上述したようなシステムトイレにおいては、ペットがトイレ砂を掻くことによって、トイレ砂がシステムトイレの外部に飛び散ってしまうことがある。トイレ砂が飛び散ることを防止するために、***容器の上方を完全に覆うフルカバータイプの上容器を利用することが考えられる。しかしながら、フルカバータイプの上容器を好まないペットが一定数存在する。例えば猫の場合、5割程度がフルカバータイプの上容器を好まない。そのため、ペットの飼い主からは、***容器の上方が覆われていないハーフタイプの上容器でありながらトイレ砂が飛び散りにくい上容器が求められいた。
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、ペットによる砂掻きによってトイレ砂が外部に飛び散ることを効果的に抑制することができるペット用システムトイレに関する。
本発明の一態様に係るペット用システムトイレは、トイレ砂を収容すると共に、液透過性の底面部を有する***容器と、***容器の下方に配置され、底面部を透過した液体を吸収する吸収シートを収容するトレイと、トレイを保持する下容器と、***容器の上方に配置され、ペットが出入りする開口部が形成されると共に上方が開放された上容器と、を備え、上容器は、開口部の幅方向両側において互いに対向するように設けられ上容器の奥行き方向である前後方向に延びる一対の側壁部と、前後方向において開口部に対向する後壁部と、を有し、側壁部における最も高さが高い側壁最高部の高さが、後壁部における最も高さが高い後壁最高部の高さよりも高い。
本発明の一態様に係るペット用システムトイレでは、上方が開放されたいわゆるハーフタイプの上容器において、一対の側壁部における最も高さが高い側壁最高部の高さが、後壁部における最も高さが高い後壁最高部の高さよりも高くされている。フルカバータイプの上容器を好まないペットの飼い主からは、ハーフタイプの上容器が好まれる。しかしながら、ハーフタイプの上容器では、フルカバータイプの上容器と比べて、ペットがトイレ砂を掻いた際等においてトイレの外部にトイレ砂が飛び散ってしまうおそれがあった。この点、本発明の一態様に係るペット用システムトイレでは、側壁最高部の高さが高く、具体的には後壁最高部の高さよりも高くされているため、ペットが***後等においてトイレ砂を掻いても、側壁最高部によってトイレ砂を跳ね返し、トイレ砂がトイレの外部に飛び散ることを効果的に抑制することができる。また、本発明の一態様に係るペット用システムトイレでは、入口の開口部からトイレ内に進入したペットが、後壁部に向かい合い、側壁最高部よりも低い後壁最高部を有する後壁部に体を向けた状態で***することとなる。この場合、ペットが閉塞感によるストレスを感じにくいため、ストレスによってペットが過度に砂掻きをすることが抑制されると考えられており、トイレ砂が外部に飛び散ることが効果的に抑制される。以上のように、本発明の一態様に係るペット用システムトイレによれば、ペットによる砂掻きによってトイレ砂が外部に飛び散ることを効果的に抑制することができる。また、側壁最高部が形成されて側壁部が十分な高さを有していることにより、例えば清掃時等において上容器を下容器から取り外し、飼い主が上容器を上下逆さまにして持つ際においては、上容器を落とすことや上容器から尿やトイレ砂のカスをこぼすことなく、上容器を安定的に持つことができる。
上容器を前後方向に三等分した各領域について、前側から順に、入口側領域、中間領域、奥側領域とすると、側壁最高部は、奥側領域の最奥部分を除いた側壁部の領域に形成されていてもよい。側壁最高部が奥側領域の最奥部分に形成された場合には、後壁部に体を向けた状態で***するペットに閉塞感によるストレスを感じさせてしまう場合がある。この点、側壁最高部が最奥部分を除いた領域に形成されることにより、ペットがストレスを感じて過度な砂掻きが行われることをより効果的に抑制することができる。また、側壁最高部が最奥部分を除いた領域に形成されることにより、側壁最高部を上容器の重心位置付近に配し易くなるので、飼い主が上容器を上下逆さまにして持つ際において、より安定的に上容器を持つことができる。
側壁最高部は、中間領域の側壁部に形成されていてもよい。側壁最高部が中間領域に形成されることにより、ペットが後壁部に体を向けた状態で***する場合、及び、ペットが入口側に体を向けた状態で***する場合のいずれの場合においても、ペットの目線が、高さの高い部分によって遮断されてしまうことを効果的に抑制することができる。これにより、ペットがストレスを感じて過度な砂掻きが行われることをより効果的に抑制することができる。また、例えば猫等のペットは前脚でトイレ砂を掻くのでトイレ砂の飛び散りは側壁部の中央部からが最も多いところ、中間領域の側壁部が側壁最高部とされていることにより、トイレ砂の飛び散りを効果的に抑制することができる。また、側壁最高部が中間領域に形成されることにより、側壁最高部を上容器の重心位置付近に配し易くなるので、飼い主が上容器を上下逆さまにして持つ際において、より安定的に上容器を持つことができる。
