JP6976516B2 - 透過型回折格子、光導波路、ならびに透過型回折格子の使用方法および設計方法 - Google Patents

透過型回折格子、光導波路、ならびに透過型回折格子の使用方法および設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、透過型回折格子、光導波路、ならびに透過型回折格子の使用方法および設計方法に関する。
近年、分光計測の分野において、広い波長範囲を同時に計測するためにエシェル分光法が広く利用されるようになった。エシェル分光法では、高次回折光を利用する高分散回折格子とプリズムや低分散の回折格子等の垂直分散素子等とを組み合わせて、2次元撮像装置にスペクトルを折り込んでいる。
また、天文学観測においては、望遠鏡の大型化に伴って分光観測装置も巨大化するため、光学系の小型化が可能な透過型回折格子の開発が求められている。特に入射角(入射光と回折格子法線のなす角)と回折角(回折光と回折格子法線のなす角)が45°の回折格子は、光軸が直角に折れ曲がるため、分光器等の光学系の配置が簡素になり、装置の小型化や光学調整の簡便さに貢献できる。
このような状況の下、たとえば、現在建設中の30m望遠鏡(TMT)の第一期観測装置であるWFOS(Wide-Field Optical Spectrometer)では、紫外線から近赤外線の波長(300〜1000nm)に対して、大きな回折角(たとえば36°〜53°)で、高次回折光を精度良く測定可能な透過型回折格子の開発が求められている。
しかしながら、図6のような従来の鋸歯形状(階段形状)を有する表面刻線型の透過型回折格子は、回折角が大きくなる(角度分散が大きくなる)のにしたがって、格子を満たす媒質の屈折率を大きくしなければならない。
入射角と回折角が等しい(θ2 = α+θ0)とすると、入射と出射の界面において以下のスネルの屈折の式が成立する。
Figure 0006976516

