JP6977691B2 - ワイヤハーネス - Google Patents
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Description
本発明は、ワイヤハーネスに関するものである。
従来、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に用いられるワイヤハーネスは、高電圧のバッテリとインバータなどの電気機器間を電気的に接続する電線を有している(例えば、特許文献1参照)。
ところで、上述したようにハイブリッド車や電気自動車等の車両で用いられる電気機器としては高電圧のインバータやバッテリ等があり、電線に例えば数百アンペアの大電流が流れる場合がある。電線に大電流が流れると、電線の発熱量が増大して電線の温度が上昇しやすくなるため、ワイヤハーネスにおける放熱性の向上が望まれている。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、放熱性を向上できるワイヤハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するワイヤハーネスによれば、複数の芯線と、前記複数の芯線の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材と、前記複数の芯線と前記電磁シールド部材とを一括して埋設する絶縁被覆と、を有し、前記絶縁被覆は、前記各芯線と前記電磁シールド部材との間に充填され、前記各芯線の外周面を密着状態で被覆するとともに前記電磁シールド部材の内周面を密着状態で被覆する第1被覆部と、前記電磁シールド部材の外周面を密着状態で被覆する第2被覆部とを有する。
本発明のワイヤハーネスによれば、放熱性を向上させることができるという効果を奏する。
以下、ワイヤハーネスの一実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、添付図面は、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示している。
図1に示すワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器(機器)を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vの前部に設置されたインバータ11と、そのインバータ11よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリ12とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両の床下等を通るように配索される。インバータ11は、車両走行の動力源となる車両駆動用のモータ(図示略)と接続される。インバータ11は、高圧バッテリ12の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ12は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
ワイヤハーネス10は、電線20と、電線20の両端部に取り付けられた一対のコネクタC1と、電線20を車両Vの車体に固定するクランプ60とを有している。電線20は、例えば、2次元状又は3次元状に曲げられるように形成されている。電線20は、例えば、ワイヤハーネス10の配索経路に応じた所定形状に曲げられて形成されている。本実施形態の電線20は、インバータ11に接続されたコネクタC1から車両前後方向に沿って延びる直線部21と、直線部21の端部に設けられた屈曲部22と、屈曲部22から車両下方に向かって延出する延出部23と、延出部23の端部に設けられた屈曲部24とを有している。本実施形態の電線20は、屈曲部24から車両前後方向に沿って延びる直線部25と、直線部25の端部に設けられた屈曲部26と、屈曲部26から車両上方に向かって延出する延出部27と、延出部27の端部に設けられた屈曲部28と、屈曲部28から車両前後方向に沿って延びる直線部29とを有している。
図2に示すように、電線20は、複数本(ここでは、2本)の芯線30と、芯線30の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材40と、複数の芯線30と電磁シールド部材40とを一括して埋設する絶縁被覆50とを有している。
