以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、夫々、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
図1,図2を参照し、パチンコ機1の機械的構成を説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上部の左右の角にはスピーカ10が夫々設けられている。遊技盤2の背面側には機構盤8が設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。発射機で発射された遊技球は、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の上部中央には、始動口17が設けられている。遊技領域4の略中央には、上センター役物15が設けられ、その下方には、下センター役物16が設けられている。上センター役物15は、球入口41、球通路42、球通路43、2つのアウト口45、クルーンユニット50、リング部18,19等を備える。球入口41は、上センター役物15の上部中央に設けられ、始動口17の直下に位置する。2つのアウト口45は、球入口41の左右両側に設けられている。球通路42は、球入口41の下方に設けられている。球通路42は、球入口41に流入した遊技球を受け入れ、下方に位置するクルーンユニット50に案内する。
クルーンユニット50は、クルーン部材51を備える。クルーン部材51は、上下方向に延びる回転軸57(図4参照)を中心に回転可能な略円柱体であり、後述するモータ52(図4参照)の駆動で回転する。詳細は後述するが、クルーン部材51の上面には、遊技球が旋回して転動可能な転動面511が形成されている。転動面511には、4つの孔71〜74と、2つのチャンス孔81,82(以下、これら6つの孔を総称する場合は「孔71〜74,81,82」と呼ぶ)が設けられている。球通路42を流れた遊技球は、回転するクルーン部材51の転動面511の左側に落下する。落下した遊技球は、転動面511を旋回し、孔71〜74,81,82の何れかに落下する。チャンス孔81,82の何れかに落下した遊技球は、クルーン部材51の直下に設けられた球通路43を流れ、上センター役物15の下部から下方に排出される。孔71〜74の何れかに落下した遊技球は、遊技盤2の背面側に設けられた排出通路(図示略)に排出される。リング部18,19は、上センター役物15の中央部に設けられ、例えば透明な樹脂部材で形成されている。リング部18,19は、クルーン部材51を内側に回転可能に支持する。
下センター役物16は、上から順に、球入口60、球通路61、シーソー部材62等を備える。球入口60は、下センター役物16の上部中央に設けられている。上センター役物15の球通路43から下方に排出された遊技球は、下センター役物16の球入口60に流入する。球通路61は、球入口60の下方に設けられている。球通路61は、球入口60に流入した遊技球を受け入れ、下方に位置するシーソー部材62に案内する。シーソー部材62は左右方向に延び、その中間点を支点にして、モータ(図示略)の動力で左右の両端部が上下動する揺動運動を繰り返す。シーソー部材62は揺動運動によって、球通路61を流れた遊技球を左右に振り分ける。例えば、遊技球がシーソー部材62の右側に落下すると大当たり、左側に落下すると所定数の賞球が払い出される。
遊技領域4の右側には、上から順に、第一普通電動装飾体21、第二普通電動装飾体22、第三普通電動装飾体23、第四普通電動装飾体24が設けられている。第四普通電動装飾体24の右斜め下方には、一般入賞口26が設けられている。遊技盤2の右下部には、図柄表示部28が設けられている。図柄表示部28は、第一普通当たり判定、第二普通当たり判定、第三普通当たり判定、および第四普通当たり判定の結果および各判定における保留球数等を、例えばLEDで表示する。遊技領域4の左側には、上から順に、4つの一般入賞口31〜34が設けられている。遊技盤2には、上記以外に各種の電飾ランプ、入賞口、風車、および遊技くぎ等が設けられている。
