特許法第30条第2項適用 新コスモス電機株式会社のウェブサイトでの公開 掲載年月日 :平成29年9月29日 掲載アドレス:https://www.new-cosmos.co.jp/release/2628/ https://www.new-cosmos.co.jp/product/?c=portable40 https://www.new-cosmos.co.jp/product/2607/ https://www.new-cosmos.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/09/xoc353II_a.pdf
特許法第30条第2項適用 新コスモス電機株式会社製酸素・一酸化炭素計「XOC-353II」のカタログでの公開 発行者名 :新コスモス電機株式会社 刊行物名 :酸素・一酸化炭素計「XOC-353II」 発行日 :平成29年9月29日
特許法第30条第2項適用 新聞紙への掲載による公開 発行者名 :株式会社日本工業新聞社 刊行物名 :フジサンケイビジネスアイ 発行日 :平成29年10月3日
特許法第30条第2項適用 新聞紙への掲載による公開 発行者名 :株式会社日刊工業新聞社 刊行物名 :日刊工業新聞 発行日 :平成29年10月5日
特許法第30条第2項適用 新聞紙への掲載による公開 発行者名 :株式会社日本金属通信社 刊行物名 :日刊日本金属通信 発行日 :平成29年10月6日
特許法第30条第2項適用 新聞紙への掲載による公開 発行者名 :株式会社ガスエネルギー新聞 刊行物名 :ガスエネルギー新聞 発行日 :平成29年10月9日
特許法第30条第2項適用 新聞紙への掲載による公開 発行者名 :株式会社石油化学新聞社 刊行物名 :プロパン・ブタンニュース 発行日 :平成29年10月9日
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の携帯型警報器を詳細に説明する。図1には、本発明の一実施形態の携帯型警報器1(以下、単に警報器1とも称される)の主要な構成要素がブロック図で示されている。
図1に示されるように、一実施形態の携帯型警報器1は、温度および湿度の測定結果に基づいて暑さ指数を判定する暑さ指数判定部2と、暑さ指数に関する所定の閾値を記憶する記憶部4と、暑さ指数判定部2によって判定された暑さ指数を所定の閾値と比較して報知態様を選択し、選択した報知態様で暑さ指数に基づく報知を行う報知部3と、を備えている。携帯型警報器1は、さらに、周囲環境における物理量の測定を行うセンサ部5、ユーザーに操作されることによって警報器1の状態を切り換えたり、警報器1の内部の各要素に所定の電気信号を伝えたりする***作部6、センサ部5などに電力を供給する電源部7、および、警報器1内の各構成要素の動作を制御する制御部8を備えている。警報器1は、電源オンの状態と電源オフの状態とを有し、電源オンの状態において周囲環境の変化の検知を行い、電源オフの状態において、その検知を停止する。そして、警報器1は、報知態様の選択において暑さ指数と比較される所定の閾値が、電源オフの状態で変更され得るように構成されている。
ここで「電源オンの状態」は、前述したように、警報器1が周囲環境の監視を行ってその変化を検知している状態である。たとえば、「電源オンの状態」は、***作部6が操作された結果、センサ部5に電力が供給されている状態である。また「電源オフの状態」は、「電源オンの状態」以外の状態、すなわち、警報器1が周囲環境の監視、および、周囲環境の変化の検知を行っていない状態である。たとえば「電源オフの状態」は、***作部6が未だ操作されていないために、または、***作部6が再度操作された結果、センサ部5に電力が供給されていない状態である。従って、センサ部5に電力が供給されていなければ、たとえ制御部8などに電力が供給されていても、警報器1は電源オフの状態にある。
総じて携帯型の警報器においては、ユーザーの移動に伴って警報器の周囲の環境が変化する。そのため、温度および湿度を検知して検知結果が所定の閾値を超えるか否かに応じて報知態様を変化させる警報器では、閾値が固定的であると、温度および湿度に関する状況(平常時からの乖離の程度)をユーザーに適切に認知させ難いことがある。たとえば、定常的に高温多湿の場所においては、当該場所よりも平常時の温湿度が低い場所における高温多湿状態を想定して閾値が設定されていると、当該場所における平常状態であるにも拘わらず、あたかも異常に高温多湿であるかの如き報知や警報が頻繁に行われる可能性がある。そのような事態は、ユーザーを混乱させたり警報停止操作を頻繁に求めたりするため好ましくない。また、そのように好ましくない報知や警報は、ユーザーにおける警報器に対する信頼感、および警報や報知に対する関心を低下させ、たとえば熱中症の発生リスクの認知を遅らせてしまう可能性がある。従って、検知結果と比較される所定の閾値の変更が可能であることが好ましい。