各芯線30は、長尺状に形成されている。各芯線30は、ワイヤハーネス10の配索経路に沿う形状に曲げ加工が可能な可撓性を有している。各芯線30としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚り線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体(単芯線やバスバ等)や内部が中空構造をなす筒状導体(パイプ導体)などを用いることができる。各芯線30の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。各芯線30は、例えば、押出成形によって成形されている。
各芯線30の横断面形状(つまり、芯線30の長さ方向と直交する平面によって芯線30を切断した断面形状)は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。本実施形態の各芯線30の横断面形状は、円形状に形成されている。
複数の芯線30は、例えば、車両幅方向(図2において左右方向)に並んで配置されている。複数の芯線30は、互いに離間して配置されている。複数の芯線30の間には、絶縁被覆50が形成されており、互いに電気的に絶縁されている。
電磁シールド部材40は、筒状をなし、芯線30の外周を全周に亘って包囲している。本実施形態の電磁シールド部材40は、複数の芯線30を一括して包囲するように形成されている。但し、電磁シールド部材40は、各芯線30の外周面から離間した位置に設けられている。換言すると、電磁シールド部材40は、芯線30の外周面に接触していない状態で、複数の芯線30の外周を全周に亘って包囲している。
電磁シールド部材40は、例えば、内周及び外周の断面形状が扁平形状である扁平筒状に形成されている。本明細書において、「扁平形状」には、長方形、長円形や楕円形などが含まれる。本明細書における「長方形」は、長辺と短辺を有するものであり、正方形を除いたものである。また、本明細書における「長方形」には、稜部を面取りした形状や、稜部を丸めた形状も含まれる。本実施形態の電磁シールド部材40は、内周及び外周の断面形状が長方形である角筒状に形成されている。電磁シールド部材40は、例えば、芯線30の長さ方向の略全長に亘って設けられている。
電磁シールド部材40は、例えば、複数の金属素線が筒状に編み込まれた編組部材や金属箔を用いることができる。本実施形態の電磁シールド部材40は、編組部材である。電磁シールド部材40は、例えば、芯線30よりも可撓性に優れている。電磁シールド部材40の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
絶縁被覆50は、複数の芯線30と電磁シールド部材40との間に充填された被覆部51と、電磁シールド部材40の外周面を密着状態で被覆する被覆部52とを有している。絶縁被覆50は、例えば、被覆部51と被覆部52とが一体に形成されている。絶縁被覆50は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレンやポリアミドなどを用いることができる。絶縁被覆50の材料としては、例えば、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂、または硬化方法の異なる複数種類の樹脂が混合された硬化性樹脂を用いることができる。絶縁被覆50は、例えば、芯線30及び電磁シールド部材40に対する押出成形(押出被覆)によって形成することができる。例えば、押出成形により、被覆部51と被覆部52とが同一工程で同時に形成される。
被覆部51は、各芯線30の外周面を全周に亘って密着状態で被覆している。被覆部51は、電磁シールド部材40の内周面を全周に亘って密着状態で被覆している。被覆部51は、隣り合う芯線30の間の空間を充填するように形成されている。被覆部51は、芯線30の外周面と電磁シールド部材40の内周面との間の空間を充填するように形成されている。すなわち、被覆部51は、電磁シールド部材40の内周面よりも内側の空間を充填するように形成されている。このため、本実施形態の被覆部51の横断面形状は、長方形状に形成されている。なお、複数の芯線30は、被覆部51内に埋設されるように形成されている。
被覆部52は、電磁シールド部材40の外周面を全周に亘って密着状態で被覆している。これにより、電磁シールド部材40の外周面が被覆部52によって被覆され、電磁シールド部材40の内周面が被覆部51によって被覆される。換言すると、電磁シールド部材40は、絶縁被覆50(被覆部51,52)内に埋設されるように形成されている。
絶縁被覆50(被覆部51,52)は、例えば、電磁シールド部材40(編組部材)が有する網目に入り込むように形成されている。例えば、絶縁被覆50は、電磁シールド部材40が有する網目を充填するように形成されている。
