本願発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、水酸基価が10mgKOH/g以下である石油樹脂(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)とを必須の成分として含有することを特徴とする。
本発明において(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基、メタクリロイル基の一方或いは両方のことをいう。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物において、前記石油樹脂(A)と前記(メタ)アクリレート化合物(B)との質量比は、硬化塗膜における外観と耐透湿性に一層優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、5/95〜50/50の範囲であることが好ましく、15/85〜40/60の範囲であることがより好ましい。
前記石油樹脂(A)は、具体的には、ナフサの熱分解で生じるオレフィン化合物やジオレフィン化合物を重合して製造されるものである。また、必要に応じて更に水素添加したものであってもよい。前記オレフィン化合物又は前記ジオレフィン化合物は、例えば、C5系モノマー等と呼ばれるイソプレン、ピペリレン等の脂肪族モノマー、C9系モノマー等と呼ばれるインデン、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族モノマー、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。この他、樹脂中に水酸基等の官能基を導入する目的で、アリルアルコール等の官能基を有するモノマーを共重合させても良い。石油樹脂(A)は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記石油樹脂(A)の中でも、硬化塗膜における耐透湿性に一層優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、ジシクロペンタジエンと前記芳香族モノマーとを主成分とするものが好ましく、更に、水素添加されたものであることがより好ましい。また、本発明では前記石油樹脂(A)として水酸基価が10mgKOH/g以下であるものを用いるが、硬化塗膜における外観と耐透湿性に一層優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、前記石油樹脂(A)の水酸基価及び酸価が共に10mgKOH/g以下であることがより好ましく、5mgKOH/g以下であることが特に好ましい。石油樹脂(A)として複数種を併用する場合には、それらの全体における水酸基価及び酸価が共に10mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
前記石油樹脂(A)の軟化点は、(メタ)アクリレート化合物(B)との相溶性に優れることから、70〜150℃の範囲であることが好ましい。また、前記石油樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は350〜1,500の範囲であることが好ましい。
尚、本発明において、樹脂の分子量や分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定される値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
前記石油樹脂(A)は市販製品として入手可能なものを用いてもよい。具体的には、東燃ゼネラル石油株式会社製「T−REZ HA085」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点86.6℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HA103」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点103.7℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HA105」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点105.4℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HA125」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点124.6℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HB103」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点102.5℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HB125」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点123.8℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、出光興産株式会社製
「アイマーブS−100」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点100℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「アイマーブS−110」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点110℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]」、「アイマーブP−100」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点100℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「アイマーブP−125」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点125℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「アイマーブP−140」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点140℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレート化合物(B)は、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有し、活性エネルギー線の照射により硬化反応を生じ得るものであれば、その他の具体構造は特に限定されず、多種多様なものを用いることができる。なお、本発明において(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基、メタクリロイル基の一方或いは両方のことをいう。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
前記(メタ)アクリレート化合物(B)は、例えば、次のようなものが挙げられる。
・脂肪族炭化水素型モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B1)
・脂環式モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B2)
・複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B3)
・芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B4)
・脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B5)
・脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B6)
・芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B7)
・ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B8)
・エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B9)
・デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(B10)
・(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B11)
これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記脂肪族炭化水素型モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B1)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;これらの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;これらの分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記脂環式モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B2)は、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環式モノ(メタ)アクリレート化合物;これらの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;これらの分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B3)は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;これらの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;これらの分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B4)は、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェニルフェノールアルキル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物;下記構造式(1)
(式中R
1は水素原子又はメチル基である。)
で表される化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:これらの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;これらの分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B5)は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B6)は、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B7)は、例えば、ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、下記構造式(2)
[式中R
2はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基の何れかである。]
で表されるビカルバゾール化合物、下記構造式(3−1)又は(3−2)
[式中R
3はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基の何れかである。]
で表されるフルオレン化合物等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B8)は、例えば、各種のポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じて各種のポリオール化合物を反応させて得られるものが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物は、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(4)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
[式中、R
4はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基の何れかである。R
5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、又は構造式(4)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0又は1〜3の整数であり、mは1以上の整数である。]
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B9)は、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸又はその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。前記エポキシ樹脂は、例えば、ヒドロキノン、カテコール等の2価フェノールのジグリシジルエーテル;3,3’−ビフェニルジオール、4,4’−ビフェニルジオール等のビフェノール化合物のジグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7−ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール化合物のポリグリジシルエーテル;4,4’,4”−メチリジントリスフェノール等のトリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(B10)とは、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことをいい、デンドリマー型の他、ハイパーブランチ型或いはスターポリマーなどと呼ばれている。このような化合物は、例えば、下記構造式(5−1)〜(5−8)で表されるものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であればいずれのものも用いることができる。
(式中R
6は水素原子又はメチル基であり、R
7は炭素原子数1〜4の炭化水素基である。)
このようなデンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(B10)として、大阪有機化学株式会社製「ビスコート#1000」[重量平均分子量(Mw)1,500〜2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14]、「ビスコート1020」[重量平均分子量(Mw)1,000〜3,000]、「SIRIUS501」[重量平均分子量(Mw)15,000〜23,000]、MIWON社製「SP−1106」[重量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、SARTOMER社製「CN2301」、「CN2302」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数16]、「CN2303」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数6]、「CN2304」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、新日鉄住金化学株式会社製「エスドリマーHU−22」、新中村化学株式会社製「A−HBR−5」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティアR−1150」、日産化学株式会社製「ハイパーテックUR−101」等の市販品を用いても良い。
