JP7005823B1 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

本発明が解決すべき課題は、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢を呈し、高いフリップフロップ性を示す複層塗膜を形成できる複層塗膜形成方法を提供することである。本発明は、被塗物上に、着色顔料(x1)及び光輝性顔料(x2)を含有する水性第1着色塗料(X)を塗装して第1着色塗膜を形成する工程、粘性調整剤(y1)、着色顔料(y2)及び光輝性顔料(y3)を含有する水性第2着色塗料(Y)を塗装して第2着色塗膜を形成する工程、クリヤ塗料(Z)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、及び、加熱することにより、硬化させる工程を含む複層塗膜形成方法であって、前記水性第2着色塗料(Y)の固形分含有率が、0.1~6質量%の範囲内であり、かつ、前記第2着色塗膜の光線透過率の平均値が1%以下であり、かつ、前記第1着色塗膜の光線反射率の平均値と、前記複層塗膜の光線反射率の平均値の差|R(X)-R(S)|が5%以下であることを特徴とする複層塗膜形成方法を提供する。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年10月13日に出願された、日本国特許出願第2020-172405号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。本発明は、複層塗膜形成方法に関する。
塗料を塗装する目的は、主に素材の保護及び美観の付与である。工業製品においては、その商品力を高める点から、美観、なかでも特に「質感」が重要である。消費者が求める工業製品の質感は多様なものであるが、近年、自動車外板、自動車部品、家電製品等の分野において、金属、真珠等のような光沢感が求められている(以下、金属のような光沢感と真珠のような光沢感とを併せて「金属又は真珠調光沢」と表記する。本明細書においては、金属のような光沢感、真珠のような光沢感等を含む光沢感を単に光沢と示すこともある。)。
ここで光沢(金属調光沢、真珠調光沢等)とは、塗板の正反射光近傍(ハイライト)は光り輝き、斜め方向(シェード)は暗くみえる、すなわちハイライト領域とシェード領域の輝度差が大きいことを特徴とする質感である。
かかる金属又は真珠調光沢を工業製品の表面に付与する技術には、金属めっき処理、金属蒸着処理等(例えば、特許文献1)があるが、塗料によって金属又は真珠調光沢が付与できれば、簡便さ及びコスト等の観点から有利であり、さらにその塗料が水性であれば環境負荷の点からなお有利である。
特許文献2には、蒸着金属膜を粉砕して金属片とした光輝性顔料と、20~150mgKOH/g(固形分)の酸価を有する水性セルロース誘導体とを含み、前記水性セルロース誘導体を主たるバインダー樹脂とし、前記光輝性顔料の含有量がPWCで20~70質量%であることを特徴とする水性ベース塗料組成物が開示されている。
しかし、特許文献2に記載の塗料によって形成される塗膜では、金属又は真珠調光沢が不十分であった。
特許文献3には、水、鱗片状アルミニウム顔料及びセルロース系粘性調整剤を含有する光輝性顔料分散体であって、光輝性顔料分散体の全成分合計100質量部に対して、固形分を0.1~10質量部含み、B型粘度計を用いて測定した粘度が、回転数が6回転/分の条件では400~10000mPa・secの範囲内であり、全固形分中の、鱗片状アルミニウム顔料以外の成分の合計量100質量部に対し、鱗片状アルミニウム顔料を固形分として30~200質量部含む光輝性顔料分散体が開示されている。
特許文献3に記載の光輝性顔料分散体は金属調光沢に優れるものの、近年はさらに、ムラが抑制された塗膜が求められている。
特開昭63-272544号公報 特開2009-155537号公報 国際公開第2017/175468号
本発明の目的は、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢を呈し、高いフリップフロップ性を示す複層塗膜を形成できる方法を提供することにある。
本発明は以下の項に記載の主題を包含する。
項1.工程(1):被塗物上に、着色顔料(x1)及び光輝性顔料(x2)を含有する水性第1着色塗料(X)を塗装して第1着色塗膜を形成する工程、
工程(2):前記第1着色塗膜上に、粘性調整剤(y1)、着色顔料(y2)及び光輝性顔料(y3)を含有する水性第2着色塗料(Y)を塗装して第2着色塗膜を形成する工程、
工程(3):前記第2着色塗膜上に、クリヤ塗料(Z)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、及び、
工程(4):前記工程(1)で形成された第1着色塗膜、前記工程(2)で形成された第2着色塗膜及び前記工程(3)で形成されたクリヤ塗膜を同時に加熱することにより、硬化させる工程を含む複層塗膜形成方法であって、
前記水性第2着色塗料(Y)の固形分含有率が、0.1~6質量%の範囲内であり、かつ、
前記第2着色塗膜の乾燥膜厚が0.2~3.0μmの範囲内であり、かつ、
前記第2着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値が1%以下であり、かつ、
前記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))と、前記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))の差|R(X)-R(S)|が5%以下であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
項2.前記水性第1着色塗料(X)中の光輝性顔料(x1)が、アルミニウム顔料を含む項1に記載の複層塗膜形成方法。
項3.前記粘性調整剤(y1)が、セルロースナノファイバーである項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
項4.前記水性第2着色塗料(Y)中の、着色顔料(y2)の含有量が、水性第2着色塗料(Y)の合計固形分100質量部に対し、0.1~5質量部の範囲内である項1~3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
項5.前記水性第2着色塗料(Y)中の光輝性顔料(y3)が、アルミニウム顔料及び/又は蒸着金属フレーク顔料を含む項1~4のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
本発明の方法によれば、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢を呈し、高いフリップフロップ性を示す複層塗膜を形成することができる。
光線反射率の測定方法の概要を示す。
本発明の複層塗膜形成方法は、
工程(1):被塗物上に、着色顔料(x1)及び光輝性顔料(x2)を含有する水性第1着色塗料(X)を塗装して第1着色塗膜を形成する工程、
工程(2):前記第1着色塗膜上に、粘性調整剤(y1)、着色顔料(y2)及び光輝性顔料(y3)を含有する水性第2着色塗料(Y)を塗装して第2着色塗膜を形成する工程、
工程(3):前記第2着色塗膜上に、クリヤ塗料(Z)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、及び、
工程(4):前記工程(1)で形成された第1着色塗膜、前記工程(2)で形成された第2着色塗膜及び前記工程(3)で形成されたクリヤ塗膜を同時に加熱することにより、硬化させる工程を含む複層塗膜形成方法であって、
前記水性第2着色塗料(Y)の固形分含有率が、0.1~6質量%の範囲内であり、かつ、
前記第2着色塗膜の乾燥膜厚が0.2~3.0μmの範囲内であり、かつ、
前記第2着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値が1%以下であり、かつ、
前記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))と、前記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))の差|R(X)-R(S)|が5%以下であることを特徴とする複層塗膜形成方法である。
工程(1)
本発明の複層塗膜形成方法によれば、まず、被塗物上に、着色顔料(x1)及び光輝性顔料(x2)を含有する水性第1着色塗料(X)が塗装され、第1着色塗膜が形成される。
被塗物
水性第1着色塗料(X)を適用する被塗物は、特に限定されない。該被塗物としては、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器などの家庭電気製品の外板部などを挙げることができる。これらの内、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn-Al、Zn-Ni、Zn-Feなど)メッキ鋼などの金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂類、各種のFRPなどのプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリートなどの無機材料;木材;紙、布などの繊維材料などを挙げることができる。これらの内、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
上記被塗物は、自動車車体外板部、自動車部品、家庭電気製品、これらを構成する鋼板などの金属基材などの金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理などの表面処理が施されたものであってもよい。
表面処理が施されていても施されていなくてもよい対象物の上には、さらに塗膜を形成してもよい。例えば、基材である被塗物に必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜を形成したり、下塗り塗膜の上に中塗り塗膜を形成してもよい。上記下塗り塗膜及び中塗り塗膜は、例えば被塗物が自動車車体である場合には、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知の下塗り及び中塗り用の塗料を使用して形成することができる。
下塗り塗膜を形成するための下塗り塗料としては、例えば、電着塗料、好ましくはカチオン電着塗料を使用することができる。また、上記中塗り塗膜を形成するための中塗り塗料としては、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物などの架橋剤とを、顔料、増粘剤、及び任意選択のその他の成分と共に塗料化したものを使用することができる。
本明細書において、「被塗物に、水性第1着色塗料(X)を塗装する」という場合、被塗物の上に直接水性第1着色塗料(X)を塗装する場合に限定されず、被塗物の上に表面処理、下塗り塗膜、及び/又は中塗り塗膜などの追加層を施して、その上に水性第1着色塗料(X)を塗装する場合も含まれる。
水性第1着色塗料(X)
水性第1着色塗料(X)は、着色顔料(x1)及び光輝性顔料(x2)を含有する。
なお、本明細書において、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗膜形成性樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。また、上記有機溶剤型塗料とは、溶媒として実質的に水を含有しない又は溶媒の全て又はほとんどが有機溶剤である塗料である。