しかし、そのような閾値の変更が警報器による周囲環境の監視中に可能であると、その変更操作中、当該警報器による検知結果をユーザーに認知させることができなくなる可能性があり、急激に周囲環境が変化した場合などへの対応が遅れるおそれがある。さらに、温湿度の変化に伴って閾値の変更が繰り返されることによって結果的にユーザーによる熱中症の発生リスクの認知が遅れる可能性もある。また、鉄鋼業などにおける工場で携帯型の警報器が用いられる場合は、警報を含む報知態様を決定するための閾値は、安全管理部門などによって所定の基準に従って決定され、一括して警報器に設定されるのが好ましく、各作業者によって警報器の使用中に閾値が自由に変えられることは好ましくない。従って、周囲環境の監視中ではなく、その監視動作の停止中に閾値の変更が可能であることが好ましい。
本実施形態の警報器1では、前述したように、報知態様の選択において暑さ指数と比較される所定の閾値が、電源オフの状態で変更され得るように構成されている。従って、警報器1が周囲環境の監視を開始する前に、暑さ指数に関する所定の閾値を、その後の警報器1の使用場所に応じた適切な値に設定または変更することができる。その結果、警報器1の使用場所に応じて意図された態様で暑さ指数に関する報知を行うことができ、その使用場所における熱中症に関する危険性などをユーザーに適切に認知させることができる。また、現在の使用場所における意図しない態様での報知や警報の頻発によって警報器に対するユーザーの関心を低下させて結果的に熱中症の発生リスクの認知を遅らせてしまうことも防ぐことができる。
また、本実施形態の警報器1は、報知態様の選択において暑さ指数と比較される所定の閾値が、好ましくは、電源オンの状態では変更され得ないように構成される。そうすることで、警報器1の検知動作中に閾値が随時変更されることを確実に防ぐことができる。警報器1の検知動作中に閾値変更の操作が行われないため、その変更操作の間の検知結果をユーザーに認知させることができないという事態も起こり得ない。また、工場の作業者などが警報器の使用中に各作業者独自の判断で閾値を変更することを防ぐことができる。要するに、暑さ指数に関する閾値の変更が可能でありながら、その閾値の変更が可能であることによって起こり得るユーザーにおけるリスクの増大を防止することができる。なお、電源オフの状態において所定の閾値の変更を可能にする方法は後述される。
「暑さ指数」は、人体と外気との熱収支の観点から、熱中症の予防を目的に提案された指標であり、一般的に、湿球黒球温度(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)として、WBGT(℃)=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度、で規定されている。暑さ指数判定部2は、温度(乾球温度)および相対湿度に基づいて湿球温度を算出し、さらに黒球温度も測定して上記の計算式の実行によって暑さ指数(WBGT)を判定してもよく、温度および相対湿度だけを測定し、それらの測定値に基づく推定によって暑さ指数を判定してもよい。
図1の例では、暑さ指数判定部2は、温湿度検知手段2aを備え、温度および相対湿度を用いた推定によって暑さ指数を判定している。温湿度検知手段2aは、たとえば、サーミスタなどで構成される温度センサ、および、高分子抵抗式もしくは高分子容量式などの湿度センサによって構成される。温湿度検知手段2aは、これら以外の任意の形式の、個々にもしくは一体的に形成された、温度検知素子および湿度検知素子によって構成されてもよい。なお、センサ部5が温度検知素子および/または湿度検知素子を含んでいる場合は、暑さ指数判定部2は、それらの検知結果を用いて暑さ指数を判定してもよい。
