以下、添付図面を参照して、冷温同時温度調整装置の実施の形態について説明する。
最初に、冷温同時温度調整装置1の構成について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す冷温同時温度調整装置1は、「冷温同時温度調整装置」に相当し、一例として、高温の洗浄液によって対象物を洗浄する洗浄装置(図示せず)において洗浄液を加熱する加熱器(「加熱対象」の一例:以下、「加熱対象XH」ともいう)に熱媒液循環路LHを介して高温の熱媒液Wh(「第2熱交換流体」の一例)を供給すると共に、加熱対象XH(加熱器)における加熱によって気化した洗浄液を冷却して液化させる冷却器(「冷却対象」の一例:以下、「冷却対象XC」ともいう)に対して熱媒液循環路LCを介して低温の熱媒液Wc(「第1熱交換流体」の一例)を供給することができるように構成されている。
この冷温同時温度調整装置1は、二元冷凍サイクル2、熱媒液循環路3、操作部4、表示部5、制御部6および記憶部7を備えている。なお、本例では、洗浄装置の付帯設備である熱媒液循環路LH,LCを利用して加熱対象XHに対する熱媒液Whの供給や冷却対象XCに対する熱媒液Wcの供給を行う例について説明するが、「第1熱交換流体」を供給する供給用配管(上記の熱媒液循環路LC)や、「第2熱交換流体」を供給する供給用配管(上記の熱媒液循環路LH)を「冷温同時温度調整装置」の構成要素として備えることもできる。
一方、二元冷凍サイクル2は、「多元冷凍サイクル」の一例であって、「低温側冷凍回路」の一例である低温側冷凍回路(低段側冷凍回路)2Cと、「高温側冷凍回路」の一例である高温側冷凍回路(高段側冷凍回路)2Hとを備えている。この二元冷凍サイクル2は、低温側冷凍回路2C内を循環させられる低温側冷媒Rc(「低温側冷媒」の一例)と、高温側冷凍回路2H内を循環させられる高温側冷媒Rh(「高温側冷媒」の一例)とが「第1熱交換器」の一例であるカスケードコンデンサ12において相互に熱交換可能に構成されている。
低温側冷凍回路2Cは、高温側冷凍回路2Hと共用の上記のカスケードコンデンサ12に加え、圧縮機11、流量調整弁13、蒸発器14、流量調整弁15、熱交換器16および開閉弁17a,17bを備えて構成されている。圧縮機11は、制御部6の制御に従って低温側冷媒Rcを圧縮(圧送)する。カスケードコンデンサ12は、前述したように、低温側冷凍回路2C内の低温側冷媒Rcと高温側冷凍回路2H内の高温側冷媒Rhとの熱交換が可能に配設されると共に、高温側冷媒Rhとの熱交換によって低温側冷媒Rcを凝縮させる「凝縮器」として機能する。
流量調整弁13は、低温側冷媒Rcの流路における蒸発器14の上流側に配設されており、「膨張弁」の1つとして機能すると共に、蒸発器14を通過させる(蒸発器14において蒸発させる)低温側冷媒Rcの流量を制御部6の制御に従って調整する。蒸発器14は、「第2熱交換器」の一例であって、後述するように流量調整弁13を通過させられた低温側冷媒Rcと熱媒液循環路LC内の熱媒液Wc(冷却対象XCに対して供給される熱媒液Wc)との熱交換によって熱媒液Wcを冷却すると共に低温側冷媒Rcを蒸発させる。
流量調整弁15は、低温側冷媒Rcの流路における熱交換器16の上流側に配設されており、「膨張弁」の他の1つとして機能すると共に、熱交換器16を通過させる(熱交換器16において蒸発または凝縮させる)低温側冷媒Rcの流量を制御部6の制御に従って調整する。熱交換器16は、「第6熱交換器」の一例であって、カスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhと熱交換した低温側冷媒Rc、および後述の熱媒液循環路3内の熱媒液W3(「第3熱交換流体」の一例)の両流体の熱交換が可能に配設されている。
開閉弁17a,17bは、制御部6の制御に従い、圧縮機11によって圧送されてカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhと熱交換した低温側冷媒Rcの蒸発器14の通過量、および熱交換器16の通過量を調整する。この場合、本例の冷温同時温度調整装置1(低温側冷凍回路2C)では、流量調整弁13,15および開閉弁17a,17bが相俟って「第1調整部」が構成されている。
高温側冷凍回路2Hは、低温側冷凍回路2Cと共用の前述のカスケードコンデンサ12に加え、圧縮機21、凝縮器22、流量調整弁23および熱交換器24を備えて構成されている。圧縮機21は、制御部6の制御に従って高温側冷媒Rhを圧縮(圧送)する。凝縮器22は、「第3熱交換器」の一例であって、圧縮機21によって圧送された(圧縮機21から吐出された)高温側冷媒Rhと熱媒液循環路LH内の熱媒液Wh(加熱対象XHに対して供給される熱媒液Wh)との熱交換によって熱媒液Whを加熱すると共に高温側冷媒Rhを凝縮させる。
流量調整弁23は、高温側冷媒Rhの流路におけるカスケードコンデンサ12の上流側に配設されており、制御部6の制御に従ってカスケードコンデンサ12を通過させる高温側冷媒Rhの流量を調整する。熱交換器24は、「第7熱交換器」の一例であって、カスケードコンデンサ12において低温側冷媒Rcと熱交換する高温側冷媒Rhと、熱媒液循環路3内の熱媒液W3(後述の熱交換器32において外気と熱交換する熱媒液W3)との熱交換によって高温側冷媒Rhを凝縮させる。なお、高温側冷凍回路2Hにおいては、流量調整弁23が「膨張弁」として機能すると共に、カスケードコンデンサ12が低温側冷媒Rcとの熱交換によって高温側冷媒Rhを蒸発させる「蒸発器」として機能し、かつ熱交換器24が「補助凝縮器」として機能する。
