JP7003417B2 - 炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグの製造方法、及び炭素繊維ポリアミド樹脂複合材 - Google Patents

炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグの製造方法、及び炭素繊維ポリアミド樹脂複合材 Download PDF

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Description

本発明は、炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグの製造方法、及び炭素繊維ポリアミド樹脂複合材に関し、さらに詳しくは大気中、高温環境下におけるプリプレグ製造時の繊維軸と垂直をなす方向に対する強度低下が抑制されたプリプレグの製造法、並びに高温環境下の成形加工工程を経ても強度の維持された炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグ、及びその積層体に関する。
長繊維の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの成形方法としては、スタンパブルシートと言われる成形前駆体を、IRヒーターなどで予備加熱したのちプレス等で加圧冷却することにより、目的の形状に賦形するスタンピング成形が最も一般的に行われている。これにより得られた炭素繊維強化プラスチックは、アスペクト比の大きな強化繊維を用いているので優れた力学物性を有する。
このような炭素繊維強化熱可塑性樹脂のマトリクス樹脂としては、一般に使用される熱可塑性樹脂であれば、何でも使用可能であるが、特に高い強度や耐熱性が要求される場合には、ポリアミド系樹脂が好ましく用いられる。
長繊維の炭素繊維束に溶融樹脂を含浸させる方法は種々の提案がなされているが、生産性と繊維含有率の制御性などの観点から、一方向に引き揃えられた連続炭素繊維束に、溶融樹脂を熱ロール等により含浸させる方法が望ましい。
しかしながら、かかる製造方法で炭素繊維束に対する溶融樹脂の含浸性を増すためには、炭素繊維と接触させる際の樹脂温度を高くする必要があり、ポリアミド樹脂自体が顕著な劣化を示さない条件においても、繊維軸と直交する方向における複合材強度が著しく低下するという問題が生じる。この場合、繊維軸方向における複合材の強度低下はほとんど生じない。このような異方的な強度低下が生じる原因は、炭素繊維と樹脂との界面強度の低下に伴うものと考えられる。
また、一方向に引き揃えられた炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグを、他の成形体と溶着して成形体強度を部分補強する場合や、該プリプレグを積層して圧縮成形を行う場合にも、樹脂自体は熱劣化していないにも関わらず、繊維軸と直交する方向の複合材としての強度のみが低下するという問題も生じていた。
文献1には、炭素繊維に、銅化合物を含有させたポリアミド樹脂パウダーを混合したランダムマットを熱プレスした複合材料が、高温での成形時に熱安定性が改良されることが記されている。
文献2にはランダムに分散された炭素繊維とポリアミド樹脂を複合した材料において、ハロゲン化銅化合物を添加することで、シートを成形する際の予熱時にスプリングバックした基材から発生する臭気や発煙、重量減少が抑制されることが記載されている。
しかしながら、当発明者らの検討によれば、文献1、2が課題としている炭素繊維樹脂複合材の劣化は、炭素繊維複合材料に固有の問題ではなく、過度の加熱によりマトリクス樹脂が熱分解することによって生じるものであり、本発明において課題とする炭素繊維と樹脂との界面強度の低下とは本質的に異なるものである。
特開2014-118426 特開2015-140353
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、生産性が高く、高強度の炭素繊維ポリアミド系樹脂複合材が得られる製造方法、並びに高温環境下の成形加工工程を経ても繊維軸に対して直交方向の強度に優れる炭素繊維ポリアミド系樹脂複合材を提供することを課題とする。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の要旨は、以下の(1)~(5)に存する。
