JP7021884B2 - 表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は天井材、ドアトリム、ダッシュアウター、ピラーガーニッシュなどの車両用内装材、パーテーション、壁紙などに使用出来る表皮材に関する。特には、ドアトリム、ダッシュアウター、ピラーガーニッシュなど、高い耐摩耗性が要求される車両用内装材として好適に使用出来る表皮材に関する。
表皮材を構成する材料として、従来、不織布が用いられている。また、表皮材の摩擦による劣化を防ぐため、表皮材に耐摩耗性が求められている。
そのため、本願出願人は不織布を用いた耐摩耗性を有する表皮材として、ニードルパンチ処理を施した面にバインダを含浸したのち、該ニードルパンチ処理を施した面の反対面にタックの少ないバインダを含浸してなる内装用表皮材(特許文献1)を提案した。
特許文献1に係る表皮材は、摩擦による毛羽立ちが発生しにくいことから耐摩耗性を有し、成型加工可能な表皮材であったが、特に高い耐摩耗性が要求されるドアトリムなどの車両用内装材の表皮材として使用するには耐摩耗性が不十分なものであった。
特開昭62-257472号公報
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、成型加工性に優れ、更に、より耐摩耗性に優れる表皮材を提供することを目的とする。
本発明は、「構成繊維同士がバインダにより接着して構成されているベースマットにおける、一方の主面A側における前記バインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多く、バインダの存在量が主面A側から主面B側へ連続的に減少する態様であり、かつ前記ベースマットにおける、前記一方の主面A上にプリントによる模様が施され、その上から厚さ0.001mm以上の樹脂層がプリントを被覆していることを特徴とする、表皮材。」である。


本発明の表皮材は、表皮材を構成するベースマットにおける、一方の主面A側のバインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多いことから、主面B側の構成繊維の方が主面A側の構成繊維よりもバインダによって強く接着されておらず、動きやすい。そのため、本発明の表皮材は、インジェクション成型などの成型加工へ供したとき、バインダの少ない主面B側が型の形状へ追従しやすいため成型加工性に優れる。また、表皮材の人と接する表面となりうる主面A側の構成繊維同士がバインダにより強く接着しているため、摩擦による毛羽立ちが発生しにくいなど、耐摩耗性に優れる主面を有する表皮材である。
更に、本発明の表皮材は、表皮材を構成するベースマットにおける、一方の主面A上の全面に樹脂層を有している。そのため、表皮材の主面A側の構成繊維が樹脂層によって保護されていることで、摩擦による毛羽立ちが発生しにくいなど、より耐摩耗性に優れる表皮材である。
よって、本発明の表皮材は成型加工性に優れ、更に、より耐摩耗性に優れる。
本発明の表皮材を構成するベースマットとは、繊維同士がバインダで接着して構成されている、織物や編物、あるいは不織布などのシート状の繊維構造体のことを指す。特に、本発明を構成するベースマットが不織布由来のものであると、柔軟で型の形状に対して追従しやすいベースマットであるため、成型加工性に優れる表皮材を提供でき、好ましい。
本発明におけるベースマットの構成繊維は、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維などであることが出来る。これらの中でも、耐熱性、耐光性、防汚性等に優れるポリエステル繊維、および/または難燃性に優れるレーヨン繊維を含んでいるのが好ましい。また、構成繊維は単繊維であっても、芯鞘型やサイドバイサイド型といった、2種類以上の樹脂を含む複合繊維であってもよい。例えば、潜在捲縮繊維(サイドバイサイド型の複合繊維など)を用いると、熱により繊維が捲縮を発現し、捲縮が発現した繊維を使用することでベースマットの構造が緻密になることから好ましい。さらに、構成繊維の断面は、円形であっても、楕円や四角形、Y字断面などの異形であってもよい。加えて、フィブリル化した繊維を含んでいてもよい。
なお、後述のように、ベースマットの製造時に熱圧着を行う場合、耐摩耗性を良くするため、また鮮明なプリントを形成するため、ベースマットの構成繊維として、乾熱収縮率が4%以上(好ましくは4.5~20%、より好ましくは5~10%)のポリエステル延伸短繊維を含んでいるのが好ましい。なお、この「乾熱収縮率」は、初荷重を1.3mgとし、温度140℃で10分間放置する条件としたこと以外は、JIS L1015(2010) 8.15b)乾熱寸法変化率に則って測定した値をいう。
構成繊維は白色であっても、着色されていても良い。構成繊維が着色されている場合、繊維自体が顔料及び/又は染料を構成樹脂中に含有する原着繊維を用いても良いし、顔料及び/又は染料で着色された繊維であっても良いが、摩擦によって繊維が色落ちしにくいため、原着繊維を用いるのが好ましい。
