範囲のTSNAの濃度を有する。TSNA濃度は、当技術分野で公知の任意の方法に従って測定され得る。タバコ混合物中のTSNAの濃度を測定する例示的な方法は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)である。
一部の実施形態では、タバコ混合物はニコチンを含む。一部の場合には、タバコ混合物は、少なくとも約0.01g/L、少なくとも約0.02g/L、少なくとも約0.05g/L、少なくとも約0.1g/L、少なくとも約0.2g/L、少なくとも約0.3g/L、少なくとも約0.4g/L、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約0.6g/L、少なくとも約0.7g/L、少なくとも約0.8g/L、少なくとも約0.9g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約1.5g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約3g/L、少なくとも約4g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約6g/L、少なくとも約7g/L、少なくとも約8g/L、少なくとも約9g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約50g/L、または少なくとも約100g/Lのニコチン濃度を有する。ある特定の実施形態では、タバコ混合物は、約0.01g/L~約0.1g/L、約0.01g/L~約0.5g/L、約0.01g/L~約1g/L、約0.01g/L~約5g/L、約0.01g/L~約10g/L、約0.01g/L~約50g/L、約0.01g/L~約100g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、約0.05g/L~約0.5g/L、約0.05g/L~約1g/L、約0.05g/L~約5g/L、約0.05g/L~約10g/L、約0.05g/L~約50g/L、約0.05g/L~約100g/L、約0.1g/L~約1g/L、約0.1g/L~約5g/L、約0.1g/L~約10g/L、約0.1g/L~約50g/L、約0.1g/L~約100g/L、約0.5g/L~約1g/L、約0.5g/L~約5g/L、約0.5g/L~約10g/L、約0.5g/L~約50g/L、約0.5g/L~約100g/L、約1g/L~約5g/L、約1g/L~約10g/L、約1g/L~約50g/L、約1g/L~約100g/L、約5g/L~約10g/L、約5g/L~約50g/L、約5g/L~約100g/L、約10g/L~約50g/L、約10g/L~約100g/L、または約50g/L~約100g/Lの範囲のニコチン濃度を有する。ニコチン濃度は、当技術分野で公知の任意の方法に従って測定され得る。タバコ混合物中のニコチン濃度を測定する例示的な方法は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)である。
一部の実施形態では、本方法は、初期電解質混合物を、アノードおよびカソードと接触させるステップを含む。一部の例では、アノードおよびカソードは、電気化学デバイスの部分を形成する。本明細書で使用される場合、電気化学デバイスは、2つまたはそれよりも多くの電極(例えば、アノードおよびカソード)にわたって電位を印加して、電極において1またはそれよりも多くの化学反応を誘導するように構成されたデバイスを指す。例示的な電気化学デバイスの模式図を、図2A~2Bに示す。図2Aにおいて、電気化学デバイス200は、カソード210およびアノード220を含む。一部の実施形態では、カソード210は、直流電源230に(例えば、直流電源230の負極に)電気接続されており、アノード220は、直流電源230に(例えば、直流電源230の正極に)電気接続されている。加えて、電気化学デバイス200は、初期電解質混合物250を含有する容器240をさらに含む。一部の実施形態では、タバコ組成物を少なくとも1種の溶媒と接触させることによって形成されるタバコ混合物は、初期電解質混合物250の少なくとも一部を形成する。ある特定の場合には、初期電解質混合物250は、TSNAの分子260を含む。ある特定の場合には、初期電解質混合物250は、ニコチンの分子270をさらに含む。初期電解質混合物250は、溶解塩(図1Aには示していない)も含み得る。溶解塩は、カチオン(例えば、Li+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+)およびアニオン(例えば、Cl-、ClO4
-、OH-、CO3
2-、HCO3-)を含み得る。一部の実施形態では、カソード210の少なくとも一部分およびアノード220の少なくとも一部分は、初期電解質混合物250に浸漬される(例えば、それと物理接触する)。
操作中、アノードとカソードとの間に電位が印加されて、還元電解質混合物が形成され得る。電位がアノード220とカソード210との間に印加されて還元電解質混合物280が生成された後の、例示的な電気化学デバイス200の模式図を図2Bに示す。図2Bに示されるように、初期電解質混合物250のTSNAの分子260は、還元種(例えば、アミン、ヒドラジン)の分子290に還元されている。したがって、一部の実施形態では、還元電解質混合物280中のTSNAの濃度は、初期電解質混合物250中のTSNAの濃度よりも低い。しかし、初期電解質混合物250の他の構成成分は還元されないことがある。例えば、還元電解質混合物280はニコチン分子270を含み得る。図2Bに示されるように、初期電解質混合物250のニコチン分子270は、アノード220とカソード210との間への電位の印加を通して還元種に還元されなかった。
一部の実施形態では、カソード(例えば、図2Aのカソード210)は電気触媒を含む。本明細書で使用される場合、「カソード」という用語は、電位の印加の間に還元が起こる電極を指す。「触媒」は、一般に、(例えば、低い活性化エネルギーの反応経路をもたらすことによって)化学反応を開始および/または促進する物質を指す。「電気触媒」は、一般に、電気化学反応を開始および/または促進する触媒を指す。ある特定の場合には、例えば、電気触媒は電気化学的還元を触媒する。「電気化学的還元」または「電気還元」という用語は、一般に、電気エネルギーを使用する、化学種のより還元された化学種への変換を指す。
カソードの電気触媒は、1種またはそれよりも多くのTSNAの(例えば、1種もしくはそれよりも多くのアミンおよび/または1種もしくはそれよりも多くのヒドラジンへの)電気化学的還元を触媒することが可能な任意の材料であり得る。一部の実施形態では、電気触媒は有機金属錯体を含む。有機金属錯体は、一般に、少なくとも1つの有機基(例えば、少なくとも1個の炭素原子を含む基)に結合した(例えば、共有結合した)少なくとも1個の金属原子を含む分子を指す。好適な金属の非限定例としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、チタンおよびクロムが挙げられる。好適な有機基の非限定例としては、ポルフィリン基およびフタロシアニン基が挙げられる。ある特定の実施形態では、有機金属錯体は、金属ポルフィリン錯体、金属フタロシアニン錯体、または金属ポルフィリン錯体および金属フタロシアニン錯体の両方を含む。好適な金属ポルフィリン錯体の例としては、これらに限定されないが、フェリプロトポルフィリンIXクロリド(ヘミンとも称する)、鉄ポルフィリン、鉄(II)(ポルフィリナト)(イミダゾール)、ヘムタンパク質(例えば、ヘモグロビン、ミオグロビン)、鉄ポルフィリン二量体(例えば、鉄テトラフェニルポルフィリン二量体)、または前述のもののうち2種もしくはそれよりも多くの組合せが挙げられる。好適な金属フタロシアニン錯体の例としては、これらに限定されないが、鉄フタロシアニン錯体が挙げられる。ある特定の例では、電気触媒は鉄含有金属酵素を含む。鉄含有金属酵素の非限定例は、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ(CODH)である。一部の実施形態では、カソードの電気触媒は、任意の貴金属触媒(例えば、金、白金、銀)を実質的に含まない。
本明細書に記載のある特定の電気触媒には、ある特定の利点が伴い得る。ある特定の実施形態では、例えば、電気触媒により、1種またはそれよりも多くのTSNAが(例えば、1種もしくはそれよりも多くのアミンおよび/または1種もしくはそれよりも多くのヒドラジンに)選択的に還元され得る。一部の場合には、電気触媒により、タバコ混合物および/または初期電解質混合物中に存在し得る1種またはそれよりも多くの非TSNA構成成分が還元されないことがある。ある特定の実施形態では、例えば、電気触媒により、ニコチンが還元されないことがある。特定の理論によって縛られることを望むことなく、ニコチンは、ニトロソ基を含むTSNAとは異なり、本明細書に記載の電気触媒によって還元され得る化学部分を欠き得る。例えば、ニコチンは、ヘミンと相互作用可能な化学部分を含まないことがある。一部の場合には、本明細書に記載のある特定の電気触媒には、追加の利点が伴い得る。例えば、貴金属触媒とは異なり、本明細書に記載のある特定の電気触媒は、比較的低い費用で容易に入手され得る。加えて、一部の場合には、本明細書に記載のある特定の電気触媒は、消費者向けタバコ製品での使用に適さない毒性金属を含まない。