(1) 一方向に引き揃えられた炭素繊維束に、溶融したポリアミド樹脂を空気との
接触下において含浸させる工程を有し、ポリアミド樹脂を溶融させる際にハロ
ゲン化銅化合物、およびハロゲン化物塩を添加する炭素繊維樹脂複合材の製造
方法。
(2) 前記ハロゲン化銅がヨウ化銅であり、ハロゲン化物塩がヨウ化カリウムである
上記(1)に記載の炭素繊維樹脂複合材の製造方法。
(3) さらに、フェノール系酸化防止剤、及び/又はリン系酸化防止剤を添加する
上記(1)または(2)に記載の炭素繊維樹脂複合材の製造方法。
(4) 一方向に引き揃えられた炭素繊維束に、ハロゲン化銅化合物、およびハロゲン
化物塩を含有したポリアミド樹脂を含浸させたプリプレグであり、250℃、
10分間の空気酸化処理を行った際の繊維軸と90°方向の強度保持率が
0.8以上である、炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグ。
(5) 上記(4)に記載のプリプレグを2層以上積層してなる、炭素繊維ポリアミド
樹脂複合材。
本発明によれば、生産性が高く、高強度の炭素繊維ポリアミド系樹脂複合材の製造方法、並びに繊維軸に対して直交方向の強度に優れる炭素繊維ポリアミド系樹脂複合材を提供することができる。
含浸ブレードを用いた炭素繊維樹脂複合プリプレグ製造の様態 シームレスベルトを用いた炭素繊維樹脂複合プリプレグ製造の様態(縦置) シームレスベルトを用いた炭素繊維樹脂複合プリプレグ製造の様態(横置) 離型紙を用いた炭素繊維樹脂複合プリプレグ製造の様態
本発明の炭素繊維ポリアミド系樹脂複合プリプレグの製造方法について以下詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものではない。
本発明の炭素繊維ポリアミド系樹脂複合プリプレグの製造方法は、一方向に引き揃えられた連続した炭素繊維束に、押し出し機から供給された溶融ポリアミド樹脂を空気との接触下において連続的に含浸させる製造方法であって、ポリアミド樹脂にはハロゲン化銅化合物、およびハロゲン化物塩が添加されていることを特徴とする。
溶融ポリアミド樹脂の含浸には、対向する加熱/冷却ロールを備える溶融樹脂含浸装置が好適に用いられる。
以下、炭素繊維ポリアミド系樹脂複合プリプレグの構成について詳細に説明する。
<炭素繊維>
本発明で用いる炭素繊維は、強化繊維として公知の炭素繊維を用いることができ、特に限定されない。炭素繊維の平均繊維直径は、1~50μmであることが好ましく、5~20μmであることがさらに好ましい。炭素繊維の平均単繊維繊度は、好ましくは0.5dtex以上、より好ましくは0.6dtex以上であり、好ましくは3.0dtex以下、より好ましくは2.5dtex以下である。通常、このような炭素繊維の単繊維を、1000本以上60000本以下束ねた炭素繊維束の形態で使用することが取扱い上望ましい。
炭素繊維束を構成する単繊維は、例えば、アクリロニトリル系重合体(PAN系重合体)や、石油又は石炭から得られるピッチ、レイヨン、リグニン等を繊維化し、炭素化することで得られる。特に、PAN系重合体を原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。
PAN系重合体は、分子構造中にアクリロニトリル単位を有するもので、アクリロニトリルの単独重合体や、アクリロニトリルと他のモノマー(例えば、メタクリル酸等)との共重合体とすることができる。
炭素繊維は単独で使用することが望ましいが、その他の無機繊維、有機繊維、金属繊維、又はこれらを組み合せたハイブリッド構成の強化繊維を含んでもよい。
無機繊維としては、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステル等が挙げられる。
金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維が挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。
強化繊維中の炭素繊維の含有率は50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
<ポリアミド樹脂>