熱媒液循環路3は、「流体循環路」の一例であって、熱媒液W3を循環可能に構成されている。具体的には、熱媒液循環路3は、低温側冷凍回路2Cと共用の前述の熱交換器16、および高温側冷凍回路2Hと共用の前述の熱交換器24に加え、ポンプ31、熱交換器32,33および三方弁34a,34bを備えて構成されている。ポンプ31は、制御部6の制御下で熱媒液W3を循環させる。なお、本例の冷温同時温度調整装置1(熱媒液循環路3)では、一例として、圧送量固定型の液送ポンプでポンプ31が構成されている。
熱交換器32は、「第4熱交換器」の一例であって、熱媒液W3と、「外部熱源」の一例である「外気(熱交換器32の周囲の空気)」との熱交換(外気が有する熱の熱媒液W3への吸熱、または、熱媒液W3が有する熱の外気への放熱)が可能に配設されている。この熱交換器32には、制御部6の制御下で熱交換器32に対して外気を送風する回転数可変型の送風機32a(「送風ファン」の一例)が配設されている。これにより、本例の冷温同時温度調整装置1(熱媒液循環路3)では、熱交換器32に対する送風量を変更することで熱交換器32における熱媒液W3と外気との熱交換量を調整することができるように構成されている。熱交換器33は、「第5熱交換器」の一例であって、冷却対象XCの冷却によって温度上昇した熱媒液Wc、および熱交換器32において外気と熱交換した熱媒液W3の両流体の熱交換が可能に配設されている。
三方弁34a,34bは、「第2調整部」の一例であって、制御部6の制御下で、熱交換器32において外気と熱交換した熱媒液W3の熱交換器33の通過量、熱媒液W3の熱交換器16の通過量、および熱媒液W3の熱交換器24の通過量を調整可能に配設されている。この場合、本例の熱媒液循環路3では、熱交換器32において外気と熱交換した熱媒液W3が熱交換器33を通過した後に熱交換器16を通過すると共に熱交換器24を通過しない「第1流路」と、熱媒液W3が熱交換器33を通過せずに熱交換器16を通過すると共に熱交換器24を通過しない「第2流路」と、熱媒液W3が熱交換器33,16を通過せずに熱交換器24を通過する「第3流路」とを備えている。
また、本例の熱媒液循環路3では、三方弁34a,34bが、制御部6の制御に従い、熱媒液W3の「第1流路」の流量、熱媒液W3の「第2流路」の流量、および熱媒液W3の「第3流路」の流量を調整することによって、「第3熱交換流体の第5熱交換器の通過量(熱媒液W3の熱交換器33の通過量)」)、「第3熱交換流体の第6熱交換器の通過量(熱媒液W3の熱交換器16の通過量)」、および「第3熱交換流体の第7熱交換器の通過量(熱媒液W3の熱交換器24の通過量)」を調整する構成が採用されている。
操作部4は、熱媒液循環路LCを介して冷却対象XCに供給する熱媒液Wcの温度(冷温同時温度調整装置1による熱媒液Wcの冷却設定温度)や、熱媒液循環路LHを介して加熱対象XHに供給する熱媒液Whの温度(冷温同時温度調整装置1による熱媒液Whの加熱設定温度)などの各種の動作条件を設定するための操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部6に出力する。表示部5は、制御部6の制御下で、冷温同時温度調整装置1の動作条件を設定するための動作条件設定画面や、冷温同時温度調整装置1の動作状態を示す動作状態表示画面(いずれも図示せず)などを表示する。
制御部6は、「制御部」の一例であって、冷温同時温度調整装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部6は、熱媒液Wcを冷却すべき冷却設定温度(利用者によって指定される冷却目標温度)、および熱媒液Whを加熱すべき加熱設定温度(利用者によって指定される加熱目標温度)に応じて二元冷凍サイクル2や熱媒液循環路3の動作を制御する。この場合、制御部6は、主として、熱媒液Wcを冷却設定温度まで冷却するための冷温同時温度調整装置1の冷却処理負荷と、熱媒液Whを加熱設定温度まで加熱するための冷温同時温度調整装置1の加熱処理負荷との大小関係に応じて各部を制御する。
この冷却処理負荷や加熱処理負荷は、冷却設定温度、加熱設定温度、熱媒液Wcの冷却処理前の温度、熱媒液Whの加熱処理前の温度、熱媒液Wcの流量、熱媒液Whの流量および外気温など(以下、これらのパラメータを総称して「使用環境」ともいう)に応じて変化する。したがって、本例の冷温同時温度調整装置1では、一例として、低温側冷凍回路2Cにおける低温側冷媒Rcの凝縮温度に基づいて冷却処理負荷を逐次特定すると共に、高温側冷凍回路2Hにおける高温側冷媒Rhの凝縮温度に基づいて加熱処理負荷を逐次特定する構成が採用されている。なお、制御部6による二元冷凍サイクル2(低温側冷凍回路2Cおよび高温側冷凍回路2H)や熱媒液循環路3の各構成要素の制御については、後に具体的な例を挙げて詳細に説明する。記憶部7は、制御部6の動作プログラムや、制御部6の演算結果などを記憶する。
