JP7009262B2 - ガスセンサ素子及びガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質体および一対の電極を備えるガスセンサ素子、並びにガスセンサ素子を備えるガスセンサに関する。
ガスセンサとして、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度に応じて電気的特性が変化するガスセンサ素子を備えるセンサが知られている。このガスセンサ素子として、先端が閉じた有底筒状の固体電解質体と、この固体電解質体の内表面に形成された内側電極(基準電極)と、固体電解質体の外表面の先端部に形成された外側電極(検知電極)と、を備える構成が用いられている。このようなガスセンサは、例えば、燃焼器や内燃機関から排出される排気ガス中に含まれる特定ガスのガス濃度を検出するために好適に用いられる。
又、ガスセンサ素子の電極材料として導電性酸化物を用いる技術が開示されている(特許文献1)。電極材料として導電性酸化物を用いることで、電気抵抗値が低くなって特に低温でのガス検出精度(低温活性)が向上すると共に、電極材料として貴金属のみを用いる場合に比べてコストを低下させることができる。
一方、ジルコニアを主体とする固体電解質体に焼結助剤としてアルミナを含有させて焼結すると、低温焼結であっても固体電解質体が緻密になることが知られている。固体電解質体を低温焼結すれば、高温で焼成する場合に比べ、電極材料の導電性酸化物の昇華等を抑制できるので、電極の電気抵抗の上昇を抑制できると共に、ジルコニアとの反応相が増えて電極部分の厚みが薄くなることも抑制できる。
特開2010-20928号公報
しかしながら、固体電解質体に含まれるアルミナは絶縁体であるため、ガスセンサ素子の内部抵抗が増大し、低温活性が低下するという問題がある。特に、低温(300℃以下)におけるガスセンサ素子の内部抵抗は、固体電解質体と電極との界面抵抗の寄与が高いため、低温における内部抵抗を低減させるためには、界面での電気抵抗を低減することが重要となる。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、導電性酸化物を電極として使用するために固体電解質体を低温焼結可能とするとともに、低温活性に優れたガスセンサ素子及びガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサ素子は、ジルコニアを主体とし、アルミナを含む固体電解質体と、前記固体電解質体上に配置された一対の電極と、を少なくとも備えるガスセンサ素子であって、前記一対の電極のうち少なくとも一方は、一般式、ABOで表されるペロブスカイト型の導電性酸化物を含み、前記固体電解質体のうち、前記導電性酸化物を含む電極との界面から5μmまでの第1の深さ領域R1における第1のアルミナ濃度をC1が、前記界面から15μm以上20μm以下の第2の深さ領域R2における第2のアルミナ濃度をC2としたとき、C1/C2で表される濃度比が1.2未満、C1/C2で表される濃度比が0.3以下である。
このガスセンサ素子によれば、ジルコニアを主体とし、アルミナを含む固体電解質体において、導電性酸化物を含む電極と固体電解質体との界面近傍となる第1の深さ領域R1の第1のアルミナ濃度C1を減少させることで、界面付近の固体電解質体の酸素イオン導電性が向上し、界面での電気抵抗が減少する。これにより、特に低温におけるガスセンサ素子の内部抵抗を低減し、導電性酸化物を含む電極の使用と相俟って低温活性を向上させることができる。
又、固体電解質体がアルミナを含んで低温焼結可能とされるので、導電性酸化物を電極として使用しても焼結時の導電性酸化物の昇華等を抑制し、電極の電気抵抗の上昇等の不具合を抑制できる。
また、このガスセンサ素子によれば、界面での電気抵抗がさらに減少し、低温活性をさらに向上させることができる。


本発明のガスセンサ素子において、前記ペロブスカイト型の導電性酸化物のAサイトを構成する元素は、Laを必須とし、さらに希土類元素、アルカリ土類金属元素、及びアルカリ金属元素から選ばれる1種類以上の元素であり、Bサイトを構成する元素は、金属元素から選ばれる1種類の元素、又は2種類以上の元素であってもよい。
このガスセンサ素子によれば、電極の電気抵抗がさらに減少し、低温活性をさらに向上させることができる。
本発明のガスセンサは、測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子を備えるガスセンサであって、前記ガスセンサ素子として、請求項1~3に記載のガスセンサ素子を備える。
この発明によれば、導電性酸化物を電極として使用するために固体電解質体を低温焼結可能とするとともに、低温活性に優れたガスセンサ素子及びガスセンサが得られる。
