JP6967736B2 - プリプレグ、金属張積層板、印刷配線基板及び多層印刷配線基板 - Google Patents

プリプレグ、金属張積層板、印刷配線基板及び多層印刷配線基板 Download PDF

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Description

本発明は、プリプレグ、金属張積層板、印刷配線基板及び多層印刷配線基板に関する。
近年、自動車の電子制御化が進み、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)は、エンジンルームなどの高温環境下にも搭載されている。ECUは、図9に示すように、多層印刷配線基板100の表面導体パターン層110(以下、外層110)に、抵抗、コンデンサなどのチップ部品200がはんだ実装されてなる。このような高温環境下での使用では、チップ部品200と多層印刷配線基板100との面内方向Dxyの熱膨張差による応力がはんだ接合部300に集中してはんだクラックが発生し、電気的接続に不具合が発生するおそれがある。特に、チップ部品200が大きいサイズ(例えば、3.2mm×1.6mm)であると、電気接続に不具合が発生しやすいおそれがあった。
特許文献1には、複数のプリプレグAを積層して形成したコア基板と、このコア基板の片面又は両面に配置され、プリプレグAとは異なる樹脂を含浸させたプリプレグBによる絶縁層とを備え、絶縁層の弾性率が、コア基板の弾性率よりも小さい複合基板が開示されている。特許文献2には、面内の熱膨張率、弾性率を低減することにより、実装表面の熱応力を格段に低減でき、実装品との接続信頼性を大幅に向上できる樹脂系積層板が開示されている。
特開2007−329441号公報 特開2005−42117号公報
しかしながら、特許文献1には、コア基板の板厚方向の熱膨張係数が、絶縁層の板厚方向の熱膨張係数と同等以下であることの記載はあるものの、コア基板及び絶縁層の面内方向の熱膨張係数については検討されていない。また、特許文献2に記載の積層板のように、面内方向Dxyの弾性率が極端に低いと、厚み方向Dzの熱膨張係数が高くなりやすい傾向にある。そのため、スルーホールめっき部120に、はんだクラックが発生して電気的接続に不具合が発生しやすく、多層印刷配線基板100の部品実装信頼性が十分ではないおそれがある。
そこで、本発明は、部品実装信頼性の高い多層印刷配線基板とすることができるプリプレグ、金属張積層板、印刷配線基板及び多層印刷配線基板を提供することを目的とする。
第一の発明に係るプリプレグは、プリプレグであって、前記プリプレグは、ガラス布基材と、前記ガラス布基材に含浸された熱硬化性樹脂組成物の半硬化物とを備え、前記熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂、硬化剤、コアシェル型微粒子、及び無機フィラーを含有し、前記コアシェル型微粒子の含有量が、熱硬化性樹脂、硬化剤及びコアシェル型微粒子の合計100質量部に対して、15.9質量部以上19.5質量部以下であり、前記プリプレグの面上で互いに直交する第一の方向及び第二の方向を設定したとき、熱硬化後において、前記第一の方向の曲げ弾性率及び前記第二の方向の曲げ弾性率が、ともに9GPa以上14GPa以下であり、熱硬化後において、前記第一の方向の熱膨張係数と、前記第二の方向の熱膨張係数との差の絶対値が3ppm/℃以下である。
第二の発明に係る金属張積層板は、第一の面及び第二の面を有する絶縁層と、前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に積層された金属層とを備え、前記絶縁層は、前記プリプレグ(以下、第一のプリプレグ)と、前記プリプレグ(以下、第二のプリプレグ)との積層体の硬化物を一枚又は複数枚含み、前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように重ね合わせられている。
第三の発明に係る印刷配線基板は、第一の面及び第二の面を有する絶縁層と、前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に積層された導体配線とを備え、前記絶縁層は、前記第一のプリプレグと、前記第二のプリプレグとの積層体の硬化物を一枚又は複数枚含み、前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように重ね合わせられている。
第四の発明に係る多層印刷配線基板は、第一の面及び第二の面を有するコア基板の前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に、層間絶縁層及び回路層が交互に積層された多層配線基板であって、少なくとも最外層に位置する前記層間絶縁層は、前記第一のプリプレグと、前記第二のプリプレグとの積層体の硬化物を一枚又は複数枚含み、前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように重ね合わせられている。
第五の発明に係る多層印刷配線基板は、第一の面及び第二の面を有するコア基板の前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に、層間絶縁層及び回路層が交互にそれぞれ2層以上積層された多層配線基板であって、最外層に位置する前記層間絶縁層は、前記第一のプリプレグの硬化物を1枚含み、前記最外層に最も近くに位置する前記層間絶縁層は、前記第二のプリプレグの硬化物を1枚含み、前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように積層されている。
本発明によれば、部品実装信頼性の高い多層印刷配線基板とすることができる。
図1Aは、本発明の実施形態に係るプリプレグの概略正面図である。図1Bは、図1A中の第一の切断線に従って切断したプリプレグの厚み方向における概略断面図である。図1Cは、図1A中の第二の切断線に従って切断したプリプレグの厚み方向における概略断面図である。 図2Aは、本発明の実施形態に係る金属張積層板の概略正面図である。図2Bは、図2A中の切断線に従って切断した金属張積層板の厚み方向における概略断面図である。図2Cは、本発明の実施形態に係る金属張積層板の絶縁層の材料である第一のプリプレグ及び第二のプリプレグの重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。 図3Aは、本発明の実施形態に係る印刷配線基板の第一の面の概略正面図である。図3Bは、図3A中の切断線に従って切断した印刷配線基板の厚み方向における概略断面図である。図3Cは、本発明の実施形態に係る印刷配線基板の絶縁層の材料である第一のプリプレグ及び第二のプリプレグの重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。 図4Aは、本発明の第一実施形態に係る多層印刷配線基板の第一の面の概略正面図である。図4Bは、図4A中の切断線に従って切断した多層印刷配線基板の厚み方向における概略断面図である。 図5は、本発明の第一実施形態に係る多層印刷配線基板の層間絶縁層の材料である第一のプリプレグ及び第二のプリプレグの重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。 図6は、本発明の実施形態に係るプリプレグの製造方法を説明するための概略説明図である。 図7Aは、本発明の第二実施形態に係る多層印刷配線基板の第一の面の概略正面図である。図7Bは、図7A中の切断線に従って切断した多層印刷配線基板の厚み方向における概略断面図である。 図8は、本発明の第二実施形態に係る多層印刷配線基板の層間絶縁層の材料である第一のプリプレグ及び第二のプリプレグの重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。 図9は、チップ部品をはんだ実装した多層印刷配線基板の概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[プリプレグ]
図1Aは、本実施形態に係るプリプレグ1の概略正面図である。図1Bは、図1A中の切断線Y−Yに従って切断したプリプレグ1の厚み方向DZ1における概略断面図である。図1Cは、図1A中の第二の切断線X−Xに従って切断したプリプレグ1の厚み方向DZ1における概略断面図である。
