JP7014223B2 - 分析装置、診断装置、分析方法及びプログラム - Google Patents

分析装置、診断装置、分析方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、分析装置、診断装置、分析方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体に関する。
水道管等の構造物は、長期間の使用により劣化する。劣化の状態を正確に把握するために、劣化の状態の予測や診断を行うための技術が開発されている。
特許文献1には、機器の劣化度予測方法等が記載されている。特許文献1に記載の機器の劣化度予測方法は、機器の任意の複数個所で求めた劣化度判定のための物理的特性の測定値の極値の統計的分布に基づく再帰期間を用い、該測定値から機器における物理的特性の最大値又は最小値を推定する。そして、特許文献1に記載の機器の劣化度予測方法は、予め求めたおいた材料の劣化度と該特性との関係のデータベースから機器における劣化の最大値を予測する。
特開平2-167463号公報
構造物の故障は、初期故障、突発故障及び磨耗故障に分別される場合がある。供用中の構造物に対しては、突発故障及び磨耗故障に対する考慮が必要となる。そして、構造物の診断に際しては、この双方が評価されることが好ましい。すなわち、特許文献1に記載の技術等に対して、構造物の多様な診断を可能にする技術が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、構造物状態についての精度の高い診断を可能にする分析装置等を提供することを主たる目的とする。
本発明の一態様における分析装置は、構造物の応答に基づいて、非ガウス不規則過程を用いて構造物の時間発展を表すモデルを同定するシステム同定手段と、構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、入力の分布を表す確率モデルを生成する入力モデル化手段と、確率モデルに基づいて、構造物に対する入力信号を生成する入力生成手段と、モデル及び入力信号に基づいて、入力信号に対して構造物に生じる振動の不規則応答を求める応答算出手段と、を備える。
本発明の一態様における診断装置は、分析装置と、分析装置の応答算出手段によって算出された応答に基づいて、構造物に生じる応力を算出する応力算出手段と、応力に基づいて、構造物の突発故障及び磨耗故障に関する信頼度を評価する信頼度評価手段とを備える。
本発明の一態様における分析方法は、構造物の応答に基づいて、非ガウス不規則過程を用いて構造物の時間発展を表すモデルを同定し、構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、入力の分布を表す確率モデルを生成し、確率モデルに基づいて、構造物に対する入力信号を生成し、モデル及び入力信号に基づいて、入力信号に対して構造物に生じる振動の不規則応答を求める。
本発明の一態様におけるコンピュータ読み取り可能記録媒体は、コンピュータに、構造物の応答に基づいて、非ガウス不規則過程を用いて構造物の時間発展を表すモデルを同定する処理と、構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、入力の分布を表す確率モデルを生成する処理と、確率モデルに基づいて、構造物に対する入力信号を生成する処理と、モデル及び入力信号に基づいて、入力信号に対して構造物に生じる振動の不規則応答を求める処理と、を実行させるプログラムを非一時的に格納する。
本発明によると、構造物の状態についての精度の高い診断を可能にする分析装置等を提供することができる。
本発明の第1の実施形態における分析装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態における診断装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態における診断装置及びデータ収集部の構成を示す図である。 分析対象となる配管の1自由度構造モデルによるモデル化の一例を示す図である。 構造物に対する入力の変動及び入力モデル化部によって生成される確率モデルの例を示す図である。 疲労強度信頼度評価部による評価の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態における診断装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態における分析装置によるシステム同定の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態の変形例における診断装置の構成を示す図である。 実施例において推定された振動応答の応答分布の例を示す図である。 実施例において同定された変位復元力特性の例を示す図である。 実施例において推定された水圧分布に関する確率モデルの例を示す。 実施例において評価された応力と引張強度との例を示す。 実施例において劣化を想定した場合に同定された変位復元力特性の例を示す。 本発明の各実施形態における分析装置等を実現する情報処理装置の一例を示す図である。
本発明の各実施形態について、添付の図面を参照して説明する。本発明の各実施形態において、各装置の各構成要素 は、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素の一部又は全部は、例えば図15に示すような情報処理装置1000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現される。情報処理装置1000は、一例として、以下のような構成を含む。
・CPU(Central Processing Unit)1001
・ROM(Read Only Memory)1002