なお、冷温同時温度調整装置1は、実際には、低温側冷凍回路2C内の低温側冷媒Rcの圧力や温度、高温側冷凍回路2H内の高温側冷媒Rhの圧力や温度、熱媒液循環路3内の熱媒液W3の温度、外気温、熱媒液Wcの温度、および熱媒液Whの温度などを検出する各種センサが配設されているが、冷温同時温度調整装置1の構成に関する理解を容易とするために、これらのセンサについての図示や詳細な説明を省略する。
この冷温同時温度調整装置1による熱媒液Wcの冷却処理および熱媒液Whの加熱処理に際して、制御部6は、図2に示すように、まず、熱媒液循環路3のポンプ31を制御して熱媒液W3の圧送を開始させ、かつ送風機32aを制御して送風を開始させると共に、低温側冷凍回路2Cおよび高温側冷凍回路2Hの動作を開始させる。なお、同図および後に参照する図3~5では、低温側冷凍回路2Cにおいて低温側冷媒Rcの通過が許容されている流路を実線で図示し、かつ低温側冷媒Rcの通過が規制されている流路を破線で図示すると共に、熱媒液循環路3において熱媒液W3の通過が許容されている流路を実線で図示し、かつ熱媒液W3の通過が規制されている流路を破線で図示している。
具体的には、制御部6は、ポンプ31による熱媒液W3の圧送、および送風機32aによる送風を開始させると共に、熱媒液W3が前述の「第2流路」を通過し、かつ「第1流路」および「第3流路」を通過しないように三方弁34a,34bを制御する。また、制御部6は、開閉弁17aを開口状態に制御し、かつ開閉弁17bを閉塞状態に制御すると共に、流量調整弁15を最小の開度(閉塞状態)に制御し、かつ流量調整弁13を「膨張弁」として機能させるのに必要な開度に制御することにより、圧縮機11によって圧縮(圧送)される低温側冷媒Rcが、カスケードコンデンサ12、開閉弁17a、流量調整弁13および蒸発器14を経て圧縮機11に吸引される冷媒流路を形成する。
この際には、圧縮機11から吐出された高温の低温側冷媒Rcがカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhに放熱して温度低下させられることで凝縮させられると共に高温側冷媒Rhを蒸発(温度上昇)させる。また、凝縮させられた低温側冷媒Rcが流量調整弁13を通過後に蒸発器14内において熱媒液Wcから吸熱して温度上昇させられることで蒸発すると共に熱媒液Wcを冷却する。
また、カスケードコンデンサ12における吸熱によって温度上昇して蒸発させられ、圧縮機21における圧縮によってさらに温度上昇させられた高温の高温側冷媒Rhが凝縮器22において熱媒液Whに放熱して凝縮させられると共に熱媒液Whを加熱する。さらに、凝縮させられた高温側冷媒Rhは、流量調整弁23の通過後に、上記のようにカスケードコンデンサ12において低温側冷媒Rcから吸熱して蒸発させられる。これにより、低温側冷凍回路2Cによって冷却された低温の熱媒液Wcが冷却対象XCに供給されると共に、高温側冷凍回路2Hによって加熱された高温の熱媒液Whが加熱対象XHに供給される。
なお、圧縮機11の回転数(低温側冷媒Rcの圧送量)や「膨張弁(この時点では、流量調整弁13)」の開度などを冷却設定温度および熱媒液Wcの温度に応じて変化させる制御、並びに圧縮機21の回転数(高温側冷媒Rhの圧送量)や流量調整弁23の開度などを加熱設定温度および熱媒液Whの温度に応じて変化させる制御については、多元冷凍サイクルを有する冷温同時温度調整装置において一般的に行われる制御と同様のため、これらの制御に関する詳細な説明を省略する。
この場合、本例の冷温同時温度調整装置1では、前述したように、制御部6が、主として冷却処理負荷および加熱処理負荷の大小関係に基づいて二元冷凍サイクル2や熱媒液循環路3の各部の動作を制御する。具体的には、制御部6は、冷温同時温度調整装置1の動作を開始したときから、低温側冷媒Rcや高温側冷媒Rhの凝縮温度を特定し、特定した温度に基づいて冷却処理負荷および加熱処理負荷をそれぞれ特定する。この際に、特定される冷却処理負荷および加熱処理負荷の両負荷が、予め規定された許容相違範囲内でバランスするような使用環境であるときに、制御部6は、熱媒液W3や低温側冷媒Rcの流路を始動時の状態(図2に示す状態)のまま維持する(通常モードでの動作)。なお、このような使用環境で長時間に亘って動作を継続したとき(後述の吸熱モードや放熱モードでの動作に直ちに移行しない可能性が高いとき)には、熱媒液循環路3のポンプ31や送風機32aを停止させてもよい。
一方、冷却設定温度と冷却処理前の熱媒液Wcの温度差が小さい使用環境下や、加熱設定温度と加熱処理前の熱媒液Whとの温度差が大きいような使用環境下では、特定される冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも小さくなる(「第1条件」が満たされたときの一例)。このような使用環境下において、制御部6は、外気の温度と冷却設定温度との関係に応じて、第1吸熱モードおよび第2吸熱モードのいずれかで冷温同時温度調整装置1を動作させる。