入口側領域の側壁部の高さ、及び、奥側領域の側壁部の高さは、中間領域の側壁部の高さよりも低くてもよい。このような構成によれば、ペットが後壁部に体を向けた状態で***する場合、及び、ペットが入口側に体を向けた状態で***する場合のいずれの場合においても、ペットの目線が、高さの高い部分によって遮断されてしまうことを効果的に抑制することができる。これにより、ペットがストレスを感じて過度な砂掻きが行われることをより効果的に抑制することができる。また、上容器の重心位置付近に高さが高い部分を配し易くなるので、飼い主が上容器を上下逆さまにして持つ際において、より安定的に上容器を持つことができる。
上容器は、側壁部の下端部に設けられ下容器の連結部に連結されるフックを更に有し、フックは、中間領域の側壁部の下端部に設けられていてもよい。このように、フックが側壁最高部と同ように中間領域に配置されることにより、上容器を下容器から外した後、最小距離で側壁最高部に手が届くこととなるので、飼い主による清掃等の作業を容易化することができる。
後壁部における最も高さが低い後壁最低部の高さは、側壁最高部の高さの90%以下であってもよい。このような構成によれば、側壁最高部と比較して後壁最低部を十分に低くすることができ、ペットに開放感を感じさせてペットのストレスを軽減することができる。
側壁部は、前後方向における80%以上の領域において、高さが側壁最高部の高さの60%以上であってもよい。このような構成によれば、側壁部において、側壁最高部と同程度に高さを有した領域を十分に設けることができ、ペットが***後等においてトイレ砂を掻いた際に、側壁部によって適切にトイレ砂を跳ね返すことができる。
後壁部を幅方向に三等分した中央部を後壁中央部、両端部を後壁端部とすると、後壁中央部の高さは、後壁端部の高さよりも低く、後壁中央部の一部の領域は、後壁部における最も高さが低い後壁最低部であってもよい。このような構成によれば、飼い主が上容器を上下逆さまにして前後方向の端部を持つ際において、他の領域よりも高さが低く指を掛けやすい後壁中央部を安定的に持つことができる。また、後壁部に体を向けて***を行うペットの視線を受けやすい後壁中央部の高さが低くされることにより、ペットのストレスを軽減することができる。
後壁最低部の上端部は、後壁部の各領域の上端部の中で、前後方向において最も後方に位置していてもよい。このような構成によれば、飼い主が上容器を上下逆さまにして前後方向の端部を持つ際において、高さが低く指を掛けやすい部分を安定的に持つことができる。また、高さが低い最奥にペットが自然と進みやすくなり、トイレ全体を用いながら、後壁部に体を向けて***を行うペットの視線を受けやすい部分の高さが低くされることにより、ペットのストレスを軽減することができる。
後壁部は、高さが高い領域ほど、前後方向における前側に傾斜していてもよい。このような構成によれば、高さが低い領域からペットの視線が抜けつつ、比較的高さが高い領域が前側に傾斜していることによって、当該高さが高い領域に***を行うペットが顔を乗せること等が可能になり、よりペットのストレスを軽減することができる。
上容器は、側壁部の上端部から下方且つ幅方向の内側に延びる側壁延出部を更に有し、側壁延出部は、少なくとも側壁最高部の上端部に設けられていてもよい。飼い主が上容器を上下逆さまにして持つ際においては、側壁部等の内側に付着した尿飛沫や粉塵が上容器の上端部から床に落ちてしまうことが考えられる。この点、側壁最高部の上端部に、下方且つ幅方向の内側に延びる側壁延出部が設けられていることにより、側壁部における側壁最高部付近の領域から床方向に向かって流れる尿飛沫等を側壁延出部で受けることが可能になり、尿飛沫等が床に落ちることを適切に抑制することができる。
上容器は、後壁部の上端部から下方且つ前後方向の前方に延びる後壁延出部を更に有し、側壁延出部は、側壁部の全領域に設けられており、後壁延出部は、後壁の全領域に設けられており、側壁延出部及び後壁延出部は、互いに連続的に設けられていてもよい。このような構成によれば、側壁部の全域及び後壁部の全域から床方向に向かって流れる尿飛沫等を側壁延出部又は後壁延出部で受けることが可能になり、尿飛沫等が床に落ちることを適切に抑制することができる。
上容器は、側壁延出部に設けられると共に側壁延出部と側壁部との間に延びる側壁堰き止め部と、後壁延出部に設けられると共に後壁延出部と後壁部との間に延びる後壁堰き止め部と、を更に有していてもよい。このような構成によれば、側壁堰き止め部及び後壁堰き止め部によって側壁延出部及び後壁延出部で受けた尿飛沫等を所定の領域に溜め込むことができ、尿飛沫等が床に落ちることをより適切に抑制することができる。