暑さ指数判定部2は、任意の方法で暑さ指数を判定し得る。たとえば、暑さ指数判定部2は、表1に例示されるような、温度および湿度と暑さ指数とが対応付けられた情報を記憶しており、この情報を参照することによって暑さ指数を判定してもよい。表1において、相対湿度を示す各列と気温を示す各行との交差部の桝目に記載された数値(℃)が、当該列の相対湿度および当該行の気温における暑さ指数である。たとえば、相対湿度の測定値が20%で、温度の測定値が40℃の場合、暑さ指数は29℃と判定される。表1に例示される相対湿度および気温に対応付けられた暑さ指数は、所定の近似式を用いて算出され、たとえば警報器1の製造時または使用開始時などに、警報器1に記憶され得る。相対湿度および気温を用いる暑さ指数算出のための近似式には、WBGTの推定のために提唱されている周知の近似式が用いられ得る。表1に示されるような、暑さ指数の判定において参照される情報は、記憶部4に記憶されてもよく、暑さ指数判定部2が記憶領域を有する場合、その記憶領域に記憶されてもよい。なお、暑さ指数判定部2は、表1に例示されるような事前に記憶された情報を参照することなく、温度および相対湿度の測定値ならびに周知の近似式を用いた逐次の演算によって暑さ指数を判定してもよい。従って、暑さ指数判定部2は、温湿度検知手段2aの他に、図示されていない演算装置や比較素子を含んでいてもよく、たとえば、暑さ指数判定部2は、マイコンなどの半導体装置によって構成され得る。
報知部3は、暑さ指数判定部2で判定された暑さ指数と記憶部4に記憶された所定の閾値とを比較して報知態様を選択する比較手段36を含んでいる。さらに、報知部3は、比較手段36によって選択された報知態様で実際にユーザーに対する報知を行う報知手段30を含んでいる。図1の例では、報知手段30として、液晶ディスプレイパネルなどの平面型ディスプレイによって構成される表示装置31、ブザーおよび/またはスピーカなどで構成される音響装置32、発光ダイオード(LED)などで構成される発光装置33、ならびに振動モータなどで構成される振動装置34が備えられている。報知手段30として、必ずしもこれら全ての装置が備えられる必要はなく、ユーザーに暑さ指数に関する情報を何らかの態様で認知させ得る少なくとも一つの手段が備えられていればよい。
なお「報知態様を選択する」は、異なった報知態様のうちのいずれかを選択する場合だけでなく、報知するか否かを選択することも含んでいる。すなわち「報知態様を選択する」には、まず、報知に用いる手段を複数個備えていて、暑さ指数判定部2で判定された暑さ指数(以下、暑さ指数判定部2で判定された暑さ指数は「推定暑さ指数」とも称される)に応じて、その複数の手段のうちの1つまたは複数を選択(たとえば、推定暑さ指数が所定の閾値よりも高い場合には、音と光(たとえば音響装置32および発光装置33)で報知し、推定暑さ指数が所定の閾値よりも低い場合には光だけで報知)することが含まれる。また「報知態様を選択する」には、報知に用いる各手段が複数の互いに異なる報知態様を有していて、推定暑さ指数に応じて、同じ手段における複数の報知態様のうちのいずれかを選択(たとえば推定暑さ指数が所定の閾値よりも高い場合には表示装置31に赤色を表示し、推定暑さ指数が所定の閾値よりも低い場合には黄色を表示)することが含まれる。さらに「報知態様を選択する」には、報知自体を行うか否かを推定暑さ指数に応じて選択する(たとえば推定暑さ指数が所定の閾値よりも高い場合に報知を行う(または行わない))ことなども含まれる。
比較手段36は、たとえば、比較機能を有するマイコンなどによって構成され、推定暑さ指数と、記憶部4に記憶されている所定の閾値とを比較する。たとえば、比較手段36は、推定暑さ指数と比較される所定の閾値が格納されるレジスタ(図示せず)を有しており、記憶部4の特定の記憶領域(アドレス)から所定の閾値が読み出されて前述のレジスタに記憶される。比較手段36は、このレジスタに記憶されている閾値と推定暑さ指数とを比較する。そして、その比較結果に基づいて、事前に規定されて報知部3内の記憶領域または記憶部4に記憶されている報知態様の選択肢から報知手段30による報知態様が選択され、選択された態様で報知手段30が動作する。たとえば、推定暑さ指数が所定の閾値よりも小さい場合は、表示装置31の表示画面における所定の領域、たとえば後述する熱中症危険性表示部3c(図4参照)が緑色にされる。そして、推定暑さ指数が所定の閾値を超える場合は、報知部3は、熱中症危険性表示部3cを赤色にすることによって、熱中症を発症するリスクが高いことをユーザーに報知する。なお、推定暑さ指数に基づく報知は、報知手段30として備えられた、表示装置31以外の装置を用いて行われてもよい。
