以下、実施形態の電子部品の実装装置および表示用部材の製造方法について、図面を参照して説明する。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中における上下の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には後述する表示用パネル(有機ELパネル)の電子部品の実装面を上とした場合の相対的な方向を示す。
[実装装置の構成]
図1は、実施形態の電子部品の実装装置の構成を示す平面図、図2は図1の電子部品の実装装置の側面図である。図1および図2に示す電子部品の実装装置1は、有機ELディスプレイのような表示装置の構成部材(表示用部材)の製造に用いられるものである。すなわち、実装装置1は、キャリアテープTから打ち抜かれたCOF等の可撓性を有する電子部品Wを、可撓性を有する表示用パネルとしての有機ELパネルPに、接続部材としての異方性導電テープFを介して実装し、有機ELパネルPに電子部品Wが実装された表示用部材を製造するために用いられる装置である。
ここで、有機ELパネルPは、可撓性を有する部材を主として形成される。可撓性を有する部材としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等が用いられる。これらの部材を接着剤によって貼り合せて用いることも可能である。有機ELパネルPは、厚みが50μm以上500μm以下で、曲げ弾性率が2.6GPa以上4.0GPa以下となるように構成される。以下、この厚みと曲げ弾性率を、有機ELパネルPの物理特性と称する。本実施形態における有機ELパネルPは、有機EL素子が形成されたPIフィルムを支持材であるPETフィルムに接着剤を介して貼り合せた構成を有する。PIフィルムの厚み(約10μm)に対してPETフィルムの厚み(約200μm)が10倍以上であるため、有機ELパネルPの曲げ弾性率はPETフィルムの曲げ弾性率とほぼ等しいと考えられる。
なお、上述した物理特性は、有機ELパネルPの全体において備えている必要は無く、少なくとも後述するステージ42の載置部42a(図4参照)からはみ出す部分が備えていれば良い。例えば、ステージ42の載置部42aから有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される縁部を15mmはみ出させるとすれば、この縁部から15mmの範囲が上述の物理特性を備えていれば良い。
より詳細には、図3に示すように、電子部品Wが実装される有機ELパネルPは、表示部Paと縁部Pbとを有している。表示部Paは、表示素子としての有機EL素子Pa1が形成された部分であり、画像を表示させる部分である。縁部Pbは、表示部Paよりも外周側に位置する部分であり、電子部品Wの電極と接続される電極等が形成された接続部分Pb1が形成された部分である。このような有機ELパネルPは、上述したように表示部Paと縁部Pbとを含む全体が基材としてのPIフィルムKaで構成され、このPIフィルムKa上に表示部Paとなる有機EL素子Pa1が形成される。このPIフィルムKaは、厚みが50μm未満、具体的には10〜30μm程度の非常に薄い部材である。
そこで、本実施形態においては、PIフィルムKaと同じ大きさで厚みが200μmの支持材としてのPETフィルムKbを、PIフィルムKaの裏面(有機EL素子Pa1が形成された面とは反対側の面)に接着剤Kcによって貼り合わせている。また、表示部Paには、有機EL素子Pa1を保護するためのカバーフィルム(バリアフィルムとも言う。)等の光学フィルムKdが貼り合わされることがある。光学フィルムKdは、表示部Paと略同じ大きさを有する。例えば、カバーフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)等のプラスチックフィルムにガスバリア層をコーティングしたものを用いることができる。カバーフィルムの厚みは、数10μmから200μm程度である。
このような構成を有する有機ELパネルPにおいて、縁部Pbのみがステージ42の載置部42aからはみ出す場合には、縁部Pbが上述の物理特性を有していれば良い。つまり、PIフィルムKaとPETフィルムKbとが貼り合わされた部分が上述の物理特性であれば良い。また、縁部Pbおよび表示部Paの一部が載置部42aからはみ出す場合には、縁部Pbおよび表示部Paの部分が上述の物理特性を有していれば良い。つまり、表示部Paにカバーフィルムが無い場合は、PIフィルムKaとPETフィルムKbとが貼り合わされた部分が上述の物理特性であれば良い。一方、表示部Paに光学フィルムKdがある場合、縁部であるPIフィルムKaとPETフィルムKbとが貼り合わされた部分の物理特性と、表示部PaであるPIフィルムKa、PETフィルムKs、および光学フィルムKdが貼り合わされた部分の物理特性とが共に上述の物理特性であれば良い。
ここで、曲げ弾性率は、JIS K7171:プラスチック−曲げ特性の求め方(2016年3月22日改訂版)で規定された試験方法にしたがって測定した値とする。具体的には、曲げ弾性率試験は、長さ80±2mm、幅10.0±0.2mm、厚さ4.0±0.2mmの寸法を有する試験片を、支点間距離を64mmに調整した撓み測定装置の支持台に支持させ、この支点間の中央に圧子を2mm/minの試験速度で下降させることで、試験片の中央を撓ませることにより行う。試験雰囲気は、JIS K7100で規定する標準雰囲気(温度23℃/湿度50%)とする。
電子部品Wとしては、可撓性を有するCOF等の電子部品が用いられる。COFは、PI(ポリイミド)等によって形成された可撓性を有するフィルム状の回路基板上に半導体素子が実装されて構成されたものである。後述するように、COFはテープ状のフィルム部材から打ち抜かれることにより個片化されて形成される。
表示用部材は、有機ELパネルPのような表示用パネルに異方性導電テープFのような接合部材を介してCOFのような電子部品Wを実装して得られるものであり、有機ELディスプレイ等の表示装置の構成部品として用いられる部材である。
実施形態の実装装置1は、キャリアテープTから電子部品Wを打ち抜く打ち抜き装置10(10A、10B)、打ち抜かれた電子部品Wを吸着保持し、間欠回転しながら搬送する間欠回転搬送装置20、間欠回転搬送装置20による搬送経路途中の間欠停止位置に配置され、間欠回転搬送装置20によって搬送される電子部品Wに接合部材としての異方性導電テープFを貼着する異方性導電テープ貼着装置(接合部材貼着装置)30、異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを有機ELパネルPに異方性導電テープFを介して仮圧着する仮圧着装置40、仮圧着装置40によって有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wを本圧着する本圧着装置50、打ち抜き装置10と間欠回転搬送装置20との間で電子部品Wの受渡しを行う第1の受渡し装置60、間欠回転搬送装置20と仮圧着装置40との間で電子部品Wの受渡しを行う第2の受渡し装置70、仮圧着装置40に対して有機ELパネルPの搬入を行う第1の搬送部80、仮圧着装置40から本圧着装置50に有機ELパネルPを搬送する第2の搬送部90、本圧着装置50から有機ELパネルPを搬出する第3の搬送部100を備え、さらに打ち抜き装置10、間欠回転搬送装置20、異方性導電テープ貼着装置30、仮圧着装置40、本圧着装置50、第1の受渡し装置60、第2の受渡し装置70、第1の搬送部80、第2の搬送部90、第3の搬送部100等の各部の動作を制御する制御装置110を備えて構成される。
(打ち抜き装置10)
打ち抜き装置10は、キャリアテープTから電子部品WとしてのCOFを打ち抜くためのもので、第1の打ち抜き装置10Aと第2の打ち抜き装置10Bとを備える。第1の打ち抜き装置10Aと第2の打ち抜き装置10Bは、同一の構成を備え、装置正面から見て左右反転した状態で配置される。第1および第2の打ち抜き装置10A、10Bは、片方ずつ使用され、一方の打ち抜き装置10A、10Bで打ち抜きを行っている間に他方の打ち抜き装置10A、10BのキャリアテープTの交換作業が行えるようになっている。
第1および第2の打ち抜き装置10A、10Bは、それぞれ、打ち抜き前のキャリアテープTが巻かれた供給リール11と、供給リール11から供給されたキャリアテープTから電子部品Wを打ち抜く金型装置12と、金型装置12で電子部品Wが打ち抜かれたキャリアテープTを巻き取る巻取りリール13とを備える。供給リール11から繰り出されたキャリアテープTは、複数のガイドローラ14およびスプロケット15によって方向を変換され、金型装置12を経由して巻取りリール13へと送られる。なお、スプロケット15は、キャリアテープTの搬送方向において金型装置12の手前に配置され、図示しない駆動モータによる回転駆動によりキャリアテープTを搬送しつつ、キャリアテープTを金型装置12に対して位置決めすることが可能とされている。
金型装置12は、上金型12aと、上金型12aに対向配置された下金型12bとを備える。上金型12aは、その下面にパンチ12cを備える。一方、下金型12bには、パンチ12cが入り込む、上下に貫通するダイ孔12dが形成されている。このような金型装置12に対してキャリアテープTを供給および位置決めした状態で、上金型12aを上下方向に移動させることによって、キャリアテープTから電子部品Wが打ち抜かれる。なお、パンチ12cの先端面には吸着孔(不図示)が設けられており、打ち抜いた電子部品Wを吸着保持できるように構成されている。
(間欠回転搬送装置20)