側壁堰き止め部及び後壁堰き止め部は、互いに連続的に設けられている側壁延出部及び後壁延出部において、所定の間隔で設けられていてもよい。このような構成によれば、複数の堰き止め部の配置を調整することにより、尿飛沫等を溜め込む領域を適切に設定し、尿飛沫等が床に落ちることをより適切に抑制することができる。
側壁部は、上端部から下方に向かって幅方向の外側に張り出す曲面で形成されていてもよい。このような構成によれば、手のひらに沿わせるようにフィット感を向上させて側壁部を把持し易くなり、上容器をより安定的に持つことができる。また、側壁部が曲面とされていることにより、飼い主が上容器を上下逆さまにして持つ際、側壁部の内側に付着した尿飛沫や粉塵は、曲面を伝って流れることとなるので、尿飛沫等が落ちるまでの時間及び距離を長くすることができ、尿飛沫等が床に落ちることを適切に抑制することができる。
側壁部は、下端部側に変曲部を有していてもよい。このように、指が位置する下端部側に変曲部が設けられることにより、変曲部に指を沿わせて、より安定的に上容器を持つことができる。
本発明の一態様に係るペット用システムトイレによれば、ペットによる砂掻きによってトイレ砂が外部に飛び散ることを効果的に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態に係るペット用システムトイレについて、図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等については現実のものとは異なっている場合がある。
図1は、本実施形態に係るペット用システムトイレ1の斜視図である。図2は、ペット用システムトイレ1の分解斜視図である。図3は、ペット用システムトイレ1の側面図である。図4は、ペット用システムトイレ1の背面図である。本実施形態に係るペット用システムトイレ1は、例えばペットである猫の***用のシステムトイレである。本実施形態に係るペット用システムトイレ1は、猫以外のペットの***用のシステムトイレであってもよい。
図1~図4に示されるように、ペット用システムトイレ1は、***容器2と、下容器3と、上容器4と、トレイ5と、を備えている。ペット用システムトイレ1では、上容器4の上方が開放されたいわゆるハーフタイプの上容器4が採用されている。
以下では、ペット用システムトイレ1の上下方向を「上下方向」、長手方向である奥行き方向を「前後方向」、上下方向及び前後方向に直交する方向を「幅方向」として説明する場合がある。「上下方向」において、下容器3から見た上容器4側の方向が「上」、上容器4から見た下容器3側の方向が「下」として説明する。また、「前後方向」において、上容器4の後壁部42から見た開口部40側の方向が「前」、開口部40から見た後壁部42側の方向が「後」として説明する。
***容器2は、トイレ砂(不図示)を収容する容器である。***容器2は、液透過性の底面部21と、壁面22とを有する。トイレ砂は、尿等の液体を吸収又は透過することができる粒状物である。トイレ砂は、例えば糞便を覆い液体を吸収できるベントナイトや撥水コートを行った木や紙、又は脱臭力を備えたゼオライト、シリカゲル、鉱物等を直径が数mm~数cm程度の略球状に成形したものであり、公知のものが使用されてもよい。なお、トイレ砂として固まる砂を用いた場合には、液透過性の底面部21が詰まるおそれがあるため、本ペット用システムトイレ1では固まる砂は採用されないことが好ましい。トイレ砂は、底面部21に配置される。
底面部21は、スノコ状に桟が形成され、桟と桟との間に規則的な隙間を備える板状部材である。底面部21は、平面視略長方形状に形成されている。壁面22は、底面部21の周縁から、上方に立ち上がるように形成された部分である。すなわち、壁面22は、底面部21における前後方向両端部と、幅方向両端部とから上方に立ち上がるように形成されている。なお、底面部21は、トイレ砂を収容することができれば、平面視における形状が長方形以外の形状であってもよい。ペットが***した***物は、トイレ砂を透過し、スノコ状の桟によって形成される底面部21の隙間を透過して、***容器2の下方に配置される下容器3(詳細には下容器3に保持されたトレイ5)に落ちる。***容器2は、例えばプラスチック等の樹脂によって形成されているが、これに限定されない。
