JP6970582B2 - コンクリートの養生シート及び養生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリートの養生シート及び養生方法に関する。
コンクリートの構造物は、セメント、水、骨材等を練り混ぜて型枠に打設し、所定期間後に型枠を取り除くことによって成形している。コンクリートは、セメント成分と水成分が水和反応して結晶化することにより、硬化することから、水和反応に必要な水成分の放散を防ぐため、コンクリート表面を養生シートで覆って湿潤養生することが一般的である。
従来、型枠を取り除いた後、コンクリート表面に貼り付ける後貼りタイプの養生シートが普及しているが、養生シートを貼る手間がかかるため、あらかじめ型枠の内面に設置しておく前貼りタイプの養生シートが提案されている。前貼りタイプの養生シートとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の非透水性基材に粘着剤層が積層された養生シートがある(例えば、特許文献1参照。)。
前貼りタイプの養生シートは、打設時には型枠から脱落しにくく、型枠を外した後はコンクリートの表面に貼り付いて屋外の厳しい環境下でも剥がれない接着性が求められる。しかしながら、コンクリートとの接着性が高すぎると、養生後にコンクリートから養生シートを剥がして除去する際に、コンクリート表面に養生シートの一部が残留することがあり、接着性のコントロールが難しかった。
例えば、長繊維のニードルパンチの不織布を用いた養生シート(例えば、特許文献2参照。)は、繊維がコンクリート表面に食い込むため、コンクリートとの接着性が良好になる。しかし、養生シート除去時にコンクリート表面に食い込んだ一部の繊維が残るため、表面の仕上げ塗りが必要であった。
特開2017−020250号公報 特開2006−169945号公報
本発明は、養生効果が高く、コンクリートとの接着性が良好であって、かつ除去が容易なコンクリートの養生シート及び養生方法を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、コンクリートと接する表面層として、フィラーを含有し、表面に一定の開口率の開口を有する多孔性のポリオレフィン系樹脂フィルムを、熱可塑性樹脂フィルム上に設けることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の1つの側面によれば、
(1)基材層と表面層とが積層されたコンクリートの養生シートであって、
前記養生シートの水蒸気透過係数が、0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)であり、
前記基材層が、熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記表面層が、フィラーを含有し、表面に開口を有する多孔性のポリオレフィン系樹脂フィルムであり、
前記表面層の表面の開口率が、6〜60%である、
ことを特徴とするコンクリートの養生シートが提供される。
(2)前記表面層の表面の開口の平均径が、5〜50μmであることが好ましい。
また、本発明の他の側面によれば、
(3)養生シートを用いたコンクリートの養生方法であって、
前記養生シートが、基材層と表面層の積層体であり、
前記養生シートの水蒸気透過係数が、0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)であり、
前記基材層が、熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記表面層が、フィラーを含有し、表面に開口を有する多孔性のポリオレフィン系樹脂フィルムであり、
前記表面層の表面の開口率が、6〜60%であり、
前記養生シートを、コンクリート打設用の型枠内において、前記養生シートの表面層が前記型枠に打設されるコンクリート側に位置するように配置した後、コンクリートを打設して前記表面層の開口に前記コンクリートを入り込ませることによって、前記型枠を取り外した後も前記コンクリートの表面に前記養生シートを保持させて養生する、
ことを特徴とするコンクリートの養生方法が提供される。
(4)前記コンクリートの表面から前記養生シートを剥がして光及び空気中にさらし、剥がした後に前記コンクリートの表面に残留した前記養生シートの表面層の一部を光又は酸化によって分解させて、前記コンクリートの表面から除去することが好ましい。
本発明によれば、養生効果が高く、コンクリートとの接着性が良好であって、かつ除去が容易なコンクリートの養生シート及び養生方法を提供することができる。
本発明の一実施形態である養生シートの構成を示す断面図である。
以下、本発明のコンクリートの養生シート及び養生方法の詳細を説明するが、以下に説明する構成は、本発明の一実施態様としての一例(代表例)であり、本発明は説明した内容に限定されない。
以下の説明において、「(メタ)アクリレート」の記載は、アクリレートとメタクリレートの両方を示す。(メタ)アクリル酸誘導体についても同様である。
[コンクリートの養生シート]
本発明のコンクリートの養生シートは、基材層(A)と表面層(B)の積層体であり、養生シートの水蒸気透過係数は、0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)である。