間欠回転搬送装置20は、同一形状の4つのアーム部21が互いに直交する関係で配置され、平面視で十字形状を有するインデックステーブル22と、インデックステーブル22を90°間隔で間欠的に回転駆動させる回転駆動部23とを備える。インデックステーブル22の各アーム部21の先端には、それぞれ電子部品Wを吸着保持する保持ヘッド24が設けられている。インデックステーブル22の90°毎の4つの停止位置A〜Dには、打ち抜き装置10で打ち抜かれた電子部品Wを受け取るための受け取り位置A、保持ヘッド24に保持された電子部品Wに対して位置決め(ゲージング)と清掃を行うためのゲージング/清掃位置B、保持ヘッド24に保持された電子部品Wに対して異方性導電テープFを貼着するための貼着位置C、異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを仮圧着装置40に受け渡すための受渡し位置Dが設定されている。
(異方性導電テープ貼着装置30)
異方性導電テープ貼着装置30は、間欠回転搬送装置20の貼着位置Cに対応して設けられ、異方性導電テープFを離型テープRに貼着支持させたテープ状部材Sが巻かれた供給リール31と、貼着位置Cに位置付けられた保持ヘッド24と対向する位置に配置された貼着ヘッド32と、異方性導電テープFが剥離された後の離型テープRを収容する回収部33と、供給リール31から供給されたテープ状部材Sを、貼着位置Cを通過する搬送経路を辿って回収部33へと案内する複数のガイド部34と、複数のガイド部34によるテープ状部材Sの搬送経路の貼着位置Cよりも下流側に配置され、テープ状部材Sの搬送方向に沿って往復移動することで、テープ状部材Sを所定長さずつ間欠搬送するチャック送り部35と、テープ状部材Sの搬送経路の貼着位置Cよりも上流側に配置され、テープ状部材Sのうち異方性導電テープFのみを切断する切断部36とを備えている。
貼着ヘッド32は、貼着位置Cに位置決めされた保持ヘッド24に保持された電子部品Wの端子部に、所定長さに切断されて貼着位置Cに搬送および位置決めされた異方性導電テープFを押圧するための貼着ツール32aと、この貼着ツール32aを昇降動させる昇降駆動部32bと、貼着ツール32aに内蔵され、貼着ツール32aを加熱して異方性導電テープFを電子部品Wの端子部に貼着するヒータ32cとを有する。
(仮圧着装置40)
仮圧着装置40は、図4に示すように、異方性導電テープ貼着装置30によって異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを吸着保持し、有機ELパネルPに仮圧着するための熱圧着ヘッドとしての仮圧着ヘッド41と、有機ELパネルPを保持および位置決めするためのステージ42と、ステージ42に保持された有機ELパネルPの電子部品Wが実装される縁部を含み、ステージからはみ出した部分を、下側から支持するバックアップユニット43と、ステージ42に保持された有機ELパネルPと仮圧着ヘッド41に保持された電子部品Wとの相対位置を認識するための位置認識装置44とを備える。
仮圧着ヘッド41は、電子部品Wをその上面側から吸着保持する加圧ツール41aと、加圧ツール41aをY、Z、θ方向に移動させるツール駆動部41bと、加圧ツール41aに内蔵されて加圧ツール41aを加熱するヒータ41cとを有する。ステージ42は、図4に示すように、有機ELパネルPを載置する載置部42aと、載置部42aをX、Y、Z、θ方向に移動させるステージ駆動部42bとを有する。
載置部42aにおける有機ELパネルPを載置する載置面42cには、有機ELパネルPを吸着保持するための吸着孔42dが複数形成されている。この吸着孔42dは、載置面42cに有機ELパネルPが載置されたとき、有機ELパネルPにおける画像の表示エリアに対向する位置に主に配置されている。この例においては、載置面42cの有機ELパネルPが載置される領域(図4において二点鎖線で囲まれた領域)内に吸着孔42dを均等の間隔で行列状に配置した例で説明するが、必ずしも載置面42cに載置されている有機ELパネルPをその全域で吸着保持しなければならないものではない。
例えば、図4において、載置面42cにおける仮圧着ヘッド41の位置する側から有機ELパネルPの長さの半分、あるいは1/3程度の領域を吸着保持するようにしても良い。吸着孔42dは、有機ELパネルPの表示エリアを吸着することになるので、吸着によって表示エリアに吸着痕が残らないように、孔径を小さく設定することが好ましい。孔径は、有機ELパネルPの固定に必要な吸引力とこの吸引による有機ELパネルPの変形量の関係を実験等によって求め、吸着痕が残らないようにその大きさを設定するようにすれば良い。なお、載置面42cを多孔質部材、例えば多孔質セラミックスを使用した真空チャックにより構成しても良い。
また、載置部42aについては、仮圧着ヘッド41の位置する側の側辺部に、有機ELパネルPを吸着する吸引孔から側辺近傍にかけて延びる吸着溝を設けても良い。具体的には、図5に示すように、載置部42aの側辺部を、載置部42aとは別部材の吸着ブロック42fで構成する。この吸着ブロック42fは、X方向に長尺な部材であり、上面が載置部42aの載置面42cと同一高さとなるように、載置部42aに固定される。吸着ブロック42fの上面には、有機ELパネルPを吸着する複数の吸引孔42gがX方向に沿って配列されている。また、吸着ブロック42fの上面には、各吸着孔42gから吸着ブロック42fの端部(仮圧着ヘッド41の位置する側の端部)に向かって延びる吸着溝42hが設けられている。吸着溝42hの先端は、吸着ブロック42fの端部に近接する位置まで延びている。吸着溝42hの先端と吸着ブロック42fの端部との距離は、好ましくは1〜3mmである。吸着ブロック42fの端部下側は、端部側から載置部42a側に向かって傾斜下降した傾斜部42iとなっている。端部下側を傾斜部42iとすることによって、バックアップユニット43との干渉を生じ難くすることができる。
ステージ駆動部42bは、載置部42aを水平方向の一方向であるX軸方向に移動させるX軸方向駆動部、X軸方向に直交する水平方向であるY軸方向に移動させるY軸方向駆動部、水平方向に直交するZ軸方向に移動させるZ軸方向駆動部、および水平面内で回転移動させるθ駆動部を、下側からこの順で積層して構成された駆動部である。なお、ステージ駆動部42bは、X軸方向およびY軸方向の位置決め精度の向上を図るため、X軸方向駆動部およびY軸方向駆動部にリニアエンコーダを付随して設けている。
バックアップユニット43は、有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着する仮圧着位置に設けられる。そして、バックアップユニット43は、有機ELパネルPの電極列ER(図6)が形成される縁部を下側から支持する、X軸方向に長尺なバックアップツール43aと、このバックアップツール43aを支持し概略直方体形状に形成された支持台43bとを有する。バックアップツール43aはステンレス鋼で構成され、有機ELパネルPの縁部を支持する上端面(支持面)は平坦に形成される。なお、この実施形態では、バックアップユニット43を仮圧着位置に固定的に配置するものとするが、必要に応じて、X軸方向、あるいはX軸方向およびY軸方向に移動可能に設けても良い。この場合には、支持台43bをX軸移動装置、あるいはXY軸移動装置に搭載するようにすると良い。
次に、位置認識装置44について、図4および図6を用いて説明する。図6は、位置認識装置44によって位置認識される有機ELパネルPと電子部品Wの概略構成を示す平面図である。図中、X軸方向を左右方向として説明する。有機ELパネルPは、その縁部に形成された電極列ERと、電極列ERの左右両側にそれぞれ設けられた一対のアライメントマークPMとを有する。電子部品Wは、電極列ERと対応するように配列された端子列TRと、端子列TRの左右両側にそれぞれ設けられた一対のアライメントマークWMとを有する。位置認識装置44は、有機ELパネルPの一対のアライメントマークPMと、電子部品WのアライメントマークWMとの相対位置関係を認識する。
このような位置認識装置44は、図4に示すように、第1の撮像装置44aと第2の撮像装置44bと、第1および第2の撮像装置44a、44bで撮像した画像を処理する画像処理部44cと、光照射部44dとを備える。第1および第2の撮像装置44a、44bは、バックアップユニット43の支持台43b上に、バックアップツール43aの端部近傍に上向きで、個別にX軸駆動部44eを介して取り付けられている。第1の撮像装置44aは、有機ELパネルPの縁部に設けられた一対のアライメントマークPMのうち左側のアライメントマークPMと電子部品Wに設けられた一対のアライメントマークWMのうち左側のアライメントマークWMとを、下側から撮像領域44a1(図6中に破線で示す。)内に同時に取込んで撮像する。第2の撮像装置44bは、有機ELパネルPの右側のアライメントマークPMと電子部品Wの右側のアライメントマークWMとを、下側から撮像領域44b1(図6中に破線で示す。)内に同時に取込み撮像する。
第1および第2の撮像装置43a、43bは、それぞれアライメントマークPM、WMを静止画で撮像するものであり、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等のカメラ44fと、テレセントリックレンズ等の光学ユニットを備えた鏡筒部44gとを備える。なお、X軸駆動部44eは、第1および第2の撮像装置44a、44bを互いの間隔が拡大または縮小するように同期移動可能とするものであり、左右のアライメントマークPM、WMの間隔に合わせて、第1および第2の撮像装置44a、44bの配置間隔を変更できるようになっている。
画像処理部44cは、カメラ44fの撮像信号を受け、撮像領域44a1、44b1内に取り込まれて得られた撮像画像中から有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMの画像を認識し、各アライメントマークPM、WMの位置に関するデータ(以下、「位置データ」という。)を検出するものである。画像処理部44cは、公知のパターンマッチング処理により、撮像画像中において予め設定された有機ELパネルPのアライメントマークPMの基準パターンと閾値以上のマッチング率が得られる画像を有機ELパネルPのアライメントマークPMとして認識する。また、電子部品WのアライメントマークWMの基準パターンと閾値以上のマッチング率が得られる画像を電子部品WのアライメントマークWMとして認識する。そして、認識したアライメントマークPM、WMの位置データをカメラ座標系に基づいて求める。これによって、有機ELパネルPと電子部品Wとの位置関係を認識することができる。求めた位置データは、制御装置110に送信される。
