以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態にかかる歩行訓練装置100の概略斜視図である。歩行訓練装置100は、一方の脚に麻痺を患う片麻痺患者である訓練者900が、歩行訓練を行うための装置である。歩行訓練装置100は、主に、全体の骨格を成すフレーム130に取り付けられた制御盤133と、訓練者900が歩行するトレッドミル131と、訓練者900の麻痺側の脚部である患脚に装着する歩行補助装置120とを備える。
フレーム130は、床面に設置されるトレッドミル131上に立設されている。トレッドミル131は、不図示のモータによりリング状のベルト132を回転させる。トレッドミル131は、訓練者900の歩行を促す装置である。歩行訓練を行う訓練者900は、ベルト132に乗り、ベルト132の移動に合わせて歩行動作を試みる。
フレーム130は、モータやセンサの制御を行う全体制御部210を収容する制御盤133や、訓練の進捗状況等を訓練者900へ呈示する例えば液晶パネルである訓練用モニタ138などを支持している。また、フレーム130は、訓練者900の頭上部前方付近で前側引張部135を、頭上部付近でハーネス引張部112を、頭上部後方付近で後側引張部137支持している。また、フレーム130は、訓練者900が掴むための手摺り130aを含む。
カメラ140は、訓練者900の全身を観察するための撮像部としての機能を担う。カメラ140は、訓練用モニタ138の近傍に、訓練者と相対するように設置されている。カメラ140は、訓練者900の全身を捉えられる程度の画角となるような、レンズと撮像素子のセットを含む。撮像素子は、例えばCMOSイメージセンサであり、結像面に結像した光学像を画像信号に変換する。
前側ワイヤ134は、一端が前側引張部135の巻取機構に連結されており、他端が歩行補助装置120に連結されている。前側引張部135の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、患脚の動きに応じて前側ワイヤ134を巻き取ったり繰り出したりする。同様に、後側ワイヤ136は、一端が後側引張部137の巻取機構に連結されており、他端が歩行補助装置120に連結されている。後側引張部137の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、患脚の動きに応じて後側ワイヤ136を巻き取ったり繰り出したりする。このような前側引張部135と後側引張部137の連携した動作により、歩行補助装置120の荷重が患脚の負担とならないように当該荷重を相殺し、更には、設定の程度に応じて患脚の振り出し動作をアシストする。
例えば、訓練補助者であるオペレータは、重度の麻痺を抱える訓練者に対しては、アシストするレベルを大きく設定する。アシストするレベルが大きく設定されると、前側引張部135は、患脚の振り出しタイミングに合わせて、比較的大きな力で前側ワイヤ134を巻き取る。訓練が進み、アシストが必要でなくなったら、オペレータは、アシストするレベルを最小に設定する。アシストするレベルが最小に設定されると、前側引張部135は、患脚の振り出しタイミングに合わせて、歩行補助装置120の自重をキャンセルするだけの力で前側ワイヤ134を巻き取る。
歩行訓練装置100は、装具100、ハーネスワイヤ111、ハーネス引張部112を主な構成要素とする、安全装置としての転倒防止ハーネス装置を備える。装具100は、訓練者900の腹部に巻き付けられるベルトであり、例えば面ファスナによって腰部に固定される。装具100は、吊具であるハーネスワイヤ111の一端を連結する連結フック110aを備える。訓練者900は、連結フック110aが後背部に位置するように、装具100を装着する。
ハーネスワイヤ111は、一端が装具100の連結フック110aに連結されており、他端がハーネス引張部112の巻取機構に連結されている。ハーネス引張部112の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、ハーネスワイヤ111を巻き取ったり繰り出したりする。このような構成により、転倒防止ハーネス装置は、訓練者900が転倒しそうになった場合に、その動きを検知した全体制御部210の指示に従ってハーネスワイヤ111を巻き取り、装具100により訓練者900の上体を支えて、訓練者900の転倒を防ぐ。
装具110は、訓練者900の姿勢を検出するための姿勢センサ217を備える。姿勢センサ217は、例えばジャイロセンサと加速度センサを組み合わせたものであり、装具110が装着された腹部の重力方向に対する傾斜角を出力する。
管理用モニタ139は、フレーム130に取り付けられており、主にオペレータが監視および操作するための表示入力装置である。管理用モニタ139は、例えば液晶パネルであり、その表面にはタッチパネルが設けられている。管理用モニタ139は、訓練設定に関する各種メニュー項目や、訓練時における各種パラメータ値、訓練結果などを呈示する。
