JP6965956B2 - 高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の産業分野で使用される、加工性に優れた高強度鋼板及びその製造方法に関する。
近年、地球環境保全の見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっている。そのため、高強度化した鋼板を車体材料として用いることにより、車体部品の薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動きが活発である。
一般に、鋼板の高強度化を図るためには、鋼板の組織全体に対してマルテンサイトやべイナイトなどの硬質相の割合を増加させる必要がある。しかしながら、硬質相の割合を増加させることによる鋼板の高強度化は加工性の低下を招くことから、高強度と優れた加工性を併せ持つ鋼板の開発が望まれている。これまでに、フェライト−マルテンサイト二相鋼(DP鋼)や残留オーステナイトの変態誘起塑性を利用したTRIP鋼など、種々の複合組織鋼板が開発されてきた。
複合組織鋼板において硬質相の割合を増加させた場合、鋼板の加工性は硬質相の加工性の影響を強く受けるようになる。これは、硬質相の割合が少なく軟質なポリゴナルフェライトが多い場合には、ポリゴナルフェライトの変形能が鋼板の加工性に対して支配的であり、硬質相の加工性が十分でない場合においても延性等の加工性は確保されていたのに対し、硬質相の割合が多い場合には、ポリゴナルフェライトの変形能ではなく硬質相の変形能自体が鋼板の成形性に直接影響するようになるからである。
このため、冷延鋼板の場合には、焼鈍およびその後の冷却過程で生成するポリゴナルフェライトの量を調整する熱処理を行った後、鋼板を水焼入れしてマルテンサイトを生成させ、再び鋼板を昇温して高温保持することにより、マルテンサイトを焼戻しして、硬質相であるマルテンサイト中に炭化物を生成させて、マルテンサイトの加工性を向上させてきた。しかしながら、通常、このような水焼入れを施す連続焼鈍水焼入れ方法の場合には、焼入れ後の温度は必然的に水温近傍となるため、未変態オーステナイトのほとんどがマルテンサイト変態することになる。したがって、残留オーステナイトやその他の低温変態組織の活用は困難であった。そのため、硬質組織の加工性の向上はあくまでマルテンサイトの焼戻しによる効果に限られ、結果的に鋼板の加工性の向上も限られたものになっていた。
残留オーステナイトを含む複合組織鋼板に関しては、例えば特許文献1には、所定の合金成分を規定し、鋼組織を、残留オーステナイトを有する微細で均一なベイナイトとすることにより製造される、曲げ加工性および衝撃特性に優れる高張力鋼板が提案されている。
また、特許文献2には、所定の合金成分を規定し、鋼組織を、残留オーステナイトを有するベイナイトとし、かつベイナイト中の残留オーステナイト量を規定することにより製造される、焼付硬化性に優れた複合組織鋼板が提案されている。
更に、特許文献3には、所定の合金成分を規定し、鋼組織を、残留オーステナイトを有するベイナイトを面積率で95%以上、ベイナイト中の残留オーステナイト量を1%以上15%以下とし、かつベイナイトの硬度(HV)を規定することにより製造される、耐衝撃性に優れた複合組織鋼板が提案されている。
特開平4−235253号公報 特開2004−76114号公報 特開平11−256273号公報
しかしながら、上述した先行技術文献に記載の鋼板には以下に述べる課題がある。
特許文献1に記載される成分組成では、鋼板に歪みを付与した際に、高歪域でのTRIP効果を発現する安定した残留オーステナイトの量を確保することが困難であり、曲げ性は得られるものの、塑性不安定が生じるまでの延性が低く、張り出し性に劣る。
特許文献2に記載の鋼板は、焼付硬化性は得られるものの、ベイナイトあるいはさらにフェライトを主体として含みマルテンサイトを極力抑制した組織であるため、1180MPa超の引張強さ(TS)とすることはもとより、高強度化時における加工性を確保することも困難である。
特許文献3に記載の鋼板は、耐衝撃性を向上させることを主目的としており、硬さがHV250以下のベイナイトを主相とし、具体的にはこれを95%以上含む組織であるため、引張強さを1180MPa超とすることは極めて困難である。
一方、プレス加工により成形される自動車部品のうち、例えば自動車衝突時に変形を抑制するドアインパクトビームやバンパーレインフォース等、特に強度が要求される部品の素材として用いられる鋼板には1180MPa以上、そして今後更に1300MPa以上の引張強さが要求されると考えられる。また、比較的形状が複雑な構造部品であるメンバー類やセンターピラーインナーなどの構造部品には、980MPa以上、そして今後更に1180MPa以上の引張強さが望まれる。
本発明は、これまで高強度ゆえに加工性の確保が困難であった点を解決したもので、引張強さ(TS)が1300MPa以上で、加工性に優れる高強度鋼板およびその製造方法とともに提供することを目的とする。
なお、本発明において、高強度とは、引張強さ(TS)が1300MPa以上であることを意味し、また、加工性に優れるとは、引張強さ(TS)×全伸び(T.El)の値が18000MPa・%以上、かつ、引張強さ×穴拡げ率(λ)が40000MPa・%以上であることを意味する。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋼板の成分組成およびミクロ組織について鋭意検討を重ねた。その結果、マルテンサイト及び下部ベイナイト組織を活用して高強度化を図るとともに、鋼板中のC含有量を0.10%以上と多くし、熱間圧延後に熱処理を行いMnを局所濃化させ、また、冷間圧延後の連続焼鈍時には、オーステナイト単相領域で焼鈍した鋼板を急冷してオーステナイトを一部マルテンサイト変態させた後、マルテンサイトの焼戻しと下部ベイナイト変態及び残留オーステナイトの安定化を図ることによって、加工性、とりわけ強度と延性のバランスに優れ、しかも引張強さが1300MPa以上の高強度鋼板が得られることを見出した。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
