JP7028109B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析装置に関する。
中心軸を囲んで複数本のロッド電極を配置した多重極ロッド電極(多重極イオンガイド)を用いた質量分析装置が広く使用されている。例えば、四重極ロッドを用いたリニアイオントラップの場合、中心軸を原点として、±X方向に配置されたXロッド電極対と、±Y方向に配置されたYロッド電極対との、4本のロッド電極を備える。そして、イオンをトラップするために、Xロッド電極対とYロッド電極対とには、180度位相の異なるトラップ用のRF電圧が印加される。
リニアイオントラップにおいては、イオンのトラップのみでなく、特定の範囲のm/z(質量電荷比)のイオンのみをイオントラップに残し、それ以外のm/zのイオンをイオントラップから排除する、アイソレーションも行われる。また、特定の範囲のm/zのイオンのみに運動エネルギーを与えることで他の分子と衝突させ、フラグメントさせることも行われる。
特定の範囲のm/zのイオンを、アイソレーションまたはフラグメントさせるために、Xロッド電極対またはYロッド電極対の一方には、さらにイオン励振用のAC電圧が印加されている。
このようにリニアイオントラップにおいては電極に2種類の電圧を重畳する構成が必要となる。このような電源は、例えば、非特許文献1のFigure.2等に開示されている。非特許文献1に開示されるリニアイオントラップでは、Xロッド電極対にはRF電源(MAIN RF DRIVE)から直接、トラップ用のRF電圧が印加される。一方、Yロッド電極対には、RF電源から、AC電圧を重畳するトランスの2次側を経由して、トラップ用のRF電圧が印加される。トランスの1次側にはAUX DRIVEが接続されており、AUX DRIVEが発生するAC電圧が、トランスによりトラップ用のRF電圧と重畳されて、Yロッド電極対に入力される。
J.M.Campbell他、「A New Linear Ion Trap Tome-of-flight System with Tandem Mass Spectrometry Capabilities」、Rapid Commun. Mass Spectrom., Vol.12, pp.1463-1474(1998年)
非特許文献1に開示されるリニアイオントラップにおいては、トランスを用いてRF電圧とAC電圧とを重畳している。トランスには静電容量があるため、トランスを介してRF電圧が供給されるYロッド電極対とグランドの間の静電容量は、RF電源から直接RF電圧が供給されるXロッド電極対とグランドの間の静電容量に比べ、大きくなる。この静電容量の相違が、交流電圧を印加した際のXロッド電極対とYロッド電極対との電位(電位の絶対値)に差を生じさせる。
Xロッド電極対とYロッド電極対にそれぞれ印加される電位の絶対値が等しければ、リニアイオントラップの中心軸上には電場が生じない。しかし、上記の静電容量の相違により、Xロッド電極対とYロッド電極対との電位(電位の絶対値)に差が生じると、中心軸上には、交流電圧の変化に応じて変動する交流電場が生じてしまう。そして、この交流電場は電場の自乗に比例する、いわゆる擬似ポテンシャルを形成する。
この擬似ポテンシャルは、外部からリニアイオントラップに入射するイオンに対して障壁となるため、イオンがリニアイオントラップに導入されにくくなり、質量分析装置の検出感度低下の原因となる。
本発明の好ましい実施形態による質量分析装置は、中心軸に対して対称に配置された第1の電極対および第2の電極対を含む多重極イオンガイドと、前記第1の電極対に接続され、前記第1の電極対に印加されるRF電圧を伝達する第1の伝達部と、前記第2の電極対に接続され、前記第2の電極対に印加されるRF電圧を伝達する第2の伝達部と、を備え、前記第1の伝達部は、前記第1の伝達部の静電容量と前記第2の伝達部の静電容量との差を低減するコンデンサを有する。
さらに好ましい実施形態では、前記コンデンサは可変コンデンサである。
さらに好ましい実施形態では、前記第2の伝達部は、前記RF電圧にAC電圧を重畳する電圧重畳回路を有し、前記第1の伝達部が有するコンデンサの静電容量は、前記電圧重畳回路の静電容量と略等しい。
さらに好ましい実施形態では、前記電圧重畳回路は絶縁トランスである。
さらに好ましい実施形態では、前記第1の伝達部と前記第2の伝達部の間の静電容量を調整する可変コンデンサを有する。
さらに好ましい実施形態では、前記多重極イオンガイドはリニアイオントラップを構成する。
さらに好ましい実施形態では、前記多重極イオンガイドは多重極マスフィルタを構成する。
