以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[画像形成装置の全体構成]
実施例1ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)の4色の色材によって画像を形成するカラー画像形成装置を用いて説明する。また、実施例1の画像形成装置は電子写真方式で印刷を行うものとする。
図1(a)を用いて実施例1における画像形成装置の全体構成の説明を行う。実施例1における画像形成装置102は各種制御やデータ処理を行うビデオコントローラ103と記録媒体に可視化された画像形成を行うプリンタエンジン104から構成される。画像形成装置102にはネットワークやパラレルインターフェイス、シリアルインターフェイス等を介して画像形成装置102に対してプリントの実行を指示するホストコンピュータ101等が接続されている。ビデオコントローラ103は、ホストコンピュータ101からプリントの実行が指示されると、送信される印刷データを画像データにラスタライズし、色変換やハーフトーン処理等の各種データ処理を行う。その後、ビデオコントローラ103は、プリント実行命令とともにレーザの露光時間を示すレーザ駆動信号をプリンタエンジン104に送信する。プリンタエンジン104はビデオコントローラ103からのプリント実行命令に従って、送信されるレーザ駆動信号に基づいて記録媒体上に画像形成を行う。
[プリンタエンジン制御]
図1(b)及び図2を用いて、プリンタエンジン104の動作を説明する。図1(b)は中間転写体としての転写ベルトを採用したタンデム方式のカラーの画像形成装置102の断面を示す図である。図2はプリンタエンジン104の制御ブロック図である。プリンタエンジン104は、大きく分けて、エンジン制御部301とエンジン機構部302から構成される。エンジン機構部302はエンジン制御部301からの各種指示により動作する。まず、このエンジン機構部302の詳細を図1(b)を用いて説明し、その後にエンジン制御部301を説明する。
レーザ/スキャナ系308は、レーザ発光素子、レーザドライバ回路、スキャナモータ、回転多面鏡、スキャナドライバ等を含む。図1(b)のスキャナ部24Y、24M、24C、24Kがこれに相当する。ここで、符号の添え字Y、M、C、Kは上述したように各色を示しており、以下、特定の色について説明する場合を除き、表記を省略する。スキャナ部24はビデオコントローラ103から送られてくるレーザ駆動信号に従ってレーザ発光素子を点灯させ、回転多面鏡によってレーザ光を反射させることで感光ドラム22を走査する。スキャナ部24からの露光光が感光ドラム22の表面を選択的に露光することにより、感光ドラム22上(感光体上)に静電潜像が形成される。
作像系309は、プリンタエンジン104の中枢をなす部分であり、感光ドラム22上に形成された静電潜像に基づくトナー画像を記録媒体上に形成させる部位である。作像系309は、転写ベルト27上に検知用画像を形成する形成手段として機能する。作像系309は、現像色分並置したステーション毎の感光ドラム22、帯電器23、現像器26、転写ベルト27(ベルト)、転写手段である1次転写ローラ35、転写ローラ28及び定着部30等のプロセス要素により構成される。また、作像系309は、作像を行う上での各種高電圧を生成する高電圧電源回路等により構成される。実施例1では、ステーション毎に感光ドラム22を帯電させるための4個の帯電器23を備える構成で、帯電器23Y、23M、23C、23Kにはスリーブ23YS、23MS、23CS、23KSがそれぞれ備えられている。
感光ドラム22は、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成され、駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光ドラム22を画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。感光ドラム22上の静電潜像を可視化するために、ステーション毎にY、M、C、Kの現像を行う4個の現像器26を備える構成で、現像器26Y、26M、26C、26Kには、スリーブ26YS、26MS、26CS、26KSがそれぞれ設けられている。各々の帯電器23、現像器26、感光ドラム22はプロセスカートリッジとして脱着可能に取り付けられている。なお、プロセスカートリッジには少なくとも感光ドラム22が含まれていればよく、図1(b)の構成に限定されない。
転写ベルト27は、感光ドラム22に接触しており、駆動ローラ25によってカラー画像形成時に時計周り方向に回転し、感光ドラム22の回転に伴って回転する。感光ドラム22の転写ベルト27を挟んで対向する位置には1次転写ローラ35が配置されている。感光ドラム22と1次転写ローラ35とはニップ部を形成しており、そのニップ部においてY、M、C、Kの単色トナー像が順次重畳して転写ベルト27上に転写される。その後、転写ベルト27に後述する転写ローラ28が接触して、記録材である転写材11を狭持搬送し、転写材11に転写ベルト27上の多色トナー像が転写される。転写ローラ28は、転写材11上に多色トナー像を転写している間、28aの位置で転写材11に当接し、転写材11に多色トナー像が転写された後は28bの位置に離間する。
定着部30は、転写材11を搬送させながら、転写された多色トナー像を溶融定着させるもので、転写材11を加熱する定着ローラ31と転写材11を定着ローラ31に圧接させるための加圧ローラ32とを備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ33、34が内蔵されている。すなわち、多色トナー像を保持した転写材11は、定着ローラ31と加圧ローラ32により搬送されるとともに、熱及び圧力を加えられ、トナーが表面に定着される。
クリーニング部29は、転写ベルト27上に残ったトナーをクリーニングするものであり、転写ベルト27上に形成された4色の多色トナー像を転写材11に転写した後のトナーは、クリーニング部29によってクリーナ容器(不図示)に蓄えられる。検知手段であるレジストレーションセンサ(以下、レジストセンサという)6は、転写ベルト27に向けて配置されている。レジストセンサ6は、転写ベルト27の表面の反射光量や転写ベルト27の表面上に形成されるトナーマークからなる位置ずれ(色ずれ)検知マーク(検知用画像)の反射光量を検知する。また、プロセスカートリッジには、不揮発性のメモリタグ(不図示)が備えられており、後述するCPU303又はASIC304は、メモリタグに各種情報の読み書きを行う。
給紙・搬送系310は、転写材11の給紙、搬送を行う部分であり、各種搬送系モータ、給紙部21、排出トレイ、給紙ローラ、排出ローラを含む各種搬送ローラ等で構成される。作像系309の動作に合わせて給紙カセット21a又は給紙トレイ21bから転写材11を給紙、搬送し、また転写材11を排出トレイに排出する部位である。
