JP7000518B2 - 熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維とを含む堆積物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維とを含む堆積物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、赤外線やX線を用いて、熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維とを含む堆積物やそれから得られる材料の内部の状態を検査する方法であって、その材料の目付、空隙、異物の有無を2次元空間分布として検出可能な検査方法の工程を含む堆積物の製造方法、および堆積物を成形材料とする複合材料の製造方法に関する。
産業界において、材料の非破壊検査方法として、赤外線やX線を用いる検査方法がある。被検査物をキセノンランプで加熱し、その被検査物からの赤外線を受信して、被検査物を検査する方法が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。被検査物である板状の樹脂や複合材料に対して、軟X線を照射し、その透過性の違いから板材のボイドの存在率や厚みを求める方法が記載されている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、当該方法については、材料の加熱方法としてキセノンランプを使用するため、量産工程においては、ランプの寿命、長期使用による光量減弱やノイズの増大が課題となり、目付斑の定量化に影響する(例えば、非特許文献1参照。)。また、一般的なフラッシュランプを使用する場合、その発光までのチャージ時間も課題となり、短時間タスク処理には不向きである。また、特許文献1に記載の方法については、解析手法については記載があるものの、非特許文献1に記載の装置では、一辺が300mm以上のサイズの大型品を、短時間で検査することは不可能である。従って非特許文献1に記載の装置では、大型品のインライン検査は困難である。さらには、わずかな目付斑を検知するための方法やわずかな目付斑の有意差の判定については文献に記載がない(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
特許第5574261号明細書 特許第6165207号明細書 実公昭58-026328号公報
林崇寛、小林貴幸、高橋淳:"複合材料の軟X線吸収係数に関する検討"、日本複合材料学会誌、42、(5)(2016)、169-177
そこで本発明の目的は、長時間安定的に、かつ、炭素繊維を含む材料のわずかな目付斑を検査、定量化できる検査方法とその検査工程を経て、材料内部に異物の混入や材料内部の空隙がなく、目付斑を抑制した炭素繊維複合材料を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。すなわち、本発明の中で主要な発明は、以下に示す通りである。
<1> 熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維の集合体とを含む堆積物の製造方法であって、前記堆積物の一辺の長さが300mm以上であり、以下の工程を経て堆積物を製造する方法。
工程101:前記堆積物が、前記不連続炭素繊維の集合体の少なくとも1つの面に熱可塑性樹脂製のフィルム、シート、または不織布が配置されている状態のものならば前記不連続炭素繊維の集合体の目付[g/m]を、前記堆積物が、前記不連続炭素繊維の集合体
内の空間に粒子状または長繊維もしくは短繊維状の熱可塑性樹脂が分散された状態のものならば前記堆積物の目付[g/m]を非破壊で検査する検査工程(目付を非破壊で検査される、前記不連続炭素繊維の集合体または前記堆積物を、以下、被検査体1と称する。)
工程201:前記工程101の検査結果に基づいて、前記被検査体1の目付斑を把握する工程。
工程301:前記工程201の前記目付斑に基づいて、前記不連続炭素繊維の集合体が前記被検査体1である場合は、前記不連続炭素繊維の集合体における目付不足箇所に前記目付斑を低減するように不連続炭素繊維を付加し、前記堆積物が前記被検査体1である場合は、前記堆積物の目付不足箇所に前記目付斑を低減するようにその不足量に応じて不連続炭素繊維、および/もしくは熱可塑性樹脂を付加する工程。
本発明は、上記<1>に関するものであるが、その他の事項(たとえば下記[1]~[2]に記載した事項など)についても参考のために記載した。
[1]熱可塑性樹脂と炭素繊維とを含む堆積物の製造方法であって、前記堆積物の一辺の長さが300mm以上であり、以下の工程を経て堆積物を製造する方法。
工程101:前記不連続炭素繊維の集合体、または前記堆積物のいずれか一方(以下、被検査体1と称する。)の目付を非破壊で検査する検査工程
工程201:前記工程101の検査結果に基づいて、前記被検査体1の目付斑を把握する工程
工程301:前記工程201の前記目付斑に基づいて、前記不連続炭素繊維の集合体における目付不足箇所に前記目付斑を低減するように前記不連続炭素繊維を付加する工程、または前記堆積物の目付不足箇所に前記目付斑を低減するように不連続炭素繊維の集合体、および/もしくは熱可塑性樹脂を付加する工程
[2]炭素繊維の集合体、熱可塑性樹脂と前記不連続炭素繊維の集合体とを含む堆積物、または前記堆積物を加熱して、熱可塑性樹脂を不連続炭素繊維に含浸した複合材料の検査方法であって、前記集合体、前記堆積物、または前記複合材料のいずれか一つ(以下、被検査体2と称する。)は一辺の長さが300mm以上であり、以下の工程を経る、目付斑の検査方法。
工程111:前記被検査体2の目付を非破壊で検査する検査工程
工程211:前記工程111の検査結果に基づいて、前記被検査体2の目付斑を把握する工程
本発明を実施することによって、材料内部の異物の混入の有無や材料内部の空隙の有無の定性的な検査のみならず、材料のわずかな目付斑の定量的な検査が可能となる。また同時に、その検査工程を経ることによって目付斑が抑制されたまたは低減された炭素繊維複合材料を製造する方法を提供することができる。
ここに、熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維とを含む堆積物または不連続炭素繊維の集合体の製造方法であって、前記堆積物または不連続炭素繊維の集合体の一辺の長さが300mm以上であり、以下の工程を経て堆積物または不連続炭素繊維の集合体を製造する方法が開示される。
工程101:前記不連続炭素繊維の集合体、または前記堆積物のいずれか一方(以下、被検査体1と称する。)の熱可塑性樹脂及び炭素繊維以外の異物混入の有無、1mm×1mm以上の空隙の有無または目付を非破壊で検査する検査工程
工程201:前記工程101の検査結果に基づいて、前記被検査体1の目付斑を把握する
工程301:前記工程201の前記目付斑に基づいて、前記不連続炭素繊維の集合体における目付不足箇所に前記目付斑を低減するように前記不連続炭素繊維を付加する工程、または前記堆積物の目付不足箇所に前記目付斑を低減するように不連続炭素繊維、および/もしくは熱可塑性樹脂を付加する工程
更に、不連続炭素繊維の集合体、熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維を含む堆積物、または前記堆積物を加熱して、熱可塑性樹脂を不連続炭素繊維に含浸した複合材料の検査方法であって、前記集合体、前記堆積物、または前記複合材料(以下、被検査体2と称する。)は一辺の長さが300mm以上であり、以下の工程を経る、熱可塑性樹脂及び炭素繊維以外の異物混入の有無、1mm×1mm以上の空隙の有無または目付斑(以下目付斑等と称する。)の検査方法も開示される。
工程111:前記被検査体2の熱可塑性樹脂及び炭素繊維以外の異物混入の有無、1mm×1mm以上の空隙の有無または目付斑を非破壊で検査する検査工程
工程211:前記工程111の検査結果に基づいて、前記被検査体2の目付斑等を把握する工程
工程311:前記工程211の前記目付斑等に基づいて、前記不連続炭素繊維の集合体における目付不足箇所に前記目付斑を低減するように前記不連続炭素繊維を付加する工程、または前記堆積物の目付不足箇所に前記目付斑を低減するように不連続炭素繊維、および/もしくは熱可塑性樹脂を付加する工程
ここには、上記検査方法で原材料、工程内中間体(中間製品)、または最終製品のうちの少なくとも1つを含む製造方法も示される。以下、特に注記なく「本方法」、「本発明」と言う場合は、検査方法および、当該検査方法により検査することを含む製造方法の両方を指す。
(赤外線を用いた非破壊検査)
検査に用いられる赤外線は、一般的に被検査体が一定の熱を持った状態で被検査体1または被検査体2(以下、双方を指す場合には単に被検査体と称する。)から放射されるものである。その赤外線は、被検査体となるものが製造される工程内で加熱されて放射されてもよく、本発明のために製造工程外で敢えて外部から被検査体を加熱して放射されてもよい。加熱装置としては、特に限定はされないが、ハロゲンランプ、フラッシュランプ、カーボンランプ、石英ランプ、レーザー光、電磁誘導加熱、誘電加熱などを挙げることができる。本発明としては、レーザー光を使用することが好ましい。さらには、レーザー光としては、COレーザー(炭酸ガスレーザー)、YAGレーザー、半導体レーザーやファイバーレーザーなどを挙げることができる。その中でも、加熱装置の長寿命化、レーザーへのエネルギー変換効率、安定的で制御が容易であること、かつ、斑の少ない熱エネルギーが供給できること、100×100mm以上の大きさの被検査体であっても斑なく加熱できること、等の観点から、ファイバーレーザーを用いることがさらに好ましい。レーザー発振器の出力としては、レーザーの照射面積や幅などに依存するが、0.1kW以上10.0kW以下が好ましく、0.3kW以上8.0kW以下がより好ましく、1.0~5.0kWがさらに好ましい。また、レーザーの照射範囲(照射面積や照射幅等)を調整または制御する装置を通してから被検査体に照射・加熱し、そして放射される赤外線を検出することが好ましい。具体的には、レーザー光は、コリメータへ通して調整した後に、被検査体へ照射し使用することが好ましい。