光照射部44dは、ステージ42に載置された有機ELパネルPよりも上方の位置に、真下に向けて光を照射可能に配置される。本実施形態においては、光照射部44dは、有機ELパネルPの一対のアライメントマークPMの配置間隔と同じ間隔で、一対設けられる。光照射部44dは、不図示の支持具を用いて仮圧着ヘッド41と一体的に設けられているが、これに限られるものではなく、実装装置1のフレームや架台に支持具を介して支持するようにしても良い。要は、第1および第2の撮像装置44a、44bによって有機ELパネルPのアライメントマークPMを撮像するときに、第1および第2の撮像装置44a、44bとは反対側から有機ELパネルPのアライメントマークPMに対して光を照射できるように設けられていれば良い。また、光照射部44dは、長尺状のものを一つ配置するようにしても良く、その数は限定されるものではない。
(本圧着装置50)
本圧着装置50は、図7に示すように、異方性導電テープFを介して電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを保持および位置決めするためのステージ51と、有機ELパネルPに対して電子部品Wを本圧着するための本圧着ヘッド52と、この本圧着ヘッド52の下側に本圧着ヘッド52に対向して配置され、本圧着の際に有機ELパネルPにおける電子部品Wの仮圧着された縁部を下方から支持するバックアップ部53と、有機ELパネルPの位置を認識するための位置認識ユニット54とを備える。
ステージ51は、有機ELパネルPを載置する載置部51aと、載置部51aをX、Y、Z、θ方向に移動させるステージ駆動部51bとを有する。載置部51aは、平面視において矩形状を成す部材であり、有機ELパネルPを載置する載置面(上面)51cには、有機ELパネルPを吸着保持するための吸着孔51dが複数形成されている。吸着孔51dは、仮圧着装置40のステージ42の吸着孔42dと同様に、有機ELパネルPの吸着痕が残らないように、孔径を小さく設定することが好ましい。ステージ駆動部51bは、仮圧着装置40のステージ駆動部42cと同様に、X軸方向駆動部、Y軸方向駆動部、Z軸方向駆動部、およびθ駆動部を、下側からこの順で積層して構成された駆動部である。
本圧着ヘッド52は、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wをその上面側から押圧する加圧ツール52aと、加圧ツール52aをZ軸方向に移動させるツール駆動部52bと、加圧ツール52aに内蔵され、加圧ツール52aを加熱するヒータ52cとを有する。バックアップ部53は、本圧着ヘッド52の加圧ツール52aの真下の位置に設けられた、加圧ツール52aと同等の長さに形成されたバックアップツール53aと、バックアップツール53aを支持する支持部材53bとを有する。バックアップツール53aの上面は、載置部51aに載置された有機ELパネルPの電子部品Wが仮圧着された縁部の下面を支持する平坦面として形成されている。
位置認識ユニット54は、第1のカメラ54aと、第2のカメラ54bと、画像処理部(不図示)とを有する。第1および第2のカメラ54a、54bは、ステージ51による有機ELパネルPの移動範囲内の上方に、所定の間隔を開けて下向きに取り付けられており、有機ELパネルPの電子部品Wが仮圧着された縁部における両端部近傍に設けられたアライメントマークを撮像する。上述した第1および第2のカメラ54a、54bの間隔(所定の間隔)は、このアライメントマーク同士の間隔である。なお、このアライメントマークは、仮圧着装置40において相対位置データの認識に用いたアライメントマークPMとは別のアライメントマークである。不図示の画像処理部は、第1および第2のカメラ54a、54bによって撮像された有機ELパネルPのアライメントマークの撮像画像に基づいて、公知のパターンマッチング処理によりアライメントマークを認識し、アライメントマークの位置を検出する。
(第1の受渡し装置60)
第1の受渡し装置60は、キャリアテープTから打ち抜かれた電子部品Wを下側から吸着保持する受け部61と、受け部61を打ち抜き装置10A、10Bの金型装置12の真下の位置と受け取り位置Aに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24の真下の位置とに移動させるためのX、Y、Z、θ駆動部62とを備える。
(第2の受渡し装置70)
第2の受渡し装置70は、電子部品Wを下側から吸着保持する受け部71と、受け部71を受渡し位置Dに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24の真下の位置と仮圧着装置40の仮圧着ヘッド41の真下の位置とに移動させるためのX、Y、Z、θ駆動部72とを備える。
(第1の搬送部80)
第1の搬送部80は、不図示の供給部から供給される有機ELパネルPを上側から吸着保持する保持体81と、この保持体81を不図示の供給部による有機ELパネルPの供給位置と仮圧着装置40のステージ42に対する有機ELパネルPの搬入位置とに移動させるためのXZ駆動部82とを備える。
保持体81は、図8に示すように、有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される電極列ERが形成された縁部を吸着保持する電極面吸着ブロック81aと、この電極面吸着ブロック81aに隣接して配置され、有機ELパネルPにおける電極面吸着ブロック81aによって吸着される部分以外の部分を吸着保持する表示エリア吸着部81bとを有している。電極面吸着ブロック81aは、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部全域を吸着保持可能な長さに形成され、当該縁部に沿う方向に長い直方体形状の部材である。この電極面吸着ブロック81aの吸着面81cは平坦に形成され、複数の吸着孔81dが設けられている。そして、この吸着孔81dは、仮圧着装置40の載置部42aと同様に、有機ELパネルPの縁部に変形が生じない程度の大きさに孔径が設定されており、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部を平坦にして吸着保持することができるようになっている。表示エリア吸着部81bは、吸着面が平坦な多孔質体やスポンジで形成されており、多数の吸着孔を有している。電極面吸着ブロック81aおよび表示エリア吸着部81bの吸着面は、同一平面上に位置するように調整されている。
なお、電極面吸着ブロック81aは、電極列ER全体を吸着保持するのではなく、実際には、電極列ERにおいて電子部品Wの端子が異方性導電テープFを介して接続される部分を除いた表示エリア側の部分を吸着保持するようになっている。つまり、図8に2点鎖線で示されるように、有機ELパネルPの電極列ERにおける電子部品Wの端子が接続される部分は、保持体81からはみ出した状態で保持される。
図8では1つの表示エリア吸着部81bを示しているが、複数の表示エリア吸着部81bが並べて配置されていても良い。表示エリア吸着部81bは、図9に示すように、電極面吸着ブロック81aの長手方向(電極面吸着ブロック81aに保持された有機ELパネルPの縁部方向)とは交差する方向(この実施形態では、直交する方向)に2つ並べて配置される。2つの表示エリア吸着部81bは、それぞれが電極面吸着ブロック81aとの間の間隔を調整自在に保持体81の本体部81eに支持される。これらの表示エリア吸着部81bは、アルミニウム等の金属製のベース部81b1と、このベース部81b1における有機ELパネルPを保持する面(以下、「下面」という。)を覆う平坦な多孔質シート81b2とを備える。ベース部81b1には、真空吸引孔に連通する概略格子状の吸引溝がその下面に形成されており、この下面に設けられた多孔質シート81b2の全域に真空吸引力を作用させ、多孔質シート81b2の全域で有機ELパネルPを略均一な吸引力で平坦に保持することができるようになっている。多孔質シート81b2としては、例えば樹脂の多孔質成形体をフィルム状に加工したものを用いることができる。このように構成することによって、保持体81は可撓性を有する薄いフィルム状の有機ELパネルPであっても、平坦にかつ吸着痕を生じさせることなく吸着保持することができる。
(第2の搬送部90)
第2の搬送部90は、仮圧着装置40によって電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを上側から吸着保持する保持体91と、この保持体91を仮圧着装置40のステージ42から有機ELパネルPを搬出する搬出位置と本圧着装置50のステージ51に対する有機ELパネルPの搬入位置とに移動させるためのXZ駆動部92とを備える。保持体91は、有機ELパネルPの上面における略全域を吸着保持する、吸着面が平坦な多孔質体等で形成された表示エリア吸着部を備えている。この表示エリア吸着部は、保持体81の表示エリア吸着部81bと同様に構成される。
(第3の搬送部100)
第3の搬送部100は、本圧着装置50によって電子部品Wが本圧着された有機ELパネルP、つまり表示用部材を上側から吸着保持する保持体101と、この保持体101を、本圧着装置50のステージ51から有機ELパネルPを搬出する搬出位置と不図示の搬出装置への受渡し位置とに移動させるためのXZ駆動部102とを備える。
(制御装置110)
制御装置110は、記憶部111を備える。この記憶部111には、例えば仮圧着装置40および本圧着装置50での荷重、加熱温度、加圧時間、画像処理部44cに関するアライメントマークPM、WMの基準パターンおよびこの基準パターンの位置情報、さらに各部を制御するための各種の情報が記憶される。また、記憶部111には、有機ELパネルPの縁部をステージ42の載置部42aから所定量はみ出させるためのはみ出し量Gが記憶されている。具体的には、3mm以上15mm以下の範囲、より好ましくは3mm以上8mm以下の範囲で、はみ出し量Gが設定されている。ここでは、はみ出し量G=6mmが設定されているものとする。