・RAM(Random Access Memory)1003
・RAM1003にロードされるプログラム1004
・プログラム1004を格納する記憶装置1005
・記録媒体1006の読み書きを行うドライブ装置1007
・通信ネットワーク1009と接続する通信インターフェース1008
・データの入出力を行う入出力インターフェース1010
・各構成要素を接続するバス1011
各実施形態における各装置の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム1004をCPU1001が取得して実行することで実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラム1004は、例えば、予め記憶装置1005やRAM1003に格納されており、必要に応じてCPU1001が読み出す。なお、プログラム1004は、通信ネットワーク1009を介してCPU1001に供給されてもよいし、予め記録媒体1006に格納されており、ドライブ装置1007が当該プログラムを読み出してCPU1001に供給してもよい。
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ別個の情報処理装置1000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つの情報処理装置1000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、プロセッサ等を含む汎用または専用の回路 (circuitry)や、これらの組み合わせによって実現される。これらは、単一のチップ によって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップ によって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
各装置の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
なお、以下の実施形態において、構造物は、配管の一つである水道管である場合を想定する。ただし、構造物は、水道管以外の配管であってもよく、また、配管に限られない。また、以下の実施形態における各装置は、水道管等の配管以外の構造物を対象としてもよい。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における分析装置を示す図である。
図1に示すとおり、本発明の第1の実施形態における分析装置100は、システム同定部110と、入力モデル化部120と、入力生成部130と、応答算出部140とを備える。システム同定部110は、構造物の応答に基づいて、構造物の非ガウス不規則過程を用いて構造物の時間発展を表すモデルを同定する。入力モデル化部120は、構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、入力の分布に関する確率モデルを生成する。入力生成部130は、構造物に対する入力の分布を示す確率モデルに基づいて、構造物に対する入力信号を生成する。応答算出部140は、構造物のモデル及び構造物に対する入力信号に基づいて、入力信号に対して構造物に生じる振動の不規則応答を求める。
また、図2に示すように、分析装置100を有する診断装置10が構成される。診断装置10は、分析装置100と、応力算出部150と、信頼度評価部160とを備える。応力算出部150は、構造物の応答に基づいて、構造部に生じる応力を求める。構造物の応答として、応答算出部140にて求められた値が用いられる。信頼度評価部160は、構造物に生じる応力に基づいて、構造物の信頼度を評価する。応力として、応力算出部150によって求められた値が用いられる。
信頼度評価部160は、より詳しくは、負荷・強度信頼度評価部161と、疲労強度信頼度評価部162とを含む。負荷・強度信頼度評価部161は、構造物の突発故障に関する信頼度を示す負荷強度信頼度を求める。疲労強度信頼度評価部162は、構造物の摩耗故障に関する信頼度を示す疲労強度信頼度を求める。総合信頼度評価部163は、構造物の突発故障に関する信頼度を示す負荷強度信頼度と、摩耗故障に関する信頼度を示す疲労強度信頼度とに基づいて、構造物の信頼度を求める。
分析装置100及び診断装置10は、データ収集部180にて収集されたデータを用いて分析や診断を行う。データ収集部180は、構造物に対する入力及び当該入力に対する応答を示すデータを収集する。水道管等の配管を対象とする場合には、データ収集部180は、例えば、振動センサ181と、圧力センサ182とを備える。振動センサ181は、配管又は配管の内部を流れる水等の流体を伝搬する振動を検知する。振動センサ181として、例えば、渦電流型変位センサ、ドップラー型速度センサ、圧電式加速度センサ等が用いられる。
水道管等の配管は、水圧の変動や外部からの加振等によって振動が生じる。つまり、水圧の変動によって、配管に振動が生じる。水圧の変動が構造物への入力となり、水圧の変動に起因して生じた振動が構造物の応答となる。本実施形態において、分析装置100及び診断装置10の各々は、水圧の変動を構造物への入力とし、水圧の変動に起因して生じた振動を応答として分析等を行う。
圧力センサ182は、配管の内部を流れる流体の圧力を検知する。上述のように、圧力の変動が構造物への入力となる。配管が水道管である場合には、圧力センサ182は、水圧を検知する。図3に示すように、振動センサ181は、配管501に設けられた消火栓502等に取り付けられる。また、圧力センサ182は、例えば配管501に取り付けられる。
構造物が水道管である場合、水を放出させる、又は水道管に設けられたポンプを制御する等によって、水道管を流れる水の水圧変動が生じる。この場合に、振動センサ181は、水圧変動により生じた振動である振動応答を検知する。また、圧力センサ182は、水圧変動を検知する。このように検知された入力となる水圧変動及び振動応答のデータを収集することで、分析装置100及び診断装置10による分析又は診断等が行われる。
