JP6980986B2 - 半導体封止用樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents
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Description
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、クリストバライト由来のα線放出量やその分散性を適切に制御することにより、封止材から放出されるα線量を所定値以下とすることができるため、薄型化した半導体素子の制御安定性に優れた封止材を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
クリストバライトを含む(C)無機充填材と、を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、ガラス転移温度以上での線膨張係数α2が、30ppm/K以上67ppm/K以下であり、
当該半導体封止用樹脂組成物のスパイラルフローが、135cm以上230cm以下であり、
α線カウンターを用いて測定された当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物におけるα線量が、0.000cph/cm 2 以上0.005cph/cm2以下である、半導体封止用樹脂組成物が提供される。
基板と、
前記基板の一面上に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止材層と、を備える、半導体装置であって、
前記封止材層は、当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物である、半導体装置が提供される。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、クリストバライトを含む(C)無機充填材と、を含むものである。本実施形態において、α線カウンターを用いて測定された当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物におけるα線量は、0.005cph/cm2以下とすることができる。
これに対して、本発明者が検討した結果、不純物の含有量を低減させたクリストバライトを用いることにより、封止材から放出されるα線量を所定値以下に制御することができることが判明した。また、当該クリストバライトの分散性を高めることにより、封止材中におけるα線量放出量のバラツキが低減されることが判明した。以上により、薄型化した半導体素子の制御安定性に優れた封止材を提供することができる。
なお、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、半導体素子以外の各種の電子部品にも適用できる。
本実施形態における(A)エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。本実施形態においては、(A)エポキシ樹脂として、とくに非ハロゲン化エポキシ樹脂を採用することが好ましい。
これらのうち、耐湿信頼性と成形性のバランスを向上させる観点からは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびトリフェノールメタン型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むことがより好ましい。また、半導体装置の反りを抑制する観点からは、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むことがとくに好ましい。さらに流動性を向上させるためにはビフェニル型エポキシ樹脂がとくに好ましく、高温の弾性率を制御するためにはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂がとくに好ましい。
一方で、(A)エポキシ樹脂の含有量の上限値は、半導体封止用樹脂組成物の全体に対して、例えば50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。(A)エポキシ樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物を用いて形成される封止樹脂を備える半導体装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
本実施形態における(B)硬化剤は、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、が挙げられる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂、上記したフェノール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂、トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)やm−フェニレンジアミン(MPDA)やジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)や無水ピロメリット酸(PMDA)やベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メルカプタン系硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記のうち異なる系の硬化剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の(C)無機充填材は、少なくともクリストバライトを含むものである。
本実施形態において、低不純物濃度であるクリストバライトとしては、ウランおよびトリウムの不純物濃度の合計量の上限値が、例えば、10ppb以下であることが好ましく、8ppb以下であることがより好ましく、5ppb以下であることが特に好ましい。これにより、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物からなる硬化物におけるα線放出量を非常に低減することができる。一方、ウランおよびトリウムの不純物濃度の合計量の下限値は、例えば、1ppbより大きくする。
本明細書において、不純物濃度の含有量は、金属元素質量換算された値を指す。
なお、(C)無機充填材として、クリストバライトとシリカを併用する場合には、これらの不純物濃度の合計量を、所定値以下としてもよい。
なお、本明細書において、「平均粒径」とは体積50%平均粒子径(D50)を指し、たとえば、(株)島津製作所製レーザー回折散乱式粒度分布計SALD−7000を使用して測定することができる。
