JP6967583B2 - 誘導加熱を用いた歯内治療材料を提供するためのシステム - Google Patents

誘導加熱を用いた歯内治療材料を提供するためのシステム Download PDF

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Description

優先権の主張
本出願は、両出願ともに2016年9月11日に出願された米国特許仮出願第62/393,029号および米国特許仮出願第62/393,030号の優先権を主張するものであり、これらの仮出願のすべての公開が参照により組み込まれる。
本発明は、歯内治療材料を加熱するために誘導加熱を用いる、歯科処置に使用するための歯内治療材料を提供するためのシステムに関する。本発明は特に、ドッキングステーションと、適用装置内に収容されるガッタパーチャのような歯内治療材料を加熱するための誘導加熱要素を有する歯内治療材料適用装置とを含む、歯内治療材料を提供するためのシステムに関する。
歯根管治療は、歯髄腔と根管内の感染した歯髄組織を取り除くために行われる歯内療法の一種である。感染した歯髄が除去された後、空いている空間は歯内治療材料で満たされる。根管治療の最終的な目的は、歯根系内部の感染を排除し、根管の端部の小さな開口部(当技術分野では根尖と呼ばれる)を三次元的に堅固に封止または閉塞することである。したがって、歯根管治療は一般的に、成形、清浄、および閉塞(すなわち充填および封止)の3つの工程を含む。根尖または根管の三次元的に完全な封止に失敗すると、微小漏洩につながり、将来の根管系内への細菌の定着、再感染、および歯の喪失の可能性につながる。実際、微小漏洩は歯の不全の最も一般的な原因である。
清浄され成形された根管腔の充填は慣例的に低熱歯内療法用化合物、最も頻繁には歯科用ガッタパーチャが用いられてきた。従来、根管処置工程は、理想的には微小漏出を排除するように根管を塞ぐために、準備された根管内に根管充填材および/または封止ポイントもしくはコーンを配置することを伴った。しかしながら、従来の充填ポイントおよびその適用方法は、根管根尖の良好な封止をもたらすのにあまり適していない。
根管腔に歯科用根管充填材を適用するための一般的な方法は、加熱ガッタパーチャ法である。この技術の一部は、ガッタパーチャ材料を予熱して軟化させ、次いで軟化させたガッタパーチャ材料を細い針を通して根管腔に注入することである。現在、加熱ガッタパーチャ法を行うための様々な種類の適用装置がある。このような適用装置の1つは従来のグルーガンと類似している。この種の装置は、ガン形状の適用装置の一部である加熱バレルを備える。使用者は、一本の円筒形の棒状のガッタパーチャを加熱チャンバーに入れ、細い針をバレルの前部に取り付ける。ガンバレル内の加熱要素を作動させてガッタパーチャ材料を軟化させた後、歯科医は引き金を引いてピストンロッドを加熱されたガンバレル内に押し込み、軟化したガッタパーチャ材料を細い針を通して患者の準備された根管内に押し込む。しかし、ガッタパーチャロッドは加熱チャンバーに直接挿入され、吐出される前に軟化されるので、チャンバー内に高い粘着性の残留物を残す。適用装置を次の使用のために準備するために残留物を化学薬品で洗浄しなければならない。しかし、洗浄用化学物質由来の蒸気は、例えば妊婦にとって有害となり得る。さらに、患者間のクロスコンタミネーションはリスクである。
グルーガンタイプの装置に関連する問題のいくつかに対処するために他のタイプの適用装置が設計されてきた。例えば、ある種の装置は、使い捨ての金属カートリッジに入れられたガッタパーチャロッドを使用する。この種のカートリッジは一般的に約2.8〜3.0mmの直径と、約18mmの長さを有する。カートリッジの一方の端部は細い針に接続され、カートリッジの他方の端部は端部を封止するための小さなナイロンボールまたはペレットを有する。第1のタイプの適用装置における機械的なトリガ構造の代わりに、第2のタイプの適用装置は、針を通ってガッタパーチャ材料を押し出すためのピストンを前方に動かすためのマイクロモータを有する。ガッタパーチャ材料を含むカートリッジは使い捨てであるため、この種の装置は清浄がより容易である。