本発明に使用されるポリアミド樹脂は、耐熱性、加工特性などの観点から、結晶融点が160℃~300℃のものが好ましく、特に200℃~280℃が好ましく用いられる。融点が160℃未満の場合、耐熱性が低いことや剛性が低いことから好ましくなく、300℃を超えるとプリプレグや中間シートの製造上、及び成形体の製造上好ましくない。具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド9T,ポリアミド10T、ポリアミド11Tのようなホモポリマーや、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド66/10,ポリアミド66/12,ポリアミド6T/6Iのような共重合体等があげられる。
これらの中で、好ましいホモポリマーとしては、価格の点からポリアミド6、ポリアミド66が、好ましい結晶性共重合体としては、ポリアミド6/66が上げられる。
これらのポリアミドは単独で用いても良いし、2種以上のポリアミドを混合して用いても良い。
ポリアミド樹脂の溶融粘度は、280℃の温度において、50~1000(Pa・s)のものが好ましく用いられる。80~500(Pa・s)がさらに好ましく、100~300(Pa・s)が特に好ましい。
ポリアミドの溶融粘度がこの範囲であると、炭素繊維束に対するポリアミド樹脂の含浸性が良好であり、炭素繊維ポリアミド樹脂複合材の機械的強度が高く、好適である。
<ハロゲン化銅化合物>
本発明に用いるハロゲン化銅化合物としては、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、などが挙げられる。なかでもヨウ化銅を好適に使用できる。ハロゲン化銅の添加量としては、ポリアミド樹脂100重量部に対し0.001~1重量部の範囲にあることが好ましい。添加量が0.001部未満では予熱時の樹脂分解や発煙、臭気を抑えることができず、1重量部以上では価格、および安全性の面で好ましくない。更に0.005~0.1重量部が熱安定化効果とコストのバランスから好ましい。
<ハロゲン化物塩>
前述のハロゲン化銅化合物は単独で用いてもある程度の効果は示すが、効果をより安定化させるためにハロゲン化物塩を併用することが望ましい。この場合のハロゲン化物塩としては、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウム等を挙げることができ、特にはヨウ化カリウムが好ましい。ハロゲン化物塩の添加量は、ハロゲン化銅化合物の添加質量対して3~20倍、好ましくは5~15倍であることがコストと安定化効果の観点から望ましい。
<酸化防止剤>
本発明の炭素繊維ポリアミド樹脂複合材に用いられるポリアミド樹脂には、所定量の酸化防止剤が含まれてもよい。酸化防止剤は樹脂の造粒工程から炭素繊維-ポリアミド樹脂複合プリプレグが製造されるまでの任意の段階で添加しうる。好ましい添加工程は、T-ダイから直接炭素繊維シートに樹脂を流下させる場合は樹脂の押し出し工程、フィルムの状態で樹脂を供給してプリプレグを製造する場合はフィルムを製造する工程である。
酸化防止剤としては、1次酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤、2次酸化防止剤であるリン系酸化防止剤を併用することが望ましい。
<フェノール系酸化防止剤>
フェノール系酸化防止剤としては、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-テトラデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、1,4-ブタンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、N,N’-ビス-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’-テトラメチレン-ビス-3-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N-サリチロイル-N’-サリチリデンヒドラジン、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N,N’-ビス[2-{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等をあげることができる。好ましくは、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸である。