さらに好ましい実施形態では、前記多重極イオンガイドの後段に、さらに別の質量分析部を有する。
本発明によれば、リニアイオントラップ(多重極イオンガイド)へのイオンの入射効率が向上し、これにより質量分析装置の検出感度が向上する。
図1は、第1実施形態の質量分析装置を表す図であり、図1(a)はその全体構成を、図1(b)はロッド電極とロッド電極に電圧を供給する電源の詳細を表す。 図2は、ロッド電極に電圧を供給する電源回路の変形例を表す図。 図3は、第2実施形態の質量分析装置を表す図。
(質量分析装置の第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の質量分析装置100の構成を示す図であり、図1(a)はその全体構成を、図1(b)は多重極ロッド電極6と多重極ロッド電極6に電圧を供給する電源10の詳細を表す図である。質量分析装置100においては、真空容器1の内部にイオン化室2、イオン光学系3、イオン光学系4、多重極ロッド電極(多重極イオンガイド)6、及びイオン検出器8が中心軸AXに沿って設けられている。略密閉された真空容器1内は真空ポンプ9a、9b、9cにより排気されている。
なお、図1(a)に示したZ軸の方向は、多重極ロッド電極6の中心軸AXの方向と一致する方向としている。
イオン化室2は、外部から供給されるガス試料または液体試料をイオン化する装置である。イオン化室2は、例えば、電子イオン化、化学イオン化、大気圧化学イオン化、エレクトロスプレーイオン化により、試料をイオン化する。
イオン化室2で生成されたイオンはイオン化室2から引き出されてイオン光学系3を通ってイオン光学系4に導入される。イオン光学系4は、中心軸AXを囲んで、図1中の±X方向および±Y方向にそれぞれ所定距離だけ離れた位置に、例えば4本のロッド電極を備えるものである。イオン光学系4には、不図示の電源回路から高周波電圧が印加されている。
イオン光学系4を通過したイオンは、中心軸AXの近傍にイオン透過孔が形成されている入射側端部電極5を通過して、多重極ロッド電極(多重極イオンガイド)6内に導入される。多重極ロッド電極6もイオン光学系4と同様に、中心軸AXを囲んで、例えば、図1中の±X方向および±Y方向にそれぞれ所定距離だけ離れた位置に、4本のロッド電極6a~6dを備えている。
以下、本第1実施形態においては、多重極ロッド電極(多重極イオンガイド)6を、一例としてリニアイオントラップ6であるとして、説明を行う。
リニアイオントラップ6の射出側(図中右側)の近傍には、中心軸AXの近傍にイオン透過孔が形成されている射出側端部電極7が設けられている。入射側端部電極5および射出側端部電極7には不図示の電源からそれぞれ所定の電圧が印加されている。また、リニアイオントラップ6を構成するロッド電極6a~6dには、電源回路10から所定の電圧が印加されている。
ロッド電極6a~6dの電位を入射側端部電極5および射出側端部電極7の電位より低く設定し、かつロッド電極6a~6dに所定のRF電圧を印加することにより、リニアイオントラップ6に入射したイオンを、リニアイオントラップ6内に閉じ込めることができる。また、所定の時刻に射出側端部電極7の電位をロッド電極6a~6dの電位より低くすることで、リニアイオントラップ6内に閉じ込められたイオンを、射出側端部電極7のイオン透過孔を通してイオン検出器8に移送することができる。
図1(b)は、リニアイオントラップ6を構成する4本のロッド電極6a~6dに電圧を供給する電源回路10の詳細を表す図である。以下では、4本のロッド電極6a~6dのうち、中心軸AXに対して、+X側に配置されるロッド電極6cと-X側に配置されるロッド電極6dの対をXロッド電極対(6c、6d)と呼ぶ。また、中心軸AXに対して、+Y側に配置されるロッド電極6aと-Y側に配置されるロッド電極6bの対をYロッド電極対(6a、6b)と呼ぶ。
本明細書では、RF電圧とは、周波数fが0.3~10MHz程度の交流電圧をいう。
一般にリニアイオントラップ6においては、Xロッド電極対(6c、6d)とYロッド電極対(6a、6b)に、絶対値が等しく符号が逆符号であるRF電圧を印加する。RF電圧の最大値をQとすると、RF電圧は、Qcosωtと表せる。ここで、ωは角周波数(ω=2πf)である。
一例として、Xロッド電極対(6c、6d)にはRF電圧Qcosωtを印加し、Yロッド電極対(6a、6b)にはRF電圧-Qcosωtを印加する。これにより、所定の範囲のm/z(質量電荷比)のイオンを、XY方向に四散させることなく、リニアイオントラップ6内に閉じ込めることができる。