式(1−2)を加法定理によって変形して、式(1−1)を代入すると、
Figure 0006976516

となり、屈折率が与えられた場合の入射角と頂角の関係の式を導くことができる。
ここで、入射角と回折角が45°(θ=45°)の場合には臨界角の制限(θ<90°)から、回折格子を満たす媒質の屈折率は2.3以上とする必要がある。可視光において屈折率が2.3以上の透明な媒質はZnSeやZnS、TiO、ダイアモンド等に限られる。さらに、波長400nm以下では、屈折率が2.3以上の透明な媒質はダイアモンド以外に存在しない。なお、格子を入射側と出射側の両方に配置した場合には、上記屈折率の制限は緩くなるが、光束が格子に入射しない斜面により大きくケラレるために回折効率が著しく低下してしまう。
この問題を解決するために、図7(A)に示すような厚い矩形回折格子(Volume Binary grating。以下、VB回折格子と称する)や図8(A)に示すようなQuasi-Bragg回折格子(以下、QB回折格子)が提案されている。
VB回折格子は、S偏光とP偏光の特性を一致させて自然光偏光に対して高い回折効率を達成しようとすると、たとえば入射角と回折角が45°の場合に1次回折光では、畝の幅(L)に対する溝の幅(S)の比(デューティ比)を5:1、溝の幅(S)に対する深さ(t)の比(アスペクト比)が1:23程度となる。可視光の1次回折光用として、石英のVB回折格子(格子周期:Λ〜0.4μm)の試作が非特許文献1および、数値計算が非特許文献2に報告されている。一方、2〜5次の回折光に対応するためには、デューティ比が10:1、アスペクト比が1:24程度となるが、全ての次数が同時に高い回折効率を達成することができない。さらに、6次以上に対応する場合にはデューティ比が20:1、アスペクト比が1:36程度となってしまう。
図7(B),7(C)は、それぞれVB回折格子(格子周期5μm、デューティ比20:1、格子厚さ9μm、アスペクト比1:36、ブラッグ角45°、屈折率n=1.55)のS偏光およびP偏光の回折効率を示す。VB回折格子はS偏光の効率がP偏光より低く、特に7次以下の効率の低下が著しい。
アスペクト比が10以上のVB回折格子が製造可能な方法として、シリコンの異方性エッチングが挙げられる。しかし、シリコンは可視光において不透明な媒質である。また、可視光や紫外線用の数次から数十次のVB回折格子(入射角45°、格子周期2〜10μm、デューティ比10:1〜20:1(すなわち溝の幅が0.1〜1μm)、アスペクト比が1:10以上)の製造は、最新の半導体技術やMEMS技術を用いても極めて困難である。
一方、図8(A)に示すようなQB回折格子(特許文献1)は、ミラー基板の積層等による簡易な製作方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、前記のミラー基板の積層方法では格子周期Λ=100μm程度(ブラッグ角:θ=45°、波長700nmにおいて200次)が限界であり、この方法によって近紫外線から近赤外線用の数次〜数十次(θ=36〜53°、Λ=2〜10μm)のQB回折格子を製作することは困難である。また、フォトリソグラフによって深い溝を加工する場合(特許文献1)には格子周期が概ね2〜100μmのQB回折格子の製作が可能であるが、深い溝のフォトリソグラフは製作方法の条件出しに膨大な時間を要するため、一品物や小ロット品の製造には不向きである。
図8(B)、8(C)は、それぞれQB回折格子(格子周期Λ=5μm、ブラッグ角θ=45°)のS偏光およびP偏光の回折効率を示す。QB回折格子では表面プラズモンの影響によりエネルギーが吸収されてP偏光またはS偏光のいずれかで効率が落ちる。特にP偏光はS偏光より効率が10%程度低く、8〜9次において効率の低下が著しい。
特許第4537318号公報 特開2007−264109号公報
M. C. Gupta, S. T. Peng, "Diffraction characteristics of surface-relief gratings," Appl. Opt. 32, 2911-2917 (1993) H. J. Gerritsen, M. L. Jepsen, "Rectangular surface-relief transmission gratings with a very large first- order diffraction efficiency (95%) for unpolarized light," Appl. Opt. 37, 5823-5829 (1998).
上述のように、従来技術では、近紫外線から近赤外線の分光計測において、比較的大きな回折角で高効率な回折格子を提供することは困難である。
このような問題を考慮して、本発明は、大きな回折角が実現できる透過型回折格子を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、
第1斜面と第2斜面とを含み断面が鋸歯状であり直線状に延びる格子が一定の間隔で複数設けられた第1表面と、
平面形状の第2表面と、
を備え、
前記第2斜面には反射膜が設けられておらず、
所定の入射角で前記第1表面の前記第1斜面に入射した光束が、臨界角を超える角度で前記第2斜面に入射して全反射し、前記第2表面から出射する、
ことを特徴とする透過型回折格子である。
このように鋸歯状の第1表面の第1斜面から入射した光束を第2斜面において反射させることによって、回折格子を満たす媒質の屈折率が小さくても、大きな回折角を実現できる。さらに、本態様に係る回折格子は比較的容易に製造可能であるという利点もある。
本発明において、上記の所定の入射角は20度以上80度以下のいずれかの角度とすることが好ましく、45度であることがさらに好ましい。なお、入射角は第2表面の法線(回折格子法線)と入射方向のなす角度によって定義する。
また、本発明において、前記光束が前記第2表面から出射する際の出射角(回折角)は入射角と等しい(反射型回折格子に採用されるリトロー・マウントと等価である)、ことが好ましい。出射角は、第2表面の法線と出射方向のなす角度によって定義する。入射角と回折角が等しいと像形状に歪みが生じないので好適である。
また、本発明において、前記第1斜面および前記第2斜面が前記第2表面となす角度をそれぞれα、β(いずれも鋭角)としたときに、下記式を満たすことが好ましい。この条件を満たせば、入射角と回折角が等しくなる。
Figure 0006976516