続いて、本実施形態における分析装置100及び診断装置10の各構成要素について説明する。まず、分析装置100の各構成要素について説明する。
システム同定部110は、構造物の応答に基づいて、構造物の時間発展を表すモデルを同定する。本実施形態では、上述のように、構造物として水道管等の配管を対象とする。システム同定部110は、配管等の構造物に対する応答の確率モデルに基づいて、非ガウス不規則過程を用いて時間発展を表す構造モデルを同定する。
本実施形態では、一例として、配管のモデルが、配管の共振周波数に着目した1自由度の構造モデルにて表される場合が想定される。図4は、想定される構造モデルの例を示す。図4(A)は、モデル化の対象となる配管の断面を示す例であり、図4(B)は、当該配管に対する構造モデルの例である。図4(B)に示す例では、構造モデルは、ばねとダンパーを含む。以下、システム同定部110の動作の具体的な一例として、システム同定部110が、図4(B)に示す構造モデルを同定する場合の例を説明する。図4(A)において、Pは水圧、Xは構造モデルの振動応答の変位、Vは構造モデルの振動応答の速度を表す。
なお、本実施形態では、図4(B)に示す構造モデルの同定の対象となる配管は、鋳鉄管である場合を想定する。そして鋳鉄の材料特性を考慮し、配管は非線形復元力特性を有するとする。配管に対する入力となる水圧変動として、ガウス性の白色雑音で表される水圧の変動が加えられる場合を想定する。ただし、システム同定部110及びシステム同定部110を含む分析装置100等の対象は、このような配管に限られない。また、入力は、ガウス性の入力に限られない。
システム同定部110は、構造モデルの運動方程式を確定的ではない確率過程として扱う。本実施形態において、システム同定部110は、構造モデルをFokker-Planck方程式を用いて表す。Fokker-Planck方程式は、構造物の振動の変位や速度に関する確率密度関数の時間発展を表す運動方程式の一つである。つまり、システム同定部110は、構造物の時間発展を表すモデルとして、構造物の振動の変位や速度の確率密度関数に関する時間的な変化を表すモデルを同定する。システム同定部110においては、一例として、以下の(1)式に基づく構造モデルの同定が考えられる。
Figure 0007014223000001
(1)式において、xは、構造モデルの変位の確率変数、xは、構造モデルの速度の確率変数、tは時間を表す。xは上述したXに対応し、xは上述したVに対応する。f(・)は・を確率変数とする確率密度関数を表す。また、kは、構造モデルにおけるばね定数、cは構造モデルにおけるダンパーの減衰係数とする。また、(1)式では、変位に関して3次の項までが考慮されるものとする。εは2次の非線形係数、μは3次の非線形係数を表す。Dは、入力である水圧変動の拡散係数を表す。Dは、圧力センサ182による検知結果等に基づいて入力の確率密度を求めることで得られる。
Fokker-Planck方程式の理論解の導出は、一般的には困難な場合がある。そこで、本実施形態において、システム同定部110は、確率密度関数に対するモーメントの時間発展を記述するモーメント方程式に基づいてモデルを同定する。E[x]は、確率密度関数f(x)に対するモーメントを表す。
そして、(1)式に対応するモーメント方程式は(2)式のように表される。なお、(2)式において、i及びjの各々は、モーメントの次数を表す。
Figure 0007014223000002
(2)式は、未知のパラメータであるk、c、ε、μに対する線型方程式となる。また、振動センサ181で得られる振動の変位や速度等は、入力である水圧の変動に対するこれらの構造モデルの応答に相当する。つまり、振動センサ181にて検知された振動に基づいて応答の確率密度関数が得られれば、(2)式における高次モーメントの値が定まる。そして、高次モーメントを含む連立方程式に最小二乗法を適用することによって、上述した未知のパラメータが求められる。
なお、応答の確率密度関数f(x,x)は、以下の(3)式のように分解され、そのモーメントは以下(4)式のように求められる。(3)式において、θiは各分布の母数パラメータを示す。
Figure 0007014223000003
Figure 0007014223000004
n次のモーメントは、以下の(5)式で定義される。
Figure 0007014223000005
また、応答の確率密度関数を求める場合には、構造モデルへの入力及び構造モデルの応答について、非ガウス性が考慮されることが好ましい。そこで、応答の確率密度関数は、混合ガウスモデルを用いたEM(Expectation-Maximization)アルゴリズムや、異種混合学習による潜在分布推定アルゴリズム等を用いて求められる。システム同定部110は、これらのアルゴリズムを用いて求められた確率密度関数を用いてモーメントを求める。
上述した未知のパラメータを求める連立方程式は、一例として(6)式のように表される。(6)式においては、4次のモーメントまでが考慮される。また、(6)式は、二次非線形係数εが0である場合を示している。なお、(6)式において、考慮されるモーメントの次数は4次までに限られない。考慮されるモーメントの次数は、例えば対象となる構造物の種類等の種々の要因に応じて適宜定められればよい。
Figure 0007014223000006
そして、(6)式に対して最小二乗法を適用することで、以下に示す(7)式が得られる。
Figure 0007014223000007
(7)式を用いることで、上述した未知のパラメータであるk、c、μが求められる。求められた値が(1)式に適用されることで、構造モデルが同定される。
