JP7025436B2 - リチウムイオン電池のための電解質組成物のための官能性スルホニルフルオリド添加剤 - Google Patents

リチウムイオン電池のための電解質組成物のための官能性スルホニルフルオリド添加剤 Download PDF

Info

Publication number
JP7025436B2
JP7025436B2 JP2019542535A JP2019542535A JP7025436B2 JP 7025436 B2 JP7025436 B2 JP 7025436B2 JP 2019542535 A JP2019542535 A JP 2019542535A JP 2019542535 A JP2019542535 A JP 2019542535A JP 7025436 B2 JP7025436 B2 JP 7025436B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hetero
fluorinated
alkyl
alkynyl
alkenyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019542535A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020506517A (ja
Inventor
ハン,チェンチー
岳雄 福澄
恵里 澤田
シュルツ-ドブリク,マルティン
キム,ジンブン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BASF SE
Original Assignee
BASF SE
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BASF SE filed Critical BASF SE
Publication of JP2020506517A publication Critical patent/JP2020506517A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7025436B2 publication Critical patent/JP7025436B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • H01M10/0564Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes the electrolyte being constituted of organic materials only
    • H01M10/0566Liquid materials
    • H01M10/0567Liquid materials characterised by the additives
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators
    • H01M10/0525Rocking-chair batteries, i.e. batteries with lithium insertion or intercalation in both electrodes; Lithium-ion batteries
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • H01M10/0564Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes the electrolyte being constituted of organic materials only
    • H01M10/0566Liquid materials
    • H01M10/0569Liquid materials characterised by the solvents
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • H01M10/0564Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes the electrolyte being constituted of organic materials only
    • H01M10/0566Liquid materials
    • H01M10/0568Liquid materials characterised by the solutes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M2300/00Electrolytes
    • H01M2300/0017Non-aqueous electrolytes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M2300/00Electrolytes
    • H01M2300/0017Non-aqueous electrolytes
    • H01M2300/0025Organic electrolyte
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)