さらに、特定の範囲のm/zのイオンをアイソレーションまたはフラグメントさせるために、Xロッド電極対(6c、6d)またはYロッド電極対(6a、6b)の一方には、上記のRF電圧に加えて、イオン励振用のAC電圧が重畳して印加される。イオン励振用のAC電圧の周波数は、一例として上述のRF電圧の周波数の半分以下である。
従って、電源回路10は、4本のロッド電極6a~6dに上述の電圧を印加するように構成されている。
RF電源回路11は共振回路トランス12を有し、共振回路トランス12の1次側コイル13には、RF電源16から所定の周波数fの交流電圧が入力される。共振回路トランス12には、2次側コイル14aおよび2次側コイル14bが並んで設けられている。RF電圧は、この2次側コイル14aおよび2次側コイル14bのインダクタンスと、2次側コイルの高電圧端14aeおよび14beに接続されるキャパシタンスとで形成されるLC共振回路により、RF電源16から入力された周波数fの電圧を増幅することで生成される。ここで、上述のキャパシタンスとは、Xロッド電極対(6c、6d)およびYロッド電極対(6a、6b)の静電容量、導線22a~22c,23a~23cに現れる種々の静電容量、コンデンサ24、絶縁トランス18の静電容量である。
その結果、2次側コイルの高電圧端14aeおよび14beには位相が180度異なるRF電圧が発生する。高電圧端14beに発生したRF電圧はXロッド電極対(6c、6d)に印加され、高電圧端14aeに発生したRF電圧はYロッド電極対(6a、6b)に印加される。
また、2次側コイル14aおよび14bの一端には直流電源15からグランドを基準として直流電圧Pが印加されており、Xロッド電極対(6c、6d)およびYロッド電極対(6a、6b)には、上記RF電圧に加えて、直流電圧Pが重畳された電圧が印加されることとなる。以下の実施形態においては、理解を容易にするために、直流電圧Pが0V(GND電位)である場合について記載する。
2次側コイル14bの高電圧側端14beは、導線23aを介して、電圧重畳回路17を構成する絶縁トランス18の2次側コイル20aと2次側コイル20bの中間点20cに接続されている。絶縁トランス18の1次側コイル19には、AC電源21から、周波数がRF電圧の半分以下であり、角周波数ρの、グランド電位を中心として電圧が変動する交流電圧が印加される。従って、Yロッド電極対(6a、6b)には高電圧端14aeに発生するRF電圧のみが印加される一方、Xロッド電極対(6c、6d)を構成するロッド電極6dおよびロッド電極6cには、高電圧端14beに発生するRF電圧に加えて、位相が180°異なる交流電圧が重畳された電圧が印加される。
ここで、2次側コイル14bの高電圧端14beからXロッド電極対(6c、6d)の間の経路、すなわち導線23a、電圧重畳回路17、および導線23b、23cをX側伝達部と呼び、2次側コイル14aの高電圧端14aeからYロッド電極対(6a、6b)の間の経路、すなわち導線22a~22cをY側伝達部と呼ぶこととすると、導線22に接続されているコンデンサ24が無い場合、X側伝達部には絶縁トランス18に由来した静電容量が存在するため、X側伝達部の静電容量は、Y側伝達部の静電容量に比べて大きくなってしまう。
そこで、本第1実施形態の質量分析装置100では、2次側コイル14aの高電圧端14aeとYロッド電極対(6a、6b)とを繋ぐY側伝達部(導線22a~22c)の少なくとも一部に、グランドとの間に静電容量を形成するコンデンサ24を付加する。コンデンサ24により、Y側伝達部(導線22a~22c)とグランド間の静電容量と、X側伝達部(電圧重畳回路17、導線23a~23c)とグランド間の静電容量との差が低減される。
これにより、RF電圧の印加時に、中心軸AX上に発生する交流電場の大きさを低減することができる。すなわち、擬似ポテンシャルの値を低減することができ、リニアイオントラップ6へのイオンの導入効率を向上することができる。
ここで、Yロッド電極対(6a、6b)およびY側伝達部(導線22a~22c)の静電容量Cyと、Xロッド電極対(6c、6d)およびX側伝達部(電圧重畳回路17、導線23a~23c)の静電容量Cxとが、異なる場合に生じる問題について説明する。
上述のように、2次側コイルの高電圧端14aeおよび14beには、位相が180°異なるRF電圧が発生する。ここで、両RF電圧の電位差をVとする。
X側伝達部とY側伝達部は、Xロッド電極対(6c、6d)とYロッド電極対(6a、6b)を挟んで直列に配列されている。従って、両者のインピーダンスの和がRF電源回路11の負荷として作用する。よって、RF電源回路11から、式(1)で決まる電流Iが流れる。
V = I・(1/jωCx+1/jωCy) ・・・(1)