本発明におけるベースマットの構成繊維の繊維長は適宜調整するが、成形性に優れたベースマットとなるため、構成繊維の繊維長は38~114mmであるのが好ましく、38~76mmであるのがより好ましく、38~52mmであるのが更に好ましい。この「繊維長」は、JIS L1015(2010) 8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
また、本発明におけるベースマットの構成繊維の繊度も適宜調整するが、繊維が太すぎると、表面が平滑な表皮材であることが困難になり、表面がでこぼこな表皮材は摩擦で繊維が引っかかりやすいため毛羽立ちが生じるなど、耐摩耗性が悪くなる傾向がある。一方で、繊維が細過ぎると、ベースマット生産時に毛玉が発生し、生産性が悪くなる傾向がある。そのため、ベースマットの構成繊維の繊度は0.2~6dtexであるのが好ましく、0.8~4dtexであるのがより好ましく、1~2dtexであるのが更に好ましい。
本発明の表皮材は、単一の繊維層から構成されるベースマットでもよいし、複数の繊維層を積層して構成されるベースマットでもよい。複数の繊維層を積層して構成されるベースマットは、同じ繊維組成の繊維層を積層させてもよいし、異なる繊維組成の繊維層を積層させてもよい。このうち、単一の繊維層から構成されるベースマットであると、成型加工の際に、層間剥離が起こらず成型加工性に優れる表皮材が提供でき、好ましい。
本発明のベースマットは、構成繊維同士がバインダにより接着して構成されている。構成繊維同士がバインダにより接着している態様としては、例えば、構成繊維の交点にバインダが付着して、バインダが構成繊維同士を接着させる態様や繊維間にバインダが存在し、接着している態様などが挙げられる。
本発明に使用するバインダの種類としては、特に限定はなく、適宜調整するものであるが、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはポリエステル系樹脂を挙げることが出来る。これらの中でも、成形時に適度に軟化し、型への追従性に優れ、皺や微細な凹凸を発生しにくいことから、アクリル系樹脂(特に、自己架橋型アクリル系樹脂)であるのが好ましい。アクリル系樹脂の中でも、ガラス転移温度が低く、柔らかいアクリル系樹脂であると、伸びやすく、成形性に優れているため好適である。一方で、アクリル系樹脂のガラス転移温度が低すぎると、バインダの接着力は向上するものの、バインダ樹脂の破断強度が劣るため、耐摩耗性に劣る。そのため、ガラス転移温度は、-40℃以上10℃以下が好ましく、-20℃以上5℃以下がより好ましく、-10℃以上5℃以下が更に好ましい。本発明における「ガラス転移温度」は、示差熱分析計(DTA)により測定されたDTA曲線におけるベースラインの接線と、ガラス転移による吸熱領域の急峻な下降位置の接線との交点にあたる温度をいう。
本発明の表皮材を構成するベースマットは、その一方の主面A側における前記バインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多いことを特徴とする。本願発明における、「主面A側(または主面B側)におけるバインダの存在量」とは、ベースマット全体の厚さに対してベースマットの主面A(または主面B)から20%の厚さまでの領域におけるバインダの存在量を意味する。この構成によって、主面A側において、摩擦による毛羽立ちが発生しにくくなるなど、耐摩耗性に優れ、かつ、主面A側と比べて主面B側の構成繊維がバインダによって強く接着しておらず動きやすいため、成型加工性に優れる表皮材を提供できる。
なお、バインダの存在量を確認する方法としては、例えば、ベースマットに含有されているバインダをカヤステインQ(日本化薬(株)製)などの色素で着色させ、ベースマットの厚さ方向の断面におけるバインダの分布を目視や光学顕微鏡で観察することで、確認できる。
ベースマットに含有されているバインダの存在量の分布態様は、ベースマットの一方の主面A側における前記バインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多ければよく、適宜調整するものであるが、バインダの存在量が主面A側から主面B側へ連続的に減少する態様であると、ベースマット内部のバインダの存在量が連続的に変化し、バインダの存在量の分布がベースマットのごく一部に集中しないことから、バインダが集中して存在している部分とそれ以外の部分による剥離が起こりにくく、耐摩耗性と成型加工性に優れることから、好ましい。
ベースマットに含まれるバインダの量が多くなると、より耐摩耗性が優れる傾向があるため、バインダの量は、2g/m以上が好ましく、10g/m以上がより好ましく、15g/m以上が更に好ましい。一方で、ベースマットに含まれるバインダの量が多くなりすぎると、表皮材が硬くなって、成型加工性が悪くなる傾向があるため、30g/m以下であるのが好ましく、20g/m以下であるのがより好ましい。
