JP7016668B2 - 音響波装置に対する音響整合液の供給方法 - Google Patents

音響波装置に対する音響整合液の供給方法 Download PDF

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Description

本発明は、被検体と受信部との間を音響的に結合する音響整合液を収容する液槽を備える音響波装置への音響整合液の供給方法に関する。
被検体からの音響波を受信する受信部と、液槽に貯留した音響整合液を介して被検体からの音響波を受信し、被検体の音響波画像を取得する音響波装置が知られている。
特許文献1には、***を保持するメンブレンを保持部として備え、音響整合液を貯留する密閉系の液槽と、被検体に対して相対的に移動するように液槽の槽内に配置され音響波を受信する受信部と、を備えた音響波装置が記載されている。特許文献1には、かかる保持部が、厚み方向の音響波の減衰を考慮して、腹臥位の被験者の***を扁平となるように、平坦な形状で***を下から支持すること、受信部の上方に配置されることが開示されている。
特許文献2には、液槽の底部に半球状の支持体に複数の探触子が配列された受信部と、***を支えるカップ状の保持部と、保持部を介して被検体に近赤外光を照射し被検体から光音響波を発生させる光放出部と、を備えた音響波装置が開示されている。
特許文献2に記載の受信部は、超音波エコー信号に比較して微弱な強度の光音響信号を高いSN比で受信するために、半球状の支持体の曲率中心にそれぞれの受信指向軸が重なるように複数の探触子を放射状に実装している。かかる受信部は、上記の構成をとることにより、半球状の支持体の曲率中心近傍に高い受信感度領域を形成することが開示されている。また、受信部と保持部との間隔は、支持体の曲率中心と被検体とが重なるように近接して設定される。
特開2007-282960号公報 特開2015-205041号公報
特許文献1に記載の被検体を扁平に保持する略平坦の保持部と、特許文献2に記載のボウル状に複数の探触子が配列した受信部と、と備えた音響波装置において、図6(d)に示すように、音響波の伝搬経路に空気溜まりが形成される場合があった。保持部と受信部との間に空気溜まりが発生した場合、受信部が音響波を受信できない。
また、かかる空気溜まりの発生およびその大きさは、液槽に音響整合液を注入する毎に必ずしも一定に再現するものではなく変動するものであった。従って、音響整合液の注入ステップを何回かやり直す必要が生じる場合があり、音響波装置の稼働率が低下した。音響整合液の液槽への注入時の空気溜まりの発生を低減した、音響波装置に対する音響整合液の供給方法が求められていた。
以降、本願明細書では、液槽への音響整合液の注入を、液槽への音響整合液の供給と言い換える場合がある。
本願発明は、液槽に音響整合液を供給する際に、音響波の伝搬経路に発生する空気溜まりを低減するようにした音響波装置に対する音響整合液の供給方法を提供することを目的とするものである。
本発明の第一は、音響整合液を貯留する液槽の底部と被検体を保持する保持部とが略平行に対向配置された音響波装置において、前記底部と前記保持部の間において、前記保持部と前記底部の双方に接する液密領域が外開きに進行するように前記音響整合液を供給することで、前記底部と前記保持部のそれぞれと接し周囲が前記音響整合液で閉じられた空気溜まりを形成しないように前記間前記音響整合液で液密にする音響整合液の供給方法である。
また、本発明の第二は、音響整合液を貯留する液槽の底部と被検体を保持する保持部とが略平行に対向して配置された音響波装置において、鉛直方向に見て前記保持部と重なる前記底部の領域を前記音響整合液で液密にする底部液密ステップと、前記保持部を前記音響整合液と接触させる保持部液密ステップと、を有し、前記保持部液密ステップは、前記底部液密ステップの後に行われることを特徴とする音響整合液の供給方法である。
本発明によれば、液槽に音響整合液を供給する際に、音響波の伝搬経路に発生する空気溜まりを低減するようにした音響波装置に対する音響整合液の供給方法を提供することが可能となる。
第一の実施形態に係る音響整合液の供給方法の各ステップを示す模式図(a)~(d)である。 第一の実施形態に係る液槽と保持部を示す模式図(a)、(b)である。 第一の実施形態に係る音響整合液の供給方法のシーケンスを示すタイミングチャートである。 第一の実施形態の音響整合液の供給方法の変形例を示す模式図(a)~(e)である。 第二の実施形態に係る音響整合液の供給方法の各ステップを示す模式図(a)~(d)である。 第一の参考形態に係る音響整合液の供給方法の各ステップを示す模式図(a)~(d)である。 第二の参考形態に係る音響整合液の供給方法の各ステップを示す模式図(a)~(d)である。 凹部の位置を説明する模式図(a)~(c)である。 第二の実施形態に係る音響波装置を示す模式図である。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、被検体から伝搬された音響波を検出し、被検体内部の特性情報を生成し、取得する技術に関する。よって本発明は、音響波装置またはその制御方法として捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPUやメモリ等のハードウェア資源を備える情報処理装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納したコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体としても捉えられる。
本発明の音響波装置には、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体の特性情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置を含む。この場合、特性情報とは、光音響波を受信することにより得られる受信信号を用いて生成される、被検体内の複数位置のそれぞれに対応する特性値の情報である。