ヒンダードフェノール系化合物の具体的な商品名としては、ADEKA製“アデカスタブAO-20”,”AO-30”,”AO-40”,”AO-50”,”AO-60”,”AO-70”,”AO-80”,”AO-330”、(株)チバスペシャリティケミカル製“イルガノックス245”,”259”,”565”,”1010”,”1035”,”1076”,”1098”,”1222”,”1330”,”1425”,”1520”,”3114”,”5057”、(株)住友化学製“スミライザーBHT-R”、”MDP-S”、”BBM-S”、”WX-R”、”NW”、”BP-76”、”BP-101”、”GA-80”、”GM”、”GS”、サンケミカル(株)製“サイアノックスCY-1790”などが挙げられる。
<リン系酸化防止剤>
リン系化合物としては、例えば、ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物が挙げられる。かかるホスファイト系化合物の具体例としては、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,6-ヘキサメチレン-ビス(N-ヒドロキシエチル-N-メチルセミカルバジド)-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,10-デカメチレン-ジ-カルボキシリックアシッド-ジ-ヒドロキシエチルカルボニルヒドラジド-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,10-デカメチレン-ジ-カルボキシリックアシッド-ジ-サリシロイルヒドラジド-ジホスファイト、テトラキス[2-t(ブチル-4-チオ(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジド-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド-ジホスファイトなどが挙げられるが、少なくとも1つのP-O結合が芳香族基に結合しているものがより好ましく、具体例としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)ホスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジトリデシルホスファイト-5-t-ブチル-フェニル)ブタン、トリス(ミックスド-モノおよびジ-ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’-イソプロピリデンビス(フェニル-ジアルキルホスファイト)などが挙げられ、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンホスホナイトなどが好ましく使用できる。ホスファイト系化合物の具体的な商品名としては、(株)ADEKA製“アデカスタブ C”、”PEP-4C”、”PEP-8”、”PEP-11C”、”PEP-24G”、”PEP-36”、”HP-10”、”2112”、”260”、”522A”、”329A”、”1178”、”1500”、”135A”、”3010”、”TPP”、(株)チバスペシャリティケミカル製“イルガフォス168”、(株)住友化学製”スミライザーP-16”、(株)クラリアント製”サンドスタブPEPQ”、GE製”ウエストン618”、”619G”、”624”などが挙げられる。
<炭素繊維樹脂複合材の製造方法>
本発明の製造方法は、一方向に引き揃えられた炭素繊維束に溶融した熱可塑性樹脂を含浸させるものであり、大気雰囲気下において溶融樹脂が炭素繊維と接触する方法である。この方法によれば、炭素繊維に過度の張力を加えることなく、効率よく炭素繊維捏可塑性樹脂複合プリプレグを製造できる。
炭素繊維は連続繊維であり、一ないし複数のボビンから供給され、溶融樹脂と接触する前に開線され、シート上の炭素繊維束として溶融樹脂を含浸させる装置に供給される。炭素繊維の開線方法には、バー開線、空気開線など、公知の技術が使用されうる。シート上の炭素繊維束は、溶融樹脂と接触する前に、加熱されていてもよい。
溶融樹脂の供給方法は特に限定されないが、例えば、単軸押し出し機の先端にT-ダイを装着して、膜状の溶融樹脂を炭素繊維束上に流下させる方法が好適に用いられる。この場合、ハロゲン化銅化合物、およびハロゲン化物塩は、樹脂原料ペレットにパウダー添着して供給される。また、予め高濃度のハロゲン化銅化合物、およびハロゲン化物塩を含有するマスターバッチを作成し、ペレットブレンドによって添加してもよい。
