JP7020486B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
また、保護する部材の大きさに合わせて積層フィルムを切断する必要もある。
従って、表面硬度が大きく、且つレーザー切断方法により円滑に切断できる積層フィルムが求められている。
前記第1スキン層、前記コア層及び前記第2スキン層は、式:
Ac>As1
Ac>As2
を満たし、ここで
Acは、前記コア層における、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、
As1は、前記第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、
As2は、前記第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、
前記熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)が、150℃以上であり、
前記熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)が、150℃以上であり、
波長380nmの紫外線透過率が10%以下である、積層フィルム。
[2] 前記熱可塑性樹脂S1は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上であり、
前記熱可塑性樹脂S2は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上である、[1]に記載の積層フィルム。
[3] 水蒸気透過率が、10g/(m2・day)以下である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4] 前記熱可塑性樹脂S1が、脂環式構造を含有する重合体を含み、
前記熱可塑性樹脂S2が、脂環式構造を含有する重合体を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の積層フィルム。
[5] 前記熱可塑性樹脂Cが、脂環式構造を含有する重合体を含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の積層フィルム。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の積層フィルム100は、第1スキン層110、コア層120及び第2スキン層130を、積層フィルム100の厚み方向においてこの順に含む。通常、第1スキン層110とコア層120とは、間に他の層を介することなく直に接しており、コア層120と第2スキン層130とは、間に他の層を介することなく直に接している。
コア層は、第1スキン層及び前記第2スキン層との関係において、下記式を満たす。
Ac>As1
Ac>As2
ここで、Acは、前記コア層における、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、As1は、前記第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、As2は、前記第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率である。
即ち、コア層は、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率Acが、第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率As1より大きく、且つ第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率As2より大きい。
工業的に汎用されるCO2レーザー光には、波長が10.6μmのものと、波長が9.4μmのものがある。そのため、レーザー吸収剤としては、波長9.4μm及び10.6μmに吸収極大を有する化合物を用いることが好ましい。
このようなエステル化合物としては、例えば、国際公開第2016/31776号に記載のものが挙げられる。
上記の脂環式構造を含有する重合体は、例えば特開2002-321302号公報に開示されている重合体から選択され得る。
第1スキン層は、熱可塑性樹脂S1で形成されている。そして、熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)は、通常150℃以上、好ましくは155℃以上、より好ましくは160℃以上である。ガラス転移温度Tg(s1)が前記の下限値以上であることにより、熱可塑性樹脂S1の熱によるゲル化を抑制できる。また、積層フィルムの耐熱性を高めることができる。熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)の上限は、熱可塑性樹脂S1の入手を容易にする観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
熱可塑性樹脂S1に含まれる重合体の種類は、任意である。中でも、脂環式構造を含有する重合体が好ましく、ノルボルネン系重合体が特に好ましい。これにより、コア層の項において説明したのと同じ利点を得ることができる。更に、コア層を形成する熱可塑性樹脂Cと第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1の両方としてノルボルネン系重合体を用いることにより、コア層と第1スキン層との接着強度を高めたり、コア層と第1スキン層との界面での反射を抑制したりし易い。また、熱可塑性樹脂S1は、重合体を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上の任意の比率の組み合わせとして含んでいてもよい。
第2スキン層は、熱可塑性樹脂S2で形成されている。そして、熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)は、通常150℃以上である。中でも、熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)は、第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)の範囲として説明された範囲と同じ範囲に収まることが好ましい。ガラス転移温度Tg(s2)が前記の範囲に収まることにより、第1スキン層の項で説明したのと同じ利点を得ることができる。