一部の実施形態では、カソードの電気触媒は、支持体上に配置される(例えば、固定される)。一部の実施形態では、支持体は電気伝導性である。支持体は、ある特定の例では、炭素質材料(例えば、炭素を含む材料)を含む。一部の実施形態では、炭素質材料中の炭素の重量パーセントは、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%である。好適な炭素質材料の非限定例としては、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェンオキシドおよびカーボンフォームが挙げられる。ある特定の実施形態では、炭素質材料はカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)であってもよく、多層カーボンナノチューブ(MWNT)であってもよい。ある特定の例では、カーボンナノチューブ(例えば、SWNT、MWNT)は、1つまたはそれよりも多くの官能基で官能化されている。好適な官能基の例としては、これらに限定されないが、非置換または置換のアミノ基、アルキル基、アシル基、アリール基、アラルキル基、アミノアルキル基、チオール基およびヒドロキシ基が挙げられる。一部の場合には、アルキル、アシル、アリール、アラルキルおよびアミノアルキル基の炭素原子の数は、約1~10個、約1~20個、または約1~30個の範囲である。ある特定の実施形態では、カーボンナノチューブはアミノ官能化カーボンナノチューブ(例えば、アミノ官能化SWNT、アミノ官能化MWNT)である。
カーボンナノチューブ(CNT)は、任意の好適な大きさであり得る。ある特定の実施形態では、カソードのカーボンナノチューブは、少なくとも約1nm、少なくとも約2nm、少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、少なくとも約15nm、少なくとも約20nm、少なくとも約50nm、または少なくとも約100nmの平均外径を有する。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、約100nmもしくはそれ未満、約50nmもしくはそれ未満、約20nmもしくはそれ未満、約15nmもしくはそれ未満、約10nmもしくはそれ未満、約5nmもしくはそれ未満、約2nmもしくはそれ未満、または約1nmもしくはそれ未満の平均外径を有する。ある特定の実施形態では、カーボンナノチューブは、約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1nm~約50nm、約1nm~約100nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約50nm、約5nm~約100nm、約10nm~約20nm、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約20nm~約50nm、約20nm~約100nm、または約50nm~約100nmの間の範囲の平均外径を有する。CNTの平均外径は、当技術分野で公知の任意の方法に従って測定され得る。CNTの平均外径を測定する例示的な方法は、走査型電子顕微鏡法(SEM)である。
一部の実施形態では、カソードのカーボンナノチューブは、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、少なくとも約2μm、少なくとも約5μm、または少なくとも約10μmの平均長さを有する。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、約10μmもしくはそれ未満、約5μmもしくはそれ未満、約2μmもしくはそれ未満、約1μmもしくはそれ未満、約500nmもしくはそれ未満、約200nmもしくはそれ未満、または約100nmもしくはそれ未満の平均長さを有する。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、約100nm~約500nm、約100nm~約1μm、約100nm~約5μm、約100nm~約10μm、約500nm~約1μm、約500nm~約5μm、約500nm~約10μm、約1μm~約5μm、約1μm~約10μm、または約5μm~約10μmの範囲の平均長さを有する。CNTの平均長さは、当技術分野で公知の任意の方法に従って測定され得る。CNTの平均長さを測定する例示的な方法は、走査型電子顕微鏡法(SEM)である。
電気触媒は、当技術分野で公知の任意の方法に従って、支持体に結合され得る。ある特定の実施形態では、電気触媒は、1つまたはそれよりも多くの共有結合を通して支持体に結合される。ある特定の実施形態では、電気触媒は、1つまたはそれよりも多くの非共有結合相互作用を通して支持体に結合される。好適な非共有結合相互作用の非限定例としては、物理吸着、電荷相互作用、親和性相互作用、疎水性相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、双極子-双極子相互作用およびこれらの組合せが挙げられる。
一部の場合には、電気触媒の支持体への結合は、1種またはそれよりも多くのリンカーによって媒介され得る。一部の実施形態では、リンカーは、2つまたはそれよりも多くの官能基を含む。リンカーは、ホモ官能性リンカー(例えば、1種の官能基を含むリンカー)であってもよく、ヘテロ官能性リンカー(例えば、2種またはそれよりも多くの官能基を含むリンカー)であってもよい。好適なリンカーの非限定例としては、カルボジイミド、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、イソチオシアネート、イミドエステル、ハロアセチル、ピリジルジスルフィドおよびジアジリンが挙げられる。ある特定の例では、1種またはそれよりも多くのリンカーは、電気触媒の少なくとも1個の原子と支持体の少なくとも1個の原子との間の共有結合または非共有結合相互作用の形成を促進する。実例として、カルボジイミドリンカーにより、ヘミン電気触媒のカルボン酸基とアミノ官能化CNTのアミノ基との間のアミド結合の形成を促進することができる。ある特定の例では、1種またはそれよりも多くのリンカーは、電気触媒および支持体の両方と、共有結合的にまたは非共有結合的に会合し得る。ある特定の実施形態では、例えば、電気触媒の少なくとも1個の原子がリンカーと共有結合的にまたは非共有結合的に会合し、同じリンカーが支持体の少なくとも1個の原子と共有結合的にまたは非共有結合的に会合する。
一部の実施形態では、電気化学デバイスはアノード(例えば、図2Aのアノード220)を含む。本明細書で使用される場合、「アノード」という用語は、電位の印加の間に酸化が起こる電極を指す。アノードに好適な材料の非限定例としては、銀、銅、アルミニウム、白金、チタン、グラファイトおよびカーボンナノチューブが挙げられる。
一部の実施形態では、電気化学デバイスは初期電解質混合物をさらに含む。ある特定の実施形態では、初期電解質混合物は溶解塩(例えば、構成成分のカチオンおよびアニオンがもはやイオン結合しない程度まで可溶化されている塩)である。一部の場合には、溶解塩は、カチオン、例えば、Li+、Na+、K+、Ca2+またはMg2+を含む。一部の場合には、溶解塩は、アニオン、例えば、Cl-、ClO4
-、OH-、CO3
2-、またはHCO3-を含む。好適な溶解塩の非限定例としては、NaCl、NaBr、KCl、KBr、LiClO4、NaClO4、KClO4、Na2CO3、K2CO3、Li2CO3、NaHCO3、KHCO3、LiHCO3、Na2SO4、またはこれらの組合せが挙げられる。
一部の実施形態では、初期電解質混合物中の溶解塩の濃度は、少なくとも約10mM、少なくとも約20mM、少なくとも約50mM、少なくとも約100mM、少なくとも約200mM、少なくとも約500mM、少なくとも約1000mMである。一部の実施形態では、初期電解質混合物中の溶解塩の濃度は、約1000mMもしくはそれ未満、約500mMもしくはそれ未満、約200mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約50mMもしくはそれ未満、約20mMもしくはそれ未満、または約10mMもしくはそれ未満である。一部の実施形態では、初期電解質混合物中の溶解塩の濃度は、約10mM~約50mM、約10mM~約100mM、約10mM~約200mM、約10mM~約500mM、約10mM~約1000mM、約50mM~約100mM、約50mM~約200mM、約50mM~約500mM、約50mM~約1000mM、約100mM~約200mM、約100mM~約500mM、約100mM~約1000mM、約200mM~約500mM、約200mM~約1000mM、または約500mM~約1000mMの範囲である。