歩行補助装置120は、訓練者900の患脚に装着され、患脚の膝関節における伸展および屈曲の負荷を軽減することにより訓練者900の歩行を補助する。図2は、歩行補助装置120の概略斜視図である。歩行補助装置120は、主に、制御ユニット121と、患脚の各部を支える複数のフレームと、足裏に掛かる荷重を検出するための荷重センサ222とを備える。
制御ユニット121は、歩行補助装置120の制御を行う補助制御部220を含み、また、膝関節の伸展運動および屈曲運動を補助するための駆動力を発生させる不図示のモータを含む。患脚の各部を支えるフレームは、上腿フレーム122と、上腿フレーム122に回動自在に連結された下腿フレーム123と、下腿フレーム123に回動自在に連結された足平フレーム124と、前側ワイヤ134を連結するための前側連結フレーム127と、後側ワイヤ136を連結するための後側連結フレーム128とを含む。
上腿フレーム122と下腿フレーム123は、図示するヒンジ軸Ha周りに相対的に回動する。制御ユニット121のモータは、補助制御部220の指示に従って回転して、上腿フレーム122と下腿フレーム123がヒンジ軸Ha周りに相対的に開くように加勢したり、閉じるように加勢したりする。制御ユニット121に収められた角度センサ223は、例えばロータリエンコーダであり、ヒンジ軸Ha周りの上腿フレーム122と下腿フレーム123の成す角を検出する。下腿フレーム123と足平フレーム124は、図示するヒンジ軸Hb周りに相対的に回動する。相対的に回動する角度範囲は、調整機構126によって事前に調整される。
前側連結フレーム127は、上腿の前側を左右方向に伸延し、両端で上腿フレーム122に接続するように設けられている。また、前側連結フレーム127には、前側ワイヤ134を連結するための連結フック127aが、左右方向の中央付近に設けられている。後側連結フレーム128は、下腿の後側を左右方向に伸延し、両端でそれぞれ上下に伸延する下腿フレーム123に接続するように設けられている。また、後側連結フレーム128には、後側ワイヤ136を連結するための連結フック128aが、左右方向の中央付近に設けられている。
上腿フレーム122は、上腿ベルト129を備える。上腿ベルト129は、上腿フレームに一体的に設けられたベルトであり、患脚の上腿部に巻き付けて上腿フレーム122を上腿部に固定する。これにより、歩行補助装置120の全体が訓練者900の脚部に対してずれることを防止している。
荷重センサ222は、足平フレーム124に埋め込まれた荷重センサである。荷重センサ222は、訓練者900の足裏が受ける垂直荷重の大きさと分布を検出する。荷重センサ222は、例えば、電極がマトリックス状に配置された抵抗変化検出型の荷重検出シートである。
次に歩行訓練装置100のシステム構成について説明する。図3は、歩行訓練装置100のシステム構成図である。全体制御部210は、例えばMPUであり、システムメモリから読み込んだ制御プログラムを実行することにより、装置全体の制御を実行する。トレッドミル駆動部211は、ベルト132を回転させるモータとその駆動回路を含む。全体制御部210は、トレッドミル駆動部211へ駆動信号を送ることにより、ベルト132の回転制御を実行する。例えば、オペレータによって設定された歩行速度に応じて、ベルト132の回転速度を調整する。
操作受付部212は、訓練者900やオペレータからの入力操作を受け付けて、操作信号を全体制御部210へ送信する。訓練者900やオペレータは、操作受付部212を構成する、装置に設けられた操作ボタンや管理用モニタ139に重畳されたタッチパネル、付属するリモコン等を操作して、電源のオン/オフやトレーニングの開始の指示を与えたり、設定に関する数値の入力やメニュー項目の選択を行ったりする。
表示制御部213は、全体制御部210からの表示信号を受け取って表示画面を生成し、訓練用モニタ138または管理用モニタ139に表示する。表示制御部213は、表示信号に従って、トレーニングの進捗を示す画面や、カメラ140で撮影したリアルタイム映像を生成する。
引張駆動部214は、前側引張部135を構成する、前側ワイヤ134を引張するためのモータとその駆動回路と、後側引張部137を構成する、後側ワイヤ136を引張するためのモータとその駆動回路とを含む。全体制御部210は、引張駆動部214へ駆動信号を送ることにより、前側ワイヤ134の巻き取りと後側ワイヤ136の巻き取りをそれぞれ制御する。また、巻き取り動作に限らず、モータの駆動トルクを制御することにより、各ワイヤの引張力を制御する。全体制御部210は、例えば、荷重センサ222の検出結果から患脚が立脚状態から遊脚状態に切り替わるタイミングを同定し、そのタイミングに同期して各ワイヤの引張力を増減させることにより、患脚の振り出し動作をアシストする。