積層フィルムは、必要に応じて、上述したコア層、第1スキン層及び第2スキン層以外の任意の層を備え得る。任意の層としては、例えば、易接着層、粘着層、接着層、ハードコート層、インデックスマッチング層、反射防止層、マスキング層、光学異方性層、保護層などを挙げることができる。
(厚み)
積層フィルムの厚みDは、好ましくは20μm以上、より好ましくは22μm以上、更に好ましくは25μm以上であり、好ましくは60μm以下、より好ましくは58μm以下、更に好ましくは56μm以下である。積層フィルムの厚みDが、前記の下限値以上であることにより、高い機械的強度を得ることができる。また、積層フィルムの厚みDが、前記の上限値以下であることにより、積層フィルムの軽量化及び省スペース化を実現できる。
本実施形態の積層フィルムは、波長380nmの紫外線透過率が10%以下である。これにより、積層フィルムにより保護される部材が、紫外線により劣化することを抑制できる。積層フィルムにおける波長380nmの紫外線透過率は、低いほど好ましいが、0%以上とし得る。
積層フィルムの水蒸気透過率は、好ましくは10g/(m2・day)以下、より好ましくは9g/(m2・day)以下、特に好ましくは7g/(m2・day)以下であり、また、その下限値は、理想的にはゼロであり、0.1g/(m2・day)としてもよい。このように水蒸気透過率の低い積層フィルムは、積層フィルムの各層を形成する樹脂を構成し得る複数種類の重合体の中から、低吸湿性又は低透湿性に優れる種類の重合体を選択することによって実現することができる。
積層フィルムは、特許第3973755号公報、特許第4581691号公報、特許第6094282号公報、特許第6094283号公報などに記載の製造装置を用いて、溶融押出法によって製造できる。この溶融押出法を用いた製造方法は、熱可塑性樹脂S1、熱可塑性樹脂C及び熱可塑性樹脂S2を、ダイから押し出す工程を含む。この際、前記の熱可塑性樹脂を、熱可塑性樹脂S1の層、熱可塑性樹脂Cの層、及び、熱可塑性樹脂S2の層を厚み方向においてこの順に含むフィルム状に押し出すことにより、上述した積層フィルムが得られる。
本発明の積層フィルムの用途に制限は無く、任意の用途に適用することができ、例えば種々の光学用途に適用することができる。特に、本発明の積層フィルムは、表示装置(例、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置)を構成する部材の保護フィルムとして好適に用いられる。例えば、本発明の積層フィルムは、偏光子の保護フィルムとして好適に用いられ、さらに具体的には、例えば液晶表示装置の視認側及びバックライト側に配置される偏光子の保護フィルムとして用いることができ、また、有機EL表示装置の視認側に配置されることがある偏光子の保護フィルムとして用いることができる。
また本発明の積層フィルムは、表示装置の視認側に設けられる透明部材の保護フィルムとして好適に用いられる。
本発明の積層フィルムは、単独で用いてもよく、他の任意の部材と組み合わせて用いてもよい。
(厚み)
第1スキン層、コア層、及び第2スキン層からなる3層構造の積層フィルムの総厚みは、スナップゲージにて測定した。
また、積層フィルムに含まれるコア層の厚みは、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製「V-7200」)を用いて波長390nmにおける積層フィルムの光線透過率を測定し、得られた光線透過率から計算した。更に、後述する実施例及び比較例においては、第1スキン層及び第2スキン層は同じ厚みの層として形成したので、積層フィルムの総厚みからコア層の厚みを引き算した値を第1スキン層及び第2スキン層の合計厚みとし、かかる合計厚みを2で割ることにより、第1スキン層及び第2スキン層のそれぞれの厚みを計算した。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメント製 示差走査熱量計 DSC-6100)で測定した。
下記の熱可塑性樹脂(J0)~熱可塑性樹脂(J3)から、厚み50μmの樹脂フィルムを製造した。製造方法は下記の通りである。
(ガラス転移温度(℃)+130℃)に加熱した樹脂を、ダイスのマニホールドに供給した。ダイスから吐出されたシートを(ガラス転移温度(℃)-10℃)に設定された冷却ロールにて引き取り、厚み50μmの樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは冷却ロールの速度により調節した。これらの樹脂フィルムについて、平均吸収率を測定した。測定装置としてはNICOLET iS5(サーモフィッシャサイエンティフィック社)を用いて、透過法にて、検出器DTGS KBr、分解能4cm-1、積算回数16回にて測定を行い、9μm以上11μm以下の波長領域の吸収率の平均値を求め、各樹脂フィルムについて平均吸収率を得た。
厚み50μmの各樹脂フィルムの平均吸収率から、熱可塑性樹脂(J0)~熱可塑性樹脂(J3)から形成された厚み10μmの層(第1スキン層又は第2スキン層)、又は厚み20μmの層(コア層)の平均吸収率を算出した。
下記の熱可塑性樹脂(J0)及び熱可塑性樹脂(J3)から、厚み100μmの樹脂フィルムを製造した。製造方法は下記の通りである。
(ガラス転移温度(℃)+130℃)に加熱した樹脂を、ダイスのマニホールドに供給した。ダイスから吐出されたシートを(ガラス転移温度(℃)-10℃)に設定された冷却ロールにて引き取り、厚み100μmの樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは冷却ロールの速度により調節した。
各樹脂フィルムについて、押込弾性率試験機(フィッシャーインスツルメンツ社製、商品名「ピコメーター Hm-500」)を用いて押込弾性率(単位:MPa)を測定した。測定に際して、圧子は対面角136°正四角錐ダイヤモンド圧子を用いた。荷重速度は2.5mF/secで一定とし、dF/dtは一定の条件で実施した。最大荷重は50mN、荷重時間は20sec、クリープ時間は60secとした。