絶縁被覆50(被覆部52)の外周の断面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。本実施形態の絶縁被覆50(被覆部52)の外周の断面形状は、長方形に形成されている。絶縁被覆50の外周面は、上記長方形の長辺を含む一対の長辺面50Aと、上記長方形の短辺を含む一対の側面50Bとを有している。
本実施形態では、絶縁被覆50の材料として、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることにより、絶縁被覆50をワイヤハーネス10における保護管として機能させるようにした。例えば、光硬化性樹脂からなる絶縁被覆50を押出成形等により形成した後に、その絶縁被覆50に対して光(紫外線など)を照射することにより、絶縁被覆50の硬度を高めることができる。このため、硬度の高められた絶縁被覆50を、飛翔物や水滴から芯線30を保護する保護管として機能させることができる。なお、絶縁被覆50の材料として熱硬化性樹脂を用いる場合も同様に、熱硬化後の絶縁被覆50を保護管として機能させることができる。
例えば、絶縁被覆50の材料として光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いる場合には、電線20を図1に示した配索経路をなすように曲げ加工した後に、光硬化や熱硬化などによって絶縁被覆50が硬化される。この硬化によって、電線20の配索経路、ここでは直線部21,25,29と屈曲部22,24,26,28と延出部23,27とを有する配索経路を維持することができる。すなわち、この場合の絶縁被覆50は、電線20の配索経路を維持する経路規制部材として機能する。
図2に示すように、クランプ60は、例えば、電線20の絶縁被覆50の外周面に取り付けられている。クランプ60は、絶縁被覆50に外嵌される嵌合部61と、車体に固定される固定部(図示略)とを有している。クランプ60の材料としては、例えば、樹脂材料や金属材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、導電性を有する樹脂材料や導電性を有さない樹脂材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、鉄系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
本実施形態の嵌合部61は、略C字状に形成されている。すなわち、嵌合部61は、不連続の環状構造に形成されている。嵌合部61は、互いに対向するように形成された一対のプレート部62,63と、両プレート部62,63の一端部同士を接続する接続部64と、プレート部62,63の他端部にそれぞれ設けられた係止部65,66とを有している。嵌合部61は、例えば、プレート部62,63と接続部64と係止部65,66とが一体に形成された単一部品である。
各プレート部62,63は、例えば、絶縁被覆50の外周面に沿った内面を有している。例えば、各プレート部62,63は、絶縁被覆50の長辺面50Aに沿った内面を有している。
接続部64は、プレート部62の端部とプレート部63の端部とを接続するように形成されている。接続部64は、例えば、絶縁被覆50の側面50Bに沿った内面を有している。
係止部65,66は、プレート部62,63の接続部64とは反対側の端部にそれぞれ設けられている。すなわち、係止部65,66は、長辺方向において接続部64と対向する位置に設けられている。係止部65は、プレート部62の端部からプレート部63に向かって延びるように形成されている。係止部66は、プレート部63の端部からプレート部62に向かって延びるように形成されている。係止部65の先端部は、係止部66の先端部と離間した位置でその係止部66の先端部と対向するように設けられている。嵌合部61では、係止部65,66の間の空間によって、電線20を挿入可能とする挿入部67が形成されている。挿入部67の開口幅は、絶縁被覆50の側面50Bの短辺方向の長さよりも短く設定されている。また、嵌合部61では、プレート部62,63の内面と接続部64の内面と係止部65,66の内面とによって囲まれた空間によって、電線20が収容される収容部68が形成されている。
係止部65の外側面は、係止部65の基端部(プレート部62に接続された端部)から先端部(基端部とは反対側の端部)に向かうに連れて、接続部64に近づくように傾斜された傾斜面65Aに形成されている。係止部66の外側面は、係止部66の基端部(プレート部63に接続された端部)から先端部(基端部とは反対側の端部)に向かうに連れて、接続部64に近づくように傾斜された傾斜面66Aに形成されている。すなわち、傾斜面65A,66Aは、収容部68から遠ざかるに連れて挿入部67の開口幅が拡大するように傾斜している。