ガスセンサを軸線O方向に破断した状態を示す説明図である。 ガスセンサ素子の外観を示す正面図である。 ガスセンサ素子の構成を示す断面図である。 図3に示すガスセンサ素子のうち点線で囲まれた領域D1を拡大した拡大断面図である。 実施例1のガスセンサ素子の断面のEPMA元素マッピング像である。 比較例1のガスセンサ素子の断面のEPMA元素マッピング像である。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
本発明の実施形態のガスセンサとして、内燃機関の排気管に対して先端部分を排気管内に突出させる形態で装着し、排気ガス中の酸素を検出する酸素センサ(以下、ガスセンサ1ともいう)を例に挙げて説明する。なお、ガスセンサ1は、例えば、自動車またはオートバイ等の車両の排気管に備えられる。
まず、本実施形態のガスセンサ1の構成について、図1を用いて説明する。図1では、図面下方向がガスセンサの先端側であり、図面上方向がガスセンサの後端側である。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3、セパレータ5、閉塞部材7、端子金具9、リード線11を備える。さらに、ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3、セパレータ5、および閉塞部材7の周囲を覆う様に配置される主体金具13、プロテクタ15、外筒16を備えている。なお、外筒16は、内側外筒17および外側外筒19を備えている。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3を加熱するためのヒータを備えていない、いわゆるヒータレスのセンサであり、排気ガスの熱を利用してガスセンサ素子3を活性化して酸素を検出するものである。
図2は、ガスセンサ素子3の外観を示す正面図である。ガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を用いて形成されており、先端部25が閉塞された有底筒型形状であり、軸線O方向に延びる円筒状の素子本体21を有している。この素子本体21の外周には、径方向外向きに突出した素子鍔部23が周設されている。
素子本体21を構成する固体電解質体は、ジルコニア(ZrO)を主体とし、ジルコニアに安定化剤としてイットリア(Y)又はカルシア(CaO)を添加し、さらにアルミナを含む部分安定化ジルコニア焼結体を用いて構成されている。
なお、「ジルコニアを主体とする」とは、固体電解質体全体に対するジルコニアの含有割合が50質量%を超えることをいう。
ガスセンサ素子3の先端部25には、素子本体21の外周面に外側電極27が形成されている。外側電極27は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。素子鍔部23の先端側(図2下方)には、Pt等で形成された環状の環状リード部28が形成されている。又、素子本体21の外周面のうち外側電極27と環状リード部28との間には、Pt等で形成された縦リード部29が軸線O方向に延びるように形成されている。縦リード部29は、外側電極27と環状リード部28とを電気的に接続している。
一方、図1に示すとおり、ガスセンサ素子3の素子本体21の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30は、一般式、ABOで表されるペロブスカイト型の導電性酸化物を含む材料を多孔質に形成したものである。ガスセンサ素子3の先端部25(検知部)において、外側電極27が測定対象ガスに晒され、内側電極30が基準ガス(大気)に晒されることで、測定対象ガス中の酸素濃度を検出している。
セパレータ5は、電気絶縁性を有する材料(例えばアルミナ)で形成された円筒形状の部材である。セパレータ5は、その軸中心に、リード線11が貫挿される貫通孔35が形成されている。セパレータ5は、その外周側を覆う内側外筒17との間に空隙18が設けられるように配置されている。
閉塞部材7は、電気絶縁性を有する材料(例えばフッ素ゴム)で形成された円筒形状のシール部材である。閉塞部材7は、その後端に径方向外向きに突出する突出部36を備える。閉塞部材7は、その軸中心にリード線11が挿通されるリード線挿通孔37を備えている。閉塞部材7の先端面95は、セパレータ5の後端面97に密着し、閉塞部材7のうち突出部36よりも先端側の側方外周面98は、内側外筒17の内面に密着している。即ち、閉塞部材7は、外筒16の後端側を閉塞している。