センサ系311は、レーザ/スキャナ系308、作像系309、給紙・搬送系310を、後述するCPU303、ASIC304が制御する上で必要な情報を収集するためのセンサ群である。このセンサ群には、上述のレジストセンサ6の他に定着部30の温度センサ、用紙サイズセンサ、紙先端センサ、紙搬送センサ等、少なくとも既に周知の各種センサが含まれる。これら各種センサで検知された情報は後述するCPU303により取得され、プリントシーケンス制御に反映される。なお、図中のセンサ系311について、レーザ/スキャナ系308、作像系309、給紙・搬送系310とは分けて記載したが、いずれかの機構に含めるようにしてもよい。なお、実施例1では、転写ベルト27の1周の長さ(ベルト周長)Lb=1000[mm]、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの1周の長さ(外周の長さ)Ld=80[mm]、転写ベルト27の搬送速度Vp=200[mm/sec]とする。
次にエンジン制御部301の説明を行う。CPU303は、RAM305を主メモリ、ワークエリアとして利用し、不揮発性記憶部306に格納される各種制御プログラムに従い、上述したエンジン機構部302を制御する。システムバス312は、アドレスバス及びデータバスを有する。上述の各構成要素は、システムバス312に接続され、互いにアクセス可能となっている。
CPU303は、ビデオコントローラ103からエンジンインターフェイス部(以下エンジンI/F部とする)307を介してプリント実行命令を受信すると、まず作像系309を駆動し、帯電器23によって感光ドラム22を帯電させる。次に、CPU303は、レーザ駆動信号に基づき、レーザ/スキャナ系308を駆動し、感光ドラム22に静電潜像を形成する。次に、CPU303は、作像系309を駆動し、静電潜像を現像して単色トナー像を形成し、この単色トナー像を重ね合わせてY、M、C、Kの4色のトナー像を転写ベルト27上に形成する。CPU303は、作像系309の駆動とともに給紙・搬送系310を制御し、給紙ローラによって給紙部21から転写材11を給紙し、転写ベルト27上の多色トナー像を転写材11へ転写する。その後、CPU303は、転写材11上の未定着の多色トナー像を定着部30によって定着させ、定着後の転写材11を排出ローラによって排出トレイに排出する。その後、クリーニング部29によって転写ベルト27上に残ったトナーをクリーニングして画像形成動作を終了する。また、CPU303はセンサ系311を駆動することで、レーザ/スキャナ系308、作像系309、給紙・搬送系310を制御する上で、必要な情報を取得する。
一方、ASIC304は、CPU303の指示のもと、上述した各種プリントシーケンスを実行する上での各モータの制御、現像電圧等の高電圧電源の制御等を行う。なお、CPU303の機能の一部又は全てをASIC304に行わせてもよく、また、逆にASIC304の機能の一部又は全てをCPU303に代わりに行わせてもよい。また、別途の専用ハードウェアを設け、CPU303やASIC304の機能の一部をその専用ハードウェアに行わせるようにしてもよい。また、実施例1の画像形成装置102は、転写ベルト27上の多色トナー像を転写ローラ28によって転写材11に転写する構成である。しかし、搬送ベルト上に担持され搬送される転写材11に各感光ドラム22から単色のトナー像が順次重畳されて転写される構成としてもよく、実施例2についても同様とする。
[レジストセンサの構成]
レジストセンサ6の詳細構成について、図3を用いて説明する。以降の説明ではレーザの露光走査方向を主走査方向、転写ベルト27の搬送方向(向きは逆となる)を副走査方向と呼ぶ(図3(a)参照)。レジストセンサ6の配置について図3(a)を用いて説明する。レジストセンサ6は主走査方向に2個並べて6Lと6Rが配置されており、レジストセンサ6Lは主走査方向の画像書き始め側に配置され、レジストセンサ6Rは主走査方向の画像書き終わり側に配置されている。
レジストセンサ6Rの構成について図3(b)を用いて説明する。斜めに実装された光照射手段であるLED61と、光量検知手段であるフォトトランジスタ(以下、PTRという)62を有している。LED61は、検知面に対して斜めに実装されているが、ライトガイド等を用い、検知面に対して斜めに照射させる構成でもよい。LED61とPTR62は、図3(b)に示すように光学的に対称となるように、それぞれ中心より角度A°だけ傾けられて配置されている。PTR62は、LED61から出射された光が転写ベルト27表面で正反射した光を受光する。実施例1では、正反射光のみを検知するセンサを設けているが、乱反射光を検知するフォトトランジスタを追加したものでもよい。レジストセンサ6Lも同様の構成であり、説明を省略する。
[レジストセンサ制御部の説明]
図4(a)はレジストセンサ制御部51の構成図である。ASIC304内のレジストセンサ制御部51は、駆動部52、下地計測部53、位置計測部54、位置計測部55で構成されている。またタイマー56はASIC304内に配置され、時間をカウントする動作を行う。駆動部52はレジストセンサ6RのLED61をオン/オフするための駆動信号a、レジストセンサ6LのLED61をオン/オフするための駆動信号bをそれぞれ出力する。下地計測部53は、レジストセンサ6Rから出力される検知信号aに対して下地の計測を行う。位置計測部54は、レジストセンサ6Rから出力される検知信号aに対して位置の計測を行う。位置計測部55はレジストセンサ6Lから出力される検知信号bに対して位置の計測を行う。下地計測、及び位置計測の詳細な内容については後述する。
駆動部52によって、駆動信号aがオンとして出力されると、レジストセンサ6RのLED61が発光する。レジストセンサ6RのPTR62は、LED61から出射されて転写ベルト27で正反射した光を受光すると、光電流を発生させ、電流に基づいた検知信号aを下地計測部53及び位置計測部54に出力する。駆動部52によって、駆動信号bがオンとして出力されると、レジストセンサ6LのLED61が発光する。レジストセンサ6LのPTR62は、LED61から出射されて転写ベルト27で正反射した光を受光すると、光電流を発生させ、電流に基づいた検知信号bを位置計測部55に出力する。
下地計測部53は、タイマー56を参照して、レジストセンサ6Rによって転写ベルト27の表面(下地ともいえる)を検知した結果である検知信号aをサンプリング間隔ΔTで取得し、下地データとしてRAM305に保存する。図4(b)に下地データの例を示す。図4(b)において、横軸は時間、縦軸は検知信号aを示し、黒丸で示すデータが取得された下地データである。下地データは転写ベルト27の表面の反射光量であり、下地データは転写ベルト27の表面の平滑度や濃淡等に応じて変化する。通常、転写ベルト27は、場所によって平滑度や濃淡等が異なる。このため、下地データは、転写ベルト27の副走査方向の位置と強い相関を持つ。実施例1では、サンプリング間隔ΔT=50[msec]とする。したがって、下地計測部53は、転写ベルト27上の距離でΔd=Vp×ΔT=10[mm]間隔で転写ベルト27の表面の反射光量を取得すると言い換えることが可能である。以下、Δdを距離間隔という。下地計測部53は取得した下地データをRAM305に保存する。