Description

本発明は、式(I)
Figure 0007025436000001
(式中、A、L、a、b及びnは、以下に記載するように定義される)の化合物を電解質組成物において使用する方法、電気化学セルのための式(I)の1種以上の化合物を含有する電解質組成物、及びそのような電解質組成物を含む電気化学セルに関する。
電気エネルギーの貯蔵は、いまだ関心の高まっている課題である。電気エネルギーの効率的な貯蔵により、電気エネルギーを有利なときに生成し、必要なときに使用することが可能になる。二次電気化学セルは、化学エネルギーから電気エネルギーへの、及びその逆の可逆的変換(再充電性)のために、この目的によく適している。二次リチウム電池は、リチウムイオンの原子量が小さいために高いエネルギー密度及び比エネルギーをもたらすこと、及び他の電池系と比較して、得ることができるセル電圧が高い(典型的には、3~5V)ことから、エネルギー貯蔵に関して特に関心が高い。この理由から、これらの系は、多くの携帯型電子機器、例えば、携帯電話、ラップトップコンピュータ、小型カメラなどのための電力源として幅広く使用されるようになっている。これらはまた、自動車における電力供給源としてもますます使用されている。
リチウムイオン電池のような二次リチウム電池では、有機カーボネート、エーテル、エステル及びイオン性液体が、伝導塩を溶媒和させるために十分な極性溶媒として使用される。最先端のリチウムイオン電池は、一般に、単一の溶媒ではなく、様々な有機非プロトン性溶媒の溶媒混合物を含む。
溶媒及び伝導塩以外に、電解質組成物は、通常、電解質組成物及び前記電解質組成物を含む電気化学セルのある特定の特性を改善するためのさらなる添加剤を含有する。一般的な添加剤は、例えば、難燃剤、過充電保護添加剤、及び電極表面上で最初の充電/放電サイクルの間に反応し、それによって電極上に被膜を形成する被膜形成添加剤である。
その多方面への適用性のために、リチウム電池のような電気化学セルは、例えば、日光に曝された車で生じる高温において、しばしば使用される。高温では、電気化学セル中で分解反応がより速く生じ、例えば、電気化学セルにおける容量減少の加速、サイクル寿命の減少、及びガスの生成の増加によって示される、セルの電気化学特性の劣化がより速くなる。有機スルホニルフルオリドは、リチウムイオン電池の性能を改善するための既知の電解質組成物のための点火物の種類である。
US2008/0138714A1は、電池の貯蔵及びサイクル特性を改善するためのスルホン化合物を含有するリチウム電池用の電解液に関する。スルホン化合物はとりわけ、スルホニルフルオリド及びカルボン酸エステル基を含み得る。
EP2750238A1は、カルボン酸誘導体基をさらに有するフッ素化及び非フッ素化アルキルスルホニルフルオリドを含有する非水性電解質及び電池に言及している。スルホニルフルオリドは、高い温度での電池の耐久性を改善させるために添加される。
WO2014/104221A1は、-O-S(O)-X基(式中、XはFであり得る)を含有する少なくとも1種の添加剤を含む二次電池用の非水性電解質溶液を記載している。添加剤は、電池の容量維持率と抵抗維持率を改善するために使用される。
US2009/0053612A1は、貯蔵特性、サイクル特性及び膨張特性を改善するための、電解質組成物におけるアルキルジ-及びオリゴスルホニルフルオリド又は不飽和モノスルホニルフルオリドの使用を記載している。
JP2014-183009Aは、スルホンハロゲン化物基を有する化合物を含むリチウム二次電池用の非水性電解質を開示している。
US2008/0138714A1 EP2750238A1 WO2014/104221A1 US2009/0053612A1 JP2014-183009A
二次リチウム電池のような電気化学セルの性能を改善するための様々な添加剤が既知であるにも関わらず、電気化学セルの性能をさらに改善する添加剤及び電解質組成物への必要性がいまだに存在する。改善すべき1つの重要な特性は、電気化学セルの高い温度での挙動、例えば高温での貯蔵性及びサイクル特性である。これは、高エネルギーNCMs及び高電圧スピネルのような高エネルギー密度及び/又は高動作電圧を有するカソード材料を使用することによって達成される、より高いエネルギー密度を有する電気化学セルにも関連し、適した添加剤を必要とする。本発明の目的は、電解質組成物のための添加剤、及び特に高温における長いサイクル寿命及び良好な貯蔵安定性のような良好な電気化学特性を有し、電解質組成物を提供することであり、これらは高エネルギーリチウム電池における使用にも適している。本発明のさらなる目的は、高温においても、長いサイクル寿命及び良好な貯蔵安定性のような良好な電気化学特性を有する電気化学セルを提供することである。
この目的は、
(i)少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒;
(ii)少なくとも1種の伝導塩;
(iii)式(I)
Figure 0007025436000002
(式中、
Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
Aは、各場合とも(CHm1S(O)(CHm2、(CHm3P(O)(OR、及び(CHm4C(O)ORから独立して選択され;
は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
aは、1又は2であり;
bは、1又は2であり;
n及びm2は、それぞれ独立して1~6の整数であり;
m1、m3及びm4は、それぞれ独立して0又は1~6の整数であり;
(CH、(CHm1、(CHm2、(CHm3、及び(CHm4鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得;
Aが(CHm4C(O)ORの場合は、bは2である)の少なくとも1種の化合物;及び
(iv)任意に1種以上の添加剤
を含有する電解質組成物によって、達成される。
課題は、電解質組成物における式(I)の化合物の使用によって、及びそのような電解質組成物を含む電気化学セルによって、さらに解決される。
式(I)の化合物を含有する電解質組成物を含む電気化学セルは、高温において、良好なサイクル性能及び貯蔵中のガスの生成の減少のような、良好な特性を示す。
以下で、本発明を詳細に記載する。
本発明による電解質組成物は、
(i)少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒;
(ii)少なくとも1種の伝導塩;
(iii)式(I)
Figure 0007025436000003
(式中、
Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
Aは、各場合とも(CHm1S(O)(CHm2、(CHm3P(O)(OR、及び(CHm4C(O)ORから独立して選択され;
は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
2aは、各場合とも、選択的接触還元1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
aは、1又は2であり;
bは、1又は2であり;
n及びm2は、それぞれ独立して1~6の整数であり;
m1、m3及びm4は、それぞれ独立して0又は1~6の整数であり;
(CH、(CHm1、(CHm2、(CHm3、及び(CHm4鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得;
Aが(CHm4C(O)ORの場合は、bは2である)の少なくとも1種の化合物;及び
(iv)任意に1種以上の添加剤
を含有する。
電解質組成物は、好ましくは、構成成分(i)として少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒、より好ましくは少なくとも2種の非プロトン性有機溶媒(i)を含有する。一実施形態によると、電解質組成物は、最大10種の非プロトン性有機溶媒を含有し得る。
少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒(i)は、好ましくは、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状有機カーボネート、フッ素化及び非フッ素化エーテル及びポリエーテル、フッ素化及び非フッ素化環状エーテル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状アセタール及びケタール、フッ素化及び非フッ素化オルトカルボン酸エステル、カルボン酸のフッ素化及び非フッ素化環状及び非環状エステル及びジエステル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状スルホン、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状ニトリル及びジニトリル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状ホスフェート、及びこれらの混合物から選択される。
非プロトン性有機溶媒(i)は、フッ素化又は非フッ素化され得、例えば、それらは、非フッ素化であり得、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化され得る。「部分的にフッ素化」とは、それぞれの分子の1個以上のHが、F原子によって置換されることを意味する。「完全にフッ素化」とは、それぞれの分子のすべてのHが、F原子によって置換されることを意味する。少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒は、フッ素化及び非フッ素化非プロトン性有機溶媒から選択され得、すなわち、電解質組成物は、フッ素化及び非フッ素化非プロトン性有機溶媒の混合物を含有し得る。
フッ素化及び非フッ素化環状カーボネートの例は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)及びブチレンカーボネート(BC)であり、1個以上のHが、F及び/又はC~Cアルキル基によって置換され得、例えば、4-メチルエチレンカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネート(FEC)及びシス-及びトランス-ジフルオロエチレンカーボネートである。好ましい環状カーボネートは、エチレンカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート、特に、エチレンカーボネート及びモノフルオロエチレンカーボネートである。
フッ素化及び非フッ素化非環状カーボネートの例はジ-C~C10-アルキルカーボネートであり、各アルキル基が互いに独立して選択され、1個以上のHがFによって置換され得る。フッ素化及び非フッ素化ジ-C~C-アルキルカーボネートが好ましい。例は、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート(TFEMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、トリフルオロメチルメチルカーボネート(TFMMC)及びメチルプロピルカーボネートである。好ましい非環状カーボネートは、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)である。
本発明の一実施形態では、電解質組成物は、任意にフッ素化非環状有機カーボネート及び環状有機カーボネートの混合物を、1:10~10:1、好ましくは3:1~1:1の質量比で含有する。
フッ素化及び非フッ素化非環状エーテル及びポリエーテルの例は、フッ素化及び非フッ素化ジ-C~C10-アルキルエーテル、ジ-C~C-アルキル-C~C-アルキレンエーテル及びポリエーテル、及び式R’-(O-CF2-p-R”(式中、R’は、C~C10アルキル基又はC~C10シクロアルキル基であり、アルキル基及び/又はシクロアルキル基の1個以上のHはFによって置換され、R”は、H、F、C~C10アルキル基又はC~C10シクロアルキル基であり、アルキル基及び/又はシクロアルキル基の1個以上のHはFによって置換され;pは、1又は2であり;qは、1、2又は3である)のフッ素化エーテルである。
本発明によれば、フッ素化及び非フッ素化ジ-C~C10-アルキルエーテルの各アルキル基は、他とは独立して選択され、アルキル基の1個以上のHは、Fによって置換され得る。フッ素化及び非フッ素化ジ-C~C10-アルキルエーテルの例は、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(CFHCFCHOCFCFH)及び1H,1H,5H-ペルフルオロペンチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(CFH(CFCHOCFCFH)である。
フッ素化及び非フッ素化ジ-C~C-アルキル-C~C-アルキレンエーテルの例は、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグリム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグリム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)及びジエチレングリコールジエチルエーテルであり、アルキル基又はアルキレン基の1個以上のHがFによって置換され得る。
適したフッ素化及び非フッ素化ポリエーテルの例は、アルキル基又はアルキレン基の1個以上のHがFによって置換され得るポリアルキレングリコール、好ましくはポリ-C~C-アルキレングリコール、とりわけポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは、最大で20mol%までの1つ以上のC~C-アルキレングリコールを共重合形態で含み得る。ポリアルキレングリコールは、好ましくは、ジメチル-又はジエチル-エンドキャップポリアルキレングリコールである。適したポリアルキレングリコールの、とりわけ、適したポリエチレングリコールの分子量Mは、少なくとも400g/molであり得る。適したポリアルキレングリコールの、とりわけ、適したポリエチレングリコールの分子量Mは、最大で5000000g/molまで、好ましくは最大で2000000g/molまでであり得る。
式R’-(O-CF2-p-R”のフッ素化エーテルの例は、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(CFHCFCHOCFCFH)及び1H,1H,5H-ペルフルオロペンチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(CFH(CFCHOCFCFH)である。