入力モデル化部120は、構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、入力信号をモデル化する。具体的には、入力モデル化部120は、入力の分布を表す確率モデルを生成する。
構造物が水道管のような配管である場合、内部を流れる水等の流体の圧力の変動が配管に対する入力となる。すなわち、入力モデル化部120は、例えば水圧分布の確率モデルを生成する。
入力モデル化部120は、例えば圧力センサ182によって検知された数日分の水圧の変動を示すデータに基づいて、入力である水圧分布を表す確率モデルを生成する。確率モデルの生成に用いられるデータは、2日以上にわたって圧力センサ182が検知して収集したデータであることが好ましい。ただし、データ収集の期間は特に限定されず、必要とされる精度やデータを収集可能な期間等に応じて定められればよい。図5(A)は、入力される水圧の変動を示すデータの例を示す。
なお、水圧の分布は、一般に概ねガウス分布に従うが、非ガウス性を有する場合がある。ただし、入力モデル化部120において、水圧の分布はガウス分布として扱われてもよい。また、入力モデル化部120において、水圧の分布は、非ガウス過程として取り扱われてもよい。
入力モデル化部120は、上述のように収集された水圧の変動に関するデータに基づいて、例えば既知のアルゴリズムを用いて入力の確率モデルを生成する。入力モデル化部120においては、混合ガウスモデルを用いたEMアルゴリズムや、異種混合学習による潜在分布アルゴリズム等が用いられる。図5(B)は、入力モデル化部120によって生成される確率モデルの例を示す。
入力生成部130は、入力モデル化部120によってモデル化された、構造物に対する入力の確率モデルに基づいて、構造物に対する入力信号を生成する。入力生成部130は、入力モデル化部120によって生成された確率モデルを確率変数に対して解き、一様分布を用いて生成された乱数を与えることで入力信号を生成する。生成された入力信号は、例えば一定時間の水圧の変化を示す信号となる。
応答算出部140は、システム同定部110によって同定された構造物のモデルと、入力生成部130にて生成された構造物に対する入力信号に基づいて、入力信号に対して構造物に生じる振動の不規則応答の分布を求める。
応答算出部140は、例えばルンゲクッタ法等の公知の数値積分法を用いて、入力信号に対する不規則応答を求める。すなわち、応答算出部140は、入力モデル化部120にて生成された確率モデルの分布に従う、入力生成部130にて生成された不規則信号である入力信号を上述した手法に沿って数値積分することで、構造物の不規則応答の分布を得る。構造物のモデルとして、上述のように求められたパラメータk、c、μに基づいて同定されたモデルが適宜用いられる。
続いて、診断装置10の各構成要素について説明する。
応力算出部150は、応答算出部140によって求められた構造物の不規則応答に基づいて、配管等の構造物に生じる応力を求める。
構造物の変位と応力との関係は、一例として以下の(8)式にて表される。
Figure 0007014223000008
(8)式において、Uは、配管の鉛直方向変位を表す。Uは振動センサ181にて検知された変位や、応答算出部140にて求められた構造物の変位の不規則応答の分布に相当する。Uθは配管の円周方向変位を表し、配管の形状関数を指定することで関係式が求められる。wの形状関数として、余弦関数w=w*cos2θとの関数が用いられた場合には、UθはUθ=-Uθ0*sin2θ/2との関係が求められる。これらを(8)式の微分演算に代入し、θ=0とすることで応力が求められる。また、Rは配管の半径、Eは配管の弾性係数、hは配管の肉厚、Aは配管の断面積、Lは配管の長さを表す。A、h及びLについて、A=hLとの関係が成り立つ。vはポアソン比を表す。
信頼度評価部160は、応力算出部150によって求められた構造物に生じる応力の分布に基づいて、構造物に関する信頼度を評価する。信頼度評価部160は、配管等の構造物に関する突発故障と磨耗故障とを総合的に評価する。
構造物の故障は、信頼性理論により説明される場合がある。この場合に、供用中の構造物においては、突発故障及び磨耗故障の双方に対する信頼度の評価が必要となる。突発故障に関する信頼度は、例えば公知の負荷・強度モデルを用いて表される。負荷・強度モデルは、構造物の強度と、構造物に対して負荷が初めて加えられる確率とに基づいて定められる。摩耗故障に関する信頼度は、負荷・サイクルのモデル又は極値統計モデルを用いて表される。信頼度評価部160は、配管等の構造物に関する突発故障と磨耗故障に関する信頼度をそれぞれ評価する。そして、信頼度評価部160は、各々に対して評価された突発故障と磨耗故障に関する信頼度に基づいて、構造物の強度に関する信頼度を評価する。
上述のように、信頼度評価部160は、負荷・強度信頼度評価部161と、疲労強度信頼度評価部162と、総合信頼度評価部163とを含む。
負荷・強度信頼度評価部161は、負荷強度信頼度を求める。より詳しくは、負荷・強度信頼度評価部161は、応力の分布に基づいて、負荷・強度モデルを用いて配管等の構造物の負荷強度信頼度を求める。負荷・強度モデルとして、上述のように、公知のモデルが適宜用いられる。負荷・強度信頼度評価部161によって求められた信頼度は、突発故障に関する信頼度に関連する。以下、負荷・強度信頼度評価部161によって表される信頼度をRと表す。
疲労強度信頼度評価部162は、疲労強度信頼度を求める。より詳しくは、疲労強度信頼度評価部162は、応力の分布及び構造物の疲労強度に基づいて、例えばレインフロー法等の手法を用いて配管等の構造物の疲労強度信頼度を求める。疲労強度信頼度評価部162によって求められた信頼度は、磨耗故障に関する信頼度に関連する。以下、疲労強度信頼度評価部162によって表される信頼度をRと表す。