図1は、本発明の一実施形態の養生シートの構成を示す。
図1に示すように、養生シート10は、基材層Aと、基材層A上に積層された表面層Bと、を有する。
[基材層]
基材層(A)は、熱可塑性樹脂フィルムである。
熱可塑性樹脂フィルムは、養生シートに水蒸気のバリア性を付与し、養生シートで覆ったコンクリートからの水蒸気の放散を防ぐ養生効果を発揮する。熱可塑性樹脂フィルムは、機械的強度にも優れることから、破れに強い耐久性及び太陽光、風雨等によって劣化しにくい対候性を養生シートに付与することができる。また、熱可塑性樹脂フィルムは凝集力が強く、コンクリートの表面から養生シートを剥がしたときにも、基材層(A)が***することなく、基材層(A)のすべてを一度に剥がすことができる。
(熱可塑性樹脂)
基材層(A)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、これらの混合樹脂等を使用できる。なかでも、表面層(B)と同じポリオレフィン系樹脂が、表面層(B)との密着性に優れ、養生シートの耐久性が向上することから、好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等を好ましく使用できる。
ポリプロピレン樹脂としては、例えばプロピレンを単独重合させたアイソタクティックホモポリプロピレン、シンジオタクティックホモポリプロピレン等のプロピレン単独重合体、プロピレンを主体とし、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン等を共重合させたプロピレン共重合体等が挙げられる。プロピレン共重合体は、2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
ポリエチレン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖線状低密度ポリエチレン、エチレン等を主体とし、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンを共重合させた共重合体、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(金属は亜鉛、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、エチレン−環状オレフィン共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えばナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
ポリスチレン樹脂としては、例えばアタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂のなかから、水蒸気透過係数が0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)の熱可塑性樹脂を選択することにより、水蒸気透過係数が0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)である、水蒸気バリア性が高い養生シートを得ることができる。
熱可塑性樹脂は、基材層(A)の水蒸気透過係数を小さくする観点からも、炭化水素化合物からなる非極性の樹脂である上記ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂のなかでも、水蒸気のバリア性、耐薬品性及びコストの観点から、プロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン又はエチレン−環状オレフィン共重合体を用いることが好ましい。
(その他の成分)
本発明において、熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて公知の添加剤を任意に含むことができる。添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、フィラーの分散剤、結晶核剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、脂肪酸アミド等のスリップ剤、染料、顔料、離型剤、難燃剤等の公知の助剤が挙げられる。
屋外での耐久性を高める観点からは、熱可塑性樹脂フィルムは、酸化防止剤、光安定剤等を含むことが好ましい。
酸化防止剤としては、立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤としては、立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤等が挙げられる。
酸化防止剤及び光安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂フィルムの質量に対して、0.001〜1質量%の範囲内で使用することが好ましい。
また、基材層(A)は、強度を損なわない程度に、フィラーを含有することができる。フィラーとしては、後述する表面層(B)が含有するフィラーを使用できる。基材層(A)と表面層(B)のフィラーは同種のものであっても、異種のものであってもよい。
