JP7008671B2 - 荷電粒子線装置および分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子線装置および分析方法に関する。
固体試料表面に電子線を入射した際に、試料表面から放出される電子は、大きく分けて二次電子と反射電子(背面散乱電子)がある。二次電子は、元来、試料に存在した電子であり、試料の形態や、仕事関数、オージェ電子など、試料の表面状態に関する重要な情報を持っている。これに対して、反射電子は、入射電子線で打ち込まれた電子であり、試料の平均原子番号や、結晶方位、プラズモンロスなど、試料の表面よりもやや深い結晶構造に関する情報を持っている。
ここで、電子の持つ静電エネルギーUは、下記の式のように、電子の運動エネルギーKと、電子が発生した場所のポテンシャルエネルギーPの和として表すことができる。
=K+P(eV)
静電エネルギーUは、エネルギー保存則により常に一定である。
一般的な電子顕微鏡において、電子銃で発生した電子の運動エネルギーKはほぼゼロであり、電子銃で発生した電子のポテンシャルエネルギーPは、加速電圧Eを受けて、Eとなる。すなわち、電子銃で発生した電子は、K=0、P=Eである。電子銃で発生した電子は、その静電エネルギーを保ったまま試料に照射され、接地された試料表面では、電子のポテンシャルエネルギーPはゼロとなり、電子の運動エネルギーKはEとなる。すなわち、接地された試料表面の電子は、K=E、P=0である。
試料表面で発生した二次電子は、接地されていれば常にポテンシャルエネルギーPは、ゼロ(P=0)であるため、試料表面で発生した二次電子が持つエネルギーはすべて運動エネルギーKとなる。これを利用して、発生した二次電子の運動エネルギーを分光分析することで、オージェピークを検出し、元素分析を行う方法がオージェ電子分光法である。
しかしながら、上記の手法では、二次電子と反射電子(背面散乱電子)が区別できない。したがって、二次電子および反射電子を合わせたトータルの電子のスペクトルを測定することになるため、バックグラウンドが大きくなり、感度が悪い。
例えば、特許文献1には、試料から発生した二次電子と反射電子を分離することによって反射電子信号を効率よく検出するために、電子源から試料までの光学系上に、試料で生じた反射電子と二次電子の軌道を分離する電磁界を設け、生じた反射電子の軌道上に反射電子を検出する反射電子検出器を設けた電子顕微鏡が開示されている。
特開平7-192679号公報
上述した、オージェ電子分光法などの分析方法において、二次電子由来の信号と反射電子由来の信号を区別することができれば、より質の高い分析が可能となる。
(1)本発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
荷電粒子線源と、
前記荷電粒子線源から放出された一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、
前記試料にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加部と、
前記試料に第1バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトル、および前記試料に前記第1バイアス電圧とは異なる第2バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルに基づいて、前記二次電子の信号成分を抽出する解析部と、
を含み、
前記解析部は、前記第1スペクトルと前記第2スペクトルとの差を求め、前記差に基づいて前記二次電子の信号成分を抽出する
このような荷電粒子線装置では、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて二次電子の信号成分を抽出することができる。これにより、二次電子のスペクトルを取得できる。
(2)本発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
荷電粒子線源と、
前記荷電粒子線源から放出される一次荷電粒子線の運動エネルギーを変動させるエネルギー印加部と、
前記一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、
前記一次荷電粒子線を第1運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトル、および前記一次荷電粒子線を前記第1運動エネルギーとは異なる第2運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルに基づいて、前記反射荷電粒子の信号成分を抽出する解析部と、
を含む。
このような荷電粒子線装置では、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて反射荷電粒子の信号成分を抽出することができる。これにより、反射荷電粒子のスペクトルを取得できる。
(3)本発明に係る分析方法の一態様は、