フッ素化及び非フッ素化環状エーテルの例は、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン及びそれらの誘導体、例えば、アルキル基の1個以上のHがFによって置換され得る2-メチルテトラヒドロフランである。
フッ素化及び非フッ素化非環状アセタールの例は、1,1-ジメトキシメタン及び1,1-ジエトキシメタンである。環状アセタールの例は、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、及びこれらの誘導体、例えば、1個以上のHがFによって置換され得るメチルジオキソランなどである。
フッ素化及び非フッ素化非環状オルトカルボン酸エステルの例は、トリ-C~Cアルコキシメタン、特に、アルキル基の1個以上のHがFによって置換され得るトリメトキシメタン及びトリエトキシメタンである。適した環状オルトカルボン酸エステルの例は、1個以上のHがFによって置換され得る1,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及び4-エチル-1-メチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンである。
カルボン酸のフッ素化及び非フッ素化非環状エステルの例は、ギ酸エチル及びメチル、酢酸エチル及びメチル、プロピオン酸エチル及びメチル、及びブタン酸エチル及びメチル、及び1,3-ジメチルプロパンジオエートのようなジカルボン酸のエステルであり、1個以上のHがFによって置換され得る。カルボン酸の環状エステル(ラクトン)の例は、γ-ブチロラクトンである。カルボン酸のフッ化及び非フッ化ジエステルの例は、マロン酸ジメチルエステルのようなマロン酸ジアルキルエステル、コハク酸ジメチルエステルのようなコハク酸ジアルキルエステル、グルタル酸ジメチルエステルのようなグルタル酸ジアルキルエステル及びアジピン酸ジメチルエステルのようなアジピン酸ジアルキルエステルであり、アルキル基の1個以上のHがFによって置換され得る。
フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状スルホンの例は、エチルメチルスルホン、ジメチルスルホン及びテトラヒドロチオフェン-S,S-ジオキシド(スルホラン)であり、アルキル基の1個以上のHがFによって置換され得る。
フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状ニトリル及びジニトリルの例は、アジポジニトリル、アセトニトリル、プロピオニトリル及びブチロニトリルであり、1個以上のHがFによって置換され得る。
フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状ホスフェートの例は、アルキル基の1個以上のHがFによって置換され得るトリアルキルホスフェート、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート及びトリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスフェートである。
より好ましくは、非プロトン性有機溶媒は、フッ素化及び非フッ素化エーテル及びポリエーテル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状有機カーボネート、カルボン酸のフッ素化及び非フッ素化環状及び非環状エステル及びジエステル、及びこれらの混合物から選択される。さらにより好ましくは、非プロトン性溶媒は、フッ素化及び非フッ素化エーテル及びポリエーテル、及びフッ素化及び非フッ素化環状及び非環状有機カーボネート、及びこれらの混合物から選択される。
別の実施形態によれば、電解質組成物は、1-フルオロエチルカーボネートのようなフッ素化環状カーボネートから選択される、少なくとも1種の溶媒を含有する。
別の実施形態によれば、電解質組成物は、少なくとも1種のフッ素化環状カーボネート、例えば、1-フルオロエチルカーボネート及び少なくとも1種の非フッ素化非環状有機カーボネート、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートを含有する。
本発明の電解質組成物は、少なくとも1種の伝導塩(ii)を含有する。電解質組成物は、電気化学セル中で生じる電気化学反応に関与するイオンを移動させる媒体として機能する。電解質中に存在する伝導塩(ii)は、通常、非プロトン性有機溶媒(i)中で溶媒和されている。好ましくは、伝導塩はリチウム塩である。
伝導塩(ii)は、
・Li[F6-xP(C2y+1](式中、xは0~6の範囲の整数であり、yは1~20の範囲の整数である);
・Li[B(R)4]、Li[B(R)2(ORIIO)]及びLi[B(ORIIO)2](式中、各Rは、互いに独立して、F、Cl、Br、I、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、OC1~C4アルキル、OC2~C4アルケニル及びOC2~C4アルキニルから選択され、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、1個以上のORIIIによって置換され得、ORIIIは、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル及びC2~C6アルキニルから選択され、
(ORIIO)は、1,2-又は1,3-ジオール、1,2-又は1,3-ジカルボン酸又は1,2-又は1,3-ヒドロキシカルボン酸から誘導される二価基であり、二価基は、両方の酸素原子を介して中心B原子と5又は6員環を形成する);
・LiClO;LiAsF;LiCFSO;LiSiF;LiSbF;LiAlCl、Li(N(SOF))、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート;リチウムオキサレート;及び
・一般式Li[Z(C2n+1SO](式中、m及びnは以下のように定義される:
Zが酸素及び硫黄から選択される場合、w=1であり、
Zが窒素及びリンから選択される場合、w=2であり、
Zが炭素及びケイ素から選択される場合、w=3であり、
vは、1~20の範囲の整数である)の塩
からなる群から選択され得る。
二価基(ORIIO)が誘導される、適した1,2-及び1,3-ジオールは、脂肪族又は芳香族であり得、例えば、1個以上のFで、及び/又は少なくとも1個の直鎖状又は分岐状、非フッ素化、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されたC~Cアルキル基で任意に置換された、1,2-ジヒドロキシベンゼン、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、シクロヘキシル-トランス-1,2-ジオール及びナフタレン-2,3-ジオールから選択され得る。そのような1,2-又は1,3-ジオールの例は、1,1,2,2-テトラ(トリフルオロメチル)-1,2-エタンジオールである。
「完全にフッ素化されたC~Cアルキル基」とは、アルキル基のすべてのH原子がFによって置換されることを意味する。
二価基(ORIIO)が誘導される、適した1,2-又は1,3-ジカルボン酸は、脂肪族又は芳香族であり得、例えばシュウ酸、マロン酸(プロパン-1,3-ジカルボン酸)、フタル酸又はイソフタル酸であり、シュウ酸が好ましい。1,2-又は1,3-ジカルボン酸は、1個以上のFで、及び/又は少なくとも1個の直鎖状又は分岐状、非フッ素化、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されたC~Cアルキル基で任意に置換される。
二価基(ORIIO)が誘導される、適した1,2-及び1,3-ヒドロキシカルボン酸は、脂肪族又は芳香族であり得、例えばサリチル酸、テトラヒドロサリチル酸、リンゴ酸及び2-ヒドロキシ酢酸であり、1個以上のFで、及び/又は少なくとも1個の直鎖状又は分岐状、非フッ素化、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されたC~Cアルキル基で任意に置換される。そのような1,2-又は1,3-ヒドロキシカルボン酸の例は、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-2-ヒドロキシ-酢酸である。
Li[B(R]、Li[B(R(ORIIO)]及びLi[B(ORIIO)]の例は、LiBF、リチウムジフルオロオキサラトボレート及びリチウムジオキサラトボレートである。
好ましくは、少なくとも1種の伝導塩(ii)は、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiBF、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、LiClO、LiN(SO、LiN(SOCF、LiN(SOF)及びLiPF(CFCF、より好ましくはLiPF、LiBF及びLiPF(CFCFから選択され、より好ましくは、伝導塩は、LiPF及びLiBFから選択され、最も好ましくは、伝導塩はLiPFである。
少なくとも1種の伝導塩は、通常、電解質組成物全体に対して、少なくとも0.1m/lの最小濃度で存在し、好ましくは、少なくとも1種の伝導塩の濃度は、0.5~2mol/lである。
本発明の電解質組成物は、構成成分(iii)として式(I)
Figure 0007025436000004
(式中、
Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
Aは、各場合とも(CHm1S(O)(CHm2、(CHm3P(O)(OR、及び(CHm4C(O)ORから独立して選択され;
は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
aは、1又は2であり;
bは、1又は2であり;
n及びm2は、それぞれ独立して1~6の整数であり;
m1、m3及びm4は、それぞれ独立して0又は1~6の整数であり;
(CH、(CHm1、(CHm2、(CHm3、及び(CHm4鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得;
Aが(CHm4C(O)ORの場合は、bは2である)
の少なくとも1種の化合物を含有する。
本明細書で使用する用語「C~C10アルキル」とは、自由原子価1を有する、1~10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、n-ヘプチル、イソ-ヘプチル、n-オクチル、イソ-オクチル、n-ノニル、n-デシルなどを意味する。C~Cアルキルが好ましく、C~Cアルキルがより好ましく、メチル、エチル、n-及びイソ-プロピルがさらにより好ましく、メチル及びエチルが最も好ましい。
本明細書で使用する用語「C~C(ヘテロ)シクロアルキル」とは、自由原子価1を有する飽和3~6員炭化水素環を意味し、飽和環のC原子の1個以上は、互いに独立して、N、S、O及びPから選択されるヘテロ原子で置き換えられ得る。C~Cシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられ、シクロヘキシルが好ましい。C~Cヘテロシクロアルキルの例は、オキシラニル、テトラヒドロフリル、ピロリジル、ピペリジル及びモルホリニルである。
本明細書で使用する用語「C~C10アルケニル」とは、自由原子価1を有する、2~10個の炭素原子を含む不飽和、直鎖状又は分岐状炭化水素基を指す。不飽和とは、アルケニル基が少なくとも1つのC-C二重結合を含有することを意味する。C~Cアルケニルとしては、例えば、エテニル、プロペニル、1-n-ブテニル、2-n-ブテニル、イソ-ブテニル、1-ペンテニル、1-ヘキセニル、1-ヘプテニル、1-オクテニル、1-ノネニル、1-デセニルなどが挙げられる。C~Cアルケニル基が好ましく、C~Cアルケニル基がさらにより好ましく、エテニル及びプロペニルがより好ましく、アリルとも呼ばれる1-プロペン-3-イルが最も好ましい。
本明細書で使用する用語「C~C10アルキニル」とは、自由原子価1を有する、2~10個の炭素原子を含む不飽和、直鎖状又は分岐状炭化水素基であって、少なくとも1つのC-C三重結合を含有する炭化水素基を指す。C~Cアルキニルとしては、例えば、エチニル、プロピニル、1-n-ブチニル、2-n-ブチニル、イソ-ブチニル、1-ペンチニル、1-ヘキシニル、1-ヘプチニル、1-オクチニル、1-ノニニル、1-デシニルなどが挙げられる。C~Cアルキニルが好ましく、C~Cアルキニルがさらにより好ましく、エチニル及び1-プロピン-3-イル(プロパルギル)が最も好ましい。
本明細書で使用する用語「C~C(ヘテロ)アリール」は、自由原子価1を有する芳香族5~7員炭化水素環又は縮合環を示し、芳香族環のC原子の1個以上は、互いに独立して、N、S、O及びPから選択されるヘテロ原子で置き換えられ得る。C~C(ヘテロ)アリールの例は、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピリジニル、ピラニル、チオピラニル及びフェニルである。フェニルが好ましい。
本明細書で使用する用語「C~C13(ヘテロ)アラルキル」は、1つ以上のC~Cアルキルによって置換された芳香族5~7員炭化水素環を示し、芳香族環のC原子の1個以上は、互いに独立して、N、S、O及びPから選択されるヘテロ原子で置き換えられ得る。C~C13(ヘテロ)アラルキル基は、合計で6~13個のC及びヘテロ原子を含有し、自由原子価1を有する。自由原子価は、芳香族環に位置していても、C~Cアルキル基に位置していてもよく、すなわち、C~C13(ヘテロ)アラルキル基は、基の(ヘテロ)芳香族部分を介して結合していても、アルキル部分を介して結合し得る。C~C13(ヘテロ)アラルキルの例は、メチルフェニル、2-メチルピリジル、1,2-ジメチルフェニル、1,3-ジメチルフェニル、1,4-ジメチルフェニル、エチルフェニル、2-プロピルフェニル、ベンジル、2-CH-ピリジルなどである。
Lは、C~C炭化水素リンカー基であって、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられていてよいものである。Lは直鎖状又は分岐状であり得、好ましくはC~C飽和炭化水素から誘導され得る。例えばLは、2~4個のH原子を1個又は2個のA基及び1個又は2個の[-(CH-SOF]基で置き換えることによって、メタン、エタン、n-プロパン、i-プロパン、n-ブタン及びイソブタンから誘導され得る。さらに、Lの残りのH原子の1個以上が、F及びCNから選択される1つ以上の置換基で置き換えられ得る。Lは、例えば-(CH)--(CF)--(CH-(CF-(CH(CH))--(CH-(CHCH(CH))--(CH-(CHCH(CH)CH)--(CH(CN))--(C(CN))-
Figure 0007025436000005