記憶部4は、任意の記憶装置によって構成され得る。たとえば、記憶部4は、SRAMやフラッシュメモリなどの半導体メモリである。記憶部4は、少なくとも、報知部3における報知態様の選択に用いられる、暑さ指数に関する所定の閾値を記憶している。記憶部4には、互いに異なる値で規定された複数の所定の閾値が記憶されていてもよい。そして、報知部3による報知態様の選択において、複数の所定の閾値、たとえば第1の所定の閾値および第2の所定の閾値それぞれが、推定暑さ指数と比較されてもよい。また、複数の所定の閾値は、熱中症の危険性と対応付けて、それぞれ、記憶部4に記憶されていてもよい。そのように複数の所定の閾値を有することによって、熱中症の危険性を段階的に報知することができる。
さらに、記憶部4は、「危険性判定レベル」を複数個記憶していてもよい。「危険性判定レベル」は、推定暑さ指数の大きさに応じて熱中症の危険性を如何に判断するかの基準である。個々の危険性判定レベルは、互いに異なる複数の所定の閾値の組合せによって構成されている。換言すると、個々の危険性判定レベルは、対応付けられた熱中症の危険性が互いに異なる複数個の所定の閾値の組み合わせによって構成されている。すなわち、記憶部4は、複数の熱中症の危険性にそれぞれ対応付けられた暑さ指数に関する複数の閾値の組み合わせによってそれぞれ構成されている、複数の危険性判定レベルに関する情報を記憶していてもよい。表2には、複数の危険性判定レベル(レベル1~9)それぞれを構成する、暑さ指数に関する複数の所定の閾値の組み合わせの一例が示されている。
たとえば警報器1のユーザー、製造業者または設置者などによって複数の危険性判定レベルのうちの一つが選択され、その選択によって、報知部3による報知態様の選択に用いられる所定の閾値が設定される。すなわち、選択された危険性判定レベルを構成する複数の所定の閾値それぞれが、推定暑さ指数と比較され、その比較結果に基づく報知態様で、報知部3によって暑さ指数に関する報知が行われる。このように危険性判定レベルの選択によって報知態様の選択に用いられる所定の閾値が設定もしくは変更される場合、警報器1は、既に選択されている危険性判定レベルの変更が電源オフの状態で可能となるように構成される。
なお、各危険性判定レベルを構成する所定の閾値も変更できるようにしてもよく、たとえば、危険性判定レベル1を構成する複数の所定の閾値の一部または全部を変更し、当該変更の前後で危険性判定レベル1が異なる所定の閾値を含むようにしてもよい。しかし、推定暑さ指数と比較される所定の閾値自体は、安全管理部門などによって所定の基準に従って決定され、一括して警報器1に設定されるのが好ましいこともある。従って、各危険性判定レベルを構成する所定の閾値は既定値とし、危険性判定レベルのみ変更可能であるほうが好ましい。
表2の例では、各所定の閾値または二つの所定の閾値のあいだの推定暑さ指数は、「危険」、「厳重警戒」および「警戒、注意」の三つの熱中症の危険性のいずれかと対応付けられている。そして、三つの熱中症の危険性が、それぞれ、報知態様に関する「赤」、「黄」および「緑」の各色と対応付けられている。たとえば、推定暑さ指数と各所定の閾値との比較結果に基づいて、表示装置31の表示画面における熱中症危険性表示部3c(図4参照)が、赤色、黄色または緑色にされる。一例として、危険性判定レベル1が選択された場合において、推定暑さ指数が27℃以下の場合は、熱中症危険性表示部3cが緑色にされ、推定暑さ指数が、28~30℃、または、31℃以上の場合は、それぞれ、熱中症危険性表示部3cが黄色または赤色にされる。
図1の例では、報知部3は、暑さ指数に関する報知に加えて、センサ部5によって得られた測定値が所定の基準値Rに達した場合にも報知を行うように構成されている。すなわち、報知部3は、基準値Rを有し、センサ部5によって得られた測定値と基準値Rとを比較手段36において比較する。そして、報知部3は、センサ部5の測定値が基準値Rを下回っている状態から基準値R以上になるとき、または、測定値が基準値Rを上回っている状態から基準値R以下になるときに、所定の報知を行ってもよい。この所定の報知は周囲環境の異常を報知する警報であってもよい。なお、基準値Rは、記憶部4に記憶されて適宜比較手段36へと読み出されてもよい。また、図1の例と異なり、推定暑さ指数と所定の閾値との比較、および、センサ部5の測定値と基準値Rとの比較は、別個に設けられた比較手段によって実行されてもよい。