ハーネス駆動部215は、ハーネス引張部112を構成する、ハーネスワイヤ111を引張するためのモータとその駆動回路を含む。全体制御部210は、ハーネス駆動部215へ駆動信号を送ることにより、ハーネスワイヤ111の巻き取りと、ハーネスワイヤ111の引張力を制御する。全体制御部210は、例えば、訓練者900の転倒を予測した場合に、ハーネスワイヤ111を一定量巻き取って、訓練者の転倒を防止する。
画像処理部216は、全体制御部210からの指示に従って、カメラ140から受け取った画像信号を画像処理して画像データを生成する。また、画像処理部135は、全体制御部210からの指示に従って、カメラ140から受け取った画像信号に画像処理を施して、特定の画像解析を実行することもできる。例えば、画像処理部135は、トレッドミル131に接する患脚の足の位置(立脚位置)を、画像解析により検出する。具体的には、例えば、足平フレーム124の先端近傍の画像領域を抽出し、当該先端部と重なるベルト132上に描かれた識別マーカを解析することにより、立脚位置を演算する。
姿勢センサ217は、上述の通り訓練者900の腹部の重力方向に対する傾斜角を検出して、検出信号を補助制御部220へ送信する。全体制御部210は、姿勢センサ217からの検出信号を用いて、訓練者900の姿勢、具体的には体幹の傾斜角を演算する。なお、全体制御部210と姿勢センサ217は、有線で接続されていても良いし、近距離無線通信で接続されていても良い。
全体制御部210は、制御に関わる様々な演算や制御を実行する機能実行部としての役割も担う。歩行評価部210aは、取得した各種センサ情報を用いて、訓練者900の歩行動作が異常歩行であるか否かを評価する。訓練判定部210bは、歩行評価部210aが評価した異常歩行の積算数に基づいて、一連の歩行訓練に対する訓練結果を判定する。具体的な処理については後述する。
上述のように、歩行補助装置120は訓練者900の患脚に装着されるが、歩行訓練装置100は、歩行装置120に指令を与えたり、センサ情報を受け取ったりするために、全体制御部210に接続された通信接続IF219を備える。歩行補助装置120も、通信接続IF219と有線または無線によって接続される通信接続IF229が設けられている。通信接続IF229は、歩行補助装置120の補助制御部220に接続されている。通信接続IF219、229は、通信規格に則った例えば無線LAN等の通信インタフェースである。
補助制御部220は、例えばMPUであり、全体制御部210から与えられた制御プログラムを実行することにより、歩行補助装置120の制御を実行する。また、歩行補助装置120の状態を、通信接続IF219、229を介して全体制御部210へ通知する。また、全体制御部210からの指令を受けて、歩行補助装置120の起動/停止等を実行する。
関節駆動部221は、制御ユニット121のモータとその駆動回路を含む。補助制御部220は、関節駆動部221へ駆動信号を送ることにより、上腿フレーム122と下腿フレーム123がヒンジ軸Ha周りに相対的に開くように加勢したり、閉じるように加勢したりする。このような動作により、膝の伸展動作および屈曲動作をアシストしたり、膝折れを防止したりする。
荷重センサ222は、上述の通り訓練者900の足裏が受ける垂直荷重の大きさと分布を検出して、検出信号を補助制御部220へ送信する。補助制御部220は、検出信号を受け取り解析することにより、遊脚/立脚の状態判別や切替り推定等を行う。
角度センサ223は、上述の通りヒンジ軸Ha周りの上腿フレーム122と下腿フレーム123の成す角を検出して、検出信号を補助制御部220へ送信する。補助制御部220は、検出信号を受け取って膝関節の開き角を演算する。
脚に麻痺を患う患者の歩容は、疾患の部位や程度に応じて様々であり、転倒する虞が高いと判断される異常歩行を一つの基準で評価することは難しい。全体として観察すれば異常歩行と評価される歩容であっても、脚の一部分の動作に着目した場合には、正常歩行の動作とほとんど変わらない場合もある。したがって、これまでの歩行評価装置は、異常歩行を正常歩行と評価してしまうことがあった。
本願発明者らは、片麻痺患者に見られる異常歩行には少なくとも7つに分類されるパターンが存在することを知見として得た。すなわち、それぞれのパターンに対して異常歩行基準を定めれば、訓練者の歩容がいずれかの異常歩行基準と合致する場合に、その歩行動作は異常歩行であると評価できることがわかった。そこで、本実施形態にかかる歩行訓練装置100においては、歩行評価部210aが、各麻痺体部の動作量と各異常歩行基準とを比較して、その歩行動作が異常歩行であるか否かを評価する。以下に、それぞれの異常歩行基準と、その評価手法について説明する。
図4は、第1の異常歩行基準を説明する図である。図は、患脚側の下半身である麻痺体部を歩行方向に対して側方から観察した場合の模式図であり、上から順に、体幹TL,股関節HJ,大腿HL、膝関節NJ、下腿CL、足関節FJ、足FLを表す。なお、本実施例においては、「脚」および「脚部」は、股関節HJより下部全体を示す用語として用い、「足」および「足部」を足首からつま先までの部分を示す用語として用いる。