荷電粒子線源と、前記荷電粒子線源から放出された一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、を含む荷電粒子線装置における分析方法であって、
前記試料に第1バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトルを取得する工程と、
前記試料に前記第1バイアス電圧とは異なる第2バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルを取得する工程と、
前記第1スペクトルおよび前記第2スペクトルに基づいて、前記二次電子の信号成分を抽出する工程と、
を含み、
前記二次電子の信号成分を抽出する工程では、前記第1スペクトルと前記第2スペクトルとの差を求め、前記差に基づいて前記二次電子の信号成分を抽出する
このような分析方法では、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて二次電子の信号成分を抽出することができる。これにより、二次電子のスペクトルを取得できる。
(4)本発明に係る分析方法の一態様は、
荷電粒子線源と、前記荷電粒子線源から放出された一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、を含む荷電粒子線装置における分析方法であって、
前記一次荷電粒子線を第1運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトルを取得する工程と、
前記一次荷電粒子線を前記第1運動エネルギーとは異なる第2運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルを取得する工程と、
前記第1スペクトルおよび前記第2スペクトルに基づいて、前記反射荷電粒子の信号成分を抽出する工程と、
を含む。
このような分析方法では、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて反射荷電粒子の信号成分を抽出することができる。これにより、反射荷電粒子のスペクトルを取得できる。
第1実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 試料表面から放出される電子のエネルギーの分布を示す図。 バイアス電圧を変動させた場合に試料表面から放出される電子のエネルギーの分布を示す図。 バイアス電圧を変動させたときのスペクトルの変化を示す図。 バイアス電圧を変動させたときのスペクトルの変化を示す図。 バイアス電圧を変動させたときのスペクトルの変化を示す図。 二次電子の信号成分を抽出する手法を説明するための図。 解析部の処理の一例を示すフローチャート。 解析部の処理の一例を示すフローチャート。 第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 加速電圧を変動させた場合に、試料表面から放出される電子のエネルギーの分布を示す図。 加速電圧を変化させたときのスペクトルの変化を示す図 加速電圧を変化させたときのスペクトルの変化を示す図 加速電圧を変化させたときのスペクトルの変化を示す図 反射電子の信号成分を抽出する手法を説明するための図。 解析部の処理の一例を示すフローチャート。 解析部の処理の一例を示すフローチャート。 第3実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
また、以下では、本発明に係る荷電粒子線装置として、電子線を照射して試料の観察を行う電子顕微鏡を例に挙げて説明するが、本発明に係る荷電粒子線装置は電子線以外の荷電粒子線(イオンビーム等)を照射して試料の観察を行う装置であってもよい。
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を示す図である。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子銃10(荷電粒子線源の一例)と、加速電圧電源20と、電子分光器30と、バイアス電圧印加装置40(バイアス電圧印加部の一例)と、解析部50と、を含む。なお、電子顕微鏡100は、例えば、走査電子顕微鏡であってもよいし、透過電子顕微鏡であってもよい。また、電子顕微鏡100は、オージェマイクロプローブであってもよい。
電子銃10は、電子線(一次荷電粒子線の一例)を発生させる。電子銃10では、陰極から放出された電子は、陰極と陽極との間に印加された加速電圧によって加速されて電子銃10から放出される。加速電圧電源20は、加速電圧を供給する。
図示はしないが、電子顕微鏡100は、電子線を試料に照射するための照射光学系を有している。照射光学系によって、電子銃10から放出された電子線が、試料Sに照射される。照射光学系は、例えば、集束レンズ、対物レンズ、絞り、および偏向器などを含む。例えば、電子顕微鏡100が走査電子顕微鏡や走査透過電子顕微鏡である場合、照射光学系は、電子線を試料S上で走査するための走査偏向器を含んでいる。