図6に示すように、構造物疲労強度は、構造物に応力が加えられるサイクル数と、当該サイクル数において許容される応力の振幅の大きさとの関係として表される。疲労強度信頼度評価部162は、応力の過程の振幅と頻度とを分解し、応力の分布のうち、最も頻度の高い応力の振幅に対応する疲労強度のサイクル数を寿命とすることで、構造物の寿命を求める。そして、疲労強度信頼度評価部162は、寿命の逆数を故障率として、以下の(9)式に基づいて、信頼度Rを求める。なお、Tは寿命となるサイクル数を示し、tは時間を示す。
Figure 0007014223000009
総合信頼度評価部163は、負荷・強度信頼度評価部161にて求められた突発故障に関する信頼度の評価結果と、疲労強度信頼度評価部162にて求められた磨耗故障と関する信頼度の評価結果とに基づき、構造物の信頼度を評価する。
構造物が配管である場合に、配管の故障は、突発故障又は摩耗故障のいずれが生じた場合においても機能の停止に至る可能性がある。つまり、配管においては、突発故障又は摩耗故障のいずれの場合においても、漏洩等が生じ、交換が必要になる等の可能性がある。
そのため、本実施形態においては、信頼度評価部160は、配管等の構造物において突発故障及び摩耗故障の双方が考慮された信頼度を求める。より詳しくは、信頼度評価部160は、以下の(10)式を用いて信頼度を求める。すなわち、信頼度評価部160は、2つの信頼度の積を、配管等の構造物において突発故障及び摩耗故障の双方が考慮された総合的な信頼度とする。
Figure 0007014223000010
続いて、図7に示すフローチャートを参照して、分析装置100及び診断装置10の動作を説明する。
最初に、データ収集部180によって、構造物の入力及び応答が計測される(ステップS11)。図3に示すように、構造物が配管である場合には、圧力センサ182によって、配管への入力である水圧の変動が計測され、振動センサ181によって、配管の応答である振動が計測される。分析装置100及び診断装置10は、有線又は無線の通信ネットワークや、任意の種類の記録媒体等を介して計測されたデータを取得する。
ステップS12からステップS15までの処理は、主に分析装置100の各要素によって実行される。まず、システム同定部110は、構造物のシステム同定を実行する(ステップS12)。実行される処理の詳細については後述する。
入力モデル化部120は、入力信号をモデル化する(ステップS13)。すなわち、入力モデル化部120は、データ収集部180の圧力センサ182にて検知された水圧変動等を示すデータに基づいて、入力信号に関する確率モデルを生成する。
ステップS13に続いて、入力生成部130は、ステップS13にて生成された確率モデルを用いて、構造物に加えられる入力信号を生成する(ステップS14)。
なお、ステップS12の処理と、ステップS13及びS14の処理との2つの処理の実行の順序は制限されない。これらの処理は、図7に示すフローチャートのように、並列に実行されてもよい。また、これらの処理は、任意の順序で逐次的に実行されてもよい。
続いて、応答算出部140は、構造物の不規則応答を算出する(ステップS15)。応答算出部140は、ステップS14にて得た構造物への入力信号と、ステップS12にて生成された構造物のモデルに基づいて、既知の手法等を用いて不規則応答の分布を算出する。ステップS15では、応答算出部140は、少なくとも、変位についての応答の分布を求める。
応力算出部150は、ステップS15にて求められた不規則応答に基づいて、構造物に生じる応力の分布を算出する(ステップS16)。応力算出部150は、主に、ステップS15にて求められた変位の分布に基づいて応力の分布を求める。
続いて、ステップS17からS19までの処理においては、信頼度評価部16によって、構造物の信頼度が評価される。
まず、負荷・強度信頼度評価部161は、負荷・強度信頼度を評価する(ステップS17)。すなわち、負荷・強度信頼度評価部161は、突発故障に関する信頼度を評価する。
疲労強度信頼度評価部162は、疲労強度信頼度を評価する(ステップS18)。すなわち、疲労強度信頼度評価部162は、磨耗故障に関する信頼度を評価する。
なお、ステップS17の処理とステップS18の処理との実行の順序は制限されない。図7に示すフローチャートのように、これらの処理は並列に実行されてもよい。又は、これらの処理は任意の順序で逐次的に実行されてもよい。
続いて、総合信頼度評価部163は、ステップS17にて求められた負荷・強度信頼度と、ステップS18にて求められた疲労強度信頼度とに基づいて、構造物の信頼度を評価する。(ステップS19)。
また、ステップS12におけるシステム同定は、詳細には図8に示すフローチャートに沿って実行される。図8に示すフローチャートを参照して、システム同定部110によるシステム同定の動作を説明する。
最初に、システム同定部110は、システム同定の対象となる構造物において、データ収集部180の振動センサ181によって計測された振動のデータを取得する(ステップS101)。
続いて、システム同定部110は、ステップS101によって計測された振動のデータに基づいて、応答の確率密度関数を推定する(ステップS102)。
続いて、システム同定部110は、ステップS102において推定された応答の確率密度関数を用いて、確率密度関数に関するモーメントを算出する(ステップS103)。この場合に、システム同定部110は、予め定められた次数までの高次モーメントを算出する。また、システム同定部110は、高次モーメントの最大の次数に関する指定を受け付けてもよい。
続いて、システム同定部110は、上述した構造モデルに関連するパラメータを算出する(ステップS104)。パラメータの算出によって、構造物の構造モデルが同定される。
以上の通り、本実施形態における分析装置100は、構造物の応答の分布に基づいて、非ガウス不規則過程を用いて構造物の時間発展を表すモデルを同定する。そして、分析装置100は、当該時間発展を表すモデルに基づいて、構造物に加えられる入力に対する応答や、構造物に生じる応力を分布として求める。