第1の異常歩行基準に合致するか否かを判断するために、全体制御部210は、患脚が遊脚期を終えて着地したときの、股関節HJから足関節FJまでの歩行方向に沿う距離X1を歩行動作に伴う第1の動作量として検出する。健脚の通常歩行であれば、遊脚期を終えて着地する地点は、股関節HJよりも歩行方向(前方)に位置するはずである。しかし、患脚の歩行においては、患脚を十分に振り出せないために前方まで十分に運脚できず、股関節HJより少しだけ前方に着地したり、股関節HJより後方に着地したりすることがある。
そこで、第1の異常歩行基準として「基準距離Xc1未満」を設定する。歩行動作において検出された距離X1が基準距離Xc1未満であれば異常歩行と判断する。全体制御部210は、荷重センサ222からの検出信号とカメラ140からの画像データを取得し、これらの情報を用いて遊脚期の終了時点における距離X1を検出する。例えば、Xc1=20cm(=股関節HJから前方に20cm)と設定されている場合に、検出された距離X1が10cmや-5cmであるときには、歩行評価部210aは、その歩行動作を異常歩行と評価する。基準距離Xc1は、訓練者の体格やリハビリの進捗度合等に応じて変更しても良い。
図5は、第2の異常歩行基準を説明する図である。図は、患脚側の下半身である麻痺体部を歩行方向に対して側方から観察した場合の模式図であり、各体部を図4と同様に表す。
第2の異常歩行基準に合致するか否かを判断するために、全体制御部210は、患脚の遊脚期における足裏荷重X2を歩行動作に伴う第2の動作量として検出する。健脚の通常歩行であれば、遊脚期に足裏が接地することはない。しかし、患脚の歩行においては、脚全体を持ち上げる力が足りないために、足裏が接地した状態で脚を前方に押し出すような、いわゆる引き摺り歩行となる場合がある。
そこで、第2の異常歩行基準として「基準荷重Xc2より大きい」を設定する。歩行動作において検出された荷重X2が基準荷重Xc2より大きければ異常歩行と判断する。全体制御部210は、荷重センサ222からの検出信号とカメラ140からの画像データを取得し、これらの情報を用いて遊脚期における荷重X2を検出する。通常はXc2=0と設定する。すなわち、遊脚期において足裏からの荷重を少しでも検出したら、歩行評価部210aは、その歩行動作を異常歩行と評価する。ただし、リハビリの進捗度合等に応じて、多少の接地を許容し、例えばXc2=10Nのように設定しても良い。また、遊脚期中の積算荷重を基準値としても良い。
図6は、第3の異常歩行基準を説明する図である。図は、患脚側の下半身である麻痺体部を歩行方向に対して側方から観察した場合の模式図であり、各体部を図4と同様に表す。
第3の異常歩行基準に合致するか否かを判断するために、全体制御部210は、患脚の立脚中における膝関節NJの屈曲角度X3を歩行動作に伴う第3の動作量として検出する。健脚の通常歩行であれば、立脚中における膝関節NJはそれほど屈曲しない。しかし、患脚の歩行においては、膝関節NJが上体を支える力が足りないために、立脚中に膝関節NJが大きく屈曲することがある。場合によっては、いわゆる膝折れを起こす。
そこで、第3の異常歩行基準として「基準角度Xc3未満」を設定する。歩行動作において検出された屈曲角度X3が基準角度Xc3より小さければ異常歩行と判断する。全体制御部210は、角度センサ223からの検出信号とカメラ140からの画像データを取得し、これらの情報を用いて立脚中における屈曲角度X3を検出する。例えば、Xc3=165度と設定されている場合に、検出された屈曲角度X3が140度であるときには、歩行評価部210aは、その歩行動作を異常歩行と評価する。なお、歩行評価部210aは、立脚中に連続して検出された屈曲角度X3が一度でも基準角度Xc3未満となったら、その歩行動作を異常歩行と評価する。基準角度Xc3は、訓練者の年齢やリハビリの進捗度合等に応じて変更しても良い。
図7は、第4の異常歩行基準を説明する図である。図は、患脚側の下半身である麻痺体部を歩行方向に対して側方から観察した場合の模式図であり、各体部を図4と同様に表す。
第4の異常歩行基準に合致するか否かを判断するために、全体制御部210は、患脚が立脚期から遊脚期に切り替わる振り出し時の、股関節HJから足関節FJまでの歩行方向に沿う距離X4を歩行動作に伴う第4の動作量として検出する。健常者による歩行であれば、振り出し時における足関節FJは、股関節HJに対してある程度後方に位置する。しかし、麻痺患者による歩行においては、上体の体重移動が自由に行えないために、足関節FJが股関節HJから十分に離れる前に振り出しを開始してしまうことがある。