また、あらかじめ製膜されたフィルム状の樹脂を樹脂の融点以上に加熱された熱ロール上に供給した後、炭素繊維束と接触させてもよい。この場合はフィルムを製膜する際に、ハロゲン化銅化合物、およびハロゲン化物塩を添加しておく。
樹脂の炭素繊維束への含浸には、対向した熱ロール中に炭素繊維束と溶融樹脂を挟み込み、加圧含浸させる方法が好適に用いられる。熱ロールは樹脂の融点以上の温度であることが含浸効率の観点から好ましいが、特に溶融粘度の低い樹脂を用いる場合や、炭素繊維束の目付が低い場合は、樹脂の融点以下の熱ロールで含浸と同時に樹脂を冷却固化させる方法も用い得る。
溶融した樹脂を熱ロールから直接剥がすことも可能ではあるが、この場合は熱ロール表面に一定量の溶融樹脂が付着して残留することから、樹脂の熱劣化が生じやすい。材料物性、及び生産性の観点からは、熱ロールと冷却ロールをシームレスベルトで繋いで、溶融ゾーンで樹脂を炭素繊維束に含浸させた後、冷却ゾーンで樹脂を固化させる方法が好適に用いられる。また、熱ロールと溶融樹脂の間に離型紙を挿入し、離型紙ごと冷却ロールで冷却する方法も好適に用いられる。
さらには、炭素繊維束上に溶融樹脂をカーテン状に流下させ、含浸ブレードでしごくことにより樹脂を含浸させる方法も好適に用い得る。この方法は、シームレスベルトや離型紙を用いる方法に比べて、設備投資が低減できることや運転管理が容易で高速化に向いているなどの長所がある。
好適なラインスピードは、シームレスベルトや離型紙を使用する場合、0.5~2m/分であり、含浸ブレードを使用する場合、2~10m/分である。一方、樹脂温度は、シームレスベルトや離型紙を用いる場合、260~300℃程度が好適な範囲であるが、含浸ブレードを用いる場合は280~340℃が好適な範囲となる。
成形前の炭素繊維樹脂複合材の具体的な形態・物性等も特に限定されないが、炭素繊維樹脂複合材中の炭素繊維の体積含有率(Vf)は、通常20体積%以上、好ましくは25体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、通常70体積%以下、好ましくは65体積%以下、より好ましくは60体積%以下である。炭素繊維の体積含有率(Vf)が70%以下であれば、成形時に十分な流動性を確保することができ、体積含有率(Vf)の値が低いほど流動性は向上する。体積含有率(Vf)の値が20%以上であれば構造材に必要な力学特性が得られる。なお、炭素繊維の体積含有率(Vf)は、JIS K7075に準拠した方法により測定することができる。
このようにして得られた炭素繊維樹脂複合材プリプレグは、単独でテープ状の補強材として使用することもできるし、積層して圧縮成形用シートとして使用することもできる。いずれの場合においても、成形体としての強度保持の観点から、プリプレグの状態で高い耐熱特性を保持している必要がある。望ましい耐熱特性は、大気雰囲気下でプリプレグを250℃、10分間空気酸化させた際の繊維軸と直交する方向の強度保持率が80%以上であり、さらに望ましくは90%以上である。ここで強度保持率は、空気酸化させた後の強度を空気酸化させる前の強度で除した値に100を掛けて算出する。
強度保持率が80%以上であれば、後工程で融着加工をしても成形体としての強度を損なうことなく使用することが可能である。
炭素繊維樹脂複合材プリプレグは、通常、厚さ50~200μmの厚みを有するが、これを複数枚積層することで、炭素繊維樹脂複合材シートを得ることができる。積層する際に繊維軸方向を揃えて一方向材とすることも出来るが、繊維軸を任意に組み合わせることで、強度・弾性率の異方性を制御することができる。
等方的な力学特性の炭素繊維複合材シートを得るためには、例えばプリプレグを繊維軸に沿ってスリッティングしたのち任意の長さに切断し、得られた微小片をランダムに積層させて加熱圧着する方法を取ることができる。この際、スリッティングの幅としては、2~50(mm)が好ましい。更に好ましくは4~30(mm)である。スリッティング幅が2(mm)未満であると炭素繊維複合材シートの成形性が悪化するとともに、積層させる際に嵩高くなり生産性が悪化する。スリッティング幅が50(mm)超過であると、炭素繊維複合材シートの力学強度のばらつきが大きくなり、好ましくない。