放射された赤外線を検知する検査装置としては、赤外線センサーが好ましい。赤外線センサーとしては、必要な温度振幅をとらえることができ、かつ、空間的な分解能を有する画素のものを選択することが好ましい。温度振幅としては0.1degC(℃)以下の分解能を有することが好ましく、0.08degC(℃)以下の分解能を有することがより好ましく、0.05degC(℃)以下の分解能を有することが最も好ましい。空間的な
分解能としては1画素あたり5mm以下の分解能を有することが好ましい。
また、実際に解析に用いる指標としては、実際の温度ではなくてもよく、輝度温度や規格化した数値(0~100%、0~256など)を用いてもよい。また、放射された赤外線を検出して位相解析の手法を用いることが、被検査体の熱伝導の差が温度振幅の計時変化として現れるため、好ましい。
位相解析とは、レーザー光などの加熱装置から被検査体に熱を印加し、その熱が内部まで伝わり、その後表面から放射されるエネルギー(赤外線)の熱の伝わり方の差異による位相差を分析することである。この熱の伝わり方は、被検査体の熱伝導率や、熱伝導率を数式で表現した場合に示される被検査体の熱拡散率、比熱、密度の差によるものである。つまり、被検査体の内部の状態に依存して、被検査体の表面温度や表面からの赤外線の放射エネルギーの時間変動に差が発生する。被検査体中の検出可能な大きな目付斑としては、空隙の存在や金属等の異物の存在であり、小さな目付斑としては、被検査体に含まれる樹脂や強化繊維の目付[g/m]の差である。位相解析に要する時間は、生産ラインの1工程あたりにかけられるタクトタイムがあるため、短いほうが好ましい。敢えて位相解析に要する時間を記載すると、30分以下が好ましく、10分以下がさらに好ましく、5分以下が最も好ましい。被検査体はコンベアのような装置により搬送されている状態で検査されてもよいし、検査のために一定時間搬送を停止した状態で検査されてもよい。加熱装置を使用する場合、赤外線センサーの設置位置は、被検査体に対して、加熱装置と同じ側に設置し、被検査体に深く熱伝導した後に、加熱側の表面に戻って放射される赤外線をとらえてもよい。一方、加熱装置と対向する側に赤外線センサーを設置し、被検査体に深く熱伝導した後に、加熱側と反対側の表面から放射される赤外線をとらえてもよい。加熱装置と同じ側に設置した場合には、検査装置全体を設置する空間が少なくて済むので好ましく、加熱装置と対向する位置に設置した場合には、被検査体の厚み方向の分布を正確にとらえることができるので好ましい。
以上のような処理をするために、検査装置には、位相解析および画像処理をするための演算解析用および画像処理用コンピューターと画像を表示するための描画モニターが搭載されていることが好ましい。位相解析には複数の撮像画像が用いられることとその位相解析を行うに当たって撮像画像の各画素のディジタルデータを用いてFFT(Fast Fourier Transform)による数値計算を行うことが一般的である。この数値計算処理を、短時間で終えるため、処理能力に優れたコンピューターが設置されていることが好ましい。また、コンピューターには画像処理用のソフトウェアがインストールされていて、そのソフトウェアに予め閾値と画像処理フローを設定することができ、画像を撮像した後、暫時閾値に対して良否判定を出せることがさらに好ましい。このような操作を行い、放射された赤外線の検査データの解析により被検査体の目付斑を把握することができる。この検査データと目付に対して予め作成しておいた検量線に基づき、目付を数値化することができ、目付斑を検査することが可能となる。なお、目付斑を扱うときの空間平均をとるその大きさについては、1mm×1mm以上300mm×300mm以下が好ましく、3mm×3mm以上150mm×150mm以下がより好ましく、5mm×5mm以上100mm×100mm以下が最も好ましい。
これらのソフトウェアと本発明に用いた装置より被検査体の生産工程の上流工程の装置と通信を行い、放射された赤外線の検査データから得られた被検査体に関する目付斑に関する情報を上流の工程に送信することが好ましい。送信された目付斑に関する情報を用いて、被検査体の製造工程の上流工程の装置において、目付の決定・制御に係る各種パラメータを目付斑が低減する方向へ制御することで、リアルタイムに複合材料等の製造工程にフィードバックをかけ、中間または最終製品が許容値を超える前に、品質を安定させるように制御することが好ましい。より具体的には、フィードバックの結果を踏まえて、この検査工程の後で、目付の数値が低い箇所に、不連続炭素繊維を付加する工程、または前記
堆積物の目付不足箇所に前記目付斑を低減するように不連続炭素繊維の集合体、および/もしくは熱可塑性樹脂を付加する工程があっても良い。このように不連続炭素繊維、不連続炭素繊維の集合体、および熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することで、目付斑を補正することができ、その後の工程で複合材料や最終製品の目付斑が低減されるので好ましい。目付斑補正の方法としては、画像データを基に、目付不足箇所に対してその不足量に応じて、材料定量搬送装置から一定時間内に不連続炭素繊維の集合体および/または熱可塑性樹脂が供給されることが好ましい。
また、このようにして得られる被検査体における不連続炭素繊維の集合体の目付の変動係数1、または前記堆積物の総目付の変動係数2が20%以下となることが好ましい。変動係数が20%以下の範囲であると、上述した被検査体における目付斑の把握、その目付斑に基づいた不連続炭素繊維の集合体または堆積物の製造工程へのフィードバックから目付斑を低減させるように各種パラメータが制御する工程が迅速に実行されるので好ましい。より迅速確実に実行されるためには、変動係数は0.05%以上19%以下であることがより好ましく、0.1%以上18%以下であることが更により好ましい。
(X線を用いた非破壊検査)
本方法で用いられるX線は、一般的なものであり、放射のメカニズムや性質が通常の電磁波とは異なる、波長の短い電磁波のことである。本発明で用いられるX線の波長は通常、数百オングストローム(1オングストロームは1億分の1センチメートル)から0.01オングストローム程度で、紫外線のそれよりは短くγ(ガンマ)線のそれよりは長いものとされている。本発明では、単一波長のX線を用いることはなく、一定の幅のある波長の分布を持つX線を用いるため、0.01×10-10~100×10-10m(0.01オングストローム~100オングストローム)の波長のX線を含むことが好ましい。
また、本発明におけるX線は以下に示すような手法により発生させることが好ましいが、通常上記した波長域に強度ピークを有するX線を用いる。本発明においては、波長1.0×10-10m(1.0オングストローム)未満に強度ピークがあるX線が好ましく用いられ、波長0.01×10-10~0.9×10-10mに強度ピークがあるX線がより好ましく用いられ、波長0.05×10-10~0.8×10-10mに強度ピークがあるX線が更により好ましく用いられ、0.1×10-10m以上、0.7×10-10m以下に強度ピークがあるX線が最も好ましく用いられる。
X線のおもな性質は、a)光のような直進性がある、b)物質をよく透過する、c)透過のよい硬いX線(波長の短い成分が多い)と透過の悪い軟らかいX線(波長の長い成分が多い)がある、などである。また、X線が物体を透過すると、その物体の性質に応じて、X線は減弱するが、一般的には、X線が透過した物体の密度、厚み、組成となる成分の原子番号に、その減弱は依存する。
本方法に用いられるX線は、一般的に電気エネルギーを利用して発生させる。電極のフィラメント側を陰極として、ターゲット側を陽極とし、陰極と陽極の間に数kV~数百kVの高電圧をかける。フィラメントから飛び出した熱電子が、陽極に向かって加速し、金属ターゲットに衝突させる時に、X線が放射される。この時に使用する金属ターゲットにはタングステン、ロジウム、モリブデン、クロム、銅、ニッケル、鉄などが用いられることが好ましい。本発明では、これらのうちの1種類もしくは2種類の金属ターゲットを選ぶことが好ましい。これらの金属ターゲットの中で、取り扱いやすく安定した検査を継続実施できることからタングステンを選ぶことが好ましい。一方、周波数依存性が少ない特性X線が出ていることから、被検査体中の目付斑や異物の視認のしやすさの観点を考慮すると銅を選ぶことが好ましい。また、電極フィラメントに印加する電圧は、金属ターゲットによって発生するX線の波長帯が変わるため、特に制限されるものではないが、10k
V~200kVが好ましく、10kV~160kVがより好ましい。発生したX線は物体(本方法では、被検査体である。)を透過する際に、被検査体を構成している原子核の影響で、一部反射、散乱することで、物体を透過するX線が減弱する。
この減弱したX線をセンサーで受光することにより、物体を通過したX線の透過強度を把握することができる。すなわち、その物体の性状を把握することが可能となる。X線検査で使用するセンサーについては、その形状としては、点状、線状(ラインセンサー)、面状(フラットパネルセンサーまたはエリアセンサー)、C型など用途に合わせて様々な形状で使用することができる。センサーの分解能は、検知したいものの大きさ、X線透過特性や搬送速度に依存する単位時間当たりX線の受光量(相対露光量)等によって決められるが、0.05mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.6mm程度の素子が使われることが多い。本発明では、0.4mmまたは0.8mmの素子を用いることが好ましい。センサーの種類としては、CCD(Charged-coupled devices:電荷結合素子)やCMOS(complemetary metal-oxide-semiconductor:相補性金属酸化物半導体)が好ましく、保護フィルム、シンチレータ、アンプ、X線イメージインテンシファイアを介した方式であってもよく、またX線に対する感度が一般的なものより高いタイプであってもよく、その他の方式であってもよい。例えば、異なる物質の分別ができるようなデュアルエナジーセンサーであってもよいし、2種類の金属ターゲットを用いた場合は、それに応じたセンサーを準備し、複数の画像を解析するような装置であってもよい。