電子分光器30は、電子線(一次荷電粒子線の一例)が試料Sに照射されることによって試料Sから放出される二次電子や反射電子(反射荷電粒子の一例)を含む電子(粒子の一例)を分光して検出する。電子分光器30は、入射した電子を運動エネルギーによって振り分けて、特定のエネルギーを持つ電子の数を計数することができる。電子分光器30
を用いることによって、横軸がエネルギー、縦軸が検出された電子の数(強度)で表されるスペクトルを得ることができる。電子分光器30は、例えば、静電半球型アナライザである。
バイアス電圧印加装置40は、試料Sにバイアス電圧を印加する。バイアス電圧印加装置40では、所望のバイアス電圧を試料Sに印加することができる。バイアス電圧印加装置40は、試料Sに印加されるバイアス電圧を変動させることができる。
解析部50は、電子分光器30の出力信号を取得し、当該出力信号に基づいてスペクトルを取得する。解析部50は、互いに異なるバイアス電圧で測定された複数のスペクトルに基づいて、二次電子の信号成分を抽出することができる。解析部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)および記憶装置(RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)など)を含む。解析部50では、CPUで記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、各種計算処理、各種制御処理を行う。
1.2. 原理
電子顕微鏡100では、試料Sに電子線を照射して試料Sから放出された電子を電子分光器30で検出して得られた電子のスペクトルから二次電子の信号成分を抽出して、二次電子のスペクトルを得ることができる。以下、この原理について説明する。
図2は、試料Sに電子線を照射して試料表面から放出される電子のエネルギーの分布、すなわち電子のエネルギースペクトルを示す図である。図3は、試料に印加されるバイアス電圧を変動させた場合に、試料表面から放出される電子のエネルギーの分布を示す図である。
図2に示すように、試料Sに電子線を照射して試料表面から放出される電子のスペクトルは、二次電子の信号成分と、反射電子(背面散乱電子)の信号成分と、を含む。二次電子は、電子線の試料内での非弾性散乱によって、試料を構成する原子から励起された電子である。反射電子は、電子線が試料に照射された際に、散乱の過程で後方散乱したもので
ある。
電子線を照射して試料表面から放出される電子を電子分光器30で検出してスペクトルを測定する際に、試料に印加されるバイアス電圧を変動させると、図3に示すように、二次電子の信号成分が変動する。このとき、反射電子の信号成分は変動しない。この時の二次電子の静電ポテンシャルUSEは、次式の通りである。
SE=K+P=K+V+ΔV(eV)
ただし、Kは運動エネルギーであり、Pはポテンシャルエネルギーであり、Vはバイアス電圧であり、ΔVはバイアス電圧の変動分である。
例えば、バイアス電圧Vを、V≒0にすると、二次電子ピークは本来のエネルギー値を中心に変動する。
図4は、試料に印加されるバイアス電圧を変動させたときのスペクトルの変化を示す図である。図5は、図4の低エネルギー側を拡大した図であり、図6は、図4の高エネルギー側を拡大した図である。図4~図6には、ΔV=+3Vのときのスペクトル、ΔV=+2Vのときのスペクトル、ΔV=+1Vのときのスペクトル、ΔV=0Vのときのスペクトル、ΔV=-1Vのときのスペクトル、ΔV=-2Vのときのスペクトル、およびΔV=-3Vのときのスペクトルを図示している。
図5に示すように、バイアス電圧を変化させると、二次電子に由来するピークは変動する。これに対して、図6に示すように、反射電子に由来するピークは、変動しない。このように、試料に印加されるバイアス電圧を変動させると、二次電子の信号成分が変動し、反射電子の信号成分は変動しない。
図7は、二次電子の信号成分を抽出する手法を説明するための図である。
上述したように、試料に印加されるバイアス電圧を変動させると、二次電子の信号成分が変動し、反射電子の信号成分は変動しない。そのため、例えば、図7に示すように、試料に第1バイアス電圧を印加した状態における電子の第1スペクトルS1、および試料に第1バイアス電圧とは異なる第2バイアスを印加した状態における電子の第2スペクトルS2に基づいて、二次電子の信号成分を抽出することができる。例えば、第1スペクトルS1と第2スペクトルS2の差を求め、当該差に基づいて二次電子の信号成分を抽出できる。
具体的には、第1スペクトルS1と第2スペクトルS2の差S1-S2を求めると、図7に示すように、差スペクトルS3が得られる。なお、差スペクトルS3は、縦軸が第1スペクトルS1の強度と第2スペクトルS2の強度の差、横軸が電子のエネルギーで示される。