そこで、第4の異常歩行基準として「基準距離Xc4以上」を設定する。歩行動作において検出された距離X4が基準距離Xc4未満であれば異常歩行と判断する。全体制御部210は、荷重センサ222からの検出信号とカメラ140からの画像データを取得し、これらの情報を用いて立脚期から遊脚期に切り替わる振り出し時点における距離X4を検出する。例えば、Xc4=-20cm(=股関節HJから後方に20cm)と設定されている場合に、検出された距離X4が-10cm(=股関節HJから後方に10cm)や5cm(=股関節HJから前方に5cm)であるときには、歩行評価部210aは、その歩行動作を異常歩行と評価する。基準距離Xc4は、訓練者の体格やリハビリの進捗度合等に応じて変更しても良い。
図8は、第5の異常歩行基準を説明する図である。図は、患脚側の下半身である麻痺体部を歩行方向に対して側方から観察した場合の模式図であり、各体部を図4と同様に表す。
第5の異常歩行基準に合致するか否かを判断するために、全体制御部210は、患脚の立脚中における体幹TLの前方向への傾斜角度X5を歩行動作に伴う第5の動作量として検出する。健常者による通常歩行であれば、立脚中における体幹TLは、股関節HJを通る鉛直線に対して前方へ若干傾斜する程度である。しかし、麻痺患者の歩行においては、下半身を庇おうとするために、体幹TLが股関節HJを通る鉛直線に対して大きく前傾してしまうことがある。
そこで、第5の異常歩行基準として「基準角度Xc5以上」を設定する。歩行動作において検出された前方への傾斜角度X5が基準角度Xc5以上であれば異常歩行と判断する。全体制御部210は、姿勢センサ217からの検出信号とカメラ140からの画像データを取得し、これらの情報を用いて立脚中における傾斜角度X5を検出する。例えば、Xc5=10度と設定されている場合に、検出された傾斜角度X5が30度であるときには、歩行評価部210aは、その歩行動作を異常歩行と評価する。なお、歩行評価部210aは、立脚中に連続して検出された傾斜角度X5が一度でも基準角度Xc5以上となったら、その歩行動作を異常歩行と評価する。基準角度Xc5は、訓練者の年齢やリハビリの進捗度合等に応じて変更しても良い。
図9は、第6の異常歩行基準を説明する図である。図は、患脚側の下半身である麻痺体部を歩行方向正面から観察した場合の模式図であり、各体部を図4と同様に表す。
第6の異常歩行基準に合致するか否かを判断するために、全体制御部210は、患脚の立脚中における体幹TLの患脚側への傾斜角度X6を歩行動作に伴う第6の動作量として検出する。健常者による通常歩行であれば、立脚中における体幹TLは、股関節HJを通る鉛直線に対して左右方向へぶれることはほとんどない。しかし、麻痺患者の歩行においては、患脚側に体重を掛けることに対する恐怖心などのために、体幹TLが股関節HJを通る鉛直線に対して患脚側へ大きく前傾してしまうことがある。
そこで、第6の異常歩行基準として「基準角度Xc6以上」を設定する。歩行動作において検出された患脚側への傾斜角度X6が基準角度Xc6以上であれば異常歩行と判断する。全体制御部210は、姿勢センサ217からの検出信号とカメラ140からの画像データを取得し、これらの情報を用いて立脚中における傾斜角度X6を検出する。例えば、Xc6=10度と設定されている場合に、検出された傾斜角度X6が20度であるときには、歩行評価部210aは、その歩行動作を異常歩行と評価する。なお、歩行評価部210aは、立脚中に連続して検出された傾斜角度X6が一度でも基準角度Xc6以上となったら、その歩行動作を異常歩行と評価する。基準角度Xc6は、訓練者の年齢やリハビリの進捗度合等に応じて変更しても良い。
図10は、第7の異常歩行基準を説明する図である。図は、患脚側の下半身である麻痺体部を歩行方向に対して側方から観察した場合の模式図であり、各体部を図4と同様に表す。
第7の異常歩行基準に合致するか否かを判断するために、全体制御部210は、患脚の遊脚中における体幹TLの前方向への傾斜角度X7を歩行動作に伴う第7の動作量として検出する。健常者による通常歩行であれば、遊脚中における体幹TLは、股関節HJを通る鉛直線に対して前方へある程度傾斜する。しかし、麻痺患者の歩行においては、上体の体重移動が自由に行えずにのけぞってしまい、体幹TLが股関節HJを通る鉛直線に対して後方に傾斜してしまうことがある。
そこで、第7の異常歩行基準として「基準角度Xc7未満」を設定する。歩行動作において検出された前方への傾斜角度X7が基準角度Xc7未満であれば異常歩行と判断する。全体制御部210は、姿勢センサ217からの検出信号とカメラ140からの画像データを取得し、これらの情報を用いて遊脚中における傾斜角度X7を検出する。例えば、Xc7=-5度(=後方に5度傾斜)と設定されている場合に、検出された傾斜角度X7が-20度であるときには、歩行評価部210aは、その歩行動作を異常歩行と評価する。なお、歩行評価部210aは、遊脚中に連続して検出された傾斜角度X7が一度でも基準角度Xc7未満となったら、その歩行動作を異常歩行と評価する。基準角度Xc7は、訓練者の年齢やリハビリの進捗度合等に応じて変更しても良い。