ただし、
θは前記光束の前記透過型回折格子への入射角、
nは前記透過型回折格子の屈折率、
Figure 0006976516

θは前記光束の前記透過型回折格子の第2表面からの出射(回折)角、
Rは直角
ψは回折光の拡がり角度である
さらに、第2斜面で反射した光束が第1斜面によってケラレず、かつ、第2斜面で反射した光束が第1斜面と平行に近い角度で伝播することが好ましい。これにより高い回折効率が実現できるためである。この条件から、第1斜面および第2斜面の傾斜を決定できる。なお、回折格子の周期は、測定対象の光の波長と回折次数によって決定できる。
本発明において、前記光束は、前記第2斜面において全反射することが好ましい。すなわち、前記光束は臨界角を超える角度で第2斜面に入射することが好ましい。この条件を満たさない場合には、前記第2斜面に反射膜(金属膜または誘電体膜)が設けられることが好ましい。
本発明の第二の態様は、第1斜面と第2斜面とを含み断面が鋸歯状であり直線状に延びる格子が一定の間隔で複数設けられた第1表面と、平面形状の第2表面と、を備え、前記第2斜面に反射膜が設けられていない透過型回折格子の使用方法であって、前記第1表面の前記第1斜面に光束を入射することによって、当該光束を、臨界角を超える角度で前記第2斜面に入射させて全反射させ、前記第2表面から出射させる、ことを特徴とする。
本態様において、前記光束は20度以上80度以下のいずれかの入射角で入射されることが好ましい。また、前記光束は、前記第2斜面において全反射するように入射されることが好ましい。
本発明の第三の態様は、第1斜面と第2斜面とを含む鋸歯状の第1表面と、平面形状の第2表面と、を備え、所定の入射角で前記第1表面の前記第1斜面に入射した光束が、前記第2斜面で反射し、前記第2表面から出射する透過型回折格子の設計方法である。本態様に係る設計方法では、前記第1斜面および前記第2斜面が前記第2表面となす角度をそれぞれα、β(いずれも鋭角)としたときに、
Figure 0006976516

によって角度α、βを決定することを特徴とする。
ただし、
θは前記光束の前記透過型回折格子への入射角、
nは前記透過型回折格子の屈折率、
Figure 0006976516