バイアス電圧を変動させると二次電子の信号成分は変動するため、差スペクトルS3には、第1スペクトルS1および第2スペクトルS2の二次電子に由来するピークに対応して、例えば、正のピークおよび負のピークが対となって現れる。これに対して、バイアス電圧を変動させても反射電子に由来するピークは変動しないため、差スペクトルS3には、第1スペクトルS1および第2スペクトルS2の反射電子に由来するピークに対応するピークは現れない。したがって、第1スペクトルS1と第2スペクトルS2の差S1-S2を求めることによって、二次電子の信号成分を抽出できる。
1.3. 処理
図8は、解析部50の処理の一例を示すフローチャートである。
解析部50は、まず、第1スペクトルを取得する(S10)。第1スペクトルは、バイアス電圧印加装置40で試料Sに第1バイアス電圧を印加した状態で試料Sに電子線を照射し、試料Sから放出される電子を電子分光器30で検出して得られるスペクトルである。
次に、解析部50は、第2スペクトルを取得する(S12)。第2スペクトルは、バイアス電圧印加装置40で試料Sに第1バイアス電圧とは異なる第2バイアス電圧を印加した状態で試料Sに電子線を照射し、試料Sから放出される電子を電子分光器30で検出して得られるスペクトルである。
次に、解析部50は、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて、二次電子の信号成分を抽出する(S14)。例えば、解析部50は、第1スペクトルと第2スペクトルの差を求め、当該差に基づいて二次電子の信号成分を抽出する。
以上の処理により、二次電子の信号成分を抽出できる。
1.4. 二次電子像の生成
電子顕微鏡100では、走査偏向器によって試料S上で電子線を走査し、試料S上の各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルを測定することで、二次電子像を取得できる。
具体的には、まず、試料S上の各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルを測定する。例えば、最初の照射位置において試料Sに第1バイアス電圧を印加して第1スペクトルを測定し、次に、試料Sに第2バイアス電圧を印加して第2スペクトルを測定する。次の照射位置においても同様に、試料Sに第1バイアス電圧を印加して第1スペクトルを測定し、次に、試料Sに第2バイアス電圧を印加して第2スペクトルを測定する。これを繰り返すことで、試料S上の各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルを測定できる。
なお、試料Sに第1バイアス電圧を印加した状態で試料S上で電子線を走査することによって、各照射位置における第1スペクトルを測定し、次に、試料Sに第2バイアス電圧を印加した状態で試料S上で電子線を走査することによって、各照射位置における第2スペクトルを測定してもよい。
次に、解析部50が、各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて、二次電子像を生成する。
図9は、解析部50の処理の一例を示すフローチャートである。
解析部50は、上記のようにして測定された各照射位置の第1スペクトルおよび第2スペクトルを取得する(S20)。
次に、解析部50は、各照射位置ごとに、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて二次電子の信号成分を抽出する(S22)。
次に、解析部50は、各照射位置ごとに、二次電子の強度を求める(S24)。ここで、電子のエネルギースペクトルに現れる二次電子のピークは、物質固有である。そのため、二次電子の強度として元素に固有のピークの強度を求めることで、元素の分布を示す像
を得ることができる。二次電子の強度は、例えば、差スペクトルS3において、peak
to peak値(正のピークのピーク値と負のピークのピーク値の差)である。なお、二次電子の強度は、差スペクトルS3において、ピークの積分強度であってもよい。
次に、解析部50は、各照射位置ごとの二次電子の強度に基づいて、二次電子像を生成する(S26)。例えば、各照射位置における二次電子の強度を、各照射位置に対応する画素の明るさとして二次電子の強度の分布を示す二次電子像を生成する。二次電子の強度として元素に固有のピークの強度を求めた場合には、元素の分布を示す像を生成することができる。
以上の処理により、二次電子像を生成することができる。
1.5. 効果
電子顕微鏡100では、試料Sに第1バイアス電圧を印加した状態で電子分光器30で電子を検出して得られた第1スペクトル、および試料Sに第1バイアス電圧とは異なる第2バイアス電圧を印加した状態で電子分光器30で電子を検出して得られた第2スペクトルに基づいて、二次電子の信号成分を抽出する解析部50を含む。また、電子顕微鏡100では、解析部50は、第1スペクトルと第2スペクトルとの差を求め、当該差に基づいて二次電子の信号成分を抽出する。
そのため、電子顕微鏡100では、試料Sから放出された電子のスペクトルから二次電子の信号成分を抽出でき、二次電子のスペクトルを得ることができる。