以上、7つの異常歩行基準を説明したが、この他の異常歩行基準が加えられても良い。異常歩行基準を定めるにあたっては、単一ではなく、複数定めることが肝要であり、その場合の異常歩行基準は、少なくとも、麻痺体部の互いに異なる部位の動作量に関する2つ以上の基準を含むか、麻痺体部の同一部位の互いに異なる方向への動作量に関する2つ以上の基準を含むと良い。
ここで、互いに異なる部位の動作量に関する2つ以上の基準は、体幹の動作量に関する基準、膝関節の動作量に関する基準および足首から先の足部の動作量に関する基準のうちから選択されると良い。上記の例においては、体幹の動作量に関する基準は第5、6、7の基準であり、膝関節の動作量に関する基準は、第3の基準であり、足部の動作量に関する基準は、第1、2、4の基準である。このように着目する動作量を選択すると、実際の歩容が異常歩行であると評価されるべき場合に、一方の動作量からは異常歩行と評価されない場合でも、他方の動作量から異常歩行と評価されることが多いことが実験を通じて明らかとなった。
また、麻痺体部の同一部位の互いに異なる方向への動作量に関する2つ以上の基準は、体幹の歩行方向に対する動作量に関する基準と歩行方向に対して直交する直交方向に対する動作量に関する基準とを含むと良い。上記の例においては、第5および第7のいずれかの基準と、第6の基準との関係が相当する。このように着目する動作量を組み合わせても、実際の歩容が異常歩行であると評価されるべき場合に、一方の動作量からは異常歩行と評価されない場合でも、他方の動作量から異常歩行と評価されることが多いことが実験を通じて明らかとなった。
また、異常歩行基準は、患脚の遊脚期と立脚期でそれぞれ異なる基準とすると良いことがわかった。第1の基準と第4の基準は、互いに同一部位の同一方向の基準であるが、それぞれ遊脚期から立脚期に切り替わる時点と、立脚期から遊脚期に切り替わる時点に着目している。また、第5の基準と第7の基準は、同じく互いに同一部位の同一方向の基準であるが、それぞれ立脚期と遊脚期を別々に着目している。すなわち、同一部位かつ同一方向の動作量であっても、観察時点を区切れば、歩行動作の異なる特徴量として評価できる。
次に、歩行訓練装置100の処理動作について説明する。図11は、処理動作を示すフロー図である。フローは、訓練者900またはオペレータによって訓練メニューが選択されて、一連の訓練プログラムが起動した時点から開始する。
全体制御部210は、ステップS101で、歩行周期カウンタnをリセットする。そして、トレッドミル駆動部211を駆動してベルト132の回転を開始すると共に、設定された調整値に応じて引張駆動部214および関節駆動部221を駆動して、訓練者900の歩行アシストを実行する。訓練者900が方向動作を開始したら、ステップS102で、歩行動作に伴う各動作量を取得する。具体的には、カメラ140から取得した画像信号を画像処理部216で解析したり、姿勢センサ217、荷重センサ222、角度センサ223からの検出信号を取得して動作量に換算したりする。
全体制御部210は、ステップS103で、一歩行周期が終了したか否かを判断する。異常歩行の評価は、患脚の一歩ごとに実行しても良いが、本実施形態においては、患脚の一歩とこれに連続する健脚の一歩の一周期で評価を実行する。したがって、全体制御部210は、一歩行周期が終了したと判断したら、評価を実行すべくステップS104へ進み、まだ終了していないと判断したら、ステップS102へ戻って各動作量の取得を継続する。
全体制御部210の歩行評価部210aは、ステップS104で、異常歩行の評価を実行する。具体的には、歩行動作における各部位、各方向、各期間の動作量を集計し、上記の各異常歩行基準に合致するか否かを確認する。異常歩行と評価された場合には、その歩行動作を失敗歩行と判定する。歩行評価部210aは、ステップS105で、上記の各異常歩行基準の一つにでも合致するかを判断し、一つにでも合致すると判断した場合には、ステップS106へ進み、n歩目の評価変数Enに「0」を代入する。そして、全体制御部210は、当該一歩が失敗歩行であった旨を、表示制御部213を介して訓練用モニタ138および管理用モニタ139に表示する。一方、ステップS105で、上記の各異常歩行基準のいずれにも合致しないと判断した場合には、ステップS108へ進み、n歩目の評価変数Enに「1」を代入する。そして、全体制御部210は、当該一歩が成功歩行であった旨を、表示制御部213を介して訓練用モニタ138および管理用モニタ139に表示する。
ここで、失敗歩行であった旨を訓練中にリアルタイムに表示する場合には、どの異常歩行基準に合致したかを示すことなく、簡素で単一の表示にすることが好ましい。簡素で単一の表示によって失敗歩行であることを呈示すれば、訓練者900は、歩行訓練中に混乱することなく、最低限の自身の状況を認識することができる。なお、失敗歩行であるか否かを呈示する手段は、管理用モニタ139に限らず、ブザー音や点滅光などを利用することもできる。この場合も、音や光は、簡素で単一の態様で訓練者900に示すことが好ましい。このように失敗歩行である旨を呈示する管理用モニタ139や、音や光を発生するデバイスなどは、歩行評価部210aによる評価に関する情報を呈示する呈示部として機能する。