嵌合部61は、挿入部67から電線20を収容部68に挿入可能な第1の姿勢と、挿入部67から挿入された電線20を収容部68内に支持可能な第2の姿勢との間で変形可能に構成されている。すなわち、嵌合部61は、係止部65と係止部66との間の間隔(つまり、挿入部67の開口幅)が広がるように弾性変形可能である。例えば、電線20を挿入部67に挿入すると、係止部65の先端部と係止部66の先端部との間隔が一時的に広がるように弾性変形する。そして、電線20が挿入部67を通り抜けて収容部68内に嵌合されると、嵌合部61の環状構造が元の形状に戻るように弾性復帰する、つまり係止部65の先端部と係止部66の先端部との間隔が狭まるように弾性復帰する。すなわち、本実施形態の嵌合部61と電線20とは、弾性変形を利用して抜け止めが行われるスナップフィット構造である。なお、収容部68内に電線20が収容された状態では、例えば、嵌合部61の内面の少なくとも一部が電線20の絶縁被覆50の外周面に接触している。
クランプ60は、図示しない固定部によって、車両の車体に固定されている。このクランプ60によって、電線20が車両の車体に固定されている。
次に、図3に従って、電線20の端部構造について説明する。ここでは、インバータ11(図1参照)側の電線20の端部構造について説明する。
次に、図3に従って、電線20の端部構造について説明する。ここでは、インバータ11(図1参照)側の電線20の端部構造について説明する。
電線20の端部は、インバータ11(図1参照)に接続されたコネクタC1が有する導電性の筒状部材70に挿通されている。筒状部材70の材料としては、例えば、鉄系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。筒状部材70は、その構成金属の種類や使用環境に応じて、錫メッキやアルミニウムメッキ等の表面処理を施していてもよい。筒状部材70は、例えば、内周及び外周の断面形状が長方形の角筒状に形成されている。
電線20の端部では、絶縁被覆50のうち電磁シールド部材40の外周面を被覆する被覆部52が除去されており、電磁シールド部材40が絶縁被覆50から露出されている。また、電線20の端部は、複数の芯線30が絶縁被覆50の被覆部51に被覆された状態で、筒状部材70の内部に挿通されている。すなわち、電線20のうち複数の芯線30及び被覆部51のみが筒状部材70の内部に挿通されている。なお、被覆部52の除去は、例えば、レーザなどを用いて樹脂部分(被覆部52)を選択的に除去することにより行うことができる。このとき、電磁シールド部材40が有する網目に充填された絶縁被覆50を除去してもよいし、残るようにしてもよい。
絶縁被覆50から露出された電磁シールド部材40の端部は、芯線30の外周を被覆する被覆部51(絶縁被覆50)から離間するように引き出されている。電磁シールド部材40の端部は、筒状部材70の外周面に固定されている。電磁シールド部材40の端部は、例えば、筒状部材70に対してその全周を包囲するように外挿されている。電磁シールド部材40は、筒状部材70の外周面に直接接触するように筒状部材70に外挿されている。
電磁シールド部材40の端部は、電磁シールド部材40の外周側に設けられたカシメリング80によって筒状部材70の外周面に接続されている。カシメリング80は、筒状部材70の外周面との間に電磁シールド部材40の端部を挟む態様で筒状部材70に外嵌されている。そして、カシメリング80がカシメ付けられることで、電磁シールド部材40の端部が筒状部材70の外周面に対して直接接触した状態で固着されている。これにより、電磁シールド部材40と筒状部材70との電気的導通が安定的に確保される。
上記説明では、図1に示したインバータ11側の電線20の端部構造について説明したが、高圧バッテリ12側にも同様の端部構造が設けられている。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)複数の芯線30とそれら複数の芯線30の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材40との間に充填された被覆部51と、電磁シールド部材40の外周面を密着状態で被覆する被覆部52とを有する絶縁被覆50を設けた。この構成によれば、芯線30と電磁シールド部材40との間には被覆部51が充填されるため、芯線30の外周面と電磁シールド部材40の内周面との間に断熱層である空気層が介在することを抑制できる。これにより、芯線30の外周面と電磁シールド部材40の内周面との間の熱抵抗を低くできる。