から選択され得、式中「」はAへの結合部又は[(CH-SOF]を示す。
一実施形態によれば、Lは-(CH)--(CH-(C(CN))-
Figure 0007025436000006
から選択される。
Aは、各場合とも(CHm1S(O)(CHm2、(CHm3P(O)(OR、及び(CHm4C(O)ORから独立して選択される。少なくとも1つのAが(CHm4C(O)ORである場合、式(I)の化合物は、第二の[-(CH-SOF]基を含有する。
は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択される。好ましくはRは、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C10アルケニル、及びC~C10アルキニルから独立して選択され、より好ましくは、Rは、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルキニルから独立して選択され、さらにより好ましくは、Rは、各場合とも、1つ以上のC(O)OR1aによって置換され得るC~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルキニルから独立して選択される。
1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;好ましくはR1aは、CN、F、及びS(O)Fから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニルから選択され、より好ましくはR1aは、CN、F、及びS(O)Fから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニルから選択され、さらにより好ましくはR1aは、CN、F、及びS(O)Fから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニルから選択される。
は、好ましくはCN、F、S(O)F、C(O)OC~Cアルキル、C(O)OCC~Cアルケニル、及びC(O)OC~Cアルキニルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルキニルから選択される。Rの例は、メチル、CF、エチル、CHCFH、CHCF、i-プロピル、n-プロピル、アリル(CHCHCH)、プロパルギル(CHCCH)、CHC(O)OCH、(CHC(O)OCH、CHC(O)OCHCHCH、(CHC(O)OCHCHCH、CHC(O)OCHCCH、及び(CHC(O)OCHCCHである。
m1は、各場合とも独立して0又は1~6の整数であり、すなわちm1は0、1、2、3、4、5又は6であり得、好ましくはm1は各場合とも独立して0、1又は2であり、より好ましくはm1は0である。
m2は、各場合とも独立して1~6の整数であり、すなわちm2は1、2、3、4、5又は6であり得、好ましくはm2は各場合とも独立して1、2、3又は4であり、より好ましくはm2は1又は2である。
は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択される。好ましくは、Rは、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、及び(ヘテロ)アリールが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、及びC~C(ヘテロ)アリールから独立して選択され、より好ましくは、Rは、各場合とも、アルキル及び(ヘテロ)アリールがF及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(OR2a、C~C10アルキル、及びC~C(ヘテロ)アリールから独立して選択され、さらにより好ましくは、Rは、各場合とも、アルキル及び(ヘテロ)アリールがF及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(OR2a、C~Cアルキル、及びC~C(ヘテロ)アリールから独立して選択される。
2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;好ましくはR2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C(ヘテロ)アリールから独立して選択され、より好ましくはR2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~Cアルキルから独立して選択される。
は、好ましくは、1個以上のFによって置換され得るSi(OC~Cアルキル)、C~Cアルキル、及びC~C(ヘテロ)アリールから選択される。Rは、例えばメチル、CF、エチル、CHCFH、CHCF、i-プロピル、n-プロピル、フェニル、Si(OCH、及びSi(OCから選択され得る。
m3は、各場合とも独立して0又は1~6の整数であり、すなわちm3は0、1、2、3、4、5又は6であり得、好ましくはm3は0、1、2、3又は4、より好ましくはm3は0である。
は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;好ましくはRは、各場合とも、アルキル、アルケニル、及びアルキニルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C10アルケニル、及びC~C10アルキニルから独立して選択され;より好ましくはRは、各場合とも、アルキル、アルケニル及びアルキニルが、CN及びFから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルキニルから独立して選択される。Rは例えば、メチル、CHCN、CF、エチル、CHCHCN、CHCFH、CHCF、i-プロピル、n-プロピル、アリル(CHCHCH)、及びプロパルギル(CHCCH)から選択され得る。
m4は、各場合とも独立して0又は1~6の整数であり、すなわちm4は0、1、2、3、4、5又は6であり得、好ましくはm4は各場合とも独立して0、1、2、3又は4であり、より好ましくはm4は0である。
nは、各場合とも独立して1~6の整数であり、すなわちnは1、2、3、4、5又は6であり得、好ましくはnは各場合とも独立して1、2、3又は4であり、より好ましくはnは1又は2である。
パラメータaは1又は2であり、パラメータbは1又は2であり、少なくとも1つのAが(CHm4C(O)ORの場合は、bは2である。a及びbの合計は2~4であり、好ましくはa及びbの合計は2又は3である。
一実施形態によれば、少なくとも1つのAは(CHm1S(O)(CHm2である。少なくとも1つのAが(CHm1S(O)(CHm2である式(I)の化合物は、式(II)

-(CHm2-S(O)-(CHm1-L-[(CH-SOF] (II)

(式中、
Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
bは、1又は2であり;
nは、1、2、3又は4であり;
m1は、0、1又は2であり;
m2は、1、2、3又は4であり;及び
(CH、(CHm1、及び(CHm2鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得る)
の化合物を含む。
L、R、R1a、b、n、m1及びm2は、上記で詳細に記載した通りである。とりわけ好ましい式(II)の化合物は、式中、
Lが、CHであり;
bが、1であり;
nが、1又は2であり;
m1が、0であり、及び
m2が、1又は2である、
式(II)の化合物である。
別の実施形態によれば、少なくとも1つのAは、(CHm3P(O)(ORである。少なくとも1つのAが(CHm3P(O)(ORである式(I)の化合物は、式(III)

(RO)P(O)-(CHm3-L-[(CH-SOF] (III)

(式中、
Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
bは、1又は2であり;
nは、1、2、3又は4であり;
m3は、0、1、2、3又は4であり;及び
(CH及び(CHm3鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得る)
の化合物を含む。
L、R、R2a、b、n及びm3は、上記で詳細に記載した通りである。とりわけ好ましい式(III)の化合物は、式中、
Lが、C~C炭化水素リンカー基であり;
bが、1であり;
nが、1又は2であり;
m3が、0である、
式(III)の化合物である。
別の実施形態によれば、少なくとも1つのAは(CHm4C(O)ORであり、bは2である。少なくとも1つのAが(CHm4C(O)ORであり、bが2である式(I)の化合物は、式(IV)

