(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置1の例を示す概略図(平面図)である。また、図2〜図10は、樹脂モールド装置1の各構成の詳細を示す概略図である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により樹脂モールド装置1における前後、左右、上下の方向を説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る樹脂モールド装置1は、上型204及び下型206を備えるモールド金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wの樹脂モールド成形を行う装置である。以下、樹脂モールド装置1として、上型204でワークWを保持し、下型206に設けられたキャビティ208(金型面206aを一部含む)をフィルム(リリースフィルム)Fで覆ってモールド樹脂Rを供給し、上型204と下型206とのクランプ動作を行い、溶融したモールド樹脂RにワークWを浸漬させて樹脂モールドする圧縮成形装置を主たる例として説明する。なお、キャビティ208は、下型206上面において所定形状に凹んだキャビティ凹部209によって形状が規定され、フィルムFを介してモールド樹脂Rが供給されることで圧縮成形が可能となる。
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに複数の電子部品Wbが行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、短冊状に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材(短冊形状の短冊ワーク)が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。なお、後述するように、基材Waとして、特に、正方形状、円形状のものを使用する場合に対応可能な装置変形例も考えられる。
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、フリップチップ実装、ワイヤボンディング実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂モールド後に成形品から基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
一方、モールド樹脂Rの例として、顆粒状の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂)が用いられる。なお、上記の状態に限定されるものではなく、液状、粉末状、円柱状、板状、シート状等、他の状態(形状)であってもよい。
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。このフィルムFとしては、例えば短冊形状のワークWに対応した短冊形状の短冊フィルムを用いることができる。
続いて、本実施形態に係る樹脂モールド装置1の概要について説明する。図1に示すように、樹脂モールド装置1は、ワークWの供給と、樹脂モールド後の成形品Wpの収納とを主に行うワーク処理ユニット100A、ワークWを樹脂モールドして成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100B、フィルムF及びモールド樹脂Rの供給と、樹脂モールド後の使用済みフィルムFdの収納(廃棄)とを主に行うディスペンスユニット100Cを主要構成として備えている。なお、本実施形態においては、一つの下型に二つのキャビティを設けると共に二つのワークWを配置して一括して樹脂モールドを行い、同時に二つの成形品Wpを得る圧縮成形方式の樹脂モールド装置を例に挙げて説明する。
本実施形態においては、ワーク処理ユニット100A、プレスユニット100B、及びディスペンスユニット100Cのようなユニットが連結されて組み立てられている。一例として、ワーク処理ユニット100A、プレスユニット100B、及びディスペンスユニット100Cが、左右方向において、左からその順に並設されている。なお、各ユニット間を跨いで任意の数のガイドレール(不図示)が直線状に設けられており、ワークW等を搬送する第1ローダ(第1搬送部)210、及びフィルムF等を搬送する第2ローダ(第2搬送部)212が、任意のガイドレールに沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。なお、これらのローダ210、212は、例えばモールド金型202に対するワークW等の搬入動作だけでなくモールド金型202からの成形品Wpの搬出動作も行うため、オフローダとしても機能する。
したがって、ユニットの構成を変えることにより、樹脂モールド装置1の構成態様を変更することができる。例えば、図1に示す構成は、プレスユニット100Bを三台設置した例であるが、プレスユニット100Bを一台のみ設置する、あるいは二台または四台以上連結して設置する樹脂モールド装置(不図示)として構成することも可能である。また、他のユニットを設置することも可能である。例えば、ディスペンスユニット100Cとは異なるモールド樹脂Rを供給するユニットや、金型内でワークWと組み立てる部材を供給するユニットを設置することも可能である(不図示)。
(ワーク処理ユニット)
続いて、樹脂モールド装置1が備えるワーク処理ユニット100Aの構成を主に、ワークWと成形品Wpの搬送動作について詳しく説明する。
ワーク処理ユニット100Aは、先ず、複数のワークWが収納される供給マガジン102を昇降させる供給マガジンエレベータ103と、複数の成形品Wpが収納される収納マガジン112を昇降させる収納マガジンエレベータ113とを備えている。この収納マガジンエレベータ113は、供給マガジンエレベータ103に対して上下方向で異なる位置に配置される。例えば、これらのエレベータ103、113は平面視において重なりを有した状態で上下方向に階層状に並設することが可能である。ここで、供給マガジン102、収納マガジン112には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、本実施形態においては、いずれも電子部品Wbの搭載面が下向きとなる状態で、ワークW及び成形品Wpがそれぞれ収納される。なお、電子部品Wb保護の観点から、マガジンフレームの内側で向かい合う凹部にワークWを差し込んで保持するスリットマガジンを用いて、ワークW同士を離して保持するのが好ましい。また、供給マガジンエレベータ103は、供給マガジン102を保持して昇降することで所定の位置からワークWを取出し可能に構成される。収納マガジンエレベータ113は、収納マガジン112を保持して昇降することで所定の位置に成形品Wpを収納可能に構成される。
次に、ワーク処理ユニット100Aは、供給マガジン102の前方に配設されて、供給マガジン102から取出されたワークWが載置される供給レール104を備えている。本実施形態においては、供給マガジン102と供給レール104との間に、ワークWを通過させる中継レール106を備えているが、これを省略する構成とすることもできる。なお、供給マガジン102から供給レール104上へのワークWの移動には、公知のプッシャ等(不図示)が用いられる。
ここで、供給レール104は、電子部品Wbの搭載位置を避けてワークWの長手の辺を下方から支持し、ワークWを側方で前後方向に案内する。また、供給レール104は、二つのワークWを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、二列(図中104A、104B)に構成されていると共に、左右方向に移動可能となる移動機構(不図示)を有している。これにより、供給マガジン102から取出されるワークWを一方の列(例えば、104A)に載置させた後、左右いずれかの所定方向(例えば、右方向)に供給レール104A、104Bを移動させ、次のワークWを他方の列(例えば、104B)に載置させることが可能となる。
次に、ワーク処理ユニット100Aは、供給レール104の下方において配設されると共に、前後及び左右方向に移動可能に構成されて、供給レール104上のワークWに対して下面側(電子部品Wbの搭載面側)からワークWの厚みを計測するワーク計測器114を備えている。このワーク計測器114は、レーザー変位計やカメラ(単眼カメラや複眼カメラ)で構成されて、これらの出力データに基づいてワークWの厚みを計測する。なお、ここで言う「厚みの計測」には、基材Waにおける電子部品Wbの搭載の有無、電子部品Wbの搭載高さの計測、搭載の位置ずれの計測、搭載数の計測等、必要な計測が含まれる。ここでの「厚みの計測」の結果に基づいて例えば電子部品Wbの搭載の有無や搭載高さなどからワークWにおいて搭載される電子部品Wbの容積を算出し、モールド樹脂Rの供給量が調整されることで、成形品の成形厚みを高精度に制御できるようになる。
ここで、ワーク計測器114は、二列の供給レール104A、104B上の二つのワークWの各厚みを計測する二つの厚みセンサ114a、114bを有している。一例として、右側の列のワークWに対応する位置に厚みセンサ114aが配設されると共に、左側の列のワークWに対応する位置に厚みセンサ114bが配設されている。これにより、同時にそれぞれのワークWの同一対応位置を走査させることが可能となり、走査距離及び走査時間が最短となる一走査で、二つのワークWを計測することが可能となる。したがって、工程時間の大幅な短縮が可能となる。一走査でのワークWの計測動作としては、ワークWを縦又は横にn分割(nは2以上の整数)する直線の近接する端部同士を繋いだ線で構成されるパターンに沿ってワークWを厚みセンサ114a、114bに対して移動させながら、所定間隔でワークWを計測すればよい。これにより、所定のパターンに沿った「一の走査動作(一走査)」でワークWにおける基材Waの厚みや電子部品Wbの高さなどを任意に計測できる。また、本実施形態の構成においては、走査動作(前後左右方向への移動)を、ワークWを載置させるための供給レール104A、104Bの左右方向の移動動作の機構と、ワーク計測器114の前後方向の移動動作の機構とによって簡易な構成で実施することができる。
なお、変形例として、一走査でのワークWの計測動作において、厚みセンサ114a、114bとしてのカメラが一回の前後方向への移動で所定の幅を一括して撮像してワークW全面の厚みの計測を行ってもよい。また、ワーク計測器114を前後左右に移動させるようにして、走査動作を実施してもよい。また、一つの厚みセンサを有して、所定の一走査で二つのワークWを順番に計測する構成としてもよい(不図示)。