位置計測部54、位置計測部55は、転写ベルト27上のトナー像の位置を計測する。実施例1では、検知信号a、bの値は、トナー像を検知したときの検知信号a、bの方が転写ベルト27を検知したときの検知信号a、bよりも大きい(トナー像の反射光量>転写ベルト表面の反射光量)とする。位置計測部54は、タイマー56を参照して検知信号aをサンプリング間隔ΔT’で取得し、検知信号aがあらかじめ定められたしきい値よりも低い状態から高い状態へ移行した時間、すなわちトナー像のエッジ先端の通過時間を測定してRAM305に保存する。また、位置計測部54は、しきい値よりも高い状態から低い状態へ移行した時間、すなわちトナー像のエッジ後端の通過時間を測定してRAM305に保存する。
図4(c)に位置ずれデータの例を示す。図4(c)において、横軸は時間、縦軸は検知信号a、bを示し、実線でしきい値を示す。図4(c)の黒丸で示すデータがサンプリングされたデータを表している。四角で囲まれたデータがエッジ先端のデータを表しており、各データに対応する時間ts1、ts2、ts3、…がエッジ先端のデータとなる。三角で囲まれたデータがエッジ後端のデータを表しており、各データに対応する時間te1、te2、te3、…がエッジ後端のデータとなる。また、実施例1では、位置データのサンプリング間隔ΔT’=50/32[msec]とする。
[補正プロファイル作成方法の説明]
実施例1における補正プロファイル作成処理について図5のフローチャートを用いて説明する。また、実施例1では不揮発性記憶部306内に表1の形式で補正プロファイルテーブルを持つものとする。
表1に示す補正プロファイルテーブルには、左の列から、ベルト位置、下地データ、位置ずれデータ(Y)、位置ずれデータ(M)、位置ずれデータ(C)、位置ずれデータ(K)が格納されている。ベルト位置とは、転写ベルト27上の所定のタイミングを基準とした、所定の時間が経過したときの時間経過を距離に換算した転写ベルト27上の位置をいう。上述したように、サンプリング間隔ΔTを距離に換算した距離間隔Δdは10mmであり、表1の補正プロファイルテーブルには、ベルト位置の0mmからスタートして10mm間隔で990mmまでのデータが格納される。また、表1の補正プロファイルテーブルには、ベルト位置0mmを0、10mmを1、・・・、990mmを99として、下地データや各色の位置ずれデータが格納される。詳細には、第1のデータである下地データは、bdata[0],bdata[1],・・・,bdata[99]のように表1の補正プロファイルテーブルに格納される。第2のデータである位置ずれデータ(Y)は、ydata[0],ydata[1],・・・,ydata[99]のように表1の補正プロファイルテーブルに格納される。第2のデータである位置ずれデータ(M)は、mdata[0],mdata[1],・・・,mdata[99]のように表1の補正プロファイルテーブルに格納される。第2のデータである位置ずれデータ(C)は、cdata[0],cdata[1],・・・,cdata[99]のように表1の補正プロファイルテーブルに格納される。第2のデータである位置ずれデータ(K)は、kdata[0],kdata[1],・・・,kdata[99]のように表1の補正プロファイルテーブルに格納される。
更に、実施例1では工場出荷時や転写ベルト27の交換時等に補正プロファイル作成処理が実施される。補正プロファイル作成全体の制御はCPU303が行う。CPU303は、テーブルを生成するテーブル生成手段として機能する。CPU303は、図4(a)で説明したASIC304を制御して図5のフローチャートの処理を実行する。なお、ASIC304が有する下地計測部53、位置計測部54、55等の動作は図4(a)を用いて説明したため、図5のフローチャートでの詳細な説明は省略する。補正プロファイル作成処理を開始すると、CPU303は、ステップ(以下、Sとする)801以下の処理を実行する。
S801でCPU303は、駆動ローラ25を駆動して転写ベルト27の下地検知を開始する。CPU303は、転写ベルト27の搬送速度Vpが安定したタイミングを基準タイミングとし、タイマー56をリセットして基準タイミングからの時間計測を開始する。レジストセンサ制御部51の駆動部52は、駆動信号aを出力してレジストセンサ6Rを駆動する。下地計測部53は、タイマー56を参照してタイマー56がリセットされた時間をトリガーに、図4(b)のように下地データの取得を開始し、転写ベルト27の1周分(以下、ベルト1周分という)の時間=Lb/Vpが経過すると取得を終了する。取得した下地データは前述のようにRAM305に保存される。
図6(a)は転写ベルト27上を表している。図6(a)の矢印の方向に転写ベルト27は搬送される。領域1001、1002はレジストセンサ6Rで検知を行う領域である。基準タイミングにおけるレジストセンサ6Rの位置(基準位置)をS1としてレジストセンサ6Rは領域1001を検知する。検知する領域1001はベルト1周の長さLb=1000[mm]となる。ASIC304は、下地計測部53による領域1001の測定が完了するとタイマー56をリセットし、再度、転写ベルト27上の位置S2(以下、基準位置S2という)に関連付けた基準タイミングからの時間計測を開始する。S802でCPU303は、RAM305内に保存された領域1001の下地データを表1の補正プロファイルテーブルの下地データbdata[0]~bdata[99]として、基準位置S1からのベルト位置(0~990[mm])に関連付けて格納する。図6(b)は保存された下地データbdata[0]~bdata[99]の例を示し、横軸はベルト位置[mm]、縦軸は下地データを示す。
S803でCPU303は、位置ずれ検知マークの形成を行う。図7(a)に、第1の検知用画像である位置ずれ検知マークの一例を示す。位置ずれ検知マークは、領域1002に、長手方向が転写ベルト27の搬送方向に直交する主走査方向に略平行な横線パターンとして所定の間隔(後述するw)で副走査方向に各色順番に形成される。Y色の横線パターン(1201Y0~1201Y99)、M色の横線パターン(1201M0~1201M99)、C色の横線パターン(1201C0~1201C99)、K色の横線パターン(1201K0~1201K99)が等間隔(w)で形成される。ここで、間隔wは、横線パターンの先端から次の横線パターンの先端までの距離である。横線パターンはw=2.5[mm]間隔で配置され、同色間は4×w=10[mm]、すなわち上述した距離間隔Δd(=10mm)と同じ間隔で配置される。領域1002はベルト1周の長さLbとなり、横線パターン(1201Y0、1201M0、1201C0、1201K0~1201Y99、1201M99、1201C99、1201K99)はベルト1周にわたって形成される。