図4〜図7を参照し、クルーンユニット50の具体的構造を説明する。図4に示すように、クルーンユニット50は、クルーン部材51、モータ52、三枚のギア53〜55等を備える。クルーン部材51は、例えば、透明な樹脂(例えば、プラスチック等)で形成され、上下方向に延びる回転軸57を中心に回転可能に支持された略円柱体である。クルーン部材51の内部は空洞であり、底面側は下向きに開放されている。クルーン部材51の上面には、転動面511が形成されている。転動面511は平面視略円形状に形成され、その中央部には、膨出部515が設けられている。膨出部515は、上方に向けて略半球状に膨出している。転動面511の周囲には、リング部18の内周面が位置する。それ故、遊技球は転動面511から落下することなく、旋回しながら転動できる。
転動面511には、膨出部515を取り囲むようにして、6つの孔71〜74、81,82が設けられている。図5に示すように、チャンス孔81を基点として、膨出部515を中心に平面視時計回りに等間隔(例えば60°毎)で、孔71、孔72、チャンス孔82、孔73、孔74の順に設けられている。チャンス孔81と82は、膨出部515を中央に挟んで互いに対向する位置に配置されている。孔71〜74は、転動面511の径方向に直交する方向に長軸を有する平面視略長円状に形成され、例えば遊技球が余裕を持って通過できる程度の面積を有する。これに対し、チャンス孔81,82は平面視円形状に形成され、孔71〜74よりも小さく、且つ遊技球が通過できる程度の面積を有する。
即ち、本実施形態においては、転動面511に設けられた6つの孔のうち、チャンス孔81,82は2個、他の孔71〜74は4個であることに加え、チャンス孔81,82は、他の孔71〜74に比べて小さくなっている。このことから、チャンス孔81,82に遊技球が落下する確率は、孔71〜74に落下する確率よりも低くなっている。このような転動面511において、チャンス孔81,82が他の孔71〜74に比べて小さいことが遊技者に分からないようにする為、チャンス孔81,82の夫々の外周部には、塗装部90が施されている。塗装部90は、視覚効果により、チャンス孔81,82を疑似的に大きく見せることができる。なお、塗装部90の構成については後述する。
一方、図4,図6に示すように、クルーン部材51の側面512には、2つの出口孔85,86が設けられている。出口孔85は、側面512においてチャンス孔81に近接する位置に設けられ、クルーン部材51の内部に設けられた第一通路(図示略)を介してチャンス孔81と連通する。出口孔86は、側面512においてチャンス孔82に近接する位置に設けられ、クルーン部材51の内部に設けられた第二通路(図示略)を介してチャンス孔82と連通する。出口孔85と86は、側面512において互いに反対側に位置する。出口孔85と86は、互いに同一形状であり、正面視下側が略U字状に湾曲するかまぼこ状に形成されている。出口孔85,86の夫々の外周部のうち上縁部を除く部分には、チャンス孔81,82と同様に、出口孔85,86を強調して見せる為に、塗装部100が施されている。なお、塗装部100の構成についても後述する。出口孔85,86から排出された遊技球は、上センター役物15の下側中央に設けられた球通路43を通過し、上センター役物15の下方に排出される。
図4に示すように、クルーン部材51の上壁の下面の中心部には、回転軸57の上端部が下方から挿入固定されている。回転軸57の下端部は、クルーン部材51の下部から下方に突出して延びている。ギア53は、回転軸57の下端部に固定されている。それ故、ギア53を回転すると、回転軸57及びクルーン部材51も一体して回転する。モータ52は、クルーン部材51の側方且つ近傍に配置されている。ギア55は、モータ52の底部側に設けられている。モータ52の駆動軸は上下方向に延び、その下端部に固定された小ギア(図示略)は、ギア55と噛合する。それ故、モータ52が駆動すると、ギア55が回転する。ギア54は、ギア55とギア53の間に配置されて何れにも噛合する。ギア54は、支軸541を中心に回転可能に支持されている。
上記構造を備えるクルーンユニット50において、モータ52が駆動すると、例えばギア55が平面視反時計回りに回転し、ギア54が平面視時計回りに回転し、ギア53が平面視反時計回りに回転する。これによって、ギア53及び回転軸57と共に、クルーン部材51が平面視反時計回りに回転する。このようにして、クルーンユニット50は、モータ52の動力を、三枚のギア53〜55で、クルーン部材51を回転させる動力に変換する。