具体的には、冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも小さいときに、制御部6は、図3,4に示すように、まず、ポンプ31および送風機32aが停止しているときには、これらの動作を開始させると共に、熱媒液W3が前述の「第1流路」および「第2流路」の双方を通過し、かつ「第3流路」を通過しないように三方弁34a,34bを制御する(「第2調整部に第3流路を閉鎖させ」との制御の一例)。また、制御部6は、一例として、熱交換器32を通過した直後の熱媒液W3の温度が外気の温度と同程度となるように送風機32aを制御して熱交換器32に対する外気の送風量を調整させる。これにより、外気温と同程度の温度の熱媒液W3がポンプ31によって圧送された状態となる。
また、外気の温度が冷却設定温度以下の予め規定された第1温度以下(一例として、「第1温度」=「冷却設定温度」)のときに(「第2条件」が満たされたときの一例)、制御部6は、二元冷凍サイクル2および熱媒液循環路3を制御して第1吸熱モードで動作させる(「第1制御態様」の一例)。具体的には、制御部6は、図3に示すように、開閉弁17aを閉塞状態に制御し、かつ開閉弁17bを開口状態に制御すると共に、流量調整弁13を最小の開度(閉塞状態)に制御し、かつ流量調整弁15を低温側冷凍回路2Cの「膨張弁」として機能させるのに必要な開度に制御する。
これにより、低温側冷凍回路2Cにおいて、圧縮機11によって圧縮(圧送)される低温側冷媒Rcが、カスケードコンデンサ12、流量調整弁15、熱交換器16および開閉弁17bを経て圧縮機11に吸引される(蒸発器14を通過することなく熱交換器16を通過する)冷媒流路が形成される(「低温側冷媒が第2熱交換器を通過する通過量よりも低温側冷媒が第6熱交換器を通過する通過量の方が多くなるように第1調整部に調整させる」との制御の一例)。また、制御部6は、熱交換器33の通過後の熱媒液W3の温度に応じて三方弁34a,34bを制御して熱媒液W3の「第1流路」の流量および「第2流路」の流量を調整させる。これにより、冷温同時温度調整装置1が第1吸熱モードで動作した状態となる。
この第1吸熱モードにおいて、熱媒液循環路3では、熱交換器32における外気との熱交換によって外気の温度と同程度の温度となった熱媒液W3がポンプ31によって圧送され、その一部が熱交換器33を通過させられる際に、冷却対象XCの冷却によって温度上昇させられた熱媒液Wcと熱交換させられる。これにより、熱媒液Wcが冷却設定温度まで冷却されると共に、熱媒液W3が外気の温度よりも高い温度(冷却対象XCの冷却処理後の熱媒液Wcの温度と同程度の温度)まで上昇させられる。
また、低温側冷凍回路2Cでは、圧縮機11から吐出された高温の低温側冷媒Rcがカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhに放熱して凝縮させられると共に高温側冷媒Rhを蒸発(温度上昇)させ、凝縮させられた低温側冷媒Rcが流量調整弁15を通過後に熱交換器16内において熱媒液W3から吸熱して温度上昇させられる。また、高温側冷凍回路2Hでは、カスケードコンデンサ12において蒸発させられて圧縮機21における圧縮によってさらに温度上昇させられた高温の高温側冷媒Rhが凝縮器22において熱媒液Whに放熱して凝縮させられると共に熱媒液Whを加熱する。
つまり、冷却処理負荷が小さく、かつ外気の温度がある程度低い使用環境下において移行させられる第1吸熱モードでは、冷却対象XCの冷却によって温度上昇した熱媒液Wcの熱が熱媒液W3を介して低温側冷媒Rcに吸熱され、この熱がカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhに吸熱される。これにより、低温側冷凍回路2Cを過冷却が生じる動作状態で動作させることなく、カスケードコンデンサ12において十分な量の高温側冷媒Rhを蒸発させることができるため、熱媒液Wcを冷却設定温度に冷却しつつ(過冷却することなく)、熱媒液Whを加熱設定温度まで十分に加熱することが可能となっている。
この場合、本例の冷温同時温度調整装置1では、熱媒液Whと熱媒液W3との間の熱交換が可能な熱交換器24が高温側冷凍回路2Hに配設されており、高温側冷凍回路2Hの動作中には、圧縮機21によって圧縮(圧送)される高温側冷媒Rhが、凝縮器22を通過させられた後に熱交換器24を通過させられて、流量調整弁23およびカスケードコンデンサ12を経て圧縮機21に吸引される状態が維持される。しかしながら、第1吸熱モードや第2吸熱モードに移行させられている状態においては、前述したように熱媒液W3が「第3流路」を通過しないように三方弁34a,34bが制御されており、熱交換器24に熱媒液W3が供給されない状態となるため、熱交換器24において熱媒液Whが熱媒液W3との熱交換によって大きく温度変化することはない。
なお、上記の第1吸熱モードでの動作時に外気の温度が冷却設定温度よりも十分に低いときには、三方弁34a,34bによって熱交換器33を通過させる熱媒液W3の通過量を減少させることで熱媒液Wcの過冷却を阻止する。また、外気の温度が冷却設定温度に近い温度のときには、三方弁34a,34bによって熱交換器33を通過させる熱媒液W3の通過量を増加させることで、熱媒液Wcを外気の温度(冷却設定温度)まで十分に冷却させる。これにより、冷却設定温度まで冷却された低温の熱媒液Wcが冷却対象XCに供給されると共に、加熱設定温度まで加熱された高温の熱媒液Whが加熱対象XHに供給される。この場合、この第1吸熱モードで動作させる際の判別条件の1つである前述の「第1温度」については、冷却設定温度と同じ温度から、冷却設定温度よりも10℃程度低い温度までの範囲内の温度(一例として、冷却設定温度よりも5℃程度低い温度)に規定することで、熱媒液Wcの過冷却や、熱媒液Whの加熱不足を好適に回避することができる。