上記の両方の種類の装置における加熱要素は、加熱パッドおよび/または加熱コイルが加熱バレルの本体に配置された、共通の設計を共有する。この加熱要素の設計は、in vivo臨床用途において問題となり得る。例えば、加熱バレルの本体上に加熱コイルを配置すると、バレルはかさばる。そのため、患者の口の後ろ側の臼歯部に到達するためにデバイスを使用するのが困難な場合がある。他の問題は、歯内治療材料と装置の加熱チャンバー内に設けられた加熱要素との間に空隙があり得るため、加熱機構が効率的ではないことがあり得る。これに関して、ガッタパーチャ歯内治療材料は、一般に、装置から容易に流れるように十分に柔らかくなるために、約90℃〜約125℃に加熱される必要がある。しかし、使用者はしばしば、十分な熱を加熱要素からガッタパーチャを収容するカートリッジに伝達させるために、装置をより高い温度に加熱するように設定しなければならない。しかも、より高い作動温度は問題を引き起こし得る。例えば、熱い装置を使用するときに患者を火傷させるリスクが高まる。したがって、患者を保護するために熱保護スリーブがしばしば装置本体の周りに使用され、その結果スリーブにより装置はさらに大きくなり、操作するのが困難になる。さらに、適用装置内の加熱要素はより高い温度で熱を供給することができなければならないことを考えると、加熱機構はより多くの空間を占め、これはさらに装置の全体的なサイズを増大させる。別の問題は、歯内治療材料と加熱チャンバーとの間の空気の空間が常に一定ではないことを考えると、加熱要素から歯内治療材料への熱伝達が一定ではないことである。過度の熱伝達の場合、歯内治療材料は過加熱されて液化し、使用者が装置を使用する準備が整う前に歯内治療材料が流れ落ち、場合によっては針から流れ出ることがある。
したがって、従来の装置の欠点を克服する温かい歯内治療材料適用装置の開発が望まれている。
したがって、従来のシステムの欠点を克服する温かいガッタパーチャ適用システムの開発が望まれている。
一態様によれば、本発明は、歯内治療材料を提供するためのシステムを提供する。システムは、歯内治療材料を収容するチャンバー構造を含むカートリッジを有する適用装置を含み、チャンバー構造を磁気誘導によって加熱することができる。適用装置はまた、カートリッジを保持するように構成されたハンドルアセンブリを含む。システムはまた、適用装置を収容するように構成されたスロットを含むドッキングステーションを含み、適用装置の一部はスロット内に配置され、ドッキングステーションは、スロットに隣接して配置された少なくとも1つの誘導加熱コイルが設けられている。
他の態様によれば、本発明は、歯内治療材料を収容するように構成されたチャンバー構造を有するカートリッジを提供する。カートリッジはまた、チャンバー構造の少なくとも一部を囲むように構成された外側スリーブを含み、外側スリーブは、チャンバー構造の一部が外部スリーブを通して見えるようにスリーブを貫いて延びるスロットを含む。
本発明の一実施形態に係る歯内治療材料適用装置を示す図である。 図1に示す歯内治療材料適用装置の一部分を示す図である。 本発明の一実施形態に係る歯内治療材料カートリッジの一部分を示す図である。 本発明の一実施形態に係る歯内治療材料カートリッジの側面図である。 図4の線5−5に示す歯内治療材料カートリッジの断面図である。 図4の線6−6に示す歯内治療材料カートリッジの断面図である。 本発明の一実施形態に係る歯内治療材料適用装置を備えたドッキングステーションを示す図である。 図7に示すドッキングステーションの内部を示す図である。 本発明の一実施形態に係るドッキングスリーブを示す図である。 本発明の一実施形態に係るドッキングスリーブを示す図である。
本発明は、ドッキングステーションおよび歯内治療材料適用装置に収容される歯内治療材料を加熱するための誘導加熱要素を有する歯内治療材料適用装置を含む、歯内治療材料を提供するためのシステムに関する。本明細書では、システム、装置、および方法は、歯内治療材料、特にガッタパーチャと併せて使用される装置として記載される。しかしながら、これらの記載は単なる例示として理解されるべきである。実際、当業者にとっては容易に明らかであるが、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、非歯内治療材料を含む他の材料を適用するために使用することができる。
図1および2は、歯内治療材料適用装置10の一部を示す図である。本実施形態では、適用装置10は注射器と同様に構成されている。適用装置10は、ハンドルアセンブリ200に取り付けられたカートリッジ100を含む。ハンドルアセンブリ200は、ユーザによって握られる部分である、サムリング202およびフィンガーグリップ204を含む。サムリング202はプッシュロッド206の一端に接続されている。プッシュロッド206の他端にはプランジャ208がある。フィンガーグリップ204およびプッシュロッド206はロッキングナット212でシリンジ本体210に取り付けられている。適用装置を用いる場合、プッシュロッド206がシリンジ容器210の内側に沿って押され、その結果、後述するように、プランジャ208は、カートリッジ内に延び、歯内治療材料をカートリッジから押し出すように作用する。