上記着色顔料(x1)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などが挙げられ、なかでも、形成される複層塗膜のムラの抑制の観点から、カーボンブラックを好適に使用することができる。
上記着色顔料(x1)の含有量は、形成される複層塗膜のムラの抑制の観点から、前記水性第1着色塗料(X)中の樹脂固形分100質量部を基準として、好ましくは0.01~80質量部、より好ましくは0.1~65質量部、さらに好ましくは0.2~50質量部の範囲内である。
また、上記着色顔料(x1)が上記カーボンブラックを含有する場合、該カーボンブラックの含有量は、形成される複層塗膜のムラの抑制の観点から、前記水性第1着色塗料(X)中の樹脂固形分100質量部を基準として、好ましくは0.01~40質量部、より好ましくは0.1~20質量部、さらに好ましくは0.2~10質量部の範囲内である。
前記光輝性顔料(x2)としては、例えば、アルミニウム顔料、蒸着金属フレーク顔料、光干渉性顔料等を挙げることができる。なかでも、ムラが抑制され、かつ、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を形成する観点からは、アルミニウム顔料を使用することが好ましく、ムラが抑制され、かつ、優れた真珠調光沢を呈する複層塗膜を形成する観点からは、光干渉性顔料を使用することが好ましい。これらの顔料は1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
上記アルミニウム顔料は、一般にアルミニウムをボールミル又はアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造される。該アルミニウムフレーク顔料の製造工程における粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。上記粉砕媒液としてはミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
また上記アルミニウム顔料は、アルミニウム顔料表面に着色顔料を被覆してさらに樹脂被覆せしめたもの、アルミニウム顔料表面に酸化鉄等の金属酸化物を被覆したものなどの着色アルミニウム顔料を使用してもよい。
上記アルミニウム顔料は、平均粒子径が1~100μmの範囲内のものを使用することが好ましく、より好ましくは平均粒子径が5~50μmの範囲内、特に好ましくは7~30μmの範囲内のものである。厚さは0.01~2.0μmの範囲内のものを使用することが好ましく、特に好ましくは0.02~1.0μmの範囲内のものである。
水性第1着色塗料(X)が、光輝性顔料(x2)として、アルミニウム顔料を含有する場合、その含有量は、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を形成する観点から、前記水性第1着色塗料(X)中の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1~50質量部の範囲内であることが好ましく、1~20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記蒸着金属フレーク顔料は、ベース基材上に金属膜を蒸着させ、ベース基材を剥離した後、蒸着金属膜を粉砕することにより得られる。上記基材としては、例えばフィルム等を挙げることができる。
上記金属の材質としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等が挙げられる。なかでも特に入手しやすさ及び取扱いやすさ等の観点から、アルミニウム又はクロムが好適である。本明細書では、アルミニウムを蒸着して得られた蒸着金属フレーク顔料を「蒸着アルミニウムフレーク顔料」と呼び、クロムを蒸着して得られた蒸着金属フレーク顔料を「蒸着クロムフレーク顔料」と呼ぶ。
本明細書において、上記「蒸着アルミニウムフレーク顔料」は、アルミニウム顔料ではなく、蒸着金属フレーク顔料に含まれるものとする。
蒸着金属フレーク顔料としては、蒸着金属皮膜1層から形成されたものを使用することができるが、蒸着金属皮膜にさらに他の金属及び/又は金属酸化物が形成された複層のタイプのものを使用してもよい。
蒸着アルミニウムフレーク顔料は、表面がシリカ処理されていることが、貯蔵安定性、及び金属調光沢に優れた塗膜を得る等の観点から好ましい。
上記蒸着アルミニウムフレーク顔料として使用できる市販品としては例えば、「METALURE」シリーズ(商品名、エカルト社製)、「Hydroshine WS」シリーズ(商品名、エカルト社製)、「Decomet」シリーズ(商品名、シュレンク社製)、「Metasheen」シリーズ(商品名、BASF社製)等を挙げることができる。
上記蒸着クロムフレーク顔料として使用できる市販品としては例えば、「Metalure Liquid Black」シリーズ(商品名、エカルト社製)等を挙げることができる。
上記蒸着金属フレーク顔料の平均厚みは、好ましくは0.01~1.0μm、より好ましくは、0.015~0.1μmである。
上記蒸着金属フレーク顔料の平均粒子径は好ましくは1~50μm、より好ましくは5~20μmである。
水性第1着色塗料(X)が、光輝性顔料(x2)として、蒸着金属フレーク顔料を含有する場合、その含有量は、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を形成する観点から、前記水性第1着色塗料(X)中の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1~30質量部の範囲内であることが好ましく、1~20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記光干渉性顔料としては、天然マイカ、人工マイカ、ガラス、シリカ、酸化鉄及び酸化アルミニウムを初めとする各種金属酸化物などの透明乃至半透明な鱗片状基材の表面に、該基材とは屈折率が異なる金属酸化物が被覆された光輝性顔料が挙げられる。光干渉性顔料は単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材である。人工マイカとは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiFなどの工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさ及び厚さが均一なものである。人工マイカの基材としては具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSi10)、カリウム四ケイ素雲母(KMg2.5AlSi10)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg2.5AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSi10)、LiNaテニオライト(LiMgLiSi10)などが挙げられる。
基材を被覆する金属酸化物としては、酸化チタン及び酸化鉄などを挙げることができ、該金属酸化物の厚さの違いによって、光干渉性顔料は種々の異なる干渉色を発現することができる。
光干渉性顔料としては具体的には、下記に示す金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料などを挙げることができる。
金属酸化物被覆マイカ顔料は、天然マイカ又は人工マイカを基材とし、該基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。
金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、アルミナフレークを基材とし、基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。アルミナフレークとは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。該アルミナフレークは酸化アルミニウム単一成分である必要はなく、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。
金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料とは、鱗片状のガラスを基材とし、基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。該金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料は、基材表面が平滑なため、強い光の反射が生じる。
金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、表面が平滑で且つ厚さが均一な基材である鱗片状シリカを金属酸化物が被覆した顔料である。
水性第1着色塗料(X)が、光輝性顔料(x2)として、光干渉性顔料を含有する場合、その含有量は、優れた真珠調光沢を呈する複層塗膜を形成する観点から、前記水性第1着色塗料(X)中の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1~30質量部の範囲内であることが好ましく、0.1~20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記光輝性顔料(x2)の合計含有量は、優れた光沢(例えば、金属又は真珠調光沢)を呈する複層塗膜を形成する観点から、前記水性第1着色塗料(X)中の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1~60質量部の範囲内であることが好ましく、1~25質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第1着色塗料(X)には、通常、ビヒクルとして樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、熱硬化性樹脂組成物を用いることが好ましく、具体的には、例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロックされたものも含む)などの架橋剤を含んでなる熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒中に溶解又は分散させて使用することができる。該樹脂組成物中における基体樹脂と架橋剤の割合には特に制限はないが、一般に、架橋剤は、基体樹脂固形分総量に対して、10~100質量%、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~60質量%の範囲内で使用することができる。
水性第1着色塗料(X)には、さらに必要に応じて、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種塗料用添加剤、有機溶剤、体質顔料等を適宜配合することができる。
水性第1着色塗料(X)は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレー等の方法により塗装することができ、形成される複層塗膜のムラの抑制の観点から、第1着色塗膜の膜厚は、硬化塗膜に基づいて1~40μm程度、より好ましくは3~30μm、さらに好ましくは5~20μm程度である。