[実装装置の動作]
次に、実施形態の実装装置1の動作について説明する。まず、第1の打ち抜き装置10Aの供給リール11からキャリアテープTが供給され、金型装置12によってキャリアテープTから電子部品Wが打ち抜かれる。打ち抜かれた電子部品Wは、パンチ12cに吸着保持される。パンチ12cに保持された電子部品Wは、第1の受渡し装置60の受け部61に受け渡され、第1の受渡し装置60により間欠回転搬送装置20の受け取り位置Aへと移送される。受け取り位置Aに移送された電子部品Wは、受け取り位置Aに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24へと受け渡される。なお、第1の受渡し装置60は、電子部品Wを受け取り位置Aに移送する途中で、電子部品Wの向きを90°回転させることで、端子列TRが形成された縁部を受け取り位置Aに位置付けられた保持ヘッド24の外方側面に沿う方向(Y方向)に合わせる。
保持ヘッド24に保持された電子部品Wは、インデックステーブル22の間欠回転によって、ゲージング/清掃位置B、貼着位置C、受渡し位置Dへと順次移送される。この移送中、ゲージング/清掃位置Bにおいて、電子部品Wは不図示の位置決め機構の当接により保持ヘッド24に対して位置決めされると共に、不図示の回転ブラシ等の清掃機構により端子部に付着した塵埃の清掃が行われる。また、貼着位置Cにおいて、電子部品Wの端子部には、異方性導電テープ貼着装置30によって異方性導電テープFが貼着される。ゲージング/清掃位置Bにて位置決めおよび清掃が行われ、貼着位置Cにて異方性導電テープFが貼着された電子部品Wが受渡し位置Dに位置付けられると、電子部品Wは受渡し位置Dにおいて第2の受渡し装置70の受け部71に受け渡される。受け部71に受け渡された電子部品Wは、仮圧着装置40の仮圧着ヘッド41の真下の位置に移送され、仮圧着ヘッド41に受け渡される。
一方、上述した動作と並行的に、不図示の供給部から第1の搬送部80の保持体81によって有機ELパネルPが取出され、仮圧着装置40のステージ42に供給載置される。まず、第1の搬送部80の保持体81が不図示の供給部へ移動し、供給部において準備された有機ELパネルPの上面に保持体81の保持面、すなわち電極面吸着ブロック81aの吸着面81cおよび表示エリア吸着部81bの吸着面を当接させる。この際、保持体81によって有機ELパネルPを軽く押え付けた状態で電極面吸着ブロック81aと表示エリア吸着部81bの吸着力を作用させる。このようにすることによって、有機ELパネルPに反りや撓みが生じている場合においても、有機ELパネルPを平坦な状態で保持体81に保持させることができる。
また、供給部の有機ELパネルPを吸着保持する際、保持体81は、有機ELパネルPの電極列ERの形成された側の端部を、電極面吸着ブロック81aの外端部(表示エリア吸着部81bとは反対側の縁部)から予め設定された長さHだけ、はみ出させるように位置付けられる。例えば、この長さHは、仮圧着の際に電子部品Wが有機ELパネルPに重ね合わされる幅分の長さである。
すなわち、記憶部111には、長さHが記憶されている。制御装置110は、供給部の有機ELパネルPを保持体81に保持させる際、記憶部111に記憶された長さHを参照し、保持体81から有機ELパネルPの電極側の端部が長さHだけはみ出して保持されるように、XZ駆動部82を制御する。具体的には、供給部において有機ELパネルPは予め設定された定位置に毎回準備されるので、この定位置を基準として、有機ELパネルPの電極列ERの形成された側の端部が長さHの分だけはみ出す位置関係を成すように、XZ駆動部82を制御して保持体81を移動させる。なお、保持体81に有機ELパネルPの端部を検出するための、光電センサ等の検出器を設けておき、この検出器を用いて検出した有機ELパネルPの端部の位置に基づいて、はみ出し量が予め設定された長さHとなるように、保持体81を移動させるようにしても良い。
保持体81に保持された有機ELパネルPは、仮圧着装置40のステージ42上に搬送される。このとき、仮圧着装置40のステージ42は、保持体81から有機ELパネルPの供給を受ける供給位置(図1に二点鎖線で示す位置)に位置付けられている。ステージ42上に搬送された有機ELパネルPはステージ42に載置される。制御装置110は、載置部42aからの有機ELパネルPの縁部のはみ出し量Gが、記憶部111に記憶されたはみ出し量G=6mmとなるように、保持体81とステージ42の載置部42aの相対位置、すなわちXZ駆動部82とステージ駆動部42bの駆動を制御する。
はみ出し量Gは、上述したように3mm以上15mm以下、より好ましくは3mm以上8mm以下の範囲で設定される。このような範囲にはみ出し量Gを設定することで、50μm以上500μm以下の厚みで、2.6GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する有機ELパネルPであっても、載置部42aからはみ出した縁部に、垂れが生じることを防止できる。なお、はみ出し量Gと縁部の垂れ量との関係は、有機ELパネルPの品種によって異なるが、50μm以上500μm以下の厚みで、2.6GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有する有機ELパネルPであれば、はみ出し量Gを3mm以上15mm以下に設定すれば、縁部の垂れをアライメントマークPMの認識精度を維持できる範囲に抑えることができることが、発明者等の実験の結果判明した。
なお、前述の物理特性の範囲内においても、品種に左右されることなく安定した認識精度を確保するためには、はみ出し量Gは短く設定した方が良く、3mm以上8mm以下の範囲で設定することがより好ましい。ここで、有機ELパネルPのはみ出し量Gは、短いほど認識精度の確保が確実になることが分かっているが、はみ出し量が短くなると載置部42aとバックアップツール43aとの近接距離を短くする必要が生じる。載置部42aとバックアップツール43aとの近接距離が短くなると、両者間に干渉、つまり衝突のおそれが生じるので、下限値は3mmに設定される。はみ出し量Gの下限値(3mm)は、有機ELパネルPと電子部品Wとの接続に用いられる異方性導電テープFの幅寸法を勘案して設定された値である。
有機ELパネルPは、保持体81にその端部が長さHだけはみ出すように保持されている。一方、載置部42aは供給位置に位置付けられ、その位置は既知であるから、はみ出し量Gが得られる保持体81の移動位置は容易に算出することができる。
また、有機ELパネルPが載置部42aに載置されるとき、保持体81の下降によって有機ELパネルPは載置面42cに押し付けられて平坦化される。より詳細には、有機ELパネルPは、保持体81の表示エリア吸着部81bに表示エリアが吸着保持されているため、平坦な状態で保持されている。この状態で、有機ELパネルPはステージ42の載置面42cに押し付けられるので、有機ELパネルPは保持体81の表示エリア吸着部81bの吸着面と、ステージ42の載置面42cとの間に挟まれる。そのため、有機ELパネルPは、平坦化された状態を維持したままでステージ42上に受け渡され、ステージ42に吸着保持される。
この際、有機ELパネルPがステージ42の載置面42cに押し付けられた状態で、ステージ42の載置部42aの吸着孔42dに吸引力を作用させた後、保持体81の電極面吸着ブロック81aと表示エリア吸着部81bの吸引力を解除するようにしても良いが、ステージ42に吸引力を作用させる前に保持体81の吸引力を解除するようにしても良い。このようにすることで、ステージ42と保持体81との間に挟持された有機ELパネルPの面方向における拘束が軽減されることになるので、仮に反りや撓みが残った状態で保持体81に保持されていた場合でも、その反りや撓みが挟持によって矯正されて平坦化されることが期待される。このため、保持体81をステージ42に押し付ける力は、前述の矯正の妨げにならない程度の大きさに設定することが好ましい。
ステージ42に有機ELパネルPが保持されると、保持体81は不図示の供給部へと移動する。一方、ステージ42は仮圧着ヘッド41による仮圧着に先立つマーク認識位置に移動する。マーク認識位置には、仮圧着ヘッド41に保持された電子部品Wも位置付けられるようになっている。マーク認識位置に位置付けられた状態において、有機ELパネルPと電子部品Wとは、図6に示されるように、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部と電子部品Wの端子列TRが形成された縁部とが微小な間隔を隔てた状態で対向する。また、この状態で、光照射部44dは有機ELパネルPのアライメントマークPMの真上に位置している。このような状態下において、光照射部44dから光が照射され、撮像装置44a、44bによって有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとを含む画像が取り込まれる。
取り込まれた画像は画像処理部44cに送られ、各アライメントマークPM、WMの位置データが求められ、有機ELパネルPと電子部品Wとの位置認識が行われる。求められた位置データは、制御装置110に送られる。このようにして取り込まれた有機ELパネルPのアライメントマークPMは、シルエット画像として取り込まれるため、有機ELパネルPに反りやうねりが生じていたとしても、また上面に設けられたアライメントマークPMを有機ELパネルPのPIフィルムとPETフィルムを貼り合わせた樹脂基板を介して撮像したとしても、アライメントマークPMを鮮明な画像として取り込むことができる。