図4,図5,図7を参照し、チャンス孔81,82の外周部に施される塗装部90の構成について説明する。図7は、本実施形態の比較例であり、チャンス孔81,82の外周部に塗装部90を施していない転動面511の平面図である。なお、本実施形態では、チャンス孔81,82の外周部に施される何れの塗装部90も構成が同一であるので、ここでは、チャンス孔81の外周部に施される塗装部90の構成を例に説明する。
遊技盤2を正面側から見たとき、回転するクルーン部材51の転動面511が見えるようになっている(図3参照)。転動面511を遊技球が旋回する様子を遊技者に見せることで、6つの孔71〜74,81,82のうちどの孔に入るか、チャンス孔81,82に入るかどうか、遊技者にハラハラさせることができる。そのような転動面511において、チャンス孔81,82は、孔71〜74よりも小さく形成されている(図7参照)。本実施形態では、チャンス孔81,82が、他の孔71〜74に比べて小さいことが遊技者に気付かれないようにする為、図5に示すように、チャンス孔81,82の夫々の外周部に、塗装部90を施している。
塗装部90は、不透明色で形成されている。不透明色とは、透明でない色であって、濁り、混濁がある色を含む概念である。不透明色であれば、有色、無色の何れでもよく、模様、文字、図形、グラデーション等を施してもよい。クルーン部材51が透明の樹脂部材で形成されているので、チャンス孔81,82よりも、不透明色である塗装部90を目立たせることができる。塗装部90は、種々の方法で形成できるが、例えば、印刷等で形成するとよく、本実施形態では、インクジェット方式で印刷されている。
図4,図5に示すように、塗装部90は、例えば、模擬孔部91、囲い部92、強調領域部93、矢印94等を備える。模擬孔部91は、チャンス孔81よりも大きい孔の外形線であって、チャンス孔81を取り囲むようにして、転動面511の径方向に直交する方向に長軸を有する略長円状に形成されている。模擬孔部91は、チャンス孔81の外形を不透明色で模擬的に大きく示すので、あたかも模擬孔部91の外形線がチャンス孔81の外形であると遊技者に錯覚させる効果を期待できる。これにより、他の孔71〜74よりも小さいチャンス孔81であっても、そのようなチャンス孔81,82に落下する期待感を向上できる。また、模擬孔部91は、他の孔71〜74に同様の略長円状であるので、他の孔71〜74に紛れて、チャンス孔81も同様の大きさの孔であると錯覚させる効果も期待できる。
また、模擬孔部91を転動面511の径に直交する方向に長軸を有する長円状にすることで、限られた転動面511の範囲内で、円形状のチャンス孔81に対して模擬孔部91を転動面511の径に直交する方向に大きくできるので、チャンス孔81,82をより大きな模擬孔部91として錯覚させることができる。
さらに、模擬孔部91には、外側に向けて放射状に延びる6本の直線が形成されており、孔71側に3本、孔74側に3本形成されている。それ故、模擬孔部91は、略長円状の外形線をより強調して大きく見せることができるので、チャンス孔81,82を他の孔71〜74よりも大きく見せることができる。模擬孔部91の色は何色でもよいが、塗装部90の中でもクリアで目立つ色にするのがよく、例えば、蛍光色であってもよい。こうすることで、模擬孔部91をより強調できる。
囲い部92は、模擬孔部91の外周縁部に沿って帯状に形成されている。囲い部92の色は何色でもよいが、模擬孔部91の色とは異なる色がよく、例えば、模擬孔部91の色の反対色にするとなおよい。こうすることで、模擬孔部91の外形線がより強調される。
強調領域部93は、囲い部92の外側を取り囲むようにして形成されている。本実施形態では、チャンス孔81と孔71との隙間、チャンス孔81と孔74との隙間を夫々埋めるようにして、強調領域部93が形成されている。強調領域部93の色は何色でもよいが、模擬孔部91及び囲い部92の色とは異なる色にするのが好ましい。また、強調領域部93は一定の領域を有するので、その領域に模様、文字、図形等を施してもよい。強調領域部93は、模擬孔部91及び囲い部92の周囲を一定の領域で取り囲むことで、チャンス孔81の位置を強調できる。