当業者にとっては明らかであるが、図1および図2に示す特定のハンドルアセンブリ200とは異なるハンドルアセンブリを、本明細書に記載の発明と共に使用することができる。これに関して、ハンドルアセンブリに必要とされる唯一の機能は、本明細書に記載されるようにカートリッジから歯内治療材料を吐出することを容易にすることである。図示された実施形態の代替形態として、ハンドルアセンブリは、例えば、歯内治療材料をカートリッジから押し出すプッシュロッドの動きを引き起こすためにユーザによって握られるグリップを有することができる。このようなグリップは米国特許出願公開第2015/0079538号(A1)に開示されており、この文献の開示全体が本明細書に援用される。他の実施形態では、使用者によって生成された力を用いるのではなく、ハンドルアセンブリは、プッシュロッドを動かしてそれによって歯内治療材料をカートリッジから押し出すモータを含む。このようなモータはステッパ式モータであってもよく、ステッパモータは、モータの電源が入れられるとプッシュロッド206を動かすためにプッシュロッド206に設けられた溝と噛み合うギア歯を含む。このようなステッパモータの一例は圧電モータであり、圧電モータは、本明細書に記載のように歯内治療材料をカートリッジから押し出すのに使用するための電力を出力することができる小型でエネルギー効率の高い組立体である。モータを備える実施形態においては、モータは、ハンドルアセンブリ内に設けられたバッテリによって電力供給されてもよく、またハンドルアセンブリは、圧電モータに電力を供給するために配線を備えていてもよい。
図3〜5は、カートリッジ100の詳細を示している。カートリッジ100は、その一端がシリンジ本体210に取り付けられる外側スリーブ102を含む。具体的には、スリーブ102の一方の端部は、シリンジ本体210の端部に設けられたねじ214を受けるねじ山104を有する。しかしながら他の実施形態では、スナップ接続構造など、異なる構造を用いてカートリッジ100をシリンジ本体210に接続することができる。さらに他の実施形態では、スリーブ102の端部は、シリンジ本体210の端部の外面を覆って堅固に嵌合するように作られているか、またはその逆になるように作られている。スリーブ102は、後述するように、カートリッジ100の他の部分が誘導加熱されるときにスリーブ102が加熱されないように、例えばプラスチック材料から形成することができる。これに関して、スリーブ102は、誘導加熱を受けにくい様々な材料から製造することができる。プラスチック材料の例としては、ZYTEL(登録商標)HTN92G45DH2が挙げられ、これはデラウェア州ウィリントンのE.I du Pont de Nemours and Companyによって製造されたガラスフィラービーズを有するポリアミド樹脂である。
カートリッジ100はまた、歯内治療材料ユニット106を含み、歯内治療材料ユニット106は、チャンバー構造110から延びる針108を通して吐出される歯内治療材料を保持するためのチャンバー構造110を含む。針108は、ねじ継手、溶接、接着、または他の適切な取り付け手段によってチャンバー構造110に取り付けることができる。チャンバー構造110を含む歯科治療用材料ユニットの一部は、針108がスリーブ102の端部から延びるように、スリーブ102の内部に配置される。封止構造112(ボール封止材と呼ばれることもある)はチャンバー構造110内に移動可能に設けられている。これにより、歯内治療材料は、針108と封止構造112との間でチャンバー構造110内に封止される。適用装置110が使用されるとき、ハンドルアセンブリ200のプランジャ208は、封止構造112をカートリッジ100の端部にある針108に向かって押し、封止構造112はそれによって歯内治療材料を、針108を通してカートリッジ100から押し出すピストンとして機能する。
本発明の実施形態では、歯内治療材料を収容するチャンバー構造110は誘導加熱することができる磁性材料から形成される。例えば、チャンバー構造110は、ニッケル、コバルト、またはステンレス鋼などの強磁性金属合金材料から形成することができる。特定の実施形態では、チャンバー構造110は300シリーズのステンレス鋼から形成される。後述するように、強磁性金属合金から形成されることによって、チャンバー構造110は、誘導磁場中で加熱され得る。チャンバー構造110は、従来の加熱式歯内治療材料カートリッジとは異なり、誘導加熱することができるので、本発明による歯内療法材料カートリッジは、電気的に熱を発生させるためのいかなる部品も含まないことに留意されるべきである。例えば、カートリッジ100は、加熱コイルおよび加熱コイルを電源に接続する電極を含まない。換言すれば、チャンバー構造110自体が熱源となる。このことは、いくつかの理由で有利である。第1に、チャンバー構造110は歯内治療材料と接触しているため、歯内治療材料はカートリッジ100内で効率的に加熱される。第2に、カートリッジ100は電気部品を含まないため、カートリッジ100が歯科処置において用いられるとき、電気部品が患者の口に挿入されないであろう。