また、特定される冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも小さく、かつ外気の温度が、冷却設定温度よりも高い予め規定された第2温度以上のときに(「第3条件」が満たされたときの一例)、制御部6は、二元冷凍サイクル2および熱媒液循環路3を制御して第2吸熱モードで動作させる(「第2制御態様」の一例)。具体的には、制御部6は、図4に示すように、開閉弁17aを開口状態に制御し、かつ開閉弁17bを閉塞状態に制御すると共に、流量調整弁15を最小の開度(閉塞状態)に制御し、かつ流量調整弁13を低温側冷凍回路2Cの「膨張弁」として機能させるのに必要な開度に制御する。
これにより、低温側冷凍回路2Cにおいて、圧縮機11によって圧縮(圧送)される低温側冷媒Rcが、カスケードコンデンサ12、開閉弁17a、流量調整弁13および蒸発器14を経て圧縮機11に吸引される(熱交換器16を通過することなく蒸発器14を通過する)冷媒流路が形成される(「低温側冷媒が第6熱交換器を通過する通過量よりも低温側冷媒が第2熱交換器を通過する通過量の方が多くなるように第1調整部に調整させる」との制御の一例)。また、制御部6は、熱交換器33の通過後の熱媒液W3の温度に応じて三方弁34a,34bを制御して熱媒液W3の「第1流路」の流量および「第2流路」の流量を調整させる。これにより、冷温同時温度調整装置1が第2吸熱モードで動作した状態となる。
この第2吸熱モードにおいて、熱媒液循環路3では、熱交換器32における外気との熱交換によって外気の温度と同程度の温度(冷却設定温度よりも高い温度)となった熱媒液W3がポンプ31によって圧送され、その一部が熱交換器33を通過させられる際に、冷却対象XCの冷却によって温度上昇させられた熱媒液Wcと熱交換させられる。これにより、冷却対象XCの冷却、および熱媒液W3との熱交換によって熱媒液Wcが十分に温度上昇させられると共に、熱媒液W3がある程度温度低下させられる。この熱媒液W3は、熱交換器32を通過させられる際に外気と熱交換させられることで外気の温度と同程度の温度まで再び加熱される。
また、低温側冷凍回路2Cでは、圧縮機11から吐出された高温の低温側冷媒Rcがカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhに放熱して凝縮させられると共に高温側冷媒Rhを蒸発(温度上昇)させ、凝縮させられた低温側冷媒Rcが流量調整弁13を通過後に蒸発器14内において熱媒液Wcから吸熱して温度上昇させられる。この際に、熱交換器33において熱媒液W3の熱を吸熱した熱媒液Wcが、蒸発器14内における低温側冷媒Rcとの熱交換によって冷却設定温度まで冷却される。また、高温側冷凍回路2Hでは、カスケードコンデンサ12において蒸発させられて圧縮機21における圧縮によってさらに温度上昇させられた高温の高温側冷媒Rhが凝縮器22において熱媒液Whに放熱して凝縮させられると共に熱媒液Whを加熱する。
つまり、冷却処理負荷が小さく、かつ外気の温度がある程度高い使用環境下において移行させられる第2吸熱モードでは、低温側冷凍回路2C(蒸発器14)による冷却に先立ち、熱交換器32において外気から熱媒液W3に吸熱した熱を熱交換器33において熱媒液W3から熱媒液Wcに吸熱させることにより、蒸発器14において熱媒液Wcの熱を低温側冷媒Rcに十分に吸熱させても熱媒液Wcの過冷却を招くことなく冷却設定温度に冷却することが可能となっている。また、蒸発器14において吸熱した熱の分だけ、カスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhを十分に蒸発させることができる結果、凝縮器22において熱媒液Whを加熱設定温度まで十分に加熱することが可能となっている。
なお、上記の第2吸熱モードでの動作時に外気の温度が冷却設定温度よりも十分に高いときには、三方弁34a,34bによって熱交換器33を通過させる熱媒液W3の通過量を減少させることで低温側冷凍回路2Cに対する放熱量(熱媒液W3から低温側冷媒Rcへの吸熱量)が過剰に多くなる(低温側冷媒Rcが過剰に温度上昇する)のを回避する。また、外気の温度が冷却設定温度に近い温度のときには、三方弁34a,34bによって熱交換器33を通過させる熱媒液W3の通過量を増加させることで、蒸発器14において低温側冷媒Rcを十分に蒸発させ得る高温の熱媒液Wcを蒸発器14に供給させる。これにより、冷却設定温度まで冷却された低温の熱媒液Wcが冷却対象XCに供給されると共に、加熱設定温度まで加熱された高温の熱媒液Whが加熱対象XHに供給される。この場合、この第2吸熱モードで動作させる際の判別条件の1つである前述の「第2温度」については、一例として、冷却設定温度を超える温度であって、冷却設定温度よりも10℃程度高い温度を上限とする範囲内の温度(一例として、冷却設定温度よりも5℃程度高い温度)に規定することで、熱媒液Wcの過冷却や、熱媒液Whの加熱不足を好適に回避することができる。