水性第1着色塗料(X)の固形分含有率は5~65質量%、好ましくは10~55質量%、さらに好ましくは15~50質量%の範囲である。また、水性第1着色塗料(X)の粘度を、塗装に適した範囲、通常、B型粘度計を用いて20℃において回転数6rpmで測定したときの粘度が500~8000mPa・sの範囲内となるように、水及び/又は有機溶剤を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
前記第1着色塗膜は、後記の水性第2着色塗料(Y)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件で前記プレヒート、エアブロー等を行うことができる。プレヒートの温度は、40~100℃が好ましく、50~90℃がより好ましく、60~80℃が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間~15分間が好ましく、1~10分間がより好ましく、2~5分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、例えば、被塗物の塗装面に、常温又は25℃~80℃の温度に加熱された空気を、30秒間~15分間吹き付けることにより行うことができる。
上記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))は、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、0.1~20%の範囲内であることが好ましく、0.5~15%の範囲内であることがより好ましく、1~20%の範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、上記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))は、以下の方法により測定することが出来る。
まず、L値が59であるグレー色の硬化塗膜が形成された被塗物を作製する。該被塗物における硬化塗膜のL値は、多角度分光光度計「MA-68II」(商品名、x-rite社製)を用いて、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に45°の角度で受光した光について測定した、Lh表色系における明度Lを表す。
ここで、「Lh表色系」は、1976年に国際照明委員会で規定され且つJIS Z 8781-4(2013)においても採用されているL表色系を極座標表示したものであって、L値は明度を表し、C値は原点からの距離としての彩度を表し、そしてh値はL表色系におけるa赤方向の軸を0°として、ここから反時計方向の色相に対して移動した色相角度を表す。
上記被塗物は、例えば、脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板にカチオン電着塗料「エレクロンGT-10」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させ、電着塗膜を形成した後、得られた上記鋼板の電着塗面に、「TP-90 No.8101 グレー」(商品名、関西ペイント社製、水酸基/メラミン及びブロックイソシアネート基硬化型1液型有機溶剤型塗料)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚が40μmになるように塗装し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して中塗り塗膜を形成することにより作製することができる。
次いで、該被塗物上に、水性第1着色塗料(X)を、工程(1)で形成される第1着色塗膜の乾燥膜厚と同じ乾燥膜厚となるように塗装し、3分間放置し、その後、80℃にて3分間プレヒートし、未硬化の第1着色塗膜を形成する。次いで、該未硬化の第1着色塗膜上にクリヤ塗料(Z)を、乾燥塗膜の膜厚が35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成する。次いで、室温にて7分間放置した後に、140℃で30分間加熱し、第1着色塗膜及びクリヤ塗膜を硬化させる。次いで、該硬化塗膜について、多角度分光光度計を使用して、塗膜表面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に110°の角度で受光した光について、波長400nm以上700nm以下の範囲における光線反射率を測定し、平均値を計算することにより得ることできる。上記多角度分光光度計としては、例えば、「MA-68II」(商品名、x-Rite社製)などを使用することができる。
工程(2)
本発明の複層塗膜形成方法によれば、次に、工程(1)で得られる第1着色塗膜上に、粘性調整剤(y1)、着色顔料(y2)及び光輝性顔料(y3)を含有する水性第2着色塗料(Y)が塗装され、第2着色塗膜が形成される。
水性第2着色塗料(Y)
水性第2着色塗料(Y)は、粘性調整剤(y1)、着色顔料(y2)及び光輝性顔料(y3)を含有する。
上記粘性調整剤(y1)としては、既知のものを使用でき、例えば、シリカ系微粉末、鉱物系粘性調整剤、硫酸バリウム微粒化粉末、ポリアミド系粘性調整剤、有機樹脂微粒子粘性調整剤、ジウレア系粘性調整剤、ウレタン会合型粘性調整剤、アクリル膨潤型であるポリアクリル酸系粘性調整剤、セルロース系粘性調整剤などを挙げることができる。なかでも優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を得る等の観点から、鉱物系粘性調整剤、ポリアクリル酸系粘性調整剤及びセルロース系粘性調整剤から選ばれる少なくとも一種の粘性調整剤を使用することが好ましく、特にセルロース系粘性調整剤を使用することが好ましい。これらの粘性調整剤はそれぞれ単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
鉱物系粘性調整剤としては、その結晶構造が2:1型構造を有する膨潤性層状ケイ酸塩が挙げられる。具体的には、天然又は合成のモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト、バイデライト、ノントロナイト、ベントナイト、ラポナイトなどのスメクタイト族粘土鉱物Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na塩型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性雲母族粘土鉱物;バーミキュライト;これらの置換体又は誘導体;並びにこれらの混合物が挙げられる。
ポリアクリル酸系粘性調整剤としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。
ポリアクリル酸系粘性調整剤の市販品として、例えば、ダウケミカル社製の「プライマルASE-60」、「プライマルTT615」、「プライマルRM5」(以上、商品名)、サンノプコ社製の「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」(以上、商品名)などが挙げられる。ポリアクリル酸系粘性調整剤の固形分酸価としては、30~300mgKOH/g、好ましくは80~280mgKOH/gの範囲内のものを使用することができる。
セルロース系粘性調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナノセルロースクリスタル、セルロースナノファイバーなどを挙げることができ、なかでも、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を得る等の観点から、セルロースナノファイバー及び/又はセルロースナノクリスタルを使用することが好ましく、セルロースナノファイバーを使用することがさらに好ましい。
上記セルロースナノファイバーは、セルロースナノフィブリル、フィブリレーティドセルロースと称されることがある。また、セルロースナノクリスタルはナノセルロースクリスタルと称されることがある。
上記セルロースナノファイバーは、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を得る等の観点から、数平均繊維径が、好ましくは2~500nm、より好ましくは2~250nm、さらに好ましくは2~150nmの範囲内であり、数平均繊維長が、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは0.1~15μm、さらに好ましくは0.1~10μmの範囲内である。
上記数平均繊維径及び数平均繊維長は、例えば、セルロースナノファイバーを水で希釈した試料を分散処理し、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した画像から測定算出される。
上記セルロースナノファイバーは、セルロース原料を解繊し、水中で安定化させたものを使用することができる。ここでセルロース原料は、セルロースを主体とした様々な形態の材料を意味し、具体的には例えば、パルプ(木材パルプ、ジュート、マニラ麻、ケナフなどの草本由来のパルプなど);微生物によって生産されるセルロースなどの天然セルロース;セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体などの何らかの溶媒に溶解した後に紡糸された再生セルロース;及び上記セルロース原料に加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミルなどの機械的処理などをすることによってセルロースを解重合した微細セルロース;などが挙げられる。
また、上記セルロースナノファイバーとしては、アニオン変性セルロースナノファイバーを使用することもできる。アニオン変性セルロースナノファイバーとしては、例えば、カルボキシル化セルロースナノファイバー、カルボキシルメチル化セルロースナノファイバー、スルホン酸基含有セルロースナノファイバー、リン酸基含有セルロースナノファイバーなどが挙げられる。上記アニオン変性セルロースナノファイバーは、例えば、セルロース原料に、カルボキシル基、カルボキシルメチル基などの官能基を公知の方法により導入し、得られた変性セルロースを洗浄して変性セルロースの分散液を調製し、この分散液を解繊して得ることができる。上記カルボキシル化セルロースは酸化セルロースとも呼ばれる。
上記酸化セルロースは、例えば、前記セルロース原料を、N-オキシル化合物、臭化物、及びヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することによって得ることができる。
前記セルロースナノファイバーの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のレオクリスタ(登録商標)、王子ホールディングス株式会社製のアウロ・ヴィスコ(登録商標)などが挙げられる。また、前記セルロースナノクリスタルの市販品としては、例えば、Celluforce社製の「Celluforce NCC」などが挙げられる。
水性第2着色塗料(Y)の粘性調整剤(y1)の含有量は、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を得る等の観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、2~60質量部の範囲内であることが好ましく、5~45質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記着色顔料(y2)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などが挙げられ、なかでも、形成される複層塗膜のムラの抑制の観点から、カーボンブラックを好適に使用することができる。