また、被覆部52が電磁シールド部材40の外周面を密着状態で被覆するため、電磁シールド部材40と被覆部52との間に断熱層である空気層が介在することを抑制できる。これにより、電磁シールド部材40の外周面と被覆部52の内周面との間の熱抵抗を低くできる。このため、芯線30で発生した熱が、絶縁被覆50の内部に籠もることが抑制され、芯線30で発生した熱を絶縁被覆50の外周面から効率良く大気中に放出することができる。これにより、芯線30で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネス10の放熱性を向上させることができる。この結果、電線20の温度上昇を抑制することができる。
(2)複数の芯線30を一括して被覆するように絶縁被覆50を形成した。このため、例えば1本ずつ芯線を絶縁被覆で被覆した電線を複数本横並びに配設する場合に比べて、隣り合う芯線30同士の間隔を短くできるため、電線20を小型化することができる。
(3)絶縁被覆50の材料として、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いた。この絶縁被覆50を、ワイヤハーネス10における保護管として機能させるようにした。例えば、光硬化性樹脂からなる絶縁被覆50を押出成形等により形成した後に、その絶縁被覆50に対して光(紫外線など)を照射することにより、絶縁被覆50の硬度を高めることができる。このため、硬度の高められた絶縁被覆50を、飛翔物や水滴から芯線30を保護する保護管として機能させることができる。なお、絶縁被覆50の材料として熱硬化性樹脂を用いる場合も同様に、熱硬化後の絶縁被覆50を保護管として機能させることができる。この結果、保護管を省略することができ、部品点数を低減することができる。さらに、絶縁被覆50の外周面がワイヤハーネス10の外表面となるため、芯線30で発生した熱を絶縁被覆50の外周面から効率良く大気中に放出することができる。
(4)また、電線20を所望の配索経路をなすように曲げ加工した後に、光硬化や熱硬化などによって絶縁被覆50を硬化させることができる。このため、硬化後よりも柔軟性に優れている状態の電線20に対して曲げ加工を実施するため、電線20に対する曲げ加工を容易に行うことができる。一方で、光硬化や熱硬化によって、絶縁被覆50の剛性を高めることができるため、その絶縁被覆50によって電線20の配索経路を維持することができる。
(5)絶縁被覆50の外周面に取り付けられ、絶縁被覆50を車体に固定するクランプ60を設けた。この構成によれば、芯線30で発生した熱を、絶縁被覆50及びクランプ60を通じて、表面積の大きい車体に効率良く熱伝達することができる。これにより、芯線30で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネス10の放熱性を向上させることができる。
(6)複数の芯線30を一括して包囲するように電磁シールド部材40を形成した。この構成によれば、筒状部材70に対する電磁シールド部材40の接続を、複数の芯線30の分を1回でまとめて行うことができるため、その接続作業性を向上できる。
(7)電線20の端部では、電磁シールド部材40の端部が被覆部52から露出され、その露出された電磁シールド部材40の端部が筒状部材70の外周面にカシメリング80によって接続されている。この構成によれば、絶縁被覆50の内部に電磁シールド部材40を埋設した場合であっても、電磁シールド部材40の端部における被覆部52を除去することにより、電磁シールド部材40と筒状部材70との電気的導通を安定的に確保することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態における被覆部51と被覆部52とは、電磁シールド部材40を挟んで積層されていればよく、同一工程で同時に形成される必要はない。例えば、芯線30の外周を被覆する被覆部51を押出成形等により形成し、その被覆部51の外周面に電磁シールド部材40を積層した後に、電磁シールド部材40の外周を被覆する被覆部52を押出成形等により形成してもよい。
・上記実施形態における被覆部51と被覆部52とを、互いに異なる樹脂材料で構成するようにしてもよい。例えば、被覆部52を光硬化性樹脂などの硬化性樹脂で構成し、被覆部51を硬化性樹脂よりも安価な樹脂材料で構成するようにしてもよい。このような構成であっても、被覆部52を硬化性樹脂で構成するようにしたため、上記実施形態の(3)及び(4)の作用効果を奏することができる。さらに、被覆部51を安価な樹脂材料で構成することにより、コスト低減を実現することができる。
・上記実施形態では、複数の芯線30の外周を一括して包囲するように電磁シールド部材40を設けたが、これに限定されない。