また、ワーク計測器114は、後述するワークWの供給動作との関係で、供給レール104上のワークWに対して下面側からワークWの厚みを計測するのが好ましいが、ワークWに対して上面側からワークWの厚みを計測する構成としてもよい。この場合、ワーク計測器114は、ワークWを通過させる中継レール106の上下のいずれか、又は、両方に設けることもできる。なお、ワーク計測器114がワークWの厚みだけでなく、ワークWに付された識別情報(例えば二次元コード)を読み取る構成としてもよい。また、ワークWの二次元コードを読取り可能なコードリーダ115を中継レール106の上下のいずれかに設けることもできる。このようなワークWの識別情報としては、例えば連番又は重複しないコードとして付されることで、いずれのワークWであるかを識別できる。この識別情報に樹脂モールドの詳細条件などを紐付けして記録されることで、後述するようなトレーサビリティを高めるプロセスが可能となる。
次に、ワーク処理ユニット100Aは、供給レール104上に載置されたワークWを保持して、所定位置へ搬送する供給ピックアップ120を備えている。なお、ワークWを保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。なお、吸引装置には真空ポンプ等、公知の機構が用いられる(以下同様)。ここで、供給ピックアップ120は、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。これにより、供給レール104上に載置されたワークWを保持して上昇動作をすることで、最終的に、後述の第1保持部210Aへ搬送(供給)することが可能となる。
また、本実施形態に係る供給ピックアップ120は、上記の保持機構が、二列の供給レール104A、104B上の二つのワークWに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。これにより、二列の供給レール104A、104B上の二つのワークWを、左右方向に並べた状態で同時に保持して搬送することが可能となる。換言すれば、ワークWをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている。
次に、ワーク処理ユニット100Aは、ワークWを下面側から加熱するワークヒータ116を備えている。ここで、ワークWを加熱する構成として、ワークヒータ116の上面に、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が配設されている(不図示)。これにより、ワークWがモールド金型202に搬入されて加熱される前に予熱しておくことで、モールド金型202内でのワークWの伸びが抑制される。なお、変形例として、ワークヒータ116を備えない構成も考えられる。この場合、第1保持部210A(第1ローダ210)にヒータを設けることができる。
本実施形態に係るワークヒータ116は、供給レール104の上方において供給ピックアップ120に保持された状態のワークWの下面側に対して進退移動可能に配設されている(図2参照)。換言すれば、ワークヒータ116は、ワークWの外周よりも外方となる位置とワークWの下面の直下となる位置との間で移動可能に配設されるといえる。これにより、樹脂モールドが行われる前のワークWを加熱する予熱工程を行うことが可能となる。なお、ワークヒータ116をワークWの下面の直下となる位置へ移動させた際に、ワークWを保持した状態の供給ピックアップ120を下方に移動させてワークWをワークヒータ116に近接させる動作を行うことによって、より効率的な加熱が可能となる。
なお、本実施形態に係るワークヒータ116は、上記の加熱機構が、供給ピックアップ120に保持された二つのワークWに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。これにより、供給ピックアップ120によって左右方向に並べて保持された二つのワークWを、同時に均等に加熱することが可能となる。
このように、供給ピックアップにより保持された状態のワークWを、供給レール104の上方において、すなわち供給ピックアップによる上下方向の移動中において、ワークヒータ116によって加熱(予熱工程)を行う構成が実現できる。したがって、各構成が平面的に並設される従来装置と比較して、装置の設置面積を大幅に低減することが可能となる。
次に、ワーク処理ユニット100Aの各機構と協働する第1ローダ210は、その上面において、当該ワークWを上型204の所定保持位置へ搬送する第1保持部210Aを備えている。この第1保持部210Aには、供給レール104に対して側方(一例として、右方)の位置に移動した際に、供給ピックアップ120により搬送されたワークWが載置される。ワークWの受け渡しをする場合には、供給ピックアップ120が供給レール104上で予熱工程を経て更に上昇し、続いて右方に移動することで、供給レール104の右方に位置する第1保持部210Aに引き渡し可能な位置に移動する。第1保持部210Aは、載置されたワークWを保持するワーク保持部として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(図中、符号210a、210b)。
本実施形態においては、上記のワーク保持部210a、210bが、供給ピックアップ120に保持された二つのワークWに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。つまり、ワークWをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている。これにより、供給ピックアップ120によって左右方向に並べて保持された二つのワークWを、そのままの配置で並び替えることなく同時に載置して、左右方向に並べて保持し、搬送することが可能となる。
また、第1保持部210AでワークWを保持した第1ローダ210は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。左右方向の移動により、ワークWをワーク処理ユニット100Aからプレスユニット100Bへ搬送することが可能となる。一方、前後方向の移動により、ワークWをモールド金型202の外部から内部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間へ)搬送することが可能となる。さらに、上下方向の移動により、ワークWをモールド金型202の内部において上型204の所定保持位置へ搬送(受渡)することが可能となる。なお、変形例として、第1保持部210Aが左右移動する構成に代えて、供給ピックアップ120によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる。また、第1保持部210Aが上下移動する構成に代えて、モールド金型202の型開閉機構によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる(いずれも不図示)。
次に、第1ローダ210は、その上面において、樹脂モールドされた成形品Wpがモールド金型202(ここでは、上型204)から取外されて載置され、当該成形品Wpをモールド金型202外の所定位置へ搬送する第2保持部210Bを備えている。なお第2保持部210Bは、載置された成形品Wpを保持する成形品保持部として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(図中、符号210c、210d)。
また、本実施形態に係る第2保持部210Bは、上記の成形品保持部210c、210dが、樹脂モールド後にモールド金型202(上型204)に保持された二つの成形品Wpに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。つまり、成形品Wpをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている。これにより、モールド金型202(上型204)によって左右方向に並べて保持された二つの成形品Wpを、そのままの配置で並び替えることなく同時に載置して、左右方向に並べて保持し、搬送することが可能となる。
ここで、本実施形態においては、第2保持部210Bと、上記の第1保持部210Aとが、第1ローダ210として一体に構成されている。一例として、第1ローダ210は、前方側に左右二列のワーク保持部210a、210bを有する第1保持部210Aが配設され、後方側に左右二列の成形品保持部210c、210dを有する第2保持部210Bが配設されている。したがって、第1保持部210A及び第2保持部210Bは、第1ローダ210として一体で前後、左右及び上下方向に移動可能な構成となっている。これにより、装置構成の簡素化及び小型化が可能となるばかりでなく、ワークW、成形品Wp共に、二つずつ同時に搬送する構成が実現できるため、工程時間の短縮も可能となる。
なお、変形例として、第2保持部210Bを備えたローダを、上記の第1保持部210A備えたローダとは別体に構成することも考えられる(不図示)。その場合には、上記の第1保持部210Aと同様に移動可能な構成とすればよい。
次に、ワーク処理ユニット100Aは、第2保持部210B上に載置された成形品Wpを保持して、所定位置へ搬送する第1収納ピックアップ122を備えている。さらに、ワーク処理ユニット100Aは、第1収納ピックアップ122に保持された成形品Wpが載置されて、ユニット内の所定位置へ搬送する第2収納ピックアップ124を備えている。いずれも、成形品Wpを保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、単に載置する機構等)を有している(不図示)。
ここで、本実施形態に係る第1収納ピックアップ122は、左右方向に移動可能に構成されている。これにより、第2保持部210B上に載置された成形品Wpを保持して、第2収納ピックアップ124上へ搬送することが可能となる。ここで、第1収納ピックアップ122と第2収納ピックアップ124との受け渡しにおいて成形品Wpを挟み込んで待機することで平坦化させながら冷却させて、成形品Wpの反りや歪みを防止するようにしてもよい。なお、第1収納ピックアップ122の変形例として、左右方向のみならず上下方向にも移動可能な構成としてもよい。これにより、第2保持部210Bの上下方向の移動機構を省略する構成を実現し得る。
また、本実施形態に係る第1収納ピックアップ122は、上記の保持機構が、第2保持部210B(二列の成形品保持部210c、210d)上に載置された二つの成形品Wpに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。これにより、第2保持部210B上の二つの成形品Wpを、左右方向に並べた状態で同時に保持して搬送することが可能となる。
また、本実施形態において、供給ピックアップ120が第1保持部210AへワークWを搬送する左右方向の搬入路と、収納ピックアップ(第1収納ピックアップ122)が第2保持部210Bから成形品Wpを搬送する左右方向の搬出路とが、前後方向に並設されて設定されている。これにより、供給ピックアップ120によるワークWの搬入動作と、収納ピックアップ(第1収納ピックアップ122)による成形品Wpの搬出動作とが交差したり、重なったりすることがないため待ち時間の発生を抑制できる。したがって、複数の動作を同時並行で行って効率的に各動作を行うことができるため、処理の円滑化が図られ、工程時間の短縮が可能となる。