θは前記光束の前記透過型回折格子の第2表面からの出射(回折)角、
Rは直角、
ψは回折光の拡がり角度である。
本発明は、上記に記載の透過型回折格子を備える光導波路、光学装置(分光計測装置、ラジカル計測装置)、光学システムとして捉えることができる。たとえば光多重通信(WDM)において波長混合・弁別光学素子(光経路切替素子)としてアレイ導波路回折格子(AWG)が用いられる。本発明は、上記の透過型回折格子をAWGの代わりの上記波長混合・弁別光学素子あるいは当該透過型回折格子を上記波長混合・弁別光学素子として含む光導波路として捉えることができる。
本発明によれば、大きな回折角が実現できる透過型回折格子を提供できる。
図1は、実施形態に係る透過型回折格子の構造を説明する図である。 図2は、実施形態に係る透過型回折格子内を伝播する光束を説明する図である。 図3は、実施形態に係る透過型回折格子を伝播する光束を説明する図である。 図4(A)〜図4(C)は、実施形態に係る透過型回折格子の製造方法を説明する図である。 図5(A),図5(B)は、実施形態に係る透過型回折格子の回折効率の数値解析結果である。 図6は、従来技術に係る鋸歯形状の透過型回折格子を説明する図である。 図7(A)は、従来技術に係るVB回折格子を説明する図および、図7(B)と図7(C)は、VB回折格子の回折効率の数値解析結果である。 図8(A)は、従来技術に係るQB回折格子を説明する図および、図8(B)と図8(C)は、QB回折格子の回折効率の数値解析結果である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る透過型回折格子について説明する。
<概略>
図1は、本発明の実施形態に係る透過型回折格子1の構造を説明する図である。図2は、透過型回折格子1内を伝播する光束を示す図である。
図1に示すように、回折格子1は、鋸歯形状(階段形状)の表面刻線型の透過型回折格子である。回折格子1の一方の面10(以下、第1表面10と称する)は、第1斜面11と第2斜面12を含んで構成される。他方の面20(以下、第2表面20と称する)は、平面形状である。
図2に示すように、第1表面10の第1斜面11に入射した光束は、第2斜面12で反射し、第2表面20から出射する。このように、回折光の強度を強める方向に反射により光束を導くので、回折格子1の屈折率が小さくても、大きな回折角にも対応することができる。
本実施形態に係る回折格子1が計測対象とする波長および回折光の次数は、特に限定されない。波長は、10nm(紫外線)から1,000,000nm(赤外線)までの任意の波長範囲、たとえば、120〜400nm(極端紫外線10〜120nmを除く紫外線)や400〜700nm(可視光線)、700〜3,000nm(近赤外線)、3,000〜30,000nm(中間赤外線)、30,000〜1,000,000nm(遠赤外線)などを計測対象としてよい。また、次数は、1次〜数千次の適宜の範囲、たとえば、1次〜数次、1次〜数十次、数次〜数十次、数十次〜数千次などを計測対象としてよい。
<形状設計>
本実施形態に係る回折格子1は、分光計測対象の光の波長および回折光の次数、入射角、および回折角に応じて、適切な形状が決定される。以下では、上記のパラメータが与えられた際の回折格子1の形状を説明する。
なお、以下の説明では、図1に示すように、第1斜面11と第2表面20がなす角度をα、第2斜面12と第2表面20がなす角度をβ、第1斜面11と第2斜面12がなす角度をγ(=2R−α−β)と表す。また、第1表面10の格子ピッチをΛ、格子の高さをtと表す。また、回折格子1を満たす媒質の屈折率をnと表す。
まず、図3を参照して、第1斜面11および第2斜面12の角度α、βの設計方法について説明する。光束の入射光の入射角がθ、回折角がθと与えられたものとする。なお、入射角θおよび回折角θは、いずれも第2表面20(平面)の法線とのなす角度によって定義される。
第1斜面11における屈折の式より、以下の式(2−1)(2−2)が成立する。
Figure 0006976516
また、三角形ABE、BDFの内角の和より、以下の式(2−3)(2−4)が成立する。
Figure 0006976516
また、第2表面20における屈折の式より、以下の式(2−5)が成立する。
Figure 0006976516
式(2−2)と式(2−1)、(2−3)、(2−4)を代入すると、
Figure 0006976516

が得られる。なお、Rは直角(90°)であり、θは式(2−5)より、
Figure 0006976516

である。
このように、回折格子1に対する入射角θおよび回折角θが定まると、第1斜面11および第2斜面12の角度α、βの関係が定まる。角度α、βは式(2−6)を満たす範囲で設定すればよいが、第2斜面12で反射した光束が第1斜面11とほぼ平行に伝播することが好ましい。この条件は、以下の式(2−7)のように表せる。
Figure 0006976516
ただし、回折光はある程度の拡がりを持つ(たとえば、±2.5°)ので、第2斜面12で反射した光束が第1斜面11でケラレないように、第1斜面11の角度αは式(2−7)で求められる角度よりも小さくすることが好ましい。角度αは、第2斜面12で反射した光束(計測対象の次数の回折光)が第1斜面11にケラレず、かつ、式(2−7)の値に最も近いことが好適である。具体的には、角度αは以下の式(2−7’)の値に近いほど好ましい。
Figure 0006976516

ただし、φは回折光の拡がり角度である。
角度αが決定すると、式(2−6)を変形した下記の式(2−8)から角度βを決定できる。
Figure 0006976516
格子のピッチΛは、ブラッグの条件式
Figure 0006976516