ここで、jは虚数単位であり、1/jωCxは静電容量Cxによるインピーダンス、1/jωCyは静電容量Cyによるインピーダンスである。
静電容量Cxを有するXロッド電極対(6c、6d)およびX側伝達部(電圧重畳回路17、導線23a~23c)に加わる電位差Vxは、
Vx = I・(1/jωCx) = V・Cy/(Cx+Cy) ・・・(2)
となる。
一方、静電容量Cyを有するYロッド電極対(6a、6b)およびY側伝達部(導線22a~22c)に加わる電位差Vyは、
Vy = I・(1/jωCy) = V・Cx/(Cx+Cy) ・・・(3)
となる。
従って、静電容量Cxと静電容量Cyが異なる場合には、電位差Vxと電位差Vyは等しくならない。この場合、RF電源回路11が出力部14aeに-1/2V、出力部14beに1/2Vの対称な電位を発生しても、Xロッド電極対(6c、6d)およびYロッド電極対(6a、6b)に印加される電位は、対称でないことになる。そして、上述のとおり電位差VはRF電圧であるから、電位差Vxおよび電位差VyもRF電圧であり、すなわち時間とともに高周波で振動する。
その結果、ロッド電極6a~6dの中央にある中心軸AX上には、電位差Vxと電位差Vyの振動に合わせて高周波で振動する電場が生じてしまう。そして、この高周波の電場が、電場の自乗に比例する擬似ポテンシャルを形成して、外部からリニアイオントラップ6に進入するイオンに対する障壁を形成してしまう。
本第1実施形態においては、上述のとおり、Y側伝達部(導線22a~22c)の少なくとも一部にコンデンサ24を付加している。これにより、Yロッド電極対(6a、6b)およびY側伝達部(導線22a~22c)の静電容量Cyと、Xロッド電極対(6c、6d)およびX側伝達部(電圧重畳回路17、導線23a~23c)の静電容量Cxとの差が低減される。
これにより、中心軸AX上に形成される交流電場の大きさを低減することができ、リニアイオントラップ(多重極イオンガイド)6へのイオンの導入効率を向上することができる。
Y側伝達部(導線22a~22c)に付加するコンデンサ24は、例えば、セラミックコンデンサ等の耐電圧性および高周波特性に優れるコンデンサを使用ことができる。また、図1(b)に示したように静電容量が可変である可変コンデンサを使用してもよい。その場合には、気温や湿度の変化や経年変化により伝達部(導線22a~2c、電圧重畳回路17、導線23a~23c)の静電容量が変化した場合にも、その変化を補償して静電容量の調整ができるというメリットがある。
コンデンサ24は、いわゆる電子部品としてのコンデンサに限られるものではない。例えば、Y側伝達部(導線22a~22c)の一部に板状の電極を接続し、この板状の電極をグランド電位に維持されている真空容器1の外壁または内壁に対向する形で配置して静電容量を発生するような構成でもよい。
(電源回路の変形例)
図2は、多重極ロッド電極9にRF電圧を供給する電源回路10aの変形例を表す図である。
変形例の電源回路10aの構成は、上述の第1実施形態の中の電源回路10の構成とほぼ同一であるので、同一部分には、同一の符号を付して、説明を省略する。
変形例の電源回路10aは、上述の電源回路10に加えて、Y側伝達部を構成する導線22a~22cと、X側伝達部を構成する導線23a~23cとの間に、共振回路トランス12の共振条件を調整するための可変コンデンサ25を備えている。
本変形例の電源回路10aにおいては、可変コンデンサ25の静電容量を変更することにより、RF電源回路11および導線22a~22c、23a~23c等による共振条件を変更し、RF電源回路11に所定の範囲の周波数fのRFを生成させることができる。
以上の第1実施形態および変形例においては、多重極ロッド電極6は、4本のロッド電極を有する四重極であるとしたが、多重極ロッド電極6の本数は、4本に限られるわけではなく、8本であってもよい。その場合には、電源回路10、10aも、多重極ロッド電極6の本数に併せて多数通りの所定の電圧を供給する構成とする。
以上の第1実施形態および変形例においては、1つの伝達部は、それぞれ2本のロッド電極(Xロッド電極対(6c、6d)、Yロッド電極対6a、6b)にRF電源11から電圧を供給するものとしたが、1つの伝達部が電圧を供給するロッド電極の本数は、2本に限られるわけではなく、任意の本数であってもよい。例えば、8本のロッド電極からなる8重極ロッド電極であれば、1つの伝達部から4本のロッド電極に電圧を供給しても良い。
以上の第1実施形態および変形例においては、電圧重畳回路17は、絶縁トランス18からなるものとしているが、電圧重畳回路17は、RF電圧にAC電圧を重畳することができる回路であれば、他の回路を使用しても良い。例えば、パワー半導体素子による回路を使用することもできる。