また、強調領域部93は、チャンス孔81と隣り合う孔71,74との間の隙間を埋めるように一定の領域を有しつつ、模擬孔部91の周囲を取り囲んでいるので、遊技者の意識は、模擬孔部91のさらに外側にまで向かうようになる。これにより、遊技者は、模擬孔部91から強調領域部93までを含めた塗装部90全体で、チャンス孔81のおおよその位置を判断することから、チャンス孔81を実際の大きさよりも大きく錯覚させることができる。
矢印94は、チャンス孔81と膨出部515の間であって、矢先をチャンス孔81に向け、チャンス孔81の位置を膨出部515側から指すように形成されている。これにより、チャンス孔81の位置をより明確に示すことができる。矢先は、模擬孔部91に近接又は接触させるのがよい。これにより、矢印94は、模擬孔部91の位置を示すことで、チャンス孔81の位置を間接的に示すことから、模擬孔部91をチャンス孔81として錯覚させる効果を強くできる。なお、矢印94の色は何色でもよいが、強調領域部93及び囲い部92の上に重ねて形成されるので、これらと区別がつくように目立つ色で縁取りするとよく、例えば、模擬孔部91と同色にしてもよい。
このような塗装部90をチャンス孔81,82の夫々の外周部に施すことによって、パチンコ機1は、クルーン部材51の転動面511において、チャンス孔81が他の孔71〜74よりも小さいことが、遊技者に気付かれないようにできる。さらに、チャンス孔81が塗装部90によって実際の大きさよりも大きく見えることから、チャンス孔81,82に落下するかもしれないという期待感を遊技者に感じさせることができる。
図4,図6を参照し、出口孔85,86の外周部に施される塗装部100の構成について説明する。なお、本実施形態では、出口孔85,86の外周部に施される何れの塗装部100も構成が同一であるので、ここでは、出口孔85の外周部に施される塗装部100の構成を例に説明する。
塗装部100は、塗装部90と同様に、出口孔85,86をより大きく見せる為に、出口孔85,86の夫々の外周部に形成されている。塗装部100は、塗装部90と同様に、不透明色で形成されている。クルーン部材51が透明の樹脂部材で形成されているので、側面512において、出口孔85,86よりも、不透明色である塗装部100を目立たせることができる。なお、塗装部100もインクジェット方式で印刷されているが、その他の方法で形成してもよい。
図6に示すように、塗装部100は、例えば、模擬孔部101、第一囲い部102、第二囲い部103等を備え、これら三つの部位が縞状に並んで配置された態様で、正面視略U字状に形成されている。塗装部100は、塗装部90と同様のデザインであり、模擬孔部101は模擬孔部91、第一囲い部102は囲い部92、第二囲い部103は強調領域部93に夫々対応したデザインになっている。
模擬孔部101は、出口孔85よりも大きい孔の外形線であって、出口孔85のうち上辺を除く外周部を取り囲むようにして、正面視略U字状に形成されている。模擬孔部101は、出口孔85の外形を不透明色で模擬的に大きく示すので、あたかも模擬孔部101の外形線が出口孔85の外形であると遊技者に錯覚させる効果を有する。模擬孔部101の色は何色でもよいが、目立つ色にするのがよい。これにより、出口孔85の外形線と錯覚させる模擬孔部101をより強調できる。さらに、模擬孔部101の色は、塗装部90の模擬孔部91と同一色、同一デザインに揃えるとなおよい。これにより、模擬孔部91との一体感を生み出すことができる。
第一囲い部102は、模擬孔部101の外周縁部に沿って帯状に形成され、且つ正面視略U字状に形成されている。第一囲い部102の色は何色でもよいが、模擬孔部101の色とは異なる色がよい。これにより、模擬孔部101の外形線がより強調される。さらに、第一囲い部102の色は、塗装部90の囲い部92と同一色、同一デザインに揃えるとなおよい。これにより、囲い部92との一体感を生み出すことができる。第二囲い部103は、第一囲い部102の外周縁部に沿って帯状に形成され、且つ正面視略U字状に形成されている。第二囲い部103の色は何色でもよいが、第一囲い部102の色とは異なる色がよい。これにより、第一囲い部102がより強調される。さらに、第二囲い部103の色は、塗装部90の強調領域部93と同一色、同一デザインに揃えるとなおよい。これにより、強調領域部93と一体感を生み出すことができる。