本発明の表皮材は、ベースマットの一方の主面A上の全面に樹脂層を有する構成によって、主面A側において、摩擦による毛羽立ちが発生しにくくなるなど、耐摩耗性に優れる。なお、本発明の「一方の主面A上の全面」とは、ベースマットの一方の主面Aの真上からベースマットを見たときに見えるベースマットの一方の主面A全体のことを指す。
本発明の樹脂層は以下の樹脂により構成された層であることが出来る。樹脂の種類としては、上述のバインダ樹脂と同様の樹脂を挙げることが出来る。例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはポリエステル系樹脂を挙げることが出来る。これらの中でも、成形時に適度に軟化し、型への追従性に優れ、皺や微細な凹凸を発生しにくい、アクリル系樹脂(特に、自己架橋型アクリル系樹脂)であるのが好ましい。アクリル系樹脂の中でも、ガラス転移温度が低く、柔らかいアクリル系樹脂であると、伸びやすく、成形性に優れているため好適である。一方で、アクリル系樹脂のガラス転移温度が低すぎると、バインダの接着力は向上するものの、バインダ樹脂の破断強度が劣るため、耐摩耗性に劣る。そのため、ガラス転移温度は、-40℃以上10℃以下が好ましく、-20℃以上5℃以下がより好ましく、-10℃以上5℃以下が更に好ましい。
また、バインダに含まれる樹脂と、樹脂層に含まれる樹脂のガラス転移温度の差が10℃以下であると、成型加工の際、表皮材におけるベースマット部分と樹脂層部分の伸び方に差が出にくくなることで、ベースマットと樹脂層の間で層間剥離が起こりにくく、より成型加工性に優れる表皮材を提供でき、好ましい。バインダに含まれる樹脂と、樹脂層に含まれる樹脂のガラス転移温度の差は、5℃以下であるのがより好ましく、3℃以下であることが更に好ましく、同一温度が最も好ましい。なお、本発明の「樹脂層」とは、樹脂のみの領域を含み、ベースマットの一方の主面A上を完全に被覆している層のことを指す。また、樹脂のみの領域は、表皮材の厚さ方向の断面を観察した際に、フィルム状の層として観察される。樹脂層は、樹脂のみの領域のみで構成されていても、樹脂のみの領域に加え、繊維と樹脂が混在する領域を含んで構成されていてもよい。
表皮材の樹脂層の量が多くなるほど、より耐摩耗性に優れる傾向があるため、樹脂層の量は、5g/m以上が好ましく、10g/m以上がより好ましく、15g/m以上が更に好ましい。また、樹脂層の量が多すぎると、表皮材の風合いや触感、成型加工性を損ねる傾向があるため、20g/m以下であるのが好ましい。また、表皮材の樹脂層の厚さが厚いほど、より耐摩耗性に優れる傾向があるため、樹脂層の厚さは、0.001mm以上が好ましく、0.002mm以上がより好ましく、0.004mm以上が更に好ましい。また、樹脂層の厚さが厚すぎると、表皮材の風合いや触感、成型加工性を損ねる傾向があるため、0.02mm以下であるのが好ましい。樹脂層の厚さは、表皮材の厚さ方向の断面を電子顕微鏡で観察することで測定でき、無作為に選んだ10点における樹脂層の厚さの算術平均値を本発明の「樹脂層の厚さ」とする。
本発明の表皮材は、より耐摩耗性に優れるように、また表皮材の意匠性に優れるように、プリントによる模様が施されていてもよい。プリントによる模様が鮮明となること、またプリントの存在により表皮材の耐摩耗性を向上できることから、プリントはバインダの存在量が相対的に多いベースマット由来の主面A側に存在しているのが好ましい。また、プリントの態様としては、ベースマットの主面上にプリントが施され、その上から樹脂層がプリントを被覆している態様、または表皮材の主面上(樹脂層が露出している主面上)にプリントが施されている態様であることが出来るが、プリントが摩擦によってはがれ難いように、ベースマットの主面A上にプリントが施され、その上から樹脂層がプリントを被覆している態様が好ましい。
本発明の表皮材のプリント柄は特に限定するものではないが、例えば、特開2012-179985号公報に開示されているように、色差が徐々に変化するようなプリント柄、実用新案登録第3072493号に開示されているような、立体模様を有するプリント柄であることが出来る。なお、プリントは一種類であっても、二種類以上であっても良い。
本発明の表皮材に施すプリントの構成は適宜調製するが、その種類としては、上述のバインダ樹脂と同様の樹脂、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはポリエステル系樹脂などの樹脂などから構成することが出来る。また、プリントは顔料を含んでいてもよく、顔料の色や種類及び量は適宜調整することが出来る。
プリントに含まれる樹脂の量が多くなると、より耐摩耗性に優れる表皮材となる傾向があるため、プリントに含まれる樹脂の量は、3g/m以上が好ましく、5g/m以上がより好ましく、9g/m以上が更に好ましい。また、プリントに含まれる樹脂の量が多すぎると、プリントによる模様の鮮明さや、成型加工性を損ねる傾向があるため、20g/m以下であるのが好ましい。