一方で、上記クリストバライトの含有量の上限値は、半導体封止用樹脂組成物の全体に対して60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。クリストバライトの含有量を上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物の高い流動性を確保することができる。また、クリストバライトの分散性を高めることができる。
また、(C)無機充填材全体の含有量をこのような範囲に制御することにより、硬化物の線膨張係数α1、α2、25℃における曲げ弾性率E(25)や、260℃における曲げ弾性率E(260)、収縮率S1等の物性値を所望の範囲とすることがより容易となる。このため、半導体装置の反りの抑制に寄与することも可能となる。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、たとえば(D)硬化促進剤をさらに含むことができる。(D)硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、の架橋反応を促進させるものであればよく、一般の半導体封止用樹脂組成物に使用するものを用いることができる。
一方で、(D)硬化促進剤の含有量は、半導体封止用樹脂組成物の全体に対して2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。(D)硬化促進剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止成形時における流動性の向上を図ることができる。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、たとえば(E)カップリング剤を含むことができる。(E)カップリング剤としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシランまたはビニルシランのシラン系化合物がより好ましい。また、充填性や成形性をより効果的に向上させる観点からは、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランに代表される2級アミノシランを用いることが特に好ましい。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物には、さらに必要に応じて、ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;カルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤;酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
このような要求に対し、本発明者らが鋭意検討した結果、半導体封止用樹脂組成物の硬化物について、上記線膨張係数α2を上記特定の範囲に調整することにより、半導体素子を搭載する基板との熱膨張係数の差を緩和することができ、半導体装置全体としての反りを抑制するということを知見した。
一方、260℃における曲げ弾性率E(260)の上限値は、特に制限されないが、たとえば1Gpa以下としてもよく、950MPa以下が好ましく、900MPa以下がより好ましい。260℃における曲げ弾性率E(260)を上記上限値以下とすることにより、封止樹脂としての適度な柔軟性を付与することができ、外部からの応力や、熱応力を効果的に緩和し、リフロー時の耐半田信頼性等を向上させることができる。
一方で、上記硬化物の25℃における曲げ弾性率E(25)の上限値は、特に限定されないが、例えば、40GPa以下が好ましく、30GPa以下が好ましく、20GPa以下がさらに好ましい。硬化物の25℃における曲げ弾性率E(25)を上記上限値以下とすることにより、外部からの応力を効果的に緩和して、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
S1={(175℃における金型キャビティの内径寸法)−(25℃における試験片の外径寸法)}/(175℃における金型キャビティの内径寸法)×100
本実施形態の半導体装置は、基板、半導体素子、封止樹脂層を備えるものである。
本実施形態において、基板としては、たとえばインターポーザ等の有機基板を用いることができる。半導体素子(半導体チップ)は、基板の一面上の搭載されている。半導体素子は、例えば、ワイヤボンディングまたはフリップチップ接続等により、基板と電気的に接続される。複数の半導体素子が実装されていてもよい。例えば、複数の半導体素子は、互いに離間して基板の実装面に配置されてもよいが、互いに積層して配置されていてもよい。複数の半導体素子は、異なる種類を用いてもよい。
図1は、半導体装置100の一例を示す断面図である。
また、基板10の厚さの上限値は、例えば、0.8mm以下としてもよく、0.4mm以下としてもよい。一方、基板10の厚さの下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上としてもよい。
本実施形態によれば、このように半導体パッケージの薄型化を図ることができる。また、薄型の半導体パッケージであっても、本実施形態に係る半導体封止用樹脂組成物を用いて封止樹脂層30を形成することにより、半導体装置100の反りを抑制することが可能となる。また、本実施形態においては、たとえば封止樹脂層30の厚さを、基板10の厚さ以下とすることができる。これにより、半導体装置100をより効率的に薄型化することができる。
図2は、構造体102の一例を示す断面図である。構造体102は、MAP成形により形成された成形品である。このため、構造体102を半導体素子20毎に個片化することにより、複数の半導体パッケージが得られることとなる。
(半導体封止用樹脂組成物の調製)
まず、表1に従い配合された各原材料を常温でミキサーを用いて混合した後、70〜100℃でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕して半導体封止用樹脂組成物を得た。表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。また、表1中の単位は、質量%である。
エポキシ樹脂1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC−3000)
エポキシ樹脂2:トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、JER 1032H−60)
硬化剤1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(日本化薬(株)製、GPH−65)
硬化剤2:トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7500)
無機充填材1:球状溶融シリカ(デンカ(株)社製、商品名「FB560」、平均粒径(D50)30μm)