OC(O)-(CHm4-L-[(CH-SOF] (IV)
(式中、
Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
nは、1、2、3又は4であり;
m4は、0、1、2、3又は4であり;及び
(CH及び(CHm4鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得る)
の化合物を含む。
L、R、n及びm4は、上記で詳細に記載した通りである。とりわけ好ましい式(IV)の化合物は、式中、
Lが、1個以上の水素がCNで置き換えられるC~C炭化水素リンカー基であり、好ましくはLが-C(CN)-であり;
nが、1又は2であり;及び
m4が、0である、
式(IV)の化合物である。
別の実施形態によれば、式(I)の化合物は、式(V)
Figure 0007025436000007
(式中、
Aは、上記で記載し、好ましいと記載した通りに、(CHm1S(O)(CHm2、(CHm3P(O)(OR、及び(CHm4C(O)ORから選択され;及び
nは1~6の整数であり、好ましくはnは1、2、3又は4であり、より好ましくはnは1又は2である)
の化合物から選択される。
式(I)の化合物の例は、以下である。
Figure 0007025436000008
式(I)の化合物の調製は当業者に既知である。それら化合物の調製の記述は、J.J.Krutak et all、J.Org.Chem.、第44巻、第279 第3847~3858頁に見出され得る。
通常、電解質組成物は、電解質組成物の総質量に対して合計で少なくとも0.01質量%の、電解質組成物の総質量に対して好ましくは少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%の、式(I)の化合物を含有する。電解質組成物中の式(I)の化合物の総濃度の上限値は、通常、電解質組成物の総質量に対して10質量%、好ましくは5質量%であり、より好ましくは式(I)の化合物の総濃度の上限は、電解質組成物の総質量に対して4質量%である。通常、電解質組成物は、電解質組成物の総質量に対して合計で0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~4質量%の式(I)の化合物を含有する。
本発明のさらなる目的は、電気化学セルにおいて、例えば、電気化学セルにおいて使用される電解質組成物において、式(I)の化合物を使用する方法である。電解質組成物において、式(I)の化合物は、通常、添加剤として、好ましくは、被膜形成添加剤として及び/又はガス発生防止添加剤として使用される。好ましくは、式(I)の化合物は、リチウム電池において、例えば、電解質組成物のための添加剤として、より好ましくはリチウムイオン電池において、さらにより好ましくはリチウムイオン電池のための電解質組成物において使用される。
式(I)の化合物が、電解質組成物において添加剤として使用される場合、それらは、通常、所望量で電解質組成物に添加される。それらは、通常、電解質組成物において、上記で記載し、好ましいと記載した通りの濃度で使用される。
本発明による電解質組成物は、任意に、少なくとも1種のさらなる添加剤(iv)を含有する。添加剤(iv)は、SEI形成添加剤、難燃剤、過充電保護添加剤、湿潤剤、HF及び/又はHO捕捉剤、LiPF塩の安定剤、イオン性溶媒和促進剤、腐食抑制剤、ゲル化剤などから選択され得る。1種以上の添加剤(iv)は、式(I)の化合物とは異なる。電解質組成物は、少なくとも1種の添加剤(iv)、又は2種又は3種以上を含有してもよい。
難燃剤の例は、有機リン化合物、例えば、シクロホスファゼン、有機ホスホラミド、有機ホスファイト、有機ホスフェート、有機ホスホネート、有機ホスフィン及び有機ホスフィネート、及びそれらのフッ化誘導体である。
シクロホスファゼンの例は、Phoslyte(商標)Eの商標でNippon Chemical Industrialから入手可能なエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ヘキサメチルシクロトリホスファゼン及びヘキサメトキシシクロトリホスファゼンであり、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンが好ましい。有機ホスホラミドの例は、ヘキサメチルホスホラミドである。有機ホスファイトの例は、トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスファイトである。有機ホスフェートの例は、トリメチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスフェート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)メチルホスフェート及びトリフェニルホスフェートである。有機ホスホネートの例は、ジメチルホスホネート、エチルメチルホスホネート、メチルn-プロピルホスホネート、n-ブチルメチルホスホネート、ジエチルホスホネート、エチルn-プロピルホスホネート、エチルn-ブチルホスホネート、ジ-n-プロピルホスホネート、n-ブチルn-プロピルホスホネート、ジ-n-ブチルホスホネート及びビス(2,2,2-トリフルオロエチル)メチルホスホネートである。有機ホスフィンの例は、トリフェニルホスフィンである。有機ホスフィネートの例は、ジメチルホスホネート、ジエチルホスフィネート、ジ-n-プロピルホスフィネート、トリメチルホスフィネート、トリメチルホスフィネート及びトリ-n-プロピルホスフィネートである。
HF及び/又はHO捕捉剤の例は、任意にハロゲン化された環状及び非環状シリルアミンである。過充電保護添加剤の例は、シクロヘキシルベンゼン、o-テルフェニル、p-テルフェニル及びビフェニルなどであり、シクロヘキシルベンゼン及びビフェニルが好ましい。
ゲル化剤の例は、ポリマー、例えば、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ナフィオン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアニリン、ポリピロール及び/又はポリチオフェンである。これらのポリマーは、とりわけエージングの間に、液体電解質を半固体又は固体電解質に変換するため、よって溶媒残留を改善するために、電解質に添加される。
SEI形成添加剤は、被膜形成添加剤である。本発明によるSEI形成添加剤は、電極上で分解して、電解質及び/又は電極の分解を防ぐ不活性化層を電極上に形成する化合物である。このようにして、電池の寿命は、顕著に延長される。好ましくは、SEI形成添加剤は、アノード上に不活性化層を形成する。本発明の文脈におけるアノードは、電池の負電極として理解される。好ましくは、アノードは、リチウムに対して1ボルト以下の還元電位を有し、例えば、リチウムインターカレートグラファイトアノードなどである。化合物がアノード被膜形成添加剤として適格であるかを決定するために、グラファイト電極及び金属対電極、及び少量、典型的には、電解質組成物の0.1~10質量%、好ましくは、電解質組成物の0.2~5質量%の前記化合物を含有する電解質を含む電気化学セルを調製することができる。アノード及びリチウム金属間に電圧を印加すると、電気化学セルの微分容量が0.5V~2Vで記録される。最初のサイクルの間に顕著な微分容量、例えば1Vで-150mAh/Vが観察されるが、前記電圧範囲で、続くサイクルの間には観察されないか又は本質的に観察されない場合、この化合物は、SEI形成添加剤とみなすことができる。SEI形成添加剤は、当業者に既知である。
一実施形態によると、電解質組成物は、少なくとも1種のSEI形成添加剤を含有する。より好ましくは、電解質組成物は、少なくとも1つの二重結合を含有する環状カーボネート;フッ化エチレンカーボネート及びその誘導体;硫黄含有酸の環状エステル;オキサレート含有化合物;及びWO2013/026854A1に詳細に記載される通りの硫黄含有添加剤、特に第12頁第22行目~第15頁第10行目に示される硫黄含有添加剤から選択される少なくとも1種のSEI形成を含有する。
少なくとも1つの二重結合を含有する環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート及びその誘導体、例えば、メチルビニレンカーボネート及び4,5-ジメチルビニレンカーボネートのような、二重結合が環の一部である環状カーボネート;及び二重結合が環の一部ではない環状カーボネート、例えば、メチレンエチレンカーボネート、4,5-ジメチレンエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及び4,5-ジビニルエチレンカーボネートが挙げられる。好ましい少なくとも1つの二重結合を含有する環状カーボネートは、ビニレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、4,5-ジメチレンエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及び4,5-ジビニルエチレンカーボネートであり、ビニレンカーボネートが最も好ましい。
硫黄含有酸の環状エステルの例としては、プロパンスルトン及びその誘導体、メチレンメタンジスルホネート及びその誘導体及びプロペンスルトン及びその誘導体のようなスルホン酸の環状エステル;及びエチレンスルファイト及びその誘導体のような亜硫酸から誘導される環状エステルが挙げられる。好ましい硫黄含有酸の環状エステルは、プロパンスルトン、プロペンスルトン、メチレンメタンジスルホネート及びエチレンスルファイトである。
オキサレートを含む化合物としては、オキサレート、例えばリチウムオキサレート;オキサラトボレート、例えばリチウムジメチルオキサラトボレート及びビス(オキサラト)ボレートアニオン又はジフルオロオキサラトボレートアニオンを含む塩、例えばリチウムビス(オキサレート)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、アンモニウムビス(オキサラト)ボレート及びアンモニウムジフルオロ(オキサラト)ボレート;及びリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート及びリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートを含むオキサラトホスフェートが挙げられる。被膜形成添加剤として使用するための好ましいオキサレートを含む化合物は、リチウムビス(オキサラト)ボレート及びリチウムジフルオロ(オキサラト)ボレートである。
好ましいSEI形成添加剤は、オキサラトボレート、フッ化エチレンカーボネート及びその誘導体、少なくとも1つの二重結合を含有する環状カーボネート、硫黄含有酸の環状エステル、及びWO2013/026854A1に詳細に記載される通りの硫黄含有添加剤である。より好ましくは、電解質組成物は、少なくとも1つの二重結合を含有する環状カーボネート、フッ化エチレンカーボネート及びその誘導体、硫黄含有酸の環状エステル、及びオキサラトボレートから選択される少なくとも1種の添加剤を含有し、オキサラトボレート、フッ化エチレンカーボネート及びその誘導体、及び少なくとも1つの二重結合を含有する環状カーボネートがさらにより好ましい。特に好ましいSEI形成添加剤は、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、ビニレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及びモノフルオロエチレンカーボネートである。
電解質組成物がSEI形成添加剤(iv)を含有する場合、それは、通常、電解質組成物の0.1~10質量%、好ましくは0.2~5質量%の濃度で存在する。
添加剤(iv)として添加される化合物は、電解質組成物及び電解質組成物を含むデバイス中で1種を超える効果を有し得る。例えば、リチウムオキサラトボレートは、SEI形成を促進する添加剤として添加され得るが、伝導塩としても添加され得る。
本発明の一実施形態によれば、電解質組成物は少なくとも1種の添加剤(iv)を含有する。さらなる添加剤(iv)の最小の合計濃度は通常、電解質組成物の総質量に対して0.005質量%、好ましくは最小濃度は0.01質量%、より好ましくは最小濃度は0.1質量%である。添加剤(iv)の最大総濃度は通常、電解質組成物の総質量に対して25質量%である。
好ましい電解質組成物は、電解質組成物の総質量に対して、
(i)少なくとも74.99質量%の少なくとも1種の有機非プロトン性溶媒;
(ii)0.1~25質量%の少なくとも1種の伝導塩;
(iii)0.01~10質量%の式(I)の少なくとも1種の化合物;及び
(iv)0~25質量%の少なくとも1種の添加剤
を含有する。
電解質組成物は、好ましくは非水性である。本発明の一実施形態では、電解質組成物の含水量は、それぞれの本発明の配合物の質量に対して、好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、最も好ましくは、30ppm未満である。含水量は、例えば、DIN51777又はISO760:1978に詳細に記載される、カールフィッシャーによる滴定によって決定され得る。
本発明の一実施形態では、電解質組成物のHF含有量は、それぞれの本発明の配合物の質量に対して、好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、最も好ましくは、30ppm未満である。HF含有量は、滴定によって決定され得る。
電解質組成物は、好ましくは、稼働条件で液体であり、より好ましくは、電解質組成物は1bar、25℃で液体であり、さらにより好ましくは、電解質組成物は、1bar、-15℃で液体であり、特に、電解質組成物は、1bar、-30℃で液体であり、さらにより好ましくは、電解質組成物は、1bar、-50℃で液体である。そのような液体電解質組成物は、屋外用途、例えば、自動車電池における使用に特に適している。
本発明の電解質組成物は、電解質の製造の分野の当業者に既知である方法によって、一般には、上に記載した通り、伝導塩(ii)を対応する溶媒の混合物(i)に溶解し、式(I)の1種以上の化合物(iii)及び任意に1種以上の添加剤(iv)を添加することによって調製される。
電解質組成物は、電気化学セルにおいて使用され得、リチウム電池、二重層コンデンサ、又はリチウムイオンコンデンサで使用することが好ましく、リチウム電池で使用することがより好ましく、二次リチウムセルで使用することがさらにより好ましく、二次リチウムイオン電池で使用することが最も好ましい。
本発明の別の態様は、本発明は、上記で記載し、又は好ましいと記載した通りの電解質組成物を含む電気化学セルである。
電気化学セルは通常、
(A)少なくとも1種のアノード活性材料を含むアノード、
(B)少なくとも1種のカソード活性材料を含むカソード;及び
(C)上記で記載した通りの電解質組成物
を含む。
電気化学セルは、リチウム電池、二重層コンデンサ又はリチウムイオンコンデンサであり得る。そのような電気化学セルの一般的な構成は、電池に関して、例えば、Linden’s Handbook of Batteries(ISBN978-0-07-162421-3)において、当業者に既知であり、よく知られている。
好ましくは、電気化学セルは、リチウム電池である。本明細書で使用する用語「リチウム電池」とは、セルの充電/放電の間のある時点で、アノードがリチウム金属又はリチウムイオンを含む、電気化学セルを意味する。アノードは、リチウム金属又はリチウム金属合金、リチウムイオンを吸蔵及び放出する材料、又は他のリチウム含有化合物を含み得、例えば、リチウム電池は、リチウムイオン電池、リチウム/硫黄電池又はリチウム/セレン硫黄電池であり得る。リチウム電池は、好ましくは、二次リチウム電池、すなわち、再充電リチウム電池である。
特に好ましくは、電気化学デバイスは、リチウムイオン電池、すなわち、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができるカソード活性材料を含むカソード、及びリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができるアノード活性材料を含むアノードを含む二次リチウムイオン電気化学セルである。
電気化学セルは、少なくとも1種のカソード活性材料を含むカソード(B)を含む。少なくとも1種のカソード活性材料は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料を含み、リチウム遷移金属酸化物及びオリビン構造のリチウム遷移金属ホスフェートから選択され得る。リチウムイオンを吸蔵及び放出する化合物又は材料は、リチウムイオンインターカレート化合物とも呼ばれる。
リチウム遷移金属ホスフェートの例は、LiFePO、LiNiPO、LiMnPO及びLiCoPOであり;リチウムイオンインターカレートリチウム遷移金属酸化物の例は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、層構造を有する混合リチウム遷移金属酸化物、マンガン含有スピネル、及びNi、Al及び少なくとも1種の第2の遷移金属のリチウムインターカレート混合酸化物である。
Mn及び少なくとも1種の第2の遷移金属を含有する混合リチウム遷移金属酸化物の例は、式(VI)