閉塞部材7の後端向き面99は、外側外筒19の縮径部19gの先端向き面19aとの間で、リード線保護部材89の鍔部89bを挟持する。このうち、縮径部19gは、閉塞部材7よりも後端側にて、径方向内側に延びており、縮径部19gの先端向き面19aは、ガスセンサ1の先端側に向く面として備えられている。縮径部19gの中央領域には、リード線11およびリード線保護部材89を挿通するためのリード線挿通部19cが形成されている。
リード線保護部材89は、リード線11を収容可能な内径寸法を有する筒状部材であり、可撓性、耐熱性および絶縁性を有する材料(例えば、ガラスチューブや樹脂チューブなど)で構成されている。リード線保護部材89は、リード線11を外部からの飛来物(石や水など)から保護するために備えられる。リード線保護部材89は、先端側端部89aにおいて、軸線方向の垂直方向における外向きに突出する板状の鍔部89bを備える。鍔部89bは、リード線保護部材89の周方向の一部ではなく、全周にわたり形成されている。鍔部89bは、外筒16(詳細には、外側外筒19)の縮径部19gの先端向き面19aと閉塞部材7の後端向き面99との間に挟持される。
端子金具9は、導電性材料(例えばインコネル750(英インコネル社、商標名))で形成されており、センサ出力を外部に取り出すための導電性材料で構成される筒状部材である。端子金具9は、リード線11に電気的に接続されると共に、ガスセンサ素子3の内側電極30に電気的に接触するように配置されている。端子金具9は、その後端側に径方向(軸線方向と垂直の方向)の外向きに突出するフランジ部77を備えている。フランジ部77は、3枚の板状のフランジ片75を備えている。
リード線11は、芯線65と、その芯線65の外周を覆う被覆部67と、を備えて構成されている。
主体金具13は、金属材料(例えば鉄またはSUS430)で形成された円筒状の部材である。主体金具13には、内周面において径方向内側に向かって張り出した段部39が周設されている。段部39は、ガスセンサ素子3の素子鍔部23を支持するために備えられている。
主体金具13のうち先端側の外周面には、ガスセンサ1を排気管に取付けるためのネジ部41が形成されている。主体金具13のうちネジ部41の後端側には、ガスセンサ1を排気管に着脱する際に取付工具を係合させる六角部43が形成されている。更に、主体金具13のうち六角部43の後端側には、筒状部45が設けられている。
プロテクタ15は、金属材料(例えばSUS310S)で形成されており、ガスセンサ素子3の先端側を覆う保護部材である。プロテクタ15は、その後端縁が、導電性材料で形成されたパッキン88を介して、ガスセンサ素子3の素子鍔部23と主体金具13の段部39との間に挟まれるようにして固定されている。
ガスセンサ素子3のうち素子鍔部23の後端側領域においては、主体金具13とガスセンサ素子3との間に、先端側から後端側にかけて、滑石で形成されたセラミック粉末47と、アルミナで形成されたセラミックスリーブ49と、が配置されている。
更に、主体金具13の筒状部45の後端部51の内側には、金属材料(例えばSUS430)で形成された金属リング53と、金属材料(例えばSUS304L)で形成された内側外筒17の先端部55と、が配置されている。内側外筒17の先端部55は、径方向外向きに広がる形状に形成されている。つまり、筒状部45の後端部51が加締められることで、内側外筒17の先端部55が、金属リング53を介して筒状部45の後端部51とセラミックスリーブ49との間に挟持されて、内側外筒17が主体金具13に固定される。
また、内側外筒17の外周には、樹脂材料(例えばPTFE)で形成された筒状のフィルタ57が配置されると共に、フィルタ57の外周には、例えばSUS304Lで形成された外側外筒19が配置されている。フィルタ57は、通気は可能であるが水分の侵入は抑制できるものである。
そして、外側外筒19の加締め部19bが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17とフィルタ57と外側外筒19とが一体に固定される。また、外側外筒19の加締め部19hが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17と外側外筒19とが一体に固定され、閉塞部材7の側方外周面98が、内側外筒17の内面に密着することとなる。
なお、内側外筒17および外側外筒19は、それぞれ通気孔59、61を備えており、各通気孔59、61及びフィルタ57を介して、ガスセンサ1の内部と外部との通気が可能である。
次に、ガスセンサ素子3の構成について説明する。ガスセンサ素子3は、上述の通り、素子本体21と、外側電極27と、環状リード部28と、縦リード部29、内側電極30と、を備えている。
図3は、ガスセンサ素子3の構成を示す断面図である。図4は、図3に示すガスセンサ素子3のうち点線で囲まれた領域D1を拡大した拡大断面図である。