S804でCPU303は、位置ずれ検知マークの検知を行う。位置計測部54はタイマー56を参照してタイマー56が2回目にリセットされた時間をトリガーにして、図4(c)のように各横線パターンのエッジの先端(□で囲ったデータ)と後端(△で囲ったデータ)の検知時間の取得を開始する。位置計測部54は、全ての横線パターンの取得が終わると取得を完了する。取得されたエッジの検知時間は、前述のようにRAM305に保存される。保存された各色のn番目の横線パターン1201Yn、1201Mn、1201Cn、1201Knのエッジ先端の検知時間を、それぞれtYns、tMns、tCns、tKnsとする。横線パターン1201Yn、1201Mn、1201Cn、1201Knのエッジ後端の検知時間を、それぞれtYne、tMne、tCne、tKneとする。
S805でCPU303は、位置ずれ量の算出を行う。まず、横線パターン1201Yn、1201Mn、1201Cn、1201Knの中心位置dY(n)、dM(n)、dC(n)、dK(n)を、次の式(1)~式(4)を用いて算出する(n=0,…,99)。
dY(n)=(tYns+(tYne-tYns)/2)×Vp 式(1)
dM(n)=(tMns+(tMne-tMns)/2)×Vp 式(2)
dC(n)=(tCns+(tCne-tCns)/2)×Vp 式(3)
dK(n)=(tKns+(tKne-tKns)/2)×Vp 式(4)
次に横線パターン1201Mn、1201Cn、1201Knが、1201Ynの位置に形成されたと仮定した場合の仮想的な中心位置dM’(n)、dC’(n)、dK’(n)を式(5-1)~式(7-2)を用いて線形補間によって求める。
dM’(n)=(dM(n)-dM(n-1))×3/4+dM(n-1) (n≠0) 式(5-1)
dM’(n)=dM(n)-(dM(n+1)-dM(n))×1/4 (n=0) 式(5-2)
dC’(n)=(dC(n)-dC(n-1))×2/4+dC(n-1) (n≠0) 式(6-1)
dC’(n)=dC(n)-(dC(n+1)-dC(n))×2/4 (n=0) 式(6-2)
dK’(n)=(dK(n)-dK(n-1))×1/4+dK(n-1) (n≠0) 式(7-1)
dK’(n)=dK(n)-(dK(n+1)-dK(n))×3/4 (n=0) 式(7-2)
次に横線パターンの理想位置に対する中心位置dY(n)、dM’(n)、dC’(n)、dK’(n)の位置ずれ量ΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)を次の式(8)~式(11)を用いて算出する(n=0,…,99)。なお、理想位置とは、基準位置S2であり、横線パターン1201Y0の先端の位置に相当する。
ΔdY(n)=dY(n)-Δd×n-dY(0) 式(8)
ΔdM(n)=dM’(n)-Δd×n-dY(0) 式(9)
ΔdC(n)=dC’(n)-Δd×n-dY(0) 式(10)
ΔdK(n)=dK’(n)-Δd×n-dY(0) 式(11)
図7(b)に基準位置S2(図6(a)参照)からのベルト位置に対する位置ずれ量ΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)の例を示す。図7(b)は、横軸がベルト位置[mm]、縦軸が位置ずれ量[μm]を示す。図7(b)において、点線は位置ずれ量ΔdY(n)を示し、一点鎖線は位置ずれ量ΔdM(n)を示し、破線は位置ずれ量ΔdC(n)を示し、実線は位置ずれ量ΔdK(n)を示す。以降、位置ずれ量ΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)を位置ずれデータともいう。
図5のフローチャートの説明に戻る。S806でCPU303は、位置ずれデータΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)に対してローパスフィルタ処理を行う。ローパスフィルタ処理を行う理由を以下に述べる。位置ずれデータΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)には、感光ドラム22の回転周期(以下、ドラム周期と呼ぶ)、駆動ローラ25の回転周期(以下、駆動ローラ周期と呼ぶ)等の成分が含まれている。更に、位置ずれデータΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)には、転写ベルト27の1周の周期(以下、ベルト周期と呼ぶ)等の成分が含まれている。実施例1では、位置ずれデータにローパスフィルタ処理を行うことによって、周期の長いベルト周期及びその高調波成分、言い換えれば転写ベルト27の周波数成分のみを抽出し、周期の短いドラム周期や駆動ローラ周期の成分を除外する。これにより、転写ベルト27の位置に依存するベルト周期及びその高調波の位置ずれのみを取り出すことが可能となる。図7(b)の位置ずれデータに対してローパスフィルタ処理を行った結果を図8に示す。ここで、上述した位置ずれデータにローパスフィルタ処理を行ったものを、改めて位置ずれデータΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)と表記する。図8のグラフの横軸、縦軸等は図7(b)のグラフと同様である。
S807でCPU303は、S806でローパスフィルタ処理を行った位置ずれデータΔdY(n)、ΔdM(n)、ΔdC(n)、ΔdK(n)(例えば、図8に示す位置ずれデータ)を表1の補正プロファイルテーブルに格納する。すなわち、CPU303は、ydata[n]にΔdY(n)を格納し、mdata[n]にΔdM(n)を格納する。CPU303は、cdata[n]にΔdC(n)を格納し、kdata[n]にΔdK(n)を格納する。また、CPU303は、ydata[0]~ydata[99]、mdata[0]~mdata[99]に基準位置S2からのベルト位置(0~990[mm])を関連付けて補正プロファイルテーブルに格納する。更に、CPU303は、cdata[0]~cdata[99]、kdata[0]~kdata[99]に基準位置S2からのベルト位置(0~990[mm])を関連付けて補正プロファイルテーブルに格納する。ここで、基準位置S1と基準位置S2はベルト周長Lbの距離分離れていることから、転写ベルト27上の同一位置である。更に、各色の位置ずれデータと下地データのそれぞれの取得間隔は、いずれもΔdである。位置ずれデータに関しては、式(5)~式(7)を用いて、M、C、Kの中心位置をYの中心位置にずらしたため、このようにすることができる。したがって、基準位置S1と基準位置S2をベルト位置0として、以降の下地データと位置ずれデータを対応付けることが可能となる。以上の処理によって補正プロファイル作成を終了する。
[色ずれ補正処理の説明]
次に色ずれ補正処理について図9のフローチャートを用いて説明する。なお、色ずれ補正処理は通常の画像形成処理とは独立したタイミングで行われ、例えば、電源投入時や、前回の色ずれ補正処理から所定枚数印刷したとき、前回の色ずれ補正処理から所定時間経過したとき等に行われる。更に、連続印刷中に機内温度が上昇し、CPU303によって色ずれが大きくなっていると判断されたときに印刷動作を一時的に中止して行われる。