一方、冷却設定温度と冷却処理前の熱媒液Wcの温度差が大きい使用環境や、加熱設定温度と加熱処理前の熱媒液Whとの温度差が小さいような使用環境下では、特定される冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも大きくなる(「第4条件」が満たされたときの一例)。このような使用環境下で、かつ外気の温度がある程度低いときに、制御部6は、放熱モードで冷温同時温度調整装置1を動作させる。
具体的には、冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも大きいときに、制御部6は、図5に示すように、まず、ポンプ31および送風機32aが停止しているときには、これらの動作を開始させると共に、熱媒液W3が前述の「第1流路」および「第2流路」の双方を通過せずに「第3流路」を通過するように(熱媒液W3が「第3流路」だけを通過するように)三方弁34a,34bを制御する(「第2調整部に第1流路および第2流路を閉鎖させ、かつ第3熱交換流体の第7熱交換器への流入を許容させる」との制御の一例)。これにより、熱媒液W3が高温側冷凍回路2Hの熱交換器24を通過させられる状態となる。また、制御部6は、一例として、熱交換器32を通過した直後の熱媒液W3の温度が外気の温度と同程度となるように送風機32aを制御して熱交換器32に対する外気の送風量を調整させる。これにより、外気温と同程度の温度の熱媒液W3がポンプ31によって圧送される状態となる。
また、冷却処理負荷が大きく、かつ外気の温度が、外気と熱交換する熱媒液W3の温度(熱交換器32の入口における熱媒液W3の温度)よりも低い予め規定された温度(以下、「第3温度」ともいう)以下のときに、制御部6は、開閉弁17aを開口状態に制御し、かつ開閉弁17bを閉塞状態に制御すると共に、流量調整弁15を最小の開度(閉塞状態)に制御し、かつ流量調整弁13を低温側冷凍回路2Cの「膨張弁」として機能させるのに必要な開度に制御する。これにより、低温側冷凍回路2Cにおいて、圧縮機11によって圧縮(圧送)される低温側冷媒Rcが、カスケードコンデンサ12、開閉弁17a、流量調整弁13および蒸発器14を経て圧縮機11に吸引される冷媒流路が形成される。また、高温側冷凍回路2Hでは、前述したように、圧縮機21によって圧縮(圧送)される高温側冷媒Rhが、凝縮器22、熱交換器24、流量調整弁23およびカスケードコンデンサ12を経て圧縮機21に吸引される状態となっている。これにより、冷温同時温度調整装置1が放熱モードで動作した状態となる(「第3制御態様」の一例)。
この放熱モードにおいて、熱媒液循環路3では、熱交換器32における外気との熱交換によって外気の温度と同程度の温度となった熱媒液W3がポンプ31によって圧送されて熱交換器33や熱交換器16を通過させられることなく、熱交換器24だけを通過させられる。また、高温側冷凍回路2Hでは、圧縮機21から吐出された高温の高温側冷媒Rhが凝縮器22において熱媒液Whに放熱して凝縮させられると共に熱媒液Whを加熱する。これにより、高温側冷媒Rhとの熱交換によって加熱設定温度まで加熱された熱媒液Whが加熱対象XHに供給される。
さらに、凝縮器22において凝縮させられた高温側冷媒Rh、および凝縮器22において凝縮し切れなかった気化状態の高温側冷媒Rhが熱交換器24を通過させられる際に、外気の温度と同程度の温度の熱媒液W3に放熱して十分に凝縮させられる。これにより、カスケードコンデンサ12に対して十分な量の高温側冷媒Rhが供給される状態となる。また、高温側冷媒Rhとの熱交換によって温度上昇した熱媒液W3は、熱交換器32において外気と熱交換(外気に放熱)して外気と同程度の温度まで冷却された後にポンプ31によって再び圧送される。さらに、カスケードコンデンサ12に供給された高温側冷媒Rhは、低温側冷媒Rcとの熱交換によって温度上昇させられて蒸発させられ、圧縮機21に吸引される。
また、低温側冷凍回路2Cでは、圧縮機11から吐出された高温の低温側冷媒Rcがカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhに放熱して凝縮させられると共に高温側冷媒Rhを蒸発(温度上昇)させられる。この際には、上記のように高温側冷凍回路2Hにおいて十分な量の高温側冷媒Rhがカスケードコンデンサ12に供給された状態となっている。したがって、冷却処理負荷が大きいことで蒸発器14に対して大量の低温側冷媒Rcを供給する必要がある本例の使用環境下において、必要とされる低温側冷媒Rcをカスケードコンデンサ12において十分に凝縮させることが可能となっている。
また、カスケードコンデンサ12において凝縮させられた低温側冷媒Rcは、流量調整弁13を経て蒸発器14を通過させられる際に、熱媒液Wcとの熱交換によって温度上昇させられて蒸発させられ、再び圧縮機11によって圧縮される。これにより、低温側冷媒Rcとの熱交換によって冷却設定温度まで冷却された熱媒液Wcが冷却対象XCに供給される。
つまり、冷却処理負荷が大きく、かつ外気の温度がある程度低い使用環境下において移行させられる放熱モードでは、高温側冷凍回路2Hにおいて凝縮器22を介して熱媒液Whに放熱することのできない熱(熱媒液Whの過加熱を招くおそれのある放熱)が、熱交換器24において熱媒液W3に放熱され、この熱が熱交換器32を介して外気に放熱される。これにより、高温側冷凍回路2Hにおける熱媒液Whの過加熱を招くことなく、低温側冷凍回路2Cにおいて熱媒液Wcを冷却設定温度まで冷却するのに必要な十分な量の低温側冷媒Rcを蒸発器14に供給させることが可能となっている。