積層フィルムの水蒸気透過率を、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN-W」)を用い、JIS K 7129 B法に従って、温度40℃、湿度90%RHの条件にて測定した。
積層フィルムのレーザー光吸収性能はレーザーを用いて実際にガラス板上で積層フィルムを切断し、ガラス板に傷が生じたか否かを確認することにより評価した。
具体的には、以下の方法でレーザー光吸収性能を評価した。ガラス板(厚さ1.5mm)の上に積層フィルムを置いた。積層フィルムに波長9.4μmのCO2レーザー光を照射して、積層フィルムを切断した。レーザー光の出力は、積層フィルムが切断できるよう調整した。具体的には、レーザー光の出力は、最初は低出力に設定し、次第に上げていき、積層フィルムが切断できた時点でレーザー光の照射を停止した。
Good:ガラスに傷がない。
Poor:ガラスに傷がある。
ガラス板に傷がない場合にレーザー光吸収性能が優れていると評価される。
積層フィルムの光線透過率を、JIS K0115(吸光光度分析通則)に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V-570」)を用いて測定した。測定の結果得られた各波長に対応する光線透過率の値から、波長380nmの紫外線透過率の値を抽出した。紫外線透過率を下記基準により評価した。
Good:紫外線透過率が10%以下である。
Poor:紫外線透過率が10%より大きい。
非晶性のノルボルネン系重合体として、日本ゼオン社製「ゼオノア1600」(ガラス転移温度163℃、以下、熱可塑性樹脂(J0)ともいう。)のペレットを準備した。熱可塑性樹脂(J0)のペレットを、100℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレット100部と、レーザー吸収剤(ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、分子量552、融点102.0℃~106.0℃)4.7部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA-31」)12.0部とを、二軸押出機により混合した。得られた混合物を、単軸押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機から溶融押し出して、熱可塑性樹脂(J1)を得た。この熱可塑性樹脂(J1)は、紫外線吸収剤の含有量は10.3重量%であり、レーザー吸収剤の含有量は4.0%であり、ガラス転移温度Tgは126℃であった。
レーザー吸収剤としてのペンタエリスリトールテトラベンゾエートの量を0部に変更した。以上の事項以外は、製造例1と同じ操作を行って、熱可塑性樹脂(J2)を得た。この熱可塑性樹脂(J2)は、紫外線吸収剤の含有量は10.7重量%であり、ガラス転移温度Tgは129℃であった。
目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、ダブルフライト型単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=32)を用意した。この単軸押出機に、コア層形成用の樹脂として、製造例1で得られた熱可塑性樹脂(J1)を導入し、溶融させた。そして、溶融した熱可塑性樹脂(J1)を、押出機出口温度265℃として、押出機のギヤポンプにて定量を押し出し、マルチマニホールドダイに供給した。このマルチマニホールドダイのダイスリップの表面粗さRaは、0.1μmであった。
得られた積層フィルムについて、上述した方法で評価を行った。
コア層形成用の樹脂として、製造例1で得られた熱可塑性樹脂(J1)の代わりに、製造例2で得られた熱可塑性樹脂(J2)を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作によって、積層フィルムの製造及び評価を行った。
110 第1スキン層
120 コア層
130 第2スキン層
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂S1で形成された第1スキン層、熱可塑性樹脂Cで形成されたコア層、及び熱可塑性樹脂S2で形成された第2スキン層を、この順に含み、
前記コア層における、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率A c は、0.2以上であり、
前記第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率A s1 は、0.02~0.15であり、
前記第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率A s2 は、0.02~0.15であり、
前記熱可塑性樹脂S1は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上であり、
前記熱可塑性樹脂S2は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上であり、
前記熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)が、150℃以上であり、
前記熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)が、150℃以上であり、
波長380nmの紫外線透過率が10%以下である、積層フィルム。 - 水蒸気透過率が、10g/(m2・day)以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂S1が、脂環式構造を含有する重合体を含み、
前記熱可塑性樹脂S2が、脂環式構造を含有する重合体を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。 - 前記熱可塑性樹脂Cが、脂環式構造を含有する重合体を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
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