例えば、二次電子を検出する二次電子検出器を用いたとしても、二次電子検出器では、二次電子と反射電子を明確に区別して検出することはできない。これに対して、電子顕微鏡100では、上述したように、試料に印加されるバイアス電圧を変動させることによって二次電子の信号成分を抽出して二次電子のスペクトルを得るため、二次電子検出器を用いた場合と比べて、二次電子と反射電子を明確に区別することができる。
電子顕微鏡100では、解析部50は、試料S上の各照射位置ごとに、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて二次電子の信号成分を抽出する処理と、各照射位置ごとの二次電子の強度に基づいて、二次電子の強度の分布を示す二次電子像を生成する。そのため、電子顕微鏡100では、反射電子の影響が低減された二次電子像を取得できる。
2. 第2実施形態
2.1. 電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図10は、第2実施形態に係る電子顕微鏡200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る電子顕微鏡200において、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100では、試料Sに印加されるバイアス電圧を変動させることによって、試料Sから放出される電子のエネルギースペクトルから二次電子の信号成分を抽出して二次電子のスペクトルを取得した。
これに対して、電子顕微鏡200では、電子銃10から放出される電子線の運動エネルギーを変動させることによって、試料Sから放出される電子のエネルギースペクトルから反射電子の信号成分を抽出して反射電子のスペクトルを取得する。
電子顕微鏡200では、加速電圧を変動させることによって、電子線の運動エネルギー
を変動させる。加速電圧電源20は、加速電圧を変動させる変動電圧印加部22を含む。加速電圧電源20は、電子線の運動エネルギーを変動させるエネルギー印加部として機能する。
2.2. 原理
電子顕微鏡200では、試料Sに電子線を照射して試料Sから放出された電子を電子分光器30で検出して得られた電子のスペクトルから反射電子の信号成分を抽出して、反射電子のスペクトルを取得できる。以下、この原理について説明する。
図11は、加速電圧を変動させた場合に、試料表面から放出される電子のエネルギーの分布を示す図である。
電子線を照射して試料表面から放出される電子を電子分光器30で検出してスペクトルを測定する際に、電子線の運動エネルギーを変動させると、図11に示すように、反射電子の信号成分が変動する。このとき、二次電子の信号成分は変動しない。この時の反射電子の静電ポテンシャルUEPは、次式の通りである。
EP=K+P=0+E+ΔE(eV)
ただし、Eは加速電圧であり、ΔEは加速電圧の変動分である。ΔEは、例えば、変動電圧印加部22が発生させる。
図12は、加速電圧を変化させたときのスペクトルの変化を示す図である。図13は、図12の高エネルギー側を拡大した図であり、図14は、図12の低エネルギー側を拡大した図である。図12~図14には、スペクトルA、スペクトルB、およびスペクトルCを図示している。なお、スペクトルAは、加速電圧が1990V(E=2000V、ΔE=-10V)であり、スペクトルBは、加速電圧が2000V(E=2000V、ΔE=0V)であり、スペクトルCは、加速電圧が2010V(E=2000V、ΔE=+10V)である。
図13に示すように、加速電圧を変化させると、反射電子に由来するピークは変動する。これに対して、図14に示すように、二次電子に由来するピークは、変動しない。このように、加速電圧を変動させると、反射電子の信号成分が変動し、二次電子の信号成分は変動しない。
図15は、反射電子の信号成分を抽出する手法を説明するための図である。
上述したように、加速電圧を変動させて電子の運動エネルギーを変動させると、反射電子の信号成分が変動し、二次電子の信号成分は変動しない。そのため、例えば、図15に示すように、電子の運動エネルギーを第1運動エネルギーにした状態における第1スペクトルS1、および電子の運動エネルギーを第1運動エネルギーと異なる第2運動エネルギーにした状態における第2スペクトルS2に基づいて、反射電子の信号成分を抽出することができる。例えば、第1スペクトルS1と第2スペクトルS2の差を求め、当該差に基づいて二次電子の信号成分を抽出できる。
具体的には、第1スペクトルS1と第2スペクトルS2の差S1-S2を求めると、図15に示すように、差スペクトルS3が得られる。なお、差スペクトルS3は、縦軸が第1スペクトルS1の強度と第2スペクトルS2の強度の差、横軸が電子のエネルギーで示される。
加速電圧を変動させて電子の運動エネルギーを変動させると、反射電子の信号成分は変
動するため、差スペクトルS3には、第1スペクトルS1および第2スペクトルS2の反射電子に由来するピークに対応して、例えば、正のピークおよび負のピークが対となって現れる。これに対して、電子の運動エネルギーを変動させても二次電子に由来するピークは変動しないため、差スペクトルS3には、第1スペクトルS1および第2スペクトルS2の二次電子に由来するピークに対応するピークは現れない。したがって、第1スペクトルS1と第2スペクトルS2の差S1-S2を求めることによって、反射電子の信号成分を抽出できる。