[1] 質量%で、C:0.10%以上0.20%以下、Si:0.01%以上2.50%以下、Mn:3.5%以上6.0%以下、P:0.100%以下、S:0.0500%以下、Al:0.01%以上0.50%以下およびN:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、鋼板組織全体に対する面積率で、下部ベイナイトが30%以上80%未満、焼戻しマルテンサイトを含むマルテンサイトが10%以上50%未満、残留オーステナイトが10%以上30%以下、ポリゴナルフェライトが10%以下(0%を含む)、前記残留オーステナイト中の平均Mn量が質量%で7%以上、下部ベイナイト、マルテンサイトおよびポリゴナルフェライト中の平均Mn量が質量%で4%以下である鋼板組織と、を有し、引張強さが1300MPa以上、引張強さ×全伸びが18000MPa・%以上、引張強さ×穴拡げ率が40000MPa・%以上であることを特徴とする高強度鋼板。
[2] 前述の成分組成は、さらに、質量%で、Cr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上1.000%以下、Ni:0.005%以上1.000%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下およびCu:0.01%以上2.00%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]に記載の高強度鋼板。
[3] 前述の成分組成は、さらに、質量%で、Ti:0.005%以上0.100%以下およびNb:0.005%以上0.100%以下のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の高強度鋼板。
[4] 前述の成分組成は、さらに、質量%で、B:0.0003%以上0.0050%以下を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の高強度鋼板。
[5] 前述の成分組成は、さらに、質量%で、Ca:0.001%以上0.005%以下およびREM:0.001%以上0.005%以下のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の高強度鋼板。
[6] 前記成分組成は、さらに、質量%で、Sb:0.200%以下、Sn:0.200%以下、Ta:0.100%以下、W:0.500%以下、Mg:0.0050%以下、Zr:0.1000%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項[1]〜[5]のいずれか一項に記載の高強度鋼板。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の成分組成からなる鋼片を、熱間圧延後、(Ac変態点+20℃)以上Ac変態点以下の温度域で600s以上108000s以下保持する第1の熱処理工程と、第1の熱処理工程後の鋼板を冷却し、該鋼板を冷間圧延により冷延鋼板とし、ついで該冷延鋼板を、オーステナイト単相域で15秒以上1000秒以下焼鈍した後、(Ms点−100℃)以上Ms点未満の第1温度域まで平均冷却速度:10℃/s以上で冷却し、その後、250℃以上、(Bs点−20℃)または450℃のうちのいずれか低い温度以下の第2温度域に昇温し、引き続き該第2温度域に15秒以上1000秒以下保持する第2の熱処理工程と、を有することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
ここで、Ms点はマルテンサイト変態開始温度であり、Bs点は、下記式により求められる値である。
Bs(℃)=830−270×[C%]−90×[Mn%]−37×[Ni%]−70×[Cr%]−83×[Mo%] ただし、[X%]は鋼板の成分元素Xの質量%とする。
本発明によれば、引張強さが1300MPa以上で、加工性に優れる高強度鋼板を得ることできる。本発明の高強度鋼板を、例えば、自動車構造部材に適用することにより車体軽量化による燃費改善を図ることができ、本発明の産業上の利用価値は極めて大きい。
図1は、本発明に係る高強度鋼板の製造方法のうち、熱間圧延後、冷間圧延前における第1の熱処理工程を説明するための図である。 図2は、本発明に係る高強度鋼板の製造方法のうち、冷間圧延後における第2の熱処理工程を説明するための図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において、鋼板の成分組成の限定理由について述べる。なお、以下において、成分組成を表す%は質量%を意味するものとする。
C:0.10%以上0.20%以下
Cは鋼板の高強度化および安定した残留オーステナイト量を確保するのに必要不可欠な元素であり、マルテンサイト量の確保および室温でオーステナイトを残留させるために必要な元素である。C量が0.10%未満では、鋼板の強度と加工性を確保することが難しい。一方、C量が0.20%を超えると、溶接部および溶接熱影響部の硬化が著しく溶接性が劣化する。したがって、C量は0.10%以上0.20%以下の範囲とする。C量は、好ましくは0.12%以上、より好ましくは0.14%以上である。C量は、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.17%以下である。
Si:0.01%以上2.50%以下
Siは、固溶強化により鋼の強度向上と炭化物の抑制に寄与する有用な元素である。Si量が0.01%に満たないとその添加効果が乏しくなるため、Si量は0.01%以上とする。Si量は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上である。一方、Si量が2.50%を超えると、鋼板の脆化により穴拡げ率が低下、所望の伸びフランジ性の確保が困難となるため、Si量は2.50%以下とする。Si量は、好ましくは2.00%以下、より好ましくは1.50%以下である。
Mn:3.5%以上6.0%以下
Mnは、本発明において極めて重要な添加元素である。すなわち、Mnは、残留オーステナイトを安定化させる元素で、良好な延性の確保に有効であり、さらに、固溶強化により鋼の強度を上昇させる元素である。また、残留オーステナイト中のMn濃化により、残留オーステナイトを体積率で10%以上と多量に確保することが可能となる。このような作用は、Mn量が3.5%以上で認められる。一方、Mn量が6.0%を超える過剰な添加は、適切なMn濃度を得ることができない。こうした観点から、Mn量は3.5%以上6.0%以下とする。Mn量は、好ましくは、4.0%以上、より好ましくは4.2%以上である。Mn量は、好ましくは5.5%以下、より好ましくは5.0%以下である。