上記着色顔料(y2)の含有量は、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、0.1~5質量部の範囲内であることが好ましく、0.3~3質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記光輝性顔料(y3)としては、例えば、アルミニウム顔料、蒸着金属フレーク顔料、光干渉性顔料等を挙げることができる。なかでも、ムラが抑制され、かつ、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を形成する観点からは、アルミニウム顔料、蒸着金属フレーク顔料を使用することが好ましく、ムラが抑制され、かつ、優れた真珠調光沢を呈する複層塗膜を形成する観点からは、光干渉性顔料を使用することが好ましい。これらの顔料は1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
上記アルミニウム顔料としては、水性第1着色塗料(X)の説明欄に記載したアルミニウム顔料を挙げることができる。
水性第2着色塗料(Y)が、上記アルミニウム顔料を含有する場合、その含有量は、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を得る等の観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、10~85質量部の範囲内であることが好ましく、20~80質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記蒸着金属フレーク顔料としては、水性第1着色塗料(X)の説明欄に記載した蒸着金属フレーク顔料を挙げることができ、なかでも、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を得る等の観点から、蒸着アルミニウムフレーク顔料を使用することが好ましい。
水性第2着色塗料(Y)が、上記蒸着金属フレーク顔料を含有する場合、その含有量は、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を得る等の観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、10~50質量部の範囲内であることが好ましく、15~45質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記アルミニウム顔料と、上記蒸着金属フレーク顔料は併用することもできる。
上記アルミニウム顔料と上記蒸着金属フレーク顔料を併用する場合、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を得る等の観点から、蒸着金属フレーク顔料は蒸着アルミニウムフレーク顔料であることが好ましい。
上記アルミニウム顔料と上記蒸着金属フレーク顔料を併用する場合、アルミニウム顔料と蒸着金属フレーク顔料の合計含有量は、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を得る等の観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、10~85質量部の範囲内であることが好ましく、15~50質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
上記アルミニウム顔料と上記蒸着金属フレーク顔料を併用する場合、アルミニウム顔料と蒸着金属フレーク顔料の含有割合は、優れた金属調光沢を呈する複層塗膜を得る等の観点から、アルミニウム顔料/蒸着金属フレーク顔料の質量比で、10/90~50/50であることが好ましく、20/80~40/60であることがさらに好ましい。
前記光干渉性顔料としては、水性第1着色塗料(X)の説明欄に記載した光干渉性顔料を挙げることができる。
水性第2着色塗料(Y)が、上記光干渉性顔料を含有する場合、光干渉性顔料の含有量は、優れた真珠調光沢を呈する複層塗膜を得る等の観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、10~80質量部の範囲内であることが好ましく、15~70質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第2着色塗料(Y)中の、前記光輝性顔料(y3)の合計含有量は、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を得る等の観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、5~90質量部の範囲内であることが好ましく、15~80質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また、水性第2着色塗料(Y)中の、着色顔料(y2)及び光輝性顔料(y3)の合計含有量は、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、水性第2着色塗料(Y)の合計固形分100質量部に対し、5~95質量部の範囲内であることが好ましく、15~80質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第2着色塗料(Y)はさらに、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から湿潤剤を含有することが好ましい。湿潤剤としては、第1着色塗膜への水性第2着色塗料(Y)の塗装時に、該水性第2着色塗料(Y)を第1着色塗膜上に一様に配向するのを支援する効果のある材料であれば特に制限なく使用することができる。
このような作用をもつ材料は、湿潤剤以外にも、ヌレ剤、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、スーパーウェッターなどと称されることがあり、上記湿潤剤としては、ヌレ剤、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、スーパーウェッターも含まれる。
湿潤剤としては、例えばシリコーン系、アクリル系、ビニル系、フッ素系、アセチレンジオール系などの湿潤剤が挙げられる。上記湿潤剤はそれぞれ単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
湿潤剤としては、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点からアセチレンジオール系の湿潤剤及び/又はエチレンオキサイド鎖をもつ湿潤剤を使用することが好ましい。
特に、湿潤剤としては、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物である湿潤剤を使用することが好ましい。
湿潤剤の市販品は例えば、エボニックインダストリーズ社製のDynolシリーズ、サーフィノールシリーズ、Tegoシリーズ、ビックケミー社製のBYKシリーズ、共栄社化学社製のグラノールシリーズ、ポリフローシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズなどが挙げられる。
水性第2着色塗料(Y)が、上記湿潤剤を含有する場合、その含有量は、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部を基準として、2~30質量部の範囲内であることが好ましく、3~20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第2着色塗料(Y)はさらに、得られる複層塗膜の耐水性等の観点から、樹脂水分散体を含むことが好ましい。
樹脂水分散体としては、樹脂が水性溶媒に分散されているもので、例えば、ウレタン樹脂水分散体、アクリル樹脂水分散体、ポリエステル樹脂水分散体、オレフィン樹脂水分散体及びこれらの樹脂の複合体からなる群から選択される少なくとも一種を含有することができる。該水分散体は変性されていてもよい。
これらのうち、得られる複層塗膜の耐水性の観点から、ウレタン樹脂水分散体、アクリル樹脂水分散体が好ましく、さらに水酸基含有ウレタン樹脂水分散体及び水酸基含有アクリル樹脂水分散体が好ましい。水酸基含有アクリル樹脂水分散体は特に、コアシェル型であることが好ましい。
水性第2着色塗料(Y)が、上記樹脂水分散体を含有する場合、その含有量は水性第2着色塗料(Y)中の合計固形分100質量部に基づいて、1~60質量部の範囲内であることが好ましく、5~40質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第2着色塗料(Y)には、さらに必要に応じて、有機溶剤、樹脂水分散体以外のバインダー樹脂、架橋性成分、体質顔料、顔料分散剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤等を適宜配合しても良い。
前記架橋性成分は、光輝性顔料分散体が上記樹脂水分散体を含有する場合には、これを加熱により架橋硬化させるための成分であり、含まない場合には、自己架橋するものであってもよく、又は、上記第1着色塗膜を形成する水性第1着色塗料(X)の一部及び/もしくは後述するクリヤー塗膜を形成するクリヤー塗料の一部と架橋硬化させるための成分であってもよい。架橋性成分としては、例えばアミノ樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、カルボジイミド基含有化合物、ヒドラジド基含有化合物、セミカルバジド基含有化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらのうち、水酸基と反応し得るアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物及びブロック化ポリイソシアネート化合物、カルボキシル基と反応し得るカルボジイミド基含有化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物及びブロック化ポリイソシアネート化合物については、後述のクリヤー塗料の項で述べるものを使用することができる。上記架橋性成分は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