一方、本実施形態に係る第2収納ピックアップ124は、上下方向に移動可能に構成されている。これにより、第2収納ピックアップ124上に載置された成形品Wpを保持して、後述の収納レール108上へ搬送することが可能となる。
また、本実施形態に係る第2収納ピックアップ124は、上記の保持機構が、第1収納ピックアップ122に保持された二つの成形品Wpに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。これにより、第1収納ピックアップ122に保持された二つの成形品Wpを、左右方向に並べた状態で同時に保持して搬送することが可能となる。
なお、本実施形態においては、上記のように二つの収納ピックアップ(第1収納ピックアップ122、及び第2収納ピックアップ124)を備える構成としているが、変形例として、左右及び上下方向に移動可能な一つの収納ピックアップを備える構成としてもよい(不図示)。これにより、第2保持部210B上に載置された成形品Wpを保持して、直接、収納レール108上へ搬送することが可能となる。
次に、ワーク処理ユニット100Aは、ワーク計測器114の下方に配設されて、収納ピックアップ(ここでは、第2収納ピックアップ124)により搬送された成形品Wpが載置される収納レール108を備えている。なお、収納レール108上に載置された成形品Wpは、当該収納レール108上を通過(スライド移動)して、収納マガジン112へ収納される。
本実施形態においては、収納レール108と収納マガジン112との間に、成形品Wpを通過させる中継レール110を備えているが、これを省略する構成とすることもできる。なお、収納レール108上から収納マガジン112への成形品Wpの移動には、公知のプッシャ等(不図示)が用いられる。
ここで、収納レール108は、電子部品Wbの搭載位置を避けて成形品Wpの長手の辺を下方から支持し、ワークWを側方で案内する。また、収納レール108は、二つの成形品Wpを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、二列(図中108A、108B)に構成されていると共に、左右方向に移動可能となる移動機構(不図示)を有している。これにより、収納ピックアップ(ここでは、第2収納ピックアップ124)に保持された二つの成形品Wpを、左右方向に並べた状態で同時に載置させた後、成形品Wpを順次収納マガジン112へ向けて移動させることができる。例えば、一方の列(例えば、108B)上の成形品Wpを収納マガジン112へ向けて移動させ、次いで、左右いずれかの所定方向(例えば、左方向)に収納レール108A、108Bを移動させ、他方の列(例えば、108A)上の成形品Wpを収納マガジン112へ向けて移動させることが可能となる。
次に、ワーク処理ユニット100Aは、収納レール108の下方において配設されて、収納レール108上の成形品Wpに対して下面側(電子部品Wbの搭載面側)から成形品Wpを検査する成形品計測器118を備えている。一例として、この成形品計測器118は、成形品Wpを収納マガジン112へ向けて移動させる際に収納レール108A、108Bが所定位置となるときの下方位置に配置することができる。この成形品計測器118は、レーザー変位計やカメラ(単眼カメラや複眼カメラ)で構成されて、これらの出力データに基づく基準値との比較や、パターンマッチング等の手法を用いて成形品Wpの厚みを計測したり、成形品Wpの成形箇所の外観上の不具合を検出したりするのに用いられる。なお、「収納レールの下方」には、中継レール110を設ける場合における中継レールの下方も含まれる。また、ここで言う「検査」には、基材Wa上において樹脂モールドされた部分(樹脂成形部分)の厚み、樹脂モールドの外観(ワイヤの露出)、樹脂モールドの不具合(充填不良等)の計測、等、必要な計測が含まれる。ここでの「検査」の結果に基づいて、例えば樹脂成形部分の実際の厚みと目標とする厚みの値との差に基づいてモールド樹脂Rの供給量を調整して、成形品Wpの成形厚みを高精度に制御できるようにしてもよい。
本実施形態に係る成形品計測器118には、一つの厚みセンサ118aが固定されて配設されている。これにより、収納レール108上を通過する成形品Wpの所定の位置(例えば、樹脂成形部分の中央位置や外周位置)の厚みを計測することが可能となる。
以上、説明した通り、本実施形態においては、供給レール104、ワーク計測器114、収納レール108、及び成形品計測器118が、上下方向において重複させて並設され、上からその順に階層状に並設されている構成(前後左右方向のオフセットを含む)となっている。併せて、供給マガジンエレベータ103及び、収納マガジンエレベータ113も、上下方向で異なる位置に配置されて、上からその順に階層状に並設されている構成を備えている。これらによれば、各構成が平面的に並設される従来装置と比較して、装置の設置面積を大幅に低減することが可能となる。
また、第2収納ピックアップ124による上下方向の移動中において、例えば第1収納ピックアップ122と第2収納ピックアップ124との受け渡しにおいて挟み込んで平坦化させながら成形品Wpの放熱工程を行う構成が実現できるため、別途の放熱ユニットを設ける必要がなくなり、装置の設置面積の低減も図ることができる。
また、上記の構成によれば、供給レール104上に例えば短冊状のワークWを二つ載置した状態から、収納レール108上に加工後の成形品Wpを二つ載置した状態に至るまでの工程を、全て左右方向にワークWもしくは成形品Wpを二つ並べた状態で行うことができる。このため、途中に一つずつの処理を順次行う工程が含まれることで部分的に時間がかかる工程が含まれてしまう従来装置と比較して、工程時間の大幅な短縮が可能となる。
さらに、上記の構成によれば、供給マガジン102からワークWが取出されてから、成形品Wpに加工されて収納マガジン112へ収納されるまでの全工程において、ワークW及び成形品Wpの移動の際に、ワークW及び成形品Wpの向き(保持、載置の向き)を一切、転換せずに前後、左右、上下方向に移動させる構成が実現できる。したがって、工程中においてワークW及び成形品Wpの向きの転換が行われる従来装置と比較して、工程時間の短縮が可能となり、装置構成の簡素化も可能となる。
なお、上記の樹脂モールド装置1の変形例として、一つの下型に一つのキャビティを設けると共に一つのワークW(例えば、基材Waとして円形のウェハや、正方形、長方形の基板等が用いられる場合が想定される)を配置して樹脂モールドを行い、一つの成形品を得る圧縮成形方式の樹脂モールド装置2(図28参照)のように構成してもよい。この場合、ワークWとしては、上述した短冊ワークとしてのワークWよりも幅の広い幅広ワーク(大判ワーク)を加工する構成とすることができる。この幅広ワークとしては、短冊ワークよりも幅の広い正方形や長方形や多角形のワークWや、短冊ワークよりも相対的に直径(幅)が広い円形のウェハやキャリアプレートとしてのワークWを用いてもよい。その場合、ワーク処理ユニット100Aに代えて、以下のワーク処理ユニット500Aのような構成が考えられる。
一例として、ワーク処理ユニット500Aは、上述した供給レール104や収納レール108に替えてワークWの供給マガジンからの取出し、あるいは、成形品Wpの収納マガジンへの収納、等を行うロボットハンド504を備えた搬送ロボットを設けてもよい。ここで、当該ロボットハンド504には、公知の多間接ロボットなどの先端にワークWの形状に応じたフォーク状の部材に吸着機構を備えた機構を用いることができる。なお、複数のロボットハンドを備える構成としてもよい(不図示)。
また、第1保持部210Aにおいては、前述の二列のワーク保持部210a、210bと、一つのワークW(幅広ワーク)を保持する幅広ワーク保持部506とを置き換えて設置可能な構成とすることができる。さらに、第2保持部210Bにおいては、前述の二列の成形品保持部210c、210dと、一つの成形品Wp(幅広ワークWに対応する成形品Wp)を保持する幅広成形品保持部508とを置き換えて設置可能な構成とすることができる。
このように、短冊ワークと幅広ワークとを切替えて可能な構成については、例えば、第1保持部210Aを、二つの短冊ワークであるワークWをその長手方向を平行させて並べて保持可能なように、二列のワーク保持部210a、210bを有する構成と、一つの幅広ワークであるワークWを保持する一つのワーク保持部506を有する構成と、を置き換え可能に構成することが考えられる。また、第2保持部210Bを、短冊ワークであるワークWを加工した二つの成形品Wpをその長手方向を平行させて並べて保持可能なように、二列の成形品保持部210c、210dを有する構成と、一つのこのワークWを加工した一つの成形品Wpを保持する一つのワーク保持部508を有する構成と、を置き換え可能に構成することが考えられる。このような構成とすることで、短冊ワークと幅広ワークとのいずれのワークWであっても第1保持部210Aと第2保持部210Bの簡易な構成の置き換えでワークWと成形品Wpの搬送可能な構成とすることができる。
(プレスユニット)
続いて、樹脂モールド装置1が備えるプレスユニット100Bの構成について詳しく説明する。
プレスユニット100Bは、先ず、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有するモールド金型202を備えている。本実施形態においては、一対の金型のうち、鉛直方向において上方側の一方の金型を上型204とし、下方側の他方の金型を下型206としている。このモールド金型202は、上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる。すなわち、鉛直方向が型開閉方向となる。
なお、モールド金型202は、公知の型開閉機構(不図示)によって型開閉が行われる。例えば、型開閉機構は、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、トグルリンク)等を備えて構成されている(駆動用機構についてはいずれも不図示)。
ここで、モールド金型202は、当該型開閉機構の一対のプラテンの間に配設されている。本実施形態においては、固定型となる上型204が固定プラテン(連結機構に固定されるプラテン)に組み付けられ、可動型となる下型206が可動プラテン(連結機構に沿って昇降するプラテン)に組み付けられている。ただし、この構成に限定されるものではなく、上型204を可動型、下型206を固定型としてもよく、あるいは、上型204、下型206共に可動型としてもよい。
次に、モールド金型202の下型206について具体的に説明する。下型206は、下プレート224、キャビティ駒226、クランパ228等を備え、これらが組み付けられて構成されている(図10参照)。
ここで、キャビティ駒226は、下プレート224の上面(上型204側の表面)に対して固定して組み付けられる。クランパ228は、キャビティ駒226を囲うように環状に構成され、キャビティ駒226と隣接して下プレート224の上面に対して離間(フローティング)して組み付けられる。