基材層(A)は、無延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。基材層(A)として、フィラーを含有する熱可塑性樹脂の延伸フィルムを使用することにより、基材層(A)の剛度、白色度及び不透明度を目的に応じて調整することができる。
また、基材層(A)は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造である基材層(A)は、各層で印刷性、耐擦過性、2次加工適性等の目的の機能を発揮することができ、好ましい。多層構造の場合、各層の延伸軸数を異ならせることができ、各層の延伸軸数としては、一軸/一軸、一軸/二軸、二軸/一軸、一軸/一軸/二軸、一軸/二軸/一軸、二軸/一軸/一軸、一軸/二軸/二軸、二軸/二軸/一軸、二軸/二軸/二軸等が挙げられる。
多層構造の基材層(A)がフィラーを含有する場合、養生シートを剥がしたときの基材層(A)の破断を抑える観点からは、表面層(B)と接する層のフィラーの含有量が、表面層(B)よりも8質量%以上、好ましくは10質量%以上少ないことが好ましい。
(厚さ)
基材層(A)の厚さは、10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。厚さが10μm以上であれば、基材層(A)の十分な強度及び凝集力が得られやすく、コンクリートから養生シートを剥がしたときに基材層(A)のすべてを剥がすことが容易になる。厚さが500μm以下であれば、養生シートの十分な柔軟性が得られやすく、コンクリートの型枠への取り付けが容易となる。
[表面層]
表面層(B)は、表面に開口を有する多孔性のポリオレフィン系樹脂フィルムである。
コンクリート打設用の型枠内において、表面層(B)がコンクリート側に位置するように養生シートを配置した後、コンクリートを打設すると、表面層(B)の表面の開口から孔へコンクリートが入り込む。コンクリートが表面層(B)の孔に嵌まって係り止められるため、コンクリートとの接着性が良好となり、型枠を外したときもコンクリートの表面に養生シートを保持させることができる。
また、表面層(B)は、ポリオレフィン樹脂からなり、養生中に風雨等で劣化しない程度の耐久性がある一方で、多孔性で脆性を有することから、養生後のコンクリートから養生シートを剥がしたときに凝集破壊する。凝集破壊によって、基材層(A)側の表面層(B)の一部が基材層(A)とともに剥がれ、コンクリート面側の一部がコンクリート表面に残留するかもしれないが、ポリオレフィン樹脂からなる表面層(B)は、光及び酸化による分解性を有する。残留した一部は太陽光又は酸化によって分解し、コンクリート表面から自然に取り除かれることから、コンクリート表面の仕上げが不要であり、養生シートの除去が容易である。
(ポリオレフィン系樹脂)
表面層(B)を構成するポリオレフィン系樹脂としては、基材層(A)で挙げたポリオレフィン系樹脂を使用することができる。ポリオレフィン系樹脂フィルムは、機械的強度に優れるため、薄くても十分な耐久性及び対候性を得ることができる。なかでも、ポリプロピレン樹脂が、光分解性が高く、養生シートの除去が容易になるため、好ましい。
表面層(B)を構成するポリオレフィン系樹脂は、その結晶化度が高い場合には延伸成形にともなって表面開口を形成しやすい傾向にあり、逆にその結晶化度が低い場合には酸化分解反応が起こりやすい傾向にある。これらのバランスをとる観点から、使用するポリオレフィン系樹脂の結晶化度は、30〜90%であることが好ましく、40〜70%であることがより好ましい。
表面層(B)は、フィラーを含有するポリオレフィン系樹脂の延伸フィルムであると、コンクリートとの接着性に優れた多孔性を得やすく、好ましい。
(フィラー)
表面層(B)が含有できるフィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラーが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて使用することができる。
無機フィラーとしては、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、ゼオライト、マイカ、ガラスファイバー、中空ガラスビーズ等が挙げられる。
有機フィラーとしては特に限定されないが、表面層(B)の主成分であるポリオレフィン系樹脂とは非相溶であり、融点又はガラス転移温度がポリオレフィン系樹脂よりも高く、ポリオレフィン系樹脂の溶融混練条件下で微分散する有機粒子が好ましい。有機フィラーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、環状オレフィンの単独重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体等の有機粒子が挙げられる。
無機フィラー及び有機フィラーの平均粒子径は、目的の開口率又は開口の平均径が得やすいことから、0.01〜15μmが好ましく、0.01〜8μmがより好ましく、0.03〜4μmがさらに好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は、粒子計測装置、例えばレーザー回折式粒子計測装置(マイクロトラック、株式会社日機装製)により測定した累積で50%にあたる粒子径(累積50%粒径)により測定することができる。また、有機フィラーの平均粒子径は、有機フィラーを含有する熱可塑性樹脂フィルムの切断面を電子顕微鏡で観察し、粒子の少なくとも10個の最大径を測定したときの平均値を、溶融混練と分散により熱可塑性樹脂中に分散したときの平均分散粒子径として求めることができる。