光音響測定により取得される電気信号(光音響信号)に由来する特性情報は、光エネルギーの吸収率を反映した値である。例えば、光照射によって生じた音響波の発生源、被検体内の初期音圧、あるいは初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数、組織を構成する物質の濃度を含む。また、物質濃度として酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度を求めることにより、酸素飽和度分布を算出できる。また、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、脂肪や水の体積分率なども求められる。
本発明の音響波装置には、被検体に超音波を送信し、被検体内部で反射した反射波(エコー波)を受信して、被検体情報を画像データとして取得する超音波エコー技術を利用した装置を含む。超音波エコー装置が取得する電気信号(超音波エコー信号)に由来する特性情報は、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。
被検体内の各位置の特性情報に基づいて、二次元または三次元の特性情報分布が得られる。分布データは画像データとして生成され得る。特性情報は、数値データとしてではなく、被検体内の各位置の分布情報として求めてもよい。すなわち、初期音圧分布、エネルギー吸収密度分布、吸収係数分布や酸素飽和度分布などの分布情報である。また、音響インピーダンス分布や、血流を表す分布情報なども生成し得る。このように音響波に基づく情報を可視化することから、本発明は、音響波イメージング装置やその制御方法やプログラムとしても捉えられる。
本願明細書に記載の音響波は、典型的には超音波であり、音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。探触子等により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。ただし、本願明細書における超音波または音響波という記載は、それらの弾性波の波長を限定する意図ではない。光音響効果により発生した音響波は、光音響波または光超音波と呼ばれる。光音響波に由来する電気信号を光音響信号とも呼ぶ。また、送信超音波が被検体で反射したエコー波に由来する電気信号を、超音波エコー信号とも呼ぶ。
本発明の装置が、光音響波を受信する場合、超音波エコーを受信する場合、および、その両方を受信する場合のいずれにおいても、装置が音響波を受信することに変わりはない。よって本発明の装置は、音響波装置と呼べる。本発明は、このような音響波装置の制御方法としても捉えられる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
[第一の実施形態]
第一の実施形態に係る音響波装置への音響整合液の供給方法について、図1(a)~(d)、図2(a)(b)、図3を用いて説明する。また、本実施形態に係る技術的意義を説明するために、本発明の特徴を備えない第一の参考形態に係る音響整合液の供給方法について、図6を用いて説明する。
<音響波装置の音響整合液の供給シーケンス>
図1(a)~(d)の各図は、音響波装置100に対する音響整合液の供給シーケンスにおいて要部となる、保持部25、液槽42、排出口40、供給口20、及び、受信部30を部分的に拡大した模式図である。図1(a)~(d)の各図は、この順に時間が経過していることを示している。図1(a)(b)は、鉛直方向に見て保持部25と重なる底部42Bの領域を音響整合液2(2b)で液密にする底部液密ステップを示し、図1(c)は、保持部25を音響整合液2(2b)と接触させる保持部液密ステップを示すものである。
音響波装置100のその他の構成要素は、第二の実施形態に係る図9を用いて詳述する。
図2(a)(b)は、本実施形態に係る音響波装置100の保持部25、液槽42、底部42Bと、を示す斜視図である。図2(a)は、保持部25と液槽42とが鉛直方向(z方向)において重なって位置している状態を示している。図2(a)は、保持部25と液槽42の底部42Bとが略平行に対向配置されている状態と換言される。図2(b)は、保持部25、液槽42の側部42L、底部42Bと、をz方向に分離して示した分解斜視図である。
図3は、底部42Bおよび保持部25それぞれが音響整合液2(2b)と接し液密となっている面積の比率である液密面積率、音響整合液の供給レート、供給口に対する位置が異なる観測点M1~M3の音響整合液の液位の変化を示すタイミングチャートである。図3に示す音響整合液2(2b)の供給シーケンスは、保持部液密ステップS20、保持部液密ステップS20を含んでいる。
<第一の実施形態に係る音響波装置の基本的構成>
本実施形態の液槽42は、所定の液位まで音響整合液2(2b)を貯留するために周方向に閉じている側部42Lと、側部42Lの下端と周状に連なる底部42Bとを、有している。底部42Bは、音響整合液2(2b)を槽内に供給する供給口20、音響整合液2(2b)を槽内から排出する排出口40、および、音響整合液2(2b)を介して音響波を受信する受信部30が設けられている。
受信部30は、複数の探触子が列状に配列されているリニアアレイ型の探触子アレイとなっている。
xy平面に対する投影面積において、保持部25は底部42Bより面積が小さくなっており、鉛直方向に見たとき、保持部25は底部42Bに内包されている。すなわち、鉛直方向に見たとき、底部42Bは、保持部25と重なる領域と、保持部25と重ならない領域と、を有している。
このような配置関係とすることにより、底部42Bは保持部25に対して水平面に沿って相対的に移動することが可能となり、受信部30を保持部25および被検体201に対して相対的に移動させて、異なる位置毎に音響波を受信することが可能となっている。
<底部液密ステップ>
底部液密ステップS10は、図3において、時刻t1から時刻t2の期間に行われる。底部液密ステップS10は、図1(a)、(b)に示す通り、鉛直方向に見て保持部25と重なる底部42Bの部分を、先ず、音響整合液2(2b)で液密にするステップである。図1(a)(b)は、図3のタイミングチャートの時刻t(a)、t(b)に対応している。