P:0.100%以下
Pは、鋼の強化に有用な元素であるが、P量が0.100%を超えると、粒界偏析により脆化することにより耐衝撃性を劣化させ、鋼板に合金化溶融亜鉛めっきを施す場合には合金化速度を大幅に遅延させる。したがって、P量は0.100%以下とする。P量は好ましくは0.050%以下である。P量は、より好ましくは0.030%以下である。P量は、低減することが好ましいが、0.005%未満とするには大幅なコスト増加を引き起こすため、P量は0.005%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.007%以上である。
S:0.0500%以下
Sは、MnSなどの介在物となり、耐衝撃性の劣化や溶接部のメタルフローに沿った割れの原因となるため、S量を極力低減することが好ましい。しかしながら、0.0500%までは許容可能であることから、S量は0.0500%以下とする。好ましくは0.0300%以下であり、より好ましくは0.0100%以下である。なお、Sは0.0003%未満とするには大きな製造コストの増加を伴うため、製造コストの点からはS量は0.0003%以上が好ましい。S量は、より好ましくは0.0005%以上、さらに好ましくは0.0008%以上である。
Al:0.01%以上0.50%以下
Alは、製鋼工程で脱酸剤として添加される有用な元素である。この効果を得るためには0.01%以上の添加が必要である。一方、Al量が0.50%を超えると、連続鋳造時のスラブ割れの危険性が高まる。したがって、Al量は0.01%以上0.50%以下とする。Al量は、好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.03%以上である。Al量は、好ましくは0.40%以下、より好ましくは0.30%以下である。
N:0.010%以下
Nは、鋼の耐時効性を最も大きく劣化させる元素であり、極力低減することが好ましい。N量が0.010%を超えると耐時効性の劣化が顕著となるため、N量は0.010%以下とする。N量は、好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.007%以下である。なお、Nを0.001%未満とするには大きな製造コストの増加を招くため、製造コストの点からは、N量は0.001%以上が好ましい。N量は、より好ましくは0.002%以上、さらに好ましくは0.003%以上である。
また、本発明では上記した基本成分の他に、以下に述べる成分を適宜含有させることができる。
Cr、V、Ni、Mo:各々0.005%以上1.000%以下、Cu:0.01%以上2.00%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
Cr、V、Ni、Mo及びCuは、焼鈍温度からの冷却時にパーライトの生成を抑制する作用を有する元素である。その効果は、Cr、V、Ni、Mo:各々0.005%以上およびCu:0.01%以上で得られる。一方、Cr、V、Ni、Mo:各々1.000%、およびCu:2.00%を超えると、硬質なマルテンサイトの量が過大となり、必要な加工性を得ることができなくなる。したがって、Cr、V、Ni、Mo及びCuを含有させる場合には、Cr、V、Ni、Mo:各々0.005%以上1.000%以下、およびCu:0.05%以上2.00%以下の範囲とする。Cr、V、Ni、Moは、好ましくは各々0.010%以上、より好ましくは各々0.015%以上である。Cuは、好ましくは0.08%以上、より好ましくは0.10%以上である。また、Cr、V、Ni、Moは、好ましくは各々0.800%以下、より好ましくは各々0.500%以下である。Cuは、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.80%以下である。
Ti:0.005%以上0.100%以下、Nb:0.005%以上0.100%以下のうちから選ばれる1種または2種
Ti及びNbは鋼の析出強化に有用で、その効果は、それぞれの含有量が0.005%以上で得られる。一方、それぞれの含有量が0.100%を超えると加工性および形状凍結性が低下する。したがって、Ti及びNbを含有させる場合は、Ti:0.005%以上0.100%以下およびNb:0.005%以上0.100%以下の範囲とする。Ti及びNbを含有させる場合は、好ましくはTi:0.008%以上、Nb:0.008%以上、より好ましくはTi:0.010%以上、Nb:0.010%以上である。Ti及びNbを含有させる場合は、好ましくはTi:0.080%以下、Nb:0.080%以下、より好ましくはTi:0.060%以下、Nb:0.060%以下である。
B:0.0003%以上0.0050%以下
Bはオーステナイト粒界からポリゴナルフェライトが生成・成長することを抑制するのに有用な元素である。その効果は0.0003%以上の含有で得られる。一方、Bの含有量が0.0050%を超えると加工性が低下する。したがって、Bを含有させる場合は、0.0003%以上0.0050%以下の範囲とする。Bを含有させる場合は、好ましくは0.0004%以上、より好ましくは0.0005%以上である。Bを含有させる場合は、好ましくは0.0040%以下、より好ましくは0.0030%以下である。
本発明の鋼板において、上記以外の成分はFeおよび不可避不純物である。ただし、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。そのような成分の例として、下記が考えられる。
Ca:0.001%以上0.005%以下、REM:0.001%以上0.005%以下のうちから選ばれる1種または2種
Ca、REMは、いずれも硫化物の形態制御により加工性を改善させるのに有効な元素である。このような効果を得るには、Ca、REMから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量を0.001%以上にする必要がある。Ca、REMから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量は、好ましくは0.0015%以上、より好ましくは0.0020%以上である。一方、Ca、REMのそれぞれの含有量が0.005%を超えると、鋼の清浄度に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、Ca、REMの含有量はそれぞれ0.001〜0.005%とする。Ca、REMから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量は、好ましくは0.0045%以下、より好ましくは0.0040%以下である。