以上の第1実施形態および変形例においては、多重極ロッド電極(多重極イオンガイド)6は、リニアイオントラップを構成するものとしたが、これに限らず、多重極マスフィルタを構成しても良い。この場合には、入射側端部電極5および射出側端部電極7は必須ではないため、適宜、除去することができる。
(第1実施形態および変形例の効果)
(1)上述の第1実施形態および変形例の質量分析装置は、中心軸AXに対して対称に配置された第1の電極対(Yロッド電極対6a、6b)、および第2の電極対(Xロッド電極対6c、6d)を含む多重極イオンガイド(リニアイオントラップ6)と、第1の電極対6a、6bに接続され、第1の電極対6a、6bに印加されるRF電圧を伝達する第1の伝達部(導線22a~22c)と、第2の電極対6c、6dに接続され、第2の電極対6c、6dに印加されるRF電圧を伝達する第2の伝達部(電圧重畳回路17、導線23a~23c)と、を備え、第1の伝達部(導線22a~22c)は、第1の伝達部(導線22a~22c)の静電容量と第2の伝達部(電圧重畳回路17、導線23a~23c)の静電容量との差を低減するコンデンサ24を有している。
この構成により、RF電圧の印加時に、多重極イオンガイド6の中心軸AX上に発生する交流電場の大きさを低減することができ、擬似ポテンシャルの値を低減することができる。これにより、多重極イオンガイド(リニアイオントラップ)6へのイオンの導入効率を向上することができ、質量分析装置の検出感度が向上する。
(2)コンデンサ24を可変コンデンサとすることで、気温や湿度の変化や経年変化により伝達部(導線22a~2c、電圧重畳回路17、導線23a~23c)の静電容量が変化した場合にも、その変化を補償して静電容量の調整ができる。
(3)他の伝達部(電圧重畳回路17、導線23a~23c)は、RF電圧にAC電圧を重畳する電圧重畳回路17を有し、第1の伝達部(導線22a~22c)が有するコンデンサ24の静電容量は、電圧重畳回路17の静電容量と略等しい構成とすることで、電圧重畳回路17により付加される静電容量をコンデンサ24により容易に補償することができる。
(4)電圧重畳回路17を絶縁トランス18とすることで、効率良くRF電圧にAC電圧を重畳することができる。
(5)第1の伝達部(導線22a~22c)と第2の伝達部(導線23a~23c)の間の静電容量を調整する可変コンデンサ25を有することで、RF電源回路11および導線22a~22c、23a~23cを含む回路の共振条件を変更し、多重極イオンガイド6に所定の範囲の周波数fのRF電圧を供給することができる。
(6)多重極イオンガイド6をリニアイオントラップを構成する電極とすることで、リニアイオントラップへのイオンの導入効率を向上した質量分析装置が実現できる。
(7)多重極イオンガイド6を四重極マスフィルタを構成する電極とすることで、四重極マスフィルタへのイオンの導入効率を向上した質量分析装置が実現できる。
(質量分析装置の第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の質量分析装置100aの構成を示す図である。第2実施形態の質量分析装置100aの構成の大部分は、上述の第1実施形態の質量分析装置100の構成と共通するため、同一部分には同一の符号を付して、説明を省略する。
第2実施形態の質量分析装置100aは、上述の第1実施形態の質量分析装置100の多重極ロッド電極6よりも後段に、別の質量分析部30を有している。具体的には、別の質量分析部30は、フライトチューブ27および直交加速電極28を有する、飛行時間型質量分析部30であり、多重極ロッド電極6を射出したイオンは、イオン光学系26に導かれて、直交加速電極28に入射する。そして、直交加速電極28で加速され、フライトチューブ27内の飛行空間FA内を飛行経路FPに沿って飛行する。飛行空間FA内の飛行中、イオンはリフレクタ29により反射され、イオン検出器8に検出される。
飛行経路FPを飛行するイオンの速度は、イオンのm/zと相関を有するため、イオンの飛行時間を測定することにより、イオンのm/zに相当する量が測定できる。これにより、飛行時間型質量分析部30にて質量分析ができる。
第2実施形態においても、多重極イオンガイド(多重極ロッド電極)6をリニアイオントラップ6とすることで、リニアイオントラップ6内に蓄積された多数のイオンを飛行時間型質量分析部30で分析することにより、S/Nの良い質量分析を行うことができる。また、リニアイオントラップ6内でフラグメントされたイオンを、飛行時間型質量分析部30で分析することもできる。