ある特定の実施形態では、タバコ組成物と少なくとも1種の溶媒とを接触させることによって形成されるタバコ混合物は、初期電解質混合物の少なくとも一部を形成する。したがって、一部の場合には、初期電解質混合物は1種またはそれよりも多くのTSNAを含む。一部の実施形態では、初期電解質混合物は、少なくとも約10μg/L、少なくとも約50μg/L、少なくとも約100μg/L、少なくとも約500μg/L、少なくとも約1mg/L、少なくとも約5mg/L、少なくとも約10mg/L、少なくとも約50mg/L、少なくとも約0.1g/L、少なくとも約0.2g/L、少なくとも約0.3g/L、少なくとも約0.4g/L、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約0.6g/L、少なくとも約0.7g/L、少なくとも約0.8g/L、少なくとも約0.9g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約1.1g/L、少なくとも約1.2g/L、少なくとも約1.3g/L、少なくとも約1.4g/L、少なくとも約1.5g/L、少なくとも約1.6g/L、少なくとも約1.7g/L、少なくとも約1.8g/L、少なくとも約1.9g/L、または少なくとも約2.0g/LのTSNAの濃度を有する。一部の実施形態では、初期電解質混合物は、約10μg/L~約100μg/L、約10μg/L~約500μg/L、約10μg/L~約1mg/L、約10μg/L~約5mg/L、約10μg/L~約10mg/L、約10μg/L~約50mg/L、約10μg/L~約0.1g/L、約10μg/L~約0.5g/L、約10μg/L~約1.0g/L、約10μg/L~約1.5g/L、約10μg/L~約2.0g/L、約100μg/L~約500μg/L、約100μg/L~約1mg/L、約100μg/L~約5mg/L、約100μg/L~約10mg/L、約100μg/L~約50mg/L、約100μg/L~約0.1g/L、約100μg/L~約0.5g/L、約100μg/L~約1.0g/L、約100μg/L~約1.5g/L、約100μg/L~約2.0g/L、約1mg/L~約5mg/L、約1mg/L~約10mg/L、約1mg/L~約50mg/L、約1mg/L~約0.1g/L、約1mg/L~約0.5g/L、約1mg/L~約1.0g/L、約1mg/L~約1.5g/L、約1mg/L~約2.0g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、約0.1g/L~約1.0g/L、約0.1g/L~約1.5g/L、約0.1g/L~約2.0g/L、約0.2g/L~約1.0g/L、約0.2g/L~約1.5g/L、約0.2g/L~約2.0g/L、約0.5g/L~約1.0g/L、約0.5g/L~約1.5g/L、約0.5g/L~約2.0g/L、約1.0g/L~約2.0g/L、または約1.5g/L~約2.0g/Lの範囲のTSNAの濃度を有する。
一部の実施形態では、TSNAに対応するピークが、初期電解質混合物のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI-MS)またはマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI-TOF)スペクトルに現れる。例えば、ある特定の例では、初期電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約208amuのm/zにおいて、NNKイオンに対応するピークを含有する。一部の実施形態では、初期電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約178amuのm/zにおいて、NNNイオンに対応するピークを含有する。
一部の実施形態では、初期電解質混合物はニコチンをさらに含む。一部の場合には、初期電解質混合物は、少なくとも約0.01g/L、少なくとも約0.02g/L、少なくとも約0.05g/L、少なくとも約0.1g/L、少なくとも約0.2g/L、少なくとも約0.3g/L、少なくとも約0.4g/L、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約0.6g/L、少なくとも約0.7g/L、少なくとも約0.8g/L、少なくとも約0.9g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約1.5g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約3g/L、少なくとも約4g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約6g/L、少なくとも約7g/L、少なくとも約8g/L、少なくとも約9g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約50g/L、または少なくとも約100g/Lのニコチン濃度を有する。ある特定の実施形態では、初期電解質混合物は、約0.01g/L~約0.1g/L、約0.01g/L~約0.5g/L、約0.01g/L~約1g/L、約0.01g/L~約5g/L、約0.01g/L~約10g/L、約0.01g/L~約50g/L、約0.01g/L~約100g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、約0.05g/L~約0.5g/L、約0.05g/L~約1g/L、約0.05g/L~約5g/L、約0.05g/L~約10g/L、約0.05g/L~約50g/L、約0.05g/L~約100g/L、約0.1g/L~約1g/L、約0.1g/L~約5g/L、約0.1g/L~約10g/L、約0.1g/L~約50g/L、約0.1g/L~約100g/L、約0.5g/L~約1g/L、約0.5g/L~約5g/L、約0.5g/L~約10g/L、約0.5g/L~約50g/L、約0.5g/L~約100g/L、約1g/L~約5g/L、約1g/L~約10g/L、約1g/L~約50g/L、約1g/L~約100g/L、約5g/L~約10g/L、約5g/L~約50g/L、約5g/L~約100g/L、約10g/L~約50g/L、約10g/L~約100g/L、または約50g/L~約100g/Lの範囲のニコチン濃度を有する。
一部の実施形態では、ニコチンに対応するピークが、初期電解質混合物のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI-MS)またはマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI-TOF)スペクトルに現れる。ある特定の実施形態では、例えば、初期電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約163amuの範囲のm/zにおいて、ニコチンカチオンに対応するピークを含有する。ある特定の実施形態では、初期電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約164amuのm/zにおいて、重水素化ニコチンカチオンに対応するピークを含有する。
ある特定の実施形態によると、初期電解質混合物は少なくとも1種の溶媒を含む。溶媒は、溶解塩を少なくとも部分的に溶解することが可能な任意の液体であり得る。ある特定の実施形態では、溶媒は水性溶媒である。一部の例では、例えば、溶媒は、H2Oおよび/またはD2Oを含む。ある特定の実施形態では、溶媒は有機溶媒である。好適な有機溶媒の非限定例としては、アルコール(これらに限定されないが、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールを含む)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、石油エーテル、クロロホルム、塩化メチレン、トルエンまたはこれらの組合せが挙げられる。ある特定の例では、初期電解質混合物は溶液である。ある特定の例では、例えば、初期電解質混合物は、少なくとも約50wt%、少なくとも約75wt%、少なくとも約90wt%、または少なくとも約95wt%の量の水を含む水溶液である。ある特定の例では、初期電解質混合物は懸濁液である。
一部の実施形態では、初期電解質混合物は酸性である。ある特定の実施形態では、初期電解質混合物は、約7.0もしくはそれ未満、約6.0もしくはそれ未満、約5.0もしくはそれ未満、約4.0もしくはそれ未満、約3.0もしくはそれ未満、約2.5もしくはそれ未満、約2.0もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、または約1.0もしくはそれ未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、初期電解質混合物は、約1.0~約2.0、約1.0~約2.5、約1.0~約3.0、約1.0~約4.0、約1.0~約5.0、約1.0~約6.0、または約1.0~約7.0の間のpHを有する。一部の場合には、初期電解質混合物のpHは、初期電解質混合物に1種またはそれよりも多くの酸を添加することによって調整(例えば、低下)され得る。好適な酸の例としては、これらに限定されないが、HCl、DCl、H2SO4、H3PO4、CH3COOHおよびHNO3が挙げられる。
一部の実施形態では、初期電解質混合物は、比較的低温である。一部の場合には、これにより、環境破壊をもたらし得るTSNAの気相への蒸発が有利に回避され得る。一部の実施形態では、初期電解質混合物は、約60□もしくはそれ未満、約50□もしくはそれ未満、約40□もしくはそれ未満、約30□もしくはそれ未満、約25□もしくはそれ未満、約20□もしくはそれ未満、または約10□もしくはそれ未満の温度を有する。一部の実施形態では、初期電解質混合物は、約10□~約25□、約10□~約30□、約10□~約40□、約10□~約50□、約10□~約60□、約20□~約25□、約20□~約30□、約20□~約40□、約20□~約50□、約20□~約60□、約30□~約40□、約30□~約50□、約30□~約60□、約40□~約50□、約40□~約60□、または約50□~約60□の間の範囲の温度を有する。一部の実施形態では、初期電解質混合物は周囲温度である。ある特定の場合には、初期電解質混合物は、約20□~約23□、約20□~約25□、約21□~約23□、約21□~約25□、約22□~約23□、約22□~約25□、約23□~約25□、または約24□~約25□の間の温度を有する。