図5および図6のカートリッジ100の断面図に示されるように、チャンバー構造110は、チャンバー構造110の外面とスリーブ102の内面との間に延びるスペースペグ114によってスリーブ102から離間している。これにより、チャンバー構造110の外面とスリーブ102との間に空隙116が形成される。空隙116は、チャンバー構造110とスリーブ102との間の非常に効果的な断熱材である。したがって、(以下に説明するように)チャンバー構造110が誘導的に加熱されて歯内治療材料が軟化すると、空隙116の断熱材は、スリーブ102が実質的に加熱されるのを防ぐ。これは、適用装置10を用いて歯科処置するときにスリーブ102が患者の口と接触することがあり、スリーブ102が熱すぎると火傷させる可能性があるため、重要である。
針108、チャンバー構造110、およびスリーブ102を有するカートリッジ100は、歯内治療材料がカートリッジ100から吐出された後に使い捨て可能であり得る。したがって、ハンドルアセンブリ200は、他のカートリッジと共に使用することができる。ただし、本明細書では針108、チャンバー構造110、およびスリーブ102の組み合わせを「カートリッジ」と呼ぶが、他の実施形態では、これらおよび他の構造の異なる組み合わせを組み合わせてカートリッジとして使用することができ、他の構造は適用装置10と共に再使用可能である。例えば、他の実施形態では、チャンバー構造110および針108は使い捨てユニット(すなわち「カートリッジ」)として共に提供され、一方、スリーブ102は適用装置10の再使用可能な部分である。このような実施形態では、チャンバー構造110および針108は、スリーブ102から容易に取り外し可能にされている。別の実施形態では、針108およびスリーブ102が適用装置10の再使用可能部分であり、チャンバー構造110が使い捨て部分(すなわち「カートリッジ」)であり、針108およびスリーブ102はチャンバー構造110から容易に取り外し可能に作製される。
図7および図8を参照すると、適用装置10と共に用いられるためのドッキングステーション20が示されている。ドッキングステーション20および適用装置10は、共に、本発明の実施形態に係る歯科処置に用いるための歯内治療材料を提供するためのシステムを形成する。ドッキングステーション20はスロット302を含み、スロット302内にカートリッジ100を有する適用装置10の側面が挿入される。ドッキングステーション20はまた、追加の適用装置を挿入することができる追加のスロット302を含む。しかしながら他の実施形態では、ドッキングステーション20は、適用装置10用の単一のスロット302のみを含む。
図8は、ドッキングステーション20の内部の一部分を示す図である。便宜上、ドッキングステーションの多くの部分が省略されていることに留意されたい。図に示すように、誘導加熱コイル304がスロット302に隣接して設けられている。より具体的には、1つのコイル304がスロット302の一方の側に隣接して設けられ、他方のコイル304がスロット302の他方の側に隣接して設けられる。加熱コイル304は、銅などの誘導加熱材料から形成される。上述したように、適用装置10のカートリッジ100内のチャンバー構造110は、磁場中で誘導加熱することができる磁性材料から構成されている。したがって、誘導加熱コイル304が作動すると、コイル304は、チャンバー構造110内に誘導熱を発生させる磁界を発生させる。熱は、チャンバー構造110内に収納される歯内治療材料の温度を上昇させ、それによって歯内治療材料を軟化させる。適用装置10がドッキングステーション20から取り外され、使用者が歯科処置を行うことによって装置が作動されると、軟化した歯内治療材料をカートリッジ100から容易に吐出させることができる。当業者であれば理解されるが、適用装置10およびドッキングステーション20の構成により、カートリッジ100内の歯内治療材料を軟化させるための誘導加熱を非常に迅速に行うことができる。例えば、歯内治療材料がガッタパーチャである場合、チャンバー構造110は、誘導加熱が開始された後、数秒のうちにガッタパーチャを軟化させるのに十分な高温に達することができる。