さらに、本発明の高強度鋼板は、上記の成分組成に加えて、さらに、質量%で、Sb:0.200%以下、Sn:0.200%以下、Ta:0.100%以下、W:0.500%以下、Mg:0.0050%以下、Zr:0.1000%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有することが好ましい。
Sbは焼鈍中の鋼板表面の脱炭の抑制に有用である。Sbの含有量が0.200%を超えると加工性が低下する。したがって、Sbを含有させる場合は、0.200%以下とする。Sbを含有させる場合は、好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.010%以上である。Sbを含有させる場合は、好ましくは0.180%以下、より好ましくは0.160%以下である。
Snは焼鈍中の鋼板表面の脱炭の抑制に有用である。Snの含有量が0.200%を超えると加工性が低下する。したがって、Snを含有させる場合は、0.200%以下とする。Snを含有させる場合は、好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.010%以上である。Snを含有させる場合は、好ましくは0.180%以下、より好ましくは0.160%以下である。
Taは熱間圧延時または焼鈍時に、微細な炭化物、窒化物または炭窒化物を形成し、鋼の析出強化に有用である。Taの含有量が0.100%を超えると、加工性が低下する。したがって、Taを含有させる場合は、0.100%以下とする。Taを含有させる場合は、好ましくは0.0010%以上、より好ましくは0.010%以上である。Taを含有させる場合は、好ましくは0.080%以下、より好ましくは0.060%以下である。
Wは熱間圧延時または焼鈍時に、微細な炭化物、窒化物または炭窒化物を形成し、鋼の析出強化に有用である。Wの含有量が0.500%を超えると加工性が低下する。したがって、Wを含有させる場合は、0.500%以下とする。Wを含有させる場合は、好ましくは0.0050%以上、より好ましくは0.050%以上である。Wを含有させる場合は、好ましくは0.400%以下、より好ましくは0.300%以下である。
Mgは、介在物の形態制御により加工性を改善させるのに有効な元素である。一方、Mgの含有量が0.0050%を超えると、鋼の清浄度に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、Mgを含有させる場合は、Mgの含有量は0.0050%以下とする。Mgを含有させる場合は、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.0010%以上である。Mgを含有させる場合は、好ましくは0.0040%以下、より好ましくは0.0030%以下である。
Zrは、介在物の形態制御により加工性を改善させるのに有効な元素である。一方、Zrの含有量が0.1000%を超えると、鋼の清浄度に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、Zrを含有させる場合は、Zrの含有量は0.1000%以下とする。Zrを含有させる場合は、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.0010%以上である。Zrを含有させる場合は、好ましくは0.0900%以下、より好ましくは0.0800%以下である。
次に、本発明において、鋼板組織を上記のように限定した理由について述べる。以下、面積率は、圧延方向断面かつ板厚1/4面位置の鋼板組織全体に対する面積率とする。
冷間圧延母材の残留オーステナイトの面積率が10%以上30%以下、残留オーステナイト中のMn量が質量%で7%以上、ポリゴナルフェライト中のMn量が質量%で4%以下(0%を含む)
本発明では冷間圧延前にMnを局所的に濃化させることが重要であり、その濃化量は7%以上で優れた加工性を得ることができる。局所的に濃化させるためには濃化部以外であるポリゴナルフェライト中のMn量は質量%で4%以下(0%を含む)とすることが必要である。Mnはオーステナイト中に濃化するため、残留オーステナイトの面積率は10%以上必要である。一方、30%超えでは十分に濃化しないため、残留オーステナイトの面積率は30%以下とする。
後述するとおり、熱間圧延後にフェライトとオーステナイトの二相域で長時間焼鈍する(たとえば、(Ac変態点+20℃)以上Ac変態点以下の温度域で600s以上108000s以下保持する)ことによりオーステナイト中にMnを濃化させ、冷却後に、局所的にMn濃化部を有する冷延母材を得ることができる。またMnの拡散係数は小さいため、熱延焼鈍後に局所的に形成されたMn濃化部は、冷延焼鈍工程において解消されず、Mn濃化部のままとなる。
MnはMs点を低下させる元素であるため、Mn濃化部のMs点は、Mnが濃化していない場合より低いが、逆にMn量が少ないMn濃化部以外のMs点は高い。そのため、冷延焼鈍工程における冷却停止時に、Mn濃化部以外では冷却停止時にMs点以下まで冷却され、そのため、一部にマルテンサイトを生成し、またその後の再加熱において下部ベイナイトを生成する。一方、Ms点の低いMn濃化部は、冷却停止時にMs点以下まで冷却されず、マルテンサイト変態しないため、最終的に残留オーステナイトの確保が可能となり、優れた延性を得ることができる。
しかしながら、熱間圧延後にフェライトとオーステナイトの二相域で長時間焼鈍しない場合、冷延母材の組織が制御されず、Ms点の低いMn濃化部が存在しないため、冷延焼鈍工程における冷却停止時に、Ms点より低い温度まで冷却され、マルテンサイト変態が進行し、残留オーステナイトの確保が困難となり、優れた延性を得ることができない。Ms点の低いMn濃化部を有することが優れた延性を有する冷延焼鈍材を得るためには重要である。
上記は冷間圧延母材に関する規定であり、以降は最終焼鈍後の鋼板に関する規定である。
下部ベイナイトの面積率:30%以上80%未満