また、等方的な力学特性の炭素繊維複合材シートを得るためには、一方向に引き揃えられたプリプレグに、炭素繊維を断ち切るための切込を入れ、繊維方向が平面を等分割するように積層させる方法を取ることも好ましく用いられる。例えば、繊維軸を[0°,90°]として積層すれば平面を2分割できる。繊維軸を[0°,60°,120°]として積層すれば平面を3分割できる。4分割する場合は[0°,45°,90°,135°]とすればよく、6分割する場合は[0°,30°,60°,90°,120°,150°]とすればよい。
プリプレグに入れる切込みは、繊維に対して任意の角度を持たせることができるが、流動性、及び機械的強度のバランスから、繊維方向に対して30乃至60°の角度とすることが望ましい。切込みは連続なものでも不連続なものでもよい。
一般に炭素繊維樹脂複合材に含まれる炭素繊維の長さは、長いほど力学特性に優れるものの、スタンピング成形時の流動性は低下する。スタンピング成形時の流動性向上のためには、炭素繊維をある長さに切断することが効果的であり、このことによりリブやボスといった複雑な3次元形状にも流動する炭素繊維樹脂複合材を得ることができる。なお、「炭素繊維を断ち切るための切込」とは、炭素繊維を断ち切る深さを有し、さらに炭素繊維の配向方向とは異なる方向に伸びる切込であることを意味する。
炭素繊維樹脂複合材が炭素繊維を断ち切る切込を有する場合、断ち切られた炭素繊維の長さは特に限定されないが、通常10mm以上、好ましくは15以上、より好ましくは20mm以上であり、通常50mm以下、好ましくは45mm以下、より好ましくは40mm以下である。上記範囲内であれば、十分な力学物性とスタンピング成形時のリブ等の薄肉部への流動を両立させることができる。
これらの方法で得られた等方、または疑似等方の炭素繊維樹脂複合材シートは、単独で用いても良いし、1種以上のシートを組み合わせて使用しても良い。
また、炭素繊維樹脂複合材シートを積層させる場合、シートの間に樹脂組成物層、あるいは樹脂-フィラー複合材層、発泡樹脂層などを挟んでもよい。
本発明の製造方法によって得られる炭素繊維樹脂複合材は、破壊強度(曲げ強度)に優れる。かかる曲げ強度は、JIS K7074に基づいて測定することができる。本発明の製造方法によって得られる炭素繊維樹脂複合材成形体の曲げ強度は、通常250MPa以上、好ましくは300MPa以上である。
以下、実施例により本発明の具体的態様を詳細に説明するが、本発明が実施例の態様のみに限定されないことは言うまでもない。
(実施例1~5、比較例1)
<原料>
炭素繊維:三菱レイヨン社製 TR50S15L GF
<ポリアミド樹脂>
PA-1;DSM社製PA6 1007J(溶融粘度=26.1Pa・s)
PA-2;宇部興産社製PA6 1013B(溶融粘度=90.4Pa・s)
<熱安定剤>
ハロゲン化銅化合物:和光純薬工業社製 ヨウ化銅(I) (純度95%以上)
ハロゲン化物塩:和光純薬工業社製 ヨウ化カリウム (純度99.5%以上)
<酸化防止剤>
フェノール系酸化防止剤:1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロ
キシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸・・・サンケミカル社”サイア
ノックスCY-1790”
リン系酸化防止剤:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト・・・
BASF社”イルガフォス168”
<ポリアミド樹脂フィルムの製造>
原料のポリアミド樹脂にハロゲン化銅化合物、ハロゲン化物塩、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を表に記載の量で添加し、アイ・ケイ・ジー(株)製PMS30-32に、幅350mmのT-ダイを装着して押し出し、(株)GSIクレオス製シート冷却巻取り装置705-FA082を用いて厚さ約40μmの樹脂組成物フィルムとした。
<プリプレグの製造>
ドラムワインド方式にて、炭素繊維を用いて繊維目付を100g/mに調整した炭素繊維シートを作製した後、この炭素繊維シートに適度に張力を掛け、炭素繊維シートの両面から前記樹脂フィルム-1、フッ素樹脂製フィルム(日東電工(株)社製、製品名:ニトフロンフィルム970-4UL)、アルミ製の平板(厚さ10mm)の順に挟み、加熱/冷却プレス機の加熱盤で260℃、無加圧で5分間予熱後、20kPaで5分間加圧成形し、冷却盤で25℃、30kPaで5分間加圧冷却し、繊維含有率約40vol%、厚み0.13mmを有する炭素繊維ポリアミド樹脂プリプレグを得た。