色ずれ補正処理全体の制御はCPU303が行う。CPU303は、位置ずれを補正する補正処理を行う補正手段として機能する。CPU303は、図4(a)で説明したASIC304を制御して図9のフローチャートの処理を実行する。なお、ASIC304が有する下地計測部53、位置計測部54、55等の動作は図4(a)を用いて説明したため、図9のフローチャートでの詳細な説明は省略する。色ずれ補正処理が開始されると、S1501でCPU303は、駆動ローラ25を駆動して転写ベルト27の下地検知を開始する。転写ベルト27の搬送速度Vpが安定したタイミングを基準タイミングとし、タイマー56によって基準タイミングからの時間計測が開始される。なお、転写ベルト27の搬送速度Vpが安定したタイミングを基準タイミングとしているため、この基準タイミングが、補正プロファイル作成時の図6(a)で示す基準位置S1のタイミングと一致するとは限らない。
図10(a)は転写ベルト27上を表している。図10(a)の矢印の方向に転写ベルト27は搬送される。領域1601、1602R、1602Lはそれぞれレジストセンサ6R、6Lで検知可能な領域である。基準タイミングにおけるレジストセンサ6の位置(基準位置)をS1’としてレジストセンサ6Rで転写ベルト27上の領域1601を検知する。なお、位置S1’を以降、下地測定開始位置S1’という。検知される領域1601はベルト1周よりも短い長さLsとし(Ls<Lb)、実施例1ではLs=200[mm]とする。このため、領域1601で取得できる下地データのサンプル数は、20(0~19)となる。
レジストセンサ制御部51の駆動部52は、駆動信号aを出力してレジストセンサ6Rを駆動する。下地計測部53は、補正プロファイル作成時と同様に、Δd=10[mm]間隔で転写ベルト27の表面の反射光量を測定する。下地計測部53は、領域1601における下地データを、第3のデータである下地データbdata’[0]~bdata’[19]としてRAM305に保存する。図10(b)は保存された下地データbdata’[0]~bdata’[19]の例を示す。図10(b)は横軸にベルト位置[mm]を示し、縦軸に下地データを示す。ASIC304は、下地計測部53による領域1601の測定が完了するとタイマー56をリセットし、再度、転写ベルト27上の位置S2’に関連付けたタイミングからの時間計測を開始する。
S1502でCPU303は、第2の検知用画像である位置ずれ検知マークの形成を行う。位置ずれ検知マークは、例えば図11に示すようなものである。CPU303は、領域1602Rに次のような位置ずれ検知マークを形成する。すなわち、搬送方向に対して所定の角度をなすY、M、C、Kの斜線パターンRY0a、RM0a、RC0a、RK0aと所定の角度をなすK、C、M、Yの斜線パターンRK0b、RC0b、RM0b、RY0bを1つのセット1604Rとして形成する。例えば、斜線パターンRY0a、RM0a、RC0a、RK0aは、搬送方向に対して略45度の角度をなすように形成される。また、例えば、斜線パターンRK0b、RC0b、RM0b、RY0bは、搬送方向に対して略-45度の角度をなすように形成される。同様のセットを、間隔Ld’=Ld/4=20[mm]で形成する。ここで、上述したように、Ldは感光ドラム22の外周の長さであり、例えば80mmである。このため、セット1604R~1607Rは、感光ドラム22の1周分に相当する領域に形成される。領域1602Lにも領域1601Rと同様の斜線パターン(LY0a~LY3b、LM0a~LM3b、LC0a~LC3b、LK0a~LK3b)が形成される。図11中、一点鎖線で示す1603R、1603Lは、位置ずれがない場合にレジストセンサ6R、6Lが検知する位置である。
図9のフローチャートの説明に戻る。S1503でCPU303は、S1502で形成した位置ずれ検知マークの検知を行う。レジストセンサ制御部51の駆動部52は、駆動信号a、bを出力してレジストセンサ6R、6Lを駆動し、位置計測部54、55によって各斜線パターンのエッジの先端と後端の検知時間を補正プロファイル作成時と同様に取得し、RAM305に保存する。
(ベルト位置推定処理)
S1504でCPU303は、S1503で形成された位置ずれ検知マークのベルト位置の推定処理を行う。以下、図12を用いてベルト位置推定処理について説明する。S1901でCPU303は、表1の補正プロファイルテーブルに格納した下地データbdata[0]~bdata[99]をRAM305上に読み込む。CPU303は、下地データbdata[0]~bdata[18]のデータをbdata[100]~bdata[118]にセットして、下地データbdata[100]~bdata[118]を生成する。これにより、下地データは、bdata[0]~bdata[118]となる。なお、このように下地データbdata[n]を拡張した理由は、後述する式(12)において、図9のS1501で取得した下地データbdata’[0]~bdata’[19]との差分をとるためである。
S1902でCPU303は、データアドレスnを初期化(n=0)する。S1903でCPU303は、差分量Sを次の式(12)によって算出する。差分量Sは、下地データbtata[n](図6(a)の領域1001で検知したデータ)と下地データbdata’[n](図10(a)の領域1601で検知したデータ)との差分量である。
S1904でCPU303は、データアドレスnが0か否かを判断する。S1904でCPU303は、データアドレスnが0である(n=0)と判断した場合、処理をS1905に進める。S1905でCPU303は、変数mにデータアドレスnを代入し(m=n)、変数Smに差分量Sを代入し(Sm=S)、処理をS1907に進める。S1904でCPU303は、データアドレスnが0ではない(n≠0)と判断した場合、処理をS1906に進める。S1906でCPU303は、差分量Sが変数Smの値よりも小さい(S<Sm)か否かを判断する。S1906でCPU303は、差分量Sが変数Smの値より小さい(S<Sm)と判断した場合、処理をS1905に進め、現在のデータアドレスnを変数mに代入し、現在の差分量Sを変数Smに代入する。
S1906でCPU303は、差分量Sが変数Smの値以上である(S≧Sm)と判断した場合、処理をS1907に進める。S1907でCPU303は、データアドレスnが100未満である(n<100)か否かを判断する。S1907でCPU303は、データアドレスnが100未満である(n<100)と判断した場合は、処理をS1908に進める。S1908でCPU303は、データアドレスnを1つ増加させ(n=n+1)、処理をS1903に戻す。S1907でCPU303は、データアドレスnが100以上である(n≧100)と判断した場合、処理をS1909に進める。このとき、変数Smには、データアドレス0から99までの差分量Sの中で最も小さい差分量Sが代入されており、変数mには最も小さい差分量Sのデータアドレスnが代入されている。