報知部3は、センサ部5による測定値と基準値Rとの比較結果に基づく報知を、好ましくは、推定暑さ指数に基づく報知と異なる態様で報知する。たとえば、センサ部5の測定値と基準値Rとの比較結果に基づく報知は、音響装置32による発話やブザー音の生成、発光装置33の点灯もしくは点滅、振動装置34の振動、および表示画面31a(図4参照)における背景色の変更などのうちのいずれかによって、またはこれらの組み合わせによって行われてもよい。これに対して、推定暑さ指数に基づく報知では、前述したように熱中症危険性表示部3c(図4参照)が所定の色にされるだけであってもよく、それに加えて、センサ部5の測定結果に基づく報知に用いられない態様で音響装置32などが駆動されてもよい。たとえば、温度および湿度の変化に伴って熱中症の危険性の段階が変わるときには、熱中症危険性表示部3cの色の変更と共にブザー音が発せられてもよい。
センサ部5は、主に、警報器1の周囲環境を監視する各種のセンサによって構成される。センサ部5は、前述したように、温度検知素子および/または湿度検知素子を含んでいてもよいが、温度および湿度以外の物理量を少なくとも測定する。センサ部5を構成する各種のセンサは、たとえば、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、プロパン(C3H8)もしくは酸素濃度(O2)などを検知する各種ガスセンサ、煙センサ、または、臭気センサなどであってよく、1つまたは複数個のセンサでセンサ部5が構成されていてもよい。
警報器1は、好ましくは、センサ部5の測定結果と比較される所定の基準値Rが変更され得ないように構成される。前述したように、センサ部5では、使用場所に関係なく人体に有害な各種のガスまたは人体に必須の酸素などが検知され得る。従って、これら検知対象に関する警報を発するか否かの閾値となる基準値Rは、安全上定められた所定の値から変更されないことが好ましく、たとえ電源オフの状態であっても、基準値Rの変更をなし得ない構成であることが好ましい。従って、基準値Rは、たとえば、マイコンの内蔵ROMなどの再書き込みが不可能な記憶素子に記憶されるか、再書き込み手段がユーザーに提供されない任意の記憶素子に記憶される。
電源部7は、携帯型警報器1においては、好ましくは電池およびその周辺の電気部品および機構部品によって構成され、センサ部5および制御部8、ならびに、警報器1の各構成要素に電力を供給する。図1では接続線の図示が省略されているが、電源部7から、直接または***作部6を介して、暑さ指数判定部2、報知部3および記憶部4にも電力が供給されている。
図1の例では、センサ部5は、***作部6を介して、電源部7に接続されている。***作部6が操作されることによって、センサ部5への電力の供給と遮断とが切り換えられ、すなわち、警報器1における電源オンの状態と電源オフの状態とが切り替えられる。
***作部6は、このように、警報器1における電源オンの状態と電源オフの状態とを切り替える電源スイッチを含み得る。***作部6は、さらに、警報器1の内部の構成要素への所定の信号や電圧の印加などに用いられる、電源スイッチ以外の入力手段を含み得る。すなわち、***作部6は、ユーザーなどによる操作が可能な入力手段を複数個含んでいてもよい。***作部6として、物理的な接点を有するプッシュスイッチ、スライドスイッチまたはキーパッドなどが備えられてもよく、タッチパネルなどが備えられてもよく、または、外部から電気信号を印加するための端子が備えられてもよい。また、外部からの通信を用いた指示によって電源のオン状態とオフ状態の間の切り替え、および、その他の入力が可能となるように、受信機能を含む通信手段が***作部6として備えられてもよい。
制御部8は、演算機能および記憶機能などを有し、警報器1の動作を全体的に制御する。制御部8は、たとえば、市販のマイコンやASICなどの半導体装置などを含み、内蔵されたプログラムに沿って動作するように構成されている。図1の例では、電源部7に***作部6が接続され、制御部8も、***作部6を介さずに電源部7に接続されている。制御部8は、警報器1が電源オフの状態(センサ部5に電力が供給されていない状態)であっても電源部7からの電力供給によって動作し得る。そのため、警報器1が電源オフの状態であっても、推定暑さ指数と比較される所定の閾値の変更に関するユーザーの操作が制御部8によって受け付けられ、電源オフの状態で所定の閾値の変更が可能となる。制御部8は、そのユーザーの操作に従って、たとえば、推定暑さ指数と比較される所定の閾値が読み出されるべき記憶部4の記憶領域(アドレス)を変更するように比較手段36または記憶部4を制御する。または、所定の閾値が読み出される記憶部4の記憶領域は不変のまま、その記憶領域に記憶されている所定の閾値を他の記憶領域に記憶されている所定の閾値と入れ替えるように、記憶部4が制御されてもよい。これらの比較手段36または記憶部4の制御は、電源オフの状態で行われてもよく、電源オンの状態になってから行われてもよい。しかし、所定の閾値の変更に関するユーザーの操作は、電源オフの状態において受け付けられ、好ましくは、電源オフの状態においてのみ受け付けられる。なお、制御部8、暑さ指数判定部2、報知部3、および記憶部4それぞれの一部または全部が、単一の半導体装置に集積されていてもよい。