トレイ5は、***容器2の下方に配置され、底面部21を透過した液体(***物)を吸収する吸収シート(不図示)を収容する。トレイ5には、前方側に使用者が手をかけて前方側へ引き出すことができるトレイ取手部51が形成されている。トレイ取手部51は、図2に示されるようにトレイ5の前方側だけでなく後方側にも形成されていてもよい。この場合、トレイ5は前後対称の形状とされる。このように、トレイ5が前後対称の形状とされて前方側にも後方側にもトレイ取手部51が形成されていることにより、例えばトレイ5の前後を入れ替えてもトレイ取手部51を介したトレイ5の引出しが可能になる。吸収シートにおける液体を吸収する領域はある程度決まってくるところ、トレイ5の前後を入れ替えることによって、吸収シートの向きを変更して、既に液体を吸収した領域とは異なる領域において液体を吸収させることが可能になる。このように、トレイ5の前後を入れ替えることによって、1つの吸収シートを最大限有効活用することができる。トレイ5は、下容器3の内側に収容され揺動可能となるように、下容器3よりも一回り小さい寸法に形成されている。トレイ5は、本実施形態においては水平方向に引き出されるが、これに限定されず、例えば斜め上に引き出されてもよい。
下容器3は、トレイ5を保持する容器である。下容器3は、下容器3の内部において、揺動可能に引き出すことができるようにトレイ5を収容している。下容器3は、図2に示されるように、底面部31と、壁面32,33,34,35と、を含んで構成されている。底面部31は、ペット用システムトイレ1を設置する設置面と対向する部分である。底面部31は、平面視長方形状に形成されている。底面部31の中央部分は、開口とされていてもよい。
壁面32は、底面部31における前端部から上方に立ち上がるように形成された部分である。壁面32には、トレイ5を引き出すための開口320が形成されている。壁面33は、底面部31における後端部から上方に立ち上がるように形成された部分である。壁面34,35は、底面部31における幅方向両端部から上方に立ち上がるように形成された部分である。壁面32,33,34,35は、連続して形成されており、壁面32,33,34,35によって底面部31の全周が囲われている。壁面32,33,34,35の上端部に、***容器2の壁面22が嵌合される。また、壁面32,33,34,35の上端部を覆うように、上容器4が取り付けられる(詳細は後述)。壁面34,35の前後方向中央部且つ上端部には、上容器4のフック47,47´に連結される連結部300,300´が設けられている(詳細は後述)。
上容器4は、***容器2の上方に配置され、ペットが出入りする開口部40が形成された容器である。上容器4は、上述したようにその上方が開放された いわゆるハーフタイプの上容器である。以下では、図5~図7も参照しながら、上容器4の詳細な構成について説明する。図5は、ペット用システムトイレ1に含まれる上容器4の正面図である。図6は、上容器4の平面図である。図7は、上容器4の底面図である。
図1に示されるように、上容器4は、前壁部41と、後壁部42と、一対の側壁部43,44と、を含んで構成されている。本実施形態では、前壁部41と、後壁部42と、一対の側壁部43,44とが、一体に形成されている。また、上容器4は底面部を有しておらず、上下方向に貫通している。
前壁部41は、ペットが出入りする開口部40の前方且つ下方に設けられた部分である。前壁部41は、取り付け部411と、ガイド部412とを含んで構成されている。取り付け部411は、下容器3の壁面32の上端部に取り付けられる部分であり、壁面32に沿って上下方向に延びると共に幅方向に延びる部分である。取り付け部411は、図1に示されるように、壁面32の前方に配置される。
ガイド部412は、取り付け部411の上端部から後方に延びる部分である。ガイド部412は、開口部40に向けて、傾斜を持たずに(すなわち略水平に)後方に延びている。このことにより、開口部40から侵入するペットがガイド部412に脚を乗せやすくなり、トイレ内への進入が容易になる。また、例えばガイド部412が開口部40から離れる方向に向かって下方に傾斜している場合には、ペットの脚からガイド部412に落ちた砂がトイレ外部の床に転がり落ちるおそれがあるが、上述したようにガイド部412が略水平とされていることにより、このような事態を抑制することができる。また、飼い主が上容器4を下容器3から取り外して裏返した状態で持つような場合において、ガイド部412が略水平とされていることにより、上容器4の裏側に付着した尿飛沫や粉塵が床に落下することを抑制できる。