本実施形態においては、下型206が金型面(パーティング面)206aから凹むキャビティ208を有するが、キャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。換言すれば、このキャビティ駒226の上面とクランパ228の内周壁面とによって所定形状に凹んだキャビティ凹部209が形成される。
なお、本実施形態においては、図21等に示すように、キャビティ208が左右方向に二つ並設される構成を備えており(図中、符号208A、208B)、また、それぞれに対応するキャビティ駒226A、226Bを備えている。これにより、二つのフィルムF(モールド樹脂Rが搭載された部分)を同時に、それぞれキャビティ208A、208B内に収容することが可能となる。したがって、ワークWを二つずつ同時に樹脂モールドする構成が実現できるため、工程時間の短縮が可能となる。なお、下型206においてクランパ228をキャビティ208A、208B毎に切り分けた構成として別個に昇降できるようにし、上型204において二つのワークWの板厚差を弾性体で吸収する板厚調整機構を備えた構成としてもよい。これによれば、同時に圧縮成形する二つのワークWの厚みの差があっても傾きを生じさせずに、樹脂量の供給ばらつき等の影響を低減させながら成形できる。なお、本実施形態においては、キャビティ208A、208Bが左右方向に横並びになるように金型の部材を配置している。このため、キャビティ208A、208Bを構成するキャビティ駒226A、226Bとクランパ228とを左右で別個のチェイス構造として、これらを収容するベースに対して装置の前後方向に個々に抜き差ししてメンテナンスを行なうことができる。
ここで、クランパ228に対向する上型204の金型面には吸引溝(不図示)が設けられ、これが吸引装置(不図示)に連通している。また、これらを囲うシール構造が設けられることで、吸引装置を駆動させて減圧することにより、型閉じされた状態でキャビティ208内の脱気を行うことが可能となる。
また、モールド金型202は、フィルムFを下型206の金型面206a側から吸引するフィルム吸引機構を備える。このフィルム吸引機構は、一例として、クランパ228を貫通して配設された吸引路230a、230bを介して吸引装置(不図示)に連通している。具体的には、吸引路230a、230bの一端が下型206の金型面206aに通じ、他端が下型206外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路230a、230bからフィルムFを吸引し、キャビティ208の内面を含む金型面206aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となる。より具体的には、吸引路230bからフィルムFを吸引し、キャビティ208の外側の金型面206aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となり、吸引路230aからフィルムFを吸引することで、キャビティ208の内面(キャビティ凹部209の金型面)に金型面206aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となる。
このように、キャビティ208の内面、及び下型206の金型面206a(一部)を覆うフィルムFを設けることにより、成形品Wpの下面におけるモールド樹脂Rの部分を容易に剥離させることができるため、成形品Wpをモールド金型202から容易に取出すことが可能となる。
また、モールド金型202は、下プレート224とクランパ228との間に付勢部材(例えば、コイルスプリング等のバネ)232を備えている。この付勢部材232を介して下プレート224にクランパ228が可動に組み付けられている。これにより、キャビティ駒226がクランパ228によって囲まれ、キャビティ駒226とクランパ228とが型開閉方向に相対的に往復動可能となっている。このように、下型206においては、下プレート224に対して、キャビティ駒226が固定して保持される一方、クランパ228が可動するよう付勢部材232を介して離間(フローティング)して保持される。このとき、クランパ228の内周面とキャビティ駒226の外周面との隙間が所定の寸法で確保される構成となっている。したがって、クランパ228を円滑に可動させることができる。
ところで、上記の隙間は、前述のフィルム吸引機構の吸引路230aに含まれ、キャビティ駒226とクランパ228との境界(キャビティ208のコーナー部)でフィルムFを吸引する。このため、フィルム吸引機構は、シール部材234(例えば、Oリング)を備えている。シール部材234は、上記の隙間が吸引路230aとして空気漏れがないようキャビティ駒226とクランパ228(の下部)との間に設けられてシールを行う。
また、下型206は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、補助ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、制御部、電源等(いずれも不図示)を備えており、加熱及びその制御が行われる。一例として、下型206のヒータは、下プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体とワークWに熱を加える。これら下型206のヒータにより、下型206は所定温度(例えば、120℃〜180℃)に調整されて加熱される。
次に、モールド金型202の上型204について具体的に説明する。上型204は、上プレート222、キャビティプレート236等を備え、これらが組み付けられて構成されている。ここで、キャビティプレート236は、上プレート222の下面(下型206側の表面)に対して固定して組み付けられている。
また、上型204は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、制御部、電源等(いずれも不図示)を備えており、加熱及びその制御が行われる。一例として、上型204のヒータは、上プレート222に内蔵され、主に上型204全体とモールド樹脂Rに熱を加える。この上型204のヒータにより、上型204は所定温度(例えば、120℃〜180℃)に調整されて加熱される。
さらに、上型204は、ワークWをキャビティプレート236の下面における所定位置に保持するワーク保持機構240を備えている。このワーク保持機構240は、一例として、キャビティプレート236に配設された吸引路240aを介して吸引装置(不図示)に連通している。具体的には、吸引路240aの一端が上型204の金型面204aに通じ、他端が上型204外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路240aからワークWを吸引し、金型面204a(ここでは、キャビティプレート236の下面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。また、吸引路240aを備える構成と並設して、ワークWの外周を挟持する保持爪を有した構成としてもよい。
なお、本実施形態においては、図21等に示すように、ワーク保持機構240が左右方向に二つ並設される構成を備えている(図中、符号240A、240B)。これにより、二つのワークWを同時に、それぞれワーク保持機構240A、240Bで保持することが可能となる。したがって、ワークWを二つずつ同時に樹脂モールドする構成が実現できるため、工程時間の短縮が可能となる。なお、前述の板圧調整機構として、ワークWを保持するキャビティプレート236をキャビティ208A、208B毎に分けて別個に昇降できるようにすることで、同時に圧縮成形する二つのワークWの厚みの差があっても傾きを生じさせずに成形できるようにしてもよい。
前述の通り、上記の樹脂モールド装置1の変形例として、一つの下型に一つのキャビティを設けると共に一つのワークWを配置して樹脂モールドを行い、一つの成形品を得る圧縮成形方式の樹脂モールド装置2(図28参照)のように構成してもよい。その場合、プレスユニット100Bに代えて、以下のプレスユニット500Bのような構成が考えられる。
一例として、プレスユニット500Bは、下型206において、前述の二つのフィルム及びモールド樹脂を収容する二列のキャビティ208A、208Bに代えて、一つのフィルムを介してモールド樹脂を収容するキャビティ208を備える構成とすればよい。さらに、上型204において、前述の二つのワークを保持するワーク保持機構240A、240Bは、併せて一つのワークWを保持するワーク保持機構240として用いる構成とすればよい。
(ディスペンスユニット)
続いて、樹脂モールド装置1が備えるディスペンスユニット100Cの構成を主に、フィルムF及びモールド樹脂Rの供給動作について詳しく説明する。
前述の通り、ディスペンスユニット100Cは、フィルムF及びモールド樹脂Rの供給等を行うユニットである。本実施形態においては、フィルムF及びモールド樹脂Rをモールド金型202へ搬送する際に、これらを保持して搬送するための治具として搬送具400が用いられる。すなわち、この搬送具400を冶具として用いることで、モールド樹脂Rを保持してフィルムFと共に搬送することが行われることになる。また、搬送具400は、フィルムFをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている(詳細は後述)。
ディスペンスユニット100Cは、先ず、フィルムF及びモールド樹脂Rを保持していない状態の搬送具400が載置され適宜のクリーニングが行われる準備テーブル302を備えている。例えば、モールド金型202から搬出された搬送具400は、モールド樹脂Rが付着し動作不良の原因となり得る。そこで、後述する貫通孔を含めて表面をブラシや吸引機構(いずれも不図示)でクリーニングすることで動作不良を防止できる。
次に、搬送具400を保持して、これを複数の所定位置(テーブル)間で搬送する搬送具ピックアップ304を備えている。なお、搬送具400を保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。例えば、搬送具400の外周部分に凹凸部を設け、搬送具ピックアップ304の下面から下に向けて立設させた保持爪に凹凸部を引っ掛けて保持し搬送する構成を採用することができる。
ここで、搬送具ピックアップ304は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。これにより、準備テーブル302上に載置された搬送具400を保持して、後述のフィルムテーブル308及び樹脂投下テーブル310へ搬送することが可能となる。
次に、ディスペンスユニット100Cは、準備テーブル302の後方となる位置において、長尺状のフィルムFがロール状に巻かれたフィルムロール306と、フィルムロール306の上方(本実施形態においては斜め上方)に配設されて、フィルムロール306から繰出されたフィルムFが所定長さの短冊状に切断されて保持されるフィルムテーブル(第1テーブル)308とを備えている。