非線形性が考慮されないガウス性の範囲でのモデルにおいては、構造物が漸硬ばね特性を有する場合には、応答分布、すなわち応力分布が過大評価されうる。また、このようなモデルにおいては、構造物が漸軟ばね特性を有する場合には、応力分布が過小評価されうる。この結果として、構造物に対する上述した信頼度Rが正しく評価されない場合がある。
一方、分析装置100においては、非ガウス性のモデルが同定される。そのため、上述した問題が回避可能となる。また、突発故障が負荷・強度モデルにて表されることから、上述のように応力の評価と強度の評価が実現されることで、突発故障に関する信頼度の評価が可能となる。
したがって、分析装置100によって求められた結果を用いることで、磨耗故障に限らず、突発故障を考慮した、信頼度の正確な評価が可能となる。すなわち、分析装置100及び診断装置10は、構造物の状態についての精度の高い診断を可能にする。
(変形例)
上述した実施形態に示す分析装置100及び診断装置10には、変形例が考えられる。以下に変形例の一部を示す。
図9は、上述した実施形態の変形例における診断装置11の構成を示す。図9に示すように、診断装置11は、先に説明した診断装置10と比較すると、強度推定部170を備える点が診断装置10と異なる。
強度推定部170は、振動センサ181によって検知された構造物の振動に基づいて、データの収集が行なわれた際の構造物の強度を推定する。強度推定部170は、公知の手法を適宜用いて、データの収集が行なわれた際における構造物の推定引張強度及び推定疲労強度を求める。この場合に、強度推定部170は、例えばこれらの強度の分布を求める。
そして、本変形例では、負荷・強度信頼度評価部161は、強度推定部170によって推定された構造物の推定引張強度の分布と、応力算出部150によって求められた応力の分布とに基づいて、構造物の負荷・強度信頼度を評価する。同様に、疲労強度信頼度評価部162は、強度推定部170によって推定された構造物の推定疲労強度の分布と、応力算出部150によって求められた応力の分布とに基づいて、構造物の疲労強度信頼度を評価する。
このように強度推定部170を備える場合にも、診断装置11は、診断装置10と同様の効果を奏する。
(実施例)
上述した診断装置10等を、構造物の信頼度の診断へ適用した。本実施例では、共用後の水道管を対象として、信頼度を診断する実験を行なった。水道管として、口径が100mm(ミリメートル)、長さが5m(メートル)の普通ねずみ鋳鉄管が用いられた。供試される水道管に対して、試験用リグによって通水した。
供試される水道管は、両端に消火栓を有し、末端は閉じられているものとした。水道管の内部の水に流れがないようにした。
また、水道管の上流側には加圧ポンプが設置された。そして、上流側の消火栓には動水圧加振器が設置された。下流側の消火栓には、振動センサ181として、渦電流式変位センサ及びレーザードップラー振動速度計が設置された。また、下流側の消火栓には、圧力センサ182として動水圧センサが設置された。
上述した水道管に対して、内部に通水された水の静水圧を0.6MPa(メガパスカル)として、動水圧加振器を用いて白色雑音系列を発生させて水道管が加振された。そして、動水圧加振器による加振に対する振動応答及び水圧応答が上述した各センサによって計測された。この場合に、振動応答の計測は、計測レンジが±10V(ボルト)、AD(Analog-to-digital)変換のビット数が16ビット、サンプリング周波数が3kHzとの条件で行われた。計測は5000秒間行われた。
渦電流式変位センサ及びレーザードップラー振動速度計によって計測されたデータに基づいて、システム同定部110は、振動応答の確率密度関数を求めた。この場合に、システム同定部110は、振動応答を次数が3次の混合ガウスモデルに適合した。システム同定部110は、確率密度関数の推定にEMアルゴリズムを用いた。そして、25回のステップを繰り返すことによって母数パラメータの推定値の収束が確認された。
図10は、振動応答が3次の混合ガウスモデルに適合された場合の例を示す。すなわち、図10(A)は、計測された振動応答の変位を示し、図10(B)は、当該計測値に基づいて推定された変位の分布についての確率密度関数を示す。図10(C)は、計測された振動応答の速度を示し、図10(D)は、該計測値に基づいて推定された速度の分布についての確率密度関数を示す。
続いて、システム同定部110は、求めた確率密度関数より、高次のモーメントを求めた。そして、システム同定部110は、求めた高次のモーメントを用いて、(7)式に基づいてモデルを同定した。図11は、システム同定部110によって同定された変位復元力特性を示す。図11において、点線はセンサによって得られた実際の値である真値を示し、実線は同定されたモデルを用いて求められた値を示す。
図11に示すように、2つの値の差異が小さく、同定されたモデルと実際の水道管の振る舞いとがよく一致していることが確認された。すなわち、同定されたモデルについて、非線形性を含む復元力特性が得られたことが確認された。
続いて、入力モデル化部120によって、入力となる水圧分布の確率モデル化が行われた。水圧変動のデータとして、同口径かつ同材質である実運用中の鋳鉄管において計測された2日間分のデータが用いられた。入力モデル化部120では、モデル化において、単変量のガウス分布にEMアルゴリズムが用いられた。そして、5回のステップを繰り返すことにより、母数パラメータの推定が収束することが確認された。図12は、水圧分布及び確率モデルの例を示す。図12(A)は、計測された水圧分布である。また、図12(B)は、図12(A)に示す水圧分布に基づいて、入力モデル化部120によって推定された確率モデルの例を示す。
そして、応答算出部140は、上述した確率モデルを用いて水道管の応答を求めた。応力算出部150は、応答算出部140で得られた応答に基づいて水道管に生じる応力を求めた。