一対の側壁部43,44は、開口部40の幅方向両側において互いに対向するように設けられ、前後方向に延びる部分である。側壁部43,44は、その前端部が前壁部41の幅方向両端部に連続している。側壁部43,44は、図4及び図5に示されるように、上端部から下方に向かって幅方向の外側に張り出す曲面で形成されている。更に、側壁部43,44は、図4及び図5に示されるように、下端部側に変曲部49を有している。側壁部43,44は、変曲部49において、曲面の形状が大きく変化し、更に外側に張り出すように下方に向かって延びている。側壁部43,44は、変曲部49より下方の下端部分48において、下容器3の壁面34,35の上端部に取り付けられる。図1に示されるように、側壁部43,44の下端部分48の前後方向略中央部には、下方に延びるフック47,47´が設けられている。すなわち、上容器4は、側壁部43,44の下端部に設けられ下容器3の連結部300,300´に連結されるフック47,47´を更に有しており、フック47,47´は後述する中間領域A2(図3参照)の側壁部43,44の下端部に設けられている。フック47,47´がそれぞれ壁面34,35の連結部300,300´に連結されることにより、上容器4が下容器3に取り付け固定される。
側壁部43,44の各領域における上下方向の高さについて、図3を参照して説明する。いま、上容器4を前後方向に三等分した各領域について、前側から順に、入口側領域A1、中間領域A2、奥側領域A3とする。図3に示される例では、仮想線L1より前の領域が入口側領域A1であり、仮想線L1~L2間の領域が中間領域A2であり、仮想線L2より後の領域が奥側領域A3である。入口側領域A1の側壁部43,44の高さ、及び、奥側領域A3の側壁部43,44の高さは、中間領域A2の側壁部43,44の高さよりも低い。
図3に示されるように、側壁部43,44における最も高さが高い側壁最高部90は、奥側領域A3の最奥部分(最後端部)91を除いた側壁部43,44の領域に形成されている。より詳細には、側壁最高部90は、中間領域A2の側壁部43,44に形成されている。最奥部分91は、側壁部43,44の奥側領域A3において最も高さが低い最低点であり、最奥部分91の高さT2は、側壁最高部90の高さT1の90%以下である。また、奥側領域A3における奥側(後方側)45%の領域を区画する線分を仮想線L3とすると、側壁部43,44における仮想線L3よりも奥側(後方側)の奥側部分92の高さT3は、側壁最高部90の高さT1の90%以下である。また、奥側領域A3における奥側(後方側)55%の領域を区画する線分を仮想線L4とすると、側壁部43,44における仮想線L4よりも奥側(後方側)の奥側部分93の高さT4は、側壁最高部90の高さT1の95%以下である。
また、入口側領域A1の側壁部43,44のいずれかの部分である入口部分94の高さT5は、側壁最高部90の高さT1の90%以下である。すなわち、入口側領域A1の側壁部43,44は、どの領域においても、側壁最高部90の高さT1の90%以下である。また、入口側領域A1を前後方向に二等分する線分を仮想線L5とすると、側壁部43,44における仮想線L5に接する部分である中間点95の高さT6は、側壁最高部90の高さT1の67%以下である。側壁部43,44は、前後方向における80%以上の領域において、高さが側壁最高部90の高さT1の60%以上である。そして、側壁部43,44の前端部における立ち上がり角度αは、例えば60°以上とされている。このように、立ち上がり角度αが60°以上と比較的大きくされることにより、入口側領域A1における側壁部43,44からのトイレ砂の飛び散りを抑制することができる。
後壁部42は、図1に示されるように前後方向において開口部40に対向する部分であり、上容器4の後端部において幅方向に延びる部分である。後壁部42は、その幅方向両端部が側壁部43,44の後端部に連続している。後壁部42は、図4及び図6に示されるように、上端部から下方に向かって後方に張り出す曲面で形成されている。更に、後壁部42は、図4及び図6に示されるように、下端部側に変曲部46を有している。後壁部42は、変曲部46において、曲面の形状が大きく変化し、更に後方に張り出すように下方に向かって延びている。後壁部42は、変曲部46より下方の下端部分45において、下容器3の壁面33の上端部に取り付けられる。
後壁部42の各領域における上下方向の高さについて、図4及び図5を参照して説明する。いま、後壁部42を幅方向に三等分した各領域について、中央部を後壁中央部A10、両端部を後壁端部A11,A12とする。図4及び図5に示される例では、仮想線L10,L11に挟まれた部分が後壁中央部A10であり、仮想線L10よりも幅方向外側の部分が後壁端部A11であり、仮想線L11よりも幅方向外側の部分が後壁端部A12である。そして、後壁中央部A10の高さは、後壁端部A11,A12の高さよりも低い。後壁中央部A10の一部の領域は、後壁部42における最も高さが低い後壁最低部400である。詳細には、後壁最低部400は、後壁中央部A10の幅方向中央部(すなわち後壁部42の幅方向中央部)に位置している。後壁最低部400の高さT10は、例えば、側壁最高部90の高さT1の95%以下である。