図8に示す実施形態では、各スロット302に対して2つの誘導加熱コイル304が設けられており、コイル304は一般に平坦な形状を有している。誘導加熱コイル304のこのような構成は、適用装置10内のカートリッジ100の迅速かつ効果的な誘導加熱を提供する。しかしながら他の実施形態では、誘導加熱コイルは、図に示されているものとは異なる構成を有することができる。例えば、管状の誘導加熱コイルを用いてスロット302を囲むことができる。また、図示された実施形態では、コイル304は、チャンバー構造110および針108を有するカートリッジ100の両方の部分に隣接して配置される。したがって、針108が磁性材料から形成されている場合、針108も誘導によって加熱されるようになる。このことは、加熱された針108が、歯内治療材料が針108を通過するときに加熱するように作用し、歯内治療材料が針108を通過するときに容易に軟化状態に維持されるという点で有利であり得る。しかしながら他の実施形態では、加熱コイルが針108に隣接して配置されず、したがって針108がドッキングステーション内で誘導加熱されないようにドッキングステーション20が変更される。使用者が誤って患者の口に触れても、加熱されていない針108が火傷を引き起こさないため、針108を誘導加熱しないことは有利であり得る。要するに、適用装置10の加熱は特定の処置の必要性に適合させることができる。
コイル304を作動させるために、電源(図示せず)をドッキングステーション10に設けて誘導加熱コイル304に接続させることができる。このような電源の一例は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)誘導加熱電源モジュールである。より具体的には、ドッキングステーション20と共に用いられるZVS電源モジュールは、約80〜350ワットの電力範囲を有することができる。このような電源はドッキングステーション20において有効であるが、当業者はまた、ドッキングステーション20内の誘導加熱コイル304と共に用いることができる他の種類の電源モジュールを理解するであろう。
図8に示すように、ドッキングステーション20は、カートリッジ100のスリーブ102に面する温度センサ306および308を含む。温度センサ306および308は、カートリッジ100内部のチャンバー構造110の温度を検出するように構成されている。この温度の検出を容易にするために、図3および図4に示すように、カートリッジ100のスリーブ102は、チャンバー構造110の外面をスリーブ102の外側から見ることができるようするスロット118を含む。換言すれば、スロット118はチャンバー構造110への窓を形成する。ドッキングステーション20内の温度センサ306および308はスロット118に向けられており、したがってチャンバー構造110の温度を検出することができる。温度センサ306はドッキングステーション20の制御モジュール(図示せず)に接続されており、制御モジュールも誘導加熱電源に接続されている。それによって、温度センサ306および308は、チャンバー構造110の温度を検出し、その温度を制御モジュールに中継することができる。次に制御モジュールは、チャンバー構造110が所望の温度に達したかどうかに応じて誘導加熱コイル304がオンまたはオフになるように加熱電源を制御することができる。特定の実施形態では、制御モジュールは、コイル304を制御するための根拠としてセンサ306および308の最高温度読み取り値を使用するであろう。特に、誘導加熱コイルを有するこのような制御システムは、従来の抵抗加熱カートリッジでは、温度が調整されるときにしばしば遅れたピークと谷間効果を有してしまって不可能であったであろう正確な温度制御を提供するために、ミリ秒の時間スケールで機能することができる。
当業者であれば、ドッキングステーション20内の温度センサ306および308として使用することができる様々な種類のセンサを理解するであろう。ある実施形態では、温度センサ306および308は赤外線(IR)温度センサである。他の実施形態では、温度センサ306および308は光学センサ(すなわち、光の光学波長を検出するように構成されたセンサ)である。光学センサを有する実施形態では、チャンバー構造110の外面には、スリーブ102のスロット118に面する位置に熱反応性カラーストリップを設けることができる。光センサ306および308は、熱反応性カラーストリップを読み取ることによってチャンバー構造110の温度を決定することができる。このような熱反応性カラーストリップはチャンバー構造10が特定の温度に達したかを示す、一方向性ストリップであることができ、あるいは、チャンバー構造110の温度が上昇および下降するにつれてストリップの色が変化する可逆的二方向ストリップであることができることに注目されたい。