図3のタイミングチャートに記載の底部の液密面積率は、底部42Bのうち鉛直方向に見て保持部25と重なる領域に占める、音響整合液2(2b)で液密にされた領域の面積比率である。同様にして、保持部の液密面積率は、保持部25のうち底部42Bと対向するか面が音響整合液2(2b)で液密にされた領域の面積比率である。
底部液密ステップS10は、供給口20からの供給された音響整合液2(2b)の濡れ広がりにより、底部の液密面積率は0から1まで徐々に増加していることが読み取れる。底部液密ステップS10において、保持部25は音響整合液2(2b)とまだ接触していないないため、保持部の液密面積率は0を呈している。
本実施形態の音響波装置は、保持部25より下方に底部42Bが位置され、底部42Bは鉛直方向に見て保持部25と重ならない部分を有している。さらには、液槽42は、底部42Bのうち鉛直方向に見て保持部25と重ならない部分に、音響整合液2(2b)を供給する供給口20を備えている。また、液槽42は、保持部25に対して相対的に略水平面に沿って移動する後述する走査部46に接続されているとき、供給口20は、鉛直方向に見て保持部25と重ならない状態で、液槽42の槽内に音響整合液2(2b)を供給する。
本実施形態の底部液密ステップS10は、音響整合液2(2b)の濡れ広がりを、供給口20からの音響整合液2(2b)の供給レートFRで調整している。底部液密ステップS10は、供給口20から音響整合液2(2b)が濡れ広がる方向における音響整合液2(2b)の液面の傾きθe10を所定値以下とする供給レートFR1により、音響整合液2(2b)が保持部25と接触し濡れないようにしている。
底部液密ステップS10は、底部42Bのうち鉛直方向に見て保持部25と重なる部分を、後述する保持部液密ステップS20が行われる前に、音響整合液2(2b)で液密にするステップであると換言される。また、底部液密ステップS10は、底部42Bのうち、鉛直方向に見て保持部25と重なる部分を、保持部25の少なくとも一部が音響整合液2(2b)で液密になる前に、音響整合液2(2b)で液密にするステップであると換言される。
本願明細書において、「固体Aを液体Bで液密する」とは、「固体Aと液体Bとを音響的に結合する」態様を含む。「固体Aと液体Bとを音響的に結合する」態様は、「固体Aを液体Bで濡らす」態様を含む。また、「固体Aを液体Bで濡らす」態様は、「固体Aと液体Bとの接触角が90度未満を満たす固液界面を形成するような液体Bを、固体Aの表面に接触させる」態様を含む。
保持部液密ステップS20は、底部42Bのうち、鉛直方向に見て保持部25と重なる部分を少なくとも保持部25をより先に濡らすことで、保持部25と底部42Bとの間に空気溜まり15を形成しないようにすることを可能とする。
<保持部液密ステップ>
保持部液密ステップS20は、図3において、時刻t3から時刻t4の期間に行われる。保持部液密ステップS20は、図1(c)に示す通り、保持部25の下面を音響整合液2(2b)で液密させるステップである。図1(c)は、図3のタイミングチャートの時刻t(c)に対応している。
本実施形態の保持部液密ステップS20における音響整合液2(2b)の濡れ広がりは、底部液密ステップS10と同様にして、供給口20からの音響整合液2(2b)の供給レートFRで調整している。保持部液密ステップS20は、供給口20から音響整合液2(2b)が濡れ広がる方向における音響整合液2(2b)の液面の傾きθe20を所定値以上とする供給レートFR2により、音響整合液2(2b)が保持部25と接触するようにしている。
すなわち、音響整合液2(2b)の供給レートFRは、FR2>FR1の関係となるように、図3における時刻t2から時刻t3で調整されている。
保持部液密ステップS20は、鉛直方向に見て保持部25を音響整合液2(2b)で液密にするステップである。保持部液密ステップS20は、図1(c)に示すように、保持部25の下面が音響整合液2(2b)で順次濡れ広がるようにすることが好ましい。保持部液密ステップS20は、濡れ開始部から保持部25を音響整合液2(2b)で濡れさせる濡れ開始サブステップと、保持部25と音響整合液2(2b)とが液密になる領域を濡れ開始部から順次広げていく濡れ拡大サブステップと、を有している。
濡れ開始サブステップにおいて、保持部25が、音響整合液2(2b)により最初に局所的に液密される領域を濡れ開始部と称する。図3において、濡れ開始サブステップは、保持部の液密面積率が0から増加し始める時刻t3の直後の時刻に相当するまた、濡れ拡大サブステップは、保持部の液密面積率が0から1まで増加している期間に相当する。
保持部液密ステップS20が濡れ拡大サブステップを有するようにする目的において、本実施形態は、音響整合液2(2b)の供給レートFRを調整することにより、音響整合液2(2b)の液面に傾斜を与えて実現している。このとき、音響整合液2(2b)の供給レートFRを所定上限レートより過大にすると、XY面内において濡れ広がり速度の分布が大きくなり、後述する参考形態の図6(a)~(d)のように空気溜まり15が形成される。
濡れ拡大サブステップにおいては、音響整合液2(2b)は、保持部25と底部42Bとの間において、図1(c)の3つの白抜き矢印ように、保持部25と底部42Bの双方に接する液密領域が外開きに進行することを含む。
また、濡れ拡大サブステップは、かかる液密領域18と、空気が保持部25と底部42Bの少なくとも一方と接する空隙領域16との境界が進行する速度のベクトル成分が、互いに平行か発散しているように、音響整合液2(2b)を供給することを含む。
保持部液密ステップS20において順次濡れ広がるようにする目的において、本実施形態の変形例を図4の各図を用いて説明する。
図4(a)は、音響整合液2(2b)の液面に対して、保持部25の下面に傾斜を与えることにより、保持部25に濡れ開始部を与えている形態である。本変形例に適用可能な保持部25の立体形状を図4(b)に示す。図4(b)に記載の保持部25は、X方向おいて曲率が変化する放物線曲面の形状となるように成形されたメッシュ状の樹脂であり、X方向が小さくなる側に最下点を有している。濡れ開始部である保持部25の最下点は、供給口20に近い側に設けることが、空気溜まりを形成し難くするために好ましい。