バインダ、樹脂層、プリントは上述の樹脂に加えて、機能性材料を含んでいることが出来る。例えば、顔料を含んでいることによって、表皮材を着色できるため、表皮材の意匠性が向上する。また、シリコーンを含む樹脂又はフッ素を含む樹脂などの撥水性樹脂を含んでいることによって表皮材が汚れにくくなるとともに、耐摩耗性を向上できる。さらに、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、VOC発生抑制剤、無機粉体等の無機化合物などを含ませることにより、各種機能を表皮材に付与することが出来る。
本発明の表皮材の目付や厚さは、使用用途、求められる強度等によって適宜調整するが、表皮材の目付が軽すぎると成型時に表皮材が破れることがあることから成型加工性が悪化し、また目付が重すぎると成型に大きな外力が必要となり、成型加工性が悪化することから、目付は140~260g/mであるのが好ましく、150~250g/mであるのがより好ましく、160~250g/mであるのが更に好ましい。また、表皮材の厚さが薄すぎると成型加工性が悪くなり、厚すぎると取り扱いにくくなることから、厚さは1~2mmであるのが好ましく、1.5~1.8mmであるのがより好ましく、1.5~1.6mmであるのが更に好ましい。なお、本発明における表皮材やベースマット、実施例に記載のニードルパンチ不織布の「厚さ」は100g/5cm荷重時の2つの主面間の長さの値をいい、無作為に選んだ10点における厚さの算術平均値を意味する。
本発明の表皮材の20%モジュラスは、使用用途によって適宜調整するが、繊維の配向性から横方向に比べ値が高くなりやすい縦方向の20%モジュラスが高すぎると、成型加工性が悪くなる傾向があるため、縦方向の20%モジュラスは90N/3cm幅以下が好ましく、80N/3cm幅以下がより好ましく、70N/3cm幅以下が更に好ましい。なお、20%モジュラスが低すぎると繊維同士の絡合が不十分であり、成型加工性や耐摩耗性が悪くなることから、縦方向の20%モジュラスの下限は、50N/3cmであるのが好ましい。また、縦方向と横方向の20%モジュラス比は、成型加工する際に、型へのセットがしやすくなり、成型加工性に優れることから、縦/横で3/2~3/1であるのが好ましい。本発明における「縦方向」とは、不織布生産時における生産方向(流れ方向)をいい、「横方向」とは、縦方向に直交する方法、つまり幅方向をいう。
次に、本発明の表皮材の製造方法について、例示し説明する。
まず、上述した繊維を用いて、織物、編物、不織布などの繊維構造体を製造する。繊維構造体の製造方法については特に限定するものではないが、繊維構造体が織物や編物である場合、上述の繊維を織るあるいは編むことで製造出来る。繊維構造体が不織布である場合、例えば、上述の繊維をカード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法[メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009-287138号公報に開示の方法など)を用いて、繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法]などによって製造出来るが、成型加工性に優れるように、ある程度の嵩がある方が好ましいため、カード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法を採用するのが好ましい。
上述のように形成した繊維構造体は取り扱いやすいように、水流又はニードルにより絡合するのが好ましい。特に、厚さを損なわず、結果として成型加工性を損なわないように、ニードルによって絡合するのが好ましい。好適であるニードル絡合条件は特に限定するものではないが、針密度300~1000本/cmで絡合するのが好ましく、300~600本/cmで絡合するのがより好ましい。
なお、必要に応じて、繊維構造体形成後、構成繊維同士をバインダにより接着する前に熱圧着してもよい。なお、この「熱圧着」とは、繊維が溶融又は可塑化変形して接着した状態であることを意味するのではなく、熱と圧力によって繊維間空隙が小さくなり、繊維同士が高密度に密着した状態であることを意味する。特に、繊維構造体が上述のような乾熱収縮率が4%以上のポリエステル延伸短繊維を含んでいる場合には、熱圧着した際に、微視的に、若干収縮し、表面が平滑となり、摩擦で繊維が引っかかりにくくなることから耐摩耗性に優れ、またプリントを施す際に鮮明なプリントが形成できることから、構成繊維同士をバインダにより接着させる前に熱圧着するのが好ましい。
このような乾熱収縮率が4%以上のポリエステル延伸繊維は、例えば、繊維を製造する時の熱セット時における温度を適宜調整することによって、乾熱収縮率を4%以上とすることが出来る。具体的には、繊維を延伸した後、ポリエステルのガラス転移温度以上、つまり、温度70℃以上で熱セットすることにより乾熱収縮率を4%以上にすることが出来る。