Li1+e(NiCoMn1-e (VI)

(式中、
aは、0.05~0.9の範囲内、好ましくは、0.1~0.8の範囲内であり、
bは、0~0.35の範囲内であり、
cは、0.1~0.9の範囲内、好ましくは、0.2~0.8の範囲内であり、
dは、0~0.2の範囲内であり、
eは、0~0.3の範囲内、好ましくは>0~0.3の範囲内、より好ましくは、0.05~0.3の範囲内であり、
a+b+c+d=1であり、
Mは、Na、K、Al、Mg、Ca、Cr、V、Mo、Ti、Fe、W、Nb、Zr及びZnから選択される1種以上の金属である)
の層構造を有するリチウム遷移金属酸化物である。
式(VI)のコバルト含有化合物は、NCMとも呼ばれる。
eが0よりも大きい、式(VI)の層構造を有する混合リチウム遷移金属酸化物は、過リチウム化とも呼ばれる。
式(VI)の層構造を有する好ましい混合リチウム遷移金属酸化物は、M’がNi、及び任意にCo及びMnから選択される1種以上の遷移金属であるLiM’O相及びLiMnO相が混合され、上記で定義した通りの1種以上の金属Mが存在し得る、固溶体を形成する化合物である。1種以上の金属Mは、それらが通常、微量、例えば、遷移金属酸化物中に存在するリチウムを除く金属の総量に対して、最大で10mol%M、又は最大で5mol%M、又は最大で1mol%で存在するため、「ドーパント」又は「ドーピング金属」とも呼ばれる。1種以上の金属Mが存在する場合、それらは通常、遷移金属酸化物中に存在するリチウムを除く金属の総量に対して、少なくとも0.01mol%、又は少なくとも0.1mol%の量で存在する。これらの化合物は、式(IIa)

zLiM’O・(1-z)LiMnO (VIa)

(式中、M’は、Ni、及びMn及びCoから選択される少なくとも1種の金属であり;
zは、0.1~0.8である)
によっても表され、Na、K、Al、Mg、Ca、Cr、V、Mo、Ti、Fe、W、Nb、Zr及びZnから選択される1種以上の金属が存在し得る。
電気化学的に、LiM’O相中のNi及び存在する場合Co原子は、可逆的酸化及び還元反応に関与し、Li/Liに対し4.5V未満の電圧でLiイオンの脱インターカレート及びインターカレートをそれぞれもたらす一方、LiMnO相は、LiMnO相中のMnの酸化状態が+4である場合に、Li/Liに対し4.5Vに等しい又はそれを超える電圧で酸化及び還元反応に関与するだけである。従って、電子は、この相ではMn原子からではなく2p軌道の酸素イオンから除去され、少なくとも最初の充電サイクルにおいて、Oガスの形態の格子状構造に酸素の除去がもたらされる。
これらの化合物は、通常のNCMと比較したそれらの高いエネルギー密度のためにHE-NCMとも呼ばれる。HE-NCM及びNCMはいずれも、Li/Liに対して約3.0~3.8Vの動作電圧を有するが、実際に満充電に達するため、及びそれらの高いエネルギー密度の利益を得るための、HE-NCMの活性化及びサイクルの両方のために、高いカットオフ電圧を使用する必要がある。通常、Li/Liに対する充電の間のカソードについての上限カットオフ電圧は、HE-NCMを活性化するために少なくとも4.5V、好ましくは少なくとも4.6V、より好ましくは少なくとも4.7V、さらにより好ましくは少なくとも4.8Vである。電気化学セルの用語「Li/Liに対する充電の間の上限カットオフ電圧」とは、電気化学セルが充電される電圧の上限値を構成するLi/Li基準アノードに対する電気化学セルのカソードの電圧を意味する。HE-NCMの例は、0.33LiMnO・0.67Li(Ni0.4Co0.2Mn0.4)O、0.42LiMnO・0.58Li(Ni0.4Co0.2Mn0.4)O、0.50LiMnO・0.50Li(Ni0.4Co0.2Mn0.4)O、0.40LiMnO・0.60Li(Ni0.8Co0.1Mn0.1)O及び0.42LiMnO・0.58Li(Ni0.6Mn0.4)Oである。
dが0である式(II)の層構造を有するマンガン含有遷移金属酸化物の例は、LiNi0.33Mn0.67、LiNi0.25Mn0.75、LiNi0.35Co0.15Mn0.5、LiNi0.21Co0.08Mn0.71、LiNi0.22Co0.12Mn0.66、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.6Co0.2Mn0.2及びLiNi0.5Co0.2Mn0.3である。dが0である一般式(II)の遷移金属酸化物は、顕著な量のさらなるカチオン又はアニオンを含有しないことが好ましい。
dが0よりも大きい式(II)の層構造を有するマンガン含有遷移金属酸化物の例は、0.33LiMnO・0.67Li(Ni0.4Co0.2Mn0.4)O、0.42LiMnO・0.58Li(Ni0.4Co0.2Mn0.4)O、0.50LiMnO・0.50Li(Ni0.4Co0.2Mn0.4)O、0.40LiMnO・0.60Li(Ni0.8Co0.1Mn0.1)O及び0.42LiMnO・0.58Li(Ni0.6Mn0.4)Oであり、Na、K、Al、Mg、Ca、Cr、V、Mo、Ti、Fe、W、Nb、Zr及びZnから選択される1種以上の金属Mが存在し得る。1種以上のドーピング金属は、好ましくは、遷移金属酸化物中に存在するリチウムを除く金属の総量に対して、最大で1mol%まで存在する。
他の好ましい式(VI)の化合物は、Niの含量が、存在する遷移金属の総量に対して少なくとも50mol%である、Niに富む化合物である。これには、式(VIb)

Li1+e(NiCoMn1-e (VIb)

(式中、
aは、0.5~0.9の範囲内、好ましくは、0.5~0.8の範囲内であり、
bは、0~0.35の範囲内であり、
cは、0.1~0.5の範囲内、好ましくは、0.2~0.5の範囲内であり、
dは、0~0.2の範囲内であり、
eは、0~0.3の範囲内であり、
a+b+c+d=1であり、
Mは、Na、K、Al、Mg、Ca、Cr、V、Mo、Ti、Fe、W、Nb、Zr及びZnから選択される1種以上の金属である)
の化合物が含まれる。
式(VIb)のNiに富む化合物の例は、Li[Ni0.8Co0.1Mn0.1]O(NCM811)、Li[Ni0.6Co0.2Mn0.2]O(NCM622)及びLi[Ni0.5Co0.2Mn0.3]O(NCM523)である。
Mn及び少なくとも1種の第2の遷移金属を含有する混合リチウム遷移金属酸化物のさらなる例は、式(VII)