ベイナイト変態によるベイニティックフェライトの生成は、未変態オーステナイト中のCを濃化させ、加工時に高歪域でTRIP効果を発現して歪分解能を高める残留オーステナイトを得るために必要である。オーステナイトからベイナイトへの変態は、およそ150〜550℃の広い温度範囲にわたって起こり、この温度範囲内で生成するベイナイトには種々のものが存在する。従来技術では、このような種々のベイナイトを単にベイナイトと規定する場合が多かったが、本発明で目標とする強度と加工性を得るためには、ベイナイト組織を明確に規定する必要があることから、上部ベイナイトおよび下部ベイナイトを次のように定義する。
上部ベイナイトは、ラス状のベイニティックフェライトと、ベイニッティクフェライトの間に存在する残留オーステナイトおよび/または炭化物とからなり、ラス状のベイニティックフェライト中に規則正しく並んだ細かな炭化物が存在しないことが特徴である。一方、下部ベイナイトは、ラス状のベイニティックフェライトと、ベイニッティクフェライトの間に存在する残留オーステナイトおよび炭化物とからなることは、上部ベイナイトと共通であるが、下部ベイナイトでは、ラス状のベイニティックフェライト中に規則正しく並んだ細かな炭化物が存在することが特徴である。つまり、上部ベイナイトと下部ベイナイトは、ベイニティックフェライト中における規則正しく並んだ細かな炭化物の有無によって区別される。
このようなベイニティックフェライト中における炭化物の生成状態の差は、鋼板強度に大きな影響を与える。上部ベイナイトは下部ベイナイトに比べ軟質であり、本発明で目標とする引張強度を得るためには下部ベイナイトの面積率を30%以上とすることが必要である。下部ベイナイトの面積率は、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。一方、下部ベイナイトの面積率が80%以上になると加工性に十分な残留オーステナイトを得ることができなくなるため、80%未満とする。下部ベイナイトの面積率は、好ましくは75%未満、より好ましくは70%未満である。
焼戻しマルテンサイトを含むマルテンサイトの面積率:10%以上50%未満
マルテンサイトは硬質相であり、鋼板の強度を上昇させる。またベイナイト変態以前にマルテンサイトを生成することによりベイナイト変態を促進する。マルテンサイトの面積率が10%未満では、ベイナイト変態を十分に促進させることができず、後述のベイナイト面積率を達成できない。一方、マルテンサイトの面積率が50%を超えると、ベイナイト組織が減少し安定した残留オーステナイト量が確保できないため、延性等の加工性が低下することが問題となる。したがって、マルテンサイトの面積率は、10%以上50%未満とする。マルテンサイトの面積率は、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。マルテンサイトの面積率は、好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満である。なお、マルテンサイトは、焼戻しマルテンサイトを含む。
なお、マルテンサイトは前述の上部ベイナイトと明確に区別される必要がある。マルテンサイトは組織観察によって判別することができ、焼戻しされていない焼入ままのマルテンサイトは組織中に炭化物を含まず、焼戻しマルテンサイトは組織中にランダムな成長方向を持つ炭化物が存在する。
全マルテンサイトのうち、焼戻しマルテンサイトの割合:80%以上
焼入れままのマルテンサイトは、極めて硬質で変形能が低く靭性に劣るため、焼入れままのマルテンサイトの量が多くなると、歪付与時に脆性的に破壊して結果的に優れた延性及び伸びフランジ性が得られない場合がある。そのため、焼入れままのマルテンサイトの焼戻による、マルテンサイト自体の変形能の大幅な改善により、歪付与時における脆性的な破壊は生じず、焼戻しマルテンサイトを含む本発明の全体の組織構成の実現によって、TS×T.Elを18000MPa・%以上、TS×λを40000MPa・%以上とすることができる場合がある。したがって、マルテンサイトのうち焼戻しマルテンサイトの割合は鋼板中に存在する全マルテンサイト面積率の80%以上が好ましい。より好ましくは、焼戻しマルテンサイトの割合は全マルテンサイト面積率の90%以上である。
なお、焼戻しマルテンサイトは、走査型電子顕微鏡(SEM)での観察などによりマルテンサイト中に微細な炭化物が析出した組織として観察され、マルテンサイト内部にこのような炭化物が認められない焼入れままのマルテンサイトとは明瞭に区別することができる。
残留オーステナイト量:10%以上30%以下
残留オーステナイトは、加工時にTRIP効果によりマルテンサイト変態し、高Cを含有する硬質なマルテンサイトにより高強度化を進めると同時に歪分散能を高めることにより延性を向上させる。
本発明の鋼板では、一部マルテンサイト変態させた後に、例えば炭化物の生成を抑制した下部ベイナイト変態などを活用して、特に、炭素濃化量を高めた残留オーステナイトを形成する。その結果、加工時に高歪域でもTRIP効果を発現できる残留オーステナイトを得ることができる。
このような残留オーステナイトと下部ベイナイト及びマルテンサイトを併存させて活用することにより、引張強さ(TS)が1300MPa以上の高強度領域でも良好な加工性が得られ、具体的には、TS×T.Elの値を18000MPa・%以上、TS×λの値を40000MPa・%以上とすることができ、強度と加工性のバランスに極めて優れた鋼板を得ることができる。
ここで、残留オーステナイトは、マルテンサイトや下部ベイナイトに囲まれた状態で分布するため、組織観察によりその量(面積率)を正確に定量することは難しいが、従来から行われている残留オーステナイト量を測定する手法であるX線回折(XRD)による強度測定、具体的にはフェライトとオーステナイトのX線回折強度比から求められる残留オーステナイト量が10%以上であれば、十分なTRIP効果を得ることができ、引張強さ(TS)が1300MPa以上で、TS×T.Elが18000MPa・%以上を達成できることが確認されている。なお、従来から行われている残留オーステナイト量の測定手法で得られた残留オーステナイト量は、残留オーステナイトの鋼板組織全体に対する面積率と同等であることを確認している。