を満たすように、分光計測対象の光の波長λと回折次数mの範囲に応じて決定すればよい。第1斜面11および第2斜面12の角度α、βと格子ピッチΛが決まれば、格子の高さtは決定される。
なお、第2斜面12に対する光束の入射角が臨界角を超える場合には全反射する。しかしながら、この入射角が臨界角以内である場合には全反射しないので、この場合には第2斜面12に金属膜または誘電体膜の反射膜を設けることが好ましい。
<設計例>
以下、入射角および回折角が45°であり、格子および基板の屈折率がn=1.54の場合の、回折格子1の形状を説明する。なお、入射角および回折角が等しいと、像形状に歪みが生じないので好適である。また、入射角および回折角が45°で等しいと、光軸が直角に折れ曲がるため光学系の配置の簡素化につながり、さらに好ましい。
θ=θ=45°、n=1.54、および式(2−5’)より、θ=27.33°、式(2−7)より、α=62.67°である。
しかしながら、回折角はθ5±2.5°なので、光束が第1斜面11でケラレないためには、式(2−7’)より、
Figure 0006976516

を満たす必要がある。すなわち、角度αは62.67°よりも、1.27°(=62.67°−61.40°)以上小さくなる。
また、α=61.40°とすると式(8)より、β=78.25°が求められる。
この場合、θ=50.9°>sin−1(1/1.54)=40.4°なので、第2斜面12において全反射する。したがって、第2斜面12に反射膜を設ける必要はない。
格子周期Λと回折次数mは分光器に用いられる2次元撮像検出器のサイズや分解能、波長帯域幅、スリットの高さ等を考慮して設計される。具体的には格子周期Λが5μmの回折格子を用いて、入射角と回折角が45°、波長300〜1000nmを同時に分光計測する場合に、式(2−9)より、
mλ=5000× (2×sin 45°) [nm]
であるから、回折次数を求めるとm=7〜23次となる。より大きな回折次数に対応するためには格子周期Λをより大きくすればよく、より小さな回折次数に対応するためには格子周期Λをより小さくすればよい。
なお、入射角θと回折角θが等しく、回折格子の屈折率がn=1.54のときに、入射角θに応じた、第1斜面11および第2斜面12の角度α、β、第2斜面12における反射角θを求めると以下のようになる。
Figure 0006976516
<製造方法>
以下、図4(A)〜図4(C)を参照して、本実施形態に係る透過型回折格子の製造方法を説明する。なお、以下の説明は、本実施形態に係る透過型回折格子が製造可能なことを示すことを目的とするものであり、その製造方法を限定することを目的とするものではない。
まず、ガラス、金属、またはセラミックスの基板の表面に厚さ10μm程度の無電界ニッケル・リンメッキが施されたワーク101を用意する。このワーク101に対して、図4(A)に示すように、作製する回折格子の溝の角度に合わせたダイアモンドバイト102を超精密加工機に取り付けて切削(シェーパー)加工によりマスター格子103を製作する。
次に、図4(B)に示すように、マスター格子103の表面に離型剤を塗布して紫外線硬化型あるいは2液性硬化型の透明樹脂104を流し込み、ガラス基板105を密着させる。ガラス基板105の表面にはシランカップリング剤等を塗布して樹脂104との結合を強くすることが好ましい。
ガラス基板105と樹脂104のレプリカ格子106をマスター格子105から剥離することにより、図4(C)に示すように、本実施形態に係る透過型回折格子106が完成する。
無電界のニッケル・リンメッキは非晶質であり、切削加工による精密光学素子用の金型素材として優れている。また、精密加工装置と単結晶ダイアモンド工具を用いたシェーパ加工は刃先形状を極めて精度良く転写できるため、本実施形態の回折格子の金型製作に好適である。
<実験結果>
数値シミュレーションによって求められる回折光の効率を説明する。ここでは、以下の形状を有する透過型回折格子を対象に、厳密結合波解析(RCWA)法を用いたシミュレーションを行った。
α=61.66°
β=88.2°
Λ=5μm
n=1.54
計算次数:±50次
図5(A)はS偏光波、図5(B)はP偏光波の各次数の効率を示す図である。図では、4次(長波長側)〜23次(短波長側)のグラフが描かれている。紫外線から近赤外線(300〜2000nm)の波長について、全ての次数にわたりS偏光波およびP偏光波の両方で80%前後の効率が得られることが分かる。
<補足説明>
格子の設計方法の説明において、幾何光学に基づく説明をしたが、RCWA(Rigorous Coupled-Wave Analysis:厳密結合波解析)のような手法を用いて設計してもよいことは当業者であれば理解できるであろう。
また、第1斜面11に入射した光束が第2斜面12で反射するという条件を満たせば、必ずしも上記で説明した形状を取る必要はない。たとえば、第1斜面11と第2斜面の交わる部分は丸みを帯びていても良いし、第1斜面、第2斜面、あるいは第2表面は完全な平面ではなくても良い。
また、上記の説明では真空中あるいは空気中での利用(屈折率=1)を想定しているが、必ずしもその必要はない。回折格子が真空または空気以外と接していても構わない。その場合も上記と同様の手法によって形状の設計が可能である。
本実施形態にかかる透過型回折格子は、エシェル分光計測のための分散光学素子として利用できる以外に、波長多重光通信(WDM:Wavelength Division Multiplexing)の合波・分波素子や光コンピューティング用の導波路中の回折格子、としても好適に利用可能である。具体的にはWDMにおいて波長混合・弁別光学素子(光経路切替素子)として使用されるアレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)のような回折格子として利用できる。
本実施経形態にかかる透過型回折格子は、さらに格子周期を数10μm〜100mm程度とすれば、回折格子としてではなく、外光を天井や部屋の奥に導いて照明として利用する機能性の省エネ窓等の応用も可能である。
1・・透過型回折格子
10・・第1表面
11・・第1斜面
12・・第2斜面
20・・第2表面