応力が求められると、信頼度評価部160は、信頼度を評価した。なお、信頼度評価部160は、信頼度の評価に際して、「Jesson DA, Mohebbi H, Farrow J, Mulheron MJ, Smith PA. (2013) “On the condition assessment of cast iron trunk main: The effect of microstructure and in-service graphitisation on mechanical properties in flexure”. Materials Science and Engineering A, 576, pp. 192-201.」に記載された引張強度の値を用いた。図13は、上記の文献に記載された引張強度の値と比較することで求められた、応力と引張強度との関係を求めた結果を示す。
負荷・強度信頼度評価部161は、負荷・強度信頼度Rを、R=0.99995と求めた。疲労強度信頼度評価部162は、疲労強度信頼度Rを、R=0.999997と求めた。そして、信頼度評価部160は、信頼度R及びRに基づき、上述した(10)式を用いて信頼度をR=0.999947と求めた。
求められた信頼度Rは、負荷・強度信頼度Rよりも小さい値として求められている。そのため、診断装置10によって、安全側に信頼度が評価されることが確認された。すなわち、故障により水道管が機能を停止しうることを見逃す可能性が小さくなるように信頼度が評価されることが確認された。
続いて、システム同定部110において同定された構造モデルに対して、更に劣化を模擬した場合における信頼性の評価が行なわれた。この場合には、劣化の一例として、システム同定部110によって求められた構造モデルに含まれるばね定数kの値が5%(パーセント)小さく変更された。この場合の構造モデルの例を図14に示す。変更された構造モデルを用いて、応答算出部140は、水道管の応答を求め、応力算出部150は、応答に基づいて水道管に生じる応力を求めた。
そして、信頼度評価部160は、変更された構造モデルを用いて求められた応力に基づいて信頼度を評価した。この場合に、負荷・強度信頼度評価部161は、負荷・強度信頼度Rを、R=0.99994と求めた。疲労強度信頼度評価部162は、疲労強度信頼度Rを、R=0.999994と求めた。そして、信頼度評価部160は、信頼度R及びRに基づき、上述した(10)式を用いて信頼度をR=0.999934と求めた。
この場合において、求められた信頼度Rの値は、先の例における信頼度Rよりも小さい値である。すなわち、診断装置10は、劣化の状態に応じて適切に劣化度を評価することが確認された。
また、この場合においても、信頼度Rは、負荷・強度信頼度Rよりも小さい値として求められた。そのため、先の例と同様に、診断装置10によって、安全側に信頼度が評価されることが確認された。つまり、劣化を模擬した場合においても、故障により水道管が機能を停止しうることを見逃す可能性が小さくなるように、信頼度が評価されることが確認された。
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施形態及び実施例における構成は、本発明のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
この出願は、2017年3月31日に出願された日本出願特願2017-70399を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
この発明の一部又は全部は、以下の付記のようにも表されるが、これに限られない。
(付記1)
構造物の応答の分布に基づいて、非ガウス不規則過程を用いて前記構造物の時間発展を表すモデルを同定するシステム同定手段と、
前記構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、前記入力の分布を表す確率モデルを生成する入力モデル化手段と、
前記確率モデルに基づいて、前記構造物に対する入力信号を生成する入力生成手段と、
前記モデル及び前記入力信号に基づいて、前記入力信号に対して前記構造物に生じる振動の不規則応答を求める応答算出手段と、
を備える分析装置。
(付記2)
前記システム同定手段は、前記応答である振動の変位及び速度の確率密度関数に基づいて前記モデルを同定する、付記1に記載の分析装置。
(付記3)
前記システム同定手段は、前記振動の変位及び速度の前記確率密度関数の時間発展を表す前記モデルを同定する、付記2に記載の分析装置。
(付記4)
前記システム同定手段は、前記振動の変位及び速度の前記確率密度関数についてのモーメントに基づいて前記モデルを同定する、付記2又は3に記載の分析装置。
(付記5)
前記構造物は配管である、付記1から4のいずれか一項に記載の分析装置。
(付記6)
前記入力モデル化手段は、所定の期間に収集された前記配管を流れる流体の圧力の変動に基づいて、圧力の分布を示す前記確率モデルを生成する、付記5に記載の分析装置。
(付記7)
前記入力生成手段は、前記確率モデルに基づいて、前記圧力の変動を表す前記入力信号を生成する、付記6に記載の分析装置。
(付記8)
前記応答算出手段は、前記入力信号が表す前記圧力の変動に対して前記構造物に生じる振動の不規則応答を求める、付記7に記載の分析装置。
(付記9)
付記1から8のいずれか一項に記載の分析装置と、
前記分析装置の応答算出手段によって算出された前記応答に基づいて、前記構造物に生じる応力を算出する応力算出手段と、
前記応力に基づいて、前記構造物の突発故障及び磨耗故障を含む信頼度を評価する信頼度評価手段とを備える、
診断装置。
(付記10)
前記信頼度評価手段は、
前記構造物の突発故障に関する信頼度を示す負荷強度信頼度を評価する負荷強度信頼度評価手段と、