本明細書に記載のある特定の実施形態は、電気化学デバイスのアノードとカソードとの間に電位を印加するステップを含む。一部の実施形態では、印加電位は負電圧電位である。負電圧電位は、一部の場合には、比較的低いことがある。一部の例では、比較的低い電位は、TSNAの還元に伴うエネルギー消費を有利に減少させ得る。一部の場合には、電位の絶対値は、約4.0Vもしくはそれ未満、約3.0Vもしくはそれ未満、約2.5Vもしくはそれ未満、約2.0Vもしくはそれ未満、約1.5Vもしくはそれ未満、約1.0Vもしくはそれ未満、約0.5Vもしくはそれ未満、約0.4Vもしくはそれ未満、約0.3Vもしくはそれ未満、約0.2Vもしくはそれ未満、または約0.1Vもしくはそれ未満である。一部の実施形態では、電位の絶対値は、約0.0V~約0.1V、約0.0V~約0.2V、約0.0V~約0.3V、約0.0V~約0.4V、約0.0V~約0.5V、約0.0V~約0.6V、約0.0V~約0.7V、約0.0V~約0.8V、約0.0V~約0.9V、約0.0V~約1V、約0.0V~約1.5V、約0.0V~約2.0V、約0.0V~約2.5V、約0.0V~約3.0V、または約0.0V~約4.0Vの間の範囲である。一部の実施形態では、印加電位は、約0.0V~約-0.1V、約0.0V~約-0.2V、約0.0V~約-0.3V、約0.0V~約-0.4V、約0.0V~約-0.5V、約0.0V~約-1.0V、約0.0V~約-1.5V、約0.0V~約-2.0V、約0.0V~約-2.5V、約0.0V~約-3.0V、約0.0V~約-4.0V、約0.0V~約-5.0V、約-0.1V~約-0.2V、約-0.1V~約-0.3V、約-0.1V~約-0.4V、約-0.1V~約-0.5V、約-0.1V~約-1.0V、約-0.1V~約-1.5V、約-0.1V~約-2.0V、約-0.1V~約-2.5V、約-0.1V~約-3.0V、約-0.1V~約-4.0V、約-0.1V~約-5.0V、約-0.2V~約-0.5V、約-0.2V~約-1.0V、約-0.2V~約-1.5V、約-0.2V~約-2.0V、約-0.2V~約-2.5V、約-0.2V~約-3.0V、約-0.2V~約-4.0V、約-0.2V~約-5.0V、約-0.5V~約-1.0V、約-0.5V~約-1.5V、約-0.5V~約-2.0V、約-0.5V~約-2.5V、約-0.5V~約-3.0V、約-0.5V~約-4.0V、または約-0.5V~約-5.0Vの間の範囲である。
一部の実施形態では、印加電位は、ある期間にわたって印加される。期間は、一部の実施形態では、比較的短いことがある。一部の実施形態では、期間は、約60分もしくはそれ未満、約30分もしくはそれ未満、約20分もしくはそれ未満、約15分もしくはそれ未満、約10分もしくはそれ未満、約5分もしくはそれ未満、または約1分もしくはそれ未満である。一部の実施形態では、期間は、少なくとも約1分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、または少なくとも約60分である。一部の実施形態では、期間は、約1分~約5分、約1分~約10分、約1分~約30分、約1分~約60分、約5分~約10分、約5分~約15分、約5分~約30分、約5分~約60分、約10分~約30分、約10分~約60分、または約30分~約60分の間である。
一部の実施形態では、アノードとカソードとの間に電位を印加することにより、初期電解質混合物中の1種またはそれよりも多くのTSNAが(例えば、1種またはそれよりも多くのアミン、1種またはそれよりも多くのヒドラジンに)選択的に還元され、還元電解質混合物が生成される。したがって、一部の例では、還元電解質混合物は、初期電解質混合物に対して、TSNAのより低い濃度を有する。一部の実施形態では、還元電解質混合物は、約0.1g/Lもしくはそれ未満、約0.09g/Lもしくはそれ未満、約0.08g/Lもしくはそれ未満、約0.07g/Lもしくはそれ未満、約0.06g/Lもしくはそれ未満、約0.05g/Lもしくはそれ未満、約0.04g/Lもしくはそれ未満、約0.03g/Lもしくはそれ未満、約0.02g/Lもしくはそれ未満、約0.01g/Lもしくはそれ未満、約5mg/Lもしくはそれ未満、約1mg/Lもしくはそれ未満、約500μg/Lもしくはそれ未満、約100μg/Lもしくはそれ未満、約50μg/Lもしくはそれ未満、約10μg/Lもしくはそれ未満、約5μg/Lもしくはそれ未満、約1μg/Lもしくはそれ未満のTSNAの濃度を有する。一部の実施形態では、還元電解質混合物は、約1μg/L~約10μg/L、約1μg/L~約100μg/L、約1μg/L~約500μg/L、約1μg/L~約1mg/L、約1μg/L~約5mg/L、約1μg/L~約10mg/L、約1μg/L~約50mg/L、約1μg/L~約0.1g/L、約10μg/L~約100μg/L、約10μg/L~約500μg/L、約10μg/L~約1mg/L、約10μg/L~約5mg/L、約10μg/L~約10mg/L、約10μg/L~約50mg/L、約10μg/L~約0.1g/L、約100μg/L~約500μg/L、約100μg/L~約1mg/L、約100μg/L~約5mg/L、約100μg/L~約10mg/L、約100μg/L~約50mg/L、約100μg/L~約0.1g/L、約1mg/L~約5mg/L、約1mg/L~約10mg/L、約1mg/L~約50mg/L、約1mg/L~約0.1g/L、約10mg/L~約50mg/L、約10mg/L~約0.1g/L、または約50mg/L~約0.1g/Lの範囲のTSNAの濃度を有する。
一部の場合には、初期電解質混合物中のTSNAの濃度と還元電解質混合物中のTSNAの濃度との間の差は、比較的大きい。ある特定の実施形態では、差は、少なくとも約0.001g/L、少なくとも約0.005g/L、少なくとも約0.01g/L、少なくとも約0.05g/L、少なくとも約0.1g/L、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約1.0g/L、少なくとも約1.5g/L、または少なくとも約1.9g/Lである。一部の実施形態では、差は、約0.001g/L~約0.005g/L、約0.001g/L~約0.01g/L、約0.001g/L~約0.05g/L、約0.01g/L~約0.1g/L、約0.01g/L~約0.5g/L、約0.01g/L~約1.0g/L、約0.01g/L~約1.5g/L、約0.01g/L~約1.9g/L、約0.01g/L~約0.05g/L、約0.01g/L~約0.1g/L、約0.01g/L~約0.5g/L、約0.01g/L~約1.0g/L、約0.01g/L~約1.5g/L、約0.01g/L~約1.9g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、約0.1g/L~約1.0g/L、約0.1g/L~約1.5g/L、約0.1g/L~約1.9g/L、約0.5g/L~約1.0g/L、約0.5g/L~約1.5g/L、約0.5g/L~約1.9g/L、約1.0g/L~約1.5g/L、約1.0g/L~約1.9g/L、または約1.5g/L~約1.9g/Lの範囲である。
一部の実施形態では、TSNAに対応するピークは、還元電解質混合物のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI-MS)またはマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI-TOF)スペクトルには現れない。例えば、ある特定の実施形態では、還元電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約208amuのm/zにおいてNNKイオンに対応するピークを有さない。一部の実施形態では、還元電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約178amuのm/zにおいてNNNイオンに対応するピークを有さない。
一部の実施形態では、TSNAの還元種に対応する1つまたはそれよりも多くのピークが、還元電解質混合物のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI-MS)またはマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI-TOF)スペクトルに現れる。ある特定の実施形態では、例えば、還元電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約195amu~約197amuの範囲のm/zにおいて、ヒドラジンカチオンおよび/または重水素化ヒドラジンカチオンに対応する1つまたはそれよりも多くのピークを含有する。一部の実施形態では、ESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約164amuのm/zにおいて、2-(ピリジン-3-イル)ピロリジン-1-アミニウムに対応するピークを含有する。