一方、図4(c)は、保持部25に局所的に下方に突出する突出部134を設けている変形例を示すものである。突出部134は、被検体201を保持する強度と音響透過性を有するメンブレン状の保持部25を支持するフレーム132に設けられている。濡れ開始部である突出部134は、前述の変形例と同様にして、保持部25のうち、XY面内において、供給口20に近い側に設けることが、空気溜まりを形成し難くするために好ましい。
一方、図4(d)は、保持部25に、音響整合液2(2b)に対する濡れ性の分布を与えている変形例である。本実施形態においては、水を主成分とする水系の音響整合液2(2b)に対応して、親水性が高い方から順に、136、132、25としている。すなわち、音響整合液2に対する接触角が小さい方から、θa、θb、θcとなるように、領域136,132、25のそれぞれの表面の材料組成が調整されている。本変形例において、濡れ開始部である親水性の領域136は、前述の変形例と同様にして、保持部25のうち、XY面内において、供給口20に近い側に設けることが、空気溜まりを形成し難くするために好ましい。
なお、本変形例において、保持部25に気泡が付着しないように音響整合液2に対する接触角θcは90度未満となっているため、音響整合液2に対する接触角は、0度≦θa<θb<θc<90度、のように分布している。
濡れ開始部は、保持部25の最下点と重なる部分(突出部134)か、周辺より音響整合液に対する接触角が低い部分(領域136)か、保持部25のうち供給口20に最も近い部分(図4(a))の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
<受信ステップ>
受信ステップS30は、図3において、供給口20から遠い側の観測点M3の液位がLcに達し保持部25が十分に液密となっている時刻t4以降に行われる。保持部25が十分に液密となっている時刻t4は、液槽42に働く振動や加速度により音響整合液2(2b)に慣性が働いた場合に音響整合液2(2b)の液面が波打ったとしても、保持部25が液密のままである状態に相当する。
本実施形態の受信ステップS30は、底部液密ステップ、保持部液密ステップをこの順で経ているため、保持部25と底部42Bの間に空気溜まりが形成されておらず、被検体201と受信部30が音響的に結合している状態で行われる。
[第一の参考形態]
図6(a)は、供給口20から供給され始めた音響整合液2(2b)が、供給口20周辺に濡れ広がっている状態を示している。図6(a)は、供給口20から供給され始めた音響整合液2(2b)が底部42Bの一部と液密に接しているが、この段階では、音響整合液2(2b)は保持部25と接していない。しかし、本参考形態では、供給口20から音響整合液2(2b)が濡れ広がる方向における音響整合液2(2b)の液面の傾きθc10を所定値より大きくなるような供給レートFRとしている。このため、底部42Bのうち鉛直方向から見て保持部25と重なる領域が音響整合液2(2b)で濡れ終わらない段階で、図6(b)のように保持部25が音響整合液2(2b)で濡れ始めている。
図6(b)は、供給口20から供給された音響整合液2(2b)が供給口20から離れる方向であって、かつ、排出口40に近づく方向に濡れ広がっている状態を示している。また、図6(b)は、供給口20付近の液位の上昇に伴い音響整合液2(2b)が保持部25の供給口20に近い側と接しており、保持部25と底部42Bとに音響整合液2(2b)が狭持されている部分が存在している状態を示している。
図6(b)の断面模式図によれば、音響整合液2(2b)の保持部25と底部42Bのそれぞれに対する接触角はいずれも鋭角となっており、音響整合液2(2b)は、保持部25と底部42Bのそれぞれと濡れていることが読み取れる。すなわち、図6(b)から、音響整合液2(2b)は、保持部25と底部42Bとに狭持されている部分でメニスカス(毛細管現象)の作用が生じていることが読み取れる。
保持部25および底部42Bは、音響整合液2(2b)に対して濡れ性が低いと気泡が付着しやすくなる。このように保持部25および底部42Bが音響整合液2(2b)に対する接触角が大きい場合、付着した気泡により受信部30が受信する音響波信号の強度が低下することが考えられる。従って、受信部30が高い強度で音響波信号を受信するためには、保持部25および底部42Bは音響整合液2(2b)に対して濡れ性が高い固体表面となっていることが好ましい。すなわち、受信部30が高い強度で音響波信号を受信するためには、保持部25および底部42Bは音響整合液2(2b)に対して低い接触角を呈する固体表面となっていることが好ましい。、
一方、保持部25および底部42Bを音響整合液2(2b)に対して濡れ性が高い表面とした場合は、重力の作用や供給液の供給圧力よりメニスカスの作用が支配的となる。保持部25および底部42Bと音響整合液2(2b)との界面においてメニスカスが支配的に作用する場合、音響整合液2(2b)は、保持部25と底部42Bの間隔が狭い領域、濡れ性が高い領域に優先的に濡れ広がる。
一般に、保持部25と底部42Bは、機械加工精度上、および、使用に伴う変形により所定の高さ分布を有しており、両者の間隔は必ずしも一定ではない。また、保持部25と底部42Bは、雰囲気または音響整合液2(2b)に含まれるハイドロカーボン等の有機物が付着し疎水化される場合があり、かかる付着領域において水系の音響整合液は濡れ難くなる。また、ハイドロカーボンの付着量は必ずしも一定でなく分布を有するため、音響整合液2(2b)の濡れ性は、保持部25と底部42Bの少なくとも一方において面内分布を持つ。
従って、音響整合液2(2b)が接する固液界面にメニスカスが作用する場合、保持部25および底部42Bに狭持された音響整合液2(2b)は、図6(c)のように、保持部25と底部42Bの間隔が広い領域、濡れ性が低い領域への濡れ広がりが制限される。図6(c)からは、保持部25および底部42Bの両者が液密となっていない非液密領域16が残っているにもかかわらず、保持部25および底部42Bの両者が液密となっている液密領域が接近し閉じようとしていることが見て取れる。
この結果、音響整合液2(2b)は、図6(d)のように、保持部25および底部42Bの間に空気溜まり15が形成されたまま、音響整合液2(2b)の液槽42への供給が完了してしまう。空気溜まり15は、保持部25および底部42Bに挟まれ、周囲を音響整合液2(2b)で囲まれた閉空間となっている。閉空間となっている空気溜まり15は、液槽42への音響整合液2(2b)をさらに供給したとしても、少なくとも一部は保持部25および底部42Bの間隙に残留する。