図8に示す実施形態では、ドッキングステーション20は、カートリッジ100の針108に隣接して配置された更なる温度センサ310を含む。温度センサ310は、針108の温度を検出し、その温度の値をドッキングステーション20の制御モジュールに提供することができる。したがって、制御モジュールは、コイル310への電力供給を制御するときに針108の温度を考慮に入れるように構成することができる。
図8に示されるように、位置決めスリーブ400は、適用装置10を実質的に囲むようにスロット302内に配置される。位置決めスリーブ400は、スロット302から取り外され、例えばオートクレーブ内で滅菌され得る。したがって、位置決めスリーブ400はシステムをより衛生的にする。滅菌を容易にするために、位置決めスリーブ400はナイロンのようなポリマー材料から形成することができる。
位置決めスリーブ400の詳細を図9(A)および図9(B)に示す。図示された実施形態では、位置決めスリーブ400はU字形状を有している。この形状は、スリーブ400の内側を容易にアクセス可能にすることによって位置決めスリーブ400の清掃を容易にする。スリーブ400の形状はまた、スリーブ400がスロット302に挿入されているときのドッキングステーション10に対するスリーブ400の適切な向きの指標として役立ち得る。位置決めスリーブ400は、スリーブ400の内側の方に方向づけられたノッチ402を含む。図8に示すように、ノッチ402は、適用装置10がスロット302に挿入されたときのカートリッジ100のスリーブ102のフレア部分120に対応する。このように、ノッチ402は、スロット302内に適用装置10を正しく配置するように機能する。位置決めスリーブ400はまた、位置決めスリーブ400がスロット302内に配置されているときの温度センサ306、308、および310の位置に対応するスロット404を含む。これにより、カートリッジ100は、スロット404を通して温度センサ306、308、および310から見える。
当業者であれば理解されるが、歯内治療材料が適用装置10から容易に流出することを可能にする粘度を達成するために、異なる歯内治療材料は異なる加熱要素を有する。例えば、概して言えば、ガッタパーチャは通常90℃〜125℃の範囲の温度で十分に軟化することができる。さらに、適用装置10と共に用いられる針は、異なるゲージ(すなわち、サイズ)になることができ、ゲージは歯内治療材料が針を通ってどれだけ容易に流れることができるかに影響を与えるであろう。このような要因を考慮し、歯内治療材料の適切な量の誘導加熱が本発明によるシステムによって提供されることを確実にするために、各カートリッジ100およびドッキングステーション20にコード化システムを備えていてもよい。このようなシステムの一例として、カートリッジ100は、カートリッジ100に収納される特定の歯内治療材料およびカートリッジ100の特定の針108ゲージに基づいて色分けされてもよい。カラーコードは、ドッキングステーション20に設けられている光学センサ(上述した温度検出に使用される光学センサと同様のもの)から見えるカートリッジ100の表面に設けることができる。これにより、光学センサはカートリッジからカラーコードを読み取り、特定のカートリッジを適切に誘導加熱するためにドッキングステーション10をどのように作動させるべきかの指示をユーザに提供することができる。これに関連して、ドッキングステーション10は制御ボタン312を有することができ、制御ボタン312の内の1つは、光学センサが特定のカートリッジ100のカラーコードを決定したときに点灯するように形成される。これにより、使用者は、特定のカートリッジについてドッキングステーション10内で正しい加熱サイクルを開始させることになるボタン312の内の1つを押すことができる。
当業者はまた、上記で説明した特定の温度コード化システムに対する多数の可能な変化形を理解するであろう。例えば、ドッキングステーション10内のセンサを使用してカートリッジのカラーコードを決定することの代替として、カートリッジ上に提供されている色分けを使用者に容易に見えるようにすることができ、ドッキングステーション10のボタンは、カートリッジ上に提供された色分けに対応する色で形成することができる。従って、使用者は、単にカートリッジ上にコード化された色を見てから、対応するボタンを押してカートリッジの正しい加熱サイクルを選択することができる。他の例として、使用者がカートリッジの加熱サイクルを選択することの代替として、特定のカートリッジ100のコードがドッキングステーション10内のセンサによって検出された後、ドッキングステーション10の制御モジュールが自動的に正しい加熱サイクルを選択するようにプログラムすることができる。さらに、加熱サイクルをコード化するために色を使用することに対する様々な代替法が挙げられる。例えば、英数字コード(例えばバーコード)をカートリッジに設け、英数字コードをドッキングステーション10内のセンサによって検出することができる。