後壁部42は、幅方向中央部が後壁最低部400であり、幅方向の両端部に向かうにつれて高さが高くなっている。すなわち、後壁部42の後壁端部A11,A12の幅方向端部が、後壁部42における最も高さが高い後壁最高部401とされている。図5に示されるように、側壁部43,44における最も高さが高い側壁最高部90の高さは、後壁部42における最も高さが高い後壁最高部401の高さよりも高い。
図6に示されるように、後壁最低部400の上端部は、後壁部42の各領域の上端部の中で、前後方向において最も後方に位置している。そして、図6に示されるように、後壁部42は、高さが高い領域(すなわち、幅方向両端部の領域)ほど、前後方向における前側に傾斜している。
上容器4は、図5及び図7に示されるように、側壁部43,44の上端部から下方且つ幅方向の内側に延びる側壁延出部501を有している。側壁延出部501は、少なくとも側壁最高部90の上端部に設けられている。本実施形態では、側壁延出部501は、側壁部43,44の全領域に設けられている。このような側壁延出部501は、飼い主が上容器4を上下逆さまにして持つ際において、側壁部43,44の内側に付着した尿飛沫や粉塵等が側壁部43,44の上端部から床に落ちてしまうことを抑制する構成である。すなわち、側壁延出部501は、側壁部43,44の内側の上端部から床に向かって流れる尿飛沫や粉塵等を受ける構成である。上容器4は、更に、後壁部42の上端部から下方且つ前後方向の前方に延びる後壁延出部502を有している。後壁延出部502は、後壁部42の全領域に設けられている。このような後壁延出部502は、後壁部42の内側の上端部から床に向かって流れる尿飛沫や粉塵等を受ける構成である。側壁延出部501及び後壁延出部502は、互いに連続的に設けられている。なお、上容器は、例えば週に1回程度の頻度で取り外されて洗浄され、洗浄される際には上下逆さまにして洗浄場(例えばお風呂場)にまで持ち運ばれる。
上容器4は、図7に示されるように、側壁延出部501に設けられると共に側壁延出部501と側壁部43との間に延びる2つの側壁堰き止め部501a,501bを有する。また、上容器4は、側壁延出部501に設けられると共に側壁延出部501と側壁部44との間に延びる2つの側壁堰き止め部501c,501dを有する。このような側壁堰き止め部501a~501dは、尿飛沫や粉塵等を溜め込む側壁延出部501の領域を区画する構成である。更に、上容器4は、後壁延出部502に設けられると共に後壁延出部502と後壁部42との間に延びる後壁堰き止め部502aを有する。このような後壁堰き止め部502aは、尿飛沫や粉塵等を溜め込む後壁延出部502の領域を区画する構成である。これらの側壁堰き止め部501a~501dと、後壁堰き止め部502aとは、互いに連続的に設けられている側壁延出部501及び後壁延出部502において、所定の間隔で設けられている。
次に、本実施形態に係るペット用システムトイレ1の作用効果について説明する。
本実施形態に係るペット用システムトイレ1は、トイレ砂を収容すると共に、液透過性の底面部21を有する***容器2と、***容器2の下方に配置され、底面部21を透過した液体を吸収する吸収シートを収容するトレイ5(もしくは液体を回収する採集容器(排尿トレイ等))と、トレイ5を保持する下容器3と、***容器2の上方に配置され、ペットが出入りする開口部40が形成されると共に上方が開放された上容器4と、を備え、上容器4は、開口部40の幅方向両側において互いに対向するように設けられ上容器4の奥行き方向である前後方向に延びる一対の側壁部43,44と、前後方向において開口部40に対向する後壁部42と、を有し、図5に示されるように、側壁部43,44における最も高さが高い側壁最高部90の高さが、後壁部42における最も高さが高い後壁最高部401の高さよりも高い。
本実施形態に係るペット用システムトイレ1では、上方が開放されたいわゆるハーフタイプの上容器4において、一対の側壁部43,44における最も高さが高い側壁最高部90の高さが、後壁部42における最も高さが高い後壁最高部401の高さよりも高くされている。フルカバータイプの上容器を好まないペットの飼い主からは、ハーフタイプの上容器が好まれる。しかしながら、ハーフタイプの上容器では、フルカバータイプの上容器と比べて、ペットがトイレ砂を掻いた際等においてトイレの外部にトイレ砂が飛び散ってしまうおそれがあった。