Li1+t2-t4-s (VII)

(式中、
sは、0~0.4であり、
tは、0~0.4であり、
Mは、Mn、及びCo及びNiから選択される少なくとも1種のさらなる金属であり、好ましくは、Mは、Mn及びNi、及び任意にCoであり、すなわち、Mの一部分は、Mnであり、別の部分はNiであり、任意にMのさらなる部分はCoから選択される)
のマンガン含有スピネルである。
カソード活性材料はまた、Ni、Al及び少なくとも1種の第2の遷移金属を含有するリチウムインターカレート混合酸化物から、例えば、Ni、Co及びAlのリチウムインターカレート混合酸化物から選択され得る。Ni、Co及びAlの混合酸化物の例は、式(VIII)

Li[NiCoAl]O (VIII)

(式中、
hは、0.7~0.9、好ましくは0.8~0.87、より好ましくは、0.8~0.85であり;
iは、0.15~0.20であり;及び
jは、0.02~10、好ましくは、0.02~1、より好ましくは、0.02~0.1、最も好ましくは0.02~0.03である)
の化合物である。
カソード活性材料は、LiMnPO、LiNiPO及びLiCoPOからも選択され得る。これらのホスフェートは、通常、オリビン構造を示す。通常、少なくとも4.5Vの上限カットオフ電圧をこれらのホスフェートを充電するために使用する必要がある。
好ましくは、少なくとも1種のカソード活性材料は、Mn及び少なくとも1種の第2の遷移金属を含有する混合リチウム遷移金属酸化物;Ni、Al及び少なくとも1種の第2の遷移金属を含有するリチウムインターカレート混合酸化物;LiMnPO;LiNiPO;及びLiCoPOから選択される。
カソードは、電気伝導性炭素のような電気伝導性材料及び結合剤のような通常の構成成分をさらに含み得る。電気伝導性材料及び結合剤として適した化合物は、当業者に既知である。例えば、カソードは、例えばグラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン又は前述の物質のうちの少なくとも2種の混合物から選択される伝導性多形の炭素を含み得る。さらに、カソードは、1種以上の結合剤、例えば1種以上の、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイソプレンのような有機ポリマー、及びエチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリロニトリル及び1,3-ブタジエンから選択される少なくとも2種のコモノマーのコポリマー、とりわけスチレン-ブタジエンコポリマー、及びポリビニリデンクロリド、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレンのようなハロゲン化(コ)ポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとポリアクリルニトリルとのコポリマーを含み得る。
本発明のリチウム電池内に含まれるアノードは、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができるか、又はリチウムと合金を形成することができるアノード活性材料を含む。例えば、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができる炭素質材料を、アノード活性材料として使用することができる。適した炭素質材料は、天然グラファイト、グラファイト化コークス、グラファイト化MCMB及びグラファイト化MPCFのようなグラファイト材料などの結晶性炭素材料;コークス、1500℃未満で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)及びメソフェーズピッチ系カーボンファイバー(MPCF)などの非晶質炭素;硬質炭素;及び炭素複合材、燃焼有機ポリマー及びカーボンファイバーなどの炭素アノード活性材料(熱分解炭素、コークス、グラファイト)である。
さらなるアノード活性材料は、リチウム金属及びリチウムと合金を形成することができる元素を含有する材料である。リチウムと合金を形成することができる元素を含有する材料の非限定例としては、金属、半金属又はこれらの合金が挙げられる。本明細書で使用する用語「合金」とは、2種以上の金属の合金及び1種以上の金属と1種以上の半金属との合金の両方を指すことが理解されるべきである。合金が、全体として金属特性を有する場合、その合金は非金属元素を含有し得る。合金の集合組織では、固溶体、共融物(共融混合物)、金属間化合物又はこれらの2種以上が共存している。そのような金属又は半金属元素の例としては、限定されることなく、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)及びケイ素(Si)が挙げられる。元素の長周期型周期律表における4及び14族の金属及び半金属元素が好ましく、とりわけ、チタン、ケイ素及びスズ、特にケイ素が好ましい。スズ合金の例としては、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)からなる群から選択される、1種以上の元素を有するものが挙げられる。ケイ素合金の例としては、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群から選択される、1種以上の元素を有するものが挙げられる。
さらに可能なアノード活性材料は、ケイ素をベースとする材料である。ケイ素をベースとする材料としては、ケイ素それ自体、例えば、非晶質及び結晶性ケイ素、ケイ素含有化合物、例えば、0<x1.5のSiO、及びSi合金、及びケイ素及び/又はケイ素含有化合物を含有する組成物、例えば、ケイ素/グラファイト複合材及び炭素被覆ケイ素含有材料が挙げられる。ケイ素それ自体は、異なる形態、例えば、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノ粒子、膜、ナノ多孔性ケイ素又はケイ素ナノチューブの形態で使用され得る。ケイ素は、カレントコレクタ上に堆積され得る。カレントコレクタは、被覆金属ワイヤ、被覆金属グリッド、被覆金属ウェブ、被覆金属シート、被覆金属箔又は被覆金属板から選択され得る。好ましくは、カレントコレクタは、被覆金属箔、例えば、被覆銅箔である。ケイ素の薄膜は、当業者に既知の任意の技術によって、例えば、スパッタリング技術によって、金属箔上に堆積され得る。ケイ素薄膜電極を調製する一方法は、R.Elazariら;Electrochem.Comm.2012、14、21~24に記載されている。
他の可能なアノード活性材料は、Tiのリチウムイオンインターカレート酸化物、例えばLiTi12である。
好ましくは、アノード活性材料は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができる炭素質材料から選択され、特に好ましくはグラファイト材料である。別の好ましい実施形態では、アノード活性は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができるケイ素をベースとする材料から選択され、好ましくはアノードはSiO材料又はケイ素/炭素複合材を含む。さらに好ましい実施形態では、アノード活性はTiのリチウムイオンインターカレート酸化物から選択される。
アノード及びカソードは、電極活性材料、結合剤、所望の場合、任意に伝導性材料及び増粘剤を溶媒中に分散させることによって電極スラリー組成物を調製し、スラリー組成物をカレントコレクタ上に被覆することによって作製され得る。カレントコレクタは、金属ワイヤ、金属グリッド、金属ウェブ、金属シート、金属箔又は金属板であり得る。好ましいカレントコレクタは、金属箔、例えば銅箔又はアルミニウム箔である。
本発明のリチウム電池は、それ自体慣例的に、さらなる構成要素、例えば、セパレータ、ハウジング、ケーブル接続などを含有し得る。ハウジングは、任意の形状、例えば、立方体状又は円柱の形状であり得、使用されるプリズム又はハウジングの形状は、パウチとして加工される金属-プラスチック複合材膜である。適したセパレータは、例えば、ガラスファイバーセパレータ及びポリオレフィンセパレータのようなポリマーをベースとするセパレータである。
いくつかの本発明のリチウム電池は、例えば、直列接続で、又は並列接続で、互いに合わせることができる。直列接続が好ましい。本発明は、上に記載される通りの本発明のリチウムイオン電池を、デバイス中で、とりわけモバイルデバイス中で使用する方法をさらに提供する。モバイルデバイスの例は、乗り物、例えば、自動車、自転車、航空機、又はボート又は船舶などの水上乗り物である。モバイルデバイスの他の例は、携帯型のもの、例えば、コンピュータ、とりわけラップトップコンピュータ、電話、又は例えば建設事業の、電動工具、とりわけ、ドリル、電池駆動スクリュードライバー又は電池駆動ステープラーである。しかし、本発明のリチウムイオン電池は、静止エネルギー源にも使用することができる。
さらなる記述がなくても、当業者は上記の記載をその最大の範囲で利用することができると想定される。従って、好ましい実施形態及び実施例は、限定的な効果を決して全く有しない記述的な封入物としてのみ解釈されるべきである。
1. 添加剤の調製
1.1 化合物I.1:2-(アリルスルホニル)エタンスルホニルフルオリド
テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(3.11g、9.55mmol、0.05当量)を、エテンスルホニルフルオリド(21.2g、191mmol、1.0当量)及びアリルチオール(17.7g、191mmol、3.0当量)のエタノール(EtOH、800ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。反応を水でクエンチし、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を蒸留によって精製して(0.4トール、64℃)、硫化物を無色の油として得た(19.5g、収率54%)。得られた硫化物は次の工程で使用した。
ルテニウム(III)クロリド水和物(0.11g、0.50mmol、0.5mol%)を、硫化物(18.8g、99mmol、1.0当量)のCHCN/HO(1/1、400ml)溶液に氷浴温度で添加し、暗褐色溶液を得た。過ヨウ素酸ナトリウム(44.7g、208mmol、2.1当量)を反応混合物に氷浴温度で添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応を水でクエンチし、CHClで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(10.0g、収率46%)。
I.2 化合物I.2:2-(1-プロピル)エタンスルホニルフルオリド
テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(4.39g、13.5mmol、0.05当量)を、エテンスルホニルフルオリド(31.5g、283mmol、1.05当量)及びプロパンチオール(21.0g、270mmol、1.0当量)のEtOH(1000ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を蒸留によって精製して(0.5トール、61℃)、硫化物を淡黄色の油として得た(44.6g、収率88%)。得られた硫化物は次の工程で使用した。
ルテニウム(III)クロリド水和物(0.27g、1.19mmol、0.5mol%)を、硫化物(44.6g、237mmol、0.1当量)のCHCN/HO(1/1.5、1000ml)溶液に氷浴温度で添加し、暗褐色溶液を得た。過ヨウ素酸ナトリウム(127g、593mmol、2.5当量)を反応混合物に氷浴温度で添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応を水でクエンチし、CHClで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(50.6g、収率97%)。
1.3 化合物I.3:2-(プロパルギルオキシカルボニル-2’-エタンスルホニル)エタンスルホニルフルオリド
p-トルエンスルホン酸(8.9g、46mmol、5mol%)を、2-プロピン-1-オール(115g、2024mmol、2.2当量)及び3-メルカプトプロピオン酸(99.6g、920mmol、1.0当量)のトルエン(1000ml)溶液に添加し、混合物をDean-Stark装置下で15時間還流した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水MgSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を蒸留によって精製して(3.6トール、73℃)、チオールを透明な油として得た(61.6g、収率46%)。得られたチオールは次の工程で使用した。
テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(6.88g、21.1mmol、0.05当量)を、エテンスルホニルフルオリド(47.1g、423mmol、1.0当量)及びチオール(61.6g、423mmol、1.0当量)のEtOH(1300ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗硫化物を白色固体として得た(101g)。得られた硫化物は、さらに精製することなく次の工程で使用した。
ルテニウム(III)クロリド水和物(81mg、0.36mmol、0.5mol)を、硫化物(20.1g、71mmol、1.0当量)のCHCN/HO(1/1、700ml)溶液に氷浴温度で添加し、暗褐色溶液を得た。過ヨウ素酸ナトリウム(38.1g、177mmol、2.5当量)を反応混合物に氷浴温度で添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応を水でクエンチし、CHClで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(13.0g、収率63%)。
1.4 化合物I.4:2-(メトキシカルボニル-2’-エタンスルホニル)エタンスルホニルフルオリド
テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(3.32g、10.2mmol、0.05当量)を、エテンスルホニルフルオリド(27.9g、204mmol、1.1当量)及びメチル3m(25.0g、204mmol、1.0当量)のEtOH(400ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を蒸留によって精製して(0.16トール、98℃)、硫化物を透明な油として得た(43.8g、収率92%)。得られた硫化物は次の工程に使用した。
ルテニウム(III)クロリド水和物(110mg、0.47mmol、0.25mol%)を、硫化物(43.8g、118mmol、1.0当量)のCHCN/HO(1/1.5、800ml)溶液に氷浴温度で添加し、暗褐色の溶液を得た。過ヨウ素酸ナトリウム(84.9g、394mmol、2.1当量)を反応混合物に氷浴温度で添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応を水でクエンチし、CHClで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(44.5g、収率89%)。
1.5 化合物I.5:3-プロパルギルオキシカルボニル-3-シアノペンタン-1,5-ジスルホニルフルオリド
1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI HCl、62.6g、320mmol、1.1当量)をシアノ酢酸(25.0g、291mmol、1.0当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、3.63g、29.1mmol、0.1当量)のCHCl(500ml)溶液に氷浴温度で添加した。2-プロピン-1-オール(25.0g、436mmol、1.5当量)を反応混合物に氷浴温度で添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。反応を水でクエンチし、CHClで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、シアノエステルをオレンジ色の油として得た(4.08g、収率11%)。得られたシアノエステルは次の工程で使用した。
テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(1.06g、3.25mmol、0.05当量)をエテンスルホニルフルオリド(7.95g、65.0mmol、1.0当量)及びシアノエステル(4.21g、32.5mmol、0.5当量)のEtOH(150ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(9.2g、収率82%)。
1.6 化合物I.6:3-メトキシカルボニル-3-シアノペンタン-1,5-ジスルホニルフルオリド
酢酸ナトリウム(AcONa、3.33g、40.0mmol、0.2当量)をエテンスルホニルフルオリド(49.5g、400mmol、2.0当量)及びシアノ酢酸メチル(20.0g、200mmol、1.0当量)のEtOH(800ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(39.3g、収率61%)。
1.7 化合物I.7:3-ジエチルホスフィニル-3-シアノペンタン-1,5-ジスルホニルフルオリド
酢酸ナトリウム(0.17g、2.0mmol、0.2当量)をエテンスルホニルフルオリド(2.47g、20mmol、2.0当量)及びジエチルシアノメチルホスホネート(1.81g、10mmol、1.0当量)のEtOH(40ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。反応を水でクエンチし、CHClで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(1.78g、収率44%)。
1.8 化合物I.8:2-(1’-メチル-2’,2’-ジシアノエチル-ジメチルホスホニル)エタンスルホニルフルオリド
ジブチルアミン(0.78g、6.0mmol、2mol%)をマロノニトリル(20.0g、300mmol、1.0当量)、ジメチルホスファイト(33.7g、300mmol、1.0当量)及びアセトアルデヒド(17.6g、360mmol、1.2当量)の混合物にゆっくりと氷浴温度で添加し、混合物を60℃で15時間撹拌した。得られたオレンジ色の油をCHClで希釈し、形成した沈殿物を濾過によって除去した。溶媒を減圧下で母液から除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、ホスホネートを油として得た(2.83g、収率4%)。得られたホスホネートは次の工程で使用した。
エテンスルホニルフルオリド(1.33g、12mmol、1.0当量)を、ホスホネート(2.82g、12.0mmol、1.0当量)及びテトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(0.20g、0.60mmol、0.05当量)のEtOH(25ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を30分間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を白色固体として得た(3.95g、収率63%)。
1.9 化合物I.9:2-(ジメトキシホスフィニル)エタンスルホニルフルオリド
酢酸ナトリウム(4.47g、54mmol、0.2当量)をエテンスルホニルフルオリド(30.0g、270mmol、1.0当量)及びジメチルホスファイト(30.3g、270mmol、1.0当量)のEtOH(500ml)溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製した。得られた油を蒸留によって再精製し(0.15トール、101℃)、生成物を無色の油として得た(16.2g、収率26%)。
1.10 比較化合物C.1.:2-メトキシカルボニルエタンスルホニルフルオリド
NaOCl 5HO(82.3g、200mmol、5当量)をジメチル3,3’-ジチオジプロピオネート(9.73g、40mmol、1.0当量)の酢酸(AcOH(200ml))溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。反応を氷でクエンチし、ジエチルエーテル(EtO)で抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗スルホニルクロリドをさらに精製することなく次の工程で使用した。
飽和KHF水溶液をスルホニルクロリドのCHCl溶液に氷浴温度で添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。反応を水でクエンチし、CHClで抽出し、ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)によって精製して、生成物を無色の油として得た(1.84g、収率27%)。
添加剤を表1にまとめる。
Figure 0007025436000009
2)電解質組成物
12.7質量%のLiPF、26.2質量%のエチレンカーボネート(EC)及び61.1質量%のエチルメチルカーボネート(EMC)を含有するベース電解質組成物(ELベース1)を調製した(質量%はELベース1の総質量に対する)。このELベース1配合物に、モノフルオロエチレンカーボネート10質量%(ELベース2)を添加した。このベース電解質ELベース2組成物に、異なる量の添加剤を添加した。正確な組成を表2にまとめる。表中、濃度は、電解質組成物の総質量に対する質量%として表す。異なる添加剤のモル濃度は、同じであった。
3)亜酸化ケイ素/グラファイトアノード
亜酸化ケイ素、グラファイト及びカーボンブラックを、完全に混合した。CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液及びSBR(スチレンブタジエンゴム)水溶液を、結合剤として使用した。酸化ケイ素、グラファイト及びカーボンブラックの混合物を、結合剤溶液と混合し、適切な量の水を添加して、電極の調製に適したスラリーを調製した。このようにして得られたスラリーを、ロール被覆機を使用して銅箔上に被覆し、周囲温度下で乾燥させた。Cu箔上の電極のサンプル負荷を、7mg cm-2となるように固定した。
4)NCAカソードテープの製作
リチウム含有混合Ni、Co及びAl酸化物(NCA)を、カソード活性材料として使用し、カーボンブラックと混合した。NCA及びカーボンブラックの混合物を、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)結合剤と混合し、適切な量のN-メチルピロリジノン(NMP)を添加して、電極の調製に適したスラリーを調製した。このようにして得られたスラリーを、ロール被覆機を使用することによってアルミニウム箔上へ被覆し、周囲温度下で乾燥させた。次いで、この電極テープを、真空下105℃で8時間維持して、使用できるようにした。カソード活性材料の厚さは、50μmであることが分かり、これは11mg/cmの負荷量に相当した。
5)試験セルの製作
上記に(4)で記載したように調製したNCA電極及び亜酸化ケイ素/グラファイトアノードを、それぞれカソード及びアノードとして含むパウチセル(200mAh)を、Ar充填グローブボックスに組み入れ、密封した。さらに、上記に記載した通りのカソード及びアノード及びセパレータを、カソード//セパレータ//アノードの順で重ねて、数層のパウチセルを製造した。その後、0.7mLの異なる非水性電解質組成物を、積層パウチセルに導入した。
6. NCA//亜酸化ケイ素/グラファイト複合材アノードを含むパウチフルセルの高温貯蔵性の評価
6.1 4.2V、45℃で5日間の貯蔵後のガス量
NCAカソード及び亜酸化ケイ素/グラファイトアノードを含む、調製したパウチセル(170mAh)を、0.1Cの定電流で3.1Vに充電し、次いで、最初のサイクルで電流値が0.01Cに達するまで、3.1Vの定電圧で充電した。その後、これらのセルを脱気した。脱気後、セル体積をアルキメデス法によって測定した。その後、パウチセルを、0.1Cの定電流で4.2Vに充電し、次いで、電流値が0.01Cに達するまで、4.2Vの定電圧で充電した。これらのセルを、45℃で5日間貯蔵し、次いで、25℃に移して容量を確認した。容量確認後、セル体積を再度測定した。セルのエージングガス量は、セルのエージング前後の体積差として決定し、ELベース2(電解質サンプル11)を有するパウチセルのガス量に対する%で表す。結果を表2に示す。
6.2 4.2V、60℃で7日間の貯蔵後のガス量
パウチセルを6.1で上記に記載したように処理したが、45℃で5日間貯蔵する代わりにこれらのセルを60℃で7日間貯蔵し、セル体積を再度測定した。セルの貯蔵ガス量は、セルの脱気後及び貯蔵後の体積差として決定し、ELベース2(電解質サンプル11)を有するパウチセルのガス量に対する%で表す。結果を表2に示す。
Figure 0007025436000010
表2に示す結果からわかるように、本発明の電解質組成物を含むセルは、高温での貯蔵の間、添加剤を有しない電解質組成物を含むセルよりも、また、電解質組成物に2-メトキシカルボニルエタンスルホニルフルオリド(C.1)を添加したセルよりも、低いガス生成率を示す。化合物I.1~I.4の添加により、貯蔵中のガス発生が特に大きく減少し、少なくとも1つのAが(CHm1S(O)(CHm2である式(I)の化合物が特に効果的であることを示す。

Claims (15)

  1. (i)少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒、
    (ii)少なくとも1種の伝導塩、
    (iii)式(I)
    Figure 0007025436000011
    (式中、
    Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
    Aは、各場合とも(CHm1S(O)(CHm2、(CHm3P(O)(OR、及び(CHm4C(O)ORから独立して選択され;
    は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    aは、1又は2であり;
    bは、1又は2であり;
    n及びm2は、各場合ともそれぞれ独立して1~6の整数であり;
    m1、m3及びm4は、各場合ともそれぞれ独立して0又は1~6の整数であり;
    (CH、(CHm1、(CHm2、(CHm3、及び(CHm4鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得;
    Aが(CHm4C(O)ORの場合は、bは2である)の少なくとも1種の化合物;及び
    (iv)任意に1種以上の添加剤
    を含有する、電解質組成物。
  2. 少なくとも1つのAが(CHm1S(O)(CHm2である、請求項1に記載の電解質組成物。
  3. 式(I)の化合物が、式(II)