無機充填材2:クリストバライト(東海ミネラル(株)製、CR−1、平均粒径(D50)5μm)
無機充填材3:下記の製造方法により得られた高純度の球状クリストバライト(平均粒径(D50)7.5μm、ウラン量2.3ppb、トリウム量1ppb未満)
[無機充填材3:上記高純度の球状クリストバライトの製造方法]
シリカを高速混合装置に入れ、高速で混合しながらアルミニウム化合物溶液をスプレーで塗布し、シリカの表面処理を10分間行った。表面処理したシリカを100℃で5時間乾燥させた後、1次粒子に解砕した。解砕した1次粒子を常温から1,400℃まで6時間かけて昇温し、1,400℃で6時間維持、その後1,400℃から600℃まで6時間、600℃から200℃まで4時間かけて温度を下げた。200℃から室温までは自然放冷した。
無機充填材4:球状溶融シリカ(微粉)((株)アドマテックス製、SO−C2、平均粒径(D50)0.5μm)
無機充填材5:球状溶融シリカ((株)アドマテックス製、SO−C5、平均粒径(D50)1.6μm)
無機充填材6:高純度球状溶融シリカ(デンカ(株)製、FB−105X、平均粒径(D50)10.4μm、ウラン量1ppb未満、トリウム量1ppb未満)
無機充填材7:高純度球状溶融シリカ((株)アドマテックス製、SO−E2、平均粒径(D50)0.5μm、ウラン量1ppb未満、トリウム量1ppb未満)
無機充填材8:高純度水酸化アルミニウム(日本軽金属(株)製、BE043、平均粒径(D50)3.0μm、ウラン量1ppb、トリウム量1ppb未満)
なお、本実施例における無機充填材の平均粒径は(株)島津製作所製レーザー回折散乱式粒度分布計SALD−7000を使用して測定した。
硬化促進剤1:下記式で表される硬化促進剤
メタノール1800gを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン249.5g、2,3−ジヒドロキシナフタレン384.0gを加えて溶かし、次に室温攪拌下28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液231.5gを滴下した。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド503.0gをメタノール600gに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し、桃白色結晶の上記硬化促進剤1を得た。
撹拌装置付きのセパラブルフラスコに4,4’−ビスフェノールS37.5g(0.15モル)、メタノール100mlを仕込み、室温で撹拌溶解し、更に攪拌しながら予め50mlのメタノールに水酸化ナトリウム4.0g(0.1モル)を溶解した溶液を添加した。次いで予め150mlのメタノールにテトラフェニルホスホニウムブロマイド41.9g(0.1モル)を溶解した溶液を加えた。しばらく攪拌を継続し、300mlのメタノールを追加した後、フラスコ内の溶液を大量の水に撹拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。沈殿を濾過、乾燥し、白色結晶の上記硬化促進剤2を得た。
カップリング剤:フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、CF4083)
離型剤:モンタン酸エステルワックス(WE―4(クラリアントジャパン(株)製))
イオンキャッチャー:ハイドロタルサイト(DHT−4H(協和化学工業(株)製))
着色剤:カーボンブラック(カーボン#5(三菱化学(株)製))
低応力剤1:シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製、FZ―3730)
低応力剤2:アクリロニトリル−ブタジエンゴム(宇部興産(株)製、CTBN1008SP)
(収縮率)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、得られた半導体封止用樹脂組成物の収縮率を次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間3分の条件下で半導体封止用樹脂組成物を金型キャビティ内に注入成形して円盤状の試験片を作製した。次いで、試験片を25℃まで冷却した。ここで、175℃における金型キャビティの内径寸法と、25℃における試験片の外形寸法と、から以下のようにして収縮率S1(%)を算出した。
S1={(175℃における金型キャビティの内径寸法)−(25℃における試験片の外径寸法)}/(175℃における金型キャビティの内径寸法)×100
結果を表1に示す。
各実施例および各比較例について、得られた半導体封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度および線膨張係数を、次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で半導体封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×4mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃〜320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行った。この測定結果から、ガラス転移温度、ガラス転移温度以下における線膨張係数(α1)、ガラス転移温度以上における線膨張係数(α2)を算出した。表1中、α1とα2の単位はppm/Kであり、ガラス転移温度の単位は℃である。結果を表1に示す。
各実施例および各比較例について、得られた半導体封止用樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率および曲げ強度を、次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で半導体封止用樹脂組成物を注入成形し、幅10mm×厚さ4mm×長さ80mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した。次いで、試験片の、25℃における曲げ弾性率E(25)と、260℃におけるおよび曲げ弾性率E(260)と、をJIS K 6911に準じて測定した。曲げ弾性率の単位はMPaである。結果を表1に示す。
コンプレッション成形機を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間2分で、上記で得られた半導体封止用樹脂組成物から試験片(140mm×120mm、厚さ0.2mm)を成形した。得られた試験片6枚を並べて試験サンプルとし(表面積の合計1008cm2)、この試験サンプルを用いて低レベルα線測定装置(住友化学工業(株)製、LACS−4000M、印加電圧1.9KV、PR−10ガス(アルゴン:メタン=9:1)100m/分、有効計数時間88h)で、試験片のα線量を測定した。表1中「0.000」cph/cm2は検出限界以下であった事を示す。