ステップS107で失敗表示を、またはステップS109で成功表示を終えたら、全体制御部210は、ステップS110へ進み、歩行周期カウンタnをインクリメントする。そして、ステップS111では、歩行周期カウンタnが、一連の歩行訓練プログラムで予定されていた歩行周期数n0に到達したか否かを判断する。到達していないと判断したら、ステップS102へ戻り、歩行訓練制御を継続する。到達したと判断したら、ステップS112へ進む。
全体制御部210の訓練判定部210bは、ステップS112で、一連の連続的に歩行した歩行訓練試行における評価結果を集計し、歩行訓練試行の成功度合を示すための判定を行う。訓練判定部210bは、具体的には、患脚の総歩行数に対する失敗歩行数の割合を計算したり、ハーネス駆動部215を動作させた転倒回避動作数を評価したりして、訓練判定を導出する。全体制御部210は、訓練判定部210bが判定結果を、ステップS113で、表示制御部213を介して訓練用モニタ138および管理用モニタ139に表示した後に、一連の処理を終了する。
図12は、管理用モニタ139において判定結果を示す表示例である。歩行速度、振出しアシスト、膝伸展アシストは、それぞれトレーニングメニューの難易度に応じてレベルとして設定されるパラメータである。歩行速度は、トレッドミル131のベルト132を回転させる速度に比例する。訓練初期段階においては、歩行速度が遅く設定される。振出しアシストは、前側ワイヤ134および後側ワイヤ136の巻取りおよび解放によって患脚の振出しをアシストするアシスト力に比例する。訓練の最終段階においては、歩行補助装置120の自重を相殺するだけの駆動力で引張する。膝伸展アシストは、関節駆動部の駆動トルクに比例する。患脚において膝折れを起こしやすい状況などにおいては、定常的にアシストを行う。
各歩行評価は、各歩行周期の評価結果を表し、例えば○は成功を、×は失敗を表す。図の例では一訓練における7歩分の歩行周期のうち、2歩目が失敗であり、全体として失敗率が14%であることがわかる。そして、訓練判定部210bが判定した訓練判定が、例えば「A」判定のように表示される。
本実施形態における歩行訓練装置100は、トレッドミル131上で転倒することを防止する転倒防止装置としてハーネスワイヤ111等を備えるので、訓練者はたとえ体勢を崩しそうになっても連続的に歩行訓練を継続することができる。すなわち、訓練者は、転倒しない範囲内で、自身の意識に沿う自由な歩容により歩行を続けることができる。したがって、正常な歩行動作として求められる連続歩行に対して、総合的に正常度合を判定することができる。
特に、脚に麻痺を患う患者がリハビリとして歩行訓練を行う場合には、かろうじて歩行が成立する難易度、つまりある程度体勢が崩れかかるくらいの難易度で訓練する方が訓練効果(いわゆる運動学習効果)は高まる。体勢を崩さないように完全にアシストした状態で歩行させる訓練装置は、訓練者にとって訓練効果は薄い。一方で、転倒する程に体勢を崩すまではアシストせず、転倒しそうになった時点で歩行を中断させて転倒回避を行う訓練装置は、連続する歩行動作に対してどの程度異常歩行が発生するかを評価できない。そこで、訓練者の運脚に対してある程度のアシストを与える訓練装置が好ましいが、どの程度のアシストを与えるかは、これまでは訓練者の運脚の異常度合を客観的に判断できなかったので調整が難しかった。具体的には、療法士が患者の訓練状況を確認して次回の難易度の設定を調整していたので、患者の回復効果は、療法士の経験や勘に依存していた側面があった。しかし、本実施形態における歩行訓練装置100は、客観的な訓練判定が行えるので、経験の浅い療法士でも次回の訓練難易度を決めやすく、したがって患者の訓練効果も向上することが期待できる。また、訓練判定を確認する医師や訓練者も、訓練者の一連の歩行動作がどの程度正常な歩行動作に近づいたのかを、客観的かつ端的に把握することができる。
次に、歩行訓練装置100の変形例を説明する。図13は、変形例にかかる歩行訓練装置100’の概略斜視図である。歩行訓練装置100’は、トレッドミル131を備えず、訓練者900がフレーム130に囲われた空間内を実際に移動する点で、上記の歩行訓練装置100と異なる。図において、歩行訓練装置100と共通する要素は同符番を付してその説明を省略する。
歩行訓練装置100’は、ハーネス引張部112、前側引張部135、後側引張部137をガイドするガイドレール150を備える。ハーネス引張部112、前側引張部135、後側引張部137は、不図示のモータによりそれぞれガイドレールに沿って移動する。全体制御部210は、訓練者900の歩行位置を判断し、その位置に応じてハーネス引張部112、前側引張部135、後側引張部137を最適位置に配置する。このように構成された歩行訓練装置100’においては、訓練者900は、床面に対して実際に相対移動するので、よりリハビリ訓練の達成感を得られる。