図2および図3には、警報器1の外観の一例が、斜視図および正面図でそれぞれ示されている。図2および図3の例では、一実施形態の携帯型警報器1は、概して厚板状の全体形状を有しており、厚さ方向と直交する二つの平面の一方である前面1Fに、検知結果などを表示する表示画面31a、三つの押しボタンスイッチを含む***作部6、および、音響装置32(図1参照)などで発せられる音を外部に放出するための放音孔35を備えている。***作部6は、警報器1における電源オンの状態と電源オフの状態とを切り替える電源スイッチ61、ならびに、それぞれ所定の切り換えもしくは入力機能を有する第1スイッチ62および第2スイッチ63を含んでいる。略矩形の形状を有する前面1Fの各辺には、発光装置33(図1参照)の一例であって警報発報時などに点滅もしくは点灯するランプ33aが備えられている。符号51、52は、それぞれガス検知用開口を示している。ガス検知用開口51、52それぞれの内部に検知素子(図示せず)が配置され、センサ部5(図1参照)が構成されている。
表示画面31aは、報知手段30の一つとして備えられた表示装置31(図1参照)が有する画面であって、報知部3における表示機能を担っている。図4に示されるように、表示画面31には、センサ部5での検知結果、および暑さ指数判定部2(図1参照)での判定結果などの種々の情報が表示される。図4の例では、表示画面31aは、第1検知結果表示部3a、第2検知結果表示部3b、熱中症危険性表示部3c、熱中症危険性判定レベル表示部3d、電源部7に備えられる電池の残量(残存容量)を示す電池残量表示部3e、および、警報器1に備えられている記録部(図示せず)に各検知結果が記録されていることを示すデータログ表示部3fを有している。
第1および第2の検知結果表示部3a、3bには、センサ部5による検知結果が表示される。図4の例では、第1検知結果表示部3aには、ガス検知用開口51(図2参照)内の酸素検知素子によって測定された酸素濃度が表示されている。第2検知結果表示部3bには、ガス検知用開口52(図2参照)内の一酸化炭素検知素子によって測定された一酸化炭素濃度が表示されている。
熱中症危険性判定レベル表示部3dには、前述した表2に例示される複数個規定された危険性判定レベルのうち、現在選択されている危険性判定レベルが表示される。図4の例では、「Lv1」が表示されており、表2の例における危険性判定レベル1が選択されていることが示されている。そして、熱中症危険性表示部3cには、選択された危険性判定レベルにおける推定暑さ指数と熱中症の危険性との対応付けに基づいて、熱中症の危険性が、赤色、黄色、緑色の三段階で表示される。熱中症の危険性に関して三つよりも多い段階が設けられていてもよく、その場合、4色以上の色が熱中症の危険性の表示に用いられてもよい。また、色ではなく文字または記号を用いて熱中症の危険性が表示されてもよい。また、推定暑さ指数の数値自体が表示画面31aに表示されてもよく、その場合、表示される数値の色が、熱中症の危険性に応じて段階的に変更されてもよい。
また、センサ部5(図1参照)による測定値が、所定の基準値に達した場合は、たとえば、所定の基準値に達した測定値を表示する第1検知結果表示部3aもしくは第2検知結果表示部3bの背景の色が赤色にされ、ランプ33aが点滅もしくは点灯し、放音孔35からブザー音もしくは音声が放出され、さらに/または、警報器1全体を振動させるべく振動装置34(図1参照)が駆動されてもよい。
つぎに、図5および図6を参照しながら、推定暑さ指数と比較される所定の閾値の変更動作の例について説明する。図5には、携帯型警報器1における閾値変更動作の一例がフローチャートで示されている。また、図6には、閾値変更動作中の表示画面31aにおける表示の変化の一例が示されている。なお、図5および図6には、前述した表2に例示されるような複数の危険性判定レベルのうちの一つを選択することによって所定の閾値が設定または変更される例における、閾値の変更動作およびその際の表示画面31aの表示の例が示されている。