本実施形態に係るプリプレグ1は、図1Aに示すように、1枚のガラス布基材10と、ガラス布基材10に含浸された熱硬化性樹脂組成物の半硬化物20Uとを備える。プリプレグ1の面上で互いに直交する第一の方向DX1及び第二の方向DY1を設定したとき、熱硬化後において、第一の方向DX1の曲げ弾性率及び第二の方向DY1の曲げ弾性率は、ともに9GPa以上14GPa以下である。熱硬化後において、第一の方向DX1の熱膨張係数と、第二の方向DY1の熱膨張係数との差の絶対値(以下、熱膨張係数の差という場合がある)は3ppm/℃以下である。さらに、第一の方向DX1の曲げ弾性率は、第二の方向DY1の曲げ弾性率よりも高い。ここで、半硬化物とは、Bステージ状態を指し、硬化反応の中間段階の状態をいう。中間段階とは、ワニス状態(Aステージ状態)と完全に硬化した状態(Cステージ状態)との間の段階をいう。熱硬化後においてとは、プリプレグがCステージ状態であることをいう。曲げ弾性率の測定方法は、実施例に記載の曲げ弾性率の測定方法と同一である。熱膨張係数の測定方法は、実施例に記載の熱膨張係数の測定方法と同一である。
本実施形態では、上述したように、熱硬化後において、第一の方向DX1の曲げ弾性率及び第二の方向DY1の曲げ弾性率がともに9GPa以上14GPa以下であり、第一の方向DX1の熱膨張係数と、第二の方向DY1の熱膨張係数との差の絶対値が3ppm/℃以下である。そのため、プリプレグ1を多層印刷配線基板の層間絶縁層の材料に用いれば、多層印刷配線基板にチップ部品をはんだ実装して使用しても、はんだ接合部及びスルーホールめっき部にはんだクラックが発生しにくく、かつ反り量を低減でき、部品実装信頼性の高い多層印刷配線基板とすることができる。チップ部品としては、抵抗、コンデンサなどが挙げられる。チップ部品のサイズは、好ましくは3.2mm以下×1.6mm以下である。
熱硬化後において、第一の方向DX1及び第二の方向DY1の曲げ弾性率(以下、まとめて曲げ弾性率という場合がある)は、ともに9GPa以上14GPa以下であり、好ましくは9.5GPa以上13.5GPa以下、より好ましくは10GPa以上13GPa以下である。第一の方向DX1及び第二の方向DY1の少なくとも一方の曲げ弾性率が上記範囲外のプリプレグを多層印刷配線基板の層間絶縁層の材料に用い、この多層印刷配線基板にチップ部品をはんだ実装して使用すると、次のような不具合が発生するおそれがある。第一の方向DX1及び第二の方向DY1の少なくとも一方の曲げ弾性率が14GPa超であると、はんだ接合部に、はんだクラックが発生するおそれがある。これは、主にチップ部品の温度変化による膨張収縮に起因するはんだ接合部への応力を層間絶縁層が十分に吸収できないためと推測される。また、第一の方向DX1及び第二の方向DY1の少なくとも一方の曲げ弾性率が9GPa未満であると、厚み方向DZ1の熱膨張係数が高くなり、スルーホールめっき部にはんだクラックが発生するおそれがある。
熱硬化後において、熱膨張係数の差は、3ppm/℃以下であり、好ましくは2.5ppm/℃以下、より好ましくは2ppm/℃以下である。プリプレグ1を多層印刷配線基板の層間絶縁層の材料に用い、この多層印刷配線基板にチップ部品をはんだ実装して使用する場合、熱膨張係数の差の絶対値が3ppm/℃超であると、多層印刷配線基板の反り量が大きくなるおそれがある。さらに、はんだ接合部にはんだクラックが発生しやすくなる。
熱硬化後において、第一の方向DX1の熱膨張係数は、好ましくは14ppm/℃以下、より好ましくは13ppm/℃以下である。第二の方向DY1の熱膨張係数は、好ましくは12ppm/℃以下、より好ましくは11ppm/℃以下である。第一の方向DX1及び第二の方向DY1の熱膨張係数が上記範囲内であれば、はんだクラックの発生が少なく、反りの小さい多層配線基板ができる。
熱硬化後において、厚み方向DZ1の熱膨張係数は、好ましくは100ppm/℃以下、より好ましくは90ppm/℃以下である。厚み方向DZ1の熱膨張係数が上記範囲内であればスルーホールの接続信頼性を向上させることができる。
プリプレグ1のサイズは、プリプレグ1の使用用途などに応じて適宜調整すればよい。プリプレグ1の厚みTは、好ましくは20μm以上250μm以下、より好ましくは30μm以上200μm以下である。
プリプレグ1の樹脂量は、ガラス布基材10のクロススタイル及び熱硬化性樹脂組成物の材料などに応じて適宜調整すればよく、プリプレグ1100質量部に対して、好ましくは30質量部以上80質量部以下、より好ましくは40質量部以上75質量部以下である。
本実施形態では、第一の方向DX1の曲げ強度は、第二の方向DY1の曲げ強度より高いが、本発明はこれに限定されず、第一の方向DX1の曲げ強度は、第二の方向DY1の曲げ強度より低くてもよいし、第二の方向DY1の曲げ強度と同一であってもよい。第一の方向DX1の曲げ強度と、第二の方向DY1の曲げ強度とを同一にするには、例えば、後述する無機充填剤の含有量、熱硬化性樹脂の種類、ガラス布基材の織密度、経糸方向D11に対する第一の方向の角度、ガラス繊維の組成を調整する方法などが挙げられる。
(ガラス布基材)
プリプレグ1は、図1Aないし図1Cに示すように、ガラス布基材10を備える。ガラス布基材10は、図1Aに示すように、ガラスヤーンで構成された経糸11及び横糸12で形成されている。ガラスヤーンの経糸方向D11は、プリプレグ1の製造時にテンションがかけられた方向(以下、テンション方向という場合がある)であり、かつ第一の方向DX1と略平行である。略平行とは、第一の方向DX1と、ガラスヤーンの経糸方向D11とが0°±10°の範囲内の角度で交わることを意味する。以下、経糸11及び横糸12をまとめてガラスヤーン11,12という場合がある。
本実施形態では、上述したように、ガラスヤーン経糸方向D11は、プリプレグ1の製造時にテンションがかけられた方向である。すなわち、図1B及び図1Cに示すように、経糸11の幅W11は横糸12の幅W12よりも狭くなっている。言い換えると、経糸11の断面形状は、横糸11の断面形状よりも真円に近い形状である。これにより、上述したように、第一の方向の曲げ弾性率は、第二の方向の曲げ弾性率よりも高くなる。
本実施形態では、上述したように、ガラスヤーンの経糸方向D11は、第一の方向DX1と略平行である。そのため、第一の方向DX1の曲げ強度は、経糸11の影響により、ガラスヤーンの経糸方向D11が第一の方向と略平行でない場合の第一の方向の曲げ強度よりも高い。
ガラス布基材10の厚みT10は、好ましくは20μm以上250μm以下、より好ましくは30μm以上200μm以下である。ガラス布基材10の織組織は、図1Aに示すように、平織であり、経糸11及び横糸12は平面視で直交している。ここで、直交とは、90°±10°の範囲内の角度で経糸11及び横糸12が交わることを意味する。
経糸11の織密度は、横糸12の織密度よりも高い。これにより、DX1方向の曲げ強度及び曲げ弾性率を高くすることができる。経糸11の織密度は、好ましくは20本/25mm以上100本/25mm以下である。横糸12の織密度は、好ましくは20本/25mm以上100本/25mm以下である。
経糸11の幅W11は、好ましくは100μm以上600μm以下である。横糸12の幅W12は、経糸11の幅W11よりも狭ければよく、好ましくは100μm以上600μm以下である。
ガラスヤーン11,12は、複数のフィラメント状のガラス繊維の束を撚り合わせた単糸である。ガラス繊維の材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス、NEガラス、Tガラス、石英などを用いることができる。ガラスヤーン11,12には、開繊処理が施されていてもよい。
ガラス布基材10は、IPC規格のクロススタイルであってもよい。その例として、#2116、#7628、#2165、#101、#1035、#1037、#104、#106、#1067、#1078、#1080、#1280、#1501、#1504、#2113、#2313、#3313、#6060、#7629などが挙げられる。
ガラス布基材10は、シランカップリング剤などで表面処理が施されていてもよい。これにより、ガラス布基材10と熱硬化性樹脂組成物の硬化物との密着性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。