表面層(B)中のフィラーの含有量は、10〜80質量%が好ましく、15〜75質量%がより好ましい。フィラーの含有量が10質量%以上であれば、コンクリートとの十分な接着性が得られる開口及び孔を形成しやすくなり、80質量%以下であれば、フィルムの成形安定性が得られやすくなる。
(表面の開口率)
表面層(B)の表面の開口率は、6〜60%であり、好ましくは10〜58%、より好ましくは15〜55%である。
開口率が6%以上であれば、コンクリートとの十分な接着性を得ることができ、養生中の間、コンクリート表面に養生シートを保持させることができる。また、開口率が60%以下であれば、表面層(B)の過剰に脆くなることを防ぐことができ、養生中に破れたり、剥がれたりすることを防止できる。
開口率(%)は、フィラーの含有量、フィラーの平均粒子径、フィラーを含有するポリオレフィン系樹脂フィルムを延伸するときの延伸温度、延伸倍率等の延伸条件によって調整することができる。
(表面の開口の平均径)
表面層(B)の表面の開口の平均径は、5〜50μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
開口の平均径が5μm以上であれば、コンクリートが開口に入り込みやすく、また、開口の平均径が50μm以下であれば、コンクリートが開口から抜けにくいため、コンクリートとの接着性を高めやすく、養生後のコンクリート表面の平滑性を高めやすい。
開口の平均径(μm)は、フィラーの平均粒子径、フィラーを含有するポリオレフィン系樹脂フィルムを延伸するときの延伸温度、延伸倍率等の延伸条件によって調整することができる。
上記表面層(B)の表面の開口率(%)及び開口の平均径(μm)は、養生シートの表面を電子顕微鏡により観察することにより求めることができる。具体的には、養生シートの表面を撮影し、撮影した画像データを画像処理して各開口部分の面積及び直径を求める。そして、撮影画像中の各開口部分の面積率を、開口率(%)として算出する。また、各開口の直径の平均値を平均径(μm)として算出する。
(空孔率)
表面層(B)は、コンクリートからの剥離性を高める観点から、内部に空孔を有することが好ましい。フィルム中の空孔の割合を表す空孔率は、5〜70%であることが好ましく、より好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜50%である。5%以上の空孔率であれば、コンクリートからの剥離性を高めやすく、70%以下の空孔率であれば、養生に十分な強度が得やすい。
空孔率の測定方法は、電子顕微鏡で観察した表面層(B)の断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。具体的には、測定対象のフィルムの任意の一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて測定対象のフィルムの面方向に垂直に切断し、その切断面が観察面となるように観察試料台に貼り付ける。観察面に金又は金−パラジウム等を蒸着し、電子顕微鏡にて観察しやすい任意の倍率(例えば、500倍〜3000倍の拡大倍率)において表面層(B)の空孔を観察し、観察した領域を画像データとして取り込む。得られた画像データに対して画像解析装置にて画像処理を行い、表面層(B)の一定領域における空孔部分の面積率(%)を求めて、空孔率(%)とする。この場合、任意の10箇所以上の観察における測定値を平均して、空孔率とすることができる。
(厚さ)
表面層(B)の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜5μmがより好ましい。厚さが0.1μm以上であると、フィラーによって表面の開口率を調整しやすくなる。厚さが10μm以下であると、養生シートを剥がしたときのコンクリートへの残留部分を減らすことができ、養生シートの除去が容易となる。
[他の層]
本発明の養生シートは、上記基材層(A)及び表面層(B)以外の層を有することができる。例えば、基材層(A)と表面層(B)の間の中間層として、フッ素系樹脂フィルムやアルミ蒸着層のような水蒸気のバリア層を有することにより、養生シートの水蒸気のバリア性をさらに高めてもよい。本発明の養生シートは、水蒸気だけでなく、二酸化炭素等のバリア層を有することもできる。また、養生シートは、基材層(A)の表面層(B)と反対側の面上に、印刷が容易な印刷受容層、型枠からの脱落防止用に型枠内面に貼り付けるための粘着層等を有してもよい。粘着層は、養生シートとコンクリート表面との接着力と、表面層(B)の凝集力とを勘案して、接着力がこれらを上回らない弱粘着性の層であることが好ましい。
[養生シートの製造方法]
本発明の養生シートは、基材層(A)である熱可塑性樹脂フィルムと、表面層(B)であるポリオレフィン系樹脂フィルムとを積層することにより、得ることができる。例えば、基材層(A)の熱可塑性樹脂フィルムを形成した後、表面層(B)のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層することができる。フィルムの成形方法としては、例えばスクリュー型押出機に接続された単層又は多層のTダイ、Iダイ等により、溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形等が挙げられる。各フィルムの成形と並行して積層することもでき、この場合はフィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等の通常の手法を使用できる。