次いで、繊維構造体の一方の主面A側からバインダ樹脂液を、泡立て含浸、コーティング、又はスプレー等の方法によって付与した後、乾燥させることにより、繊維構造体の構成繊維同士をバインダによって接着させ、一方の主面A側におけるバインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多いベースマットを製造する。
一方の主面A側におけるバインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多いベースマットの製造方法は適宜選択するが、繊維構造体の一方の主面側からフォームウエイトが90~150g/Lの泡立てたバインダ液を含浸し、ロール間間隔を調整した2本のローラーに通し、製造することができる。このとき、バインダを付与した側が主面A側となる。なお、「フォームウエイト」とは、体積1Lあたりの泡立てたバインダの重量(g)のことを指す。フォームウエイトが軽すぎる泡立てたバインダ液を用いると、繊維構造体内部にバインダが浸透しにくい傾向があり、フォームウエイトが重すぎる泡立てたバインダ液を用いると、繊維構造体内部全体にバインダが浸透しやすい傾向があり、一方の主面A側におけるバインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多いベースマットが製造できないおそれがある。そのため、繊維構造体に塗布する泡立てたバインダ液のフォームウエイトは、100~130g/Lのものを採用するのがより好ましい。
バインダを繊維構造体に付与した後、バインダ液から分散媒/溶媒を除去する。分散媒/溶媒の除去方法としては適宜調製するが、例えば、ドライヤーで加熱することで分散媒/溶媒を除去することができる。ドライヤーの種類は特に限定するものではないが、乾燥による収縮を抑制するために、キャンドライヤーやテンターピン付きのドライヤーが好ましい。
最後に、ベースマットの主面A上の全面に樹脂層を構成する樹脂の分散液/溶液である樹脂層塗布液を塗布して樹脂層を形成することで、表皮材を製造する。樹脂層塗布液の塗布方法は、特に限定するものではないが、例えば筒状シルクスクリーンのように、全面に貫通孔の開いたシリンダを用意し、このシリンダの貫通孔を通して、樹脂層塗布液を主面A上に塗布し、塗布した樹脂層塗布液から分散媒/溶媒を除去する。分散媒/溶媒の除去方法としては適宜調製するが、例えば、表皮材の表面に接触しないフローティングドライヤーやテンターピン付きドライヤーで加熱し表皮材を乾燥させることで分散媒/溶媒を除去することができる。
なお、表皮材にプリントを施す場合は、ベースマットの主面上、または樹脂層の面上にプリント処理を行うことができる。なお、プリントの配置は、特に限定するものではないが、従来から公知の方法により実施することが出来る。例えば、所望模様に対応する開口を有するシリンダを用意し、このシリンダを通してプリント液をプリントし、乾燥してプリントを配置することが出来る。また、二種類以上のプリント樹脂を配置する場合には、上述の操作を繰り返すことによって配置出来る。プリントによる模様が鮮明となることから、またプリントが一方の主面の一部を被覆し、表皮材の耐摩耗性を優れたものにできることから、プリントはバインダの存在量が相対的に多い主面A側に塗布するのが好ましい。さらに、プリントが摩擦によってはがれにくくするため、プリントはベースマットの主面上に施し、その上から樹脂層によってプリントを被覆させることが好ましい。
本発明の表皮材は、車両用内装材などの表皮材として使用できる。成型加工方法としては、特に限定するものではないが、例えば表皮材を型にはめ、ウレタン樹脂やガラスシートと共に圧力や熱をかける成型方法や、表皮材を型にはめ、表皮材と型の間に樹脂を流し込み、圧力や熱をかけるインジェクション成型などの方法をとることができる。
また、この表皮材は各種用途へ適用できるように、表皮材に他の編物や織物、不織布を積層させたり、表皮材を切り抜いたりする二次加工に供することもできる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(ニードルパンチ不織布の調製)
原着ポリエステル繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:38mm、色:グレー)を100mass%用いて、カード機により開繊し繊維ウエブを形成した後、片面から針密度400本/cmでニードルパンチ処理を行った。その後、温度170℃、ロール間隔0.4mmの熱カレンダーロール間へ供給し、ニードルパンチ処理を行った繊維ウエブを熱圧着することで、ニードルパンチ不織布を製造した(目付:140g/m、厚さ:1.2mm)。
(バインダ液Aの調製)
次の割合で配合した、バインダ分散液を調製した。
(1)アクリルバインダ[ボンコート(登録商標)E-240N、DIC(株)製、ガラス転移温度:-5℃]・・・15重量部
(2)増粘剤[セロゲン(登録商標)WS-C、第一工業製薬(株)製]・・・0.2重量部