あるいは、多重極イオンガイド(多重極ロッド電極)6を多重極マスフィルタとし、多重極マスフィルタと飛行時間型質量分析部30の間に不図示のコリジョンセルを配置することもできる。この場合には、多重極ロッド電極6が構成する多重極マスフィルタが選択したプリカーサーイオンをコリジョンセル内で開裂され、開裂により生成された各種のプロダクトイオンを、飛行時間型質量分析部30で高精度に質量分析することができる。
なお、別の質量分析部30は、上述の飛行時間型質量分析部30に限られるものではなく、別の四重極質量分析部であっても良い。
(第2実施形態の効果)
(8)第2実施形態の質量分析装置は、上述の第1実施形態および変形例の質量分析装置に加えて、さらに、多重極イオンガイド(多重極ロッド電極)6の後段に、さらに別の質量分析部を有している。
この構成により、イオントラップ型飛行時間型質量装置のイオントラップ部(多重極イオンガイド6)への入射効率を高めることができ、質量分析装置の検出感度が向上する。
あるいは、いわゆるタンデム型質量分析装置の前段の多重極マスフィルタ(多重極イオンガイド6)への入射効率を高めることができ、質量分析装置の検出感度が向上する。
上記では、種々の実施形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、各実施形態は、それぞれ単独で適用しても良いし、組み合わせて用いても良い。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
100,100a…質量分析装置、1…真空容器、2…イオン化室、3,4,26…イオン光学系、6…リニアイオントラップ(多重極イオンガイド)、6a~6d…ロッド電極、5…入射側端部電極、7…射出側端部電極、8…イオン検出器、9a~9d…真空ポンプ、10…電源回路、11…RF電源回路、12…共振回路トランス、15…直流電源、16…RF電源、17…電圧重畳回路(X側伝達部)、18…絶縁トランス、21…AC電源、22a~22c…導線(Y側伝達部)、23a~23c…導線(X側伝達部)、24…コンデンサ、25…可変コンデンサ、27…フライトチューブ、28…直交加速部、29…リフレクタ、30…飛行時間型質量分析部(別の質量分析部)、FA…飛行空間、FP…飛行経路

Claims (8)

  1. 中心軸に対して対称に配置された第1の電極対および第2の電極対を含む多重極イオンガイドと、
    前記第1の電極対に接続され、前記第1の電極対に印加されるRF電圧を伝達する第1の伝達部と、
    前記第2の電極対に接続され、前記第2の電極対に印加されるRF電圧にAC電圧を重畳した重畳電圧を伝達するものであって、該重畳電圧を生成する電圧重畳回路を有する第2の伝達部と、を備え、
    前記第1の伝達部は、前記第1の伝達部の静電容量と前記第2の伝達部の静電容量との差を低減するコンデンサを有する、質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置において、
    前記コンデンサは可変コンデンサである、質量分析装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の質量分析装置において
    記第1の伝達部が有するコンデンサの静電容量は、前記電圧重畳回路の静電容量と略等しい、質量分析装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の質量分析装置において、
    前記電圧重畳回路は絶縁トランスである、質量分析装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の質量分析装置において、
    さらに、前記第1の伝達部と前記第2の伝達部の間の静電容量を調整する可変コンデンサを有する、質量分析装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の質量分析装置において、
    前記多重極イオンガイドはリニアイオントラップを構成する、質量分析装置。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の質量分析装置において、
    前記多重極イオンガイドは多重極マスフィルタを構成する、質量分析装置。
  8. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の質量分析装置において、
    前記多重極イオンガイドの後段に、さらに別の質量分析部を有する、質量分析装置。
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