制御装置110は、画像処理部44cから送られた有機ELパネルPの左右のアライメントマークPMの位置データと電子部品Wの左右のアライメントマークWMの位置データとに基づいて、有機ELパネルPと電子部品WとのX、Y、θ方向の相対位置ずれを求める。そして、制御装置110は、有機ELパネルPと電子部品Wとを仮圧着位置へ移動させる。この際、求めた相対位置ずれに基づいて、この位置ずれを無くすようにツール駆動部41bとステージ駆動部42cとを制御することによって、有機ELパネルPと電子部品Wとの位置合わせを実行する。
具体的には、制御装置110は、有機ELパネルPの左右のアライメントマークPMの位置データから、これらの2点を結ぶ線分の傾きθPとこの線分の中点の座標(XP,YP)を求める。また、制御装置110は、電子部品Wの左右のアライメントマークWMの位置データから、これらの2点を結ぶ線分の傾きθWとこの線分の中点の座標(XW,YW)を求める。ここで求めた傾きと中点の座標との差が両者の相対的な位置ずれとして求められる。求めた相対位置ずれから以下のようにして位置ずれを修正する。
まず、有機ELパネルPのアライメントマークPM間を結ぶ線分の傾きθPと電子部品WのアライメントマークWM間を結ぶ線分の傾きθWとの差を無くすように、つまりθP−θW=0となるように、加圧ツール41aをθ方向に回転させる。次いで、有機ELパネルPのアライメントマークPM間を結ぶ線分の中点が、電子部品WのアライメントマークWM間を結ぶ線分の中点と一致するように、ステージ42(ステージ駆動部42b)を駆動させる。このとき、加圧ツール41aのθ方向の回転中心が電子部品WのアライメントマークWM間を結ぶ線分の中点の位置に対してずれて位置する場合、前述の加圧ツール41aの回転によって、線分の中点の位置が加圧ツール41aの回転分だけ水平方向に位置ずれするので、有機ELパネルPの移動位置はこの位置ずれを加味して実行される。
仮圧着位置に位置付けられた有機ELパネルPは、その縁部がバックアップツール43aの上面に支持される。また、電子部品Wは、有機ELパネルPの電極列ERの直上に端子列TRが僅かな間隔を隔てて対向するように位置付けられる。この状態で、ツール駆動部41bの駆動によって加圧ツール41aが下降される。これによって、予め設定された加熱温度、加圧力、加圧時間で、電子部品Wの端子部が有機ELパネルPの電極面に異方性導電テープFを介して加熱加圧され、有機ELパネルPに電子部品Wが仮圧着される。
予め設定された加圧時間が経過すると、加圧ツール41aによる電子部品Wの吸着が解除されると共に加圧ツール41aが上昇する。加圧ツール41aは、第2の受渡し装置70から電子部品Wが受け渡される受渡し位置に移動される。また、電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを載置するステージ42は、第2の搬送部90に有機ELパネルPを受け渡す搬出位置へと移動される。この搬出位置で、有機ELパネルPは第2の搬送部90の保持体91によって、その上面を第1の搬送部80の保持体81による保持と同様にして吸着保持され、本圧着装置50のステージ51へと搬送される。
第2の搬送部90によって本圧着装置50に供給された有機ELパネルPは、搬入位置に位置付けられたステージ51上に受け渡され、ステージ51上に吸着保持される。この受渡しの際の動作は、第1の搬送部80からステージ42への有機ELパネルPの受渡しと同様にして行なわれる。この際、電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPの縁部がステージ51からはみ出した状態で保持される。
ステージ51に有機ELパネルPが保持されると、ステージ51は有機ELパネルPの縁部をバックアップツール53aの上面に支持させるべく移動される。なお、この移動の途中で、位置認識ユニット54によって有機ELパネルPのアライメントマーク(アライメントマークPMとは別のマーク)の位置認識が行われる。この位置認識結果に基づいて、ステージ51は有機ELパネルPの電極面がバックアップツール53aの上面に正しい位置関係で位置するように移動される。バックアップツール53aの上面に有機ELパネルPの縁部が支持されると、ツール駆動部52bの駆動によって加圧ツール52aが下降され、予め設定された加熱温度、加圧力、加圧時間で、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wが本圧着される。
予め設定された加圧時間が経過すると、加圧ツール52aは上昇される。また、電子部品Wが本圧着された有機ELパネルP、つまり表示用部材を載置するステージ51は、第3の搬送部100に有機ELパネルPを受け渡す搬出位置へと移動される。この搬出位置で、有機ELパネルPは第3の搬送部100の保持体101によって、その上面を吸着保持され、不図示の搬出装置へと搬送される。
上述した電子部品Wの有機ELパネルPへの仮圧着工程および本圧着工程を含む実装動作を、電子部品Wを実装すべき有機ELパネルPが無くなるまで繰り返して実行する。なお、実施形態の実装装置1において、仮圧着工程は位置精度の向上が重要であるのに対し、本圧着工程は異方性導電テープFによる圧着強度や信頼性の向上が重要であり、また工程時間も相違する。このため、仮圧着装置40と本圧着装置50とを適用し、仮圧着工程と本圧着工程とを実施することによって、電子部品Wの実装効率を向上させることができる。ただし、実施形態の実装装置1はこのような構成に限定されるものではない。本圧着装置50で位置決め工程から本圧着工程までを実施するようにしても良い。
[実装装置の作用効果]
上述した実施形態の実装装置1においては、50μm以上500μm以下の厚みと2.6GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する有機ELパネルPを、その電子部品Wが実装される縁部のステージ42からのはみ出し量が3mm以上15mm以下となるようにステージ42(載置部42a)に載置し、この有機ELパネルPの縁部に設けられたアライメントマークPMに、撮像装置44a、44bとは反対側である上方から光照射部44dによって光を照射する。そして、この状態で有機ELパネルPの縁部に設けられたアライメントマークPMと、仮圧着ヘッド41に保持された電子部品WのアライメントマークWMを撮像装置44a、44bによって撮像する。また、この撮像画像を画像処理部44cによって画像処理し、有機ELパネルPと電子部品Wの位置関係を認識し、この位置認識結果に基づいて、制御装置110によって有機ELパネルPと電子部品Wとの位置合わせを行い、有機ELパネルPに異方性導電テープFを介して電子部品Wを仮圧着した後に、本圧着するようにしている。
このようにしたことによって、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとを検出する際に、有機ELパネルPにおける電極の形成された縁部であってステージ42からはみ出した縁部に、垂れが生じることを防止することができる。また、PIやPET等の樹脂で形成され、縁部に反りやうねりが生じるおそれがあったり、ガラスよりも透過率の低い樹脂基板で構成された有機ELパネルPであっても、透過光によりアライメントマークPMをシルエット画像として撮像することによって、アライメントマークPMと背景との明暗差を向上させることができるため、アライメントマークPMを鮮明に撮像することが可能となる。そのため、有機ELパネルPの縁部の垂れに起因するアライメントマークPMの認識誤差、および取り込み画像が鮮明さを欠くことに起因するアライメントマークPMの認識誤差を低減させることができる。その結果、有機ELパネルPに対する電子部品Wの実装精度を向上させることが可能となる。よって、可撓性を有する有機ELパネルPに可撓性を有する電子部品Wを実装する場合であっても、その実装精度と実装品質を向上させることが可能となる。
すなわち、従来の液晶ディスプレイの製造に用いられる表示用パネル(以下、液晶表示用パネルという。)は、厚みが0.5〜0.7mmのガラス基板同士を貼り合せたものであるため、比較的剛性が高い。そのため、液晶表示用パネルの縁部をステージから数10mm程度はみ出させて保持しても、その縁部が自重で垂れ下がることはほとんどない。
これに対し、有機ELパネルPでは、前述したように有機EL素子が形成される部材である、厚みが0.01〜0.03mm(10〜30μm)程度のPIフィルムKaを、支持材である厚みが0.1〜0.2mm程度のPETフィルムKbに接着して構成された薄い樹脂基板を用いているため、剛性が極めて低い。そのため、有機ELパネルPでは、その縁部をステージから数10mm程度はみ出させて保持した場合、はみ出した縁部が自重によって容易に垂れ下がってしまう。有機ELパネルPの縁部が垂れ下がると、その分だけ縁部に形成されているアライメントマークPMの位置が水平方向にずれることになる。そのため、カメラを用いて行う有機ELパネルPのアライメントマークPMの位置認識において、その認識位置にずれが生じることになる。
本願発明者等が実験によって確認したところ、有機ELパネルPの縁部を、同等サイズの液晶表示用パネルの場合と同じように、ステージから20mmはみ出させて保持した場合、縁部に垂れ下がりが生じ、この垂れ下がりによってアライメントマークPMの位置に、水平方向(ステージ側に向かって)に約4μmの位置ずれが生じていることが確認された。しかも、有機ELパネルPの縁部が垂れ下がった場合、アライメントマークが水平状態に対して傾くことになる。傾斜しているアライメントマークPMを真下から撮像した場合、撮像されたアライメントマークの傾斜方向における長さが、水平状態で撮像された場合に比べて短く撮像される。つまり、傾斜の分だけ、撮像されるアライメントマークPMの形状が変形する。その結果、予め記憶されている基準マークとの形状に相違が生じ、これによってもアライメントマークPMの認識位置に誤差が生じることになる。
本願発明者等が、水平に保持したアライメントマークPMと水平に対して5°傾けたアライメントマークPMとで認識位置の誤差を比較する実験を行ったところ、5°傾けたアライメントマークの方が平均して1μm程度誤差が大きいことが確認された。なお、アライメントマークを5°傾けて実験したのは、ステージから縁部を20mmはみ出させた場合に生じる垂れを複数の有機ELパネルPについて測定したところ、いずれも5°以上の垂れが確認されたためである。