一例として、フィルムテーブル308、及びフィルムロール306は、上下方向において、上からその順に階層状に並設されている構成(前後左右方向のオフセットを含む)を備えている。これにより、各構成が平面的に並設される従来装置と比較して、装置の設置面積を低減することが可能となる。
本実施形態においては、フィルムロール306として、二つのフィルムロール306A、306Bが左右方向に並べて配設されている。これにより、フィルムテーブル308上に、同時に、二つの同形のフィルムFを供給することが可能となる。ここで、フィルムロール306A、306Bは、その中心軸307aで支持して設置してもよく、フィルムロール306A、306Bの外形よりも小さい間隔で複数設けたローラー307bで下方から支持して設置してもよい。この場合、フィルムロール306A、306Bをローラー307bで下方から支持する構成とすることで、2つ並べられたフィルムロール306A、306Bを中心軸307aの抜き差しを不要として簡易に取替えをすることができる。また、フィルムロール306のフィルムテーブル308への送り出しには、端部を挟み込んで引き出す構成やフィルムテーブル308の手前に設けた駆動式のローラーで送り出す構成としてもよい。
一方、フィルムテーブル308は、長尺状のフィルムFを切断する機構として、公知の切断機構(例えば、固定刃カッター、熱溶融カッター、等)を有している(不図示)。また、二つのフィルムFを保持する機構として、公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。このフィルムテーブル308では、ここで切断されたフィルムFと搬送具400とが組み合わされる。
ここで、本実施形態に係る搬送具400は、図9に示すように、上面と下面とが平行となる平面に形成された概略平板状の形状を有すると共に、中央部分にフィルムFを保持する搬入フィルム保持部を二列有している(図中、400A、400B)。また、各搬入フィルム保持部400A、400Bには、各フィルムFに対応する位置(各フィルムFを保持する位置)において、各フィルムFが上面から見て露出するように貫通孔に形成された樹脂投入孔400a、400bが配設されている。この樹脂投入孔400a、400bは、前述したキャビティ凹部209の形状に対応して形成されることで、樹脂投入孔400a、400b内にモールド樹脂Rが投下され保持したときに、適宜な状態でモールド樹脂Rを準備することができることになる。
さらに、樹脂投入孔400a、400bの周囲には、吸引力を発生させてフィルムを保持する複数の第1吸引孔400cが配設されている。なお、第1吸引孔400cは、後述の第3保持部212Aに設けられる第2吸引孔212bや、後述の搬送具ピックアップ304に設けられる第3吸引孔(不図示)を介して(連通して)、吸引装置(不図示)にて発生する吸引力が伝達される構成となっている。上記の構成によれば、搬送具ピックアップ304によりフィルムテーブル308上に搬送された搬送具400の下面に二つのフィルムFを左右方向に並べて吸引させた状態で保持させることが可能となる。なお、フィルムFの外周を保持爪で挟み込んで保持する構成としてもよい。
次に、フィルムテーブル308に対して側方(一例として、右方)に配設されると共に前後左右方向に移動可能に構成されて、搬送具ピックアップ304により搬送された搬送具400(下面に二つのフィルムFが保持された状態)が載置される樹脂投下テーブル(第2テーブル)310を備えている。なお樹脂投下テーブル310は、載置された搬送具400を保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。
さらに、フィルムテーブル308に対して上記の樹脂投下テーブル310を間に挟む配置で側方(一例として、右方)で、樹脂投下テーブル310よりも高い位置にディスペンサ312を備えている。このディスペンサ312は、樹脂投下テーブル310に載置された搬送具400における樹脂投入孔400a、400bにモールド樹脂Rを投入して、露出するフィルムF上(樹脂投入孔400a、400bの内側)に当該モールド樹脂Rを搭載(投下)する。このディスペンサ312は、例えば、モールド樹脂Rを貯留するホッパ312aと、投下される樹脂の重量を計量する重量計312bと、計量されたモールド樹脂Rが振動フィーダ(不図示)で送り出されるトラフ312cと、トラフ312cから送り出され投下されるモールド樹脂Rの投下位置を規制するノズル312dとを備えて構成される。
ここで、本実施形態に係る樹脂投下テーブル310は、前後及び左右方向に移動可能に構成されている(図1中、三箇所の位置で図示している)。左右方向の移動により、フィルムFが保持された状態で樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400をディスペンサ312の下方へ進退移動することが可能となる。これにより、ディスペンサ312とフィルムテーブル308との中間の位置とディスペンサ312のノズル312dの直下となる位置との間で搬送具400を移動することが可能となる。また、前後方向の移動により、モールド樹脂Rを搭載したフィルムFが保持された状態の搬送具400を所定位置(後述の第3保持部212Aによって搬送具400の保持が行われる位置)へ搬送することが可能となる。なお、変形例として、樹脂投下テーブル310が左右移動する構成に代えて、ディスペンサ312によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる。また、樹脂投下テーブル310が前後移動する構成に代えて、第3保持部212A(後述)によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる(いずれも不図示)。
また、樹脂投下テーブル310を前後及び左右方向の所定経路で移動させながら、二つのノズル312dからモールド樹脂Rを樹脂投入孔400a、400bに送出することによって、樹脂投入孔400a、400b内に露出するフィルムF上にモールド樹脂Rを所定厚さで偏りなく敷き詰めることが可能となる。これにより、フィルムF上のモールド樹脂Rの偏りに起因する不良品発生の防止が可能となる。
ここで、本実施形態に係るディスペンサ312は、搬送具400における二列の樹脂投入孔400a、400bにそれぞれモールド樹脂を投入する二つのノズル312dを有している。一例として、右側の樹脂投入孔400aに対応する位置に一方のノズル312dが配設されると共に、左側の樹脂投入孔400bに対応する位置に他方のノズル312dが配設されている。換言すれば、二つのノズル312dのそれぞれの中心間距離と、樹脂投入孔400a、400bのそれぞれの中心間距離とが同一になるように構成される。これにより、同時にそれぞれの樹脂投入孔400a、400bの同一対応位置を通過させながらモールド樹脂Rを投入することが可能となり、移動距離及び移動時間が最短となる一経路で、二つのフィルムF上にモールド樹脂Rを敷き詰めることが可能となる。したがって、工程時間の大幅な短縮が可能となる。なお、変形例として、一つのノズルを有して、所定の一経路で二つのフィルムF上に順番にモールド樹脂Rを敷き詰める構成としてもよい(不図示)。
次に、モールド樹脂Rが搭載されたフィルムFが保持された状態の搬送具400の上面側から加熱することによって、当該モールド樹脂Rを加熱する樹脂ヒータ314を備えている。なお、搬送具400(モールド樹脂R)を加熱する構成として、樹脂ヒータ314の下面に、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が配設されている(不図示)。これにより、搬送具400によって二つのフィルムF上に搭載された状態で保持されたモールド樹脂Rを、同時に加熱することが可能となる。
ここで、本実施形態に係る樹脂ヒータ314は、樹脂投下テーブル310の移動経路上、より具体的には、ディスペンサ312のノズル312dの直下となる位置から、後述の第3保持部212Aによって搬送具400の保持が行われる位置まで移動する間の経路途中に配設されている。これにより、ディスペンサ312のノズル312dによって搬送具400に保持されたフィルムF上にモールド樹脂Rが投入された直後に、当該モールド樹脂Rを加熱する工程を行うことが可能となる。したがって、特に、モールド樹脂Rとして、顆粒状、粉末状等の樹脂を用いた場合に、フィルムF上への搭載直後に加熱して表面に位置する粉末状等の樹脂を加熱溶融し一体化させることができる。これにより、塵埃(樹脂の微細粉末等)の発生を防止して、塵埃が装置内で拡散することによる動作不良や製品不良の発生を防止することが可能となる。
なお、樹脂ヒータ314の前後の位置において、樹脂投入孔400a、400b内においてフィルムF上に投下し供給したモールド樹脂Rの外観を計測する供給樹脂計測器315を備えてもよい。この供給樹脂検査器315は、カメラ(単眼カメラや複眼カメラ)を樹脂投下テーブル310の移動経路の上方に備えることで、これらの出力値や撮像画像を用いて、投下されたモールド樹脂Rの厚みや形状を記録するのに利用することができる。これにより、例えば、成形品Wpの成形厚みとの実際の情報とを紐付けてデータを保存することで、これらを作業者が比較し、モールド樹脂Rの投下条件を選定できるようにすることもできる。これにより、モールド樹脂Rの供給に関するトレーサビリティを確保して、成形品質を維持することができる。
次に、ディスペンスユニット100Cの各機構と協働する第2ローダ212は第3保持部212Aを備えている。この第3保持部212Aは、その下面において、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400を受け取り、下型206の所定保持位置へ搬送すると共に、フィルムF及びモールド樹脂Rの保持が解放された搬送具400を前述の準備テーブル302上へ搬送する。なお、第3保持部212Aは、当該搬送具400を保持する搬送具保持部212aとして、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している。さらに、所定位置で保持する搬送具400の第1吸引孔400cに連通する位置に配設されて、吸引装置(不図示)による吸引力を発生(伝達)させる第2吸引孔212bを有している。これにより、搬送具400の下面に二つのフィルムF(それぞれモールド樹脂Rが搭載された状態)を左右方向に並べて吸着させた状態を維持しながら、下型206の所定保持位置(キャビティ208が配設された位置)へ搬送することが可能となる。なお、搬送具400の下面で二つのフィルムFの外周を挟持して保持する保持爪を有する第3保持部212Aとしてもよい。
ここで、本実施形態に係る第3保持部212Aを備えた第2ローダ212は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。左右方向の移動により、搬送具400(モールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)をディスペンスユニット100Cからプレスユニット100Bへ搬送する動作が可能となる。また、前後方向の移動により、搬送具400(モールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)をモールド金型202の外部から内部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間へ)搬送する動作が可能となる。