なお、この放熱モードで動作させる際の判別条件の1つである前述の「第3温度」については、外気と熱交換させられる熱媒液W3の温度を下回る温度であって、熱媒液W3の温度よりも10℃程度低い温度を下限とする範囲内の温度(一例として、熱交換器32の入口における熱媒液W3の温度よりも5℃程度低い温度)に規定することで、熱交換器24において高温側冷媒Rhの熱を十分に放熱することができる。
このように、この冷温同時温度調整装置1では、制御部6が、冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも小さいとの「第1条件」が満たされ、かつ外気の温度が、冷却設定温度以下の予め規定された「第1温度」以下との「第2条件」が満たされたときに、「第2調整部」に「第3流路」を閉鎖させ、かつ冷却設定温度に応じて熱媒液W3の「第1流路」の流量、および熱媒液W3の「第2流路」の流量を「第2調整部」に調整させつつ、低温側冷媒Rcが蒸発器14を通過する通過量よりも低温側冷媒Rcが熱交換器16を通過する通過量の方が多くなるように「第1調整部」に調整させる「第1制御態様」と、「第1条件」が満たされ、かつ外気の温度が、冷却設定温度よりも高い予め規定された「第2温度」以上との「第3条件」が満たされたときに、「第2調整部」に「第3流路」を閉鎖させ、かつ冷却設定温度に応じて熱媒液W3の「第1流路」の流量、および熱媒液W3の「第2流路」の流量を「第2調整部」に調整させつつ、低温側冷媒Rcが熱交換器16を通過する通過量よりも低温側冷媒Rcが蒸発器14を通過する通過量の方が多くなるように「第1調整部」に調整させる「第2制御態様」と、冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも大きいとの「第4条件」が満たされたときに、「第2調整部」に「第1流路」および「第2流路」を閉鎖させ、かつ熱媒液W3の熱交換器24への流入を許容させる「第3制御態様」とで冷温同時温度調整装置1を制御する。
したがって、この冷温同時温度調整装置1によれば、冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも小さく、熱媒液Wcの過冷却や熱媒液Whの加熱不足を招くおそれのある使用環境下において、外気の温度が冷却設定温度以下のとき(「第2条件」が満たされる状態のとき)には、「第1制御態様」で冷温同時温度調整装置1が制御されて、外気との熱交換によって温度低下した熱媒液W3によって熱媒液Wcを冷却設定温度まで冷却しつつ、熱媒液Wcの冷却によって温度上昇した熱媒液W3熱を熱交換器16において低温側冷媒Rcに吸熱させて、この熱と、圧縮機11における圧縮によって生じた熱とをカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhに吸熱させることで凝縮器22において熱媒液Whを加熱設定温度まで十分に加熱することができる。また、冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも小さく、熱媒液Wcの過冷却や熱媒液Whの加熱不足を招くおそれのある使用環境下において、外気の温度が冷却設定温度よりも高いとき(「第3条件」が満たされる状態のとき)には、「第2制御態様」で冷温同時温度調整装置1が制御されて、蒸発器14による冷却に先立ち、熱交換器32において外気から熱媒液W3に吸熱した熱を熱交換器33において熱媒液W3から熱媒液Wcに吸熱させることにより、蒸発器14において熱媒液Wcの熱を低温側冷媒Rcに十分に吸熱させても熱媒液Wcの過冷却を招くことなく熱媒液Wcを冷却設定温度まで冷却することができ、蒸発器14において低温側冷媒Rcに吸熱した熱と、圧縮機11における圧縮によって生じた熱とをカスケードコンデンサ12において高温側冷媒Rhに吸熱させることで凝縮器22において熱媒液Whを加熱設定温度まで十分に加熱することができる。さらに、冷却処理負荷が加熱処理負荷よりも大きく、熱媒液Whの過加熱や熱媒液Wcの冷却不足を招くおそれのある使用環境下においては、「第3制御態様」で冷温同時温度調整装置1が制御されて、高温側冷凍回路2Hにおいて凝縮器22を介して熱媒液Whに放熱することのできない熱が、熱交換器24を介して熱媒液W3に放熱されて熱交換器32において熱媒液W3から外気に放熱されるため、高温側冷凍回路2Hにおける熱媒液Whの過加熱を招くことなく、熱媒液Wcを冷却設定温度まで冷却するのに必要な十分な量の低温側冷媒Rcを蒸発器14に供給させて熱媒液Wcを冷却設定温度まで十分に冷却することができる。
また、この冷温同時温度調整装置1によれば、制御部6が、熱交換器32に対して外気(周囲の空気)を送風する送風機32aを制御して送風量を変更することで熱交換器32における熱媒液W3と外気(空気)との熱交換量を調整することにより、例えば、ポンプ31による熱媒液W3の圧送量を変化させることで熱交換器16や熱交換器33における熱交換量を変化させる構成と比較して、低温側冷媒Rcや熱媒液Wcと熱交換させる熱媒液W3の温度を比較的容易に所望の温度に調整することができるため、熱交換器16や熱交換器33における熱交換量を確実かつ容易に所望の熱交換量に制御することができる。