この点、本実施形態に係るペット用システムトイレ1では、側壁最高部90の高さが高く、具体的には後壁最高部401の高さよりも高くされているため、ペットが***後等においてトイレ砂を掻いても、側壁部43,44における側壁最高部90及びその周辺部分によってトイレ砂を跳ね返し、トイレ砂がトイレの外部に飛び散ることを効果的に抑制することができる。また、ペット用システムトイレ1では、入口の開口部40からトイレ内に進入したペットが、後壁部42に向かい合い、側壁最高部90よりも低い後壁最高部401を有する後壁部42に体を向けた状態で***することとなる。この場合、ペットが閉塞感によるストレスを感じにくいため、ストレスによってペットが過度に砂掻きをすることが抑制され、トイレ砂が外部に飛び散ることが効果的に抑制される。以上のように、本実施形態に係るペット用システムトイレ1によれば、ペットによる砂掻きによってトイレ砂が外部に飛び散ることを効果的に抑制することができる。また、側壁最高部90が形成されて側壁部43,44が十分な高さを有していることにより、例えば清掃時等において上容器4を下容器3から取り外し、飼い主が上容器4を上下逆さまにして持つ際においては、上容器4を落とすことや上容器4から尿やトイレ砂のカスをこぼすことなく、上容器4を安定的に持つことができる。
上容器4を前後方向に三等分した各領域について、前側から順に、入口側領域A1、中間領域A2、奥側領域A3とすると、側壁最高部90は、奥側領域A3の最奥部分91を除いた側壁部43,44の領域に形成されていてもよい。側壁最高部90が奥側領域A3の最奥部分91に形成された場合には、後壁部42に体を向けた状態で***するペットに閉塞感によるストレスを感じさせてしまう場合がある。この点、側壁最高部90が最奥部分91を除いた領域に形成されることにより、ペットがストレスを感じて過度な砂掻きが行われることをより効果的に抑制することができる。また、側壁最高部90が最奥部分91を除いた領域に形成されることにより、側壁最高部90を上容器4の重心位置付近(中央付近)に配し易くなるので、飼い主が上容器4を上下逆さまにして持つ際において、より安定的に上容器4を持つことができる。
側壁最高部90は、中間領域A2の側壁部43,44に形成されていてもよい。側壁最高部90が中間領域A2に形成されることにより、ペットが後壁部42に体を向けた状態で***する場合、及び、ペットが入口側に体を向けた状態で***する場合のいずれの場合においても、ペットの目線が、高さの高い部分によって遮断されてしまうことを効果的に抑制することができる。これにより、ペットがストレスを感じて過度な砂掻きが行われることをより効果的に抑制することができる。また、例えば猫等のペットは前脚でトイレ砂を掻くのでトイレ砂の飛び散りは側壁部43,44の中央部からが最も多いところ、中間領域A2の側壁部43,44が側壁最高部90とされていることにより、トイレ砂の飛び散りを効果的に抑制することができる。また、側壁最高部90が中間領域A2に形成されることにより、側壁最高部90を上容器4の重心位置付近に配し易くなるので、飼い主が上容器4を上下逆さまにして持つ際において、より安定的に上容器4を持つことができる。
入口側領域A1の側壁部43,44の高さ、及び、奥側領域A3の側壁部43,44の高さは、中間領域A2の側壁部43,44の高さよりも低くてもよい。このような構成によれば、ペットが後壁部42に体を向けた状態で***する場合、及び、ペットが入口側に体を向けた状態で***する場合のいずれの場合においても、ペットの目線が、高さの高い部分によって遮断されてしまうことを効果的に抑制することができる。これにより、ペットがストレスを感じて過度な砂掻きが行われることをより効果的に抑制することができる。また、上容器4の重心位置付近に高さが高い部分を配し易くなるので、飼い主が上容器4を上下逆さまにして持つ際において、より安定的に上容器4を持つことができる。
上容器4は、側壁部43,44の下端部分48に設けられ下容器3の連結部300,300´に連結されるフック47,47´を更に有し、フック47,47´は、中間領域A2の側壁部43,44の下端部分48に設けられていてもよい。このように、フック47,47´が側壁最高部90と同ように中間領域A2に配置されることにより、上容器4を下容器3から外した後、最小距離で側壁最高部90に手が届くこととなるので、飼い主による清掃等の作業を容易化することができる。
後壁部42における最も高さが低い後壁最低部400の高さは、側壁最高部90の高さの90%以下であってもよい。このような構成によれば、側壁最高部90と比較して後壁最低部400を十分に低くすることができ、ペットに開放感を感じさせてペットのストレスを軽減することができる。
側壁部43,44は、前後方向における80%以上の領域において、高さが側壁最高部90の高さの60%以上であってもよい。このような構成によれば、側壁部43,44において、側壁最高部90と同程度に高さを有した領域を十分に設けることができ、ペットが***後等においてトイレ砂を掻いた際に、側壁部43,44によって適切にトイレ砂を跳ね返すことができる。