本実施形態では、ガラス布基材10の織組織は平織であるが、本発明はこれに限定されない。その例として、綾織、朱子織などが挙げられる。
本実施形態では、ガラスヤーンの経糸方向D11は、第一の方向DX1と略平行であるが、本発明はこれに限定されない。その例として、ガラスヤーンの経糸方向D11は、第一の方向DX1に対して、45°、90°などであってもよい。このようなプリプレグは、後述する長尺状のプリプレグを切断する方向を調整する方法などによって調整することができる。
(熱硬化性樹脂組成物の半硬化物)
プリプレグ1は、図1Bに示すように、熱硬化性樹脂組成物の半硬化物20Uを備える。熱硬化性樹脂組成物の半硬化物20Uは、図1B及び図1Cに示すように、ガラス布基材10を覆っている。
熱硬化性樹脂組成物の半硬化物20Uは、熱硬化性樹脂組成物をBステージ状態に硬化させたものである。熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有し、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、ゴム成分、無機充填材、難燃剤、有機溶剤などを含有していてもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂などを用いることができる。エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有すればよく、例えば、分子構造内にオキサゾリドン環を有するオキサゾリドン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノールのジグリシジルエーテル化合物、多官能アルコールのジグリシジルエーテル化合物、フェノール類とホルムアルデヒドの重縮合物のグリシジルエーテル化物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、並びにこれらのエポキシ樹脂を難燃化のためにハロゲン化したエポキシ樹脂等を用いることができる。多官能アルコールのジグリシジルエーテル化合物としては、例えば、4官能エポキシ樹脂などを用いることができる。ハロゲン化したエポキシ樹脂としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂のエポキシ当量は、好ましくは120〜800g/eq、より好ましくは170〜600g/eqである。
硬化剤としては、例えば、ジアミン系硬化剤、2官能以上のフェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、低分子量ポリフェニレンエーテル化合物などを用いることができる。2官能以上のフェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂を用いることができる。ジアミン系硬化剤としては、例えば、第1級アミン、第2級アミンなどを用いることができる。硬化剤の官能基当量は、好ましくは20〜500g/eqである。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、第3級アミン系化合物、有機ホスフィン化合物、金属石鹸などを用いることができる。イミダゾール系化合物としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)などを用いることができる。
ゴム成分としては、エラストマー微粒子などを用いることができる。エラストマー微粒子としては、例えば、コアシェル構造を有し、シェル部がエポキシ樹脂と相溶するコアシェル型微粒子を用いることができる。シェル相を構成する重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどを用いることができる。コア相を構成する重合体としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系重合体、ブタジエン系重合体、イソプレン系重合体などを用いることができる。
無機充填材としては、例えば、シリカ、モリブデン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク、クレー、マイカなどが挙げられる。シリカとしては、球状シリカ、破砕状シリカなどを用いることができる。破砕状とは、基本的には溶融シリカを粉砕した状態のもので、特に造形処理を施さないものである。モリブデン化合物としては、例えば、三酸化モリブデンなどを用いることができる。無機充填材の含有量は、熱硬化性樹脂及び硬化剤の総質量100質量部に対して、好ましくは20質量部以上200質量部以下である。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤などを用いることができる。ハロゲン系難燃剤としては、臭素含有化合物などを用いることができる。非ハロゲン系難燃剤としては、リン含有化合物、窒素含有化合物などを用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、セロソルブ類などを用いることができる。これらを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[金属張積層板]
図2Aは、本実施形態に係る金属張積層板2の概略正面図である。図2Bは、図2A中の切断線Y−Yに従って切断した金属張積層板2の厚み方向DZ2における概略断面図である。図2Cは、本実施形態に係る金属張積層板2の絶縁層30Cの材料である第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1の重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。なお、図2B中、図1Bに示すプリプレグ1の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して重複説明を省略する場合がある。
本実施形態に係る金属張積層板2は、図2Bに示すように、第一の面30A及び第二の面30Bを有する絶縁層30Cと、第一の面30Aに積層された第一の金属層40と、第二の面30Bに積層された第二の金属層40とを備える。絶縁層30Cは、積層体30Uの硬化物からなる。積層体30Uは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1とからなる。第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1は、図2Cに示すように、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように重ね合わせられている。第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1はプリプレグ1と同一の構成である。ここで、略直角とは、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが90°±10°の範囲内の角度で交わることを意味する。
本実施形態では、上述したように、絶縁層30Cは、図2Bに示すように、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように重ね合わせられた積層体30Uの硬化物である。これにより、例えば、金属張積層板2を多層印刷配線基板のコア基板の材料に用い、この多層印刷配線基板にチップ部品をはんだ実装して使用する場合、多層印刷配線基板の反り量を小さくすることができる。さらに、はんだ接合部にはんだクラックが発生しにくくなる。これは、絶縁層30Cは全体として等方性に近い物性を有しているためと推測される。具体的に、第一のプリプレグ1と第二のプリプレグ1とは、プリプレグ1と同一の構成であり、かつ上記のように重ね合わせられている。そのため、絶縁層30Cの第一の方向DX2の曲げ弾性率と、絶縁層30Cの第二の方向DY2の曲げ弾性率とは略同一となるためと推測される。
金属張積層板2の板厚Tは、金属張積層板2の使用用途に応じて適宜調整すればよく、好ましくは40μm以上2000μm以下、より好ましくは60μm以上1600μm以下である。