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(B10)は、重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。また、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数が5〜30の範囲であるものが好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B11)は、例えば、水酸基やカルボキシ基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(β)を更に反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られるものが挙げられる。
前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー;2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロ環含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記アクリル樹脂中間体が前記(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物とを共重合させて得られるものである場合、両者の反応割合は、硬化性に優れる(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B11)となることから、両者の合計に対する前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が20〜70質量部%の範囲であることが好ましく、30〜60質量部%の範囲であることがより好ましい。
前記アクリル樹脂中間体は一般的なアクリル樹脂と同様の方法にて製造することができる。製造条件の一例としては、例えば、重合開始剤の存在下、60℃〜150℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができる。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。溶液重合法で行う場合には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒を好ましく用いることができる。
前記(メタ)アクリレートモノマー(β)は、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記イソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体と(メタ)アクリレートモノマー(β)との反応は、例えば、該反応がエステル化反応である場合には、60〜150℃の温度範囲で、トリフェニルホスフィン等のエステル化触媒を適宜用いるなどの方法が挙げられる。また、該反応がウレタン化反応である場合には、50〜120℃の温度範囲で、アクリル樹脂中間体に化合物(α)を滴下しながら反応させる等の方法が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(B11)は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜80,000の範囲であることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基当量が200〜500g/当量の範囲であることが好ましい。
これら(メタ)アクリレート化合物(B)はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化塗膜における耐透湿性に一層優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、前記(メタ)アクリレート化合物(B)の60質量%以上、より好ましくは80質量%以上が脂環式モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B2)又は脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B6)であることが好ましい。また、前記脂環式モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B2)や前記脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B6)の中でも、(ポリ)オキシアルキレン変性やラクトン変性のされていない脂環式(メタ)アクリレート化合物が好ましい。更に、耐透湿性の他、硬化性や塗膜外観に一層優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、脂環式モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B2)と脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(B6)とを併用することが好ましい。この時両者の質量比[(B2)/(B6)]は、5/95〜50/50の範囲であることが好ましく、10/90〜35/65の範囲であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、所望の性能に応じて前記石油樹脂(A)や前記(メタ)アクリレート化合物(B)以外のその他の成分を含有してもよい。前記その他の成分は、例えば、石油樹脂(A)や前記(メタ)アクリレート化合物(B)以外のその他の樹脂成分や、無機微粒子、光重合開始剤、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、密着性助剤、有機ビーズ、量子ドット(QD)、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤、着色剤等が挙げられる。
前記その他の樹脂成分は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の基材密着性や柔軟性等、所望の性能を向上させる目的で添加されるものであり、公知慣用の種々の樹脂を用いることができる。一例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。その他の樹脂成分を用いる場合、その添加量は、前記石油樹脂(A)と前記(メタ)アクリレート化合物(B)との合計質量に対し0.5〜100質量%の範囲で用いることが好ましい。
前記無機微粒子は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化塗膜における硬度や屈折率等を調整する等の目的で添加されるものであり、公知慣用の種々の無機微粒子を用いることができる。一例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。このうち特に汎用性が高いシリカ粒子は、フュームドシリカや、沈殿法シリカ、ゲルシリカ、ゾルゲルシリカ等と呼ばれる湿式シリカなど様々な種類があるが、いずれを用いてもよい。また、無機微粒子の表面はシランカップリング剤等で修飾されていてもよい。無機微粒子の粒子径は所望の塗膜性能等に応じて適宜調節されるが、動的光散乱法による測定値が10〜250nmの範囲であることが好ましい。無機微粒子を用いる場合、その添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶剤以外の成分の合計に対し、0.1〜60質量%の範囲であることが好ましい。