また、CT(Computed Tomography)による断層画像を撮像してもよい。CT画像は、基本的には、被検査体を三次元空間の原点に置いたときのX軸,Y軸,Z軸のいずれか1つの軸を中心に被検査体を回転させ、その回転軸と直角方向のあらゆる向きからX線をあて、X線エリアセンサーで得られた複数の画像を数値処理により解析することで得られる。つまり、被検査体の任意の位置における断層画像が得られるため、それらの画像を解析することにより厚み方向の分布、つまり目付を把握することが可能となる。また同時に被検査体中に存在している空隙や金属片も検出することが可能である。
より具体的には、得られた3次元画像を被検査体の厚み方向に一定の間隔毎に断層画像を取得する。その取得した各画像をある一定の区画に区切り(例えば、長さ5mm×5mm角)、その各区画内でのディジタル値の空間平均値を算出する。一定の間隔毎(例えば、0.1mm毎)に得られた断層画像に対して、同様の計算をし、被検査体の各平面の同一区画のディジタル値の空間平均値を利用して、厚み方向の断層画像の枚数分の積算値を算出する。この数値と目付に対して予め作成しておいた検量線に基づき、目付を数値化することができ、目付斑を検査することが可能となる。なお、目付斑を扱うときの空間平均をとるその大きさについては、1mm×1mm以上300mm×300mm以下が好ましく、3mm×3mm以上150mm×150mm以下がより好ましく、5mm×5mm以上100mm×100mm以下が最も好ましい。
撮像方法としては、被検査体を回転させてもよく、または、被検査体を固定してX線発生装置とX線エリアセンサーを、被検査体が設置されている場所が回転軸になるようにして、回転させて撮像してもよい。特に、被検査体を回転させてしまうとその状態が変わってしまう場合には、後者の方法がより好ましい。撮像枚数としては、検査に必要な分解能と計測解析時間の観点から100枚~10000枚が好ましく、1000枚~5000枚がより好ましい。
一方で、CT撮像以外にもX線の透視画像を用いて画像診断することも好ましい。すなわち、検査工程にX線エリアセンサー(フラットパネルセンサー)またはX線ラインセンサーを備えたX線検査装置を用いて、被検査体を撮像した透視画像、またはその透視画像
由来のデータを用いて、非破壊で目付の検査を行う方法である。例えば、コンベアやロボシリンダのような一方向に駆動する装置上に、被検査体を置き、X線を被検査体に照射し、被検査体を挟んでX線源と対抗する位置にラインセンサーを配置して撮像する方法でもよいし、厚み方向の画像を撮像するために、X線源とラインセンサーとを結ぶ直線と被検査体の搬送方向とが直角に交わらないようにして撮像する方法であってもよい。X線源やラインセンサーまたはフラットパネルセンサー(エリアセンサー)はそれぞれ1つ以上あればよく、その数は限定されない。搬送速度に特に制限はないが、量産性や撮像条件の観点から0.1m/min以上1000m/min以下が好ましく、0.3m/min以上300m/min以下がより好ましく、0.5m/min以上100m/min以下がよりいっそう好ましい。また、フラットパネルセンサー(エリアセンサー)を用いて、一旦被検査体を停止させて撮像する方法でもよい。X線源とセンサーの間には被検査体以外には、空気を除いて何も配置しないことが最も好ましいため、コンベア間の継ぎ目で撮像してもよいし、コンベアベルトやロボシリンダに設置する治具をロの字型に切り抜き、その切抜き部分を利用して撮像してもよい。ただし、機器の保護や搬送上の都合や特定の領域の周波数をカットする目的で、薄膜フィルム、コンベアのベルトやアルミニウム合金や銅合金の板や箔越しに撮像してもよい。また、X線源とセンサーとの距離は、撮像視野や撮像条件に依って決定されるため、特に制限されるものではないが、0.02m以上7m以下が好ましく、0.05m以上5m以下がより好ましく、0.1m以上3m以下がよりいっそう好ましい。
以上のような撮像をするために、検査装置には、画像処理をするための画像処理用コンピューターと画像を表示するための描画モニターが搭載されていることが好ましい。画像データはセンサーが検知した各画素の生データでもよいし、目標とする数値に対する偏差を各画素に表示したり、一定画素区画内のデータの空間平均値を各画素に表示したり、各画素のデータを1.0倍超に増幅したりするフィルタ処理をして画像データが加工されたものであってもよいし、それらを複合的に利用してもよい。本発明においては、被検査体の目付の平均値に対する偏差の最大値が1500g/m以下であるものを検査対象としていて、比較的目付斑が小さい検査対象の検査を想定している。つまり、検査によって目付斑はX線の透過性の違いによるディジタル値の差として得られるが、その数値の差が小さい。その数値の差をノイズと区別できる有意な差として判断するため、透視画像におけるディジタル値の空間平均が、透視画像におけるディジタル値の検知限界値の5%以上100%未満になるような撮像条件とすることが好ましい。または、そのX線の相対露光量に基づく数値のディジタルデータ、もしくは、そのデータを基に演算加工したデータを1.0倍超に増幅する工程を含むことで、必要な信号を取り出すことができるので好ましい。前者の場合は、そのディジタル値の検知限界値を5%以上100%未満にすることが好ましく、7%以上95%未満にすることがより好ましく、10%以上90%未満にすることがよりいっそう好ましい。後者の場合は、ノイズの増幅を抑制するため、そのデータを1.0倍超10.0倍未満にすることが好ましく、1.5倍以上5.0倍未満にすることがより好ましい。
また、そのコンピューターには画像処理用のソフトウェアがインストールされていて、そのソフトウェアに予め閾値と画像処理フローを設定することができ、画像を撮像した後、暫時予め設定した閾値に対して良否判定を行えるとさらに好ましい。それらの結果および画像データはトレーサビリティーを確保できるように保存できることが好ましい。
これらのソフトウェアと本発明に用いた装置の上流工程の装置と通信を行い、上流工程の装置の各種パラメータを制御することで、リアルタイムに材料製造工程のフィードバックをかけ、中間または最終製品が許容値を超える前に、品質を安定させるように制御することが好ましい。もしくは、この検査工程の後で、目付の数値が低い箇所に、不連続炭素繊維および/または熱可塑性樹脂を添加することで、目付斑補正をすることが好ましい。
目付斑補正の方法としては、画像データを基に、目付不足箇所に対してその不足量に応じて、材料定量搬送装置から一定時間から供給されることが好ましい。
またこのようにして得られる被検査体における不連続炭素繊維の集合体の目付の変動係数1、または前記堆積物の総目付の変動係数2が20%以下となることが好ましい。変動係数が20%以下の範囲であると、上述した被検査体における目付斑の把握、その目付斑に基づいた不連続炭素繊維の集合体または堆積物の製造工程へのフィードバックから目付斑を低減させるように、各種製造におけるパラメータが制御する工程が迅速に実行されるので好ましい。より迅速確実に実行されるためには、変動係数は0.05%以上19%以下であることがより好ましく、0.1%以上18%以下であることが更により好ましい。
このX線の透視画像によって得られた数値と目付に対して予め作成しておいた検量線に基づき、目付を数値化することができ、目付斑を検査することが可能となる。CTを用いた手法と同様に、目付斑を扱うときの空間平均をとるその大きさについては、1mm×1mm以上300mm×300mm以下が好ましく、3mm×3mm以上300mm×300mm以下がより好ましく、5mm×5mm以上150mm×150mm以下が最も好ましい。
(被検査体)
本方法に関する被検査体(被検査体1、被検査体2)は、非破壊検査が可能な材質であれば特に制限されることなく、種々の材質や形状のものを用いることができる。ここでは、製造方法の発明に係る被検査体1を不連続炭素繊維の集合体、または熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維を含む堆積物と定義し、被検査体2を、不連続炭素繊維の集合体、熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維を含む堆積物、その堆積物を加熱して熱可塑性樹脂を不連続炭素繊維の集合体に含浸させた複合材料、または、その複合材料を再加熱して成形加工した最終製品となる成形材料のいずれかとして定義する。すなわち、被検査体2は被検査体1に対して、さらに複合材料およびその複合材料を加工して得られる最終製品をも示している。複合材料、または最終製品の状態では、目付斑の測定・検査を行うことは可能であっても、その目付斑の結果に基づいて目付斑を低減させるような処理を行うことが困難であるので、本発明においては双方を使い分けることとする。堆積物は熱可塑性樹脂と炭素繊維を含むものである。詳細には、炭素繊維の集合体内の空間に粒子状または長繊維もしくは短繊維状の熱可塑性樹脂が分散された状態や、炭素繊維の集合体の少なくとも1つの面に熱可塑性樹脂製のフィルム、シート、不織布が配置されている状態も含む概念である。
なお、本発明で用いる被検査体1または被検査体2の一態様である熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維を含む堆積物とは、上述した不連続炭素繊維の集合体と熱可塑性樹脂からなる混合物であって、熱可塑性樹脂が球状、粒子状、錘状、円柱状、直方体形状等のペレット状、繊維状またはフィルム状であり、不連続炭素繊維の集合体間の空間または不連続炭素繊維を構成する単糸の炭素繊維間の空間が熱可塑性樹脂で十分には埋められていない状態の組成物を表す。以下、製造例、実施例等では本発明における炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる堆積物の形態の1つをドライマット1またはドライマット2と称することがある。また、不連続炭素繊維の集合体についての説明は後述する。
本方法は、被検査体の状態を非破壊で効率良く高精度で行うことができるので、例えば、a)不連続炭素繊維の集合体における目付斑、b)熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維を含む堆積物の目付斑、c)堆積物を加熱して熱可塑性樹脂を不連続炭素繊維に含浸させた複合材料の目付斑、ならびにd)成形された熱可塑性樹脂成形品の空隙の有無および金属片等の異物混入の有無などの検査に好適である。つまり、本方法は、セラミックス系材料または樹脂材料の検査や当該検査を含むセラミックス系製品や樹脂製品の製造に好適である。ここでいう目付斑とは、金属のような異物を含んだり、空隙を含んだりするものに関し