以上説明した実施形態において、訓練者900が次回にトレーニングを行う場合には、歩行訓練装置100、100’は、前回の訓練判定に応じて振出しアシストレベルなどのパラメータを設定しても良い。このように、訓練強度を歩行訓練装置が自動的に調整すれば、オペレータの負担等が軽減される。また、トレーニング実行中の1歩1歩の評価に対して、歩行速度等を動的に調整しても良い。例えば、異常歩行との評価が連続する場合には、歩行速度を遅くしても良い。このような動的な制御により、訓練者の安全を図ることができ、また、能力に応じて難易度を調整することもできる。
以上説明した実施形態においては、訓練者900は、脚の一方を患う片麻痺患者の例を示して説明したが、両脚に麻痺を患う患者に対しても歩行訓練装置100、100’を適用し得る。その場合は、両脚に歩行補助装置120を装着して訓練を実施する。その場合、それぞれの患脚ごとに、異常歩行の評価を行っても良い。それぞれの患脚に対して独立して異常歩行の評価を行うことにより、回復度合を個別に判断することができる。
以上説明した実施形態における態様の一側面を纏める。歩行評価装置は、脚に麻痺を患う麻痺患者の訓練歩行を評価する歩行評価装置であって、麻痺を患う脚である患脚を含む麻痺体部の、歩行動作に伴う複数の動作量を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記複数の動作量の少なくとも一つが、予め定められた複数の異常歩行基準のいずれかに合致した場合に前記歩行動作が異常歩行であると評価する評価部とを備え、前記複数の異常歩行基準は、少なくとも、前記麻痺体部の互いに異なる部位の動作量に関する2つ以上の基準を含むか、前記麻痺体部の同一部位の互いに異なる方向への動作量に関する2つ以上の基準を含む。
上記の歩行評価装置は、前記麻痺患者は一方の脚に麻痺を患う片麻痺患者であって、前記評価部は、前記患脚の一歩ごと、および、前記患脚の一歩と麻痺を患っていない健脚の一歩とを含む一周期ごとの少なくともいずれかに対して前記異常歩行の評価を実行するものであって良い。また、前記複数の異常歩行基準のうち互いに異なる部位の動作量に関する2つ以上の基準は、体幹の動作量に関する基準、膝関節の動作量に関する基準および足首から先の足部の動作量に関する基準のうちから選択されるものであって良い。また、前記複数の異常歩行基準のうち前記麻痺体部の同一部位の互いに異なる方向への動作量に関する2つ以上の基準は、体幹の歩行方向に対する動作量に関する基準と前記歩行方向に対して直交する直交方向に対する動作量に関する基準とを含むものであって良い。また、前記複数の異常歩行基準は、前記患脚の遊脚期と立脚期でそれぞれ異なる基準としても良い。
歩行訓練システムは、上記のいずれかの態様における歩行評価装置と、前記患脚に装着する歩行補助装置とを備え、前記歩行補助装置は、前記歩行動作に伴う前記動作量を取得する複数のセンサを有する。このような歩行訓練システムにおいて、前記麻痺患者が歩行する歩行面を提供するトレッドミルと、前記麻痺患者が前記トレッドミル上で転倒することを防止する転倒防止装置とを備え、前記評価部は、前記麻痺患者が前記トレッドミル上を連続的に歩行する試行に対して前記異常歩行を評価しても良い。また、前記評価部による評価に関する情報を呈示する呈示部を備えても良い。このとき、前記呈示部は、前記複数の異常歩行基準のいずれが合致した場合であっても、単一の異常呈示を行うと良い。
また、歩行訓練システムは、脚に麻痺を患う麻痺患者の訓練歩行を行う歩行訓練システムであって、前記麻痺患者が転倒することを防止する転倒防止装置と麻痺を患う脚である患脚を含む麻痺体部の、一歩ごとの歩行動作に伴う動作量を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記動作量が、予め定められた異常歩行基準に合致した場合に前記歩行動作が異常歩行であると評価する評価部と、前記評価部によって評価された異常歩行の積算数に基づいて一連の歩行訓練に対する訓練結果を算出する算出部とを備える。
上記の歩行評価方法は、脚に麻痺を患う麻痺患者の訓練歩行を評価する歩行評価方法であって、麻痺を患う脚である患脚を含む麻痺体部の、歩行動作に伴う複数の動作量を取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記複数の動作量の少なくとも一つが、予め定められた複数の異常歩行基準のいずれかに合致した場合に前記歩行動作が異常歩行であると評価する評価ステップとを有し、前記複数の異常歩行基準は、少なくとも、前記麻痺体部の互いに異なる部位の動作量に関する2つ以上の基準を含むか、前記麻痺体部の同一部位の互いに異なる方向への動作量に関する2つ以上の基準を含む。