さらに、上下方向の移動(前後、もしくは左右方向の移動を組合わせる場合もある)により、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400(モールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)を保持する動作が可能となる。この場合、下型206の所定保持位置(キャビティ208が配設された位置)で搬送具400を保持しながらモールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFの保持を解放して、二つのキャビティ208A、208B(金型面206aを一部含む)にそれぞれ(一対一で)載置する動作も可能となる。さらに、フィルムF及びモールド樹脂Rの保持が解放された状態の搬送具400を前述の準備テーブル302上へ載置する動作も可能となる。なお、変形例として、第3保持部212Aの移動範囲の一部を、他の機構(樹脂投下テーブル310、下型206、等)の移動によって置き換える構成とすることも考えられる(不図示)。
次に、第2ローダ212は、その樹脂モールドされた成形品Wpがモールド金型202(ここでは、上型204)から取出された後に下型206に残留するフィルム(使用済みフィルム)Fdを保持して、所定位置(後述のフィルムディスポーザ316)へ搬送する第4保持部212Bを備えている。なお第4保持部212Bは、使用済みフィルムFdを保持する搬出フィルム保持部として、公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(図中、符号212c、212d)。
また、本実施形態に係る第4保持部212Bは、上記の搬出フィルム保持部212c、212dが、モールド金型202(下型206)の二つのキャビティ208A、208Bに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。つまり、フィルムFをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている。これにより、樹脂モールド後にモールド金型202(下型206)によって左右方向に並べて保持された二つの使用済みフィルムFdを、同時に、左右方向に並べて保持し、搬送することが可能となる。
ここで、本実施形態においては、第4保持部212Bと、上記の第3保持部212Aとが、第2ローダ212として一体に構成されている。一例として、第2ローダ212は、前方側に搬送具保持部212aを有する第3保持部212Aが配設され、後方側に左右二列の搬出フィルム保持部212c、212dを有する第4保持部212Bが配設されている。したがって、第3保持部212A及び第4保持部212Bは、第2ローダ212として一体で前後、左右及び上下方向に移動可能な構成となっている。これにより、装置構成の簡素化及び小型化が可能となるばかりでなく、モールド樹脂Rが搭載されたフィルムF、使用済みフィルムFd共に、二つずつ同時に搬送する構成が実現できるため、工程時間の短縮も可能となる。
なお、変形例として、第4保持部212Bを備えたローダを、上記の第3保持部212Aを備えたローダとは別体に構成することも考えられる(不図示)。その場合には、上記の第3保持部212Aと同様に移動可能な構成とすればよい。
次に、ディスペンスユニット100Cは、第4保持部212Bにより搬送された使用済みフィルムFdが収納されるフィルムディスポーザ316を備えている。一例として、フィルムディスポーザ316は、上部(上面部分)が開口する箱状に形成されている。これにより、使用済みフィルムFdを搬送する第4保持部212Bがフィルムディスポーザ316の直上位置に到達したときに、第4保持部212Bの搬送動作を停止すると共に、使用済みフィルムFdの保持を解放することによって、当該使用済みフィルムFdを落下させてフィルムディスポーザ316内へ収納することが可能となる。
以上、説明した通り、本実施形態に係る構成によれば、短冊状のワークWが二つ供給され、加工(樹脂モールド)後に成形品Wpが二つ取出される動作を効率的に行うことができる装置の実現を図ることができる。特に、一つの下型に二つのキャビティ208A、208Bを設けると共に二つのワークWを配置して一括して樹脂モールドする際に、二つのフィルムFにそれぞれモールド樹脂Rが搭載された状態を維持しながら、下型206のキャビティ208A、208Bへ搬送することが可能となる。したがって、従来装置と比較して、工程や装置構造の複雑化を抑制しつつ、生産性を大幅に向上させることが可能となる。さらに、一つの下型206に二つのキャビティ208A、208Bを設けると共に二つのワークWを配置して一つ(一枚)のフィルムFで全てを覆う構成と比較して、フィルム使用量の低減を図ることも可能となる。
また、フィルムFの供給に用いられるフィルムテーブル308と、モールド樹脂Rの供給に用いられる樹脂投下テーブル310とを、別々の構成として設けて、並行的に処理を行うことが可能となるため、従来装置よりも工程時間を短縮することが可能となる。
前述の通り、上記の樹脂モールド装置1の変形例として、一つの下型に一つのキャビティを設けると共に一つのワークWを配置して樹脂モールドを行い、一つの成形品を得る圧縮成形方式の樹脂モールド装置2(図28参照)のように構成してもよい。この場合、フィルムFとしては、上述した短冊フィルムとしてのフィルムFよりも幅の広い幅広フィルムを用いる構成とすることができる。この幅広フィルムとしては、短冊フィルムよりも幅の広い正方形や長方形の枚葉形式のフィルムFを用いるのが簡易である。ただし、幅広フィルムとしては、短冊フィルムよりも幅が広ければ丸形に切り抜いた枚葉形式のフィルムFを用いてもよい。その場合、ディスペンスユニット100Cに代えて、以下のディスペンスユニット500Cのような構成が考えられる。
一例として、ディスペンスユニット500Cは、前述の搬送具400の二列の搬入フィルム保持部400A、400Bと、一つのフィルムF(幅広フィルム)を保持する大型搬入フィルム保持部516とを置き換えて設置可能な構成とすればよい。さらに、前述の二列の搬出フィルム保持部212c、212dは、二つの短冊フィルムである使用済みフィルムFdでも、一つの幅広フィルムである使用済みフィルムFdでも吸着して保持できるような構成とすればよい。
このように、短冊フィルムと幅広フィルムとを切り替えて使用可能な構成については、例えば、第3保持部212Aが、短冊用と幅広用の2種類の搬送具400を共通して保持する搬送具保持部212aを有する構成とすることが考えられる。搬送具保持部212aで保持される第一の搬送具400としては、短冊フィルムである二つのフィルムFをその長手方向を平行にさせて並べて保持可能なように、二列の搬入フィルム保持部400A、400Bを有する一つの短冊フィルム搬送具400である。搬送具保持部212aで保持される第二の搬送具400としては、一つの幅広フィルムであるフィルムFを保持する一つの搬入フィルム保持部516を有する搬送具400を共通して保持する搬送具保持部212aを有する構成とすることが考えられる。
このような構成とすることで、成形品Wpに加工するワークWが短冊ワーク、又は、幅広ワークのいずれのワークWであるかに応じて、異なる搬送具400を共通の搬送具保持部212aにより保持してモールド樹脂Rと共にフィルムFを搬入することができるため、簡易な切り替えでフィルムFの供給ができる構成とすることができる。
また、短冊フィルムと幅広フィルムとを切り替えて使用可能な構成について、第4保持部212Bは、二つの短冊フィルムである使用済みフィルムFdをその長手方向を平行にさせて左右方向に並べて保持する二つの短冊領域と、一つの幅広フィルムである使用済みフィルムFdを保持する幅広領域とで重複する領域に、使用済みフィルムFdを吸着して保持する複数の吸着部が配置された搬出フィルム保持部212c、212dを有する構成とすることができる。この場合、例えば吸着すべき位置が重なっているため、同じ吸着部を用いて、短冊ワーク用の短冊フィルムである使用済みフィルムFdであっても、一つの幅広フィルムである使用済みフィルムFdであっても吸着して保持することができる。
これによれば、短冊フィルムである使用済みフィルムFdを保持する場合であっても、幅広フィルムである使用済みフィルムFdを吸着保持する場合であっても、使用済みフィルムFdを保持できる位置に吸着部が配置されていることで、短冊フィルムと幅広フィルムとのいずれの使用済みフィルムFdに対しても、構成の置き換え等を行うことなく搬出可能となる。
(樹脂モールド動作)
続いて、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置1を用いて樹脂モールドを行う動作について、プレスユニット100B及びディスペンスユニット100Cの動作を中心に、図5〜図27を参照しながら説明する。
先ず、搬送具ピックアップ304によって、準備テーブル302上でクリーニングされた搬送具400(フィルムF及びモールド樹脂Rを保持していない状態)が保持されて、図11に示すように、フィルムテーブル308上へ搬送される。この場合、搬送具400は搬送具ピックアップ304の保持爪で保持した状態で搬送できる。一方、二つのフィルムロール306A、306Bから繰出された二つのフィルムFがそれぞれ所定長さの短冊状に切断されてフィルムテーブル308上に保持される。
次に、図12に示すように、搬送具ピックアップ304を下方に移動(下降)させることにより、搬送具400の下面がフィルムテーブル308上の二つのフィルムFに当接される。
次に、図13に示すように、搬送具ピックアップ304を介して搬送具400の第1吸引孔400cに吸引力を発生させて、搬送具400の下面に二つのフィルムFを吸着して保持させた状態で、搬送具ピックアップ304を上方に移動(上昇)させる。
次に、図14に示すように、搬送具ピックアップ304を側方(右方)に移動させることにより、搬送具ピックアップ304によって保持された搬送具400(二つのフィルムFを保持している状態)が、樹脂投下テーブル310上へ搬送される。
次に、図15に示すように、搬送具ピックアップ304を下方に移動(下降)させることにより、搬送具400の下面の二つのフィルムFが樹脂投下テーブル310上に当接される。その状態で、搬送具ピックアップ304の保持機構による搬送具400の保持を解放(停止)させて、搬送具400(二つのフィルムFを保持している状態)を樹脂投下テーブル310上に載置させる。これにより、搬送具ピックアップ304が、下面側にフィルムFが保持された状態の搬送具400を保持し、フィルムテーブル308から樹脂投下テーブル310に搬送する一連の動作が完了する。