基材層(A)の熱可塑性樹脂フィルムは、積層前に延伸することもできるし、積層後に延伸することもできる。表面層(B)は薄いため、単層での延伸成形ではなく、基材層(A)に積層した後に延伸することが好ましい。
延伸方法としては、例えばロール群の周速差を利用した縦延伸法、テンターオーブンを利用した横延伸法、これらを組み合わせた逐次二軸延伸法、圧延法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸法等が挙げられる。また、スクリュー型押出機に接続された円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し成形した後、これに空気を吹き込む同時二軸延伸(インフレーション成形)法等も使用できる。
延伸を実施するときの延伸温度は、使用する熱可塑性樹脂が非晶性樹脂の場合、当該熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の範囲であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合の延伸温度は、当該熱可塑性樹脂の非結晶部分のガラス転移点以上であって、かつ当該熱可塑性樹脂の結晶部分の融点以下の範囲内であることが好ましく、熱可塑性樹脂の融点よりも2〜60℃低い温度が好ましい。具体的には、プロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜164℃の延伸温度が好ましく、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)の場合は70〜133℃の延伸温度が好ましい。
延伸速度は、特に限定されるものではないが、安定した延伸成形の観点から、20〜350m/分の範囲内であることが好ましい。
延伸倍率についても、使用する熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定することができる。 例えば、プロピレン単独重合体又はプロピレン共重合体を使用する場合、一方向に延伸する場合の延伸倍率は、通常、下限が約1.2倍以上、好ましくは2倍以上であり、上限が12倍以下、好ましくは10倍以下である。一方、二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で通常、下限が1.5倍以上、好ましくは4倍以上であり、上限が60倍以下、好ましくは50倍以下である。その他の熱可塑性樹脂フィルムを一方向に延伸する場合は、延伸倍率は、通常、上限が1.2倍以上、好ましくは2倍以上であり、下限が10倍以下、好ましくは5倍以下である。二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で通常、下限が1.5倍以上、好ましくは4倍以上であり、上限が20倍以下、好ましくは12倍以下である。
上記延伸倍率の範囲内であれば、目的の表面の開口率、開口の平均径及び空孔率が得られやすく、不透明性が向上しやすい。また、熱可塑性樹脂フィルムの破断が起きにくく、安定した延伸成形ができる傾向がある。
[養生シートの特性]
(水蒸気透過係数)
本発明の養生シートの水蒸気透過係数は、0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)であり、好ましくは0.05〜1.5g・mm/(m・24hr)であり、より好ましくは0.1〜0.5g・mm/(m・24hr)である。
上記水蒸気透過係数が2.5g・mm/(m・24hr)以下であると、コンクリートからブリードする水分の放散を効果的に抑制することができ、高い養生効果が得られる。また、水蒸気透過係数は小さいほど、コンクリートの湿潤養生を達成でき、養生効果が高まるが、薄いフィルムにより水蒸気透過係数を0.01g・mm/(m・24hr)以下とするためには高価なバリア材料等を用いる必要がある。よって、コストの観点から、本発明では上記水蒸気透過係数を0.01g・mm/(m・24hr)以上とした。
上記水蒸気透過係数は、JIS−Z0208に準拠して、カップ法により、温度40℃、相対湿度90%RHの環境下で測定して得られた透湿度(g/(m・24hr))に、養生シートの厚さ(mm)を乗算して得た値である。
上記養生シートの水蒸気透過係数は、基材層(A)の熱可塑性樹脂の種類を選択すること等によって、上記範囲内に調整することができる。
(不透明度)
本発明の養生シートは不透明であることが好ましく、その不透明度は、60〜100%であることが好ましく、70〜100%がより好ましく、85〜100%がさらに好ましい。
不透明度が60%以上であると、コンクリートへの日光の直射を防ぎやすい。また、文字等の印刷内容が確認しやすく、表示機能が向上する。
上記不透明度は、JIS P 8138に準拠して、養生シートの背面に黒色及び白色の標準板を配置して光を照射し、その光の反射率を百分率で示した値である。
不透明度(%)は、フィラーの含有量や延伸条件等によって調整することができる。
本発明の養生シートは、コンクリートの打設前に型枠内にあらかじめ取付けておく前貼りタイプの養生シートとして、好適に使用することができる。