残留オーステナイト量が10%未満の場合、十分なTRIP効果が得られない。一方、30%を超えると、TRIP効果発現後に生じる硬質なマルテンサイトが過大となり、靭性や伸びフランジ性の劣化などが問題となる。したがって、残留オーステナイトの量は、10%以上30%以下の範囲とする。好ましくは、残留オーステナイトの量は、14%以上である。好ましくは、残留オーステナイトの量は、25%以下である。さらに好ましい残留オーステナイトの量は、18%以上である。さらに好ましい残留オーステナイトの量は、22%以下である。
ポリゴナルフェライトの面積率:10%以下(0%を含む)
ポリゴナルフェライトの面積率が10%を超えると、引張強さ(TS)が1300MPa以上を満足することが困難になると同時に、加工時に硬質組織内に混在した軟質なポリゴナルフェライトに歪が集中することにより加工時に容易に亀裂が発生し、結果として所望の加工性を得られない。ここで、ポリゴナルフェライトの面積率が10%以下であれば、ポリゴナルフェライトが存在しても硬質相中に少量のポリゴナルフェライトが孤立分散した状態となり、歪の集中を抑制することができ、加工性の劣化を避けることができる。したがって、ポリゴナルフェライトの面積率は10%以下とする。好ましいポリゴナルフェライトの面積率は5%以下、さらに好ましくは3%以下であり、0%であってもよい。
なお、各組織の面積率の測定方法は、後述する実施例に記載する方法による。
残留オーステナイト中の平均Mn量:質量%で7%以上
TRIP効果を活用して優れた加工性を得るためには、引張強さ(TS)が1300MPa級以上の高強度鋼板においては、残留オーステナイト中のMn量が重要である。発明者らが検討した結果、本発明の鋼板においては、残留オーステナイト中の平均Mn量が7%以上であれば、より一層優れた加工性が得られることが解った。残留オーステナイト中の平均Mn量が7%未満の場合、加工時において低歪域でマルテンサイト変態が生じてしまい、加工性を向上させる高歪域でのTRIP効果が十分に得られない場合がある。したがって、残留オーステナイト中の平均Mn量は7%以上とする。残留オーステナイト中の平均Mn量は、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上である。
下部ベイナイト、マルテンサイト、および、ポリゴナルフェライト中の平均Mn量:質量%で4%以下
上記の通り残留オーステナイト中の平均Mn量を質量%で7%以上とするためには残留オーステナイト以外の部分、すなわち、下部ベイナイト、マルテンサイト、および、ポリゴナルフェライト中の平均Mn量を低くすることが必要である。下部ベイナイト、マルテンサイト、および、ポリゴナルフェライト中の平均Mn量を質量%で4%以下とすることで残留オーステナイト中の平均Mn量を十分高めることができる。したがって、下部ベイナイト、マルテンサイト、および、ポリゴナルフェライト中の平均Mn量を質量%で4%以下とする。好ましくは3.8%以下、より好ましくは3.5%以下である。下部ベイナイト、マルテンサイト、および、ポリゴナルフェライト中の平均Mn量は、好ましくは2%以上、より好ましくは2.2%以上である。
なお、下部ベイナイト、マルテンサイト、および、ポリゴナルフェライト中の平均Mn量は、以下のようにして求めることができる。 すなわち、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer;電子プローブマイクロアナライザ)を用いて、板厚1/4位置における圧延方向断面の各組織へのMnの分布状態を定量化する。ついで、上記の3組織を各々30個ずつサンプリングし、それらのMn量を分析し、分析結果より得られる各組織(3組織×30個=90組織)のMn量をすべて平均(単純平均)することにより、求めることができる。
次に、本発明の高強度鋼板の製造方法について説明する。
上記の好適成分組成に調整した鋼片を製造後、熱間圧延を施して熱延鋼板とする。本発明において、これらの処理に特に制限はなく、常法に従って行えば良いが、好適な製造条件は次のとおりである。
鋼片を、1000℃以上1300℃以下の温度域に加熱した後、870℃以上950℃以下の温度域で熱間圧延を終了し、得られた熱延鋼板を350℃以上720℃以下の温度域で巻き取る。ついで、熱延鋼板を酸洗する。
得られた熱延鋼板に、次の熱処理を施す。
フェライトとオーステナイトの二相域、例えば、(Ac変態点+20℃)以上Ac変態点以下の温度域で、長時間の焼鈍、例えば、600s以上108000s以下保持する第1の熱処理工程を行なうことにより、本発明の冷延鋼板を得ることができ、この保持の熱処理は、本発明において極めて重要である。
すなわち、(Ac変態点+20℃)未満の温度域またはAc変態点を超える温度域で保持する場合や、保持時間が600s未満となる場合、オーステナイト中へのMnの濃化が進行せず、また最終焼鈍後に十分な残留オーステナイトの体積率の確保が困難となり、延性が低下する。一方、保持時間が108000sを超えると、オーステナイト中へのMnの濃化が飽和し、最終焼鈍後の延性への効き代が小さくなるだけでなく、コストアップの要因にもなる。
したがって、熱延板焼鈍を行なう第1の熱処理工程における保持温度は、(Ac変態点+20℃)以上Ac3変態点以下、好ましくは、(Ac1変態点+25℃)以上(Ac変態点+100℃以下)とし、より好ましくは(Ac変態点+30℃)以上(Ac変態点+80℃以下)である。保持時間は600s以上108000s以下、好ましくは、1000s以上80000s以下、より好ましくは1200s以上55000s以下とする。
なお、第1の熱処理工程における熱処理方法は連続焼鈍や箱焼鈍などのバッチ焼鈍のいずれの焼鈍方法でも構わない。また、第1の熱処理工程の後、室温まで冷却するが、その冷却方法および冷却速度は特に規定せず、バッチ焼鈍における炉冷、空冷および連続焼鈍におけるガスジェット冷却、ミスト冷却、水冷などのいずれの冷却でも構わない。
冷間圧延では、圧下率を30%以上とすることが好ましい。30%以上の圧下率で冷間圧延を施すことにより、熱処理時にオーステナイトが微細に生成し、最終的に微細な残留オーステナイトおよびマルテンサイトが得られ、強度と延性のバランスが向上するだけでなく、曲げ性と伸びフランジ性(穴広げ性)も向上する可能性がある。
なお、冷間圧延の圧下率の上限値は特に限定されるものではないが、冷間圧延の荷重負荷の点から、85%以下とすることが好ましい。より好ましくは75%以下である。