前記構造物の磨耗故障に関する信頼度を示す疲労強度信頼度を評価する疲労強度信頼度評価手段と、
前記負荷強度信頼度及び前記疲労強度信頼度に基づいて前記構造物の信頼度を評価する総合信頼度評価手段とを含む、
付記9に記載の診断装置。
(付記11)
前記負荷強度信頼度評価手段は、前記応力及び前記応力と前記構造物の強度との関係に基づいて、前記負荷強度信頼度を評価する、
付記10に記載の診断装置。
(付記12)
前記総合信頼度評価手段は、前記応力及び前記構造物の疲労強度に基づいて、前記疲労強度信頼度を評価する、
付記10に記載の診断装置。
(付記13)
前記総合信頼度評価手段は、前記負荷強度信頼度及び前記疲労強度信頼度との積に基づいて、前記構造物の前記信頼度を求める、
付記10から12のいずれか一項に記載の診断装置。
(付記14)
構造物の応答に基づいて、非ガウス不規則過程を用いて前記構造物の時間発展を表すモデルを同定し、
前記構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、前記入力の分布を表す確率モデルを生成し、
前記確率モデルに基づいて、前記構造物に対する入力信号を生成し、
前記モデル及び前記入力信号に基づいて、前記入力信号に対して前記構造物に生じる振動の不規則応答を求める、
分析方法。
(付記15)
コンピュータに、
構造物の応答に基づいて、非ガウス不規則過程を用いて前記構造物の時間発展を表すモデルを同定する処理と、
前記構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、前記入力の分布を表す確率モデルを生成する処理と、
前記確率モデルに基づいて、前記構造物に対する入力信号を生成する処理と、
前記モデル及び前記入力信号に基づいて、前記入力信号に対して前記構造物に生じる振動の不規則応答を求める処理と、
を実行させるプログラム。
10 診断装置
100 分析装置
110 システム同定部
120 入力モデル化部
130 入力生成部
140 応答算出部
150 応力算出部
160 信頼度評価部
161 負荷・強度信頼度評価部
162 疲労強度信頼度評価部
163 総合信頼度評価部
170 強度推定部
180 データ収集部
181 振動センサ
182 圧力センサ

Claims (10)

  1. 構造物の応答の分布に基づいて、非ガウス性の確率過程を用いて前記構造物の時間発展を表す構造モデルを同定するシステム同定手段と、
    前記構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、前記入力の分布を表す確率モデルを生成する入力モデル化手段と、
    前記確率モデルに基づいて、前記構造物に対する入力信号を生成する入力生成手段と、
    前記構造モデル及び前記入力信号に基づいて、前記入力信号に対して前記構造物に生じる振動の不規則応答を求める応答算出手段と、
    を備える分析装置。
  2. 前記システム同定手段は、前記応答である振動の変位及び速度の確率密度関数に基づいて前記構造モデルを同定する、請求項1に記載の分析装置。
  3. 前記システム同定手段は、前記振動の変位及び速度の前記確率密度関数の時間発展を表す前記構造モデルを同定する、請求項2に記載の分析装置。
  4. 前記システム同定手段は、前記振動の変位及び速度の前記確率密度関数についてのモーメントに基づいて前記構造モデルを同定する、請求項2又は3に記載の分析装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の分析装置と、
    前記分析装置の応答算出手段によって算出された前記応答に基づいて、前記構造物に生じる応力を算出する応力算出手段と、
    前記応力に基づいて、前記構造物の突発故障及び磨耗故障を含む信頼度を評価する信頼度評価手段とを備える、
    診断装置。
  6. 前記信頼度評価手段は、
    前記構造物の突発故障に関する信頼度を示す負荷強度信頼度を評価する負荷強度信頼度評価手段と、
    前記構造物の磨耗故障に関する信頼度を示す疲労強度信頼度を評価する疲労強度信頼度評価手段と、
    前記負荷強度信頼度及び前記疲労強度信頼度に基づいて前記構造物の信頼度を評価する総合信頼度評価手段とを含む、
    請求項5に記載の診断装置。
  7. 前記負荷強度信頼度評価手段は、前記応力及び前記応力と前記構造物の強度との関係に基づいて、前記負荷強度信頼度を評価する、
    請求項6に記載の診断装置。
  8. 前記総合信頼度評価手段は、前記応力及び前記構造物の疲労強度に基づいて、前記疲労強度信頼度を評価する、
    請求項7に記載の診断装置。
  9. 構造物の応答に基づいて、非ガウス性の確率過程を用いて前記構造物の時間発展を表す構造モデルを同定し、
    前記構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、前記入力の分布を表す確率モデルを生成し、
    前記確率モデルに基づいて、前記構造物に対する入力信号を生成し、
    前記構造モデル及び前記入力信号に基づいて、前記入力信号に対して前記構造物に生じる振動の不規則応答を求める、
    分析方法。
  10. コンピュータに、
    構造物の応答に基づいて、非ガウス性の確率過程を用いて前記構造物の時間発展を表す構造モデルを同定する処理と、
    前記構造物に対する入力の変動を示すデータに基づいて、前記入力の分布を表す確率モデルを生成する処理と、
    前記確率モデルに基づいて、前記構造物に対する入力信号を生成する処理と、
    前記構造モデル及び前記入力信号に基づいて、前記入力信号に対して前記構造物に生じる振動の不規則応答を求める処理と、
    を実行させるプログラム。
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