S1909でCPU303は、ベルト位置Aを変数mにΔdを乗じた値(ベルト位置A=m×Δd)とする。上述したように、Δdはサンプリング間隔ΔTを距離に換算したものである。図10(a)の領域1601で取得した下地データが図10(b)に示すようなデータであった場合に、データアドレスnに対する差分量Sの値の変化を、図13(a)に示す。図13(a)は横軸にデータアドレスn、縦軸に差分量Sを示す。図13(a)からわかるように、データアドレスnが20(n=20)のときに、差分量Sが最小の値となる。すなわち、図12のS1909の処理が実行されるとき、変数mは20(m=20)となっており、ベルト位置A=20×Δd(=10mm)=200[mm]となる。
前述したように、ベルト位置と下地データとの間には強い相関がある。このため、以上の処理によって2つの下地データが最も近くなるデータアドレスnの値を求める。これにより、図6(a)に示す基準位置S1を基準とした、図10(a)に示す転写ベルト27上の下地測定開始位置S1’(ベルト位置A)を求めることができる。上述した例では、図10(a)の下地測定開始位置S1’は、基準位置S1から200mmの位置となる。
S1910でCPU303は、位置ずれ検知マークの測定開始位置であるベルト位置B(基準位置S2(=S1)からの第4のデータの位置)を特定する。図10(a)に示す位置ずれ検知マークの測定開始位置S2’と、下地測定開始位置S1’とは、距離Ls(=200[mm])離れている。このことから、図6(a)に示す基準位置S1を基準としたベルト位置Bは、ベルト位置Aに距離Lsを加算することにより求められる(ベルト位置A+Ls(ベルト位置A+200)))。なお、求めたベルト位置Bがベルト周長Lbより大きい(B>Lb)場合は、ベルト位置Bからベルト周長Lbを減算した値をベルト位置Bとする(ベルト位置B=ベルト位置B-Lb)。図13(a)の例の場合には、ベルト位置B=200+200=400[mm]となる。以上の処理でベルト位置推定処理を終了する。
図9のフローチャートの説明に戻る。S1505でCPU303は、位置ずれ検知マークの位置を算出する。ここで、S1503で取得されたエッジの検知時間に基づく各斜線パターンの中心位置の求め方は、式(1)~式(4)と同様に行う。検知された斜線パターンRY0a、RM0a、RC0a、RK0a、…等の中心位置を、第4のデータであるzRY0a、zRM0a、zRC0a、zRK0a、…等とする。また、斜線パターンLY0a、LM0a、LC0a、LK0a、…等の中心位置を、第4のデータであるzLY0a、zLM0a、zLC0a、zLK0a、…等とする。
S1506でCPU303は、位置ずれ検知マークの位置の補正を行う。斜線パターンRY0aを例に補正方法を説明する。位置ずれ検知マークの測定開始位置S2’であるベルト位置Bは、S1504で実施したベルト位置推定処理により求められている。基準位置S1を基準とした斜線パターンRY0aのベルト位置zRY0a’は、ベルト位置Bに斜線パターンRY0aの中心位置zRY0aを加算して求められる(zRY0a’=ベルト位置B+zRY0a)。求めた斜線パターンRY0aのベルト位置zRY0a’がベルト周長Lbよりも大きい場合は(zRY0a’>Lb)、ベルト位置zYR0a’からベルト周長Lbを減算した値を斜線パターンRY0aのベルト位置とする(zRY0a’=zRY0a’-Lb)。
次に斜線パターンRY0aのベルト位置zRY0a’に対するYの位置ずれ量を求める。図13(b)は、ベルト位置に対する表1の補正プロファイルテーブルに格納されたYの位置ずれデータydata[0]~ydata[99]の例を示すグラフであり、図8のΔdY(n)と同じグラフである。図13(b)は横軸にベルト位置[mm]、縦軸に位置ずれ量[μm]を示すグラフである。CPU303は、斜線パターンRY0aのベルト位置zRY0a’に対するYの位置ずれ量Cvを位置ずれデータydata[0]~ydata[99]から例えば線形補間等によって求める。CPU303は、求めた位置ずれ量Cvを用いて補正された斜線パターンRY0aの位置(以下、補正位置と呼ぶ)czRY0aを、次の式(13)によって求める。
czRY0a=zRY0a-Cv 式(13)
他の位置ずれ検知マークについても、表1の補正プロファイルテーブルにおける対応した色の位置ずれデータを用いて同様に補正位置の算出を行う。他の位置ずれ検知マークの補正位置も同様の符号を付して表すものとする。
S1507でCPU303は、S1506で求めた補正位置を用いて色ずれ量の算出を行う。色ずれ量の算出方法について説明する。まず、式(14)~式(16)によってセット1604Rに対してKを基準色としてCMY各色のKからの副走査方向の色ずれ量dRy0p、dRm0p、dRc0pを求める。
dRy0p=(czRY0b+czRY0a)/2-(czRK0b+czRK0a)/2 式(14)
dRm0p=(czRM0b+czRM0a)/2-(czRK0b+czRK0a)/2 式(15)
dRc0p=(czRC0b+czRC0a)/2-(czRK0b+czRK0a)/2 式(16)
また、式(17)~式(19)によってセット1604Rに対してKを基準色としてCMY各色のKからの主走査方向の色ずれ量dRy0s、dRm0s、dRc0sを求める。
dRy0s=(czRY0b-czRY0a)/2-dY-((czRK0b-czRK0a)/2-dK) 式(17)
dRm0s=(czRM0b-czRM0a)/2-dM-((czRK0b-czRK0a)/2-dK) 式(18)
dRc0s=(czRC0b-czRC0a)/2-dC-((czRK0b-czRK0a)/2-dK) 式(19)
ただし、dY、dM、dC、dKはそれぞれ位置ずれがない場合の1604R上のRY0aとRY0bの距離、RM0aとRM0bの距離、RC0aとRC0bの距離、RK0aとRK0bの距離である。セット1604Lに対しても上述した方法と同様の方法で副走査方向の色ずれ量dLy0p、dLm0p、dLc0pと主走査方向の色ずれ量dLy0s、dLm0s、dLc0sを求める。
セット1605R~1607R、セット1605L~1607Lに対しても同様の方法で副走査方向の色ずれ量と主走査方向の色ずれ量を求める。セット1605R~1607RのY、M、Cの副走査方向の色ずれ量を順にdRy1p~dRy3p、dRm1p~dRm3p、dRc1p~dRc3pとする。セット1605R~1607RのY、M、Cの主走査方向の色ずれ量を順にdRy1s~dRy3s、dRm1s~dRm3s、dRc1s~dRc3sとする。セット1605L~1607LのY、M、Cの副走査方向の色ずれ量を順にdLy1p~dLy3p、dLm1p~dLm3p、dLc1p~dLc3pとする。セット1605L~1607LのY、M、Cの主走査方向の色ずれ量を順にdLy1s~dLy3s、dLm1s~dLm3s、dLc1s~dLc3sとする。
次にセット1604R~1607Rの平均の副走査方向の色ずれ量dRyp、dRmp、dRcpと、平均の主走査方向の色ずれ量dRys、dRms、dRcsを式(20)~式(25)で求める。
dRyp=(dRy0p+dRy1p+dRy2p+dRy3p)/4 式(20)
dRmp=(dRm0p+dRm1p+dRm2p+dRm3p)/4 式(21)