<プリプレグの空気酸化処理>
アルミ製平板(厚さ10mm)の上にフッ素樹脂製フィルムを載せ、その上にプリプレグを製造した時と同様の方法で張力を掛けながらプリプレグを配置して、250℃の熱プレス上で10分間加熱した。この際、プリプレグの上面は大気解放の状態とした。加熱終了後、アルミ平板ごとプリプレグを25℃の冷却プレス上に移し、無加圧で5分間冷却して、空気酸化処理プリプレグを得た。
<一方向積層材の製造>
こうして得られたプリプレグ16枚を100mm角で深さ2.0mmの印籠金型内に繊維軸方向を合わせて配置し、加熱/冷却プレス機の加熱盤で260℃、20kPaで10分間加圧成形し、冷却盤で25℃、40kPaで5分間加圧冷却し、繊維含有率約40vol%、厚み2mmの炭素繊維ポリアミド樹脂一方向積層材を得た。
<物性評価>
(曲げ試験物性の評価)
得られた平板状の炭素繊維ポリアミド樹脂一方向積層材から、繊維方向と平行方向(0°)、及び垂直方向(90°)に長さ100mm、幅25mmの曲げ強度試験片を切り出した。切り出した曲げ試験片は、JIS K-7074に規定する試験方法に従い、室温環境下で、支点間距離を80mmとし、クロスヘッド速度5.0mm/分で3点曲げ試験を行って強度と弾性率を測定した。試験機としてはインストロン万能試験機4465型を用いた。得られた測定値のそれぞれn=4の平均値を曲げ強度および曲げ弾性率として記録した。
0°方向曲げ強度、及び90°方向曲げ強度の測定値は表に記した。
(空気酸化処理後の強度保持率)
空気酸化処理後の強度保持率は以下の式で求めた。
強度保持率(%)=(FS’÷FSo)×100
FSo;空気酸化処理なしの曲げ強度(MPa)
FS’;空気酸化処理後の曲げ強度(MPa)
強度保持率の計算値は表に記した。
(樹脂の溶融粘度)
樹脂を厚さ1mmにプレス成型し、打ち抜き刃で直径25mmφの粘弾性測定用試験片を作成した。この試験片を280℃に温度調整された回転式粘度計に装填し、動的粘弾性を角周波数ω=100(rad/sec)から0.1(rad/sec)まで、歪量=10%で測定した。測定装置には、ARES100FRTN1(TAインスツルメント・シ゛ャハ゜ン(株)製)を用い、測定治具には直径25mmφのパラレルプレートを使用した。得られた動的粘弾性データの角周波数ω=100(rad/sec)における複素粘性率を樹脂の溶融粘度とした。測定時に試料に印加する歪量は、測定トルクが装置トランスデューサーのダイナミックレンジに入るように、選択した。
Figure 0007003417000001
<プリプレグ製造例>
一方向に引き揃えられた連続炭素繊維束に、溶融したポリアミド樹脂を空気との接触下において含浸させる工程に関する代表図を図1~4に示した。このうち、設備投資面、ランニングコスト面で最も優れる図1に関し、製造例を例示する。
(炭素繊維の供給)
三菱レイヨン製炭素繊維TR50S15L GFのボビン30巻から引き出したトウを、それぞれのトウについて幅10mmまで開線して樹脂含浸装置に導き、幅300mmの一方向配向炭素繊維シートとして連続的に引き取る。繊維目付は100g/mである。
(樹脂の供給)
宇部興産製PA6樹脂1013B 100質量部に、ヨウ化銅0.03質量部、ヨウ化カリウム0.3質量部をブレンダーで添着し、幅350mmのT-ダイを装着した単軸押し出し機に供給し、カーテン状の溶融ポリアミド樹脂膜を加熱ロール上で前述の一方向配向炭素繊維シートに流下させる。加熱ロール表面には、一定量のポリアミド樹脂が付着した状態で残るため、工程中の樹脂の滞留時間はライン速度から計算されるものより長くなる。
(ライン速度、樹脂温度の調整)
炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグ中の繊維体積分率Vfが40vol%となるように、炭素繊維シートの引き取り速度と押し出し機のスクリュー回転数を調整する。
含浸ブリード部が設置されているゾーンは断熱カバーで覆い、T-ダイ温度と同等の熱風を吹き込み溶融樹脂の温度を維持する。
ライン速度の上昇に伴い、炭素繊維への樹脂の含浸性を維持するために、T-ダイ温度、熱風温度ともに上げてゆく必要がある。