ガスセンサ素子3の先端部25においては、外側電極27および内側電極30が素子本体21を挟み込むように配置されている。素子本体21および一対の電極(外側電極27および内側電極30)は、酸素濃淡電池を構成して、測定対象ガスのガス濃度に応じた起電力(電圧)を発生する。つまり、ガスセンサ素子3の先端部25(検知部)において、外側電極27が測定対象ガスに晒され、内側電極30が基準ガス(大気)に晒されることで、測定対象ガス中の酸素濃度を検出している。
外側電極27は、上述の通り、縦リード部29を介して環状リード部28に電気的に接続されている。環状リード部28は、導電性材料で形成されたパッキン88およびプロテクタ15を介して、主体金具13に電気的に接続されている。なお、外側電極27を覆うように、外側電極27を保護するための電極保護層(図示省略)を形成してもよい。なお、外側電極27の形状や配置は単なる一例であり、これ以外の種々の形状や配置を採用可能である。
一方、ガスセンサ素子3の素子本体21の内周面には、上述の組成の材料からなる内側電極30が形成されている。内側電極30は、内側検知電極部30aと、内側リード部30bと、を有している。内側検知電極部30aは、素子本体21の先端部25の内表面を覆うように形成されている。内側リード部30bは、内側検知電極部30aの後端側を覆うように接続されており、端子金具9(図1参照)と電気的に接続される。内側検知電極部30aおよび内側リード部30bは、全体として素子本体21の内面の全面を覆うように形成されている。
つまり、ガスセンサ素子3の素子本体21は、先端側領域F1に外側電極27および内側検知電極部30aが形成され、後端側領域F2に縦リード部29および内側リード部30bが形成されている。素子本体21の先端側領域F1は、素子本体21の先端部25に相当する。
図4に示すように、固体電解質体である素子本体21のうち、導電性酸化物を含む内側電極30との界面Sから5μmまでの第1の深さ領域R1における第1のアルミナ濃度をC1、界面Sから15μm以上20μm以下の第2の深さ領域R2における第2のアルミナ濃度をC2としたとき、C1/C2で表される濃度比が1.2未満である。C1/C2は、後述するAlのモル比である。
ジルコニアを主体とし、アルミナを含む固体電解質体において、界面S近傍の領域R1の第1のアルミナ濃度C1を減少させることで、界面S付近の固体電解質体の酸素イオン導電性が向上し、界面Sでの電気抵抗が減少する。これにより、特に低温におけるガスセンサ素子3の内部抵抗を低減し、導電性酸化物を含む電極の使用と相俟って低温活性を向上させることができる。
又、固体電解質体がアルミナを含んで低温焼結可能とされるので、導電性酸化物を電極として使用しても焼結時の導電性酸化物の昇華等を抑制し、電極の電気抵抗の上昇等の不具合を抑制できる。
C1/C2で表される濃度比が0.3以下であると、界面Sでの電気抵抗がさらに減少するので好ましい。
内側電極30に用いられる、一般式ABOで表されるペロブスカイト型の導電性酸化物としては以下が例示される。
例えば、Aサイトを構成する元素は、Laを必須とし、さらに希土類元素、アルカリ土類金属元素、及びアルカリ金属元素から選ばれる1種類以上の元素である。又、Bサイトを構成する元素は、金属元素から選ばれる1種類の元素、又は2種類以上の元素である。
具体的な導電性酸化物としては、例えばLaaMbNicOx…(1)
が挙げられる。ここで、元素MはCoとFeのうちの一種以上を表し、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75である。係数a,b,cは以下の関係を満たすことが好ましい。
0.459≦a≦0.535…(2a)
0.200≦b≦0.475…(2b)
0.025≦c≦0.350…(2c)
上記組成式で表される組成を有するペロブスカイト型導電性酸化物は、室温(25℃)での導電率が250S/cm以上で、かつB定数が600K以下となり、これらの関係を満たさない場合に比べて導電率が高くB定数が小さいという良好な特性を有する。
係数b,cに関しては、上記(2b),(2c)の代わりに下記の(3b),(3c)を満足するようにしてもよい。
0.200≦b≦0.375…(3b)
0.125≦c≦0.300…(3c)
この場合、導電率を更に高くするとともに、B定数を更に小さくすることができる。
上記(1)式のO(酸素)の係数xに関しては、上記組成を有する導電性酸化物がすべてペロブスカイト相からなる場合には、理論上はx=1.5となる。但し、酸素が量論組成からずれることがあるので、典型的な例として、xの範囲を1.25≦x≦1.75と規定している。
次に、ガスセンサ素子3の製造方法の一例について説明する。