このような構成を有する略U字状の塗装部100において、模擬孔部101及び第一囲い部102の上方に延びる一対の端部の離間幅は、隣接する塗装部90の模擬孔部91及び囲い部92の長軸方向の幅と略同一に揃えられている。これにより、例えば、クルーン部材51を斜め上方から見下ろしたときに、模擬孔部101及び第一囲い部102の上方に延びる一対の端部が、隣接する塗装部90の模擬孔部91及び囲い部92の長軸方向の両側部と接続したように一体化して大きく見える。そして、チャンス孔82と出口孔86の間には、塗装部90の強調領域部93が無く、模擬孔部91と囲い部92の細い帯状の線のみが存在しているので、一体化した塗装部90,100がチャンス孔82と出口孔86の周囲を取り囲むようにして見える。これにより、一体化した塗装部90,100がチャンス孔81と出口孔85の周囲を取り囲むようにして見えるので、チャンス孔81及び出口孔85が全く目立たなくなり、模擬孔部91,101をまとめて、チャンス孔81及び出口孔85として錯覚させることができる。
次いで、塗装部90,100の視覚効果について、クルーン部材51の実物の写真で説明する。図8は、クルーン部材51の実物の写真である。(a)は、クルーン部材51を上方から撮影した写真(b)は、クルーン部材51を斜め上方から撮影した写真、(c)は、クルーン部材51を側方から撮影した写真である。写真(a)(b)を見て分かるように、転動面511において、チャンス孔82が、他の孔72に比べて小さいのが分かる。そして、クルーン部材51が透明な樹脂部材で形成されていることから、チャンス孔82よりも、その外周部に形成された塗装部90の方が目立ち、その中でも蛍光色で形成された模擬孔部91の長円形状が、あたかもチャンス孔81の外形線として錯覚して見える。さらに、その模擬孔部91の周囲を、囲い部92と強調領域部93で取り囲んでいるので、模擬孔部91がよりクリアに見える。
また、写真(b)(c)を見て分かるように、側面512に形成された出口孔86よりも、その外周部に形成された塗装部100の方が目立ち、その中でも蛍光色で形成された模擬孔部101の長円形状が、あたかも出口孔86の外形線として錯覚して見える。さらに、その模擬孔部101の周囲を、第一囲い部102と第二囲い部103で取り囲んでいるので、模擬孔部101がよりクリアに見える。そして、写真(b)を見て分かるように、転動面511に形成された塗装部90と、側面512に形成された塗装部100とは互いに同一の大きさで一体化した形状となっている。そして、チャンス孔82と出口孔86の間には、塗装部90の強調領域部93が無く、模擬孔部91と囲い部92の細い帯状の線のみが存在しているので、一体化した塗装部90,100がチャンス孔82と出口孔86の周囲を取り囲むようにして見える。これにより、一体化した塗装部90,100がチャンス孔82と出口孔86の周囲を取り囲むようにして見えるので、チャンス孔82及び出口孔86が全く目立たなくなっている。それ故、遊技者が、模擬孔部91,101を、チャンス孔82及び出口孔86として錯覚することになる。
以上説明において、クルーン部材51のチャンス孔81,82は本発明の「特定孔」の一例である。塗装部90の模擬孔部91は本発明の「模擬孔」の一例である。塗装部100の模擬孔部101は本発明の「模擬外周部」の一例である。上センター役物15の球通路43は本発明の「特定の通路」の一例である。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1は、透明なクルーン部材51を備える。クルーン部材51は、遊技球が旋回して転動可能な転動面511を有する。転動面511には複数の孔71〜74、81,82が形成されている。クルーン部材51は、転動面を転動する遊技球を、複数の孔71〜74、81,82のうち何れか一つに落下させる。チャンス孔81,82は、落下した遊技球を下センター役物16に向かう特定の通路に通過させる孔であるが、その大きさは、他の孔71〜74よりも小さい。そして、転動面511には、そのようなチャンス孔81,82の外周部を取り囲むようにして、他の孔71〜74と同程度の大きさの孔を模擬的に表現した模擬孔部91が不透明色で設けられている。これにより、遊技者側から見て、透明なチャンス孔81,82の外周部よりも、その周囲に設けられた不透明色の模擬孔部91の外形線が目立つので、遊技者に対して模擬孔部91をチャンス孔81,82として錯覚させることができる。よって、チャンス孔81も他の孔71〜74と同程度の大きさに見せることができるので、チャンス孔81,82が他の孔71〜74よりも小さいことが遊技者に気付かれないようにできる。