ても含む概念であり、広い意味での目付斑とする。本方法における被検査体としては、樹脂材料(熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)、セラミックス系材料(金属以外の無機材料で、ガラスや炭素材料も含む)、繊維強化材料、およびこれらの複合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料であるとより好ましい。繊維強化材料としては、樹脂材料、またはセラミックス系材料からなるマトリックスと強化繊維からなるものが例示され、特に、樹脂材料と強化繊維からなる繊維強化樹脂である複合材料(例えば、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂、炭素繊維強化熱硬化性樹脂、または炭素繊維強化熱可塑性樹脂)が好ましい。被検査体が金属系材料からなる繊維強化材料を含んでいる場合、本発明の検査方法で検出される金属片とは、言うまでもなく、繊維強化材料を構成している主たる原子以外の金属原子を含んでいる金属片である。
ここで、樹脂材料とは、以下に例示される熱可塑性樹脂、およびこれら樹脂が更に下記の炭素繊維など各種添加材を含んでいるものが例示される。
被検査体の大きさとしては、特に限定はされないが、ある程度の幅を有するものが、生産の都合上好ましい。生産性の確保のためには、被検査体の一辺の長さが300mm以上であることが必要である。その一辺が生産時の被検査体の工程における進行方向に対して直角方向である幅方向で用いることが好ましい。被検査体の幅が300mm以上であることが好ましく、500mm以上であることがより好ましく、1000mm以上であることがよりいっそう好ましい。被検査体の形状の制約は特にないが、略板状であると検査がしやすく、好ましい。また生産性・その後の加工容易性の観点からも、幅方向、長さ方向の長さが、厚み方向の長さより十分に長い形状、すなわち板状、面状またはシート状であることが好ましい。その板状、面状またはシート状の形状は、その一部に曲面を有していてもよい。更に、その厚み方向の長さ(厚さ)としては、1.0mm以上が好ましく、より好ましくは1.5mm以上20mm以下であり、さらに好ましくは1.8mm以上10mm以下である。更にこれらの形状に対して、不連続炭素繊維の堆積物のように綿状になったものが積層されていて、多少の凹凸や湾曲形状を有する略板状の形状であってもよい。ただし、X線検査は、通常、X線が遮蔽された空間内で行われることが一般的であるため、その装置に仮に開口部を設けるとするならば、その開口部の高さは一定の範囲に抑えることが好ましい。以上のことから、特に制限はされないが、被検査体が板状の形態を複数枚接合したような形状の場合は、その高さは500mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましい。
(熱可塑性樹脂)
本発明に用いられる被検査体が含むことがある熱可塑性樹脂は、所望の強度を有する炭素繊維強化樹脂複合材料を得ることができるものであれば特に限定されるものではない。炭素繊維強化樹脂複合材料の用途等に応じて適宜選択された熱可塑性樹脂を用いることができる。
一般的に、繊維強化複合材料に用いられる代表的なマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が知られている。しかし、本発明に用いられる被検査体においては、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。但し、本発明に用いられる被検査体においてはマトリックス樹脂全体としてとらえた場合、熱可塑性樹脂としての特性を失わない範囲で熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用することも好ましい。上記熱可塑性樹脂は特に限定されるものではなく、本発明における、堆積物または複合材料の用途等に応じて所望の軟化点または融点を有するものを適宜選択して用いることができる。
本方法で用いられる被検査体に含まれても良い熱可塑性樹脂としては、通常、軟化点が180℃~350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。例
えば、ポリオレフィン樹脂(ポリスチレン樹脂を除く)、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂 フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)等を挙げることができる。
上記熱可塑性ポリアミド樹脂としては、PA6(ポリカプロアミド、ポリカプロラクタム、ポリε-カプロラクタムとも称される)、PA26(ポリエチレンアジパミド)、PA46(ポリテトラメチレンアジパミド)、PA66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、PA69(ポリヘキサメチレンアゼパミド)、PA610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、PA611(ポリヘキサメチレンウンデカミド)、PA612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、PA11(ポリウンデカンアミド)、PA12(ポリドデカンアミド)、PA1212(ポリドデカメチレンドデカミド)、PA6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、PA6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、PA912(ポリノナメチレンドデカミド)、PA1012(ポリデカメチレンドデカミド)、PA9T(ポリノナメチレンテレフタラミド)、PA9I(ポリノナメチレンイソフタルアミド)、PA10T(ポリデカメチレンテレフタラミド)、PA10I(ポリデカメチレンイソフタルアミド)、PA11T(ポリウンデカメチレンテレフタルアミド)、PA11I(ポリウンデカメチレンイソフタルアミド)、PA12T(ポリドデカメチレンテレフタラミド)、PA12I(ポリドデカメチレンイソフタルアミド)、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ボリブチレンナフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを挙げることができる。上記変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。上記熱可塑性ポリイミド樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等を挙げることができる。上記ポリスルホン樹脂としては、例えば、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を挙げることができる。上記ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂を挙げることができる。上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
本発明に用いられる被検査体が含んでも良い熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上の熱可塑性樹脂を併用する態様としては、例えば、相互に軟化点または融点が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様や、相互に平均分子量
が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様等を挙げることができるが、この限りではない。
(炭素繊維)
本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維としては、特に限定されないが、高強度、高弾性率炭素繊維が使用でき、これらは1種または2種以上の炭素繊維を併用してもよい。一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油ピッチ系炭素繊維、石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが知られているが、本発明において被検査体は、これらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。中でも、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく挙げられる。
なかでも、本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維としては引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が好ましい。炭素繊維としてPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張強度は2000MPa~10000MPaの範囲内であることが好ましく、3000MPa~8000MPaの範囲内であることがより好ましい。また、引張弾性率は100GPa~600GPaの範囲内であることが好ましく、200GPa~500GPaの範囲内であることがより好ましく、230~450GPaの範囲内であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維の形態は、不連続繊維であれば特に限定されない。