冷間圧延後、第2の熱処理工程を行なう。まず、冷間圧延後の鋼板に、オーステナイト単相域で15秒以上1000秒以下の焼鈍を施す。本発明の鋼板は、マルテンサイトなど、未変態オーステナイトから変態させて得る低温変態相を主相とするものであり、ポリゴナルフェライトは極力少ない方が好ましく、このためオーステナイト単相域での焼鈍が必要である。焼鈍温度に関しては、オーステナイト単相域であれば特に制限はないが、焼鈍温度が1000℃を超えるとオーステナイト粒の成長が著しく、後の冷却によって生じる構成相の粗大化を引き起こし、靭性などを劣化させる。したがって、焼鈍温度は、Ac点(オーステナイト変態点)以上とすることが好ましく、より好ましくは、(Ac変態点+15℃)以上である。焼鈍温度は、1000℃以下とすることが好ましい。より好ましくは950℃以下である。
ここで、Acは、次式によって算出することができる。なお、[X%]は鋼板の成分元素Xの質量%とする。
Ac点(℃) = 723+29×[Si%]−11×[Mn%]−17×[Ni%]+17×[Cr%]
Acは、次式によって算出することができる。なお、[X%]は鋼板の成分元素Xの質量%とする。
Ac点(℃) = 937.2−436.5×[C%]+56×[Si%]−19.7×[Mn%]−26.6×[Ni%]−4.9×[Cr%]−16.3×[Cu%]+38.1×[Mo%]+124.8×[V%]+136.3×[Ti%]−19.1×[Nb%]+198.4×[Al%]+3315×[B%]
また、第2の熱処理工程における焼鈍時間が15秒未満の場合には、オーステナイトへの逆変態が十分に進まない場合や、鋼板中の炭化物が十分に溶解しない場合がある。一方、第2の熱処理工程における焼鈍時間が1000秒を超えると、多大なエネルギー消費に伴うコスト増を招く。したがって、第2の熱処理工程における焼鈍時間は15秒以上1000秒以下の範囲とする。第2の熱処理工程における焼鈍時間は、好ましくは、30秒以上、より好ましくは60秒以上である。第2の熱処理工程における焼鈍時間は、好ましくは800秒以下、より好ましくは600秒以下である。
第2の熱処理工程において、焼鈍された冷延鋼板は、(Ms点−100℃)以上Ms点未満の第1温度域まで、平均冷却速度を10℃/s以上に制御して冷却される。この冷却は、Ms点未満まで冷却することによりオーステナイトの一部をマルテンサイト変態させるものである。ここで、第1温度域の下限が(Ms−100℃)未満では、この時点で未変態オーステナイトがマルテンサイト化する量が過大となり、優れた強度と加工性の両立ができない。一方、第1温度域の上限がMs以上になると、適正なマルテンサイト量が確保できなくなる。したがって、第1温度域の範囲は、(Ms点−100℃)以上Ms点未満とする。好ましくは(Ms点−80℃)以上Ms点未満、更に好ましくは(Ms点−50℃)以上Ms点未満である。
また、第2の熱処理工程において、焼鈍温度から第1温度域までの平均冷却速度が10℃/s未満の場合、ポリゴナルフェライトの過剰な生成、成長や、パーライト等の析出が生じ、所望の鋼板組織を得られない。したがって、焼鈍温度から第1温度域までの平均冷却速度は、10℃/s以上とする。焼鈍温度から第1温度域までの平均冷却速度は、好ましくは12℃/s以上であり、より好ましくは15℃/以上である。焼鈍温度から第1温度域までの平均冷却速度の上限は、冷却停止温度にバラツキが生じない限り特に限定されない。なお、上述したMs点は、フォーマスタ試験などによる冷却時の熱膨張測定や電気抵抗測定による実測により決定することが好ましいが、例えば次式に示すような近似式によって求めることもできる。Msは、経験的に求められる近似値である。
Ms(℃) =550−35×[Mn%]−13×[Si%]−10×[Cr%]−18×[Ni%]−12×[Mo%]−600×(1−exp(−0.96×[C%]))
ただし、[X%]は鋼板の成分元素Xの質量%とする。
第1温度域まで冷却された鋼板は、250℃以上、(Bs点−20℃)または450℃のうちのいずれか低い温度以下の第2温度域まで昇温され、第2温度域で15秒以上1000秒以下の時間保持される。
Bsとはベイナイト変態開始温度を示し、フォーマスタ試験などによる冷却時の熱膨張測定や電気抵抗測定による実測により決定することが好ましいが、例えば次式に示すような近似式によって求めることもできる。Bsは、経験的に求められる近似値である。
Bs(℃)=830−270×[C%]−90×[Mn%]−37×[Ni%]−70×[Cr%]−83×[Mo%]
ただし、[X%]は鋼板の成分元素Xの質量%とする。
第2温度域では、焼鈍温度から第1温度域までの冷却により生成したマルテンサイトを焼戻し、未変態オーステナイトを下部ベイナイトに変態させ、固溶Cをオーステナイト中に濃化させることなどによりオーステナイトの安定化を進める。第2温度域の上限が(Bs−20℃)または450℃を超えると、ベイナイト変態が抑制される。一方、第2温度域の下限が250℃未満の場合、固溶Cの拡散速度が著しく低下し、オーステナイト中へのC濃化量が少なくなることで必要な残留オーステナイト中のC濃度が得られない。したがって、第2温度域の範囲は、250℃以上、(Bs−20℃)または450℃のうちのいずれか低い温度以下、の範囲とする。第2温度域の範囲は、好ましくは、320℃以上、(Bs−50℃)または420℃のうちのいずれか低い温度以下、の範囲である。
また、第2温度域での保持時間が15秒未満の場合、マルテンサイトの焼戻しや下部ベイナイト変態が不十分となり、所望の鋼板組織とすることができず、その結果、得られる鋼板の加工性を十分に確保することができない場合があるので、この第2温度域における保持時間は15秒以上とする必要がある。一方、本発明において、第2温度域での保持時間は第1温度域で生成したマルテンサイトによるベイナイト変態促進効果により、1000秒あれば十分である。
通常、本発明鋼のように、CやCr、Mnなどの合金成分が多くなると、ベイナイト変態は遅延するが、本発明のようにマルテンサイトと未変態オーステナイトが共存すると、ベイナイト変態速度が著しく速くなることは従来から幾つか報告があり、発明者らも本発明鋼においては知見している。一方、第2温度域での保持時間が、1000秒を超える場合、鋼板の最終組織として残留オーステナイトとなる未変態オーステナイトから炭化物が析出してC濃化した安定な残留オーステナイトが得られず、その結果、所望の強度と延性またはその両方が得られない場合がある。したがって、第2温度域での保持時間は15秒以上1000秒以下とする。第2温度域での保持時間は、好ましくは、50秒以上、より好ましくは100秒以上である。第2温度域での保持時間は、好ましくは700秒以下であり、より好ましくは600秒以下である。