前記光重合開始剤は、照射する活性エネルギー線の種類等により適切なものを選択して用いればよい。また、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等の光増感剤と併用してもよい。光重合開始剤の具体例としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾフェノン化合物等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記光重合開始剤の市販品は、例えば、BASF社製「IRGACURE127」、「IRGACURE184」、「IRGACURE250」、「IRGACURE270」、「IRGACURE290」、「IRGACURE369E」、「IRGACURE379EG」、「IRGACURE500」、「IRGACURE651」、「IRGACURE754」、「IRGACURE819」、「IRGACURE907」、「IRGACURE1173」、「IRGACURE2959」、「IRGACURE MBF」、「IRGACURE TPO」、「IRGACURE OXE 01」、「IRGACURE OXE 02」等が挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶剤以外の成分の合計に対し0.05〜15質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
前記溶剤は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗工粘度調節等の目的で添加されるものであり、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜調整される。一般には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の合計に対し10〜90質量%の範囲で用いられる。前記溶剤の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記紫外線吸収剤は、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記シリコン系添加剤は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記フッ素系添加剤は、例えば、DIC株式会社「メガファック」シリーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記帯電防止剤は、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はビス(フルオロスルホニル)イミドのピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、アンモニウム、又はリチウム塩が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記シランカップリング剤は、例えば、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルキルシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルコキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;トリアルキルビニルシラン、ジアルキルアルコキシビニルシラン、アルキルジアルコキシビニルシラン、トリアルコキシビニルシラン、トリアルキルアリルシラン、ジアルキルアルコキシアリルシラン、アルキルジアルコキシアリルシラン、トリアルコキシアリルシラン等のビニル系シランカップリング剤;スチリルトリアルキル、スチリルジアルキルアルコキシシラン、スチリルアルキルジアルコキシシラン、スチリルトリアルコキシシラン等のスチレン系シランカップリング剤;(グリシジルオキシアルキル)トリアルキルシラン、(グリシジルオキシアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリメトキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルキルシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルコキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;(イソシアネートアルキル)トリアルキルシラン、(イソシアネートアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)トリアルコキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤等が挙げられる。これらそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記密着性助剤は、例えば、下記構造式(6)
で表されるリン酸エステル化合物等が挙げられる。前記構造式(6)中のR
8は特に限定されず、どのような構造部位であってもよい。R
8の具体例としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、(ポリ)オキシアルキレン構造、(ポリ)チオアルキレン構造、(ポリ)エステル構造、これらの組み合わせからなる構造部位等が挙げられる。また、R
8は水酸基やアミノ基、カルボキシ基、ハロゲン原子等の官能基を有していてもよい。このようなリン酸エステル化合物の市販品の例としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM−2」、「カヤマーPM−21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP−1M」「ライトエステルP−2M」、「ライトアクリレートP−1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S−23A」;SOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
前記有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ−ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。これら有機ビーズの平均粒径は1〜10μmの範囲であることが好ましい。
前記量子ドット(QD)は、II−V族半導体化合物、II−VI族半導体化合物、III−IV族半導体化合物、III−V族半導体化合物、III−VI族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、I−III−VI族半導体化合物、II−IV−VI族半導体化合物、II−IV−V族半導体化合物、I−II−IV−VI族半導体化合物、IV族元素又はこれを含む化合物等が挙げられる。量子ドットは単一の半導体化合物からなっていてもよいし、複数の半導体化合物からなるコアシェル構造を有していてもよい。また、その表面を有機化合物にて修飾したものであってもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、前記各配合成分を混合して製造される。混合方法は特に限定されず、ペイントシェイカー、ディスパー、ロールミル、ビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等を用いてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の用途は特に限定されないが、例えば、塗料用に広く用いることができる。本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有する塗料は、硬化塗膜における外観と耐透湿性に優れることから、耐透湿性を必要とする用途、具体的には水分や湿気により変質や故障、誤作動等を生じ得る物品のコート剤として利用することができる。このような物品としては、ディスプレイ部材や電子機器、自動車部材、建材、家具等が挙げられる。本発明の塗料からなる塗膜は、物品の最表面に設置されてもよいし、多層塗膜のアンダー又はミドル層として設置してもよい。