一部の実施形態では、アノードとカソードとの間に電位を印加することにより、初期電解質混合物中に存在するニコチンは還元されない(または、そうでなければその化学組成は変化されない)。したがって、一部の場合には、還元電解質混合物は、比較的高いニコチン濃度を有する。一部の場合には、還元電解質混合物は、少なくとも約0.01g/L、少なくとも約0.02g/L、少なくとも約0.05g/L、少なくとも約0.1g/L、少なくとも約0.2g/L、少なくとも約0.3g/L、少なくとも約0.4g/L、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約0.6g/L、少なくとも約0.7g/L、少なくとも約0.8g/L、少なくとも約0.9g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約1.5g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約3g/L、少なくとも約4g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約6g/L、少なくとも約7g/L、少なくとも約8g/L、少なくとも約9g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約50g/L、または少なくとも約100g/Lのニコチン濃度を有する。ある特定の実施形態では、還元電解質混合物は、約0.01g/L~約0.1g/L、約0.01g/L~約0.5g/L、約0.01g/L~約1g/L、約0.01g/L~約5g/L、約0.01g/L~約10g/L、約0.01g/L~約50g/L、約0.01g/L~約100g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、約0.05g/L~約0.5g/L、約0.05g/L~約1g/L、約0.05g/L~約5g/L、約0.05g/L~約10g/L、約0.05g/L~約50g/L、約0.05g/L~約100g/L、約0.1g/L~約1g/L、約0.1g/L~約5g/L、約0.1g/L~約10g/L、約0.1g/L~約50g/L、約0.1g/L~約100g/L、約0.5g/L~約1g/L、約0.5g/L~約5g/L、約0.5g/L~約10g/L、約0.5g/L~約50g/L、約0.5g/L~約100g/L、約1g/L~約5g/L、約1g/L~約10g/L、約1g/L~約50g/L、約1g/L~約100g/L、約5g/L~約10g/L、約5g/L~約50g/L、約5g/L~約100g/L、約10g/L~約50g/L、約10g/L~約100g/L、または約50g/L~約100g/Lの範囲のニコチン濃度を有する。
一部の実施形態では、ニコチンに対応するピークが、還元電解質混合物のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI-MS)またはマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI-TOF)スペクトルに現れる。ある特定の実施形態では、例えば、還元電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約163amuの範囲のm/zにおいて、ニコチンカチオンに対応するピークを含有する。ある特定の実施形態では、還元電解質混合物のESI-MSおよび/またはMALDI-TOFスペクトルは、約164amuのm/zにおいて、重水素化ニコチンカチオンに対応するピークを含有する。
一部の実施形態では、アノードとカソードとの間に電位を印加するステップは、比較的低温で実施される。一部の場合には、これにより、環境破壊をもたらし得るTSNAの気相への蒸発が有利に回避され得る。一部の実施形態では、電位は、約60□もしくはそれ未満、約50□もしくはそれ未満、約40□もしくはそれ未満、約30□もしくはそれ未満、約25□もしくはそれ未満、約20□もしくはそれ未満、または約10□もしくはそれ未満の温度で印加される。一部の実施形態では、電位は、約10□~約25□、約10□~約30□、約10□~約40□、約10□~約50□、約10□~約60□、約20□~約25□、約20□~約30□、約20□~約40□、約20□~約50□、約20□~約60□、約30□~約40□、約30□~約50□、約30□~約60□、約40□~約50□、約40□~約60□、または約50□~約60□の間の範囲の温度で印加される。一部の実施形態では、電位は、周囲温度で印加される。ある特定の場合には、電位は、約20□~約23□、約20□~約25□、約21□~約23□、約21□~約25□、約22□~約23□、約22□~約25□、約23□~約25□、または約24□~約25□の間の温度で印加される。
一部の実施形態では、還元電解質混合物は比較的低温である。一部の実施形態では、還元電解質混合物は、約60□もしくはそれ未満、約50□もしくはそれ未満、約40□もしくはそれ未満、約30□もしくはそれ未満、約25□もしくはそれ未満、約20□もしくはそれ未満、または約10□もしくはそれ未満の温度を有する。一部の実施形態では、還元電解質混合物は、約10□~約25□、約10□~約30□、約10□~約40□、約10□~約50□、約10□~約60□、約20□~約25□、約20□~約30□、約20□~約40□、約20□~約50□、約20□~約60□、約30□~約40□、約30□~約50□、約30□~約60□、約40□~約50□、約40□~約60□、または約50□~約60□の間の範囲の温度を有する。一部の実施形態では、還元電解質混合物は周囲温度である。ある特定の場合には、還元電解質混合物は、約20□~約23□、約20□~約25□、約21□~約23□、約21□~約25□、約22□~約23□、約22□~約25□、約23□~約25□、または約24□~約25□の間の温度を有する。
一部の実施形態では、還元電解質混合物は酸性である。ある特定の実施形態では、還元電解質混合物は、約7.0もしくはそれ未満、約6.0もしくはそれ未満、約5.0もしくはそれ未満、約4.0もしくはそれ未満、約3.0もしくはそれ未満、約2.5もしくはそれ未満、約2.0もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、または約1.0もしくはそれ未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、還元電解質混合物は、約1.0~約2.0、約1.0~約2.5、約1.0~約3.0、約1.0~約4.0、約1.0~約5.0、約1.0~約6.0、または約1.0~約7.0の間のpHを有する。
一部の実施形態では、還元電解質混合物は、有利には、ヒトに毒性であると考えられる任意の構成成分(例えば、毒性金属)を含まない。したがって、一部の実施形態では、還元電解質混合物は消費者向けタバコ製品に組み込まれ得る。
ある特定の実施形態では、本方法は、還元電解質混合物からタバコ基材を形成するステップをさらに含む。タバコ基材は、固体、液体、水溶液、非水溶液、懸濁液、スラリーまたはゲルであり得る。ある特定の実施形態では、タバコ基材は、室温~約37℃および約37℃~約200℃の範囲のゾルゲル遷移温度を有する熱可逆性ゲルである。一部の実施形態では、タバコ基材は、エアロゾル生成基材の少なくとも一部を形成する。エアロゾル生成基材は、固体、液体、水溶液、非水溶液、懸濁液、スラリーまたはゲルであり得る。例示的な非限定例として、エアロゾル生成基材は、e-リキッド含有タバコ抽出物を含み得る。
ある特定の実施形態では、本方法は、タバコ基材から喫煙用品を形成するステップをさらに含む。本開示によると、「喫煙用品」は、その中でエアロゾル生成基材からニコチン含有エアロゾルが生成され得る「エアロゾル生成用品」を含み得る。ある特定の実施形態では、エアロゾル生成基材はタバコ基材を含む。一部の実施形態では、ニコチン含有エアロゾルは、エアロゾル生成基材の燃焼を通して生成される。ある特定の実施形態では、例えば、喫煙用品は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、またはその中でエアロゾル生成基材に火がつけられ、燃焼されてニコチン含有エアロゾル(例えば、煙)が生成される、他の物品である。一部の実施形態ではニコチン含有エアロゾルは、エアロゾル生成基材を燃焼することなく、加熱によって生成される。ある特定の場合には、エアロゾル生成基材は、エアロゾルを生成するための1種またはそれより多くの発熱体によって加熱され得る。一部の実施形態では、ニコチン含有エアロゾルは、加熱することなく、例えば、化学反応を通して生成される。ある特定の例では、ニコチン含有エアロゾルは、可燃性または化学的熱源から、熱源内、その周囲または下流に配置され得る、物理的に分離されたエアロゾル生成基材への熱の伝達によって生成される。
ある特定の態様は、タバコ基材を形成するための、本明細書に記載の方法によって形成される還元電解質混合物の使用に関する。タバコ基材は、固体、液体、水溶液、非水溶液、懸濁液、スラリーまたはゲルであり得る。ある特定の実施形態では、タバコ基材は、室温~約37℃および約37℃~約200℃の範囲のゾルゲル遷移温度を有する熱可逆性ゲルである。一部の実施形態では、タバコ基材は、エアロゾル生成基材の少なくとも一部を形成する。エアロゾル生成基材は、固体、液体、水溶液、非水溶液、懸濁液、スラリーまたはゲルであり得る。例示的な非限定例として、エアロゾル生成基材は、e-リキッド含有タバコ抽出物を含み得る。
ある特定の態様は、喫煙用品を形成するための、タバコ基材の使用に関する。一部の実施形態では、喫煙用品は、その中でエアロゾル生成基材からニコチン含有エアロゾルが生成され得るエアロゾル生成用品を含む。ある特定の実施形態では、エアロゾル生成基材はタバコ基材を含む。一部の実施形態では、ニコチン含有エアロゾルは、エアロゾル生成基材の燃焼を通して生成される。ある特定の実施形態では、例えば、喫煙用品は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、またはその中でエアロゾル生成基材に火がつけられ、燃焼されてニコチン含有エアロゾル(例えば、煙)が生成される、他の物品である。一部の実施形態では、ニコチン含有エアロゾルは、エアロゾル生成基材を燃焼することなく、加熱によって生成される。ある特定の場合には、エアロゾル生成基材は、エアロゾルを生成するための1種またはそれより多くの発熱体によって加熱され得る。一部の実施形態では、ニコチン含有エアロゾルは、加熱することなく、例えば、化学反応を通して生成される。ある特定の例では、ニコチン含有エアロゾルは、可燃性または化学的熱源からの、熱源内、その周囲または下流に配置され得る、物理的に分離されたエアロゾル生成基材への熱の伝達によって生成される。