残留した空気溜まり15は、受信部30が受信する音響波信号を減衰または遮断する。
[第二の実施形態]
第二の実施形態に係る音響波装置と、かかる音響波装置への音響整合液の供給方法について、図5、図8および図9を用いて説明する。また、本実施形態に係る技術的意義を説明するために、本発明の特徴を備えない第二の参考形態に係る音響整合液の供給方法について、図7を用いて説明する。
第二の実施形態に係る音響波装置100は、図9、図7(a)に示すように、半球状の支持部35の曲率中心に複数の探触子30i(30a、30b・・・)それぞれの指向軸が重なるように、複数の探触子30iが支持部35に支持されている。凹部38は、配列された複数の探触子30i(30a、30b・・・)と、複数の探触子30i(30a、30b・・・)を支持するお椀状の支持部35と、を備える探触子アレイが囲む領域であると換言される。
また、複数の探触子30i(30a、30b・・・)の指向軸が保持部25より上側において互いに重なるように、複数の探触子30i(30a、30b・・・)は液槽42に設けられていると換言される。
半球状の支持部35は、液槽42の底部42Bを構成する部分であって、液槽42における凹部38を規定する。凹部38は、底部42Bにおいて、周辺より鉛直方向(z方向)において低い部分である。凹部38は、底部42Bのうち、保持部25と略平行に対向する面より低い部分であると換言される。
凹部38は、幾何的に表現すると、鉛直方向zの下方にむかって、音響整合液2(2b)が貯留される液槽42の槽内における水平面に平行な面の断面積S(z)が減少する位置であって、保持部25より低い位置に上端を有する。凹部38の上端は、鉛直方向zの下方にむかって、断面積S(z)のzに対する二階微分が負から正に極性反転する変曲点に位置する。凹部38の上端は、図8(a)、(c)のように、液槽42の槽内に変曲点が複数存在するとき、保持部25に最も近い位置を代表させることができる。
次に、図8(a)に記載のような、凹部38を有する液槽42を備えた音響波装置100に対する、本実施形態の音響整合液の供給方法を、図5(a)~(d)を用いて詳細に説明する。
<底部液密ステップ>
本実施形態の液槽42は、底部42Bのうち鉛直方向に見て保持部25と重なる位置に周囲より低い凹部38を有している。
本実施形態の底部液密ステップS10は、第一の実施形態と同様に、底部42Bのうち鉛直方向に見て保持部25と重なる領域が音響整合液2(2b)で液密にされる工程であって、後述する保持部液密ステップS20が開始される前に完了される工程である。本実施形態の底部液密ステップS10は、図5(a)(b)に示す通り、凹部38を音響整合液2(2b)で満たす凹部液密サブステップを有する点において、第一の実施形態の底部液密ステップS10と相違する。
<保持部液密ステップ>
本実施形態の保持部液密ステップS20は、第一の実施形態と同様に、保持部25の下側の面が音響整合液2(2b)で液密にされる工程であって、底部液密ステップS10が完了した後に実行される工程である。また、本実施形態の保持部液密ステップS20は、凹部38を音響整合液2(2b)で満たす凹部液密サブステップの後に行われる。
本実施形態の保持部液密ステップS20は、図5(c)(d)に示す通り、第一の実施形態の保持部液密ステップS20と同様に、濡れ開始部から保持部25を音響整合液2(2b)で濡れさせる濡れ開始サブステップを有している。
また、本実施形態の保持部液密ステップS20は、図5(c)(d)に示す通り、第一の実施形態の保持部液密ステップS20と同様に、保持部25と音響整合液2(2b)とが液密になる領域を濡れ開始部から順次広げていく濡れ拡大サブステップを有している。
本実施形態の保持部液密ステップS20は、凹部38を音響整合液2(2b)で満たす凹部液密サブステップの後に行われることにより、凹部38に起因する空気溜まり15の発生し難くする。
本実施形態の液槽42の底部42Bは、凹部38の周囲に周辺部39を有し、周辺部39、凹部38、保持部25の順に、音響整合液2(2b)と接触し始めるように音響整合液(2b)を供給することが好ましい。
また、凹部38、周辺部39、保持部25の順に、音響整合液2(2b)と液密となるように音響整合液2(2b)を供給することが好ましい。
本実施形態の保持部液密ステップS20において、濡れ開始部は、凹部38に対する距離において供給口20より近く、供給口20に対する距離において凹部38より近い位置に配置されることが好ましい。
<受信ステップ>
受信ステップは、第一の実施形態と同様に、保持部液密ステップが行われ十分に保持部25が液密となる液位まで音響整合液2(2b)が供給された段階で行われる。
[第二の参考形態]
凹部38に起因する空気溜まり15の発生メカニズムについて、第二の参考形態に係る音響整合液の供給方法を示す図7を用いて説明する。
図7(a)は、供給口20から供給され始めた音響整合液2(2b)が、供給口20周辺に濡れ広がり、凹部38の一部に音響整合液2(2b)が流れ落ちている状態を示している。図7(a)は、供給口20から供給され始めた音響整合液2(2b)が底部42Bの一部と液密に接しているが、この段階では、音響整合液2(2b)は保持部25と接していない。しかし、本参考形態では、供給口20から音響整合液2(2b)が濡れ広がる方向における音響整合液2(2b)の液面の傾きθc10が所定値より大きくなるような供給レートFRで供給口20から音響整合液2(2b)を供給している。このため、底部42Bのうち鉛直方向から見て保持部25と重なる領域が音響整合液2(2b)で濡れ終わらない段階で、図7(b)のように保持部25が音響整合液2(2b)で濡れ始めが開始している。すなわち、液槽42の凹部38が音響整合液2(2b)で満たされていない段階で、図7(b)のように保持部25が音響整合液2(2b)で濡れ始めている。
