従来、この種の水量調節弁は、一般的に、入水ポートと、出水ポートと、入水ポートと出水ポートの一方に連通する内部の弁室と、弁室の軸方向一方の端部に位置し、入水ポートと出水ポートの他方に連通する弁孔が開設された弁座とを有するバルブケーシングと、弁室内に設けられた軸方向一方と他方に移動自在な弁体と、弁体から軸方向他方にのびる弁棒と、弁体を軸方向一方と他方に弁棒を介して移動させる電動アクチュエータとを備えている。また、弁棒を軸方向一方寄りの部分で軸方向に摺動自在に支持する第1支持部を有する第1ガイド部材と、弁棒を軸方向他方寄りの部分で軸方向に摺動自在に支持する第2支持部を有する第2ガイド部材とを設け、弁棒を軸方向に離れた2箇所で支持することにより弁棒の傾きを防止し、弁体が傾くことなく軸方向に直進するようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。更に、このものでは、第1支持部と第2支持部との間に、弁棒が摺動自在に貫通するOリングを設けて、シール性を確保している。
ところで、特許文献1に記載のものでは、バルブケーシングに第2ガイド部材を一体成形すると共に、バルブケーシングに、弁室から軸方向他方に向けて第2ガイド部材の手前までのびる凹孔を形成し、この凹孔に、Oリングを装着すると共にリング状の第1ガイド部材を圧入している。これによれば、Oリングは、凹孔の軸方向他方の端部で軸方向他方に抜け止めされ、第1ガイド部材によって軸方向一方に抜け止めされる。
然し、このものでは、リング状の第1ガイド部材を凹孔に圧入する際に、第1ガイド部材が変形することがあり、この変形によって弁棒が傾いて、水量調節の精度が悪くなることがある。
図1を参照して、本発明の実施形態の水量調節弁は、入水ポート11と、出水ポート12と、出水ポート12に連通する内部の弁室13と、弁室13の軸方向一方(図1の下方)の端部に位置し、入水ポート11に連通する弁孔141が開設された弁座14とを有するバルブケーシング1を備えている。バルブケーシング1は、更に、弁室13から軸方向他方(図1の上方)にのび、内周面に軸方向他方を向く段差部151を備える筒部15を有している。
また、水量調節弁は、弁室13内に設けられた軸方向一方と他方に移動自在な弁体2と、弁体2から軸方向他方にのびる弁棒3と、弁体2を軸方向一方と他方に弁棒3を介して移動させる電動アクチュエータ4とを備えている。電動アクチュエータ4は、モータ41と、モータ41の回転運動を弁棒3の軸方向運動に変換する送りねじ機構とで構成されている。この送りねじ機構は、モータ41の出力軸41aに相対回転不能に、且つ、軸方向に摺動自在に係合する連結子42と、後述する第2ガイド部材6に形成した雌ネジ43に螺合する連結子42に一体の雄ネジ44と、雄ネジ44の軸方向一方の端部と弁棒3の軸方向他方の端部に形成した大径の頭部31との間に介設したボール45と、弁棒3を軸方向他方に付勢するバネ46とを備えており、モータ41の回転で雄ネジ44が軸方向に進退し、これに追従して弁棒3が軸方向に進退する。そして、弁棒3と一体に弁体2が軸方向に進退することで、弁体2と弁座14との間の距離が変化し、水量が可変調節される。尚、バネ46は、弁棒3の頭部31と後述する抜け止め用座金72との間に縮設されている。
水量調節弁は、更に、弁棒3を軸方向一方寄りの部分で軸方向に摺動自在に支持する第1支持部51を有する第1ガイド部材5と、弁棒3を軸方向他方寄りの部分で軸方向に摺動自在に支持する第2支持61部を有する第2ガイド部材6と、第1支持部51と第2支持部61との間に設けられた、弁棒3が摺動自在に貫通するOリング7とを備えている。第1支持部51は、弁棒3の軸方向一方寄りの部分が摺接する第1ガイド部材5の内周面で構成され、第2支持部61は、弁棒3の頭部31が摺接する第2ガイド部材6の内周面で構成されている。