絶縁層30Cは、図2Bに示すように、2枚のガラス布基材10,10と、2枚のガラス布基材10,10に含浸された熱硬化性樹脂組成物の硬化物20Cとを備える。絶縁層30Cは、電気的な絶縁性を有している。熱硬化性樹脂組成物の硬化物20Cは、2枚のガラス布基材10,10を覆っている。熱硬化性樹脂組成物の硬化物20Cは、熱硬化性樹脂組成物の半硬化物20Uを熱硬化させたもの、すなわちCステージ状態の熱硬化性樹脂組成物である。
第一の金属層40及び第二の金属層40(以下、まとめて金属層40という場合がある)は、パターニングされていない箔状の金属からなる。第一の金属層40と、第二の金属層40とは、同一の構成であってもよいし、互いに異なる構成であってもよい。
金属層40の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレスなどを用いることができ、なかでも銅を用いることが好ましい。金属層40の材質が銅である場合、電解銅、圧延銅のいずれであってもよい。金属層40の厚さは、好ましくは2μm以上40μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下である。
金属層40は少なくとも片面がマット面であることが好ましい。この場合、金属層40の片面がマット面、金属層40の他の面がシャイニー面であってもよいし、金属層40の両面がマット面であってもよい。金属層40のマット面がプリプレグに向い合うように配置して加熱加圧成形すれば、金属張積層板2において、アンカー効果で、第一の金属層40と絶縁層30Cとのピール強度、第二の金属層40と絶縁層30Cとのピール強度を向上させることができる。
マット面の十点平均粗さ(RZJIS)は、特に限定されず、好ましくは0.5μm以上5.0μm以下である。シャイニー面の十点平均粗さ(RZJIS)は、特に限定されず、好ましくは0.5μm以上2.5μm以下である。マット面には、シャイニー面と比較して、より緻密な凹凸がより多く形成されている。
ここで、十点平均粗さ(RZJIS)とは、JISB 0601−2013に規定されているものであって、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
本実施形態では、絶縁層30Cは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1との積層体30Uの硬化物であるが、本発明はこれに限定されず、絶縁層30Cは、積層体30Uの硬化物を一枚又は複数枚含めばよい。その例として、複数枚の積層体30Uからなる硬化物;1枚又は複数枚の積層体30Uと、1枚又は複数枚の等方性を有するプリプレグとを重ね合わせた積層体の硬化物をさらに挙げることができる。等方性を有するプリプレグとは、第一の方向DX1の曲げ強度と、第二の方向DY1の曲げ強度とが同一であるプリプレグであって、熱膨張係数の差が3ppm/℃以下であるプリプレグである。
本実施形態では、第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1は同一の構成であるが本発明はこれに限定されず、同一の構成でなくともよい。この場合、第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1としては、熱硬化後において、曲げ弾性率及び熱膨張係数の差が上述した範囲内であり、かつ曲げ弾性率及び熱膨張係数の差が互いに同一でないプリプレグを用いればよい。
本実施形態では、図2Bに示すように、絶縁層30Cの第一の面30A及び第二の面30Bに金属層40が積層されているが、本発明はこれに限定されず、絶縁層30Cの第一の面30A及び第二の面30Bの一方のみに金属層が積層されていてもよい。
[印刷配線基板]
図3Aは、本実施形態に係る印刷配線基板3の第一の面30Aの概略正面図である。図3Bは、図3A中の切断線Y−Yに従って切断した印刷配線基板3の厚み方向DZ3における概略断面図である。図3Cは、本実施形態に係る印刷配線基板3の絶縁層30Cの材料である第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1の重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。図3Bにおいて、スルーホール、ビアなどは省略している。図3B中、図2Bに示す金属張積層板2の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して重複説明を省略する場合がある。
本実施形態に係る印刷配線基板3は、図3Bに示すように、第一の面30A及び第二の面30Bを有する絶縁層30Cと、第一の面30Aに積層された第一の導体配線41と、第二の面30Bに積層された第二の導体配線41とを備える。絶縁層30Cは、積層体30Uの硬化物からなる。積層体30Uは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1とからなる。第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1は、図3Cに示すように、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように重ね合わせられている。第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1はプリプレグ1と同一の構成である。
本実施形態では、上述したように、絶縁層30Cは、図3Cに示すように、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように重ね合わせられた積層体30Uの硬化物である。そのため、例えば、印刷配線基板3を多層印刷配線基板のコア基板として用い、この多層印刷配線基板にチップ部品をはんだ実装して使用する場合、多層印刷配線基板の反り量を小さくすることができる。さらに、はんだ接合部にはんだクラックが発生しにくくなる。これは、絶縁層30Cは全体として等方性に近い物性を有しているためと推測される。具体的に、第一のプリプレグ1と第二のプリプレグ1とは、プリプレグ1と同一の構成であり、かつ上記のように重ね合わせられている。そのため、絶縁層30Cの第一の方向DX3の曲げ弾性率と、絶縁層30C第二の方向DY3の曲げ弾性率とが略同一となるためと推測される。
印刷配線基板3の板厚Tは、印刷配線基板3の使用用途に応じて適宜調整すればよく、好ましくは40μm以上2000μm以下、より好ましくは60μm以上1600μm以下である。
第一の導体配線41及び第二の導体配線41(以下、まとめて導体配線41という場合がある)は、パターニングされた層である。印刷配線基板3を多層印刷配線基板のコア基板として使用する場合、導体配線41は内部導体パターン層(内層)として機能する。導体配線41としては、パターニングの他は、例えば、金属層40として例示したものと同様のものを用いることができる。第一の導体配線41の厚さT411及び第二の導体配線41の厚さT412は、好ましくは2μm以上200μm以下である。導体配線41のパターンは、特に限定されず、印刷配線基板3の使用用途に応じて適宜調整すればよい。
本実施形態では、絶縁層30Cは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1との積層体30Uの硬化物であるが、本発明はこれに限定されず、絶縁層30Cは、積層体30Uの硬化物を一枚又は複数枚含めばよい。その例として、複数枚の積層体30Uからなる硬化物;1枚又は複数枚の積層体30Uと、1枚又は複数枚の等方性を有するプリプレグとを重ね合わせた積層体の硬化物をさらに挙げることができる。
本実施形態では、第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1は同一の構成であるが本発明はこれに限定されず、同一の構成でなくともよい。この場合、第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1としては、熱硬化後において、曲げ弾性率及び熱膨張係数の差が上述した範囲内のプリプレグを用いればよい。
本実施形態では、図3Aに示すように、絶縁層30Cの第一の面30A及び第二の面30Bに導体配線41が積層されているが、本発明はこれに限定されず、絶縁層30Cの第一の面30A及び第二の面30Bの一方のみに導体配線が積層されていてもよい。
[第一の多層印刷配線基板]