図7(b)は、供給口20から供給された音響整合液2(2b)が供給口20から離れる方向であって、かつ、排出口40に近づく方向に濡れ広がっている状態を示している。また、図7(b)は、供給口20付近の液位の上昇に伴い音響整合液2(2b)が保持部25の供給口20に近い側と接しており、保持部25と底部42Bとに音響整合液2(2b)が狭持されている部分が存在している状態を示している。
図7(b)の断面模式図によれば、音響整合液2(2b)の保持部25と底部42Bのそれぞれに対する接触角はいずれも鋭角となっており、音響整合液2(2b)は、保持部25と底部42Bのそれぞれと濡れていることが読み取れる。すなわち、図7(b)から、音響整合液2(2b)は、保持部25と底部42Bとに狭持されている部分でメニスカス(毛細管現象)の作用が生じていることが読み取れる。
保持部25および底部42Bと音響整合液2(2b)との界面においてメニスカスが支配的に作用する場合、音響整合液2(2b)は、保持部25と底部42Bの間隔が狭い領域、濡れ性が高い領域に優先的に濡れ広がる。
従って、音響整合液2(2b)が接する固液界面にメニスカスが作用する場合、保持部25および底部42Bに狭持された音響整合液2(2b)は、図7(c)のように、保持部25と底部42Bの間隔が広い領域を避けるように濡れ広がる。音響整合液2(2b)が接する固液界面にメニスカスが作用する場合、保持部25および底部42Bに狭持された音響整合液2(2b)は、図7(c)のように、音響整合液2(2b)で満たされていない凹部38を迂回するように濡れ広がる。図7(c)からは、保持部25および底部42Bの両者が液密となっていない非液密領域16が残っているにもかかわらず、保持部25および底部42Bの両者が液密となっている液密領域が接近し閉じようとしていることが見て取れる。
この結果、音響整合液2(2b)は、図7(d)のように、保持部25および底部42Bの間に空気溜まり15が形成されたまま、音響整合液2(2b)の液槽42への供給が完了してしまう。空気溜まり15は、保持部25および底部42Bに挟まれ、周囲を音響整合液2(2b)で囲まれた閉空間となっている。閉空間となっている空気溜まり15は、液槽42への音響整合液2(2b)をさらに供給したとしても、少なくとも一部は保持部25および底部42Bの間隙に残留する。
残留した空気溜まり15は、第二の参考形態と同様に、受信部30が受信する音響波信号を減衰または遮断する。
<音響波装置の各部の構成>
以下に、第二の実施形態に係る音響波装置100が備える各構成要素の詳細について説明する。
<<支持台>>
支持台50は、図9に示すように、被験者200の一部である被検体201を挿入する挿入口22が設けられるとともに、被験者200を支持する天板部24、を有している。被検者200は支持台50が備える天板部24の上に伏臥位の姿勢をとり、***を下垂させて、天板部に設けられた挿入口22から***を挿入し、保持部25に接触させる。
また、支持台50は、四方から光照射部47、液槽42、XYステージ462を囲む保護カバーが設けられている。音響波装置100が動作中に不要な光の照射を受けたり、可動部との不要な接触したりすることから、被験者200及び操作者を保護している。
本実施形態の支持台50は、さらに、図9に示すように、挿入口22に重なる位置においての被検体201を保持する保持部25、被験者200が腰掛けられる椅子28、を備えている。
挿入口22は、被験者200の一部である被検体201を挿入可能なように天板部24に開口された部分である。天板部24は、挿入口22に挿入されなかった被験者200の部位を載置可能となっており、被験者200の撮影姿勢を安定化させることが可能である。
被検体201は、被験者200のうち測定部位に対応する部分であり、四肢、腹部、胸部等が含まれる。図9においては、被検体201は、被験者200の左足である。
<<保持部>>
保持部25は、被検体201を保持する部材であり天板部24に固定されている。保持部25は、天板部24から下方に突出する半容器状の形をしており、天板部24より低い位置で被検体201を保持することを可能とするとともに、音響整合液2(2a)を収容可能に構成されている。すなわち、保持部25は、音響整合液2(2a)と接する面を、鉛直方向の上側に有している。
保持部25は、さらに、被検体201から伝搬する音響波を受信部30が受信するための音響波の伝搬性(低減衰性)を有した音響整合材で構成されている。これにより、保持部25は、後述する液槽42に貯留された音響整合液2(2b)と、保持部25が貯留する音響整合液2(2a)と、の双方と音響的に結合することが可能となっている。
保持部25は、さらに、少なくとも近赤外線を透過することが好ましく、IRゴム、シリコーンゴム、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料が適用される。保持部25が樹脂材料であって可橈性を有する場合は、荷重を支持し保持部と後述する受信部と接触を避ける意図から、かかる可橈性部より剛性の高いメッシュ状の樹脂材料を併用する形態も本願発明の実施形態に含まれる。
保持部25は、液槽42に貯留された音響整合液2(2b)と被検体201が直接触れない様にするために、音響整合液2(2a)と音響整合液2(2b)とを分離するシール性を有していることが望ましい。これにより、液槽42に貯留された音響整合液2(2b)に対する衛生性を担保することが可能となる。本実施形態の保持部25は、厚さが一定となるように樹脂材料を成形したものであるが、音響波の透過性、被検体を支える強度等の観点から、厚さ分布を有する形態として良い。
<<受信部>>
受信部30は、図1(d)に示すように、音響波を検出し電気信号に変換して出力する複数の探触子30i(30a、30b・・・)と、所定の配列に探触子30を支持するボウル状の支持体35と、を備えている。探触子30i(30a、30b・・)は、圧電現象を利用する素子、光の共振を利用する素子、静電容量の変化を利用する素子など、音響波を検知できるものであれば、どのような素子を用いてもよい。本実施形態において、複数の探触子30i(30a、30b・・・)は、それぞれの指向軸が所定領域において互いに重なるように放射状に配置されている。なお、指向軸は、最も高い受信感度を持つ方向であり、複数の探触子30のそれぞれが備えている。