なお、「冷温同時温度調整装置」の構成は、上記の冷温同時温度調整装置1の構成の例に限定されない。例えば、冷媒の凝縮温度に基づいて冷却処理負荷や加熱処理負荷を特定する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、冷媒の凝縮圧力、冷凍回路内の任意の部位における冷媒温度、冷凍回路内の任意の部位における冷媒圧力、冷凍回路内の任意の2点における冷媒温度差、冷凍回路内の任意の2点における冷媒圧力差、冷媒圧縮機における電動機の単位時間当りの消費電力量、および冷媒圧縮機の任意の部位の温度などの各種のパラメータに基づいて特定する構成を採用することができる。また、蒸発器14の入口および出口における熱媒液Wcの温度差と蒸発器14を通過する熱媒液Wcの単位時間当りの流量とに基づいて冷却処理負荷を特定する構成や、凝縮器22の入口および出口における熱媒液Whの温度差と凝縮器22を通過する熱媒液Whの単位時間当りの流量とに基づいて加熱処理負荷を特定する構成を採用することもできる。
また、「第1制御態様」において低温側冷媒Rcが蒸発器14(第2熱交換器)を通過することなく熱交換器16(第6熱交換器)を通過させられる構成を例に挙げて説明したが、「低温側冷媒が第2熱交換器を通過する通過量よりも第6熱交換器を通過する通過量の方が多い」との条件を満たす範囲内において「低温側冷媒」が「第2熱交換器」および「第6熱交換器」の双方を通過させられる構成を採用することもできる。同様にして、「第2制御態様」において低温側冷媒Rcが熱交換器16を通過することなく蒸発器14を通過させられる構成を例に挙げて説明したが、「低温側冷媒が第6熱交換器を通過する通過量よりも第2熱交換器を通過する通過量の方が多い」との条件を満たす範囲内において「低温側冷媒」が「第2熱交換器」および「第6熱交換器」の双方を通過させられる構成を採用することもできる。
さらに、開閉弁17a,17bの開閉、および流量調整弁13,15の開度の変更によって低温側冷媒Rcが蒸発器14を通過する量、および低温側冷媒Rcが熱交換器16を通過する量を調整する構成を例に挙げて説明したが、「第1調整部」の構成はこれに限定されない。例えば、「第2熱交換器を通過させられる低温側冷媒の流路」、および「第6熱交換器を通過させられる低温側冷媒の流路」に「流量調整弁」をそれぞれ配設して「第1調整部」を構成し、各「流量調整弁」の開度の変更によって「低温側冷媒」の通過量を調整する構成を採用することもできる。また、三方弁34a,34bによって熱媒液W3の「第1流路」の流量、「第2流路」の流量、および「第3流路」の流量を変化させる構成を例に挙げて説明したが、「第2調整部」の構成はこれに限定されない。例えば、「第1流路」、「第2流路」および「第3流路」に「流量調整弁」をそれぞれ配設して「第2調整部」を構成し、各「流量調整弁」の開度の変更によって「第1流路」の流量、「第2流路」の流量、および「第3流路」の流量を調整する構成を採用することもできる。
また、圧送量固定型の液送ポンプで構成されたポンプ31を備えた例について説明したが、圧送量可変型の液送ポンプによって熱媒液W3を圧送させる構成を採用することもできる。さらに、「第1熱交換流体」、「第2熱交換流体」および「第3熱交換流体」として、熱媒液Wc,Wh,W3などの「液体」を使用する構成を例に挙げて説明したが、「第1熱交換流体」、「第2熱交換流体」および「第3熱交換流体」のいずれか、またはすべてについて、不活性ガスや空気などの「気体」を使用する構成を採用することもできる。
また、「第3制御態様」での制御(放熱モードでの動作)だけでなく、「第1制御態様」での制御(第1吸熱モードでの動作)、および「第2制御態様」での制御(第2吸熱モードでの動作)が可能な冷温同時温度調整装置1の構成を例に挙げて説明したが、「第1制御態様」および/または「第2制御態様」での制御を行わない(第1吸熱モードや第2吸熱モードで動作させない)構成を採用することもできる。さらに、「外部熱源」として外気(冷温同時温度調整装置1の周囲の空気)を利用する構成の冷温同時温度調整装置1を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、水道水、河川の水、井戸水および貯水した水などの各種の液体(水)や、雪および氷などを「外部熱源」として利用する構成を採用することもできる。また、「冷温同時温度調整装置」の設置場所の床、壁および天井や、動作時に発熱する機械設備などを「外部熱源」として利用する構成を採用することもできる。
加えて、低温側冷凍回路2Cおよび高温側冷凍回路2Hを有する二元冷凍サイクル2を備えて構成した例について説明したが、「二元冷凍サイクル」に代えて「三元冷凍サイクル」や「四元冷凍サイクル」などの「多元冷凍サイクル」を備えて「冷温同時温度調整装置」を構成することもできる。この場合、例えば、「低温冷凍回路(低段冷凍回路)」、「中温冷凍回路(中段冷凍回路)」および「高温冷凍回路(高段冷凍回路)」の3つの冷凍回路を備えた「三元冷凍サイクル」では、「低温冷凍回路」を「低温側冷凍回路」としたときには「中温冷凍回路」が「高温側冷凍回路」に相当し、「中温冷凍回路」を「低温側冷凍回路」としたときには「高温冷凍回路」が「高温側冷凍回路」に相当する。