図4Aは、第一実施形態に係る多層印刷配線基板4(以下、第一の多層印刷配線基板4という場合がある)の第一の面4Aの概略正面図である。図4Bは、図4A中の切断線Y−Yに従って切断した第一の多層印刷配線基板4の厚み方向DZ4における概略断面図である。図5は、第一実施形態に係る多層印刷配線基板4の層間絶縁層31C,31Cの材料である第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1の重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。図4Bにおいて、スルーホール、ビアなどは省略している。図4B中、図3Bに示す印刷配線基板3の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して重複説明を省略する場合がある。図5中、コア基板3の導体配線41の記載は省略している。
第一実施形態に係る多層印刷配線基板4は、図4Bに示すように、第一の面3A及び第二の面3Bを有するコア基板3の第一の面3Aに、第一の層間絶縁層31C及び第一の回路層51がこの順で1つずつ交互に積層されている。さらに、コア基板3の第二の面3Bに、第二の層間絶縁層31C及び第二の回路層51がこの順で1つずつ交互に積層されている。第一の層間絶縁層31Cは、第一の積層体31Uの硬化物からなる。第一の積層体31Uは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1とからなる。第二の層間絶縁層31Cは、第二の積層体31Uの硬化物からなる。第二の積層体31Uは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1とからなる。第一の積層体31U及び第二の積層体31Uにおいて、第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1は、図5に示すように、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるようにそれぞれ重ね合わせられている。第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1はプリプレグ1と同一の構成である。
第一実施形態では、上述したように、第一の層間絶縁層31C及び第二の層間絶縁層31Cは、図4Bに示すように、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように重ね合わせられた硬化物である。これにより、例えば、多層印刷配線基板4にチップ部品をはんだ実装して使用する場合、多層印刷配線基板4の反り量を小さくすることができる。さらに、はんだ接合部にはんだクラックが発生しにくくなる。これは、第一の層間絶縁層31C及び第二の層間絶縁層31Cがそれぞれ全体として等方性に近い物性を有しているためと推測される。具体的に、第一のプリプレグ1と第二のプリプレグ1とは、プリプレグ1と同一の構成であり、かつ上記のように重ね合わせられている。そのため、第一の層間絶縁層31Cの第一の方向DX4の曲げ弾性率と、第一の層間絶縁層31Cの第二の方向DY4の曲げ弾性率とが略同一となるためと推測される。第二の層間絶縁層31Cも同様に、第二の層間絶縁層31C全体として等方性に近い物性を有しているためと推測される。
多層印刷配線基板4の板厚Tは、多層印刷配線基板4の使用用途に応じて適宜調整すればよい。
第一の層間絶縁層31C及び第二の層間絶縁層31C(以下、まとめて層間絶縁層31Cという場合がある)は、それぞれ、図4Bに示すように、2枚のガラス布基材10,10と、2枚のガラス布基材10,10に含浸された熱硬化性樹脂組成物の硬化物20Cとを備える。
層間絶縁層31Cは、電気的な絶縁性を有している。熱硬化性樹脂組成物の硬化物20Cは、2枚のガラス布基材10,10を覆っている。
第一の回路層51及び第二の回路層51(以下、まとめて回路層51という場合がある)は、パターニングされた層である。第一実施形態では、回路層51は外層として機能する。回路層51としては、例えば、導体配線41として例示したものと同様のものを用いることができる。第一の回路層51の厚さT511及び第二の回路層51の厚さT512は、好ましくは2μm以上20μm以下である。回路層51のパターンは、特に限定されず、多層印刷配線基板4の使用用途に応じて適宜調整すればよい。
第一実施形態では、第一の層間絶縁層31Cは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1との第一の積層体31Uの硬化物であるが、本発明はこれに限定されず、第一の層間絶縁層31Cは、第一の積層体31Uの硬化物を一枚又は複数枚含めばよい。その例として、複数枚の第一の積層体31Uからなる硬化物;1枚又は複数枚の第一の積層体31Uと、1枚又は複数枚の等方性を有するプリプレグとを重ね合わせた積層体の硬化物をさらに挙げることができる。第一の層間絶縁層31Cに用いるプリプレグが複数枚数の場合、コア基板3に接する側のプリプレグのテンション方向と、コア基板3の第一の面3Aを構成するプリプレグのテンション方向とが略直角となるように、コア基板3の第一の面3A上に第一の層間絶縁層31Cが重ね合わせられていてもよい。またプリプレグの枚数が複数枚数の場合は、順次このプリプレグのテンション方向が略直角となるようにプリプレグを順次重ね合わせて配置してもよい。
第一実施形態では、第二の層間絶縁層31Cは、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1との第二の積層体31Uの硬化物であるが、本発明はこれに限定されず、第二の層間絶縁層31Cは、第二の積層体31Uの硬化物を一枚又は複数枚含めばよい。その例として、複数枚の第二の積層体31Uからなる硬化物;1枚又は複数枚の第二の積層体31Uと、1枚又は複数枚の等方性を有するプリプレグとを重ね合わせた積層体の硬化物をさらに挙げることができる。第二の層間絶縁層32Cに用いるプリプレグが複数枚数の場合、コア基板3に接する側のプリプレグのテンション方向と、コア基板3の第二の面3Bを構成するプリプレグのテンション方向とが略直角となるよう重ね合わせられていてもよい。またプリプレグの枚数が複数枚数の場合は、順次このプリプレグのテンション方向が略直角となるようにプリプレグを順次重ね合わせて配置してもよい。
第一実施形態では、第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1は同一の構成であるが本発明はこれに限定されず、同一の構成でなくともよい。この場合、第一のプリプレグ1及び第二のプリプレグ1としては、熱硬化後において、曲げ弾性率及び熱膨張係数の差が上述した範囲内のプリプレグを用いればよい。
第一実施形態では、コア基板3の第一の面3A及び第二の面3Bに、層間絶縁層31C及び回路層51がこの順で交互に積層されているが、本発明はこれに限定されず、コア基板3の第一の面3A及び第二の面3Bの一方のみに層間絶縁層31C及び回路層51がこの順で交互に積層されていてもよい。
第一実施形態では、コア基板3の第一の面3A及び第二の面3Bに、層間絶縁層31C及び回路層51がこの順で1つずつ交互に積層されているが、本発明はこれに限定されず、少なくとも最外層に位置する層間絶縁層が層間絶縁層31Cであればよい。その例として、コア基板3の第一の面3A及び第二の面3Bの少なくとも一方に、層間絶縁層31C及び回路層51がこの順に2つ以上交互に積層されていてもよい。最外層に位置する層間絶縁層が層間絶縁層31Cであれば、チップ部品をはんだ実装して使用しても、はんだ接合部及びスルーホールめっき部にはんだクラックが発生しにくく、かつ反り量を低減でき、部品実装信頼性の高い多層印刷配線基板とすることができる。
[プリプレグの製造方法]
図6は、本発明の実施形態に係るプリプレグ1の製造方法を説明するための概略説明図である。図6中、図1A及び図1Bに示すプリプレグ1の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して重複説明を省略する場合がある。図6中の矢印は、ガラスクロス前駆体10Dにテンションをかける方向である。すなわち、図6中の矢印は、搬送方向である。