被検査体が炭素繊維強化樹脂複合材料であって不連続繊維を強化繊維として用いる場合としては、樹脂中に、例えば、炭素繊維が特定の一方向または複数の方向に配向するように配置された材料、二次元の面内方向に不連続炭素繊維がランダムに分散して配置された材料、二次元の面内方向に不連続炭素繊維がランダムに配向して配置されている材料などを好ましく挙げることが出来る。本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維は、不連続繊維であって、二次元の面内方向にランダムに配向していてもよい。ここで、面内方向にランダムに配向しているとは、炭素繊維が、被検査体の面内方向において一方向のような特定方向ではなく無秩序に配向しており、全体的には特定の方向性を示すことなくシート面内に配置されている状態を言う。炭素繊維が面内方向にランダムに配向されていた場合、繊維強化樹脂複合材料の面内方向に異方性を有しない材料、すなわち実質的に等方性の材料であることが好ましい。この場合、繊維強化樹脂複合材料を作成するにあたり、成形材料を湿式抄造してシート状にしたものでもよく、不連続炭素繊維が分散して重なるように配置させてシート状あるいはマット状(以下、あわせてマット状と称することがある)にしたものであってもよい。
本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維は、不連続繊維であって、面内方向にランダム配向したものを組み合わせて(例えば積層させて)、炭素繊維強化樹脂複合材料に不連続炭素繊維を含ませても良い。
本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維として不連続な炭素繊維を用いると、機械的特性、成形体の表面平滑性、表面均一性、成形金型内での賦形性、および炭素繊維強化樹脂複合材料の生産性のバランスに優れるので好ましく適用できる。したがって、本発明では、以下主として、被検査体が熱可塑性樹脂と面内方向にランダム配向した不連続炭素繊維が用いられている場合について述べる。
本発明に用いられる被検査体が含んでもよい不連続炭素繊維の繊維長は、平均繊維長が、好ましくは1mm以上、より好ましくは1mm~100mmの範囲内であり、さらにより一層好ましくは3mm~90mmの範囲内であり、さらに好ましくは10mm~80m
mの範囲内であり、さら特により好ましくは10mm~50mmの範囲内であり、最も好ましくは12mm~40mmの範囲内である。また、本方法で用いられる被検査体が強化繊維として炭素繊維を含む場合、上記の範囲内の平均繊維長の炭素繊維がマトリックス内にて、被検査体の面内方向に対して無秩序でランダムに配向(2次元ランダム配向)しているものであるのが好ましい。本発明における不連続炭素繊維とは、上述した平均繊維長が1mm~100mmの炭素繊維を表す。
本発明に用いられる被検査体が含む不連続炭素繊維の繊維長が互いに異なる炭素繊維の混合物を用いてもよい。換言すると、本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維は、繊維長の分布において単一のピークを有するものであってもよく、あるいは複数のピークを有するものであってもよい。
本発明に用いられる被検査体が含む不連続炭素繊維の平均繊維長の測定は、数平均繊維長であっても、重量平均繊維長であっても良いが、繊維長の長いものを重視するように計算した重量平均繊維長で測定することが好ましい。個々の炭素繊維の繊維長をLi、測定本数をjとすると、数平均繊維長(Ln)と重量平均繊維長(Lw)とは、以下の数式(1-1),(1-2)により求められる。
Ln=ΣLi/j ・・・(1-1)
Lw=(ΣLi)/(ΣLi) ・・・(1-2)
なお、被検査体に含まれている強化繊維が、連続繊維をロータリーカッターで切断したものであるなどにより、強化繊維の繊維長が一定長の場合は数平均繊維長と重量平均繊維長は同じ値になる。そのようにカットされた炭素繊維を用いて後述のような方法にて面内等方性基材である炭素繊維強化樹脂を得た場合、その面内等方性基材中の炭素繊維の平均繊維長は、カット時の平均繊維長にほぼ等しい。
堆積物または複合材料からの炭素繊維の抽出は、例えば、堆積物または複合材料に対し、炉内で500℃×1時間程度の加熱処理を施し、炉内にて樹脂を除去することによって行うことができる。
炭素繊維の平均繊維径は、通常、3μm~50μmの範囲内であることが好ましく、3.5μm~20μmの範囲内であることがより好ましく、4.0μm~12μmの範囲内であることがさらに好ましく、4.5μm~10μmの範囲内であることがさらにより好ましく、5.0μm~8.0μmの範囲内であることが特に好ましく、5.5μm~7.0μmの範囲内であることが最も好ましい。炭素繊維の平均繊維径の好ましい範囲は、上記の各範囲の下限値と、別の範囲の上限値の組み合わせてであっても良く、一例としては4.5μm~20μmが挙げられる。
ここで、上記平均繊維径は、炭素繊維の単糸の直径を指すものとする。したがって、炭素繊維が繊維束状である場合は、繊維束の径ではなく、繊維束を構成する炭素繊維(単糸)の直径を指す。炭素繊維の平均繊維径は、例えば、JIS R-7607:2000に記載された方法によって測定することができる。
本発明に用いられる被検査体が含む炭素繊維は、単糸状のもののみであってもよく、繊維束状のもののみであってもよく、両者が混在していてもよい。繊維束状のものを用いる場合、各繊維束を構成する単糸の数は、各繊維束においてほぼ均一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。本発明においては、被検査体の一態様である不連続炭素繊維の集合体とは、1つまたは2つ以上の炭素繊維束が集まったもの、あるいは1つまたは2つ以上の炭素繊維束に、さらに単糸状の炭素繊維を1本または2本以上含むものであっても良い。
本発明に用いられる被検査体が含む不連続炭素繊維の集合体を構成する炭素繊維が、繊維束状である場合、各繊維束を構成する単糸の数は特に限定されるものではないが、通常、1000本~10万本の範囲内とされる。
一般的に、炭素繊維は、数千~数万本のフィラメントが集合した繊維束状となっている。炭素繊維として炭素繊維束を用いる場合に、炭素繊維束をこのまま使用すると、繊維束の交絡部が局部的に厚くなり薄肉の堆積物または複合材料を得ることが困難になる場合がある。このため、炭素繊維として炭素繊維束を用いる場合は、炭素繊維束を拡幅したり、または開繊したりして使用するのが通常である。
炭素繊維束を開繊して用いる場合、開繊後の繊維束の開繊程度は特に限定されるものではないが、炭素繊維束の開繊程度を制御し、特定本数以上の炭素繊維からなる炭素繊維束と、それ未満の炭素繊維(単糸)または炭素繊維束を含むことが好ましい。この場合、具体的には、下記数式(2)で定義される臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(以下、炭素繊維束(A)と称する。)と、それ以外の開繊された炭素繊維、すなわち単糸の状態または臨界単糸数未満で構成される繊維束とからなることが好ましい。
臨界単糸数=600/D ・・・(2)
(ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である)
具体的には、不連続炭素繊維の集合体を構成する炭素繊維の平均繊維径が5~7μmの場合、上記数式(1)定義される臨界単糸数は86~120本となる。そして、炭素繊維の平均繊維径が5μmの場合、炭素繊維束(A)中の平均繊維数は240~4000本未満の範囲となるが、なかでも300~2500本であることが好ましい。より好ましくは400~1600本である。また、炭素繊維の平均繊維径が7μmの場合、炭素繊維束(A)中の平均繊維数は122~2040本の範囲となるが、中でも150~1500本であることが好ましく、より好ましくは200~800本である。
さらに、本発明において用いる被検査体は、被検査体中の炭素繊維全量に対する炭素繊維束(A)の割合が0Vol%超99Vol%以下であることが好ましく、20Vol%以上98Vol未満であることがより好ましく、30Vol%以上95Vol%未満であることがさらに好ましく、30Vol%以上90Vol%以下であることが特に好ましく、50Vol%以上85Vol%未満であることが最も好ましい。このように特定本数以上の炭素繊維からなる炭素繊維束と、それ以外の開繊された炭素繊維または炭素繊維束を特定の比率で共存させることで、被検査体中の炭素繊維の存在量、すなわち繊維体積含有率(Vf)を高めることが可能となるからである。
炭素繊維の開繊程度は、繊維束の開繊条件を調整することにより目的の範囲内とすることができる。例えば、繊維束に空気などの気体を吹き付けて繊維束を開繊する場合は、繊維束に吹き付ける空気の圧力等をコントロールすることにより開繊程度を調整することができる。この場合、空気の圧力を強くすることにより、開繊程度が高く(各繊維束を構成する単糸数が少なく)なり、空気の圧力を弱くすることより開繊程度が低く(各繊維束を構成する単糸数が多く)なる傾向がある。
本発明において用いる被検査体は、炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)は本発明の目的を損なわない範囲で適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。Nは通常、1<N<12000の範囲内とされるが、下記数式(3)を満たすことがより好ましい。
0.6×10 /D <N< 6×10 /D ・・・(3)
(ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である)
炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)が上記範囲を満たすことにより、高い繊維体積含有率(Vf)が得られやすく、また製造方法にもよるが、炭素繊維強化樹脂複合材料の平坦性が良好である。Nが0.6×10/Dより大きい場合、高い繊維体積含有率(Vf)を得やすく、好ましい。また強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)が6×10/D 未満、特に1×10未満の場合、未含浸前駆体や最終製品である炭素繊維強化樹脂複合材料において局部的に厚い部分が生じにくく、ボイド生成が抑制されて好ましい。