ある特定の態様は、本明細書に記載のタバコ特異的ニトロソアミンを低減するための方法によって形成される還元電解質混合物を含むタバコ基材に関する。一部の実施形態では、本方法は、初期電解質混合物を、アノードおよびカソードと接触させるステップを含み、初期電解質混合物は、ニコチン、タバコ特異的ニトロソアミン、溶解塩および少なくとも1種の溶媒を含む。一部の実施形態では、本方法は、アノードとカソードとの間に電位を印加して、還元電解質混合物を形成するステップをさらに含み、還元電解質混合物中のタバコ特異的ニトロソアミンの濃度は、初期電解質混合物中のタバコ特異的ニトロソアミンの濃度よりも低い。
一部の実施形態では、タバコ基材は、固体、液体、水溶液、非水溶液、懸濁液、スラリーまたはゲルである。タバコ基材は、一部の例では、エアロゾル生成基材の少なくとも一部を形成し得る。一部の実施形態では、エアロゾル生成基材は、固体、液体、水溶液、非水溶液、懸濁液、スラリーまたはゲルである。例示的な非限定例として、エアロゾル生成基材は、e-リキッド含有タバコ抽出物を含み得る。
ある特定の態様は、タバコ基材を含む喫煙用品であって、前記タバコ基材が、本明細書に記載のタバコ特異的ニトロソアミンを低減するための方法によって形成される還元電解質混合物を含む、喫煙用品に関する。一部の実施形態では、本方法は、初期電解質混合物を、アノードおよびカソードと接触させるステップを含み、初期電解質混合物は、ニコチン、タバコ特異的ニトロソアミン、溶解塩および少なくとも1種の溶媒を含む。一部の実施形態では、本方法は、アノードとカソードとの間に電位を印加して、還元電解質混合物を形成するステップをさらに含み、還元電解質混合物中のタバコ特異的ニトロソアミンの濃度は、初期電解質混合物中のタバコ特異的ニトロソアミンの濃度よりも低い。
一部の実施形態では、喫煙用品は、その中でエアロゾル生成基材からニコチン含有エアロゾルが生成され得るエアロゾル生成用品を含む。ある特定の実施形態では、タバコ基材は、エアロゾル生成基材の少なくとも一部を形成する。一部の実施形態では、ニコチン含有エアロゾルは、エアロゾル生成基材の燃焼を通して生成される。ある特定の実施形態では、例えば、喫煙用品は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、またはその中でエアロゾル生成基材に火がつけられ、燃焼されてニコチン含有エアロゾル(例えば、煙)が生成される、他の物品である。一部の実施形態ではニコチン含有エアロゾルは、エアロゾル生成基材を燃焼することなく、加熱によって生成される。ある特定の場合には、エアロゾル生成基材は、エアロゾルを生成するための1種またはそれより多くの発熱体によって加熱され得る。一部の実施形態では、ニコチン含有エアロゾルは、加熱することなく、例えば、化学反応を通して生成される。ある特定の例では、ニコチン含有エアロゾルは、可燃性または化学的熱源からの、熱源内、その周囲または下流に配置され得る、物理的に分離されたエアロゾル生成基材への熱の伝達によって生成される。
(実施例1)
この実施例は、触媒電極材料の調製および関連する電気化学測定に関する。
材料。フェリプロトポルフィリンIXクロリド(ウシ由来のヘミン、90%を超えるかまたはこれに等しい)、カーボンナノチューブ(多層、外径(O.D.)×長さ(L)=6~9nm×5μm、炭素95%超)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(結晶、99%、EDAC)、(±)-ニコチン(TLCにより99%を超えるかまたはこれに等しい)、N’-ニトロソノルニコチン(分析用標準、NNN)、4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジニル)-1-ブタノン(分析用標準、NNK)をすべて、Sigma-Aldrichから得た。アミノ官能化多層カーボンナノチューブ(外径20nm未満、内径4nm、灰0wt%、純度:99wt%超、CNT-NH2)を、Cheap Tubes,Inc.(Cambridgeport、VT)から得た。Toray Paper(炭素繊維複合体カーボンペーパー)を、Electrochem Inc.(Woburn、MA)から得た。
ヘミン-CNT共役体の合成。ヘミン100mgを、20mM水性NaOH 30mLに溶解して、溶液Aを得た。EDAC 400mgを、脱イオン水(pH7.4、20mL)で10倍希釈したリン酸緩衝食塩水に溶解して、溶液Bを得た。ナノチューブCNT-NH2 100mgを、脱イオン水(pH7.4)で10倍希釈したリン酸緩衝食塩水に懸濁させ、懸濁液を氷冷浴中で15分間超音波処理した。次いで、懸濁液を溶液Bと混合し、続いて溶液Aと混合した。得られた黒色懸濁液を、室温で8時間振盪し、過剰の脱イオン水に対して透析した(膜MWCO、12~14kDa)。次いで、懸濁液を、9,000rpmで5分間遠心分離し、上清から粒子を分離し、超音波処理により脱イオン水中で再懸濁させ、遠心分離によって再度分離した。洗浄工程を3回繰り返した。得られた湿CNT-ヘミン材料を液体窒素中で急速冷凍し、凍結乾燥させた。
作用電極の調製。作用電極を、はんだ付けによって伝導性銅テープおよびワイヤに接続されたTorayペーパーの2×1cm小片から調製した。銅ワイヤを用いて、電極を、2mmのバナナコネクタおよびミニクロコダイルクリップによってポテンショスタットUSBケーブルに接続した。ヘミン-CNT電極を、ドロップキャストによって調製した。10mLの無水クロロホルム中ヘミン-CNTの懸濁原液80mg(Sigma-Aldrich)を、氷のような水中で15分間超音波処理して、分散を最適化した。次いで、50μLの得られた懸濁液を、作用電極のTorayペーパー部分にドロップキャストし、一定重量に達するまで、空気中25℃で乾燥させた。
測定。サイクリックボルタンメトリー(CV)およびクロノアンペロメトリー測定を、作用電極(上記)、3M NaCl水溶液を充填した基準Ag/AgCl基準電極および白金ワイヤ補助電極からなる3電極電解装置(microcell assembly MF1065、Bioanalytical Systems,Inc.、West Lafayette、IN)を使用して、VersaSTAT3ポテンショスタット(Princeton Applied Research、Oak Ridge、TN)により実施した。重水(D2O、pD約1)中重塩酸(DCl)中LiClO4の0.15M溶液を、電解質として使用した。電解質を、測定の前に窒素流でパージしたが、これはすべて25℃で行った。電解質は、試験のために測定された濃度のニコチン、NNKおよびNNNを含有した。
例示的なサイクリックボルタンメトリーの結果を図3に示す。詳細には、図3は、スキャン速度10mV、pH1.0および25℃での、ニコチンおよびNNKの例示的サイクリックボルタンメトリー結果を示している。電解質は、NNK(初期濃度0.4g/Lもしくは1.9mM)またはニコチン(初期濃度1g/Lもしくは6.2mM)の水溶液(D2O/DCl)中0.15M LiClO4であった。作用電極はTorayカーボンペーパー上ヘミン-CNTであり、基準電極はAg/AgClであり、補助電極はPtワイヤであった。
図3に示されるように、NNKにより、初期濃度が3.2倍低いにも関わらず、負電位でニコチンよりも有意に高い電流が生成された。理論によって縛られることなく、このことは、1の酸性pHにおけるNNKの接触電気還元によって説明され得る。NNKとは対照的に、ニコチンは、還元され得る化学部分を欠き、したがって、ほとんど電流が生成されない。還元を完了するために、上記の電解質および電気化学設定の各NNK溶液を-1.5Vの定電位に10分間曝した(クロノアンペロメトリー実験)。対照実験では、ニコチン溶液に同一の処理を行った。
クロノアンペロメトリー測定の結果を図4に示す。NNKは、-1.5Vの定負電位で維持されたヘミン-CNT電極表面において生成された電子によって、酸性水溶液中で還元された。詳細には、図4は、還元電位-1.5V、pH1.0および25℃での、NNKおよびニコチンのクロノアンペロメトリー結果を示している。電解質は、NNK(初期濃度0.4g/Lもしくは1.9mM)またはニコチン(初期濃度1g/Lもしくは6.2mM)の水溶液(D2O/DCl)中0.15M LiClO4であった。作用電極はTorayカーボンペーパー上ヘミン-CNTであり、基準電極はAg/AgClであり、補助電極は白金ワイヤであった。
図4に示されるように、電流は時間とともに減衰したが、これは還元反応が、NNK種の電極表面への拡散によって制限されたことを示している。対照的に、-1.5Vの電位で同一条件下で維持されたニコチン溶液の場合、顕著な電流の減衰は観察されず、これは、カソードで生じた明らかな電気化学反応が、水素泡の出現がもたらされる水の還元(2H+(aq)+2e-→H2(g))のみであったことを示している。
(実施例2)
この実施例では、実施例1において記載の通りに-1.5Vの定電位に10分間曝露されたNNK溶液を、質量分析にかけた。質量スペクトルは、160mmボア4.7テスラのアクティブシールド磁石を備えるBruker Apex IV FT-ICR質量分析計(Bruker Daltonics Inc.、Billerica、MA)およびApollo I エレクトロスプレーイオン化源を使用して得た。サンプルを、5mL/分の流量でCole Palmerシリーズ74900シリンジポンプを使用して、質量分析計に直接注入した。イオンを、ネブライザーのN2気体圧40psiおよび30psiにおける乾燥気体温度200℃で、陽および陰イオンモードで生成した。較正標準はAgilent ESI Tuning mixであった。日較正についての誤差範囲は、152m/z~1521m/z±5ppm以内である。