このような点に対して、実施形態の実装装置1においては、上述したように50μm以上500μm以下の厚みと2.6GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有する有機ELパネルPを、その電子部品Wが実装される縁部のステージ42からのはみ出し量が3mm以上15mm以下となるようにステージ42(載置部42a)に載置することによって、有機ELパネルPのステージ42からはみ出した縁部に、垂れが生じることを防止することができる。これによって、有機ELパネルPのステージ42からのはみ出し部分の垂れに基づくアライメントマークPMの認識誤差の発生を抑制することができる。すなわち、有機ELパネルPのはみ出し部分の曲げ弾性率が2.6GPa以上で、さらに厚みが50μm以上であると共に、はみ出し量が15mm以下であれば、はみ出し部分の垂れを防止することができる。なお、はみ出し部分の曲げ弾性率が4.0GPaを超えたり、厚みが500μmを超えると、有機ELパネルPの可撓性等の特性や薄型表示パネルとしての基本特性が低下するおそれがある。
さらに、有機ELパネルPのアライメントマークPMを撮像する際に、カメラのある下側から照明を当てる場合、アライメントマークPMを鮮明に撮像することができなくなったり、全く撮像することができなくなったりするという不具合が生じる。下側から照明を当てる際の照射条件(照射光量、照射角度等)は、基準となる有機ELパネル(例えば、縁部がフラットな有機ELパネルで、以下「基準パネル」という。)を用いて、基準パネルのアライメントマークが良好に撮像できる条件に設定する。このような照射条件を適用した場合においても、実際に撮像される有機ELパネルPの縁部には垂れや反りがあり、基準パネルの縁部に対して傾く等、状態が相違するため、有機ELパネルPの縁部での照明の反射具合が基準パネルとは異なるものとなってしまう。その結果、アライメントマークPMを鮮明に撮像することができなくなったり、全く撮像することができなくなったりするという不具合が生じる。本願発明者等の実験の結果、アライメントマークPMが鮮明に撮像できなかった場合、認識位置に最大で1μm程度のずれが生じることが確認された。
このような点に対して、実施形態の実装装置1においては、有機ELパネルPのステージ42からはみ出した縁部に垂れが生じることを防止していることに加えて、アライメントマークPMに撮像装置44a、44bとは反対側である上方から光照射部44dによって光を照射し、透過光によりアライメントマークPMをシルエット画像として撮像している。これによって、PIやPET等の樹脂で形成され、縁部に反りやうねりが生じるおそれがあったり、ガラスよりも透過率の低い樹脂基板で構成された有機ELパネルPであっても、アライメントマークPMと背景との明暗差を向上させることができるため、アライメントマークPMを鮮明に撮像することが可能となる。これらによって、アライメントマークPMの認識誤差を低減させることができるため、有機ELパネルPに対する電子部品Wの実装精度を向上させることが可能となる。
なお、本願発明者等は有機ELパネルPの縁部の垂れや反りを抑制するために、有機ELパネルの縁部を支持する部分(支持面)が平坦に加工されかつ吸着孔を設けた支持具をステージに取付け、有機ELパネルの縁部に垂れが生じないように保持し、この状態で電子部品の実装を試みた。支持具は、一般的なOLB装置のバックアップツールに用いられているステンレス鋼で作製した。また、支持具におけるアライメントマークの位置に対応する部分には、直径3mmの上下に貫通する撮像用の観察孔を設けた。
しかしながら、このような支持具を用いても、有機ELパネルの一部の品種では±3μmの実装精度を十分に満たすことができなかった。すなわち、複数の品種の有機ELパネルを用いて実装精度を確認する実験を行ったところ、実装精度が±3μm以内で得られる品種と、実装精度が±3μmを超えてしまう品種があることが判明した。
すなわち、有機ELパネルPは、薄く柔軟な樹脂基板で構成されているため、大きな吸着力で吸着すると吸着痕を生じてしまう。有機ELパネルPの縁部は、画像の表示には用いられないものの、電子部品Wの端子と接続される微細な電極(「リード」とも称される。)が形成されている。そのため、この電極の部分に吸着痕が生じると、電極に屈曲等の変形が生じてしまう。変形した電極には内部に応力が残留するため、電極の耐久性を低下させる要因となり好ましくない。このことから、吸着孔の大きさとその吸着孔に作用させる負圧の大きさは、有機ELパネルの吸着痕を生じさせることの無い範囲で設定する必要がある。上述の実験においては、支持具に直径0.5mmの吸着孔を2mm間隔で1列に形成し、この吸着孔に−40kPaの負圧を作用させた。しかしながら、このように吸着痕を考慮した吸着力を設定した場合、有機ELパネルの品種によって、支持具の支持面に縁部を倣わせることができないものがあることが判明した。
すなわち、有機ELパネルの品種によっては、その縁部に反りやうねりが生じている場合があり、このような反りやうねりが生じた有機ELパネルの中にも、吸着によって反りやうねりが矯正されて支持具の支持面に倣うものと、反りやうねりが矯正されないものがあった。このような、反りやうねりが矯正されない有機ELパネルにおいて、実装精度が±3μmを超えていることが確認された。そして、このような反りやうねりが矯正されない有機ELパネルでは、カメラと同じ側から照射される照明の反射の具合が基準パネルとは異なるものとなり、アライメントマークを鮮明に撮像することができない結果、アライメントマークの認識精度が低下していることが判明した。
またさらに、支持具を設け、この支持具に撮像用の観察孔を設けたことで、新たな問題が生じることが判明した。すなわち、観察孔を設けたことで、仮圧着時に電子部品を介して圧着ヘッドを有機ELパネルに当接させた際に、その当接による衝撃によって、有機ELパネルに観察孔の圧痕が生じることが確認された。このような圧痕も、上述した吸着痕と同様に、有機ELパネルの電極に変形を生じさせるので、実装品質を低下させるものとなり、避けなければならない。なお、支持具の吸着孔の部分においては、直径が0.5mmと小さいため、圧痕の発生は見られなかった。
そこで、支持具をガラスで形成し、観察孔を設けることなく、支持具を透過してアライメントマークを認識することを試みた。この結果、圧痕の発生は解消することができたが、耐久性に問題があることが判明した。具体的には、実装の繰り返し試験を実施したところ、実装回数が10000回を超えたあたりから、支持具に欠けの発生が認められた。そのため、このようなガラス製の支持具を用いた場合、実装回数10000回程度を目安に、支持具を交換することが必要となる。このような実装は、通常、1つの電子部品の実装に要する時間(タクトタイム)が3秒〜5秒であるから、連続稼働させた場合には、8.3時間〜13.9時間で10000回に到達する計算となる。そのため、8.3時間〜13.9時間毎、つまり1日に2〜3回の頻度で支持具の交換が必要になる。
上記した支持具と圧着ヘッドとの間には、有機ELパネルの電極部分に対して電子部品の電極部分を均一に押し付ける必要性があることから、精密な平行度が必要である。個々の支持具は同一形状に加工されてはいるものの、固体差を有する。従って、支持具は交換する毎に圧着ツールとの平行度の調整を行う必要がある。このため、この調整の間はOLB装置の稼働を停止しなければならないため、生産を行うことができない。このような停止が一日に数回生じることは、生産性の著しい低下につながり、現実的では無い。また、ステンレス鋼で形成した支持具の観察孔の上部にガラス製の蓋を嵌め込み、支持具の支持面を見掛け上平坦にすることも考えられる。しかしながら、蓋がガラス製である以上、耐久性の問題を有する上に、蓋の上面と支持面との間に段差が生じると、やはり圧痕の発生が懸念されるため、現実的では無い。
実施形態の実装装置1は、上述したような支持具を用いて有機ELパネルPの縁部の垂れを防止しつつアライメントマークの認識を行った場合の問題、すなわち支持具の観察孔による圧痕、支持具の支持面に矯正されない反りやうねりによるアライメントマークの認識精度の低下、ガラス製支持具の耐久性に基づく実装効率の低下等を抑制することを可能にしたものである。すなわち、有機ELパネルPのステージ42から縁部をはみ出させると共に、はみ出した縁部に垂れが生じることを防止することに加えて、透過光によりアライメントマークPMをシルエット画像として撮像しているため、上述したような支持具に起因する問題を回避した上で、有機ELパネルPに対する電子部品Wの実装精度や実装品質を向上させることが可能となる。
また、実施形態の実装装置1においては、仮圧着時に使用するバックアップツール43aを例えばステンレス鋼で形成し、有機ELパネルPの縁部を支持する支持面を平坦に形成している。このため、仮圧着の際に有機ELパネルPの縁部に圧痕が生じることが防止される。しかも、ステンレス鋼であるから、仮圧着ヘッド41による押圧に対しても損傷が生じ難く、長期の耐久性に優れ、良好な生産性を維持することが可能となる。
さらに、記憶部111に記憶された、ステージ42の載置部42aからの有機ELパネルPの縁部のはみ出し量Gに基づいて、制御装置110がステージ駆動部42bとXZ駆動部82の駆動を制御して、第1の搬送部80の保持体81からステージ42の載置部42aに有機ELパネルPが、3mm以上15mm以下の範囲で設定されたはみ出し量Gで載置されるようにしている。これによって、有機ELパネルPを載置部42a上に設定されたはみ出し量Gで確実に載置することが可能となり、有機ELパネルPの縁部に垂れが生じることを確実に防止し、安定したアライメントマークPMの認識精度をより一層向上させることが可能となる。この結果、有機ELパネルPに対する電子部品Wの実装精度を安定して得ることができ、電子部品Wの実装品質を向上させることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、表示用パネルとして有機ELパネルを例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、可撓性を有する電子ペーパの構成部材を表示用パネルとして用いることも可能である。要は、50μm以上500μm以下の厚みと、2.6GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する表示用パネルであれば適用可能である。