本明細書に記載の発明を用いて、歯内治療材料を適用するためのシステムを提供することができ、システムは、歯内治療材料を含むカートリッジを加熱するために誘導加熱を使用する。システムは誘導加熱を用いるので、カートリッジを含む適用装置に電気加熱部分を設ける必要がない。さらに、誘導加熱によりカートリッジを迅速かつ効率的に加熱することができる。さらにまた、システムは、異なる加熱要件を有するカートリッジに容易に適合可能である。
本発明をある特定の例示的な実施形態において説明してきたが、この開示に照らして当業者には多くの追加の修正および変化形が明らかであろう。したがって、本発明は、具体的に記載されたものとは別の方法で実施され得ることを理解されたい。したがって、本発明の例示的な実施形態は、あらゆる点で例示的であり限定的ではないと見なすべきであり、本発明の範囲は上記の説明ではなくむしろ本願によって支持可能な請求項およびその均等物によって決定される。
本明細書に記載の装置は、歯内治療に使用される装置など、歯科処置に使用される市販品に使用することができる。したがって、本明細書に記載の装置は明らかに産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 歯内治療材料を収容するように構成されたチャンバー構造と、一端にフレア部分を有する外側スリーブとを含む、カートリッジと、
    前記カートリッジを保持するように構成されたハンドルアセンブリと
    を含む適用装置と、
    前記適用装置の一部がスロット内に配置された状態で適用装置を収容するように構成されたスロットと、前記適用装置の前記カートリッジの温度を検出するための、前記カートリッジの外側スリーブに面する少なくとも1つの光学センサとを含む、ドッキングステーションと
    を含む、歯内治療材料を適用するためのシステムであって、
    前記外側スリーブは、前記チャンバー構造の少なくとも一部を囲むように構成され、
    前記チャンバー構造は、前記チャンバー構造の外面と前記外側スリーブの内面との間に延びるスペースペグによって前記外側スリーブから離間されており、前記チャンバー構造の外面と前記外側スリーブとの間には空隙が形成されており、
    前記チャンバー構造は、強磁性金属合金材料から形成されており、前記チャンバー構造は磁気誘導によって加熱され、
    前記ドッキングステーションが、前記スロットに隣接して配置された少なくとも1つの誘導加熱コイルを備える、ことを特徴とする
    システム。
  2. 前記ドッキングステーションが、
    前記スロットの第1の側面に隣接して配置された第1の誘導加熱コイルと、
    前記第1の側面とは反対側にある前記スロットの第2の側面に隣接して配置された第2の誘導加熱コイルと
    を含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記スロットの少なくとも一部と適用装置との間に配置されるように構成された位置決めスリーブを更に含み、前記位置決めスリーブが前記ドッキングステーションから取り外し可能に構成されている、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記ドッキングステーションが、前記誘導加熱コイルに作動可能に接続された制御モジュールを含み、前記制御モジュールが、前記誘導加熱コイルを複数の加熱サイクルの内の1つの加熱サイクルで作動させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記ドッキングステーションが、前記制御モジュールに作動可能に接続された複数のボタンを含み、前記制御モジュールが、前記ボタンの内の1つが押されたとき、複数の加熱サイクルのうちの特定の加熱サイクルを行う、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記適用装置のカートリッジは、前記チャンバー構造から延びる針を含み、
    前記適用装置のカードリッジが、前記針のゲージおよびカートリッジに収納される歯内治療材料に含まれる加熱要素の内の少なくとも1つを示す少なくとも1つのカラーコードを含み、
    前記ドッキングステーションが、前記カートリッジに設けられた前記カラーコードを検出するように構成されたセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記歯内治療材料が、ガッタパーチャである、請求項1に記載のシステム。
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