水性第2着色塗料(Y)が上記架橋性成分を含有する場合、その含有量は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、水性第2着色塗料(Y)中の光輝性顔料(y3)の含有量100質量部を基準として、固形分として1~100質量部の範囲内であることが好ましく、5~95質量部の範囲内であることがより好ましく、10~90質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第2着色塗料(Y)が、上記バインダー樹脂及び/又は架橋性成分を含有する場合、該バインダー樹脂及び架橋性成分の合計含有量は、得られる塗膜の耐水付着性、及び優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を得る観点から、該水性第2着色塗料(Y)中の光輝性顔料(y3)の固形分100質量部を基準として、固形分として0.1~500質量部の範囲内であることが好ましく、1~300質量部の範囲内であることがより好ましく、10~100質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第2着色塗料(Y)の塗装は、通常の方法に従って行なうことができ、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装などの方法が挙げられる。水性第2着色塗料(Y)の塗装の際は、必要に応じて、静電印加されていてもよく、中でも、回転霧化方式の静電塗装及びエアスプレー方式の静電塗装が好ましく、回転霧化方式の静電塗装が特に好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装又は回転霧化塗装をする場合には、水性第2着色塗料(Y)は、適宜、水及び/又は有機溶剤ならびに必要に応じて消泡剤などの添加剤を含有して塗装に適した固形分含有率及び粘度に調整されることが好ましい。
水性第2着色塗料(Y)の固形分含有率は、0.1~6質量%の範囲内である。
上記範囲内であることにより、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成することができる。なかでも、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、0.3~5.5質量%の範囲内であることが好ましく、0.5~5.0質量%の範囲内であることがさらに好ましい。本発明の典型的な実施形態において、固形分含有率が0.1~6質量%とは、0.1~6.0質量%を意図している。また、本発明の典型的な実施形態において、固形分含有率が0.5~6質量%とは、0.5~5.0質量%を意図している。
また、水性第2着色塗料(Y)は、水を多量に含有していることが好ましい。水性第2着色塗料(Y)中の水の含有量は、金属調又は真珠調光沢に優れた塗膜を得る観点から、前記光輝性顔料分散体の全成分合計100質量部に対して、65~95質量部の範囲内であることが好ましく、75~90質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
水性第2着色塗料(Y)の粘度は、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を得る等の観点から、温度20℃においてB型粘度計で測定する6rpmで1分後の粘度(本明細書では「B6値」ということがある)が好ましくは100~10000mPa・s、より好ましくは300~6000mPa・sである。このとき、使用する粘度計は、デジタル式ビスメトロン粘度計VDA型(芝浦システム社製、B型粘度計)である。
第2着色塗膜は、後記のクリヤ塗料(Z)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件で前記プレヒート、エアブロー等を行うことができる。プレヒートの温度は、40~100℃が好ましく、50~90℃がより好ましく、60~80℃が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間~15分間が好ましく、1~10分間がより好ましく、2~5分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、例えば、被塗物の塗装面に、常温又は25℃~80℃の温度に加熱された空気を、30秒間~15分間吹き付けることにより行うことができる。
上記第2着色塗膜の乾燥膜厚は0.2~3.0μmの範囲内である。本発明において、塗膜の乾燥膜厚は下記式を用いて算出することができる。
x=sc/sg/S*10000
x:乾燥膜厚[μm]
sc:塗着固形分[g]
sg:塗膜比重[g/cm
S:塗着固形分の評価面積[cm
上記範囲内であることにより、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成することができる。なかでも、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、0.3~2.5μmの範囲内であることが好ましく、0.5~2.0μmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記第2着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値は、1%以下である。本発明の典型的な実施形態において、波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値が1%以下とは、当該平均値が1.0%以下であることを意図する。
前記第2着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値が上記範囲内であることにより、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成することができる。なかでも、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、0.005~0.7%の範囲内であることが好ましく、0.01~0.5%の範囲内であることがさらに好ましく、0.02~0.4%の範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、上記第2着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値は、以下の方法により測定することが出来る。
まず、OHPシート上に、水性第2着色塗料(Y)を塗装し硬化させる。次に、分光光度計を用いて、波長400nm以上700nm以下の範囲における光線透過率を測定し、平均値を計算する。上記分光光度計としては、例えば、「UV-2700」(商品名、島津製作所製)などを使用することができる。
工程(3)
本発明の複層塗膜形成方法によれば、次に、工程(2)で得られる第2着色塗膜上に、クリヤ塗料(Z)が塗装され、クリヤ塗膜が形成される。
クリヤ塗料(Z)
クリヤ塗料(Z)は、公知の熱硬化性クリヤ塗料組成物をいずれも使用できる。該熱硬化性クリヤ塗料組成物としては、例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂及び硬化剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料組成物、水性熱硬化性塗料組成物、粉体熱硬化性塗料組成物等を挙げることができる。
上記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基等を挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂等を挙げることができる。
クリヤ塗料(Z)の基体樹脂/硬化剤の組み合わせとしては、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等が好ましい。
また、上記クリヤ塗料(Z)は、一液型塗料であってもよいし、二液型塗料等の多液型塗料であってもよい。
なかでもクリヤ塗料(Z)として好ましくは、得られる塗膜の付着性の観点から下記の水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する2液型クリヤー塗料である。
水酸基含有樹脂
水酸基含有樹脂としては、水酸基を含有するものであれば従来公知の樹脂が制限なく使用できる。該水酸基含有樹脂としては例えば、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有ポリエーテル樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂などを挙げることができ、好ましいものとして、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂を挙げることができ、特に好ましいものとして水酸基含有アクリル樹脂を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、塗膜の耐擦り傷性及び耐水性の観点から、80~200mgKOH/gの範囲内であるのが好ましく、100~180mgKOH/gの範囲内であるのがさらに好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、塗膜の耐酸性及び平滑性の観点から、2,500~40,000の範囲内であるのが好ましく、5,000~30,000の範囲内であるのがさらに好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G-4000HXL」、「TSKgel G-3000HXL」、「TSKgel G-2500HXL」、「TSKgel G-2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行った。
水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は-40℃~20℃であることが好ましく、-30℃~10℃の範囲内であることが特に好ましい。ガラス転移温度が-40℃以上であると塗膜硬度が十分であり、また、20℃以下であると塗膜の塗面平滑性を維持することができる。
ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、該ポリイソシアネートの誘導体などを挙げることができる。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル(慣用名:リジンジイソシアネート)などの脂肪族ジイソシアネート;2,6-ジイソシアナトヘキサン酸2-イソシアナトエチル、1,6-ジイソシアナト-3-イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8-トリイソシアナトオクタン、1,6,11-トリイソシアナトウンデカン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、1,3,6-トリイソシアナトヘキサン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアナト-5-イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート(慣用名:水添TDI)、2-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-もしくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、メチレンビス(4,1-シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート(慣用名:水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;1,3,5-トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2-(3-イソシアナトプロピル)-2,5-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2-(3-イソシアナトプロピル)-2,6-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3-(3-イソシアナトプロピル)-2,5-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)-ヘプタン、6-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(慣用名:MDI)、1,3-もしくは1,4-キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω'-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5-トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート(慣用名:2,4-TDI)もしくは2,6-トリレンジイソシアネート(慣用名:2,6-TDI)もしくはその混合物、4,4'-トルイジンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネート;4,4'-ジフェニルメタン-2,2',5,5'-テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどを挙げることができる。