2.3. 処理
図16は、解析部50の処理の一例を示すフローチャートである。
解析部50は、まず、第1スペクトルを取得する(S30)。第1スペクトルは、電子線の運動エネルギーを第1運動エネルギーとした状態で、すなわち、加速電圧電源20が電子銃10に第1加速電圧を供給した状態で、試料Sに電子線を照射し、試料Sから放出される電子を電子分光器30で検出して得られるスペクトルである。
次に、解析部50は、第2スペクトルを取得する(S32)。第2スペクトルは、電子線の運動エネルギーを第1運動エネルギーと異なる第2運動エネルギーとした状態で、すなわち、加速電圧電源20が電子銃10に第1加速電圧とは異なる第2加速電圧を供給した状態で、試料Sに電子線を照射し、試料Sから放出される電子を電子分光器30で検出して得られるスペクトルである。
次に、解析部50は、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて、反射電子の信号成分を抽出する(S34)。例えば、解析部50は、第1スペクトルと第2スペクトルの差を求め、当該差に基づいて反射電子の信号成分を抽出する。
以上の処理により、反射電子の信号成分を抽出できる。
2.4. 反射電子像の生成
電子顕微鏡200では、走査偏向器によって試料S上で電子線を走査し、試料S上の各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルを測定することで、反射電子像を取得できる。
具体的には、まず、試料S上の各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルを測定する。例えば、加速電圧を第1加速電圧として電子の運動エネルギーを第1運動エネルギーとした状態で、試料S上で電子線を走査することによって、各照射位置における第1スペクトルを測定する。次に、加速電圧を第2加速電圧として電子の運動エネルギーを第2運動エネルギーとした状態で、試料S上で電子線を走査することによって、各照射位置における第2スペクトルを測定する。これにより、各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルを取得できる。
次に、解析部50が、各照射位置における第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて、反射電子像を生成する。
図17は、解析部50の処理の一例を示すフローチャートである。
解析部50は、上記のようにして測定された各照射位置の第1スペクトルおよび第2スペクトルを取得する(S40)。
次に、解析部50は、各照射位置ごとに、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づ
いて反射電子の信号成分を抽出する(S42)。
次に、解析部50は、各照射位置ごとに、反射電子の強度を求める(S44)。反射電子の強度は、例えば、第1スペクトルと第2スペクトルの強度の差の絶対値の積分値、すなわち、図15で示す差スペクトルS3のハッチングを付した領域の面積に対応する。ここで、電子のエネルギースペクトルに現れる反射電子ピークは、物質固有である。そのため、反射電子の強度として元素に固有のピークの強度を求めることで、元素の分布を示す像を得ることができる。peak to peak値である。なお、二次電子の強度は、差スペクトルS3において、ピークの積分強度であってもよい。
次に、解析部50は、各照射位置ごとの反射電子の強度に基づいて、反射電子像を生成する(S46)。例えば、各照射位置における反射電子の強度を、各照射位置に対応する画素の明るさとして反射電子の強度の分布を示す反射電子像を生成する。反射電子の強度として元素に固有のピークの強度を求めた場合には、元素の分布を示す像を生成することができる。
以上の処理により、反射電子像を生成することができる。
2.5. 効果
電子顕微鏡200は、電子線を第1運動エネルギーとした状態で電子分光器30で電子を検出して得られた第1スペクトル、および電子線を第1運動エネルギーとは異なる第2運動エネルギーとした状態で電子分光器30で電子を検出して得られた第2スペクトルに基づいて、反射電子の信号成分を抽出する解析部50と、を含む。また、解析部50は、第1スペクトルと第2スペクトルとの差を求め、当該差に基づいて反射電子の信号成分を抽出する。
そのため、電子顕微鏡200では、試料Sから放出された電子のスペクトルから反射電子の信号成分を抽出でき、反射電子のスペクトルを得ることができる。
例えば、反射電子を検出する反射電子検出器を用いたとしても、反射電子検出器では、反射電子と二次電子を明確に区別して検出することはできない。これに対して、電子顕微鏡200では、上述したように、電子線の運動エネルギーを変動させることによって反射電子の信号成分を抽出して反射電子のスペクトルを得るため、反射電子検出器を用いた場合と比べて、反射電子と二次電子を明確に区別することができる。