このように放射状に配列した複数の探触子を備えることにより、音響波装置100は、三次元的に複数方向へ伝搬する音響波を並列に受信できる。この結果、音響波装置100は、測定時間を短縮できたり、微弱な音響波を高感度に受信したりすることが可能となっている。
なお、支持体35は、液槽42の槽内の最下点を有すると言える。一方、排出口40は、液槽42の最下点に設けられることが音響整合液2(2b)の残渣を低減するため好ましい。本実施形態の排出口40は、ボウル状の支持体35の最下点と重なる位置に設けられている。また、排出口40は、複数の探触子30i(30a、30b・・)と等しい高さか、複数の探触子30i(30a、30b・・)より低い位置に配置される。排出口40は、支持体35の底部に設けられているとも換言される。
また、本実施形態の受信部30は、図9に示すように、近赤外光域のパルス光を出力する光源49から出力される近赤外光を伝送する光ファイバー48に光学的に結合された光照射部47を備えている。光照射部47から被検体201に向けて照射された近赤外光により被検体201の内部で発生した光音響波を受信部30が受信するように構成されている。
なお、光音響波は、一般的な超音波装置が受信する超音波エコー信号より強度が微弱である。光音響波信号は、光音響波の伝搬経路に位置する音響整合液2(2a)、2(2b)、保持部25、受信部30の少なくともいずれかに気泡が存在すると、バックグラウンドノイズに対するSN比の低下の影響を超音波エコー信号より強く受ける。一般に、光音響信号は超音波エコー信号より1桁以上強度が低く、場合によっては、2桁以上低い。
<<液槽>>
液槽42は、受信部30が被検体201と音響的に結合する液位まで音響整合液2(2b)が貯留される液槽42を備えている。受信部30と保持部25は、被検体201と音響的に結合するために、液槽42に貯留された音響整合液2(2b)に接していると換言される。
液槽42は、受信部30と槽部42vとを備えている。本実施形態の受信部30は槽部42vと液密に接続されており、液槽42を構成する部分をなしている。本実施形態では、受信部30は、液槽42に固定されているが、液槽42の槽内を移動するように設けられる形態も本発明の形態となる。
<<液供給系>>
音響波装置100は、音響整合液2(2b)を循環して液槽42に供給するように、供給部228と排出部248とを有する液供給系70を備えている。本実施形態の液供給系70は、連絡路75を介して供給部228と排出部248とが接続され、音響整合液2(2b)が循環可能なように構成されている。液供給系70は、不図示のゲートバルブ、リザーバタンク、流量計、液面センサを、供給部228と排出部248の少なくともいずれかに備えている。
本実施形態の排出部248は、排出口40、ゲートバルブ10、排出ポンプP、排出制御ユニット240、排出管244を少なくとも備えている。本実施形態の供給部228は、供給口20、供給制御ユニット220、供給管224を少なくとも備えている。
液供給系70は、液槽42と同様に、大気と接する液面が存在する開放系の構成となっている。本願明細書において、開放系の液供給系70は、音響整合液2(2b)が大気と接する液面を有することを意味する。音響整合液2(2b)が大気と接する液面は、液槽42、リザーバタンク、ポンプ、配管が含まれる。
<<温度制御機構>>
本実施形態の音響波装置100は、液槽42に貯留された音響整合液2(2b)の温度を制御する温度制御機構57を有している。温度制御機構57は、液槽42に配置され、ヒーター、ペルチェ素子、ヒートパイプ等を含む放熱吸熱デバイス576、温調ケーブル574、温度制御回路572を備えている。
<<走査部>>
本実施形態の音響波装置100は、受信部30を被検体201に対して相対的に移動させて走査するXYステージ462を備えた走査部46を備えている。走査部46は、XYステージ462に走査指令信号を送信する走査制御ユニット466を備えている。
走査部46は、受信部30を挿入口22に対して相対的に移動させるように走査するXYステージ462を備えていると換言される。本実施形態のXYステージ462は、受信部30を備える液槽42に接続された構成となっており、液槽42、受信部30、ならびに、音響整合液が、被検体201に対して相対的に移動されるように構成されている。
<<その他の要素>>
本実施形態の音響波装置100は、さらに、受信部30が備える複数の探触子のそれぞれが出力する音響波信号を伝送する複数の信号線60と、複数の信号線を介して受信部30と電気的に接続される信号中継器80とを備えている。信号中継器80は、複数の信号線を介して受信部30から並列に伝送されたアナログの音響波信号を、デジタル音響波信号に変換する不図示のADコンバータを備えている。
信号中継器80は、統合制御ユニット90が備える信号処理回路は、信号中継器80から出力されたデジタルの音響波信号を再構成処理し撮影画像を不図示の記憶媒体、または、表示手段92に出力する。また、不図示の記憶媒体を統合制御ユニット90が備える形態は、本発明の実施形態として含まれる。なお、統合制御ユニット90は、走査制御ユニット466、液供給系70、温度制御機構57に対して制御指令を出力することが可能となっている。
なお、受信部30が備える支持体35は、ボウル状としているが、球面、回転楕円面、回転放物面、回転双曲面等の回転二次曲面、それぞれの一部に置換可能である。
なお、支持台50が備える天板部24または椅子28は、被験者200の撮影時の負担を軽減するために、不図示のクッションが配置される形態をとることができる。また、椅子28は、枕、クッション等の被験者の姿勢を安定化させる手段に置き換え可能である。なお、被験者200の不安感を軽減する意図から、支持台50に不図示の手すり、保護柵等を適宜設けてもよい。
なお、本願明細書における略水平とは、水準器、レーザ変位系等によって可観測な物理量である。本発明に係る音響波装置100における水平には実効的な傾きの許容が存在する。傾き角θのtanθの上限下限は、鉛直方向と垂直な完全水平に対して±0.5mm/m以内である。かかる傾き角に該当するtanθの上限下限は、好ましくは±0.1mm/m以内、より好ましくは±0.04mm/m以内に制限される。