まず、第1工程では、素子本体21の材料である固体電解質体の粉末として、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)を5mol%添加したもの(「5YSZ」ともいう)に対して、さらに平均粒子径が0.1~0.5μmのアルミナ粉末を添加したものを用意する。素子本体21の材料粉末全体を100質量%としたとき、5YSZの含有量は99.6質量%であり、アルミナ粉末の含有量は0.4質量%である。この粉末をプレス加工した後、筒型形状となるように切削加工を実施することで、未焼結成形体を得る。
次に、第2工程では、導電性酸化物のスラリー(内側検知電極部30aのスラリー)を作製する。スラリーの作製においては、例えば、導電性酸化物の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整し、700~1300℃で1~5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等による粉砕を行い所定の粒度に調整する。このとき、ペロブスカイト相の原料粉末としては、例えば、La(OH)又はLa、並びに、Co、Fe、及びNiOを用いることができる。
次に、希土類添加セリアの原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調製し、大気雰囲気下、1000~1600℃で1~5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等による粉砕を行い所定の粒度に調整する。希土類添加セリアの原料粉末としては、CeOの他に、La、Gd、Sm、Y等を利用することができる。
そして、所定の粒子サイズに調整された2種類の仮焼粉末を、湿式ボールミル等により混合し、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製する。
なお、本実施形態では、ペロブスカイト相の仮焼粉末としては、比表面積が8.0[m/g]のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末を得た。また、希土類添加セリアの仮焼粉末としては、比表面積が32.1[m/g]のGDC(20mol%Gd-CeO)粉末を得た。
内側リード部30bのスラリーの作製工程は、上記した内側検知電極部30aのスラリーの作製工程と比べて、少なくとも希土類添加セリアの原料粉末を混合しない点と、造孔材を添加する点、が異なる。内側リード部30bのスラリーの作製においては、例えば、導電性酸化物の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整する。本実施形態では、ペロブスカイト相の原料粉末として、比表面積が1.5[m/g]のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末を用いた。この粉末に対してカーボンを30体積%添加したものを、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製した。
次に、第3工程では、未焼結成形体のうち、外側電極27、内側電極30(内側検知電極部30a、内側リード部30b)の形成部分に、それぞれのスラリーを塗布する。
まず、外側電極27の形成部分にPtペースト等の貴金属のスラリーを塗布する。次に、内側電極30のスラリーを塗布する。
なお、外側電極27のスラリーは塗布に限らず、印刷や静電噴霧等、種々の方法を採用して付着させてもよい。
次の第4工程では、各スラリーが塗布された未焼結成形体について、乾燥を行った後、所定の焼成温度で焼成する。
上記の各工程を実施することで、ガスセンサ素子3を製造できる。
本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、ガスセンサ素子(固体電解質体)は、有底筒型に限られることはなく、板型であってもよい。又、ABOで表されるペロブスカイト型の導電性酸化物を含む電極は、外側電極であってもよく、一対の電極の両方でもよい。
又、一対の電極と固体電解質体とからなるセルは、上述の検出セルに限らず、例えばNOxセンサのポンプ電極と固体電解質体とからなるポンプセルでもよい。
上記したガスセンサ素子3の製造方法に従って、実施例のガスセンサ素子3を製造した。素子本体21の材料粉末全体を100質量%としたとき、5YSZの含有量は99.6質量%であり、アルミナ粉末の含有量は0.4質量%であった。
又、内側電極30のスラリーとしては、ペロブスカイト相の原料粉末として比表面積が8.0[m/g]のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末と比表面積が32.1[m/g]のGDC(Gd-CeO)粉末を用い、LFN粉末とGDC粉末とが1:1となるように調合した原料粉末混合物を用いた。