炭素繊維を含む複合材料、中でも炭素繊維強化樹脂は、軽量で引張強度や引張弾性率等の機械的物性が優れており、各種用途に好ましい。しかし、炭素繊維の使用による高コストが各種用途への採用の障害になっているので、炭素繊維の原料から製造方法に至るまで極限のコスト低減が求められている。よって本発明は、炭素繊維複合材料、特に炭素繊維強化樹脂が被検査体である場合に、目付、目付斑の数値から品質要求を満たさない、ないし品質要求を満たさないことが想定される不連続炭素繊維の集合体、堆積物、複合材料を最終製造工程に至る前までに排除することができるので、好適である。特に、炭素繊維強化樹脂のなかでも、不連続繊維である炭素繊維が2次元ランダム配向してマトリックス樹脂としての熱可塑性樹脂中に含まれている面内等方性基材は実用性が高い。よって面内等方性基材の製造、それを用いた成形体の製造、その際の工程内の中間体の検査に本発明は好適である。そのような面内等方性基材やその製造方法としては、米国特許第8,946,342号、米国特許第8,829,103号、米国特許第9,193,840号、米国特許第9,545,760号、米国特許出願公開第2015-0292145等に記載のものが例示される。
ここで、被検査体中で、炭素繊維などの強化繊維が2次元ランダム配向であることについて、特に厳密かつ数値的に定義したい場合は、日本国特許第5,944,114号に示されているように、強化繊維に関して、面配向度σ=100×(1-(面配向角γが10°以上の強化繊維本数)/(全強化繊維本数))で定義される面配向度σが90%以上である状態を好ましい2次元ランダム配向としてもよい。
(組成比)
本発明に用いる被検査体1または被検査体2が、熱可塑性樹脂を含む堆積物または複合材料である場合における熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の存在量は、これらの樹脂の種類や炭素繊維の種類等に応じて適宜決定することができるものであり特に限定されるものではないが、通常、炭素繊維100質量部に対して樹脂が3質量部~1000質量部の範囲内とされる。好ましくは、炭素繊維100質量部に対し上記樹脂が10~900質量部の範囲内であり、より好ましくは、炭素繊維100質量部に対し、樹脂が20~400質量部、更に好ましくは、炭素繊維100質量部に対し、樹脂が50~100質量部である。
下記数式(4)で定義される被検査体に含まれる炭素繊維の体積割合(繊維体積含有率(Vf))としては、本発明に用いられる被検査体において、当被検査体の体積(炭素繊維全量+熱可塑性樹脂全量)を基準として、55体積%以下が好ましい。より好ましくは15~45%の範囲であり、さらにより好ましくは25~40%の範囲である。炭素繊維の繊維体積含有率が15%以上であれば、含有することによる補強効果が十分に発現するため好ましい。また、55%以下であると成形方法にもよるが、成形後に得られる複合材料や最終製品(以下、複合材料等と称する。)中にボイドが発生しにくく、複合材料等の物性が向上し好ましい。
Vf=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+熱可塑性樹脂体積) ・・・(4)
また、本発明に用いられる被検査体においては、炭素繊維が面内方向にランダム配向させた形態であった場合、複合材料等における炭素繊維の体積含有率(Vf)は、10~70Vol%であることも好ましい。複合材料等における炭素繊維の体積含有率が10Vol%以上であれば、所望の機械物性が得られやすく好ましい。一方、70Vol%以下であれば、複合材料等を作成する際、加熱した際の熱可塑性樹脂の流動性が低下せず、成形時に所望の形状を得られやすく好ましい。複合材料等における強化繊維の体積含有率のより好ましい範囲は20~60Vol%であり、さらに好ましい範囲は30~50Vol%である。
(炭素繊維の配向)
本発明では、複合材料等における不連続炭素繊維は、繊維の長軸方向が複合材料等の面内方向において二次元方向にランダムに配向した二次元ランダム配向をしているのがよい。炭素繊維が二次元ランダム配向している上記複合材料等は、面内方向において等方性に優れ、また凹凸など複雑形状部を有する複合材料等を得るのに好適である。
上記の複合材料等内における炭素繊維の配向態様は、例えば、上記の複合材料等の任意の方向、およびこれと直交する方向を基準とする引張試験を行い、引張弾性率を測定した後、測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比(Eδ)を測定することで確認できる。複合材料等の引張弾性率の比が1に近いほど、炭素繊維が、面内方向にランダム配向、別の言い方をすると、二次元ランダム配向しており、当該複合材料等は面内等方性であると評価できる。具体的な基準を例示すると、Eδが2未満ならば面内等方性であり、Eδが1.5以下ならば面内等方性に優れており、Eδが1.3以下ならば面内等方性に極めて優れていると言える。
なお、本発明で用いる複合材料等中での配向状態は、上記二次元ランダム配向していることが好ましいが、本発明の目的を逸脱したり、本発明で用いられる複合材料等の機械物性や成形性に影響を及ぼしたりしない範囲であれば、一方向に配向した部分があってもよい。また、上記一方向配向と二次元ランダム配向の中間の無規則配向(強化繊維の長軸方向が完全に一方向に配向しておらず、かつ完全にランダムでない配向状態)であってもよい。さらに、炭素繊維の繊維長によっては、炭素繊維の長軸方向が上記複合材料等の面内方向に対して角度を有するように配向していてもよく、炭素繊維が綿状に絡み合うように配向していてもよく、さらには炭素繊維が平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、炭素繊維を抄紙した紙等のように配向していてもよい。
(添加剤)
上述したように、本発明に用いられる複合材料等は少なくとも炭素繊維と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とを含むものであるが、本発明の目的を損なわない範囲内であれば、必要に応じて各種の添加剤を含んでもよい。上記各種添加剤は、用途等に応じて、複合材料等に所望の機能または性質等を付与できるものであれば特に限定されるものではない。
本発明に用いられる被検査体が含んでも良い各種の添加剤としては、例えば、溶融粘度低下剤、帯電防止剤、顔料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、導電性粒子、フィラー、カーボンブラック、カップリング剤、発泡剤、滑剤、腐食防止剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、着色防止剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、滑剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機および有機の抗菌剤、防虫剤、光触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤等を挙げることができる。
(不連続炭素繊維を含む複合材料等の製造)
本発明において、前述した、不連続炭素繊維の集合体と熱可塑性樹脂からなる堆積物を
材料として複合材料を、さらにその複合材料をもとに最終製品を製造ずるに当たっては、当該炭素繊維強化複合材料の分野における通常の加工方法を適用することで製造することが可能である。代表的な製造方法としてはプレス成形法(コールドプレス成形法、ホットプレス成形法)が挙げられるが、他に射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、インサート成形法、インモールドコーティング成形法等を用いることも可能である。具体的には、複合材料を製造するに当たっては、上記の堆積物に対して上記の成形法のいずれかを適用し、堆積物を構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一部を不連続炭素繊維の集合体内に含浸することによって複合材料を製造することができる。この場合、熱可塑性樹脂が不連続炭素繊維の集合体内に含浸するとは、熱可塑性樹脂が不連続炭素繊維間の空間を埋めるように配置される場合、不連続炭素繊維の集合体を構成する不連続炭素繊維の単糸間の空間を埋めるように配置される場合の双方を含む。以下、製造例、実施例等では本発明における複合材料の形態の1つを含浸基材n(n=1~3)と称することがある。その複合材料とは、本発明における堆積物の概念に該当するものであり、これは上述したドライマットを加熱成形して得られる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、実施例1-2、実施例1-3、実施例2-1、実施例2-2、実施例2-3、実施例3-1、実施例3-2、及び実施例3-3を、それぞれ参考例1-2、参考例1-3、参考例2-1、参考例2-2、参考例2-3、参考例3-1、参考例3-2、及び参考例3-3に読み替えるものとする。本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
1)繊維強化樹脂材中の炭素繊維束(A)の割合の算出
繊維強化樹脂材中に含まれる炭素繊維束(A)の割合の求め方は、以下の通りである。繊維強化樹脂材を50mm×50mmの大きさに切り出し、500℃の炉内で1時間程度加熱し、熱可塑性樹脂を完全に除去した後、繊維束をピンセットで全て取り出し、繊維束の長さ(Li)と質量(Wi)、繊維束数(I)を測定した。ピンセットにて取り出すことができない程度に繊維束が小さいものについては、まとめて最後に質量を測定した(Wk)。質量の測定には、1/100mgまで測定可能な天秤を用いる。
測定後、以下の計算を行った。使用している炭素繊維の繊度(F)より、個々の繊維束の繊維本数(Ni)は、次の数式により求めた。
繊維本数(Ni)=Wi/(Li×F) ・・・(5)
炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)は、以下の数式により求めた。
N=ΣNi/I ・・・(6)
また、炭素繊維束(A)の強化繊維全体に対する体積の割合(VR)は、炭素繊維の密度(ρ)を用いて次の数式により求めた。
VR=Σ(Wi/ρ)×100/((Wk+ΣWi)/ρ) ・・・(7)
2)強化繊維の重量平均炭素繊維長
強化繊維の平均繊維長は、繊維強化樹脂材から上記の操作により熱可塑性樹脂を完全に除去した後、無作為に抽出した100本の強化繊維の繊維長をノギス等により1mm単位まで測定した。一般に、個々の強化繊維の繊維長をLiとすると、繊維強化樹脂材中の数平均繊維長Lnと重量平均繊維長Lwは以下の数式(1-1)、(1-2)により求められる。なお、数平均繊維長Lnと重量平均繊維長Lwの単位は、共にmmである。
Ln=ΣLi/I ・・・(1-1)