図5は、約1のpHにおいて-1.5Vで10分間の電気還元を受けたNNK溶液のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI-MS)を示している。1ng/gの検出下限で、m/z(amu)208.1における前駆体NNKイオン[NNK+H]または178.1および122.0のm/zにおけるその生成物イオンの存在は検出できなかった。しかし、m/z195amu領域において、ヒドラジンNNK-NH(CH3)-NH3
+カチオンおよびその重水素化種の存在は、明確に同定された(図5)。したがって、NNKの電気還元が確認された。理論に縛られることなく、NNKからの重水素交換4-(1-メチルヒドラジニル)-1-(ピリジン-3-イル)ブタン-1-オンカチオン(m/z計算値:195.14(100.0%)、196.14(11.0%)、196.13(1.1%))の電気化学形成を図6に図示する。図6は、DClの存在下、酸性水性媒体中でのNNKのヒドラジンへの電気還元の例示的な略図を示している。
ニコチンが上記のNNKについてのものと同一の電気化学的処理を受ける対照実験の結果を、図7に提示する。詳細には、図7は、約1のpHで10分間の、ヘミン-CNTカソードにおける-1.5Vの還元電位でクロノアンペロメトリーを受けたニコチンのエレクトロスプレーイオン化質量スペクトルを示している。対応するカチオン種の構造およびm/z計算値も示される。図7から、質量スペクトルが、電気化学的処理によって変化しなかった[ニコチンH]カチオンに非常に良好に対応したことが分かる。他のニコチン種は同定されなかった。
(実施例3)
この実施例では、ニコチンとのその混合物におけるNNK還元の選択性を確認した。ニコチンおよび0.15M LiClO4を含有するNNK水溶液の混合物を調製し、得られたニコチンおよびNNK濃度は、それぞれ1g/L(6.2mM)および0~4g/L(1.9mM)であった。pHを、重塩酸(DCl)によって約1.0に調整した。混合物(合計5mL)を、実施例1におけるように、3電極電解装置に投入した。混合物を、窒素流によって脱気し、実施例1におけるように、-1.5Vの還元電位を印加するクロノアンペロメトリー実験を行った。
元の混合物および電気化学的還元を受けた混合物の小アリコートを、パルスイオン抽出および可変繰返率を有する窒素レーザーを用いたmicroScout Ion Sourceを備えるmicroflex(商標)LTベンチトップ直線MALDI-TOF質量分析計(Bruker Daltonics、Bremen、Germany)によるマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI-TOF)質量分析を使用する分析にかけた。スペクトルを、ポジティブリニアモード(遅延:170n秒、イオン源1(IS1)電圧:20kV、イオン源2(IS2)電圧:16.65kV、レンズ電圧:7.20kV、質量範囲:100Da~1kDa)で記録した。各スペクトルを、可変レーザー出力での自動モードにおける240回のショットの後に得、捕捉時間はスポット当たり120秒であった。スペクトル捕捉のためのマトリクスはなかった。
分析の結果を図8に示す。詳細には、図8は、元のNNKおよびニコチン混合物、ならびに約1のpHおよび約25□の温度で10分間、-1.5Vの還元電位で電気化学的還元を受けた同じ混合物のMALDI-TOFスペクトルを示している。初期NNK濃度は、0.4g/L(1.9mM)であり、初期ニコチン濃度は1g/L(6.2mM)であった。作用電極はTorayカーボンペーパー上ヘミン-CNTであり、基準電極はAg/AgClであり、補助電極はPtワイヤであった。電気還元の結果として、元のNNKイオンに対応するピーク(m/z207~208amu)が消えた一方、195および197amuにおいて重水素交換ヒドラジンフラグメントに対応するピーク(図6)が現れた。結果は、NNKが電気還元された一方、ニコチンはインタクトなままであった(m/z163amu)ことを実証した。
(実施例4)
この実施例では、発がん性タバコ特異的ニトロソアミンであるNNNの、酸性水溶液中での電気還元を実証した。NNN溶液を、0.2g/L(1.1mM)のNNN濃度で、実施例3に記載の通りに調製し、pHを2M水性HClによって1.5に調整した。溶液を、電解装置中に置き、実施例1および3に記載の通りに、-1.5Vの還元電位にかけた。元の混合物および電気化学的還元を受けた混合物の小アリコートを、MALDI-TOF質量分析を使用する分析にかけた(図9)。質量分析により、元の[NNN+H]イオン(m/z178amu)が2-(ピリジン-3-イル)ピロリドン-1-アミニウム(m/z164amu、図10を参照されたい)に還元されたことが実証された。電解還元後、NNNの痕跡は検出されなかった(つまり、NNN濃度は感度レベル未満であった)。イオンフラグメント、例えば、3-(ピロリジン-2-イル)ピリジン-1-イウム(m/z149amu)、N-メチレン-1-(ピリジン-3-イル)メタンイミニウム(m/z119amu)、(ピリジン-3-イルメチリジン)アンモニウム(m/z105amu)も、組合せ演算および文献データを使用して同定した。
図9は、NNNおよび-1.5Vの定電位で10分間の電気化学的還元後のその生成物のMALDI-TOFスペクトルを示している。NNN濃度は、0.2g/L(1.1mM)であった。電解質は、0.15M LiClO4(pHをHClによって1.5に調整した)であった。作用電極はTorayカーボンペーパー上ヘミン-CNTであり、基準電極はAg/AgClであり、補助電極はPtワイヤであった。
図10は、酸性溶液中でのNNNの電気還元の例示的な略図を示している。図9のデータとマッチするm/z演算値も、提示する。
本明細書において、本発明のいくつかの実施形態が記載および例示されているが、当業者であれば、機能を実施する、ならびに/または本明細書に記載の結果および/もしくは利点のうちの1つもしくはそれより多くを得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形および/または改変の各々は本発明の範囲内であると考えられる。より一般には、当業者であれば、本明細書に記載のすべてのパラメーター、寸法、材料および構成が例示的であることを意味されること、ならびに実際のパラメーター、寸法、材料および/または構成が、本発明の教示が使用される1つまたはそれより多くの具体的な用途に依存することを容易に認識する。当業者であれば、日常的な実験法のみを使用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識するか、または確かめることができる。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示されること、ならびに添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、具体的に記載および特許請求された通りとは別な方法で本発明が実施され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載の各個別の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾しない場合、2つまたはそれよりも多くのそのような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せが、本発明の範囲内に含まれる。
このように記載された、少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様により、当業者は様々な変更、改変および改善を容易に想起することが認識されるべきである。そのような変更、改変および改善は、本開示の趣旨および範囲内であることが意図される。したがって、前述の記載および図面は、例に過ぎない。
本開示の様々な特徴および態様は、単独で使用されてもよく、2つまたはそれよりも多くの任意の組合せで使用されてもよく、前述に記載の実施形態において具体的には議論されていない様々な配置構成で使用されてもよく、したがって、その用途は、前述の記載に示されているかまたは図面に例示されている構成要素の詳細および配置構成に限定されない。例えば、一実施形態に記載の態様は、他の実施形態に記載の態様と任意の手法で組み合わせられ得る。
また、本明細書に開示の概念は、その一例が提示されている方法として実現され得る。本方法の部分として実施される動作は、任意の好適な方法で指示され得る。したがって、動作が例示されたものとは異なる順序で実施される実施形態が、構築され得、これには一部の動作を、例示的な実施形態においては逐次動作として示されていても、同時に実施することが含まれ得る。
特許請求の範囲における、特許請求の要素を修飾するための通常の用語、例えば、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの使用は、それ自体によって1つの特許請求の要素の、別の要素に対する優先度、優位性もしくは等級、または方法の動作が実施される時間順序を暗示せず、単に、特許請求の要素を識別するために、ある特定の名前を有する1つの特許請求の要素を、同じ名前を有する別の要素から識別するための標識として(しかし、順序を示す用語の使用のために)使用される。
また、本明細書において使用される表現法および用語法は、説明の目的のためであり、限定とみなされるべきではない。本明細書における、「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する」、「含有する」、「関与する」およびそれらの変化形の使用は、それらの前に列挙される項目およびそれらの等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
本明細書において定義および使用されるすべての定義が、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味を超えて支配することが理解されるべきである。