また、第1ガイド部材5には、第1支持部51の軸方向他方に隣接させて、内径が第1支持部51より大きなOリング溝52が形成されると共に、Oリング溝52の軸方向他方の端部に位置させて、軸方向他方を向く段差部53が形成されている。そして、Oリング溝52にOリング7をその軸方向他方にワッシャ71を重ねた状態で装着し、段差部53に、Oリング溝52からワッシャ71及びOリング7が軸方向他方に抜け出ることを阻止する抜け止め用座金72を着座させている。
第2ガイド部材6は、バルブケーシング1と別体の筒状としている。そして、第2ガイド部材6に、その軸方向一方の端部に位置させて、抜け止め用座金72を第1ガイド部材5の段差部53との間に挟圧固定する挟圧部62を形成している。第2ガイド部材6の軸方向他方の端部には、バルブケーシング1の筒部15の軸方向他方の端面に着座してこれに締結されるフランジ部63が設けられ、このフランジ部63の外面にモータ41が搭載されている。
以上の構成によれば、Oリング7は、第1ガイド部材5の段差部53と第2ガイド部材6の挟圧部62との間に挟圧固定される抜け止め用座金72により軸方向他方に抜け止めされ、また、Oリング溝52の軸方向一方の端部に、これより内径の小さな第1支持部51との間の段差部54を生ずるため、この段差部54によりOリング7が軸方向一方に抜け止めされる。従って、第1ガイド部材5及び第2ガイド部材6をOリング7の抜け止めのためにバルブケーシング1に圧入する必要がなく、これらガイド部材5,6が圧入時に作用する無理な応力で変形することもない。その結果、第1と第2のガイド部材5,6に設けられる第1と第2の両支持部51,61で弁棒3を同心になるように支持でき、弁棒3の傾きを確実に防止できる。
ところで、第1ガイド部材5は、バルブケーシング1に一体成形することも可能であるが、本実施形態では、第1ガイド部材5をバルブケーシング1と別体としている。即ち、第1ガイド部材5は、バルブケーシング1と別体の筒状であって、外周面にバルブケーシング1の筒部15の段差部151に当接する軸方向一方を向く段差部55を有している。そして、第1ガイド部材5を外周面に第2のOリング8を装着した状態で筒部15に内挿している。これによれば、第1ガイド部材5をバルブケーシング1に圧入しなくても、第2ガイド部材6の挟圧部62から抜け止め用座金72を介して第1ガイド部材5に作用する軸方向一方への押圧力で、第1ガイド部材5の外周面の段差部55がバルブケーシング1の筒部15内周面の段差部151に当接した状態に維持され、第1ガイド部材5をバルブケーシング1に対し固定できる。尚、本実施形態では、第2ガイド部材6の外周面に、第1ガイド部材5の軸方向他方の端面に当接する段差部64を形成して、この段差部64によっても第1ガイド部材5が軸方向一方に押圧されるようにしているが、この段差部64は省略してもよい。
また、本実施形態では、第1ガイド部材5の軸方向一方の端面に、第1支持部51の一部として機能する、弁室13内に突出する筒状突起56を設けている。これによれば、筒状突起56により、第1支持部51が長くなり、弁棒3の第1支持部51における支持を確実にすることができる。また、第1支持部51の軸方向他方に隣接するOリング溝52内のOリング7に触れる水が頻繁に入れ替わると、水に含まれる塩素の影響でOリング7の耐久性が悪化するが、第1支持部51が長くなることで、Oリング7に触れる水が入れ替わりにくくなり、Oリング7の耐久性が向上する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、弁室13が出水ポート12に連通し、弁孔141が入水ポート11に連通しているが、入水ポート11と出水ポート12とを夫々出水ポートと入水ポートとし、入水ポートに弁室13を連通させ、出水ポートに弁孔141を連通させることも可能である。