例えば図4に示すように、複数の芯線30の各々を個別に包囲する複数の電磁シールド部材41を設けるようにしてもよい。すなわち、各電磁シールド部材41は、1つの芯線30の外周を包囲するように設けられている。各電磁シールド部材41は、筒状をなし、1つの芯線30の外周を全周に亘って包囲している。各電磁シールド部材41は、芯線30の外周面から離間した位置に設けられている。複数の電磁シールド部材41は、例えば、互いに離間して設けられている。各電磁シールド部材41としては、例えば、編組部材や金属箔を用いることができる。
例えば図4に示すように、複数の芯線30の各々を個別に包囲する複数の電磁シールド部材41を設けるようにしてもよい。すなわち、各電磁シールド部材41は、1つの芯線30の外周を包囲するように設けられている。各電磁シールド部材41は、筒状をなし、1つの芯線30の外周を全周に亘って包囲している。各電磁シールド部材41は、芯線30の外周面から離間した位置に設けられている。複数の電磁シールド部材41は、例えば、互いに離間して設けられている。各電磁シールド部材41としては、例えば、編組部材や金属箔を用いることができる。
この場合の絶縁被覆50の被覆部51は、各芯線30の外周面と各電磁シールド部材41の内周面との間の空間を充填するように形成されている。また、被覆部52は、複数の電磁シールド部材41の外周を一括して包囲するように形成されている。被覆部52の横断面形状は、例えば、芯線30及び電磁シールド部材41の外周に沿った形状に形成されている。なお、被覆部52の横断面形状を、図2に示した被覆部52と同様に、長方形等の扁平形状に形成してもよい。
・上記実施形態では、絶縁被覆50を略全長に亘って光硬化又は熱硬化させるようにしたが、絶縁被覆50を部分的に光硬化又は熱硬化させるようにしてもよい。例えば、電線20のうち屈曲部22,24,26,28における絶縁被覆50を光硬化又は熱硬化させるようにしてもよい。この場合には、例えば、硬化後の屈曲部22,24,26,28における絶縁被覆50は、他の部分(つまり、直線部21,25,29及び延出部23,27)における絶縁被覆50よりも硬度が高くなっている。この構成によれば、絶縁被覆50(電線20)を部分的に形状固定することができる。
・上記実施形態では、電線20の絶縁被覆50の外周面がワイヤハーネス10の外表面となるようにしたが、これに限定されない。
例えば図5に示すように、電線20の絶縁被覆50の外周を包囲する保護管90を設けるようにしてもよい。保護管90は、全体として長尺の筒状をなしている。保護管90の内部には、電線20が挿通されている。保護管90としては、例えば、金属製や樹脂製のパイプ、コルゲートチューブやゴム製の防水カバー又はこれらを組み合わせて用いることができる。金属製のパイプやコルゲートチューブの材料としては、例えば、アルミニウム系や銅系などの金属材料を用いることができる。樹脂製のパイプやコルゲートチューブの材料としては、例えば、導電性を有する樹脂材料や導電性を有さない樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
例えば図5に示すように、電線20の絶縁被覆50の外周を包囲する保護管90を設けるようにしてもよい。保護管90は、全体として長尺の筒状をなしている。保護管90の内部には、電線20が挿通されている。保護管90としては、例えば、金属製や樹脂製のパイプ、コルゲートチューブやゴム製の防水カバー又はこれらを組み合わせて用いることができる。金属製のパイプやコルゲートチューブの材料としては、例えば、アルミニウム系や銅系などの金属材料を用いることができる。樹脂製のパイプやコルゲートチューブの材料としては、例えば、導電性を有する樹脂材料や導電性を有さない樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
このとき、電線20では、電磁シールド部材40の外周面を密着状態で絶縁被覆50の被覆部52によって覆されているため、電磁シールド部材40からの輻射熱が被覆部52で遮られる。すなわち、本変更例の被覆部52が、電磁シールド部材40からの輻射熱を遮蔽する遮蔽部材として機能する。このため、電磁シールド部材40からの輻射熱が保護管90に伝わることを抑制できる。これにより、保護管90の内部で熱が籠もることを抑制できる。
なお、本変更例の場合には、保護管90を車体に固定するためのクランプは、保護管90の外周面に取り付けられる。
・上記実施形態では、電磁シールド部材40を筒状部材70の外周面に固定するための連結部材としてカシメリング80を用いたが、これに限定されない。例えば、カシメリング80の代わりに、金属バンド、樹脂製の結束バンドや粘着テープ等を連結部材として用いてもよい。