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、逆のことが明らかに示されない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
本明細書で本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「および/または」という句は、そのように連結された要素のうちの「いずれかまたは両方」、つまり、一部の場合には共同して存在し、他の場合には分離して存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙されるそれより多くの要素は、同じ様式で、つまり、そのように連結された要素のうちの「1つまたはそれより多く」であると解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に特定された要素に関連するか関連しないかに関わらず、具体的に特定されたそれらの要素以外の他の要素が、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドな言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む);なお別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で他の要素を含む)などを指し得る。
本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される場合、「または」は、上で定義した通りの「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、あるリストの項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的である、つまり、いくつかの要素または要素のリストおよび任意選択で追加の列挙されていない項目のうちの少なくとも1つを含むだけでなく、それらの1つ超も含むと解釈されることになる。「のうちのただ1つ」または「のうちの正に1つ」、または特許請求の範囲において使用される場合、「からなる」などの逆のことを明らかに示す用語のみが、いくつかの要素または要素のリストのうちの正に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「のいずれか」、「のうちの1つ」、「のうちのただ1つ」または「のうちの正に1つ」などの排他的用語が付随する場合、排他的選択肢(すなわち、「一方または他方であり、両方ではない」)を示すとのみ解釈されることになる。特許請求の範囲において使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有することになる。
本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される場合、1つまたはそれより多くの要素のリストに言及する「少なくとも1つの」という句は、要素のリスト中の要素のうちのいずれか1つまたはそれより多くから選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト中に具体的に列挙されたありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つが必ず含まれるとは限らず、要素のリスト中の要素の任意の組合せが除外されないことが理解されるべきである。この定義により、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト中で具体的に特定された要素に関連するか関連しないかに関わらず、具体的に特定されたそれらの要素以外の要素が任意選択で存在し得ることも許容される。したがって、非限定例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、等価的に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または等価的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、任意選択で1つ超のAを含む、少なくとも1つのA(および任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態では、Aが存在しない、任意選択で1つ超のBを含む、少なくとも1つのB(および任意選択でA以外の要素を含む);なお別の実施形態では、任意選択で1つ超のAを含む、少なくとも1つのAおよび任意選択で1つ超のBを含む、少なくとも1つのB(および任意選択で他の要素を含む)などを指し得る。
逆のことが明らかに示されない限り、本明細書において特許請求される、1つ超のステップまたは動作を含む任意の方法において、方法のステップまたは動作の順序は、方法のステップまたは動作が示される順序に必ずしも限定されるとは限らないことも理解されるべきである。
特許請求の範囲において、ならびに上記明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「関与する」、「保持する」、「構成される」などのすべての移行句はオープンエンドである、つまり、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、第2111.03節に示される通り、「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれ、クローズエンドまたは半クローズエンドな移行句であることになる。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
タバコ特異的ニトロソアミンを低減するための方法であって、
初期電解質混合物を、アノードおよびカソードと接触させるステップであって、前記初期電解質混合物が、ニコチン、前記タバコ特異的ニトロソアミン、溶解塩および少なくとも1種の溶媒を含む、ステップと
前記アノードと前記カソードとの間に電位を印加して還元電解質混合物を形成するステップであって、前記還元電解質混合物中の前記タバコ特異的ニトロソアミンの濃度が、前記初期電解質混合物中の前記タバコ特異的ニトロソアミンの濃度よりも低い、ステップとを含む、方法。
(項2)
ニコチンおよび前記タバコ特異的ニトロソアミンを含むタバコ組成物を、少なくとも1種の溶媒と接触させてタバコ混合物を形成するステップであって、前記タバコ混合物が前記初期電解質混合物の少なくとも一部を形成する、ステップをさらに含む、上記項1に記載の方法。
(項3)
前記タバコ特異的ニトロソアミンが、4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)またはN-ニトロソノルニコチン(NNN)である、上記項1から2のいずれか一項に記載の方法。
(項4)
前記初期電解質混合物中の前記タバコ特異的ニトロソアミンの前記濃度が、約10μg/L~約0.5g/Lの範囲である、上記項1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項5)
前記還元電解質混合物中の前記タバコ特異的ニトロソアミンの前記濃度が、約0.001g/Lまたはそれよりも低い、上記項1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項6)
前記初期電解質混合物中の前記タバコ特異的ニトロソアミンの前記濃度と前記還元電解質混合物中の前記タバコ特異的ニトロソアミンの前記濃度との間の差が、少なくとも約0.001g/Lである、上記項1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項7)
前記初期電解質混合物および前記還元電解質混合物が、約0.01g/L~約100g/Lの範囲のニコチン濃度を有する、上記項1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項8)
前記初期電解質混合物が、約2.0またはそれよりも低いpHを有する、上記項1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項9)
前記初期電解質混合物および前記還元電解質温度が、約20□~約25□の間の温度を有する、上記項1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項10)
前記カソードが電気触媒およびカーボンナノチューブを含み、前記電気触媒が金属ポルフィリン錯体を含む、上記項1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項11)
前記金属ポルフィリン錯体が、ヘミン、鉄ポルフィリン、鉄(II)(ポルフィリナト)(イミダゾール)、ヘムタンパク質、または前述のもののうち2種またはそれよりも多くの組合せを含む、上記項10に記載の方法。
(項12)
前記電位が、約-0.5V~約-5Vの間の範囲である、上記項1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項13)
前記電位が、前記アノードと前記カソードとの間に約5分~約15分の間の期間にわたり印加される、上記項1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項14)
上記項1の方法によって形成される前記還元電解質混合物を含む、タバコ基材。
(項15)
タバコ基材を含む喫煙用品であって、前記タバコ基材が、上記項1の方法によって形成される前記還元電解質混合物を含む、喫煙用品。