dRcp=(dRc0p+dRc1p+dRc2p+dRc3p)/4 式(22)
dRys=(dRy0s+dRy1s+dRy2s+dRy3s)/4 式(23)
dRms=(dRm0s+dRm1s+dRm2s+dRm3s)/4 式(24)
dRcs=(dRc0s+dRc1s+dRc2s+dRc3s)/4 式(25)
セット1604L~1607Lの平均の副走査方向の色ずれ量dLyp、dLmp、dLcpと、平均の主走査方向の色ずれ量dLys、dLms、dLcsについても同様の方法で求める。
ここで、全セットの色ずれ量を平均化する理由について述べる。前述のようにドラム周期のAC色ずれによって転写ベルト27の位置によって色ずれ量が変化する。セット1604R、1605R、1606R、1607Rはドラム周期Ldの1/4の間隔で配置しているため、4つのセットを平均化することでドラム周期のAC色ずれの影響を除去することができる。1604L、1605L、1606L、1607Lについても同様である。
次に「副走査色ずれ量」、「主走査色ずれ量」、「主走査幅」、「副走査傾き量」の4項目について色ずれ量を算出する。Y、M、Cの「副走査色ずれ量」dYp、dMp、dCpは基準色Kに対する副走査方向の平均的な色ずれ量であり、式(26)~式(28)で求める。
dYp=(dRyp+dLyp)/2 式(26)
dMp=(dRmp+dLmp)/2 式(27)
dCp=(dRcp+dLcp)/2 式(28)
Y、M、Cの「主走査色ずれ量」dYs、dMs、dCsは基準色Kに対する主走査方向の平均的な色ずれ量であり、式(29)~式(31)で求める。
dYs=(dRys+dLys)/2 式(29)
dMs=(dRms+dLms)/2 式(30)
dCs=(dRcs+dLcs)/2 式(31)
Y、M、Cの「主走査幅」dYz、dMz、dCzは基準色Kに対する主走査幅の伸縮量であり、式(32)~式(34)で求める。
dYz=dRys-dLys 式(32)
dMz=dRms-dLms 式(33)
dCz=dRcs-dLcs 式(34)
Y、M、Cの「副走査傾き量」dYk、dMk、dCkは基準色Kに対する走査線の傾き量であり、式(35)~式(37)で求める。
dYk=dRyp-dLyp 式(35)
dMk=dRmp-dLmp 式(36)
dCk=dRcp-dLcp 式(37)
図9のフローチャートの説明に戻る。S1508でCPU303は、S1507で求められた「副走査色ずれ量」dYp、dMp、dCp、「主走査色ずれ量」dYs、dMs、dCsに対する色ずれ補正パラメータを算出する。CPU303は、また、「主走査幅」dYz、dMz、dCz、「副走査傾き量」dYk、dMk、dCkに対する色ずれ補正パラメータも算出する。具体的には「副走査色ずれ量」からは「副走査色ずれ」をキャンセルするためのCMY各色の副走査方向のレーザ露光タイミングの増減量が算出される。「主走査色ずれ量」からは「主走査色ずれ」をキャンセルするためのCMY各色の主走査方向の画像書き出しタイミングの増減量が算出される。「主走査幅」からは主走査幅のずれをキャンセルするためのKに対する主走査幅の補正伸縮率が算出される。「副走査傾き量」からは副走査方向の傾きをキャンセルするためのKに対する傾き補正角度が算出される。S1509でCPU303は、S1508で算出された色ずれ補正パラメータをビデオコントローラ103へと送信し、色ずれ補正処理を終了する。ビデオコントローラ103側では、受信した色ずれ補正パラメータを、ビデオコントローラ103内の不揮発性の記憶装置(不図示)に記憶する。
プリント時にはビデオコントローラ103側で不揮発性の記憶装置に記憶された色ずれ補正パラメータが読み出される。ビデオコントローラ103は、読み出した色ずれ補正パラメータに基づいてCMY各色に対して各種調整、補正等を行ってプリントを実行する。各種調整、補正等とは、例えば、「画像データの副走査方向の送信タイミングの調整」、「画像データの主走査方向の画像書き出しタイミングの調整」、「画像データの画素毎の送信間隔の調整」、「画像データの傾き補正」等である。これにより、色ずれが低減された良好な画質の画像形成を行うことが可能となる。
なお、実施例1では差分の二乗和を算出することで表1の補正プロファイルテーブルにおける下地データと色ずれ補正時に測定した下地データとの比較を行ったが、比較の方法はこれに限るものではなく、特徴量の比較等を行ってもよい。また、測定する下地データの長さやサンプリング間隔、測定する位置ずれ検知マークの長さやサンプリング間隔等は実施例1の長さとは異なってもよい。以上、実施例1によれば、コストを抑えつつ、色ずれ補正制御に要する時間やトナーの消費量を低減させることができる。
実施例2について説明する。実施例2では補正プロファイルテーブルの作成時の位置ずれ検知マークの形成を複数の色の中の1色(所定の色)のみで行う。そして、複数の色の中の所定の色を除く他の色の位置ずれは、係数を用いた予測算出で求める。実施例2での画像形成装置102の基本的な動作は実施例1と同様であるため、実施例1と動作が共通する部分は説明を省略し、相違点のみを説明する。また、実施例2では転写ベルト27上における感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの距離をSTとする。例えば、感光ドラム22と1次転写ローラ35とのニップ部から隣り合う色のニップ部までの距離をSTとする。また、感光ドラム22Kからレジストセンサ6までの距離をSRとする。例えば、感光ドラム22Kと1次転写ローラ35Kとのニップ部から、レジストセンサ6の副走査方向における中心位置までの距離をSRとする。
[補正プロファイル作成方法の説明]
実施例2での補正プロファイル作成方法について説明する。実施例2の補正プロファイル作成処理を図14のフローチャートに示す。S2201、S2202の処理は実施例1の図5のS801、S802の処理と同様であり説明を省略する。実施例2の補正プロファイルテーブルは、表2(A)、(B)の2つから構成されている。
S2202で測定された下地データは、表2(A)の補正プロファイルテーブルの下地データbdata[n]に格納される。表2(A)に示すように、実施例2の補正プロファイルテーブルは、実施例1の表1の補正プロファイルテーブルに対して、ベルト位置と下地データが格納されている点で異なる。実施例2では、CPU303は、補正プロファイルテーブルに少なくとも下地データとベルト位置とを対応付けて格納する。
S2203でCPU303は、図6(a)で示した領域1002に、第1の検知用画像である位置ずれ検知マークを形成する。実施例2における、図6(a)に示す領域1002に形成される位置ずれ検知マークを図15に示す。実施例2ではYの横線パターン2401Y0~2401Y99のみで位置ずれ検知マークの形成を行い、M、C、Kについては形成しない。横線パターンの間隔はΔd(所定の間隔)とする。S2204~S2206の処理は、図5のS804~S806の処理と同様であるため、説明を省略する。実施例2では、第2のデータであるYの位置ずれデータydata[0]~ydata[99]が得られる。