(3)界面活性剤[ネオゲン(登録商標)S-20D、第一工業製薬(株)製]・・・0.2重量部
(4)アンモニア水・・・0.1重量部
(5)水・・・84.5重量部
得られた分散液を泡立て、バインダ液Aを調製した。バインダ液Aのフォームウエイトは、120g/Lであった。
(バインダ液Bの調製)
次の割合で配合した、バインダ分散液を調製した。
(1)アクリルバインダ[ボンコート(登録商標)E-240N、DIC(株)製、ガラス転移温度:-5℃]・・・8重量部
(2)増粘剤[セロゲン(登録商標)WS-C、第一工業製薬(株)製]・・・0.2重量部
(3)界面活性剤[ネオゲン(登録商標)S-20D、第一工業製薬(株)製]・・・0.2重量部
(4)アンモニア水・・・0.1重量部
(5)水・・・91.5重量部
得られた分散液を泡立て、バインダ液Bを調製した。バインダ液Bのフォームウエイトは200g/Lであった。
(プリント液Aの調製)
次の割合で配合した、プリント液Aを調製した。
(1)増粘剤[カーボポール(登録商標)940、日本ルーブリゾール(株)製]・・・0.36重量部
(2)消泡剤[シンエツシリコーンKM-73、信越化学工業(株)製]・・・0.5重量部
(3)アクリルバインダ[ボンコート(登録商標)AB-886、DIC(株)製、ガラス転移温度:-40℃]・・・18重量部
(4)増粘剤[ニカゾール(登録商標)VT-253、日本カーバイド工業(株)製]・・・0.28重量部
(5)アンモニア水・・・1重量部
(6)水・・・79.62重量部
(7)黒顔料[R.W.BLACK RC(V)、DIC(株)製]・・・0.24重量部
(プリント液Bの調製)
次の割合で配合した、プリント液Bを調製した。
(1)増粘剤[カーボポール(登録商標)940、日本ルーブリゾール(株)製]・・・0.36重量部
(2)消泡剤[シンエツシリコーンKM-73、信越化学工業(株)製]・・・0.5重量部
(3)アクリルバインダ[ボンコート(登録商標)AB-886、DIC(株)製、ガラス転移温度:-40℃]・・・12.3重量部
(4)増粘剤[ニカゾール(登録商標)VT-253、日本カーバイド工業(株)製]・・・0.28重量部
(5)アンモニア水・・・1重量部
(6)水・・・83.38重量部
(7)黒顔料 [R.W.BLACK RC(V)、DIC(株)製]・・・0.18重量部
(8)シリコーン樹脂 [YMR-7212、GE東芝シリコーン(株)製]・・・2重量部
(樹脂層塗布液の調製)
次の割合で配合した、樹脂層塗布液を調製した。なお、アンモニア水以外の材料を添加し、十分に攪拌した後、攪拌しながらアンモニア水を滴下しB型粘度計20rpmの条件にて9000~11000cpの粘度に調整することで、樹脂層塗布液を調製した。

(1)増粘剤[カーボポール(登録商標)940、日本ルーブリゾール(株)製]・・・0.36重量部
(2)消泡剤[シンエツシリコーンKM-73、信越化学工業(株)製]・・・1.6重量部
(3)アクリルバインダ[ボンコート(登録商標) E-240N、DIC(株)製、ガラス転移温度:-5℃]・・・7.5重量部
(4)増粘剤[ニカゾール(登録商標) VT-253、日本カーバイド工業(株)製]・・・1重量部
(5)アンモニア水・・・1重量部
(6)水・・・88.54重量部
(実施例1)
ニードルパンチ不織布に泡立てた前記バインダ液Aを塗布し、浸透させ、ロール間間隔0.3mmの2本のローラー間にニードルパンチ不織布を通して前記バインダ液Aを主面A側からB側に向け浸透させた。その後、温度160℃のキャンドライヤーで乾燥し、ベースマット(目付:155g/m、厚さ:1.2mm)を調製した(バインダ液を塗布した側を主面A側とし、主面A側の反対面を主面B側とする)。なお、ベースマットの断面をカヤステインQ(日本化薬(株)製)で染色し、バインダの存在量を光学顕微鏡で確認したところ、主面A側のほうが主面B側よりも多くのバインダが存在しており、主面A側から主面B側に向かってバインダ量が連続的に減少する態様であった。
続いて、前記ベースマットの主面A側に、樹脂層を形成するため前記樹脂層塗布液を主面A全面に均一に塗布した。前記樹脂層塗布液を塗布した後、温度160℃のドライヤー装置へ供し、乾燥させることで、表皮材を調製した。
(実施例2)
実施例1と同様にベースマットを調製し、主面A側に、シリンダを用いてプリント液Aをプリントして、ベースマットの幅方向からの角度30°で右斜め上方向に向かって直線状に延びる第1プリント領域(線幅:0.3mm、線間隔:1mm)を形成し、別のシリンダを用いてプリント液Bをプリントして、ベースマットの幅方向からの角度―30°で右斜め下方向に向かって直線状に延びる第2プリント領域(線幅:0.3mm、線間隔:1mm)を形成した。その後、温度160℃のドライヤーで乾燥させた。
続いて、プリントが存在しているベースマットの主面A側に、実施例1と同様に、前記樹脂層塗布液を主面A全面に均一に塗布した。前記樹脂層塗布液を塗布した後、温度160℃のドライヤー装置へ供し、乾燥させることで、表皮材を調製した。