また、設定されたはみ出し量Gに基づいてステージ駆動部42bとXZ駆動部82を制御することで、載置部42aに有機ELパネルPを載置するようにしたが、これに限られるものではなく、有機ELパネルPのはみ出し量を検出し、設定されたはみ出し量Gになるように、ステージ駆動部42bと第1の搬送部80のXZ駆動部82を制御するようにしても良い。この場合、例えばステージ42、またはステージ42に対する有機ELパネルPの受渡し位置に、保持体81に保持された有機ELパネルPの端部(電極列ERが形成された辺)を検出する光電センサやレーザセンサ等の検出器を設けておき、この検出器の検出結果に基づいて、載置部42aからの縁部のはみ出し量が設定されたはみ出し量Gとなるように制御するようにすると良い。
記憶部111にはみ出し量Gを記憶することに代えて、表示用パネルの品種に関する情報(品種情報)を記憶するようにしても良い。この場合、表示用パネルPの品種情報と、その品種情報に対応するはみ出し量Gとの関係を表す換算テーブルを予め実験等により取得して作成しておき、この換算テーブルを記憶部111に記憶させておく。そして、不図示の入力手段によって入力された品種情報に基づいて、その品種情報に対応するはみ出し量Gを読み出すようにすると良い。
また、位置認識装置44の撮像装置として、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとを同一視野内に同時に取り込んで撮像する第1および第2の撮像装置44a、44bを用いる場合について述べたが、位置認識装置44の撮像装置はこれに限られるものでは無い。例えば、第1および第2の撮像装置44a、44bがそれぞれ、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとを別々に撮像するようにしても良い。
またさらに、2つの撮像装置を設け、第1および第2の撮像装置44a、44bで電子部品WのアライメントマークWMを撮像し、他の2つの撮像装置で有機ELパネルPのアライメントマークPMを撮像するようにしても良い。なおこのとき、他の2つの撮像装置を、下側から有機ELパネルPのアライメントマークPMを撮像するのではなく、上側から撮像するように取り付けても良い。この場合には、光照射部44dをステージ42の載置部42aよりも下側の位置に配置し、有機ELパネルPのアライメントマークPMに下側から光を照射すると良い。このように、有機ELパネルPのアライメントマークPMを、透過照明により上側から撮像すると、有機ELパネルPの上面側に設けられたアライメントマークPを直接撮像することになる。そのため、下側から有機ELパネルPの樹脂製の基材を介して透過照明で撮像したときよりも一層明暗差を大きく取ることが可能となり、認識精度の一層の向上を図ることができる。
有機ELパネルPのアライメントマークPMを透過照明により撮像するものとしたが、電子部品WのアライメントマークWMについても、透過照明によって撮像するようにしても良い。この場合、仮圧着ヘッド41の加圧ツール41aに、電子部品WのアライメントマークWMの位置に合わせて導光部を設け、光照射部44dから照射された光を導光部を介してアライメントマークWMに導くようにすることも可能である。もちろん、個別に光照射部を設けたり、光照射部を加圧ツール41aに埋め込むようにしたりしても良い。
また、有機ELパネルPと電子部品Wの接続に異方性導電テープFを用いたが、これに限られるものではない。他の接続部材、例えば導電性粒子を含有した接着剤等を用いても良い。接着剤を用いる場合、熱硬化性や光硬化性の接着剤を用いることが可能である。
第1ないし第3の搬送部80、90、100の構成は、上述したものに限られるむのではなく、他の構成であっても良い。例えば、多孔質シートを用いる代わりに、発砲ウレタンゴムやシリコンゴム等の軟質なゴムや樹脂材料に複数の吸着用の開口を設けたものを用いるようにしても良い。
仮圧着装置40のステージ42から本圧着装置50のステージ51に第2の搬送部90を用いて有機ELパネルPを搬送するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、本圧着装置50のステージ51を仮圧着装置40のステージ42に近接する位置まで移動できるように構成し、仮圧着装置40のステージ42の近接位置に移動した本圧着装置50のステージ51に対して、第1の搬送部80を用いて有機ELパネルPを搬送するようにしても良い。つまり、第1の搬送部80で第2の搬送部90を兼ねるようにしても良い。
本圧着装置50は、仮圧着工程と本圧着工程との工程時間の差を考慮して、実装装置1に複数台設置するようにしてもよい。また、複数台の本圧着装置50を設ける代わりに、1台の本圧着装置50に有機ELパネルPを複数枚並列に載置可能なステージ51を設けると共に、複数並列に載置された有機ELパネルP上の電子部品Wを一括、または個別に本圧着することのできる本圧着ヘッド52を設けるようにしても良い。ここで、一括して本圧着する場合、並列に載置された複数の有機ELパネルPの全域をカバーできる長さの加圧ツール52aを本圧着ヘッド52に装備する。また、個別に本圧着する場合、1つの有機ELパネルPに実装する電子部品Wをカバーできる長さの加圧ツール52aを、有機ELパネルPの載置間隔に合わせて本圧着ヘッド52に装備する。各加圧ツール52aは、個別に加圧力を設定できるように構成しておくことが好ましい。
上述した実施形態では異方性導電テープFを電子部品Wに貼着する構成について説明したが、これに限られるものではない。異方性導電テープFは有機ELパネルP、すなわち表示用パネルに貼着するようにしても良い。この場合、間欠回転搬送装置20の貼着位置Cに異方性導電テープ貼着装置30を設ける代わりに、有機ELパネルPの供給部の上流側に、有機ELパネルPに異方性導電テープFを貼着する異方性導電テープ貼着装置を設けるようにすると良い。例えば、図10に示すような実装装置201を適用してもよい。図10は他の実施形態の実装装置201の構成を示している。
[他の実施形態による実装装置]
図10に示す実装装置201は、異方性導電テープ貼着装置230、仮圧着装置240、本圧着装置250をX方向に並べて配置し、仮圧着装置240のY方向後方に打ち抜き装置210を配置し、さらに仮圧着装置240と打ち抜き装置210との間に、電子部品Wを搬送する搬送装置260を配置した構成を有している。各処理装置230、240、250の間には、有機ELパネルPの搬送部271、272、273、274を配置する。この実装装置201は、有機ELパネルPを4つずつ供給して各処理装置での処理を行なうものである。打ち抜き装置210は、キャリアテープTから電子部品Wを打ち抜くものであり、上述の実施形態で説明した打ち抜き装置10と同様の構成を有する。
異方性導電テープ貼着装置230は、有機ELパネルPに異方性導電テープFを貼着する。異方性導電テープ貼着装置230は、有機ELパネルPを二枚ずつX方向に並べて保持する2つの載置部231、232がX方向に並べて配置される。これらの載置部231、232は、それぞれXYZθ方向に移動可能に設けられる。また、2つの載置部231、232に対応して異方性導電テープFの貼着ユニット233、234が配置される。各載置部231、232は、それぞれ対応する貼付ユニット233、234による貼着位置に載置部231、232上の有機ELパネルPを順次位置付ける。各貼着ユニット233、234は、貼着位置に位置付けられた有機ELパネルPに異方性導電テープFを貼着する。
仮圧着装置240は、異方性導電テープFが貼着された有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着する。仮圧着装置240は、有機ELパネルPを四枚ずつX方向に並べて保持する載置部241、載置部241に保持された有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着する仮圧着ヘッド242、仮圧着ヘッド242によって有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着するときに、有機ELパネルPを下側から支持する不図示のバックアップツールを備える。載置部241は、XYZθ方向に移動可能に設けられ、載置部241上の四枚の有機ELパネルPを仮圧着ヘッド242による仮圧着位置に順次位置付ける。仮圧着ヘッド242は、仮圧着位置に位置付けられた有機ELパネルPに電子部品Wを順次仮圧着する。なお、仮圧着装置240は、上述の実施形態で説明した仮圧着装置40と同様の位置認識装置を備えることは言うまでもない。
ここで、仮圧着ヘッド242には、搬送装置260により、打ち抜き装置210によって打ち抜かれた電子部品Wが順次供給される。すなわち、搬送装置260は、XYZθ駆動部261によってXYZθ方向に移動可能とされ、電子部品Wを下側から吸着保持する受け部262を備え、打ち抜きユニット210から電子部品Wを受取り、仮圧着ヘッド242に受け渡す。