Lw=(ΣLi)/(ΣLi) ・・・(1-2)
ここで「I」とは、繊維長を測地した炭素繊維の本数を表す。
3)プリプレグにおける炭素繊維配向の分析
プリプレグを作製した後、炭素繊維の等方性を測定する方法としては、成形板の任意の
方向、およびこれと直交する方向を基準とする引張り試験を行い、引張弾性率を測定し、測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比(Eδ)を測定した。引張弾性率の比が1に近いほど、等方性に優れ、具体的にはEδが2未満ならば面内等方性、つまり二次元ランダム配向とした。実施例中の繊維配向の分析用成形板は実施例にあるプリプレグの作製条件と同一条件にて成形した。
4)熱可塑性樹脂の種類分析
熱可塑性繊維の種類(一次構造)については、サンプリングした微小片をH-NMR測定(日本電子株式会社製JEOLA-600型)を行い、そのスペクトルチャートを解析することにより特定した。
5)被検査体の長さの測定評価
1mm単位で目盛が付されているメジャーにて測定した。
[製造例1]
・炭素繊維と樹脂の混合ドライマット(以後ドライマット1と称する。)の製造
炭素繊維として、平均繊維長20mmにカットした東邦テナックス株式会社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40-24KS(平均繊維径7μm)を使用し、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂である、ユニチカ株式会社製のナイロン6樹脂A1030を用いて、国際公開公報WO2012/105080パンフレットに記載された方法を参考に、炭素繊維目付1500g/m、ナイロン樹脂目付2100g/mを狙った炭素繊維が該面内方向にランダム分散した(二次元ランダム配向した)ドライマット1を作成した。
具体的には、炭素繊維の分繊装置には、金属合金製スリッターを配置してスリットした。カット装置には、金属合金製カッターを用い、刃のピッチを調整し、炭素繊維を繊維長20mmにカットするようにした。
カッターを通過したストランドをカッターの直下に配置した輸送配管に導入し、引き続き、これを開繊装置に導入した。開繊装置としては、管を製作して使用した。開繊のために管に圧縮空気を送気した。
上記管の側面より、粒子状の熱可塑性樹脂(ナイロン6樹脂)を供給した。そして、管出口の下部に、一定方向に移動する通気性の支持体(以後、定着ネットと呼ぶ)を設置し、その下方よりブロワにて吸引を行い、その定着ネット上に、フレキシブルな輸送配管と上記管を幅方向に往復運動させながら、カットした炭素繊維とナイロン樹脂の混合体を帯状に堆積させた。そして、強化繊維の供給量、マトリックス樹脂の供給量をセットして、装置を稼動し、定着ネット上に強化繊維と熱可塑性樹脂が混合された1000mm×500mmのドライマット1を得た。
[製造例2]
・炭素繊維強化樹脂含浸基材の製造
製造例1で得られたドライマット1を、260℃に加熱した含浸装置にて、15分間加熱圧縮し、厚さ2.6mmの含浸基材1を得た。
[製造例3]
・炭素繊維強化樹脂の部分含浸基材の製造
製造例2を参考に、加熱時間を10分間、圧縮条件を変更し、目付斑を変更したことを除いて、同じ手法で含浸基材を作成し、厚さ2.6mmの含浸基材2を得た。
[製造例4]
・炭素繊維強化樹脂内に金属片を埋設した含浸基材の製造
製造例1の混合体を堆積させる工程中に、30mm×30mm×0.5mmのアルミニウム片を埋設したことを除いて、製造例1と同じ手法で得られたドライマットを用いて、製造例2と同じ手法で含浸基材を作成し、厚さ2.6mmの含浸基材3を得た。
[製造例5]
・炭素繊維のドライマット(以後ドライマット2と称する。)の製造
製造例1を参考に、粒子状の熱可塑性樹脂を供給する代わりに不織布状の熱可塑性樹脂1枚を炭素繊維の下面に配置したことを除いて、製造例1と同じ手法でドライマットを作成し、ドライマット2を得た。
○赤外線画像の位相解析手法を用いた実施例
[実施例1-1]
・含浸基材の目付および目付斑検査
製造例2で得られた含浸基材1を、含浸基材1の長尺方向に、ベルトコンベアで搬送しながら、含浸基材1(以下、材料と称することがある。)を加熱し、材料から放射された赤外線をとらえ、位相解析の手法を用いて解析した。具体的には、ベルトコンベア(搬送速度1m/min)で搬送しながら、材料の加熱を行い、搬送中の加熱材料からの赤外線の放射の検知を行った。加熱にはレーザーライン社のファイバーレーザー(出力:1.5kW)とそのレーザーを幅500mmに拡張させるコリメータを使用した。赤外線検知にはFLIR社の赤外線カメラ(640×512画素のエリアセンサー)を用いて、赤外線カメラで得られた動画の有効検査部に対して、赤外線の位相解析シミュレーションソフトウェアを用いて、画像解析した。このとき、赤外線カメラは、材料に対して加熱装置であるファイバーレーザーの位置と対向した位置に配置した。使用した赤外線カメラの温度振幅は0.05degC(℃)の分解能を有するカメラであった。この工程を繰り返して、1000mm×500mmの大きさの材料全体の検査を幅500mm、長さ100mmとなる向きで行った。得られた材料の位相画像情報を50mm×50mmで区画し空間平均値を算出して、数値化および描画した。このとき、位相解析に要した時間は5分未満であった。検査の結果、基材の50mm×50mm区画20箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として150g/m以上を検知できることを確認した。
[実施例1-2]
・含浸基材の空隙検査
製造例3で得られた含浸基材2を用いることを除いて、実施例1-1と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、部分的に含浸していない空隙を検知できることを確認した。
[実施例1-3]
・含浸基材の金属異物検査
製造例4で得られた含浸基材3を用いることを除いて、実施例1-1と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、埋設されたアルミニウム片を検知できることを確認した。
[実施例1-4]
・炭素繊維と樹脂の混合ドライマットの目付検査
製造例1で得られたドライマット1を用いることを除いて、実施例1-1と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として150g/m以上を検知できることを確認した。
[実施例1-5]
・炭素繊維ドライマットの目付検査
製造例5で得られたドライマット2を用いることを除いて、実施例1-1と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として150g/m以上を検知できることを確認した。
○X線CTの画像解析を行った実施例
[実施例2-1]
・含浸基材の目付および目付斑検査
製造例2と同様の手法で作成され、寸法だけが異なる含浸基材1A(100mm×300mm)を、X線CT装置に幅300mm、長さ100mmとなる向きで配置し、検査解析をした。具体的には、ニコンインステック社のエリアセンサーを搭載するX線CT装置(MCT225、有効検査エリアのディジタル値の空間平均がセンサー限界値の約55%となる撮像条件)を使用した。X線の波長としては、0.1×10-10から0.2×10-10mの範囲にX線の強度ピークをもつ波長帯を用い、Voxelサイズとしては120μmで撮像した。X線CTで得られた断層画像データの有効検査部分に対して、ボリュームグラフィックス社製VGstudioを用いて、画像解析して、得られた材料の画像情報を50mm×50mmで区画し空間平均値を算出して、数値化および描画したデータを得た。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画12箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。
[実施例2-2]
・含浸基材の空隙検査
製造例3と同様の手法で作成され、寸法だけが異なる含浸基材2A(100mm×300mm)を、検査に用いることを除いて、実施例2-1と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、材料内部に部分的に存在する空隙を検知できることを確認した。
[実施例2-3]
・含浸基材の金属異物検査
製造例4と同様の手法で作成され、寸法だけが異なる含浸基材3A(100mm×300mm)を、検査に用いることを除いて、実施例2-1と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、埋設されたアルミニウム片を検知できることを確認した。
[実施例2-4]
・炭素繊維と樹脂の混合ドライマットの目付検査
製造例1と同様の手法で作成され、寸法だけが異なるドライマット1A(100mm×300mm)を、X線CT装置に配置し、検査解析をした。具体的には、リガク社のエリアセンサーを搭載するX線CT装置(Stella Scan AX)を使用した。X線の波長としては、0.5×10-10から0.6×10-10mの範囲にX線の強度ピークをもつ波長帯を用いた。X線CTで得られた画像の有効検査部に対して、画像解析ソフトを用いて、画像解析し、得られた材料の画像情報を50mm×50mmで区画し空間平均値を算出して、数値化および描画したデータを得た。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画12箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。
[実施例2-5]
・炭素繊維ドライマットの目付検査
製造例5と同様の手法で作成され、寸法だけが異なるドライマット2A(100mm×
300mm)を、検査に用いることを除いて、実施例2-4と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画12箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。
この目付斑のデータを製造工程へフィードバックした。目付が狙いの目付に対して不足していた箇所に対して、炭素繊維の供給量の調整を行った。この調整を経た炭素繊維の混合ドライマットを、再度同目付検査工程で確認したところ、目付の変動係数1が12%(調整前変動係数25%)になった炭素繊維ドライマットを得た。