・上記実施形態では、電磁シールド部材40を筒状部材70の外周面に固定するための連結部材としてカシメリング80を用いたが、これに限定されない。例えば、カシメリング80の代わりに、金属バンド、樹脂製の結束バンドや粘着テープ等を連結部材として用いてもよい。
・上記実施形態のクランプ60の構造は特に限定されない。例えば、クランプ60の構造を、電線20の全周を包囲する嵌合部を有する構造に変更してもよい。
・上記実施形態における芯線30の横断面形状を、長円形、楕円形、長方形、正方形や半円状に形成してもよい。
・上記実施形態における芯線30の横断面形状を、長円形、楕円形、長方形、正方形や半円状に形成してもよい。
・上記実施形態では、絶縁被覆50内に埋設される芯線30が2本であったが、これに限定されない。車両の仕様に応じて芯線30の本数は変更することができる。例えば、芯線30の本数は3本以上であってもよい。例えば、ワイヤハーネス10を構成する電線として、低圧バッテリと各種低電圧機器(例えば、ランプ、カーオーディオ等)とを接続する低圧電線を追加した構成としてもよい。
・車両におけるインバータ11と高圧バッテリ12の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、電線20によって接続される電気機器としてインバータ11及び高圧バッテリ12を採用したが、これに限定されない。例えば、インバータ11と車輪駆動用のモータとを接続する電線に採用してもよい。すなわち、車両に搭載される電気機器間を電気的に接続するものであれば適用可能である。
・上記実施形態では、電線20によって接続される電気機器としてインバータ11及び高圧バッテリ12を採用したが、これに限定されない。例えば、インバータ11と車輪駆動用のモータとを接続する電線に採用してもよい。すなわち、車両に搭載される電気機器間を電気的に接続するものであれば適用可能である。
10…ワイヤハーネス、20…電線、21,25,29…直線部、22,24,26,28…屈曲部、23,27…延出部、30…芯線、40,41…電磁シールド部材、50…絶縁被覆、51…被覆部(第1被覆部)、52…被覆部(第2被覆部)、60…クランプ、70…筒状部材、80…カシメリング(連結部材)、90…保護管。
Claims (8)
- 複数の芯線と、
前記複数の芯線の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材と、
前記複数の芯線と前記電磁シールド部材とを一括して埋設する絶縁被覆と、を有し、
前記絶縁被覆は、前記各芯線と前記電磁シールド部材との間に充填され、前記各芯線の外周面を密着状態で被覆するとともに前記電磁シールド部材の内周面を密着状態で被覆する第1被覆部と、前記電磁シールド部材の外周面を密着状態で被覆する第2被覆部とを有するワイヤハーネス。 - 前記第2被覆部は、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる請求項1に記載のワイヤハーネス。
- 前記絶縁被覆の外周面に取り付けられ、前記絶縁被覆を車体に固定するクランプを更に有する請求項2に記載のワイヤハーネス。
- 前記絶縁被覆の屈曲部は、前記絶縁被覆の他の部分よりも硬度が高い請求項2又は3に記載のワイヤハーネス。
- 前記絶縁被覆の外周を包囲する筒状の保護管を更に有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
- 前記電磁シールド部材は、前記複数の芯線を一括して包囲するように形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
- 前記電磁シールド部材は、前記複数の芯線の各々を個別に包囲する複数の電磁シールド部材を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
- 前記電磁シールド部材の端部が外周面に接続される導電性の筒状部材を更に有し、
前記芯線の端部では、前記電磁シールド部材の端部が前記第2被覆部から露出されるとともに、前記芯線の端部が前記第1被覆部に被覆された状態で前記筒状部材の内部に挿通されており、
前記第2被覆部から露出された前記電磁シールド部材の端部が前記筒状部材の外周面に連結部材によって接続されている請求項1〜7のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
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