また、クルーン部材51は、上下方向に延びる回転軸57を中心に回転可能な円柱体である。転動面511は、円柱体の上面に形成されている。このようなクルーン部材51が回転軸57を中心に回転することによって、遊技球を転動面511において旋回して転動させることができる。また、チャンス孔81,82は、平面視円形状に形成されている。他の孔71〜74、及び模擬孔部91は、転動面511の径に直交する方向に長軸を有する平面視長円状に形成されている。このような孔形状を有する転動面511を、回転軸57を中心に回転させることによって、視覚効果により、チャンス孔81,82を他の孔71〜74と同じ形状及び大きさに効果的に見せることができる。
また、クルーン部材51の側面512には、出口孔85,86が設けられている。出口孔85,86は、チャンス孔81,82に夫々近接する位置であって、チャンス孔81,82と連通し、チャンス孔81,82に落下した遊技球を、下センター役物16に向かう特定の通路に通過させる孔である。そのような出口孔85,86の夫々の外周部には、出口孔85,86の外周部を模擬的に示した不透明色の模擬孔部101が設けられている。これにより、模擬孔部91に対し、模擬孔部101を近接させることができるので、遊技者に対し、模擬孔部91と模擬孔部101を合わせた大きな部位として強調させることができる。これにより、他の孔71〜74よりも小さいチャンス孔81,82であっても、そのようなチャンス孔81,81に落下する期待感を向上できる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のクルーン部材51は、回転可能に支持されており、モータ52の駆動で回転するようになっているが、回転しないクルーン部材であってもよい。
クルーン部材51の転動面511に形成された孔は6個であるが、孔の数は自由に変更可能である。また、チャンス孔と他の孔との比率も自由に変更可能である。また、チャンス孔と他の孔の位置についても自由に変更可能であるが、複数のチャンス孔が隣り合わないように配置するのがよい。また、孔の形状は、遊技球が通過できる形状であれば限定しないが、遊技球がスムーズに通過させるには、円形状であるのが好ましい。また、側面512には、チャンス孔81,82と連通する出口孔85,86が設けられているが、出口孔85,86を省略してもよい。また、出口孔85,86を底面側に設けてもよい。
クルーンユニット50は、モータ52の動力を、三枚のギア53〜55で、クルーン部材51伝達しているが、ギアの枚数は3枚に限らず、自由に変更可能である。また、モータ52の出力軸に対して、クルーン部材51を直結してもよい。
塗装部90のうち、囲い部92、強調領域部93、矢印94の一部又は全部を省略してもよい。塗装部100においても、第一囲い部102、第二囲い部103の何れか又は両方を省略してもよい。塗装部90,100は印刷によって形成されているが、例えば、塗装部90,100の形状をしたシール部材を貼付してもよい。
チャンス孔81の外周部に形成された塗装部90において、模擬孔部91の形状は、チャンス孔81を取り囲むことができる程度に大きければよく、好ましくは、他の孔71〜74と同程度の大きさ、若しくはそれ以上の大きさにするとよい。また、上記実施形態では、模擬孔部91の形状は、チャンス孔81の形状と異なっているが、チャンス孔81と同一形状にしてもよい。チャンス孔82の塗装部90においても同様である。
出口孔85の外周部に形成された塗装部100において、模擬孔部101の形状は、出口孔85の外周部から隙間を空けた位置で取り囲むように形成されているが、出口孔85の外周部に接触して沿うように形成されてもよい。出口孔86の塗装部100においても同様である。
上記実施形態は、遊技機として、遊技機の一種であるパチンコ機1を例に挙げているが、遊技機はパチンコ機に限られず、パチコン機、パチスロ台等の各種の遊技機に適用可能である。
なお、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、演出装置、図柄表示部、電動役物、入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。