また、本願明細書における略平行とは、略水平と同様に、水準器、レーザ変位系等によって可観測な物理量である。本発明に係る音響波装置100における略平行には実効的な傾きの許容が存在する。かかる傾きの許容幅は対向する2つの面のなす角θに対してtanθで規定される。略平行に関するtanθの上限下限は、好ましくは±0.1mm/m以内、より好ましくは±0.04mm/m以内に制限される。
100 音響波装置
2(2b)(2a) 音響整合液
25 保持部
30 受信部
42b 底部
42 液槽
40 排出口

Claims (19)

  1. 音響整合液を貯留する液槽の底部と被検体を保持する保持部とが略平行に対向して配置された音響波装置において、前記底部と前記保持部の間において、前記保持部と前記底部の双方に接する液密領域が外開きに進行するように前記音響整合液を供給することで、前記底部と前記保持部のそれぞれと接し周囲が前記音響整合液で閉じられた空気溜まりを形成しないように前記間前記音響整合液で液密にする音響整合液の供給方法。
  2. 前記音響整合液は、前記間において、前記液密領域と、空気が前記保持部と前記液槽の少なくとも一方とが接する空隙領域との境界が進行する速度のベクトル成分が、互いに平行か発散しているように前記音響整合液を前記間に供給することを特徴とする請求項に記載の音響整合液の供給方法。
  3. 音響整合液を貯留する液槽の底部と被検体を保持する保持部とが略平行に対向して配置された音響波装置において、
    鉛直方向に見て前記保持部と重なる前記底部の領域を前記音響整合液で液密にする底部液密ステップと、
    前記保持部を前記音響整合液と接触させる保持部液密ステップと、を有し、
    前記保持部液密ステップは、前記底部液密ステップの後に行われることを特徴とする音響整合液の供給方法。
  4. 前記保持部液密ステップは、前記保持部が前記音響整合液により局所的に液密される濡れ開始サブステップを有し、
    前記保持部と前記音響整合液とが液密になる領域を前記局所的に液密にされた濡れ開始部から順次広げていく濡れ拡大サブステップを有することを特徴とする請求項に記載の音響整合液の供給方法。
  5. 前記濡れ開始部は、前記保持部の最下点と重なる部分か、周辺より前記音響整合液に対する接触角が低い部分か、前記保持部のうち前記供給口に最も近い部分の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項に記載の音響整合液の供給方法。
  6. 前記濡れ開始部は前記音響整合液に対する接触角が90度未満となる部分を含むことを特徴とする請求項に記載の音響整合液の供給方法。
  7. 前記底部は、前記保持部より下方に位置し、鉛直方向に見て前記保持部と重ならない部分を有し、
    前記液槽は、前記底部のうち鉛直方向に見て前記保持部と重ならない部分に、前記音響整合液を供給する供給口を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の音響整合液の供給方法。
  8. 前記液槽は、前記保持部に対して相対的に略水平面に沿って移動する走査部に接続され、
    前記供給口は、鉛直方向に見て前記保持部と重ならない状態で、前記液槽に前記音響整合液を供給することを特徴とする請求項に記載の音響整合液の供給方法。
  9. 鉛直方向に見て前記保持部と重なる位置に、前記底部は周囲より低い凹部を有しており、
    前記凹部を前記音響整合液で満たした後に前記保持部液密ステップが行われるように前記音響整合液を前記間に供給することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の音響整合液の供給方法。
  10. 前記底部は、前記凹部の周囲に周辺部を有し
    前記周辺部、前記凹部、前記保持部の順に、前記音響整合液と接触し始めるように前記音響整合液を供給することを特徴とする請求項に記載の音響整合液の供給方法。
  11. 前記凹部、前記周辺部、前記保持部の順に、前記音響整合液と液密となるように前記音響整合液を供給することを特徴とする請求項10に記載の音響整合液の供給方法。
  12. 鉛直方向に見て前記保持部と重なる位置に、前記底部は周囲より低い凹部を有しており、
    前記濡れ開始部は、前記凹部に対する距離において前記供給口より近く、前記供給口に対する距離において前記凹部より近いことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の音響整合液の供給方法。
  13. 前記凹部は、鉛直方向zの下方にむかって、前記音響整合液が貯留される前記液槽の槽内における水平面に平行な面の断面積が減少する位置であって、前記保持部より低い位置に上端を有することを特徴とする請求項乃至12のいずれか1項に記載の音響整合液の供給方法。
  14. 前記上端は、鉛直方向zの下方にむかって、前記断面積のzに対する二階微分が負から正に極性反転する変曲点であることを特徴とする請求項13に記載の音響整合液の供給方法。
  15. 前記上端は、前記液槽の槽内に前記変曲点が複数存在するとき、前記保持部に最も近い位置であることを特徴とする請求項14に記載の音響整合液の供給方法。
  16. 前記凹部は、配列された複数の探触子と、前記複数の探触子を支持するお椀状の支持体と、を備える探触子アレイが囲む領域であり、
    前記複数の探触子の指向軸が前記保持部より上側において互いに重なるように、前記複数の探触子は前記液槽に設けられていることを特徴とする請求項乃至15のいずれか1項に記載の音響整合液の供給方法。
  17. 前記凹部は、前記音響整合液を前記液槽から排出する排出口を備えることを特徴とする請求項乃至16のいずれか1項に記載の音響整合液の供給方法。
  18. 前記底部は、前記凹部の周囲に周辺部を有し、前記供給口は、前記周辺部に設けられていることを特徴とする請求項またはに記載の音響整合液の供給方法。
  19. 前記保持部と前記音響整合液を介して前記被検体に光を照射する光照射部を備えることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の音響整合液の供給方法。
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