本圧着装置250は、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wを本圧着する。本圧着装置250は、有機ELパネルPを一枚ずつ個別に保持する4つの載置部251、252、253、254をX方向に並設する。また、4つの載置部251、252、253、254に対応して4つの本圧着ヘッド255、256、257、258が設けられる。本圧着ヘッド255、256、257、258は、加圧力を個別に調整可能に設けられると共に、一括して昇降動可能に設けられる。個々の載置部251、252、253、254は、XYZθ方向に移動可能とされ、対応する本圧着ヘッド255、256、257、258に対して有機ELパネルPを位置決め可能となっている。4つの本圧着ヘッド255、256、257、258は、4つの載置部251、252、253、254によって位置付けられた4つの有機ELパネルPに対して一括して本圧着を行なう。
搬送部271、272、273、274は、各処理装置230、240、250との間で有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。すなわち、搬送部271、272、273、274は、有機ELパネルPを上側から吸着保持する4つの保持部をX方向に並設してなる。そして、搬送部271は、不図示の供給部から異方性導電テープ貼着装置230に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。搬送部272は、異方性導電テープ貼着装置230から仮圧着装置240に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。搬送部273は、仮圧着装置240から本圧着装置250に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。搬送部274は、本圧着装置250から不図示の搬出部に有機ELパネルPを4つ同時に搬出する。このような構成の実装装置201に対しても、本発明は適用可能である。
次に、本発明の実施例とその評価結果について述べる。
(実施例1)
上述した実施形態の実装装置1を用いて、以下の条件でTEG(Test Element Group)による実装精度を確認する実験を行なった。ここで、TEGとはテスト用に作製した評価用部材のことであり、ここでは有機ELパネルPの評価用部材を作製した。具体的には、5インチ相当(120mm×65mm)の大きさで厚みが0.03mm(30μm)のPIフィルムに、同じく5インチ相当の大きさで厚みが0.20mm(200μm)のPETフィルムを光学用の紫外線硬化性樹脂を用いて貼り合せて有機ELパネルのTEGを作製した。PETの曲げ弾性率は3.07GPaであり、PIの曲げ弾性率は3.5GPaである。両者の厚みの比率から、有機ELパネルPの曲げ弾性率は、約3.1GPaと推定した。電子部品Wとしては、幅36mm、長さが25mmのCOFを用いた。以下、有機ELパネルPのTEGのことを、単に有機ELパネルPと称する。目標精度は、スマートフォン用ディスプレイパネルに用いられる有機ELパネルに求められる一般的な精度である、±3μmとした。
<実験条件>
仮圧着ヘッドのヒータ:OFF
タクトタイム:10秒(ただし、仮圧着ツール41aおよび載置部42aの移動速度は、タクト5秒で実装する場合と同じとした。)
繰り返し時間(回数):2.8時間(1000回)
実験に際しては、まずそれぞれが待機位置にある状態で、有機ELパネルPを載置部42aに載置し、電子部品Wを加圧ツール41aに保持させる。待機位置は、載置部42aについては第1の搬送部80から有機ELパネルPを受け取る供給位置であり、加圧ツール41aについては第2の受渡し装置70から電子部品Wを受け取る位置である。この状態から、仮圧着に先立つマーク認識位置に有機ELパネルPと電子部品Wを位置付ける。このとき、加圧ヘッド41aは、θ=+5°の水平方向に回転させた状態で位置付ける。これは、回転ずれの補正精度を確認するためである。有機ELパネルPの縁部のはみ出し量Gは4mmに設定した。
この状態で、第1および第2の撮像装置44a、43bを用いて有機ELパネルPと電子部品Wのアライメントマークの位置を認識し、この認識結果に基づいて有機ELパネルPと電子部品Wの位置合わせを行う。なお、この位置合わせは、有機ELパネルPの縁部に対して電子部品Wの縁部を重ね合わせるのではなく、有機ELパネルPの縁部と電子部品Wの縁部とが僅かな距離を隔てて対向する状態で行う。具体的には、アライメントマークPM、WM同士が3mmの間隔を隔てるようにして位置合わせを行う。アライメントマークPM、WMから縁までの距離は、それぞれ概ね0.6〜1.2mm程度であるため、縁部同士は0.6〜1.8mmの間隔で配置されることになる。
位置合わせが完了したら、第1、第2の撮像装置44a、44bを用いて、下側から有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとを同一視野内に入れて同時に撮像し、有機ELパネルPと電子部品Wとの間の相対位置ずれを認識する。そして、この認識結果から求めた相対位置ずれを、実装精度として記録した。なお、位置合わせを、アライメントマークPM、WM同士が3mmの間隔を隔てるようにして行われているので、理想的な位置決め状態でアライメントマークPM、WM同士はY軸方向に3mmずれた状態となる。
その結果、X軸方向における位置ずれの最大値は0.7μm、最小値は−0.4μmであった。また、Y軸方向における位置ずれの最大値は0.5μm、最小値は−0.9μmであった。いずれも、目標精度である±3μm以内であった。
(実施例2)
実施例2では、はみ出し量Gを15mmに設定した以外は、実施例1と同一条件で実験を行なった。その結果、X軸方向における位置ずれの最大値は1.6μm、最小値は−1.1μmであった。また、Y軸方向における位置ずれの最大値は0.9μm、最小値は−2.3μmであった。いずれも、目標精度である±3μm以内であった。
(比較例1)
比較例1では、はみ出し量Gを20mmに設定した以外は、実施例1と同一条件で実験を行った。その結果、X軸方向における位置ずれの最大値(プラス方向の位置ずれの最大置)は2.7μm、最小値(マイナス方向の位置ずれの最大置)は−2.0μmであった。また、Y軸方向における位置ずれの最大値は1.5μm、最小値は−5.8μmであった。X軸方向の位置ずれは目標精度である±3μm以内であったが、Y軸方向の位置ずれは目標精度である±3μmの範囲から大きく外れる結果となった。
上述した実施例1の測定結果を表1および図11に示す。また、比較例1の測定結果を表2および図12に示す。表1および表2は、繰り返し時間の間に取得した1000回分のデータにおいて、1回目から10回目のデータの平均値(1)と、その後101回目から110回目のデータの平均値(2)、以降同様にして100回毎に10回分のデータの平均値((3)〜(10))を、それぞれ「相対位置ずれ認識結果」として示したものである。表1における「(1)の測定結果との差」は、100回毎のデータの平均値((2)〜(10))から平均値(1)を引いた値である。図11および図12は、「(1)の測定結果との差」の変動を示している。表1および図11と表2および図12との比較から明らかなように、実施例1は比較例1に比べて実装精度の変動が大幅に抑制されていることが分かる。従って、可撓性を有する表示用パネルに対する可撓性を有する電子部品の実装精度を長期間にわたって維持することができることが分かる。
(実施例3、4)
実施例3、4として、上述した実施形態の実装装置1を用いて、別のTEGを作製して実装精度を確認する実験を行なった。有機ELパネルPとして表示部に光学フィルムが貼り付けられたものを想定し、表示部に対応する個所にPENフィルムを貼り合せたTEGを作製した。より具体的には、実施例1、2で用いたTEGに、114mm×65mmの大きさで厚みが0.15mm(125μm)のPENフィルムを光学用の紫外線硬化性樹脂を用いて貼り合せて新たなTEGを作製した。このPENフィルムは、実施例1、2で用いたTEGに対して電子部品Wを実装する縁部とは反対側の端部が一致するようにし、電子部品Wを実装する縁部側の端部とPENフィルムの端部との間に6mmの隙間ができるように貼り合せた。PENの曲げ弾性率は2.2GPaであり、PIの曲げ弾性率は3.5GPa、PETの曲げ弾性率は3.07GPaである。三者の厚みの比率から、有機ELパネルPの曲げ弾性率は、約2.8GPaと推定した。電子部品Wとしては、実施例1、2と同様に、幅36mm、長さが25mmのCOFを用いた。
実施例3では、実施例1と同一条件で実験を行った。その結果、X軸方向における位置ずれの最大値は0.9μm、最小値は−0.3μmであった。また、Y軸方向における位置ずれの最大値は1.0μm、最小値は−0.7μmであった。実施例1には劣るが、いずれも目標精度である±3μm以内であった。実施例3では、はみ出し量Gが4mmであるので、有機ELパネルPにおいてステージ21からはみ出している部分はPENフィルムの存在しない縁部のみであるから、実施例1と略同じ結果となったものと推測する。
実施例4では、はみ出し量Gを12mmに設定した以外は、実施例1と同一条件で実験を行なった。はみ出し量Gを12mmとしたことで、有機ELパネルPにおけるPENフィルムの貼り合わされた部分が6mmはみ出ることになる。その結果、X軸方向における位置ずれの最大値は1.9μm、最小値は−1.5μmであった。また、Y方向における位置ずれの最大値は2.6μm、最小値は−1.6μmであった。いずれも、目標精度である±3μm以内であった。
(比較例2)
比較例2では、はみ出し量Gを20mmに設定した以外は、実施例1と同一条件で実験を行った。その結果、X軸方向における位置ずれの最大値は2.8μm、最小値は−2.3μmであった。また、Y方向における位置ずれの最大値は8.2μm、最小値は−0.6μmであった。X軸方向の位置ずれ目標精度である±3μm以内であったが、Y軸方向の位置ずれは目標精度±3μmの範囲から大きく外れる結果となった。
これらの結果から、ステージ42の載置部42aからの有機ELパネルPの縁部のはみ出し量Gが短い程、実装精度を向上させることができることが分かる。そして、はみ出し量を15mm以下とすることによって、実装精度を±3μm以内とすることができることが確認された。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。