次に、樹脂投下テーブル310を側方(右方)に移動させることにより、図16に示すように、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400(二つのフィルムFを保持している状態)が、ディスペンサ312のノズル312dの直下となる位置へ搬送される。
次に、図17に示すように、二つのノズル312dを用いて、搬送具400における二列の樹脂投入孔400a、400bの内側にモールド樹脂Rが同時に投入される。この際に、ワークWの厚みを計測しておくことで、各樹脂投入孔400a、400b内に投下し供給するモールド樹脂Rの量を調整することができるため、キャビティ208に供給されるモールド樹脂Rの量を適正化することができる。例えば、二つのノズル312dから投下されるモールド樹脂Rをディスペンサ312側で別個に測定しておき、ノズル312dの一方に対応する規定量のモールド樹脂Rが投下されたところでそのモールド樹脂Rの投下を停止し、他方では規定量のモールド樹脂を投下するまで投下動作を続行する。
また、二つのノズル312dからモールド樹脂Rを投下する際に、搬送具400を搭載した樹脂投下テーブル310を任意のパターンに沿って移動させる。これにより、各樹脂投入孔400a、400b内において対応するパターン(前述の任意のパターンを180度回転させたパターン)にモールド樹脂Rが供給されることになる。ここで、樹脂投下テーブル310を隙間のないパターンに沿って移動させることで、二つのフィルムF上にそれぞれモールド樹脂Rが所定厚さで偏りなく敷き詰められる。例えば、樹脂投入孔400a、400bを縦又は横にn分割(nは2以上の整数)する直線の近接する端部同士を繋いだ直線で構成されるパターンに沿って樹脂投下テーブル310を移動させることで、樹脂投入孔400a、400b内全体で均等にモールド樹脂Rを供給することができる。なお、ここでいう「直線」は、これらの間隔が必ずしも均等にする必要はなく、途中で折れ曲がったりしてもよい。
次に、樹脂投下テーブル310を前方に移動させることにより、図18に示すように、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400が、樹脂ヒータ314の直下となる位置を通過しながら搬送される。これにより搬送具400に保持された状態のフィルムF上のモールド樹脂Rの加熱が行われる。次に、樹脂投下テーブル310をさらに前方に移動させることにより、図19に示すように、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400が、所定位置(第3保持部212Aによって搬送具400の保持が行われる位置)へ搬送される。
次に、図19に示す状態から、第3保持部212Aを下方に移動(下降)させることにより、第3保持部212Aの下面が樹脂投下テーブル310上の搬送具400に当接される。次いで、第3保持部は、搬送具400を保持爪で保持する。また、第3保持部212Aを介して搬送具400の第1吸引孔400cに吸引力を発生させて、搬送具400の下面に二つのフィルムFを吸着させる。この状態を維持させつつ、第3保持部212Aにより搬送具400を保持し、図20に示すように、第3保持部212A及び搬送具400を上方に移動(上昇)させる。
次に、第2ローダ212を移動させることにより、図21に示すように、第3保持部212Aに保持された搬送具400が、モールド金型202の外部から内部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間へ)搬送される。一方、搬送具400がモールド金型202に搬送されるのに先行して、第1ローダ210の第1保持部210Aに保持された二つのワークWが上型204に搬入される。この際には、まず、第1ローダ210がモールド金型の内側に向けて後進(進入)し、第2保持部210Bで先に樹脂モールドが行われ成形された成形品Wpを上型204から受け取る(図5参照)。次いで、第1ローダ210がモールド金型の内側で前進し、保持部210Aに保持された二つのワークWが上型204に受け渡される。これにより、図21に示すように、第1保持部210Aによって搬入された二つのワークWが上型204に保持された状態となっており、搬送具400の搬送前にワークWが十分に加熱されることになる。
また、搬送具400がモールド金型202に搬送されるのに先行して、第2ローダ212の第4保持部212Bで使用済みフィルムFdを保持して下型206から搬出される。この際には、まず、第2ローダ212がモールド金型の内側に向けて後進(進入)し、先に樹脂モールドする際に使用され下型206に保持された使用済みフィルムFdを第4保持部212Bで吸着し受け取る(図6参照)。これにより、モールド金型202に対して搬送具400が搬入可能となる。
次に、図22に示すように、第3保持部212Aを下方に移動(下降)させることにより、搬送具400の下面の二つのフィルムF(モールド樹脂Rが搭載された状態)が下型206上に当接される。このとき、各フィルムF(モールド樹脂Rが搭載された部分)がキャビティ208A、208B内に収まるように載置される。
次に、第3保持部212Aを介して発生させていた搬送具400の第1吸引孔400cからの吸引力を停止させて、搬送具400から二つのフィルムF(モールド樹脂Rが搭載された状態)の保持が解放される。このとき、各フィルムFの外縁部分は、それぞれキャビティ208A、208B外の金型面206aにおいて、吸引路230bの一端の部分に掛かるように載置される。ここで、吸引路230bからフィルムFを吸引し、キャビティ208の外側の金型面206aにフィルムFを吸着させて保持する。次に、吸引路230aからフィルムFを吸引することで、図23に示すように、キャビティ208の内面(キャビティ凹部209の金型面)に金型面206aにフィルムFを吸着させて保持する。これにより、モールド樹脂RがフィルムFを介してキャビティ208内(キャビティ凹部209上)に供給される。
次に、第3保持部212Aを移動させることにより、図24に示すように、搬送具400が取出される。この際に、第3保持部212Aに保持された搬送具400(フィルムF及びモールド樹脂Rを保持していない状態)が、モールド金型202の内部から外部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間から外部へ)取出され、準備テーブル302上へ搬送される。ここで、搬送具400はクリーニングされ再使用が可能となる。
次に、図25に示すように、モールド金型202の型閉じが行われ、上型204と下型206とで二つのワークWがクランプされる。
次に、図26に示すように、各キャビティ208A、208Bのキャビティ駒226A、226Bを相対的に上昇させることにより、二つのワークWに対してモールド樹脂Rが加熱加圧されることで熱硬化されて同時に樹脂モールド(圧縮成形)が行われる。これにより、二つの成形品Wpが形成される。
次に、図27に示すように、モールド金型202の型開きが行われる。このとき、成形品Wpと使用済みフィルムFdとが分離されて、上型204に二つの成形品Wpが保持され、且つ、下型206に二つの使用済みフィルムFdが保持された状態となる。この状態で、上述したように成形品Wp及び使用済みフィルムFdのそれぞれが取出されて、搬送されることで、一組のモールド動作が完了する。
なお、上述したようなモールド動作について、動作の効率化のために複数の搬送具400を用いて、各工程を並行して行うことが好ましい。この場合、樹脂モールド装置1の内部では、複数の搬送具400を備え、上述した各工程内で搬送具400を循環させる構成とすることが好ましい。すなわち、準備テーブル302で搬送具400をクリーニングするクリーニング工程と、搬送具400にフィルムFを組み合わせるフィルムセット工程と、フィルムFと組み合わせた搬送具400にモールド樹脂Rを投下する樹脂投下工程と、モールド金型202にフィルムFとモールド樹脂Rを供給する樹脂供給工程と、の間で、複数の搬送具400を異なる工程での処理を行わせるように、樹脂モールド装置1で各部の動作を制御する制御部(不図示)を制御すればよい。
これにより、各工程における搬送具400の待ち時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。例えば、通常の場合で時間がかかりやすいフィルムFに対するモールド樹脂Rの供給工程と、他の工程とが並行して行われることで、効率的に装置内における工程を行うことができ、生産性を高めることができる。
なお、変形例である樹脂モールド装置2を用いて樹脂モールドを行う場合の動作は、上記の樹脂モールド装置1を用いて樹脂モールドを行う場合の動作と基本的に同様となる。その場合、装置構成等を、二つのワークW、二つのフィルムF(及び搭載されたモールド樹脂R)、二つの成形品Wpに対して、それぞれ、一つのワークW、一つのフィルムF(及び搭載されたモールド樹脂R)、一つの成形品Wpに対応させればよい。
以上、説明した通り、本発明に係る樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法によれば、ワーク、成形品に対して供給、収納、厚みの測定、及び搬送等を行う機構が上下方向に階層的に配置される構成の実現を図ることができる。したがって、従来装置よりも設置面積を低減することが可能となる。
また、ワーク、成形品を二つ並べた状態で処理、搬送がなされる構成、及び、一つの下型に二つのキャビティを設けると共に各キャビティにそれぞれワークを配置して同時に樹脂モールドする構成の実現を図ることができる。このように、ワーク及び成形品、並びにフィルム及びモールド樹脂を二つずつ同時に搬送することが可能となると共に、二つのワークを同時に樹脂モールドすることが可能となるため、従来装置よりも工程時間を大幅に短縮することが可能となる。加えて、装置構成や工程の簡素化も可能となる。
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、下型にキャビティを備える圧縮成形方式の樹脂モールド装置を例に挙げて説明したが、上型にキャビティを備える構成等への応用も可能である。
また、以上説明した樹脂モールド装置の全体動作において、以下に説明するような樹脂供給制御を行いながら樹脂モールドを順次行っていくことで、圧縮成形における成形品質(成形厚みの均一化)の維持に重要となる樹脂の供給の均一化を図ってもよい。
(樹脂供給制御)
以下、図面を参照して、本実施形態における樹脂供給制御のための構成や動作について詳しく説明する。図29は、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置の制御構成の例を示すブロックチャートである。制御部CTRは、CPU等で構成されて、上述したワーク処理ユニット100Aやディスペンスユニット100C内の各部と協働し、モールド樹脂Rの供給制御を行う。また、制御部CTRは、作業者の操作に用いられる表示部DISの表示制御を行い、入力部INPから入力を受け付け、必要な情報を記憶部MEMから読み出したり記憶したりする。