本発明の養生シートは、一定のサイズにカットしたシートであってもよいし、長尺を巻き取ったロール体であってもよいが、幅が1m以上に大きいことが好ましい。幅が大きいほど、養生シートを配置する施工回数を減らすことができ、作業効率を上げることができる。また、立体等の養生シートを取り付けるコンクリート構造物の形状に合わせやすくなるため、施工の自由度が向上する。
本発明の養生シートの基材層(A)の表面層(B)と反対側の面には、「養生中」等の注意書き、施工業者名等を印刷することができる。表面層(B)にも、「養生面」、「コンクリート接触面」等の注意書きを印刷することができる。
養生後、コンクリートから剥がした養生シートは、通常は破棄されるが、剥がした後の表面層(B)の厚さが十分残っている場合は、再利用することができる。
[コンクリートの養生方法]
本発明のコンクリートの養生方法は、本発明の養生シートを、コンクリート打設用の型枠内において、養生シートの表面層(B)が打設されるコンクリート側に位置するように配置した後、コンクリートを打設して表面層(B)の開口にコンクリートを入り込ませることによって、型枠を取り外した後もコンクリートの表面に養生シートを保持させて養生する。
コンクリートが表面層(B)の開口に係り止められ、養生シートとコンクリートの接着性が良好であるため、養生中の間、養生シートをコンクリート表面に保持させることができ、優れた養生効果が得られる。
養生後は、コンクリートの表面から養生シートを剥がして光及び空気中にさらし、剥がした後にコンクリートの表面に残留した養生シートの表面層(B)の一部を光又は酸化によって分解させて、コンクリートの表面から除去することが好ましい。
養生シートを剥がしたとき、基材層(A)は凝集力が大きいため、***することなく基材層(A)のすべてが剥がれ、多孔性で脆性を有する表面層(B)は基材層(A)側の部分が基材層(A)とともに剥がれやすい。表面層(B)のコンクリート側の部分は、コンクリートが入り込んでいるため、コンクリートの表面に残留するかもしれないが、残留部分は少量で薄い膜であり、光又は酸化によって分解するため、コンクリート表面から自然に除去され、除去が容易である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例の記述に限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
実施例及び比較例の養生シートの製造に使用する樹脂組成物として、下記表1に示す樹脂組成物a〜eを用意した。
Figure 0006970582
[実施例1]
樹脂組成物aと樹脂組成物bとを、それぞれ230℃に設定した個別の押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した1台の共押出ダイに供給して積層した。共押出ダイから樹脂組成物a及びbをシート状に押し出し、これをキャスティングロールにより冷却して2層構造の無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムを130℃に加熱して周速の異なるロール群により縦方向に5倍延伸した。次いで、樹脂組成物bを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、ダイよりシート状に押し出し、5倍延伸フィルムの樹脂組成物a側の面に積層して、3層構造の積層フィルムを得た。
得られた3層構造の積層フィルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び160℃に加熱して横方向に8倍延伸した。さらに、165℃に設定した熱セットゾーンでアニーリング処理し、60℃まで冷却した。次いで、耳部をスリットして、3層構造(樹脂組成物:b/a/b、延伸軸数:一軸/二軸/二軸、延伸倍率:8倍/40倍/40倍、各層の厚さ:22.5μm/37μm/0.5μm)の延伸フィルムを得て、実施例1のコンクリートの養生シートとした。
実施例1の養生シートにおいて、厚さ22.5μmのb層及び厚さ37μmのa層が基材層(A)であり、厚さ0.5μmのb層が表面層(B)である。実施例1の養生シートは、厚さが60μm、水蒸気透過係数が0.28g・mm/(m・24hr)であった。表面層(B)の表面の開口率は20%であり、開口の平均径は15μmであった。
[実施例2]
樹脂組成物cと樹脂組成物dと樹脂組成物eとを、それぞれ210℃に設定した3台の押出機にて溶融混練した後、210℃に設定した1台の共押出ダイに供給して、樹脂組成物d、e及びcをこの順に積層した。共押出ダイから樹脂組成物d、e及びcをシート状に押し出し、これをキャスティングロールにより60℃まで冷却して、3層構造の無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムを、二軸同時延伸試験装置を用いて97℃に加熱し、縦方向2.5倍、横方向2.4倍の倍率で二軸延伸した。次いで、耳部をスリットして、3層構造(樹脂組成物:d/e/c、延伸軸数:二軸/二軸/二軸、延伸倍率:6倍/6倍/6倍、各層厚さ:0.5μm/79μm/0.5μm)の延伸フィルムを得て、実施例2のコンクリートの養生シートとした。