本実施形態に係るプリプレグ1を製造する方法は、例えば、浸漬法、ロールコータ法などが挙げられる。浸漬法は、ワニス製造工程と、ワニス含浸工程と、乾燥工程とをこの順で行う方法などが挙げられる。ワニス製造工程では、有機溶剤を含有する熱硬化性樹脂組成物20V(以下、樹脂ワニス20Vという場合がある)を調製する。ワニス含浸工程では、ガラスクロス前駆体10Dに樹脂ワニス20Vを含浸させて被覆材1Uを得る。乾燥工程では、被覆材1Uを加熱乾燥してプリプレグ1を得る。この浸漬法によれば、経糸方向D11に長い長尺状のガラスクロス前駆体10Dを用いて、図6に示すように、プリプレグ1を連続的に製造することができる。具体的に、次のようにして、浸漬法により、プリプレグ1を連続的に製造することができる。
(ワニス製造工程)
ワニス製造工程では、熱硬化性樹脂及び有機溶剤、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、ゴム成分、無機充填材、難燃剤などをブレンド装置内に投入して混合する。これにより、樹脂ワニス20Vが得られる。得られた樹脂ワニス20Vをワニス槽62内に投入する。
(ワニス含浸工程)
ワニス含浸工程では、繰出ロール60に巻き取られた長尺状のガラスクロス10Dを、その長手方向にテンションをかけた状態で、複数のガイドロール61によってワニス槽62内に搬送する。これにより、ガラスクロス10Dに樹脂ワニス20Vを含浸させて、被覆材1Uが得られる。
ガラスクロス10Dは、テンションがかけられていない状態である他は、ガラス布基材10と同じ構成である。ガラスクロス10Dの長手方向と、ガラスクロスのガラスヤーンの経糸方向(ガラスクロス10Dのガラスヤーンの経糸方向D11)とは、略平行である。ガラスクロス10Dの経糸の幅と、横糸の幅は略同一である。ガラスクロス10Dの経糸の幅は、得られるプリプレグ1のガラス布基材10の経糸11の幅W11よりも広い。
ガラスクロス10Dをワニス槽62内に搬送する前に、ガラスクロス10Dにシランカップリング剤を付着させてもよい。付着方法としては、例えば、ガラス布基材10にシランカップリング剤を吹き付ける方法、シランカップリング剤を含む溶液中にガラス布基材10を含浸させる方法などが挙げられる。
(乾燥工程)
乾燥工程では、まず、被覆材1Uを一対のスクイズロール63,63間に挟み込む。これにより、被覆材1Uから余分な樹脂ワニス20Vを剥ぎ落す。一対のスクイズロール63,63の間隙寸法を調整することで樹脂ワニス20Vの付着量を調整することができる。
次いで、被覆材1Uを、加熱炉64内に搬送する。これにより、加熱炉64内において、樹脂ワニス20Vの溶剤を除去すると同時に、熱硬化性樹脂組成物を半硬化させて、プリプレグ1を連続的に得る。加熱炉内の温度、加熱炉内での搬送時間などは、プリプレグ1の使用用途などに応じて適宜調整すればよい。加熱炉64内の温度は、好ましくは100℃以上200℃以下である。
次いで、プリプレグ1を冷却し、巻取ロール65に巻き取る。プリプレグ1を巻き取る直前に、カッターによりプリプレグ1の波状となった端縁を直線状に切断してもよい。巻き取られたプリプレグ1は、所定寸法の矩形状に切断されて、金属張積層板2、印刷配線基板3、多層印刷配線基板4などの材料として用いることができる。
熱硬化後において、第一の方向DX1の曲げ弾性率及び第二の方向DY1の曲げ弾性率をともに9GPa以上14GPa以下とする方法としては、例えば、弾性率の低いゴム成分を樹脂中に配合する方法、マトリクス樹脂中に枝分かれの多い分子鎖を導入する方法などが挙げられる。
熱硬化後において、第一の方向DX1の熱膨張係数と、第二の方向DY1の熱膨張係数との差の絶対値を3ppm/℃以下とする方法としては、例えば、ガラス布基材10の経糸方向D11,横糸方向D12の打ち込み本数を変える方法、ガラスヤーンの太さを変える方法などが挙げられる。
[金属張積層板の製造方法]
金属張積層板2を製造する方法としては、例えば、図2Bに示すように、第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1とを重ね合わせて積層体30Uを形成し、この積層板30Uの両面に金属箔を重ね合わせ、加熱加圧成形して積層一体化する方法などが挙げられる。この加熱加圧成形により、積層体30Uの熱硬化性樹脂組成物は、Bステージ状態の半硬化物20UからCステージ状態の硬化物20Cとなる。加熱加圧成形する方法としては、例えば、多段真空プレス法、ダブルベルトプレス法などが挙げられる。
[印刷配線基板の製造方法]
印刷配線基板3を製造する方法としては、例えば、金属張積層板2を準備し、金属張積層板2の金属層40に配線形成処理を施す方法などが挙げられる。配線形成処理の方法としては、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法などが挙げられる。必要に応じて、層間接続するために穴あけ加工を行ってもよい。穴あけ加工法としては、ドリル加工、レーザー加工などが挙げられる。
[多層印刷配線基板の製造方法]
多層印刷配線基板4を製造する方法としては、例えば、ビルドアップ法などが挙げられる。ビルドアップ法としては、例えば、次のようにして行うことができる。コア基板として印刷配線基板3(以下、コア基板3)を準備する。第一のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第二のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように、第一のプリプレグ1と、第二のプリプレグ1とを重ね合わせて、第一の積層体31U及び第二の積層体31Uをそれぞれ形成する。コア基板3の第一の導体配線41を粗面化処理し、コア基板3の第一の面3Aに第一の積層体31Uを介して第一の金属箔を重ねて、これを加熱加圧して積層一体化する。これにより、第一の積層体31Uは熱硬化して第一の層間絶縁層31Cとなる。また、第一の金属箔は後述するサブトラクティブ法により、第一の回路層51となる。次いで、第一の金属箔及び第一の層間絶縁層31Cにドリル加工による穴あけ及びデスミア処理を行う。その後、第一の金属箔及び第二の金属箔にサブトラクティブ法により第一の回路層51を形成すると共に穴の内壁にめっき処理を行ってスルーホール又はブラインドビアホールを形成する。同様にして、コア基板3の第二の面3Bに、第二の層間絶縁層31Cと及び第二の回路層51を形成する。これにより、多層印刷配線基板4が得られる。粗面化処理の方法としては、例えば、黒色酸化処理などが挙げられる。
[第二の多層印刷配線基板]
図7Aは、第二実施形態に係る多層印刷配線基板5(以下、第二の多層印刷配線基板5という場合がある)の第一の面5Aの概略正面図である。図7Bは、図7A中の切断線Y−Yに従って切断した第二の多層印刷配線基板5の厚み方向DZ5における概略断面図である。図8は、第二実施形態に係る多層印刷配線基板5の第三の層間絶縁層32C、第四の層間絶縁層32C,第五の層間絶縁層32C,及び第六の層間絶縁層32C(以下、まとめて層間絶縁層32Cという場合がある)の材料である第三のプリプレグ1、第四のプリプレグ14、第五のプリプレグ1、及び第六のプリプレグ1の重ね合わせ方向を説明するための概略分解斜視図である。図7Bにおいて、スルーホール、ビアなどは省略している。図7B及び図8中、図4Bに示す多層印刷配線基板4の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して重複説明を省略する場合がある。図8中、コア基板3の導体配線41の記載は省略している。