図30は、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置の樹脂供給動作の例を示すフローチャートである。ここで説明する動作は、一つのワークWに対して樹脂モールドするために必要となる一組の動作(一連の動作)に相当する。また、実際の樹脂モールド装置1内においては、複数のワークWに各々の動作が並行して行われることになるため、これらの一連の動作のうち必要な部分については部分的に重複した時間軸上で進行していくことになる。
同図に示す樹脂供給動作において、まず、制御部CTRは、記憶部MEMから成形条件情報Dcを取得する(ステップS1)。ここでは、制御部CTRが、成形条件情報Dcとして、例えば、成形品Wpにおける樹脂部分の成形厚み(目標値)や、搬送具400内においてモールド樹脂Rを投下するパターンを、記憶部MEMから読み出す。このモールド樹脂Rの投下パターンは、樹脂投下テーブル310の動作制御パターンとして記憶しておくことになるが、移動先の点で構成される樹脂投下テーブル310の移動位置だけでなく、各点間における樹脂投下テーブル310の移動速度も含まれる。また、モールド樹脂Rの投下パターンには、ノズル312dからモールド樹脂Rを投下する速度(時間あたりの投下量)も含まれる。
一方、制御部CTRは、これから樹脂モールドするワークWのワーク情報Dwを取得する(ステップS2)。ここでは、ワーク処理ユニット100Aにおいて、供給マガジン102から取出されたワークWに付された二次元コードをコードリーダ115が読み取り、制御部CTRに出力することで、制御部CTRが個々のワークWについてワーク情報Dw(例えば連番など)を取得する。次いで、制御部CTRは、厚み情報Dtを取得する(ステップS3)。ここでは、ワーク計測器114がワークWの厚みの計測(詳細は上述)を行い、制御部CTRに出力することで、制御部CTRが個々のワークWにおける基材Waや電子部品Wbの厚み等としての厚み情報Dtを取得する。
続いて、制御部CTRは、樹脂供給設定情報Dd1を出力する(ステップS4)。ここでは、制御部CTRは、ディスペンサ312から投下し供給するモールド樹脂Rの量(重量)を算出する。これは、目標値としての樹脂部分の成形厚みとキャビティ208の外形(平面視の形状)とから求められる成形時におけるキャビティ208の容積から、ワークWの厚みの計測によって取得された電子部品Wbの体積を差し引いた容積と、成形後(硬化状態)のモールド樹脂Rの比重と、によって算出できる。次いで、制御部CTRは、この算出値と共に、先に読み出したモールド樹脂Rの投下パターンを樹脂供給設定情報Dd1としてディスペンサ312に出力する。
続いて、ディスペンサ312は、樹脂供給設定情報Dd1に基づいて、フィルムF上の樹脂投入孔400a、400bの内側にモールド樹脂Rを投下する。ここでディスペンサ312では、所定量のモールド樹脂Rを重量計312bで計量してトラフ312cを介して振動で送り出し、ノズル312dから投下する。このようなモールド樹脂Rの投下動作において、ディスペンサ312からモールド樹脂Rを常に均一に投下するのは困難となる場合がある。
例えば、ディスペンサ312でモールド樹脂Rを貯留するホッパ312aにおいては、その内部では上側と下側とで含まれる粒の大きさが異なり易く、投下されるタイミングによってモールド樹脂Rの粒度が変わってしまうことが起こり得る。また、振動フィーダによってトラフ312c上で送り出される際にモールド樹脂Rの粒度によって送り出し速度も異なるため、同一の投下パターンで投下しようと動作させても、実際に投下されるモールド樹脂Rを均一化するのは難しくなる場合がある。このため、ディスペンサ312では、制御部CTRから出力された樹脂供給設定情報Dd1(供給するモールド樹脂Rの重量)の通りにモールド樹脂Rを投下されない場合が生じ得る。これに対し、実際に供給したモールド樹脂Rの量(重量)としての実供給量情報Dd2をディスペンサ312が制御部CTRに出力することで、制御部CTRは、実供給量情報Dd2を取得する(ステップS5)。
続いて、制御部CTRは、供給樹脂形状情報Drを取得する(ステップS6)。ここでは、供給樹脂検査器315がフィルムF上に投下されたモールド樹脂Rの外観を計測する。例えば、供給樹脂検査器315としてのカメラが、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400においてフィルムF上に搭載されたモールド樹脂Rを撮像し、撮像画像を供給樹脂形状情報Drとして制御部CTRに出力する。
次いで、制御部CTRは、成形品情報Dpを取得する(ステップS7)。ここでは、以上の通り準備したモールド樹脂Rを用いて樹脂モールドした成形品Wpについて成形品計測器118が成形品Wpの厚みを計測する。続いて、この計測値を制御部CTRに出力することで、制御部CTRが個々の成形品Wpにおける(樹脂成形部分)の厚みとしての成形品情報Dpを取得する。
続いて、制御部CTRは、以上の通り取得した複数の情報について、一つのワークWの樹脂モールドに関する取得情報としてワーク情報Dwに紐付けして記憶部MEMに保存する(ステップS8)。このように取得した情報を記憶部MEMに保存することで、作業者が表示部DISを用いて装置内で実際に行われている樹脂モールドの状態を確認し、入力部INPから必要な変更を行ったり、製造工場の上位システムに送信し、品質管理等に利用したりすることもできる。なお、樹脂供給制御として、以上のステップのみを行ってトレーサビリティを確保するようにしてもよい。
装置内での更なる制御を実施する場合には、制御部CTRは、以上の通り取得した情報を用いて、樹脂供給が適正か否かを判断する(ステップS9)。ここでは、制御部CTRは、例えば、樹脂部分の成形厚みの目標値としての成形条件情報Dcと、成形品Wpにおける(樹脂成形部分)の厚みとしての成形品情報Dpとを比較する。これによれば、目標値と成形品Wpにおける実際の厚みとの差が所定値(許容値)を超えるときは、樹脂供給が適正でないと判断できる。
続いて、制御部CTRは、次のワークWの樹脂供給設定情報Dd1を調整する(ステップS10)。ここでは、例えばディスペンサ312から投下し供給するモールド樹脂Rの重量を算出する際に、上述の目標値と成形品Wpにおける厚みとの差が正の値か負の値かによって、供給するモールド樹脂Rの重量を補正する補正値を正負逆に設定することで、以降のワークWの成形厚みを目標値に近づけることができる。
ステップ9の動作の他例として、制御部CTRは、例えば、供給するモールド樹脂Rの重量としての樹脂供給設定情報Dd1と、実際に供給したモールド樹脂の量(重量)としての実供給量情報Dd2とを比較する。これによれば、設定値と実際の値との差が所定値(許容値)を超えるときは、樹脂供給が適正でないと判断する。この場合には、ステップ10において、制御部CTRは、以降のワークW用に供給するために重量計312bで計量し投下するモールド樹脂Rの量を増減させることが可能である。
ステップ9の動作の別の他例として、制御部CTRは、例えば、フィルムF上に搭載されたモールド樹脂Rの撮像画像である供給樹脂形状情報Drに基づいて、樹脂供給が適正か否かを判断する。ここでは、モールド樹脂Rの撮像画像を所定の区画(n行m列)に分割し、この撮像画像における区画間を比較してばらつきを算出し、このばらつきに基づいて樹脂供給が適正か否かを判断する。例えば、各区画を構成する画像の色や輝度の分布(色の濃さと画素数の積)を取得し、区画毎の色の濃さとして表される樹脂の投下量のばらつきの大きさに基づいて、樹脂供給が適正か否かを判断する。
例えば、一般的に樹脂モールドに用いられる黒色のエポキシ樹脂であれば、所定の区画内に供給されたモールド樹脂Rの量が多くなれば、モールド樹脂Rは密になりモールド樹脂Rの隙間は少なくなる。この場合、モールド樹脂Rの下に位置するフィルムF(例えば乳白色)が写り難くなるため、画像がモールド樹脂Rの色(黒色)に近づいていく。このため、例えば、モールド樹脂Rが偏って投下された場合には、フィルムFが多く写って画像の色が薄くなった区間と、フィルムFが写らず画像の色が濃くなった区間とが混在することになる。このように、画像の濃さが各区間で大きく異なったとき(ばらつきが大きいとき)には、樹脂供給が不適と判断する。この場合には、ステップ10において、以降のワークWにおける樹脂供給に係る指示を調整する。例えば、制御部CTRは、画像が薄くなった区画においてより多くのモールド樹脂Rを投下するように、樹脂投下テーブル310の移動速度を低下させたり、ノズル312dからのモールド樹脂Rの投下速度を増加させたりすることができる。他方、制御部CTRは、画像が濃くなった区画において投下するモールド樹脂Rを減少させるように、樹脂投下テーブル310の移動速度を速めたり、ノズル312dからのモールド樹脂Rの投下速度を低下させたりすることができる。
以上のように、制御部CTRが取得情報に基づいて次のワークWの樹脂供給設定情報Dd1を調整する動作を行うことで、圧縮成形における品質の維持に重要となるモールド樹脂Rの供給を均一化させることができる。
また、以上では、モールド装置における各ユニットについて特徴を説明したが、共通するワークに対して加工や処理を行うユニットであり、いずれかのユニットで行っている構成や動作について他のユニットで同様にしても差し支えない。また、本願では、これらのユニットの機能はユニット単位でも個別の効果を有するものであり、単体のユニットとしての発明を包含しているものである。例えば、ディスペンスユニットでは、フィルムと搬送具とを組み合わせてモールド樹脂を供給したものを準備することができる。このため、ディスペンスユニットとプレスユニットとを別に用意し利用しても同様の効果が得られる場合もある。
また、以上では、短冊ワークである二つのワークWをその長手方向を平行させて並べた状態でモールド装置1内において搬送し成形を行う例について主に説明した。しかしながら、短冊ワークである三つのワークWをその長手方向を平行させて並べた状態でモールド装置1内において搬送し成形を行う構成としてもよい。また、金型の交換の利便性を考慮し、短冊ワークであるワークWを装置の前後方向に平行になるように並べた状態でモールド装置1内において搬送し成形を行う例について主に説明したが、このワークWを装置の左右方向に平行になるように並べた状態でモールド装置1内において搬送し成形を行う構成としてもよい。この場合、供給マガジンエレベータ103や収納マガジンエレベータ113をワーク処理ユニット100Aの左側に配置すれば、ワークWの向きを回転させることなく効率的に搬送できる。
また、以上では、ロールフィルムから短冊又は幅広のフィルムFを切断して準備し搬送する例について説明したが、前述した実施形態の発明でフィルムFに係わらないものについてはフィルムFを用いないモールド金型202を用いた圧縮成形をする際に実施することもできる。この場合、モールド樹脂Rのみを搬送する専用の搬送具を用いる。また、短冊又は幅広のフィルムFを用いずに、ロールフィルムをプレスユニット100B、500Bに設置してフィルムFを供給し、モールド樹脂Rのみを搬送する専用の搬送具を用いる構成としてもよい。この搬送具では、モールド樹脂Rを収容する位置の下方を開閉可能にすることで、閉状態でモールド樹脂Rを搬送し、開状態でキャビティ208に供給する構成とすることができる。