(実施例3)
目付が異なること以外は実施例1と同様の方法でニードルパンチ不織布を製造した。(目付:180g/m、厚さ:1.5mm)。その後、ニードルパンチ不織布に泡立てた前記バインダ液Aを塗布し、浸透させ、ロール間間隔0.25mmの2本のローラー間にニードルパンチ不織布を通して前記バインダ液Aを主面A側からB側に向け浸透させた。その後、温度160℃のキャンドライヤーで乾燥し、ベースマット(目付:185g/m、厚さ:1.5mm)を製造した。
次に、プリントAの塗布量が4g/m、プリントBの塗布量が5g/mであったこと以外は、実施例2と同様の方法で表皮材を調製した。
(比較例1)
樹脂層塗布液を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂層が存在しないベースマットを調製した。
(比較例2)
樹脂層塗布液を塗布しなかったこと、バインダ液Aを塗布し、浸透させた後、ロール間間隔10mmの2本のローラー間にニードルパンチ不織布を通して、バインダ液Aの塗布量が50g/mとしたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂層が存在しないベースマット(目付:190g/m、厚さ:1.4mm)を調製した。なお、ベースマットの断面をカヤステインQ(日本化薬(株)製)で染色し、バインダの存在量を光学顕微鏡で確認したところ、主面A側のほうが主面B側よりも多くのバインダが存在しており、主面A側から主面B側に向かってバインダ量が連続的に減少する態様であった。
(比較例3)
樹脂層塗布液を塗布しなかったこと以外は、実施例2と同様の方法を用いて、ベースマットの主面A上に樹脂層が存在せず、代わりにベースマットの主面A上にプリントを有し、樹脂層が全体でなく部分的に有する表皮材と同様の態様の、プリントを含むベースマットを調製した。
(比較例4)
ベースマットの主面B側から、シリンダを用いて、前記樹脂層塗布液を全面に均一に塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、表皮材を調製した。なお、ベースマットの断面をカヤステインQ(日本化薬(株)製)で染色し、バインダの存在量を光学顕微鏡で確認したところ、主面A側のほうが主面B側よりも多くのバインダが存在しており、主面A側から主面B側に向かってバインダ量が連続的に減少する態様であった。
(比較例5)
ニードルパンチ不織布に泡立てた前記バインダ液Bを塗布し、不織布全体にバインダを浸透させた。その後、温度160℃のキャンドライヤーで乾燥し、ベースマットを調製した(実施例1と同様、バインダ液を塗布した側を主面A側とし、主面A側の反対面を主面B側とする)。なお、ベースマットの断面をカヤステインで染色し、バインダの存在量を光学顕微鏡で確認したところ、主面A側と主面B側のバインダの存在量は同じであった。
続いて、実施例1と同様に、前記樹脂層塗布液を主面A側から塗布し、乾燥させることで、表皮材を調製した。
実施例、比較例の表皮材またはベースマットの不織布目付、バインダ量、プリント量、樹脂層の樹脂量、表皮材またはベースマットの目付、表皮材またはベースマットの厚さを表1に、樹脂層の位置、樹脂層の厚さ、バインダの分布を表2に示す。また、以下の方法で実施例、比較例の表皮材またはベースマットを評価した。
(表皮材またはベースマットの評価)
(1)20%モジュラス強度の測定
(i)表皮材またはベースマットから、幅30mm、長さ200mmの長方形状試料を縦、横方向に3枚ずつ採取した。
(ii)前記試料を引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM-III-100)のチャック間(距離:100mm)に固定した後、引張り速度200mm/分で引張り、チャック間距離が120mm(20%伸長)となった時の応力値を読み取った。
(iii)3枚の試料について前記応力をそれぞれ測定し、その算術平均値を縦、横方向の20%モジュラス強度とした。
(2)表皮材またはベースマットの性能評価方法
・耐摩耗性評価方法
学振型摩擦試験機((株)大栄科学精器製作所製、RT-200)に表皮材またはベースマットを固定し、表皮材の場合は樹脂層を有する側(実施例1~3、比較例5は主面A側、比較例4は主面B側)、ベースマットの場合は主面A側またはプリントを有する側に、面ファスナー(オス型、クラレファスニング(株)、縫製用Aフック、ポリエステル100%)を配した摩擦子(20mm×25mm)に1kgの荷重をかけて表皮材の上を20往復(60往復/分)させることにより表皮材またはベースマットの主面を擦った。
その後、擦った後の表皮材またはベースマットの表面状態を観察し、耐摩耗性について、次の基準に従って評価した。
(耐摩耗性の評価基準)
5:変化がないもの
4:部分的に毛羽立ちが確認でき、毛羽立ち高さが0mm以上5mm以下。ベースマットの色が目視で確認できる。
3:全体的に毛羽立ちが確認でき、毛羽立ち高さが0mm以上5mm以下。ベースマットの色が目視で確認できる。