また、前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDIなどを挙げることができる。該ポリイソシアネートの誘導体は、単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。
上記ポリイソシアネート及びその誘導体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。
脂肪族ジイソシアネートのなかでもヘキサメチレンジイソシアネート系化合物、脂環族ジイソシアネートのなかでも4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を好適に使用することができる。その中でも特に、付着性、相溶性等の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体が最適である。
また、前記ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート及びその誘導体と、該ポリイソシアネートと反応し得る、例えば、水酸基、アミノ基などの活性水素基を有する化合物とを、イソシアネート基過剰の条件で反応させてなるプレポリマーを使用してもよい。該ポリイソシアネートと反応し得る化合物としては、例えば、多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、アミン、水等が挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物として、上記ポリイソシアネート及びその誘導体中のイソシアネート基をブロック剤でブロックした化合物であるブロック化ポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
上記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等のフェノール系;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N-フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等のアミン系;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系;N-フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾール、4-ベンジル-3,5-ジメチルピラゾール、4-ニトロ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ブロモ-3,5-ジメチルピラゾール、3-メチル-5-フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール又はイミダゾール誘導体;2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ブロック化を行なう(ブロック剤を反応させる)にあたっては、必要に応じて溶剤を添加して行なうことができる。ブロック化反応に用いる溶剤としてはイソシアネート基に対して反応性でないものが良く、例えば、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)のような溶剤を挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。本発明において、塗膜の硬化性及び耐擦り傷性等の観点から、水酸基含有樹脂の水酸基のポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対する当量比(OH/NCO)は好ましくは0.5~2.0、さらに好ましくは0.8~1.5の範囲内である。
クリヤ塗料(Z)として水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する2液型クリヤ塗料を使用する場合は、貯蔵安定性から、水酸基含有樹脂とポリイソシアネート化合物とが分離した形態であることが好ましく、使用直前に両者を混合して調整される。
クリヤ塗料(Z)としては、1液型塗料を使用してもよい。1液型塗料における基体樹脂/硬化剤の組み合わせとしては、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等がある。
クリヤ塗料(Z)には、さらに必要に応じて、水、有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜含有することができる。
上記クリヤ塗料(Z)には、透明性を損なわない範囲内において、着色顔料を適宜配合することができる。着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔料を1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その添加量は、適宜決定されて良いが、該クリヤ塗料中のビヒクル形成樹脂組成物100質量部に対して、30質量部以下、好ましくは0.01~10質量部である。
クリヤ塗料(Z)の形態は特に制限されるものではないが、通常、有機溶剤型の塗料組成物として使用される。この場合に使用する有機溶剤としては、各種の塗料用有機溶剤、例えば、芳香族又は脂肪族炭化水素系溶剤;エステル系溶剤;ケトン系溶剤;エーテル系溶剤等が使用できる。使用する有機溶剤は、水酸基含有樹脂等の調製時に用いたものをそのまま用いても良いし、更に適宜加えても良い。
クリヤ塗料(Z)の固形分濃度は、30~70質量%程度であるのが好ましく、40~60質量%程度の範囲内であるのがより好ましい。
クリヤ塗料(Z)の塗装は、特に限定されず、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法により行なうことができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加してもよい。これらのうち静電印加による回転霧化塗装が好ましい。クリヤ塗料(Z)の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10~50μm程度となる量とするのが好ましい。
また、クリヤ塗料(Z)の塗装にあたっては、クリヤ塗料(Z)の粘度を、塗装方法に適した粘度範囲、例えば、静電印加による回転霧化塗装においては、20℃でフォードカップNo.4粘度計による測定で、15~60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
工程(4)
本発明の複層塗膜形成方法によれば、次に、前記工程(1)で形成された第1着色塗膜、前記工程(2)で形成された第2着色塗膜及び前記工程(3)で形成されたクリヤ塗膜を同時に加熱することにより、複層塗膜を同時に硬化させる。
加熱手段は、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等により行うことができる。加熱温度は、80~160℃が好ましく、100~140℃がより好ましい。また加熱時間は、10~60分間が好ましく、15~40分間がより好ましい。必要に応じて、前記加熱硬化を行う前に、プレヒート、エアブロー等により、約50~約110℃、好ましくは約60~約90℃の温度で1~60分間程度、直接的又は間接的に加熱を行ってもよい。
複層塗膜
本発明の複層塗膜形成方法により形成される複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))は、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、0.1~10%の範囲内であることが好ましく、0.5~7%の範囲内であることがより好ましく、1~5%の範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、上記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))は、複層塗膜上に、多角度分光光度計を使用して、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に110°の角度で受光した光について、波長400nm以上700nm以下の範囲における光線反射率を測定し、平均値を計算することにより得ることができる(図1)。上記多角度分光光度計としては、例えば、「MA-68II」(商品名、x-Rite社製)などを使用することができる。
前記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))と、上記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))の差|R(X)-R(S)|は、5%以下である。本発明の典型的な実施形態において、|R(X)-R(S)|が5%以下とは、当該値が5.0%以下であることを意図する。該第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))と、上記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))の差|R(X)-R(S)|が5%以下であることにより、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成することができる。なかでも、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢(金属又は真珠調光沢等)を呈する複層塗膜を形成する観点から、前記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))と、上記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))の差|R(X)-R(S)|は、4.7%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましい。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、これら製造例、実施例及び比較例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するためのものではない。製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