電子顕微鏡200では、解析部50は、試料S上の各照射位置ごとに、第1スペクトルおよび第2スペクトルに基づいて反射電子の信号成分を抽出する処理と、各照射位置ごとの反射電子の強度に基づいて、反射電子の強度の分布を示す反射電子像を生成する。そのため、電子顕微鏡200では、二次電子の影響が低減された反射電子像を取得できる。
電子顕微鏡200では、電子線を加速させるための加速電圧を変動させることによって、電子線の運動エネルギーを変動させる。これにより、容易に、電子線の運動エネルギーを変動させることができる。
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図18は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の構成を示す図である。以下、第3実施形態に係る電子顕微鏡300において、第1実施形態に係る電子顕微鏡100および第2実施形態に係る電子顕微鏡200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100では、試料Sに印加されるバイアス電圧を変動させることによって、試料Sから放出される電子のエネルギースペクトルから二次電子の信号成分を抽出して二次電子のスペクトルを取得した。また、電子顕微鏡200では、電子銃10から放出される電子線の運動エネルギーを変動させることによって、試料Sから放出される電子のエネルギースペクトルから反射電子の信号成分を抽出して反射電子のスペクトルを取得した。
電子顕微鏡300では、試料Sに印加されるバイアス電圧を変動させることによって、試料Sから放出される電子のエネルギースペクトルから二次電子の信号成分を抽出して二次電子のスペクトルを取得できる。さらに、電子顕微鏡300では、電子銃10から放出される電子線の運動エネルギーを変動させることによって、試料Sから放出される電子のエネルギースペクトルから反射電子の信号成分を抽出して反射電子のスペクトルを取得できる。
電子顕微鏡300では、バイアス電圧印加装置40によって試料Sに印加されるバイアス電圧を変動させることができる。さらに、電子顕微鏡300では、加速電圧電源20は変動電圧印加部22を含み、加速電圧を変動させて電子線の運動エネルギーを変動させることができる。
解析部50は、試料Sに第1バイアス電圧を印加した状態における電子の第1スペクトル、および試料Sに第2バイアス電圧を印加した状態における電子の第2スペクトルに基づいて、二次電子の信号成分を抽出する処理を行う。さらに、解析部50は、電子線を第1運動エネルギーとした状態における電子の第3スペクトル、および電子線を第2運動エネルギーとした状態における電子の第4スペクトルに基づいて、反射電子の信号成分を抽出する処理を行う。
したがって、電子顕微鏡300では、試料Sから放出された電子のエネルギースペクトルから二次電子の信号成分および反射電子の信号成分を抽出できる。これにより、電子顕微鏡300では、二次電子のスペクトルおよび反射電子のスペクトルを取得できる。
4. その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した第1実施形態では、電子線を照射して試料から放出される電子のエネルギースペクトルから二次電子の信号成分を抽出した。また、上述した第2実施形態では、電子線を照射して試料から放出される電子のエネルギースペクトルから反射電子の信号成分を抽出した。これに対して、本発明の一実施形態に係る荷電粒子線装置では、電子線以外の一次荷電粒子線を照射して試料から放出される粒子のスペクトルから二次電子の信号成分を抽出してもよいし、一次荷電粒子線を照射して試料から放出される粒子のスペクトルから反射荷電粒子の信号成分を抽出してもよい。
なお、反射荷電粒子は、一次荷電粒子線が試料に照射された際に、散乱の過程で後方散乱したものである。
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能であ
る。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子銃、20…加速電圧電源、22…変動電圧印加部、30…電子分光器、40…バイアス電圧印加装置、50…解析部、100…電子顕微鏡、200…電子顕微鏡、300…電子顕微鏡

Claims (9)

  1. 荷電粒子線源と、
    前記荷電粒子線源から放出された一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、
    前記試料にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加部と、
    前記試料に第1バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトル、および前記試料に前記第1バイアス電圧とは異なる第2バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルに基づいて、前記二次電子の信号成分を抽出する解析部と、