○X線の透視画像解析を行った実施例
[実施例3-1]
・含浸基材の目付および目付斑検査
製造例2で得られた含浸基材1を、含浸基材1の長尺方向に、ベルトコンベアで搬送しながら、含浸基材1にX線を照射し、含浸基材1を透過したX線をラインセンサーでとらえ、そのX線透視画像を用いて解析した。具体的には、IAI社のロボシリンダー(搬送速度1.5m/min)で搬送し、ソフテックス社のX線発生装置(強度ピークの波長帯:1.5×10-10から1.6×10-10m、有効検査エリアのディジタル値の空間平均がセンサー限界値の約60%となる撮像条件)とイメージテック社のX線ラインセンサー(0.4mm分解能、センサーゲインは1倍)を使用して、X線透視画像を撮像し、NIH製ImageJおよび帝人株式会社内製造ソフトウェアを用いて、画像解析した。
この工程により、1000mm×500mmの大きさの材料全体の検査を幅500mm、長さ100mmとなる向きで行った。得られた材料の画像情報を50mm×50mmで区画し空間平均値を算出して、数値化および描画した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。
[実施例3-2]
・含浸基材の空隙検査
製造例3と同様の手法で作成された含浸基材2を、近畿レントゲン社のX線発生装置(強度ピークの波長帯:0.8×10-10から0.9×10-10m、有効検査エリアのディジタル値の空間平均がセンサー限界値の約20%となる撮像条件)を検査に用いることを除いて、実施例3-1と同様の手法を用いて、検査した。
検査の結果、部分的に含浸していない空隙を検知できることを確認した。
[実施例3-3]
・含浸基材の金属異物検査
製造例4と同様の手法で作成された含浸基材3を、検査に用いることを除いて、実施例3-2と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、埋設されたアルミニウム片を検知できることを確認した。
[実施例3-4]
・炭素繊維と樹脂の混合ドライマットの目付検査
製造例1と同様の手法で作成されたドライマット1を、有効検査エリアのディジタル値の空間平均がセンサー限界値の約25%となる撮像条件を検査に用いることを除いて、実施例3-1と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。
[実施例3-5]
・炭素繊維と樹脂の混合ドライマットの目付検査
製造例1と同様の手法で作成されたドライマット1を、有効検査エリアのディジタル値の空間平均がセンサー限界値の約60%となる撮像条件を検査に用いることを除いて、実施例3-4と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。
この目付斑のデータを製造工程へフィードバックした。目付が狙いの目付に対して不足していた箇所に対して、炭素繊維と樹脂の供給量の調整を行った。この調整を経た炭素繊維と樹脂の混合ドライマットを、再度同目付検査工程で確認したところ、目付の変動係数が18%(調整前変動係数32%)になった炭素繊維と樹脂の混合ドライマットを得た。
[実施例3-6]
・炭素繊維と樹脂の混合ドライマットの目付検査
製造例1と同様の手法で作成されたドライマット1を、センサーゲインを2倍に増幅することによって、受光したX線の相対露光量に基づく数値データを2.0倍に増幅させたことを除いて、実施例3-5と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。さらに、X線発生装置の管球の寿命が、少なくとも10%長くなった。
[実施例3-7]
・炭素繊維ドライマットの目付検査
製造例5と同様の手法で作成されたドライマット2を、検査に用いることを除いて、実施例3-5と同様の手法を用いて検査した。
検査の結果、基材の50mm×50mm区画200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として100g/m以上を検知できることを確認した。
[実施例3-8]
・炭素繊維ドライマットの目付検査
製造例1と同様の手法で作成され、寸法だけが異なるドライマット1A(100mm×300mm)を、X線透過装置に配置し、検査解析をした。具体的には、リガク社のエリアセンサーを搭載するX線透過装置(Stella Scan AXでX線CT機能を兼ねる。有効検査エリアのディジタル値の空間平均がセンサー限界値の約20%となる撮像条件)を使用した。X線の波長としては、0.8×10-10から0.9×10-10mの範囲にX線の強度ピークをもつ波長帯を用いた。X線透過撮像で得られた画像の有効検査部に対して、NIH製ImageJおよび帝人株式会社内製造ソフトウェアを用いて、得られた材料の画像情報を5mm×5mmで区画し空間平均値を算出して、画像解析し、その結果、数値化および描画したデータを得た。
検査の結果、基材の5mm×5mm区画1200箇所のそれぞれの目付を算出したところ、その目付斑として200g/m以上を検知できることを確認した。
[比較例1]
製造例1で得られたドライマット1を、25mm×25mmの大きさに切り出して、目付を電子天秤で計測したところ、目付斑は最大180g/mであったため、問題はなかった。しかし、材料を小片に切り出してしまったため、所望の大きさの複合材料を製作することはできなかった。
本発明によれば、材料内部の異物の混入の有無や材料内部の空隙の有無の検査および材料のわずかな目付斑の定量的な検査が可能となるとともに、その検査工程を経ることによって目付斑が抑制されたまたは低減された炭素繊維複合材料を製造する方法を提供するこ
とができる。今後の炭素繊維強化樹脂複合材料を製造、また使用等する産業においては、その意義は極めて大きい。

Claims (15)

  1. 熱可塑性樹脂と不連続炭素繊維の集合体とを含む堆積物の製造方法であって、前記堆積物の一辺の長さが300mm以上であり、以下の工程を経て堆積物を製造する方法。
    工程101:前記堆積物が、前記不連続炭素繊維の集合体の少なくとも1つの面に熱可塑性樹脂製のフィルム、シート、または不織布が配置されている状態のものならば前記不連続炭素繊維の集合体の目付[g/m]を、前記堆積物が、前記不連続炭素繊維の集合体内の空間に粒子状または長繊維もしくは短繊維状の熱可塑性樹脂が分散された状態のものならば前記堆積物の目付[g/m]を非破壊で検査する検査工程(目付を非破壊で検査される、前記不連続炭素繊維の集合体または前記堆積物を、以下、被検査体1と称する。)
    工程201:前記工程101の検査結果に基づいて、前記被検査体1の目付斑を把握する工程。
    工程301:前記工程201の前記目付斑に基づいて、前記不連続炭素繊維の集合体が前記被検査体1である場合は、前記不連続炭素繊維集合体における目付不足箇所に前記目付斑を低減するように不連続炭素繊維を付加し、前記堆積物が前記被検査体1である場合は、前記堆積物の目付不足箇所に前記目付斑を低減するようにその不足量に応じて不連続炭素繊維、および/もしくは熱可塑性樹脂を付加する工程。
  2. 更に、前記工程201の後に以下の工程202を経ることを特徴とする、請求項1に記載の堆積物の製造方法。
    工程202:前記工程201で得られた被検査体1の目付斑のデータを、被検査体1を製造する工程にフィードバックする工程。
  3. 前記工程301の後の時点において、前記不連続炭素繊維の集合体の目付の変動係数1、または前記堆積物の総目付の変動係数2が20%以下となる、請求項1または2に記載の堆積物の製造方法。
  4. 検査工程に、前記被検査体1から放射された赤外線を検出して位相解析の手法を用いる、請求項1~3のいずれか1項に記載の堆積物の製造方法。
  5. ファイバーレーザーを用いて前記被検査体1を加熱し、前記赤外線を検出する、請求項4に記載の堆積物の製造方法。
  6. 前記レーザーの照射範囲を調整できる装置に前記レーザーを通してから、前記被検査体1を加熱し、前記赤外線を検出する、請求項5に記載の堆積物の製造方法。
  7. 検査工程に、X線CTによって被検査体1を撮像した断層画像、または前記断層画像データを用いる、請求項1~3のいずれか1項に記載の堆積物の製造方法。
  8. 0.01×10-10~100×10-10mの波長のX線を用いる、請求項7に記載の堆積物の製造方法。
  9. 検査工程に、X線エリアセンサー、またはX線ラインセンサーを備えたX線検査装置を用いて被検査体1を撮像した透視画像、または前記透視画像由来のデータを用いる、請求項1~3のいずれか1項に記載の堆積物の製造方法。
  10. 被検査体1の透視画像におけるディジタル値の空間平均が、前記透視画像におけるディジタル値の限界値の5%以上、かつ100%未満である、請求項9に記載の堆積物の製造方法。
  11. 0.01×10-10~100×10-10mの波長のX線の強度ピークがあるX線を用いる、請求項9または10に記載の堆積物の製造方法。
  12. 前記のX線エリアセンサーまたはX線ラインセンサーが受光したX線の相対露光量に基づく数値のディジタルデータ、もしくは、そのデータを基に演算加工したデータを、1.0倍超に増幅する工程を含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の堆積物の製造方法。
  13. 前記検査工程で検査した検査体1の目付の平均値に対する偏差の最大値が1500g/m以下であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の堆積物の製造方法。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の堆積物の製造方法によって製造された堆積物を加熱して、前記熱可塑性樹脂の少なくとも一部を前記不連続炭素繊維の集合体内に含浸し、複合材料を製造する方法。
  15. 前記堆積物に対して、コールドプレス成形法、ホットプレス成形、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、インサート成形法、またはインモールドコーティング成形法を適用し複合材料を製造する、請求項14の複合材料の製造方法。
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