2:全体的に毛羽立ちが確認でき、毛羽立ち高さが5mmを超え10mm以下。ベースマットの色が目視で確認できる。
1:全体的に毛羽立ちが確認でき、毛羽立ち高さが5mmを超え10mm以下。ベースマットの色が毛羽立ちにより目視で確認できない。
上述の耐摩耗性の評価基準で3以上を満たしたもののみを、次の成型加工性評価を行った。実施例・比較例のうち耐摩耗性の評価基準を満たしたのは、実施例1~3、比較例5の表皮材であった。

・成型加工性評価方法
全自動射出成型機(宇部興産機械(株)製、UBE MAX MB450-IV-I13 1.6.5B)を用いてインジェクション成形を行った。
金型中央付近に窪み(縦:4cm、横:8cm、深さ:1cm)が設けられた成型用金型(縦:19cm、横:31cm)に、表皮材をピンで固定してセットした後、金型間隔を5mmに設定してポリプロピレン溶融樹脂(住友化学(株)製ポリオレフィン樹脂、品番:AZ864E4白色)を表皮材の樹脂層を有しない側に射出し、その後約5トンの圧力で30秒間プレスを行い、インジェクション成形を実施し、成型物を作成した。成型物を室温まで冷却後、成型物における表皮材由来の樹脂層を有する側の表面状態を観察し、表皮材の成型加工性について、次の基準に従って評価した。
(成型加工性の評価基準)
○:成型物が全く破れておらず、成型加工性が良かった
×:成型物に破れが生じており、成型加工性が悪かった
-:耐摩耗性の評価基準で3以上を満たしていなかったため、成型加工性の評価を行わなかった
以上の結果を基にして、表皮材の性能について総合評価を行った。
(総合評価の基準)
○:耐摩耗性、成型加工性の両方に優れていた
×:耐摩耗性、成型加工性の両方に優れていなかった

評価結果を表3に示す。
Figure 0007021884000001
※比較例1~3は、それぞれベースマットの目付・ベースマットの厚さのことを指す。
Figure 0007021884000002
Figure 0007021884000003
上述の結果から、実施例の表皮材は耐摩耗性と成型加工性の両方に優れていた一方、比較例の表皮材は耐摩耗性と成型加工性の両方に優れていなかった。
ベースマットの一方の主面A上の全面に樹脂層を有する実施例1と、樹脂層を有しない比較例1・2の耐摩耗性評価を比較した結果から、実施例1の方が耐摩耗性に優れていた。また、プリントを有しかつベースマットの一方の主面A上の全面に樹脂層を有する実施例2と、プリントを有するが樹脂層を有しない比較例3の耐摩耗性評価を比較した結果から、実施例2の方が耐摩耗性に優れていた。さらに、ベースマットの一方の主面A上の全面に樹脂層を有する実施例1と、ベースマットの一方の主面A上の一部に樹脂層を有するものと同様の態様のプリントを有する比較例3の、耐摩耗性評価を比較した結果から、実施例1の方が耐摩耗性に優れていた。これらのことから、ベースマットの一方の主面A上の全面に樹脂層を有する表皮材は、耐摩耗性に優れることがわかった。
そして、バインダの存在量が多い主面側に樹脂層を有する実施例1と、バインダの存在量が少ない主面側に樹脂層を有する比較例4の耐摩耗性評価を比較した結果から、実施例1の方が耐摩耗性に優れていた。このことから、ベースマットにおける、バインダの存在量が多い主面側に樹脂層を有する表皮材は、耐摩耗性に優れることがわかった。
更に、一方の主面A側の前記バインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多い実施例1と、バインダの存在量が一方の主面A側ともう一方の主面B側で同じ比較例5の、成型加工性評価を比較した結果から、実施例1の方が成型加工性に優れていた。このことから、ベースマットにおける、一方の主面A側の前記バインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多い表皮材は、成型加工性に優れることがわかった。
以上から、本願発明の構成を有する表皮材は成型加工性に優れ、更に、より耐摩耗性に優れる表皮材であることが判明した。
本発明の表皮材は、例えば、天井材、ドアトリム、ダッシュアウター、ピラーガーニッシュなどの車両用内装材、パーテーション、壁紙などの用途に、特には、ドアトリム、ダッシュアウター、ピラーガーニッシュなど、高い耐摩耗性が要求される車両用内装材として好適に使用することが出来る。

Claims (1)

  1. 構成繊維同士がバインダにより接着して構成されているベースマットにおける、一方の主面A側における前記バインダの存在量がもう一方の主面B側よりも多く、バインダの存在量が主面A側から主面B側へ連続的に減少する態様であり、
    かつ前記ベースマットにおける、前記一方の主面A上にプリントによる模様が施され、その上から厚さ0.001mm以上の樹脂層がプリントを被覆していることを特徴とする、表皮材。
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