    を含み、
    前記解析部は、前記第1スペクトルと前記第2スペクトルとの差を求め、前記差に基づいて前記二次電子の信号成分を抽出する、荷電粒子線装置。
  2. 請求項において、
    前記試料上で前記一次荷電粒子線を走査する偏向器を含み、
    前記解析部は、
    前記試料上の各照射位置ごとに、前記第1スペクトルおよび前記第2スペクトルに基づいて前記二次電子の信号成分を抽出する処理と、
    各照射位置ごとの前記二次電子の強度に基づいて、前記二次電子の強度の分布を示す画像を生成する、荷電粒子線装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記荷電粒子線源から放出される前記一次荷電粒子線の運動エネルギーを変動させるエネルギー印加部を含み、
    前記解析部は、前記一次荷電粒子線を第1運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第3スペクトル、および前記一次荷電粒子線を前記第1運動エネルギーとは異なる第2運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第4スペクトルに基づいて、前記反射荷電粒子の信号成分を抽出する、荷電粒子線
    装置。
  4. 荷電粒子線源と、
    前記荷電粒子線源から放出される一次荷電粒子線の運動エネルギーを変動させるエネルギー印加部と、
    前記一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、
    前記一次荷電粒子線を第1運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトル、および前記一次荷電粒子線を前記第1運動エネルギーとは異なる第2運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルに基づいて、前記反射荷電粒子の信号成分を抽出する解析部と、
    を含む、荷電粒子線装置。
  5. 請求項において、
    前記解析部は、前記第1スペクトルと前記第2スペクトルとの差を求め、前記差に基づいて前記反射荷電粒子の信号成分を抽出する、荷電粒子線装置。
  6. 請求項またはにおいて、
    前記試料上で前記一次荷電粒子線を走査する偏向器を含み、
    前記解析部は、
    前記試料上の各照射位置ごとに、前記第1スペクトルおよび前記第2スペクトルに基づいて前記反射荷電粒子の信号成分を抽出する処理と、
    各照射位置ごとの前記反射荷電粒子の強度に基づいて、前記反射荷電粒子の強度の分布を示す画像を生成する、荷電粒子線装置。
  7. 請求項ないしのいずれか1項において、
    前記エネルギー印加部は、前記一次荷電粒子線を加速させるための加速電圧を変動させることによって、前記一次荷電粒子線の運動エネルギーを変動させる、荷電粒子線装置。
  8. 荷電粒子線源と、前記荷電粒子線源から放出された一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、を含む荷電粒子線装置における分析方法であって、
    前記試料に第1バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトルを取得する工程と、
    前記試料に前記第1バイアス電圧とは異なる第2バイアス電圧を印加した状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルを取得する工程と、
    前記第1スペクトルおよび前記第2スペクトルに基づいて、前記二次電子の信号成分を抽出する工程と、
    を含み、
    前記二次電子の信号成分を抽出する工程では、前記第1スペクトルと前記第2スペクトルとの差を求め、前記差に基づいて前記二次電子の信号成分を抽出する、分析方法。
  9. 荷電粒子線源と、前記荷電粒子線源から放出された一次荷電粒子線が試料に照射されることによって前記試料から放出される二次電子および反射荷電粒子を含む粒子を分光して検出する分光器と、を含む荷電粒子線装置における分析方法であって、
    前記一次荷電粒子線を第1運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第1スペクトルを取得する工程と、
    前記一次荷電粒子線を前記第1運動エネルギーとは異なる第2運動エネルギーとした状態で前記粒子を前記分光器で検出して得られた第2スペクトルを取得する工程と、
    前記第1スペクトルおよび前記第2スペクトルに基づいて、前記反射荷電粒子の信号成
    分を抽出する工程と、
    を含む、分析方法。
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