実施例2の養生シートにおいて、厚さ0.5μmのd層及び厚さ79μmのe層が基材層(A)であり、厚さ0.5μmのc層が表面層(B)である。実施例2の養生シートは、厚さが80μm、水蒸気透過係数が0.15g・mm/(m・24hr)であった。また、表面層(B)側の表面の開口率は50%であり、開口の平均径は5μmであった。
[比較例1]
樹脂組成物aを、230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給してシート状に押し出し、これをキャスティングロールにより冷却して単層構造の無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムを130℃に加熱して周速の異なるロール群により縦方向に5倍延伸した。次いで、樹脂組成物bを230℃に設定した2台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、ダイよりシート状に押し出し、5倍延伸フィルムの両面に積層し、3層構造の積層フィルムを得た。
得られた3層構造の積層フィルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び160℃に加熱して横方向に8倍延伸し、165℃に設定した熱セットゾーンでアニーリング処理し、60℃まで冷却した。次いで、耳部をスリットして、3層構造(樹脂組成物:b/a/b、延伸軸数:一軸/二軸/一軸、延伸倍率:8倍/40倍/8倍、各層厚さ:17.5μm/45μm/17.5μm)の延伸フィルムを得て、比較例1のコンクリートの養生シートとした。
比較例1の養生シートにおいて、厚さ17.5μmのb層が表面層(B)であり、他の層が基材層(A)である。比較例1の養生シートは、厚さが80μm、水蒸気透過係数が0.28g・mm/(m・24hr)であった。また、表面層(B)の表面の開口率は5%であり、開口の平均径は10μmであった。
[比較例2]
樹脂組成物cを、それぞれ210℃に設定した3台の押出機にて溶融混練した後、210℃に設定した1台の共押出ダイに供給して積層した。共押出ダイから各樹脂組成物cをシート状に押し出し、これをキャスティングロールにより60℃まで冷却して3層構造の無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムを、二軸同時延伸試験装置を用いて97℃に加熱し、縦方向2.5倍、横方向2.4倍の倍率で二軸延伸し、耳部をスリットして、3層構造(樹脂組成物:c/c/c、延伸軸数:二軸/二軸/二軸、延伸倍率:6倍/6倍/6倍、各層厚さ:0.5μm/79μm/0.5μm)の延伸フィルムを得て、比較例2のコンクリートの養生シートとした。
比較例2の養生シートにおいて、厚さ0.5μmのc層が表面層(B)であり、他の層が基材層(A)である。比較例2の養生シートは、厚さが80μmであり、水蒸気透過係数が3g・mm/(m・24hr)であった。また、表面層(B)の表面の開口率は50%であり、開口の平均径は5μmであった。
なお、上記表面層(B)の開口率(%)及び開口の平均径(μm)は、電子顕微鏡を用いた観察によって求めた値である。
具体的には、コンクリート養生シート試料より任意の一部を切り取り、観察試料台に貼り付け、表面層(B)の表面に金を蒸着した。電子顕微鏡(装置名「走査電子顕微鏡:SM−200」TOPCON社製)を使用して観察しやすい任意の倍率(500倍〜3000倍)にて、金を蒸着した表面の開口を観察した。観察した領域を画像データとして取り込み、その画像データを画像解析装置(装置名「小型汎用画像解析装置:ルーゼックスAP」、ニレコ社製)で画像処理して、開口部分の面積を求めた。そして、画像中の開口部分の面積率(%)を、表面層(B)の開口率(%)として求めた。また、各開口の直径(μm)の平均値を平均径(μm)として算出した。
また、上記水蒸気透過係数(g・mm/m・24hr)は、JIS−Z0208に準拠して、カップ法により、温度40℃、相対湿度90%RHの条件下で測定した透湿度(g/(m・24hr))に、養生シートの厚さ(mm)を乗算して求めた。
[評価]
各実施例及び比較例の養生シートを用いて、養生シート付きのコンクリート成型体を形成し、各養生シートのコンクリートとの接着性、養生後の除去の容易性及び養生効果を評価した。
下記表2は、評価に使用したコンクリートの材料と配合量を示す。使用したコンクリートでは、水(W)とセメント(C)の配合比(W/C)を44%とし、骨材(S1+S2)中の細骨材(S1)の配合比(S1/(S1+S2))を40%とした。また、混和剤(Y)とセメント(C)の配合比(Y/C)を1%とした。
Figure 0006970582
各実施例及び比較例で得た養生シートを、320mm×200mmサイズにカットした。カットした養生シートを、円筒状の型枠の内側に挿入し、型枠と基材層(A)が接し、表面層(B)が型枠の径方向内側に向くように配置した。また、型枠の周方向において養生シートの一部を重複させて、隙間なく養生シートを配置した。型枠としては、内径が100mm、高さが200mmの紙管を用いた。型枠の一方の開口をガムテープで洩れないように封止し、もう一方の開口から型枠内に上記材料を配合したコンクリートを流し込んで打設を行った。
打設から5日目に型枠を丁寧に解体して取り除き、養生シート付きのコンクリート成型体を取り出した。その後、養生シート付きのコンクリート成型体を屋外に野ざらしの状態で3か月放置した。3か月放置後のコンクリート成型体から、次の評価を行った。