(物性評価)
得られたプリプレグを切り出し、厚さ2mmの平板状一配向積層材となるようにプレス成型を行う。平板状積層材を繊維軸方向、及び繊維軸と直交方向に切り出し、曲げ試験に供する。線軸方向、繊維軸と直交方向ともに良好な曲げ強度を示す。
一方、樹脂の供給時にヨウ化銅、及びヨウ化カリウムを添加しなかった対照サンプルは、線軸方向の強度は添加したものと同等であるが、繊維軸と直交方向の強度は70%以下の低い値となる。
<プリプレグ補強材の製造例>
一方向に引き揃えられた連続炭素繊維束に、溶融したポリアミド樹脂を含浸させる工程に関する代表図のうち、プリプレグの品質安定性の面で最も優れる図3に関して、プリプレグの製造例を例示し、該工程で得られたプリプレグに関してプリプレグ補強材の製造例を示す。
(炭素繊維の供給)
三菱レイヨン製炭素繊維TR50S15L GFのボビン30巻から引き出したトウを、それぞれのトウについて幅10mmまで開線して樹脂含浸装置に導き、幅300mmの一方向配向炭素繊維シートとして連続的に引き取る。繊維目付は100g/mである。
(樹脂の供給)
宇部興産製PA6樹脂1013B 100質量部に、ヨウ化銅0.03質量部、ヨウ化カリウム0.3質量部をブレンダーで添着し、幅350mmのT-ダイを装着した単軸押し出し機に供給し、カーテン状の溶融樹脂膜を前述の一方向配向炭素繊維シート上に流下させる。
(ライン速度、樹脂温度の調整)
炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグ中の繊維体積分率Vfが40vol%となるように、シームレスベルトのライン速度と押し出し機のスクリュー回転数を調整する。加熱ロール、並びに圧延ロールの温度はT-ダイ温度と同等に設定し、溶融樹脂の温度を維持する。ライン速度の上昇に伴い、炭素繊維への樹脂の含浸性を維持するために、加熱ロール、並びに圧延ロールの線圧を上げてゆく必要がある。
(物性評価)
得られたプリプレグを幅50mmのテープ状補強材として巻き上げる。このテープ状補強材340℃に加熱されたのIRヒーターを用いて、補強材表面が300℃となるように加熱しながら、直径200mmのポリアミド樹脂製パイプに螺旋状に巻き付ける。得られた炭素繊維強化ポリアミド樹脂製パイプは良好なフープ強度を示し、パイプの曲げ方向に対しても非強化ポリアミド樹脂製パイプと同等の良好な強度を示す。
一方、樹脂の供給時にヨウ化銅、及びヨウ化カリウムを添加しなかった対照サンプルは、フープ強度は添加したものと同等であるが、パイプの曲げ方向に対しては、テープ状補強材がクラック発生の起点となるために非強化ポリアミド樹脂製パイプより劣るものとなる。
1:押し出し機,T-ダイ
2:加熱ロール
3:冷却ロール
4:圧延ロール
5:ガイドロール
6:シームレスベルト
7:含浸ブレード
8:炭素繊維束
8’:プリプレグ
9:溶融樹脂
10:離型紙

Claims (5)

  1. 一方向に引き揃えられた炭素繊維束に、溶融したポリアミド樹脂を空気との接触下において流下させ、対向したロール中に炭素繊維束と溶融したポリアミド樹脂を挟み込む、またはブレードでしごくことにより含浸させる工程を有し、ポリアミド樹脂を溶融させる際にハロゲン化銅化合物、およびハロゲン化物塩を添加する炭素繊維樹脂複合材の製造方法。
  2. 前記ハロゲン化銅がヨウ化銅であり、ハロゲン化物塩がヨウ化カリウムである請求項1に記載の炭素繊維樹脂複合材の製造方法。
  3. さらに、フェノール系酸化防止剤、及びホスファイト系化合物またはホスフェート系化合物を添加する請求項1または2に記載の炭素繊維樹脂複合材の製造方法。
  4. 炭素繊維樹脂複合材が、250℃、10分間の空気酸化処理を行った際の繊維軸と90°方向の強度保持率が80%以上である炭素繊維ポリアミド樹脂複合プリプレグである、請求項1~3のいずれか一項に記載の炭素繊維樹脂複合材の製造方法。
  5. 前記炭素繊維樹脂複合材は、炭素繊維束、ポリアミド樹脂、ハロゲン化銅化合物、ハロゲン化物塩、フェノール系酸化防止剤、及びホスファイト系化合物からなり、前記ポリアミド樹脂がポリアミド6を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の炭素繊維樹脂複合材の製造方法。
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