[1]被塗物の作製
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400mm×300mm×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロンGT-10」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させ、電着塗膜を形成せしめた。
得られた上記鋼板の電着塗面に、「TP-90 No.8101 グレー」(商品名、関西ペイント社製、水酸基/メラミン及びブロックイソシアネート基硬化型1液型有機溶剤型塗料)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚が40μmになるように塗装し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して中塗り塗膜を形成せしめることにより、被塗物とした。該被塗物のL値は59であった。該被塗物のL値は、多角度分光光度計「MA-68II」(商品名、x-rite社製)を用いて、塗装面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に45°の角度で受光した光について測定した、Lh表色系における明度Lである。
[2]塗料の作製
アクリル樹脂水分散体(R-1)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水70.7部及び「アクアロンKH-10」(商品名、第一工業製薬社製、乳化剤、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで、下記のモノマー乳化物のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成した後、5%2-(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度45%のアクリル樹脂水分散体(R-1)を得た。得られたアクリル樹脂水分散体(R-1)の水酸基価は43mgKOH/g、酸価は12mgKOH/gであった。
モノマー乳化物:脱イオン水50部、スチレン10部、メチルメタクリレート40部、エチルアクリレート35部、n-ブチルメタクリレート3.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10部、アクリル酸1.5部、「アクアロンKH-10」1.0部及び過硫酸アンモニウム0.03部を混合攪拌して、モノマー乳化物を得た。
水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(R-2)の製造
製造例2
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン174部、ネオペンチルグリコール327部、アジピン酸352部、イソフタル酸109部及び1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物101部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2-(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%の水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(R-2)を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(R-2)は、水酸基価が128mgKOH/g、酸価が35mgKOH/g、重量平均分子量が13,000であった。
リン酸基含有樹脂溶液(R-3)の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、メトキシプロパノール27.5部及びイソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n-ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4-ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、下記リン酸基含有重合性モノマー15部、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部及びt-ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt-ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液(R-3)を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、モノブチルリン酸57.5部及びイソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ-ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
着色顔料分散液(P-1)~(P-3)の製造
製造例4
製造例2で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(R-2)56部(固形分25部)、「RAVEN 5000 ULTRA I I I BEADS」(商品名、カーボンブラック顔料、COLUMBIAN CARBON CO.社製)0.2部及び脱イオン水5部を混合し、2-(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて30分間分散して、着色顔料分散液(P-1)を得た。
製造例5~6
配合組成を下記表1に示すものとする以外は、製造例4と同様にして、各着色顔料分散液(P-2)~(P-3)を得た。なお表1に示す配合組成は、各成分の固形分質量による。
Figure 0007005823000001
R5000(注1):カーボンブラック顔料、商品名「RAVEN 5000 ULTRA I I I BEADS」、COLUMBIAN CARBON CO.社製、
M179(注2):ペリレンマルーン顔料、商品名「MAROON 179 229-6438」、SUN CHEMICAL CORPORATION社製、
B5206M(注3):フタロシアニンブルー顔料、商品名「BLUE 5206M」、大日精化工業社製。
光輝性顔料分散液(P-4)~(P-6)の製造
製造例7
攪拌混合容器内において、「GX-3100」(商品名、アルミニウム顔料ペースト、旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)10.8部(固形分8部)2-エチル-1-ヘキサノール35部、製造例3で得たリン酸基含有樹脂溶液(R-3)8部(固形分4部)及び2-(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(P-5)を得た。
製造例8~9
配合組成を下記表2に示すものとする以外は、製造例7と同様にして、各光輝性顔料分散液(P-5)~(P-6)を得た。なお表2に示す配合組成は、各成分の固形分質量による。
Figure 0007005823000002
水性第1着色塗料(X-1)~(X-5)の製造
製造例10
製造例4で得た顔料分散ペースト(P-1)61.2部、製造例7で得た光輝性顔料分散液(P-4)19部、製造例1で得たアクリル樹脂水分散体(R-1)44.4部(固形分20部)、「ユーコートUX-8100」(商品名、ウレタンエマルション、三洋化成工業社製、固形分35%)60部(固形分21部)及び「サイメル325」(商品名、メラミン樹脂、日本サイテックインダストリーズ社製、固形分80%)37.5部(固形分30部)を均一に混合した。次いで、得られた混合物に、「UH-752」(商品名、ADEKA社製、増粘剤)、2-(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、塗料固形分25%、B型粘度計を用いて20℃において回転数6rpmで測定したときの粘度が3000mPa・sの水性第1着色塗料(X-1)を得た。
製造例11~14
配合組成を下記表3に示すものとする以外は、製造例10と同様にして、B型粘度計を用いて20℃において回転数6rpmで測定したときの粘度が3000mPa・sの各水性第1着色塗料(X-2)~(X-5)を得た。
Figure 0007005823000003
アクリル樹脂水分散体(R-4)の製造
製造例15
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水154部及び「アクアロンKH-10」0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度28%のアクリル樹脂水分散体(R-4)を得た。得られたアクリル樹脂水分散体(R-4)は、水酸基価が25mgKOH/g、酸価が33mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn-ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2): 脱イオン水18部、「アクアロンKH-10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2-ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn-ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
アクリル樹脂溶液(R-5)の製造
製造例16
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた通常のアクリル樹脂反応槽に、エチレングリコールモノブチルエーテル48部を仕込み、加熱撹拌して110℃に保持した。この中に、スチレン10部、メチルメタクリレート40部、n-ブチルメタクリレート25部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メタクリル酸3部、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート5部(固形分量、脱イオン水10部に溶解して配合)、「NFバイソマーPEM6E」(第一工業製薬(株)製、商品名、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、分子量約350)10部、アゾビスイソブチロニトリル4部及びイソブチルアルコール20部からなる混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で30分間熟成し、次にエチレングリコールモノブチルエーテル25部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる追加触媒混合液を1時間かけて滴下した。ついで110℃で1時間熟成したのち冷却し、固形分50%のアクリル樹脂溶液(R-5)を得た。アクリル樹脂溶液(R-5)は水酸基価が43mgKOH/g、重量平均分子量が約2万であった。
着色顔料分散液(P-7)の製造
製造例17