S2207でCPU303は、補正係数α1、α2、α3、β1、β2、β3(係数)を求める。以下、補正係数を求める方法について詳細に説明する。転写ベルト27上の図6(a)に示す基準位置S1(=S2)を基準とした転写ベルト27上の位置をxとする。転写ベルト27の位置xに依存する位置ずれは転写ベルト27の速度変動によって引き起こされる。ただし、ここで定義する速度変動は転写ベルト27の膜厚ムラ等に起因する転写ベルト27の位置xと依存関係のある速度変動とする。
位置xにおける転写ベルト27の速度変動によるYの感光ドラム22Yから転写ベルト27へのイエローのトナー像の転写時に発生する位置ずれ量を、Belt(x)とする。位置ずれ量Belt(x)は、ベルト周期の高調波の正弦波の和で表すことが可能である。実施例2では高調波の次数を3次までとして、位置ずれ量Belt(x)を式(38)で表すことができる。
ただし、補正係数α1~α3はベルト周期~ベルト周期/3の各正弦波の振幅量、補正係数β1~β3はベルト周期~ベルト周期/3の各正弦波の位相を表す。
ここで、レジストセンサ6で検知される位置ずれの中で、転写ベルト27の速度変動に起因する位置ずれΔRには、次のΔTとΔSとが含まれる。ここで、位置ずれΔTは、「感光ドラム22から転写ベルト27へのトナー像の転写時に発生する位置ずれΔT」である。位置ずれΔSは、「レジストセンサ6でのトナー像検知時の検知タイミングの位置ずれΔS」である。
Y、M、C、K各色の位置xに形成された位置ずれ検知マークに対して検知される位置ずれ量をΔRY(x)、ΔRM(x)、ΔRC(x)、ΔRK(x)とする。また、転写時に発生する位置ずれ量をΔTY(x)、ΔTM(x)、ΔTC(x)、ΔTK(x)とする。更に、検知時の検知タイミングのずれによる位置ずれ量をΔS(x)とする。
Yの転写時に発生する位置ずれ量ΔTY(x)は、式(38)で求めたBelt(x)と同一であるので、次の式(39)で表すことができる。
ΔTY(x)=Belt(x) 式(39)
また、検知時の検知タイミングのずれによる位置ずれ量ΔS(x)はレジストセンサ6を通過するタイミングから、次の式(40)で表すことができる。
ΔS(x)=Belt(x+3×ST+SR) 式(40)
したがって、検知される位置ずれ量ΔRY(x)は、次の式(41)で表すことができる。
ΔRY(x)=ΔTY(x)-ΔS(x)=Belt(x)-Belt(x+3×ST+SR) 式(41)
ここで、式(38)~式(41)からΔRY(x)はベルト周期の高調波の正弦波の和の形式となり、ΔRY(x)=ΔRY1(x)+ΔRY2(x)+ΔRY3(x)と表される。ベルト周期、ベルト周期/2、ベルト周期/3の項であるΔRY1(x)、ΔRY2(x)、ΔRY3(x)は、次の式(42)~式(44)のように算出される。
一方で、ΔRY(Δd×n)=ydata[n](n=0,…,99)である。このため、ydata[n](n=0,…,99)をydata[x](x=0,Δd,2×Δd,…,99×Δd)として、FFTや正弦波とのマッチング等の方法で次のように求める。まず、ベルト周期の正弦波の振幅と位相をα1’、β1’、として求める。ベルト周期/2の正弦波の振幅と位相をα2’、β2’、として求める。ベルト周期/3の正弦波の振幅と位相をα3’、β3’、として求める。式(42)~式(44)から補正係数α1~α3、β1~β3は、求められたα1’~α3’、β1’~β3’を用いて、次の式(45)~式(50)のように求めることができる。
S2208でCPU303は、S2207で求めた補正係数α1~α3、β1~β3を、表2(B)の補正プロファイルテーブルに格納して補正プロファイル作成を終了する。
[色ずれ補正処理の説明]
次に実施例2での色ずれ補正処理について説明する。実施例2では図9の色ずれ補正処理のS1506の処理内容が実施例1と異なり、他の処理については実施例1と同様である。実施例2では、Yの色ずれ検知マークのみが形成され、検知されるため、図8のような他の色の位置ずれデータが得られないからである。したがって、ここでは図9のS1506の処理内容についてのみ説明し、他の処理の説明は省略する。
ベルト位置xに対するM、C、Kの転写時に発生する位置ずれΔTM(x)、ΔTC(x)、ΔTK(x)は、各色の転写位置から、次の式(51)~式(53)で表すことが可能である。
ΔTM(x)=Belt(x+ST) 式(51)
ΔTC(x)=Belt(x+2×ST) 式(52)
ΔTK(x)=Belt(x+3×ST) 式(53)
したがって、位置ずれΔRM(x)、ΔRC(x)、ΔRK(x)は、次の式(54)~式(56)によって表すことが可能である。CPU303は、表2(B)の補正プロファイルテーブルから補正係数α1~α3、β1~β3を読み出して、位置ずれ量ΔRY(x)、ΔRM(x)、ΔRC(x)、ΔRK(x)を求める。
ΔRM(x)=ΔTM(x)-ΔS(x)=Belt(x+ST)-Belt(x+3×ST+SR) 式(54)
ΔRC(x)=ΔTC(x)-ΔS(x)=Belt(x+2×ST)-Belt(x+3×ST+SR) 式(55)
ΔRK(x)=ΔTK(x)-ΔS(x)=Belt(x+3×ST)-Belt(x+3×ST+SR) 式(56)
また、ΔRY(x)は前述した式(41)で表すことができる。
S1505で算出された斜線パターンRY0a、RM0a、RC0a、RK0a、…等の中心位置は、zRY0a、zRM0a、zRC0a、zRK0a、…等である。斜線パターンLY0a、LM0a、LC0a、LK0a、…等の中心位置はzLY0a、zLM0a、zLC0a、zLK0a、…等である。CPU303は、中心位置zRY0a、zRM0a、zRC0a、zRK0a、…等、zLY0a、zLM0a、zLC0a、zLK0a、…等に対して位置ずれ検知マークの位置の補正を行う。
実施例2でもイエローの斜線パターンRY0aを例に補正方法を説明する。S1504でベルト位置推定により求められた位置ずれ検知マークの測定開始位置S2’のベルト位置Bに基づき、斜線パターンRY0aのベルト位置zRY0a’を求める。CPU303は、図13(b)で説明した方法と同様に、ΔRY(zRY0a’)から補正量Cvを算出する。
他の色の位置ずれ検知マークについても対応した色の位置ずれ量ΔRM(x)、ΔRC(x)、ΔRK(x)を用いて同様に補正位置の算出を行う。以下の処理は実施例1と同様の処理を行うものとする。
以上のようにして、実施例2では補正プロファイル作成時に1色のみで検知マークの形成を行うため、トナー消費量を抑制することが可能となる。更にベルト1周分の位置ずれの補正プロファイルテーブルを保持する必要がなく、係数のみを保持すればよいのでメモリの消費量を抑えることが可能となる。
なお、実施例2では補正プロファイル作成時にイエローを使用して検知マークを形成したが、使用する色は任意であり、例えば複数色の中で最もトナー残量の多い色を使用する等してもよい。以上、実施例2によれば、コストを抑えつつ、色ずれ補正制御に要する時間やトナーの消費量を低減させることができる。