又、比較例1として、素子本体21を所定の焼成温度で焼成した後に、外側電極27及び内側電極30の上記スラリーを塗布し、再度1000℃で焼成してガスセンサ素子3を製造した。
得られた実施例及び比較例のガスセンサ素子3につき、低温作動性(低温活性)を評価した。低温作動性とは、低温(例えば、300℃以下)環境下でもガス検出が可能であることを示す指標である。ガスセンサ素子のうち、外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が高いものほど低温作動性が劣るものであり、外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が低いものほど低温作動性が優れるものである。
低温作動性は、ガスセンサ素子の外側電極27と内側電極30との間の内部抵抗値を測定し、内部抵抗値に基づいて評価した。具体的には、ガスセンサ素子をガスセンサに組み付けた状態で、そのガスセンサを公知のバーナー測定装置に取り付けて、バーナー測定法によりガスセンサ素子の内部抵抗値を測定した。詳細には、素子温度300℃で空燃比λ=0.9(リッチ)におけるセンサ出力を、抵抗値が異なる2つの抵抗素子(1MΩ、100kΩ)を用いてオシロスコープで検出し、その出力差に基づいてガスセンサ素子の内部抵抗値を算出した。
又、実施例及び比較例のガスセンサ素子3につき、固体電解質の厚み方向のアルミナの含有量を、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定した。
具体的には、ガスセンサ素子3を長手方向に切断して図3の領域D1の断面を得た後、これを研磨し、EPMA装置を用いて、倍率2000倍、30×30μm視野において特性X線の強度から、Alの元素マッピングを行った。そして、得られた元素マッピング像において、図4に示す第1の深さ領域R1、第2の深さ領域R2内の任意の3×3μm視野をそれぞれ選択し、R1の特性X線の強度とR2の特性X線の強度からAlのモル比を算出した。このAlのモル比を、固体電解質中のアルミナ濃度の比C1/C2と定義した。
得られた結果を表1及び図5、図6に示す。
Figure 0007009262000001
表1に示すように、比較例1のガスセンサ素子の場合、C1/C2で表される濃度比が1.2であるのに対し、実施例1、2のガスセンサ素子の場合、C1/C2で表される濃度比が0.2、0.3と、いずれも1.2未満であり、その結果、ガスセンサ素子の内部抵抗値が比較例1よりも低くなり、低温活性に優れることがわかった。
図5、図6は、それぞれ実施例1及び比較例1のガスセンサ素子3の上記断面のEPMA元素マッピング像である。
又、図5に示すように、実施例1のガスセンサ素子の場合、固体電解質体と電極との間の界面S近傍の第1の深さ領域R1において、アルミナ由来のAlが殆ど検出されていないのに対し、図6に示すように、比較例のガスセンサ素子の場合、界面S近傍の第1の深さ領域R1を含む固体電解質体全体にAlが一様に分布していることがわかる。
1 ガスセンサ
3 ガスセンサ素子
21 固体電解質体(素子本体)
27 外側電極(一対の電極)
30 内側電極(一対の電極)

Claims (3)

  1. ジルコニアを主体とし、アルミナを含む固体電解質体と、前記固体電解質体上に配置された一対の電極と、を少なくとも備えるガスセンサ素子であって、
    前記一対の電極のうち少なくとも一方は、一般式、ABOで表されるペロブスカイト型の導電性酸化物を含み、
    前記固体電解質体のうち、前記導電性酸化物を含む電極との界面から5μmまでの第1の深さ領域R1における第1のアルミナ濃度をC1、前記界面から15μm以上20μm以下の第2の深さ領域R2における第2のアルミナ濃度をC2としたとき、C1/C2で表される濃度比が1.2未満
    C1/C2で表される濃度比が0.3以下であるガスセンサ素子。
  2. 前記ペロブスカイト型の導電性酸化物のAサイトを構成する元素は、Laを必須とし、さらに希土類元素、アルカリ土類金属元素、及びアルカリ金属元素から選ばれる1種類以上の元素であり、Bサイトを構成する元素は、金属元素から選ばれる1種類の元素、又は2種類以上の元素である請求項1に記載のガスセンサ素子。
  3. 測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子を備えるガスセンサであって、前記ガスセンサ素子として、請求項1又は2に記載のガスセンサ素子を備えるガスセンサ。
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