第二実施形態に係る多層印刷配線基板5は、図7Bに示すように、第一の面3A及び第二の面3Bを有するコア基板3の第一の面3A及び第二の面3B上に、層間絶縁層及び回路層がこの順で2つずつ交互に積層されている。すなわち、コア基板3の第一の面3A上に、第三の層間絶縁層32C、第三の回路層51、第四の層間絶縁層32C、第四の回路層51がこの順で積層されている。さらに、コア基板3の第二の面3B上に、第五の層間絶縁層32C、第五の回路層51、第六の層間絶縁層32C、第六の回路層51がこの順で積層されている。コア基板3の第一の面3A側の最外層に位置する第四の層間絶縁層32Cは、第四のプリプレグ1の硬化物1枚からなる。この最外層に最も近くに位置する第三の層間絶縁層32Cは、第三のプリプレグ1の硬化物1枚からなる。コア基板3の第二の面3B側の最外層に位置する第六の層間絶縁層32Cは、第六のプリプレグ1の硬化物1枚からなる。この最外層に最も近くに位置する第五の層間絶縁層32Cは、第五のプリプレグ1の硬化物1枚からなる。第三の層間絶縁層32C、及び第四の層間絶縁層32Cにおいて、第三のプリプレグ1及び第四のプリプレグ1は、図8に示すように、第三のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第四のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように積層されている。第五の層間絶縁層32C、及び第六の層間絶縁層32Cにおいても同様に、第五のプリプレグ1及び第六のプリプレグ1は、図8に示すように、第五のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第六のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように積層されている。第三のプリプレグ1、第四のプリプレグ1、第五のプリプレグ1、及び第六のプリプレグ1はプリプレグ1と同一の構成である。ここで、最外層に最も近くに位置するとは、複数の層間絶縁層のうち、最外層に位置する層間絶縁層の隣に位置する層間絶縁層を意味する。
第二実施形態では、上述したように、第三の層間絶縁層32C及び第四の層間絶縁層32Cは、図8に示すように、第三のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第四のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように積層された硬化物である。さらに、第五の層間絶縁層32C及び第六の層間絶縁層32Cは、図8に示すように、第五のプリプレグ1の第一の方向DX1と、第六のプリプレグ1の第一の方向DX1とが略直角となるように積層された硬化物である。これにより、例えば、第二の多層印刷配線基板5にチップ部品をはんだ実装して使用する場合、第二の多層印刷配線基板5の反り量を小さくすることができる。さらに、はんだ接合部にはんだクラックが発生しにくくなる。これは、第三の層間絶縁層32C及び第四の層間絶縁層32Cを1つの積層体としてみた場合、この積層体は全体として等方性に近い物性を有しているためと推測される。具体的に、第三のプリプレグ1と第四のプリプレグ1とは、プリプレグ1と同一の構成であり、かつ上記のように積層されている。そのため、第三の層間絶縁層32C及び第四の層間絶縁層32Cを1つの積層体としてみた場合、第一の方向DX4の曲げ弾性率と、第二の方向DY4の曲げ弾性率とが略同一となるためと推測される。第五の層間絶縁層32C及び第六の層間絶縁層32Cも同様に、第五の層間絶縁層32C及び第六の層間絶縁層32Cを1つの積層体としてみた場合、この積層体は全体として等方性に近い物性を有しているためと推測される。
第二の多層印刷配線基板5の板厚Tは、第二の多層印刷配線基板5の使用用途に応じて適宜調整すればよい。
層間絶縁層32Cは、それぞれ、図7Bに示すように、1枚のガラス布基材10と、1枚のガラス布基材10に含浸された熱硬化性樹脂組成物の硬化物20Cとを備える。
層間絶縁層32Cは、電気的な絶縁性を有している。熱硬化性樹脂組成物の硬化物20Cは、1枚のガラス布基材10を覆っている。
第三の回路層51、第四の回路層51、第五の回路層51、及び第六の回路層51は、パターニングされた層である。第二実施形態では、第三の回路層51及び第五の回路層51は内層として機能し、第四の回路層51及び第六の回路層51は外層として機能する。第三の回路層51、第四の回路層51、第五の回路層51、及び第六の回路層51としては、例えば、導体配線41として例示したものと同様のものを用いることができる。第三の回路層51の厚さT513、第四の回路層51の厚さT514、第五の回路層51の厚さT515、及び第六の回路層51の厚さT516は、好ましくは2μm以上20μm以下である。第三の回路層51、第四の回路層51、第五の回路層51、及び第六の回路層51のパターンは、特に限定されず、第二の多層印刷配線基板5の使用用途に応じて適宜調整すればよい。
第二実施形態では、層間絶縁層32Cは、1枚のプリプレグ1の硬化物であるが、本発明はこれに限定されず、プリプレグ1の硬化物を1枚含んでいればよく、プリプレグ1の他にプリプレグ1とは異なるプリプレグの硬化物を1枚以上含んでいてもよい。層間絶縁層32Cを構成するプリプレグの枚数が複数枚数の場合は、順次このプリプレグのテンション方向が略直角となるようにプリプレグを順次重ね合わせて配置してもよい。
第二実施形態では、コア基板3の第一の面3A及び第二の面3Bに、層間絶縁層及び回路層がこの順で2つずつ交互に積層されているが、本発明はこれに限定されず、コア基板3の第一の面3A及び第二の面3Bの少なくとも一方に、層間絶縁層及び回路層がこの順に3つ以上交互に積層されていてもよいし、コア基板3の第一の面3A及び第二の面3Bの一方のみに層間絶縁層及び回路層がこの順で交互に積層されていてもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
[実施例1〜4,比較例1〜6、参考例1]
〔樹脂ワニス〕
樹脂ワニスの原料として、以下のものを用意した。熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材及び有機溶媒を表1に示す割合で、ブレンド装置内に投入して混合した。これにより、樹脂ワニスA〜Eを得た。得られた樹脂ワニスA〜Eをワニス槽62内に投入した。
<熱硬化性樹脂>
・品名「DER593」(オキサゾリドン型エポキシ樹脂、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社製、エポキシ当量:360g/eq)
・品名「EP153」(臭素化エポキシ樹脂、DIC株式会社、エポキシ当量:400g/eq)
・品名「EPON1031」(4官能型エポキシ樹脂、ヘキシオン社製、エポキシ当量:210g/eq)
<硬化剤>
・品名「VH−4170」(ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、DIC株式会社製、水酸基当量:118g/eq)
<硬化促進剤>
・品名「2E4MZ」(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製)
<低弾性率成分>
・品名「AC−3816N」(シェル層がポリメタクリル酸メチルでコア層が架橋アクリル重合体であるコアシェル型微粒子、アイカ工業株式会社製)
・品名「CL−303」(水酸化アルミニウム、平均粒子径:4μm、住友化学株式会社製)
<無機フィラー>
・品名「SC−2500」(球状シリカ、平均粒子径:0.5μm、株式会社アドマテックス製)
・品名「CL−303」(水酸化アルミニウム、平均粒子径:4μm、住友化学株式会社製)
<有機溶媒>
・品名「MEK」(メチルエチルケトン、東燃化学合同会社製)
・品名「PC」(プロピレングリコールモノメチルエーテル、三協化学株式会社製)
〔プリプレグ〕
ガラスクロス10Dとして、以下のものを用意した。図6に示すように、繰出ロール60に巻き取られた長尺状のガラスクロス前駆体10Dを、その長手方向にテンションをかけた状態で、複数のガイドロール61によってワニス槽62内に搬送した。これにより、ガラスクロス前駆体10Dに樹脂ワニス20Vを含浸させて、被覆材1Uを得た。この際、テンションをかける方向を、ガラスクロス10Dのガラスヤーンの経糸方向とした。すなわち、テンションをかける方向を、得られるガラス布基材10のガラスヤーンの経糸方向D11とした。
次いで、被覆材1Uを一対のスクイズロール63,63間に挟み込み、被覆材1Uから余分な樹脂ワニス20Vを剥ぎ落した。次いで、被覆材1Uを、加熱炉64内に搬送した。これにより、樹脂ワニス20Vの溶剤を除去すると同時に、熱硬化性樹脂組成物を半硬化させて、プリプレグ1を連続的に得た。この際、加熱炉64内の温度は150℃以上160℃以下の範囲内であった。
得られたプリプレグ1の断面を目視観察したところ、経糸11の幅W11は横糸12の幅W12よりも狭くなっていた。
<ガラスクロス>
・品名「2116」(南亜塑膠工業製、クロススタイル:#2116、ガラスヤーンの種類:E225×E225(経糸×横糸)、織密度(本/25mm):60×58(経糸方向×横糸方向)、厚み:94μm、重量:104g/m