Claims (7)

  1. 第1斜面と第2斜面とを含み断面が鋸歯状であり直線状に延びる格子が一定の間隔で複数設けられた第1表面と、
    平面形状の第2表面と、
    を備え、
    前記第2斜面には反射膜が設けられておらず、
    所定の入射角で前記第1表面の前記第1斜面に入射した光束が、臨界角を超える角度で前記第2斜面に入射して全反射し、前記第2表面から出射する、
    透過型回折格子。
  2. 前記入射角は、前記第2表面の法線と入射方向のなす角度であり、
    前記所定の入射角は、20度以上80度以下のいずれかの角度である、
    請求項1に記載の透過型回折格子。
  3. 前記光束が前記第2表面から出射する際の出射角は入射角と等しい、
    請求項1または2に記載の透過型回折格子。
  4. 前記第1斜面および前記第2斜面が前記第2表面となす角度をそれぞれα、β(いずれも鋭角)としたときに、下記式を満たす、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の透過型回折格子。
    Figure 0006976516

    ただし、
    θは前記光束の前記透過型回折格子への入射角、
    nは前記透過型回折格子の屈折率、
    Figure 0006976516

    θは前記光束の前記透過型回折格子の第2表面からの出射(回折)角、
    Rは直角、
    ψは回折光の拡がり角度である。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の透過型回折格子を備える光導波路。
  6. 第1斜面と第2斜面とを含み断面が鋸歯状であり直線状に延びる格子が一定の間隔で複数設けられた第1表面と、平面形状の第2表面と、を備え、前記第2斜面に反射膜が設けられていない透過型回折格子の使用方法であって、
    前記第1表面の前記第1斜面に光束を入射することによって、当該光束を、臨界角を超える角度で前記第2斜面に入射させて全反射させ、前記第2表面から出射させる、
    使用方法。
  7. 第1斜面と第2斜面とを含む鋸歯状の第1表面と、平面形状の第2表面と、を備え、所定の入射角で前記第1表面の前記第1斜面に入射した光束が、前記第2斜面で反射し、前記第2表面から出射する透過型回折格子の設計方法であって、
    前記第1斜面および前記第2斜面が前記第2表面となす角度をそれぞれα、β(いずれも鋭角)としたときに、
    Figure 0006976516

    によって角度α、βを決定することを特徴とする設計方法。
    ただし、
    θは前記光束の前記透過型回折格子への入射角、
    nは前記透過型回折格子の屈折率、
    Figure 0006976516

    θは前記光束の前記透過型回折格子の第2表面からの出射(回折)角、
    Rは直角、
    ψは回折光の拡がり角度である。
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