[コンクリートとの接着性]
3か月放置後の養生シート付きのコンクリート成型体において、養生シートの剥がれ及び端部の浮きを目視で観察し、養生シートのコンクリートとの接着性を下記の基準で評価した。
○:コンクリート成型体から、養生シートの浮きや剥がれは見られない
×:コンクリート成型体から、養生シートが剥がれている
[養生シートの除去容易性]
3か月放置後の養生シート付きのコンクリート成型体から、養生シートを手で引き剥がした。剥離の容易さ及び剥離後のコンクリート成型体の表面の荒れの有無から、養生シートの除去の容易性を下記の基準で評価した。
○:手で容易に引き剥がすことができ、かつ剥離後のコンクリート成型体の表面に荒れは見られない
×:抵抗が大きく手で引き剥がすことが困難であったか、又は剥離後のコンクリート成型体の表面に養生シートの残留物による荒れが見られる
[コンクリートの養生効果]
上記の除去容易性を評価した後のコンクリート成型体を用いて、JIS A1108に従い、コンクリート成型体の圧縮強度を測定した。測定した圧縮強度から、以下の基準でコンクリートの養生効果を評価した。
○:圧縮強度が40N/mm以上であり、養生効果が高い
×:圧縮強度が40N/mm未満であり、養生効果が低い
下記表3は、評価結果を示す。
Figure 0006970582
上記の性能評価から、本発明のコンクリートの養生シートは取扱いが簡便であり、目的のコンクリートの湿潤養生を容易に達成できることが分かった。一方、養生シートが多孔性のフィルムであっても、コンクリートに接する表面の開口率が6%に満たない場合(比較例1)は、コンクリート表面への固定が不十分であり、所定の養生期間中、その表面上に保持することができなかった。そのため、コンクリートの湿潤養生ができず、養生効果が低かったとともに、除去の容易性については評価できなかった。また、表面の開口率が十分であり、コンクリート成型体表面への固定が十分であっても、基材層(A)も表面層(B)と同様の多孔性を有する場合(比較例2)、養生シートを剥がす作業途中で養生シートの破断が生じ、一度に剥がすことが困難であった。また、その水蒸気透過係数が2.5g・mm/(m・24hr)を超えると、コンクリートの湿潤養生を達成することができず、養生効果が低かった。
実施例1、2及び比較例2の養生シート付きのコンクリート成型体から、各養生シートを除去した後のコンクリート成型体の表面には、表面層(B)の凝集破壊に由来する樹脂の薄膜が残留した。しかし、養生シート除去後のコンクリート成型体をさらに屋外で3か月野ざらしにしたところ、表面層(B)由来の樹脂残留物は太陽光による光分解及び空気中の酸化劣化によって分解消失した。平滑なコンクリートの地肌が現れたため、仕上げ工程は特に不要であった。
本発明のコンクリートの養生シート及び養生方法は、型枠内にあらかじめ取り付けておいて、型枠に打設するコンクリートを養生する用途に利用することができる。本発明のコンクリートの養生シート及び養生方法は、養生効果が高く、コンクリートとの接着性が良好であって、かつ除去が容易であることから、コンクリート成形に非常に有効である。
10 養生シート
A 基材層
B 表面層

Claims (4)

  1. 基材層と表面層とが積層されたコンクリートの養生シートであって、
    前記養生シートの水蒸気透過係数が、0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)であり、
    前記基材層が、熱可塑性樹脂フィルムであり、
    前記表面層が、フィラーを含有し、表面に開口を有する多孔性のポリオレフィン系樹脂フィルムであり、
    前記表面層の表面の開口率が、6〜60%である、
    ことを特徴とするコンクリートの養生シート。
  2. 前記表面層の表面の開口の平均径が、5〜50μmである、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの養生シート。
  3. 養生シートを用いたコンクリートの養生方法であって
    記養生シートが、基材層と表面層の積層体であり、
    前記養生シートの水蒸気透過係数が、0.01〜2.5g・mm/(m・24hr)であり、
    前記基材層が、熱可塑性樹脂フィルムであり、
    前記表面層が、フィラーを含有し、表面に開口を有する多孔性のポリオレフィン系樹脂フィルムであり、
    前記表面層の表面の開口率が、6〜60%であり、
    前記養生シートを、コンクリート打設用の型枠内において、前記養生シートの表面層が前記型枠に打設されるコンクリート側に位置するように配置した後、コンクリートを打設して前記表面層の開口に前記コンクリートを入り込ませることによって、前記型枠を取り外した後も前記コンクリートの表面に前記養生シートを保持させて養生する、
    ことを特徴とするコンクリートの養生方法。
  4. 前記コンクリートの表面から前記養生シートを剥がして光及び空気中にさらし、剥がした後に前記コンクリートの表面に残留した前記養生シートの表面層の一部を光又は酸化によって分解させて、前記コンクリートの表面から除去する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のコンクリートの養生方法。
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