図5に示されるように、警報器1の供用中(電源オフの状態および電源オフの状態を含む)、***作部6(図2参照)が所定の閾値の変更のために事前に規定された所定の操作をされたかどうかが監視される(ステップS1)。所定の操作がされないうちは(ステップS1で「N」)、ステップS1が繰り返される。そして、所定の操作が実行される(ステップS1で「Y」)と、警報器1が電源オンの状態にあるかオフの状態にあるかが判断される(ステップS2)。そして、電源オフの状態であると判断されると(ステップS2で「Y」)、警報器1が、所定の閾値の変更などを受け付ける設定モード(ユーザーモード)に移行する(ステップS3)。しかし、ステップS2において電源オンの状態にあると判断されると(ステップS2で「N」)、警報器1の制御は、再びステップS1へと戻される。このように警報器1は、好ましくは、たとえ***作部6に対して所定の操作がなされても電源オンの状態では、所定の閾値が変更され得ないように構成される。
なお、図5の例では、***作部6が所定の操作をされたかどうかの監視(ステップS1)が、電源オンの状態か電源オフの状態かの判断(ステップS2)よりも先に行われているが、図5におけるステップS1とステップS2が逆の順序で実行されてもよい。すなわち、警報器1における電力の供給状態が常時または定期的に監視され、警報器1が電源オフの状態にされているときだけ、***作部6が所定の操作をされたかどうかの監視が行われてもよい。そして、***作部6に対する所定の操作が実行されると、警報器1が設定モードに移行する(ステップS3)。
また、所定の閾値の変更のために***作部6に対して実行されるべき所定の操作としては、警報器1における他の動作を意図して行われる操作と間違われることの少ないものでさえあれば、多様な操作が規定され得る。たとえば、そのような所定の操作は、電源スイッチ61(図2参照)に対する、電源オンの状態とオフの状態との通常の切り換え時の操作と異なる操作であってもよい。たとえば、所定の操作は、通常の電源オン/オフの切り換えのために電源スイッチ61が押されるべき時間よりも長い時間もしくは短い時間、電源スイッチ61を押し続けることであってもよい。また、所定の操作は、一定の時間内に所定の回数だけ電源スイッチ61を押すことであってもよい。
***作部6に対する所定の操作は、或いは、電源スイッチ61と、第1スイッチ62および/または第2スイッチ63(図2参照)とを複合的に操作することであってもよい。たとえば、所定の操作は、電源スイッチ61、ならびに第1スイッチ62および/または第2スイッチ63の全てを単に押すことであってもよく、電源スイッチ61、ならびに第1スイッチ62および/または第2スイッチ63の全てを所定の時間以上押し続けることであってもよい。また、そのような所定の操作は、第1および第2のスイッチ62、63だけに対する操作であってもよい。しかし、電源オフの状態において、電源オンの状態に切り替えること以外に電源スイッチ61が操作されることは少ないので、誤操作による閾値の変更を防ぐ観点から、少なくとも電源スイッチ61に対する操作が所定の操作に含まれていることが好ましい。一方、ここでの電源スイッチ61に対する操作は、所定の閾値の変更のための操作であって、警報器1を電源オンの状態にするための操作ではない。従って、警報器1は、電源スイッチ61に対する操作を含む所定の操作に基づいて設定モードに移行する場合でも、それに伴って電源オンの状態には移行せず、周囲環境の変化の検知を停止したまま、所定の閾値の変更が可能となるように構成されていることが好ましい。
警報器1が、設定モードに移行する(ステップS3)と、図6において左側に例示されるような、設定モードのメニュー画面311が表示画面31aに表示される(ステップS4)。図6の例において、所定の閾値の変更、すなわち危険性判定レベルの変更手順は、「5:WBGT Level」として表示されている。ユーザーなどによって「5:WBGT Level」が選択されると、図6の中央部に例示される危険性判定レベル(所定の閾値)の選択画面312が表示画面31aに表示される(ステップS5)。そして、所望の危険性判定レベル(所定の閾値)がユーザーなどによって選択されると、図6において右側に例示される確認画面313が表示され(ステップS6)、ユーザーなどの確認を経て、危険性判定レベルの変更手順、すなわち所定の閾値の変更手順が終了する。このように、警報器1は、既に選択されている危険性判定レベルの変更が、電源オフの状態で、***作部6に対する所定の操作の実行によって可能となるように構成されている。なお、ユーザーなどによる表示画面31a上での選択動作などは、第1および第2のスイッチ62、63の操作によって実行され得る。