・品名「2165」(南亜塑膠工業製、クロススタイル:#2165、ガラスヤーンの種類:E225×G150(経糸×横糸)、織密度(本/25mm):60×52(経糸方向×横糸方向)、厚み:101μm、重量:122g/m
・品名「7628」(南亜塑膠工業製、クロススタイル:#7628、ガラスヤーンの種類:G75×G75(経糸×横糸)、織密度(本/25mm):44×31(経糸方向×横糸方向)、厚み:173μm、重量:203g/m
[物性等の測定]
得られたプリプレグ1を用いて、下記方法により、曲げ弾性率、熱膨張係数、樹脂量、厚み、曲げ弾性率、熱膨張係数、反り量、実装パターンの抵抗上昇率、スルーホールの抵抗上昇率の測定を測定した。測定した結果を表2に示す。表2中、第一の方向とは、ガラスヤーンの経糸方向D11と略平行な方向であり、プリプレグの製造時にテンションがかけられた方向である。表2中、第二の方向とは、ガラスヤーンの経糸方向D11と略直交する方向であり、プリプレグの製造時にテンションがかけられていない方向である。
Figure 0006967736
Figure 0006967736
〔曲げ弾性率の測定〕
JIS C6481に基づき測定した。
〔熱膨張係数の測定〕
IPC TM-650に基づき測定した。
〔樹脂量の測定〕
JIS C6521に基づき測定した。
〔反り量の測定〕
定板上に100mm×100mmの試験片を置き、四隅の最も持ち上がり量の大きい部分を測定した。
〔−40〜125℃ 3000cycle後の実装パターンの抵抗上昇率の測定〕
コア材として1.0mm厚み(銅箔厚み:35μm)のものを用い、この表裏にプリプレグ1を積層成型した。その後3216タイプチップ12個が直列に導通できる回路パターン(以下、実装パターン)を外層に形成し、プリント配線基板を得た。この基板上に3216タイプチップをリフローはんだ付けにて実装した。この実装基板を用い、−40〜125℃の温度サイクル試験槽に投入した。−40℃(30分間)及び125℃(30分間)を1サイクルとする処理を3000サイクル繰り返して、実装基板の冷熱衝撃試験(ヒートショック)を行った。この試験の前後の実装パターンの抵抗値を測定し、この測定値から抵抗の上昇率を求めた。
〔−40〜125℃ 3000cycle後のスルーホールの抵抗上昇率の測定〕
コア材として1.0mm厚み(銅箔厚み:35μm)のものを用い、この表裏にプリプレグ1を積層成型した。この4層基板に直径0.3mm,間隔2mm,500穴のスルーホールを形成し、めっき及び回路形成によりこれらのスルーホールがデイジーチェーン状に接続したプリント配線基板を得た。この基板を用い、−40〜125℃の温度サイクル試験槽に投入した。−40℃(30分間)及び125℃(30分間)を1サイクルとする処理を3000サイクル繰り返して、プリント配線板の冷熱衝撃試験(ヒートショック)を行った。この試験の前後のスルーホールの抵抗値を測定し、この測定値からスルーホールの抵抗の上昇率を求めた。
1、1、1 プリプレグ
1 樹脂被覆物
2 金属張積層板
3 印刷配線基板、コア基板
4、5 多層印刷配線基板
10 ガラス布基材
11 経糸
12 横糸
20C 熱硬化性樹脂組成物の硬化物
20U 熱硬化性樹脂組成物の半硬化物
30C 絶縁層
30U 積層体
31C、31C、32C、32C、32C、32C 層間絶縁層
31U、31U 積層体
40、40 金属層
41、41 導体配線
51、51、51、51、51、51 回路層

Claims (11)

  1. プリプレグであって、
    前記プリプレグは、ガラス布基材と、前記ガラス布基材に含浸された熱硬化性樹脂組成物の半硬化物とを備え、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂、硬化剤、コアシェル型微粒子、及び無機フィラーを含有し、
    前記コアシェル型微粒子の含有量が、熱硬化性樹脂、硬化剤及びコアシェル型微粒子の合計100質量部に対して、15.9質量部以上19.5質量部以下であり、
    前記プリプレグの面上で互いに直交する第一の方向及び第二の方向を設定したとき、
    熱硬化後において、前記第一の方向の曲げ弾性率及び前記第二の方向の曲げ弾性率が、ともに9GPa以上14GPa以下であり、
    熱硬化後において、前記第一の方向の熱膨張係数と、前記第二の方向の熱膨張係数との差の絶対値が3ppm/℃以下であることを特徴とするプリプレグ。
  2. 前記第一の方向の曲げ弾性率が、前記第二の方向の曲げ弾性率よりも高い請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記ガラス布基材が、ガラスヤーンで構成された経糸及び横糸で形成されており、
    前記ガラスヤーンの経糸方向は、前記プリプレグの製造時にテンションがかけられた方向であり、かつ前記第一の方向と略平行である請求項2に記載のプリプレグ。
  4. 第一の面及び第二の面を有する絶縁層と、
    前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に積層された金属層とを備え、
    前記絶縁層は、請求項2又は3に記載の第一のプリプレグと、請求項2又は3に記載の第二のプリプレグとの積層体の硬化物を一枚又は複数枚含み、
    前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように重ね合わせられている金属張積層板。
  5. 前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは同一の構成である請求項4に記載の金属張積層板。
  6. 第一の面及び第二の面を有する絶縁層と、
    前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に積層された導体配線とを備え、
    前記絶縁層は、請求項2又は3に記載の第一のプリプレグと、請求項2又は3に記載の第二のプリプレグとの積層体の硬化物を一枚又は複数枚含み、
    前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように重ね合わせられている印刷配線基板。
  7. 前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは同一の構成である請求項6に記載の印刷配線基板。
  8. 第一の面及び第二の面を有するコア基板の前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に、層間絶縁層及び回路層が交互に積層された多層配線基板であって、
    少なくとも最外層に位置する前記層間絶縁層は、請求項2又は3に記載の第一のプリプレグと、請求項2又は3に記載の第二のプリプレグとの積層体の硬化物を一枚又は複数枚含み、
    前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように重ね合わせられている多層印刷配線基板。
  9. 前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは同一の構成である請求項8に記載の多層印刷配線基板。
  10. 第一の面及び第二の面を有するコア基板の前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一方に、層間絶縁層及び回路層が交互にそれぞれ2層以上積層された多層配線基板であって、
    最外層に位置する前記層間絶縁層は、請求項2又は3に記載の第一のプリプレグの硬化物を1枚含み、
    前記最外層に最も近くに位置する前記層間絶縁層は、請求項2又は3に記載の第二のプリプレグの硬化物を1枚含み、
    前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは、前記第一のプリプレグの前記第一の方向と、前記第二のプリプレグの前記第一の方向とが略直角となるように積層されている多層印刷配線基板。
  11. 前記第一のプリプレグ及び前記第二のプリプレグは同一の構成である請求項10に記載の多層印刷配線基板。
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