    -(CHm2-S(O)-(CHm1-L-[(CH-SOF] (II)

    (式中、
    Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
    は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    bは、1又は2であり;
    nは、1、2、3又は4であり;
    m1は、0、1又は2であり;
    m2は、1、2、3又は4であり;及び
    (CH、(CHm1、及び(CHm2鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得る)
    の化合物である、請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  4. 少なくとも1つのAが(CHm3P(O)(ORである、請求項1に記載の電解質組成物。
  5. 式(I)の前記化合物が式(III)

    (RO)P(O)-(CHm3-L-[(CH-SOF] (III)

    (式中、
    Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
    は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    bは、1又は2であり;
    nは、1,2、3又は4であり;
    m3は、0、1、2、3又は4であり;及び
    (CH及び(CHm3鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得る)
    の化合物である、請求項1又は4に記載の電解質組成物。
  6. 少なくとも1つのAが(CHm4C(O)ORであり、bが2である、請求項1に記載の電解質組成物。
  7. 式(I)の前記化合物が、式(IV)

    OC(O)-(CHm4-L-[(CH-SOF] (IV)
    (式中、
    Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
    は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    nは、1、2、3又は4であり;
    m4は、0、1、2、3又は4であり;及び
    (CH及び(CHm4鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得る)
    の化合物である、請求項1又は6に記載の電解質組成物。
  8. 式(I)の前記化合物が以下から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の電解質組成物。
    Figure 0007025436000012
  9. 前記電解質組成物の総質量に対して、0.01~10質量%の式(I)の前記化合物を含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電解質組成物。
  10. 前記電解質組成物が非水性である、請求項1から9のいずれか一項に記載の電解質組成物。
  11. 前記非プロトン性有機溶媒(i)が、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状有機カーボネート、フッ素化及び非フッ素化エーテル及びポリエーテル、フッ素化及び非フッ素化環状エーテル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状アセタール及びケタール、フッ素化及び非フッ素化オルトカルボン酸エステル、カルボン酸のフッ素化及び非フッ素化環状及び非環状エステル及びジエステル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状スルホン、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状ニトリル及びジニトリル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状ホスフェート、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の電解質組成物。
  12. 前記少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒(i)が、フッ素化及び非フッ素化エーテル及びポリエーテル、フッ素化及び非フッ素化環状及び非環状カーボネート、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の電解質組成物。
  13. 前記少なくとも1種の伝導塩(ii)がリチウム塩から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の電解質組成物。
  14. 式(I)
    Figure 0007025436000013
    (式中、
    Lは、1個以上の水素がCN及び/又はFで置き換えられ得るC~C炭化水素リンカー基であり;
    Aは、各場合とも(CHm1S(O)(CHm2、(CHm3P(O)(OR、及び(CHm4C(O)ORから独立して選択され;
    は、各場合とも、F、CN、S(O)F、S(O)1a、OR1a、及びC(O)OR1aから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    1aは、各場合とも、CN、F、S(O)F、及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    は、各場合とも、アルキル、(ヘテロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るSi(R2a、Si(OR2a、C~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    2aは、各場合とも、1個以上のFによって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    は、各場合とも、アルキル、アルケニル、アルキニル、(ヘテロ)アリール、及び(ヘテロ)アラルキルが、CN、F及び非フッ素化及びフッ素化C~Cアルキルから選択される1つ以上の置換基によって置換され得るC~C10アルキル、C~C(ヘテロ)シクロアルキル、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C(ヘテロ)アリール、及びC~C13(ヘテロ)アラルキルから独立して選択され;
    aは、1又は2であり;
    bは、1又は2であり;
    n及びm2は、それぞれ独立して1~6の整数であり;
    m1、m3及びm4は、それぞれ独立して0又は1~6の整数であり;
    (CH、(CHm1、(CHm2、(CHm3、及び(CHm4鎖の1個以上のHは、Fで置き換えられ得;
    Aが(CHm4C(O)ORの場合は、bは2である)の化合物の、電気化学セルのための電解質組成物における使用方法。
  15. 請求項1から13のいずれか一項に記載の電解質組成物を含む電気化学セル。
JP2019542535A 2017-02-07 2018-02-02 リチウムイオン電池のための電解質組成物のための官能性スルホニルフルオリド添加剤 Active JP7025436B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP17155031 2017-02-07
EP17155031.2 2017-02-07
PCT/EP2018/052618 WO2018146007A1 (en) 2017-02-07 2018-02-02 Functionalized sulfonyl fluoride additives for electrolyte composition for lithium ion batteries

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020506517A JP2020506517A (ja) 2020-02-27
JP7025436B2 true JP7025436B2 (ja) 2022-02-24

Family

ID=57995072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019542535A Active JP7025436B2 (ja) 2017-02-07 2018-02-02 リチウムイオン電池のための電解質組成物のための官能性スルホニルフルオリド添加剤

Country Status (6)

Country Link
US (1) US11145903B2 (ja)
EP (1) EP3580804A1 (ja)
JP (1) JP7025436B2 (ja)
KR (1) KR102569635B1 (ja)
CN (1) CN110249466B (ja)
WO (1) WO2018146007A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111987360B (zh) * 2019-11-27 2021-10-08 中节能万润股份有限公司 一种基于锂离子电池电解液添加剂及其应用
CN111162315B (zh) * 2019-12-20 2021-11-09 惠州亿纬创能电池有限公司 电解液及锂离子电池
US11728490B2 (en) * 2021-04-22 2023-08-15 GM Global Technology Operations LLC Current collectors having surface structures for controlling formation of solid-electrolyte interface layers

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006049112A (ja) 2004-08-05 2006-02-16 Mitsubishi Chemicals Corp 非水系電解液及び非水系電解液電池
JP2006049152A (ja) 2004-08-05 2006-02-16 Mitsubishi Chemicals Corp 非水系電解液及び非水系電解液電池
JP2008146983A (ja) 2006-12-08 2008-06-26 Sony Corp 電解液および電池
CN103633368A (zh) 2013-10-28 2014-03-12 山东海容电源材料有限公司 电解液用阻燃添加剂及阻燃型锂离子电池电解液
JP2016066481A (ja) 2014-09-24 2016-04-28 三井化学株式会社 電池用非水電解液、及びリチウム二次電池
JP2018073732A (ja) 2016-11-02 2018-05-10 ソニー株式会社 二次電池用電解液、二次電池、電池パック、電動車両および電子機器

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4557381B2 (ja) 2000-06-27 2010-10-06 三井化学株式会社 非水電解液およびそれを用いた二次電池
JP4448275B2 (ja) 2001-05-11 2010-04-07 三星エスディアイ株式会社 リチウム二次電池用電解液及びこれを含むリチウム二次電池
US9153836B2 (en) 2007-08-23 2015-10-06 Sony Corporation Electrolytic solutions and battery
CN102306834A (zh) * 2011-08-22 2012-01-04 诺莱特科技(苏州)有限公司 一种改善软包锂锰电池胀气的电解质溶液
CN103764628B (zh) 2011-08-24 2016-09-21 巴斯夫欧洲公司 用于电化学或光电装置的含硫添加剂
EP2750238B1 (en) 2011-10-04 2017-09-06 Daikin Industries, Ltd. Non-aqueous electrolyte and battery
WO2013188594A2 (en) * 2012-06-12 2013-12-19 A123 Systems, LLC Non-aqueous electrolytic rechargeable batteries for extended temperature range operation
WO2014104221A1 (ja) 2012-12-26 2014-07-03 三菱化学株式会社 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池
JP6064717B2 (ja) 2013-03-21 2017-01-25 三菱化学株式会社 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池
CN105845977B (zh) * 2016-05-26 2018-12-21 宁德时代新能源科技股份有限公司 一种电解液及包括该电解液的锂离子电池

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006049112A (ja) 2004-08-05 2006-02-16 Mitsubishi Chemicals Corp 非水系電解液及び非水系電解液電池
JP2006049152A (ja) 2004-08-05 2006-02-16 Mitsubishi Chemicals Corp 非水系電解液及び非水系電解液電池
JP2008146983A (ja) 2006-12-08 2008-06-26 Sony Corp 電解液および電池
CN103633368A (zh) 2013-10-28 2014-03-12 山东海容电源材料有限公司 电解液用阻燃添加剂及阻燃型锂离子电池电解液
JP2016066481A (ja) 2014-09-24 2016-04-28 三井化学株式会社 電池用非水電解液、及びリチウム二次電池
JP2018073732A (ja) 2016-11-02 2018-05-10 ソニー株式会社 二次電池用電解液、二次電池、電池パック、電動車両および電子機器

Also Published As

Publication number Publication date
KR20190113929A (ko) 2019-10-08
WO2018146007A1 (en) 2018-08-16
US11145903B2 (en) 2021-10-12
KR102569635B1 (ko) 2023-08-23
CN110249466B (zh) 2023-03-21
JP2020506517A (ja) 2020-02-27
US20200075996A1 (en) 2020-03-05
CN110249466A (zh) 2019-09-17
EP3580804A1 (en) 2019-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3516728B1 (en) Silyl ester phosphinates as electrolyte additives
EP3391453B1 (en) Cyanoalkyl sulfonylfluorides for electrolyte compositions for high energy lithium-ion batteries
JP6991471B2 (ja) 高電圧電池用の電解質成分としてのピリジン三酸化硫黄錯体
JP2019537195A (ja) 二官能性ホスホン酸シリルエステルを含む電気化学セル
JP7025436B2 (ja) リチウムイオン電池のための電解質組成物のための官能性スルホニルフルオリド添加剤
JP2021508145A (ja) オリゴマー性ホスホン酸シリルエステルを含む電解質組成物
JP7076527B2 (ja) リチウム電池用の電解質組成物のための複素環式スルホニルフルオリド添加剤
JP6764345B2 (ja) リチウムベース電池用の電解質添加剤としてのアルキルベンゾエート誘導体
JP2020505732A (ja) リチウム電池のための電解質組成物のための三官能性添加剤
US10581112B2 (en) Methylphosphonoyloxymethane as electrolyte component
US10211484B2 (en) Acetic acid 2-[(methoxycarbonyl)oxy] methyl ester as electrolyte component
US10930974B2 (en) Electrolyte composition containing methyl 2-methyl-1,3-dioxolane-2-carboxylate, and electrochemical cells comprising the same
US20170214097A1 (en) Liquid formulations, processes for their manufacture, and use of such liquid formulations

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7025436

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150