後壁部42を幅方向に三等分した中央部を後壁中央部A10、両端部を後壁端部A11,A12とすると、後壁中央部A10の高さは、後壁端部A11,A12の高さよりも低く、後壁中央部A10の一部の領域は、後壁部42における最も高さが低い後壁最低部400であってもよい。このような構成によれば、飼い主が上容器4を上下逆さまにして前後方向の端部を持つ際において、他の領域よりも高さが低く指を掛けやすい後壁中央部A10を安定的に持つことができる。また、後壁部42に体を向けて***を行うペットの視線を受けやすい後壁中央部A10の高さが低くされることにより、ペットのストレスを軽減することができる。
後壁最低部400の上端部は、後壁部42の各領域の上端部の中で、前後方向において最も後方に位置していてもよい。このような構成によれば、飼い主が上容器4を上下逆さまにして前後方向の端部を持つ際において、高さが低く指を掛けやすい部分を安定的に持つことができる。また、高さが低い最奥にペットが自然と進みやすくなり、トイレ全体を用いながら、後壁部42に体を向けて***を行うペットの視線を受けやすい部分の高さが低くされることにより、ペットのストレスを軽減することができる。
後壁部42は、高さが高い領域ほど、前後方向における前側に傾斜していてもよい。このような構成によれば、高さが低い領域からペットの視線が抜けつつ、比較的高さが高い領域が前側に傾斜していることによって、当該高さが高い領域に***を行うペットが顔を乗せること等が可能になり、よりペットのストレスを軽減することができる。
上容器4は、側壁部43,44の上端部から下方且つ幅方向の内側に延びる側壁延出部501を更に有し、側壁延出部501は、少なくとも側壁最高部90の上端部に設けられていてもよい。飼い主が上容器4を上下逆さまにして持つ際においては、側壁部43,44等の内側に付着した尿飛沫や粉塵が上容器4の上端部から床に落ちてしまうことが考えられる。この点、側壁最高部90の上端部に、下方且つ幅方向の内側に延びる側壁延出部501が設けられていることにより、側壁部43,44における側壁最高部90付近の領域から床方向に向かって流れる尿飛沫等を側壁延出部501で受けることが可能になり、尿飛沫等が床に落ちることを適切に抑制することができる。
上容器4は、後壁部42の上端部から下方且つ前後方向の前方に延びる後壁延出部502を更に有し、側壁延出部501は、側壁部43,44の全領域に設けられており、後壁延出部502は、後壁部42の全領域に設けられており、側壁延出部501及び後壁延出部502は、互いに連続的に設けられていてもよい。このような構成によれば、側壁部43,44の全域及び後壁部42の全域から床方向に向かって流れる尿飛沫等を側壁延出部501又は後壁延出部502で受けることが可能になり、尿飛沫等が床に落ちることを適切に抑制することができる。
上容器4は、側壁延出部501に設けられると共に側壁延出部501と側壁部43,44との間に延びる側壁堰き止め部501a~501dと、後壁延出部502に設けられると共に後壁延出部502と後壁部42との間に延びる後壁堰き止め部502aと、を更に有していてもよい。このような構成によれば、側壁堰き止め部501a~501d及び後壁堰き止め部502aによって側壁延出部501及び後壁延出部502で受けた尿飛沫等を所定の領域に溜め込むことができ、尿飛沫等が床に落ちることをより適切に抑制することができる。
側壁堰き止め部501a~501d及び後壁堰き止め部502aは、互いに連続的に設けられている側壁延出部501及び後壁延出部502において、所定の間隔で設けられていてもよい。このような構成によれば、複数の堰き止め部の配置を調整することにより、尿飛沫等を溜め込む領域を適切に設定し、尿飛沫等が床に落ちることをより適切に抑制することができる。
側壁部43,44は、上端部から下方に向かって幅方向の外側に張り出す曲面で形成されていてもよい。このような構成によれば、手のひらに沿わせるようにフィット感を向上させて側壁部43,44を把持し易くなり、上容器4をより安定的に持つことができる。また、側壁部43,44が曲面とされていることにより、飼い主が上容器4を上下逆さまにして持つ際、側壁部43,44の内側に付着した尿飛沫や粉塵は、曲面を伝って流れることとなるので、尿飛沫等が落ちるまでの時間及び距離を長くすることができ、尿飛沫等が床に落ちることを適切に抑制することができる。
側壁部43,44は、下端部側に変曲部49を有していてもよい。このように、指が位置する下端部側に変曲部49が設けられることにより、変曲部49に指を沿わせて、より安定的に上容器4を持つことができる。