そして、所定の閾値の変更手順において選択された所定の閾値が電源オンの状態への移行後に推定暑さ指数と比較されるように、比較手段36または記憶部4(図1参照)が制御される(ステップS7)。たとえば、前述したように比較手段36または記憶部4が、記憶部4において所定の閾値が読み出されるべき記憶領域を変更するように制御される。または、その記憶領域に記憶されている所定の閾値が、他の記憶領域に記憶されている所定の閾値と入れ替えられてもよい。或いは、これら以外の、推定暑さ指数と比較される所定の閾値を変更するための任意の制御が行われてもよい。なお、図5に示される動作は、主に制御部8によって制御され得る。
先に参照した図4に示されるように、警報器1の表示画面31aには、熱中症危険性判定レベルが表示される。警報器1は、警報器1が表示画面31aと平行な面において表示画面31aを見る人に対して傾いて保持されても熱中症危険性判定レベルなどが容易に判読されるように、表示装置31(図1参照)において回転表示機能を有していてもよい。図7には、表示画面31a内の表示全体が、表示画面31aの中央部において表示画面31aと直交する軸を回転軸にして180°回転(上下反転)した状態で表示されている例が示されている。たとえば、第1スイッチ62または第2スイッチ63が所定の時間だけ押されることによって、表示画面31a内の表示が回転した状態で表示され得る。
さらに、警報器1は、図7に示されるような表示画面31aにおける回転表示機能を有している場合、警報器1のユーザーに警報器1を回動可能に携帯させる携帯手段を備えていることが好ましい。図8Aには、そのような携帯手段として、安全ピンの形態の装着部91と、装着部91を装着部91のピン91aと略平行な方向の軸で回動可能に保持するベース部92とを有するピンアダプタ9を備えた警報器1が示されている。ピンアダプタ9は、警報器1の背面1B(前面1F(図2参照)の反対面)に取付けられている。ユーザーは、ピン91aを衣服などに挿し通すことによって警報器1を容易に携帯することができる。
図8Aの例では、ピン91aが警報器1の上縁に沿ってその上縁付近に位置するようにピンアダプタ9が取付けられている(図8Aにおける警報器1の上縁は、図3における警報器1の上縁である)。従って、ピンアダプタ9を用いて警報器1が背面1Bをユーザー側に向けてユーザーに携帯されると、前述した回転表示機能が作動していない状態で、ユーザーの周囲に居る人の目には、まさに図3に示されるように表示画面31aが捉えられる。従って、ユーザーの周囲に居る人は、熱中症危険性判定レベルなどを示す文字を容易に判読することができる。
一方、ピンアダプタ9を用いて警報器1を胸部や腹部に携帯しているユーザーが表示画面31aを見る場合は、図8Bに示されるように、表示画面31aがユーザーMの顔の方に向けられる。この際、表示画面31aの表示が180°回転(上下反転)して表示されると、図8Bに示されるように、表示画面31に表示される文字が、適正な向きでユーザーMの目に捉えられる。従って、警報器1を携帯するユーザーMは、誤読することなく容易に熱中症危険性判定レベルなどを認知することができる。
なお、警報器1を回動可能にユーザーに携帯させる携帯手段は、ピンアダプタ9のような形態のものに限定されない。この携帯手段は、表示画面31aに略平行で、かつ、表示画面31aに表示される文字の上下方向と略直交する方向に沿っていてユーザーの目と表示画面31aとの間に位置する回転軸での回動が可能となるように、警報器1をユーザーに携帯させ得るものであればよい。たとえば、ピンアダプタ9において、安全ピンの形態の装着部91の代わりに、ユーザーの衣服などを挟み込み得るクリップが、ベース部92と回動可能に組み合されてもよい。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、実施形態の警報器の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、警報器の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。