本発明の塗料の用途の一例として、プラスチックフィルムを基材とする積層フィルムについて説明する。本発明の塗料は耐透湿性に優れることから、プラスチックフィルムとしてトリアセチルセルロースフィルム等の透湿性の高いフィルムと積層することで、耐透湿性を向上させることができる。また、積層フィルム中に無機材料薄膜や量子ドット(QD)含有層などが含まれる場合、これらの層を水分や湿気から保護する効果を奏する。
前記プラスチックフィルムは、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。これらプラスチックフィルムの厚さは、その材質や積層体の用途に応じて適宜調整されるが、一般には20〜300μm程度のものが用いられる。
本発明の塗料を塗工する際の塗工方法は特に限定されず、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
本発明の塗料を硬化させるために照射する活性エネルギー線は、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合には、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等を有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。高圧水銀灯を使用する場合には、通常80〜160W/cmの範囲である光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合には、通常10〜300kVの範囲である加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。塗料が有機溶剤を含有する場合には、50〜100℃程度の温度条件下で数十秒から数分程度乾燥させた後、活性エネルギー線を照射する。本発明の塗料からなる塗膜の厚さは、積層体の用途や所望の性能に応じて適宜調整されるが、一般には1μm〜100μm程度であることが好ましい。
前記積層フィルムは、プラスチックフィルム及び本発明の塗料からなる塗膜層の他、その他の層構造を有していてもよい。その他の層としては、ガラス、無機材料薄膜、樹脂塗膜層、偏光フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、ガスバリヤフィルム、加飾フィルム等の機能性フィルム層等が挙げられる。本発明の積層フィルムにおいて、各層の積層方法は特に限定されず、其々直接積層してもよいし、接着等を介して積層してもよい。
前記無機材料薄膜は、例えば、BN、MgFe2、Al、Al2O3、Si、SiO、SiO2、SiC、Si3N4、Ti、TiN、TiO2、Cr−SiO、Mn−Zn、Fe、Fe−Si−Al、Co−Cr、Co−Cr−Ta、Ni、Ni−Zn、Ni−Cr、Ni−Fe−Mo、Cu、ZnO、GaAs−Al、SeTiO3、Ag、SnO2、Ta、TaN、Ta2O5、Ta−Si、Ta−Al、W、Au、PbTiO3、Bi2O3、ITO、GZO、AZO、PZT等の薄膜が挙げられる。無機材料薄膜はどのような方法にて形成してもよいが、例えば、プラズマ支援法(CVD)、新旧蒸着(MBE法やフラッシュ法等)、スパッタリング、陽極酸化、無電解めっき、電気メッキ等の方法が挙げられる。前記無機材料薄膜の厚さは、その材質や積層体の用途に応じて適宜調整されるが、一般には30nm〜3μm程度であることが好ましい。
前記樹脂塗膜は、積層体の用途や所望の性能に応じて多種多様なものを用いることができる。樹脂塗膜を形成する樹脂材料の形態としては、熱硬化性のものや、活性エネルギー線硬化性のもの、ラッカー等が挙げられる。このうち、活性エネルギー線硬化性の樹脂材料としては、前記(メタ)アクリレート化合物(B)として例示した化合物と同様のものをマトリックス樹脂とし、所望の性能に応じて前記その他の樹脂や前記無機微粒子、前記有機ビーズ、前記量子ドット(QD)、その他の添加剤等を配合したものが挙げられる。樹脂塗膜の厚さは、積層体の用途や所望の性能に応じて適宜調整されるが、一般には1μm〜100μm程度であることが好ましい。
以下に本発明を具体的な製造例、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中の部及び%は、特に記載のない限り、すべて質量基準である。
本発明の実施例では、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
実施例1〜5及び比較例1
表1に示す割合で各成分を配合し、シクロヘキサノンにて不揮発分を40質量%に調整して、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得、下記要領で各種評価を行った。結果を表1に示す。
表1中の各成分の詳細は以下の通り。
・石油樹脂(A−1):出光興産株式会社製「アイマーブP−100」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点100℃(JIS K2207に準拠して測定)、重量平均分子量(Mw)660、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、
・石油樹脂(A−2):出光興産株式会社製「アイマーブS−100」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点100℃(JIS K2207に準拠して測定)、重量平均分子量(Mw)700、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]
・石油樹脂(A−3):出光興産株式会社製[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点125℃(JIS K2207に準拠して測定)、重量平均分子量(Mw)820、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]
・石油樹脂(A’):荒川化学工業株式会社製「KR−1842」(軟化点120℃、水酸基価190mgKOH/g)
・光重合開始剤:チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア#184」
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の外観評価
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の外観を以下の基準で目視評価した。
A:濁りや着色がなく、無色透明である
B:濁りや着色がある
積層フィルムの作成
先で得た活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を厚さ40μmのTACフィルム上にバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた。次いで窒素雰囲気下、80W高圧水銀ランプで紫外線を200mJ/cm2照射し、TACフィルム上に膜厚5μmの硬化塗膜を有する積層フィルムを得た。
積層フィルムの透明性評価
積層フィルムの透明性を以下の基準で目視評価した。
A:曇りや着色がなく、無色透明である
B:曇りや着色がある
更に、スガ試験機株式会社製「ヘーズコンピュータHZ−V3」を用いて積層フィルムのHAZE値を測定した。
硬化塗膜の平滑性評価
積層フィルムの硬化塗膜層の平滑性を以下の基準で目視評価した。
A:塗膜表面にブツやクレーターがなく、平滑である。
B:塗膜表面の一部にブツやクレーターがある。
C:塗膜表面の全体にブツやクレーターがある。
硬化塗膜の基材密着性評価
積層フィルムの硬化塗膜層側に1mm間隔で10×10の碁盤目状にカッターナイフで切れ目を入れ、1mm2の碁盤目を100個作成し、事前にアクリル基材上に両面テープを貼ったものに先の積層フィルムを貼り付けた。次いで、碁盤目上にセロハンテープを貼りつけた後、急速に剥がす試験を行い、以下の基準で、TACフィルムと硬化塗膜との密着性を評価した。
A:100個の碁盤目のうち、100個すべてが残存
B:100個の碁盤目のうち、残存したものが99個以下
積層フィルムの耐透湿性評価
LYSSY社製「L80−5000型水蒸気透過度計」を用い、40℃、90%RH条件下で24時間放置したときの透湿量(MVTR)[g/m2]を測定した。