製造例16で得たアクリル樹脂溶液(R-5)を19.4部(固形分で9.7部)、「RAVEN 5000 ULTRA II I BEADS」(商品名、カーボンブラック顔料、COLUMBIAN CARBON CO.社製)5.7部及び脱イオン水74.9部を混合し、ペイントシェーカーで2時間分散して固形分15.4%の着色顔料分散液(P-7)を得た。
水性第2着色塗料(Y-1)~(Y-11)の製造
製造例18
攪拌混合容器に、脱イオン水50.58部、「サーフィノール104A」(商品名、アセチレンジオール系湿潤剤、エアープロダクツ社製、固形分50%、内部溶剤:2-エチルヘキサノール)0.25部(固形分0.13部)、「Hydroshine WS-3001」(商品名、水性用蒸着アルミニウムフレーク顔料、Eckart社製、固形分:10%、内部溶剤:イソプロパノール、平均粒子径D50:13μm、厚さ:0.05μm、表面がシリカ処理されている)11.13部(固形分1.11部)、「アルミペースト EMERAL EMR-D4670」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料、固形分54%)0.69部(固形分0.37部)、「レオクリスタ」(商品名、第一工業製薬社製、セルロースナノファイバー、固形分2%)25.29部(固形分0.51部)、製造例15で得たアクリル樹脂水分散体(R-4)2.22部(固形分0.62部)、製造例17で得た着色顔料分散液(P-7)0.58部、(「TINUVIN 479-DW(N)」(商品名、BASF社製、紫外線吸収剤、固形分40%)0.34部(固形分0.13部)、「TINUVIN 123-DW(N)」(商品名、BASF社製、光安定剤、固形分50%)0.22部(固形分0.11部)、2-エチルヘキサノール0.25部及びイソプロピルアルコール8.43部を添加して攪拌混合し、水性第2着色塗料(Y-1)を調整した。得られた水性第2着色塗料(Y-1)の固形分含有率は3.1質量%であり、塗料粘度「B6値」は2250mPa・sであった。
製造例19~28
配合組成を下記表4に示すものとする以外は、製造例18と同様にして、各水性第2着色塗料(Y-2)~(Y-11)を得た。
Figure 0007005823000004
Figure 0007005823000005
試験板の作成
実施例1
前記[1]で作製した被塗物上に、製造例10で作製した水性第1着色塗料(X-1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚20μmになるように静電塗装し、3分間放置し、未硬化の第1着色塗膜を形成した。
次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に、製造例18で作製した水性第2着色塗料(Y-1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜の膜厚が0.5μmとなるように塗装した。3分間放置し、その後、80℃にて3分間プレヒートし、第2着色塗膜を形成した。
次いで、該未硬化の第2着色塗膜上に、クリヤ塗料「KINO6510」(商品名:関西ペイント株式会社、水酸基/イソシアネート基硬化型アクリル樹脂・ウレタン樹脂系2液型有機溶剤型塗料)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜の膜厚が35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥せしめて試験板とした。
ここで、光輝性塗膜の乾燥塗膜の膜厚は、下記式から算出した。以下の実施例についても同様である。
x=sc/sg/S*10000
x:膜厚[μm]
sc:塗着固形分[g]
sg:塗膜比重[g/cm
S:塗着固形分の評価面積[cm
実施例2~16、比較例1~6
表5に記載の塗料、膜厚とする以外は全て実施例1と同様にして試験板を得た。
第1着色塗膜の評価
第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X)):前記[1]で作製した被塗物上に、水性第1着色塗料(X-1)~(X-5)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、20μmの硬化膜厚となるように塗装した。次いで、室温にて3分間放置し、その後、80℃にて3分間プレヒートし、未硬化の第1着色塗膜を形成した。次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に、クリヤ塗料「KINO6510」(商品名:関西ペイント株式会社、水酸基/イソシアネート基硬化型アクリル樹脂・ウレタン樹脂系2液型有機溶剤型塗料)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜の膜厚が35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱した。次いで、該複層塗膜に、「MA-68II」(商品名、x-Rite社製、多角度分光光度計)を使用して、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に110°の角度で受光した光について、波長400nm以上700nm以下の範囲における光線反射率を測定し、平均値を計算することにより得た。評価結果を併せて表5に記す。
第2着色塗膜の評価
第2着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値:水性第2着色塗料(Y-1)~(Y-11)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、表5に記載の硬化膜厚となるようにOHPシート上に塗装し、室温にて3分間放置し、熱風循環式乾燥炉内にて140℃で30分間加熱した後、該OHPシートを「UV-2700」(商品名、島津製作所製)を使用して評価することにより、波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値を得た。評価結果を併せて表5に記す。
塗膜評価
上記のようにして得られた各試験板について、以下の方法で塗膜を評価し、表5にその結果を示した。
複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S)):各試験板について、「MA-68II」(商品名、x-Rite社製、多角度分光光度計)を使用して、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に110°の角度で受光した光について、波長400nm以上700nm以下の範囲における光線反射率を測定し、平均値を計算することにより得た。
また、前記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))と、上記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))の差|R(X)-R(S)|をあわせて表5に記載した。
ムラ:角度を変えて各試験板を目視し、下記基準で塗膜外観を評価した。〇を合格とする。
◎:ムラが認められず、極めて優れた塗膜外観を有する。
〇:ムラがほとんど認められず、優れた塗膜外観を有する。
×:ムラがかなり又は著しく認められ、塗膜外観が劣る。
60°鏡面光沢度(60°グロス):各試験板について、光沢計(micro-TRI-gloss、BYKGardner社製)を用いて60°グロス値を測定した。値が高い方が良好である。115以上を合格とする。
フリップフロップ値:観察角度による明度変化の大きさを示す数値であり、下記式より算出した。数字が大きいほど、金属調光沢に優れることを示す。2.2以上を合格とする。
フリップフロップ値=60°グロス/明度L(45°)値(*)
(*)明度L(45°):明度L(45°)値は、多角度分光光度計「MA-68II」(商品名、x-rite社製)を用いて、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に45°の角度で受光した光について測定した、Lh表色系における明度Lを表す。
Figure 0007005823000006
Figure 0007005823000007
Figure 0007005823000008
上記表に示すように、本発明の方法によれば、ムラが抑制され、かつ、優れた光沢を呈し、高いフリップフロップ性を示す複層塗膜を形成できる。以上、本発明の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上記実施例においては光輝性顔料としてアルミニウム顔料及び/又は蒸着金属フレーク顔料を使用したが、アルミニウム顔料及び/又は蒸着金属フレーク顔料に代えて又はこれらに加えて光干渉性顔料を用いた場合も、上記同様にムラが抑制され、かつ、優れた光沢を呈し、高いフリップフロップ性を示す(従って優れた真珠調光沢を呈する)複層塗膜が得られることは、上記実施例の記載等、本明細書の記載から明らかである。

Claims (5)

  1. 工程(1):被塗物上に、着色顔料(x1)及び光輝性顔料(x2)を含有する水性第1着色塗料(X)を塗装して第1着色塗膜を形成する工程、
    工程(2):前記第1着色塗膜上に、粘性調整剤(y1)、着色顔料(y2)及び光輝性顔料(y3)を含有する水性第2着色塗料(Y)を塗装して第2着色塗膜を形成する工程、
    工程(3):前記第2着色塗膜上に、クリヤ塗料(Z)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、及び、
    工程(4):前記工程(1)で形成された第1着色塗膜、前記工程(2)で形成された第2着色塗膜及び前記工程(3)で形成されたクリヤ塗膜を同時に加熱することにより、硬化させる工程を含む複層塗膜形成方法であって、
    前記水性第2着色塗料(Y)の固形分含有率が、0.1~6質量%の範囲内であり、かつ、
    前記第2着色塗膜の乾燥膜厚が0.2~3.0μmの範囲内であり、かつ、
    前記第2着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線透過率の平均値が1%以下であり、かつ、
    前記第1着色塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(X))と、前記複層塗膜の波長400nm以上700nm以下の光線反射率(110°)の平均値(R(S))の差|R(X)-R(S)|が5%以下であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 前記水性第1着色塗料(X)中の光輝性顔料(x1)が、アルミニウム顔料を含む請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記粘性調整剤(y1)が、セルロースナノファイバーである請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 前記水性第2着色塗料(Y)中の、着色顔料(y2)の含有量が、水性第2着色塗料(Y)の合計固形分100質量部に対し、0.1~5質量部の範囲内である請求項1~3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 前記水性第2着色塗料(Y)中の光輝性顔料(y3)が、アルミニウム顔料及び/又は蒸着金属フレーク顔料を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
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