[(高純度)無機充填材中のウラン量、トリウム量の測定]
(高純度)無機充填材をフッ化水素に溶解して主成分を揮発させた後、残存物を硝酸に溶解し、遠心分離機で処理した上澄み液をセイコーインスツル(株)製の誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)装置SPQ−9000を用いて測定した。
低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製KTS−15)を用いて、ANSI/ASTM D 3123−72に準じたスパイラルフロー測定用金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件にて、上記で得られた半導体封止用樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。単位はcmである。
低圧トランスファー成形機(日本電気(株)製40tマニュアルプレス)を用いて、金型温度175℃、注入速度177cm3/秒の条件にて、幅13mm、厚さ1mm、長さ175mmの矩形状の流路に、上記で得られた半導体封止用樹脂組成物を注入し、流路の上流先端から25mmの位置に埋設した圧力センサーにて圧力の経時変化を測定し、半導体封止用樹脂組成物の流動時における最低圧力を測定した。矩形圧は、溶融粘度のパラメータであり、数値が小さい方が、溶融粘度が低く良好である。矩形圧の値は、6MPa以下であれば問題はなく、5MPa以下であれば、良好な粘度を得ることができる。
MAP成形用のトランスファー成形機(TOWA株式会社製、Yシリーズ)を用い、10×10×0.2mmのSiチップをマウントした基板(基板厚み0.28mm)に、得られた半導体封止用樹脂組成物を使用して、パッケージサイズが13×13×0.68mmとなるよう成形した(成形温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間2分)。次にそのパッケージを175℃、4時間で後硬化することにより、サンプルを得た。得られたサンプル5個をシャドーモアレ式反り測定装置(akrometrix製)を用いて、25℃から260℃へ昇温して、25℃、260℃でのパッケージ高さ方向の最大値最小値の差を測定し、その平均値を表1に示した。単位はμm。表1中、絶対値が小さい方が半導体装置の反りが小さいことを示す。
102 構造体
10 基板
12 半田ボール
20 半導体素子
22 バンプ
30 封止樹脂
32 アンダーフィル
Claims (16)
- (A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
クリストバライトを含む(C)無機充填材と、を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、ガラス転移温度以上での線膨張係数α2が、30ppm/K以上67ppm/K以下であり、
当該半導体封止用樹脂組成物のスパイラルフローが、135cm以上230cm以下であり、
α線カウンターを用いて測定された当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物におけるα線量が、0.000cph/cm2以上0.005cph/cm2以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記クリストバライトの含有量が、当該半導体封止用樹脂組成物全体に対して、5質量%以上60質量%以下であり、かつ、
前記硬化物におけるα線量が、0.000cph/cm2以上0.001cph/cm2以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記クリストバライトの平均粒径が3μm以上20μm以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記クリストバライトが球状クリストバライトを含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、ガラス転移温度が、130℃以上250℃以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、260℃における曲げ弾性率E(260)が、100MPa以上1GPa以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記(C)無機充填材は、さらにシリカを含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項7に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記シリカは、平均粒径が0μm超え1μm以下の微粉シリカを含む、
半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂を含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
2級アミノシランであるカップリング剤をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物は、さらに(D)硬化促進剤を含み、
前記(D)硬化促進剤が、下記一般式(6)〜(9)で示される化合物から選ばれる1種以上を含む、半導体封止用樹脂組成物。
- 請求項1から12のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
モールドアンダーフィル材料として用いられる、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から13のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
粉末状、顆粒状またはタブレット状である半導体封止用樹脂組成物。 - 基板と、
前記基板の一面上に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止材層と、を備える、半導体装置であって、
前記封止材層は、請求項1から14のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物の硬化物である、半導体装置。 - 請求項15に記載の半導体装置であって、
前記半導体素子の上面は露出されているか、又は
前記半導体素子の上面が封止材層に封止されており、前記基板の前記一面から前記封止材層の天面までの前記封止材層の厚さは、0.01mm以上0.4mm以下である、半導体装置。
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