なお、本発明における一連(第1及び第2の熱処理工程)の熱処理では、上述した所定の温度範囲内であれば、保持温度は一定である必要はなく、所定の温度範囲内で変動しても本発明の趣旨を損なわない。冷却速度についても同様である。また、熱履歴さえ満足すれば、鋼板はいかなる設備で熱処理を施されても構わない。さらに、熱処理後に、形状矯正のために鋼板の表面に調質圧延を施すことも本発明の範囲に含まれる。
また、本発明に係る高強度鋼板をめっき処理することにより、高強度溶融亜鉛めっき鋼板とし、或いは、さらに合金化処理することにより、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とすることができる。
以下に本発明の実施例を示す。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
表1に示す成分組成の鋼を溶製して得た鋼片を、1250℃に加熱し、870℃で仕上げ熱間圧延した熱延鋼板を550℃で巻き取り、次いで熱延鋼板を酸洗後、表2−1に示す条件で熱処理して第1の熱処理工程を行なった後、50%の圧下率で冷間圧延し、板厚:1.2mmの冷延鋼板とした。得られた冷延鋼板を、表2−1に示す条件で第2の熱処理工程の熱処理を施した。なお、表2−1中の冷却停止温度:T1とは、焼鈍温度から鋼板を冷却する際に、第1温度域での鋼板の冷却を停止する温度とする。更に、得られた鋼板に圧下率0.1%の調質圧延を施した。
なお、熱間圧延後、冷間圧延前の第1の熱処理工程における熱処理は、概ね図1に示すような温度パターンをとり、冷間圧延後の第2の熱処理工程における熱処理は、概ね図2に示すような温度パターンをとる。
組織全体に占める各相の面積比率は、圧延方向断面かつ板厚1/4面位置を光学顕微鏡で観察することにより求めた。倍率1000倍の断面組織写真を用いて、画像解析により任意に設定した100μm×100μm四方の正方形領域内に存在する占有面積を求めた。なお、観察はN=5(観察視野5箇所)で実施した。また、組織観察に際しては、3vol.%ピクラールと3vol.%ピロ亜硫酸ソーダの混合液でエッチングした。
上記の組織観察において観察される黒色領域が、フェライト(ポリゴナルフェライト)あるいは下部ベイナイトであるとして、フェライトと下部ベイナイトの合計の面積比率を求めた。また、該黒色領域以外の残部領域が焼戻マルテンサイト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトであるとして、焼戻マルテンサイト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計の面積比率を求めた。
下部ベイナイトはラス状フェライトの集合体であり、Fe系炭化物を有する組織であり、下部ベイナイトとポリゴナルフェライトの区別はSEM(走査型電子顕微鏡)およびTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて区別し、面積比率を求めた。
残留オーステナイトの量は、MoのKα線を用いてX線回折法により求めた。すなわち、鋼板の板厚1/4付近の面を測定面とする試験片を使用し、オーステナイトの(211)および(220)面とフェライトの(200)、(220)面のピーク強度から残留オーステナイトの量(体積率)を算出し、これを面積比率とした。焼戻マルテンサイトとマルテンサイトの区別は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した倍率1000〜3000倍の圧延方向断面の組織写真を用いて、画像解析により任意に設定した50μm×50μm四方の正方形領域内に存在する占有面積を求めた。観察はN=5(観察視野5箇所)で実施した。また、組織観察に際しては、ナイタールでエッチングし、SEM写真上において、塊状で表面が平滑な場合をマルテンサイト、塊状で表面に炭化物などが観察される場合を焼戻マルテンサイトとし、面積比率を求めた。
残留オーステナイト中のMn量は、以下のようにして求めることができる。 すなわち、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer;電子プローブマイクロアナライザ)を用いて、板厚1/4位置における圧延方向断面の各相へのMnの分布状態を定量化する、ついで、30個の残留オーステナイト粒のMn量を分析し、分析結果より得られる各残留オーステナイト粒のMn量をそれぞれ平均することにより、求めることができる。
下部ベイナイト、マルテンサイト、および、ポリゴナルフェライト中の平均Mn量は、前述の、発明を実施するための形態に記載のとおりの方法で求めた。
得られた鋼板の諸特性を以下の方法で評価した。
引張試験は、鋼板の板幅方向を長手方向としたJIS 5号試験片(JIS Z 2201)を用いて、JIS Z 2241に準拠して行った。TS(引張強さ)、T.El(全伸び)を測定し、引張強度と全伸びの積(TS×T.El)を算出して、強度と加工性(延性)のバランスを評価した。なお、本発明では、TS×T.El≧18000(MPa・%)の場合を良好とした。さらに100mm×100mmの試験片を採取し、JFST 1001(鉄連規格)に準拠して穴拡げ試験を3回行って平均の穴拡げ率(%)を求め、伸びフランジ性を評価した。引張強度と穴拡げ率の積(TS×λ)を算出して、強度と加工性(伸びフランジ性)のバランスを評価した。なお、本発明では、TS×λ≧40000(MPa・%)の場合を良好とした。
以上の評価結果を表2−2に示す。
表2−2から明らかなように、本発明の方法で製造された鋼板はいずれも、引張強さが1300MPa以上で、かつTS×T.Elの値が18000MPa・%以上、TS×λの値が40000MPa・%以上であり、所望の強度と優れた加工性を兼ね備えていることが確認された。
一方、表2−2のNo.2及び3は、熱処理2及び熱処理1の焼鈍温度範囲を各々外れたため、No.5は、熱処理2の冷却停止温度T1と第2温度域保持温度の範囲を外れたため、No.7、8及び12は、成分値範囲を外れた鋼板を使用したため、各々、引張強さが1300MPa以上、TS×T.Elの値が18000MPa・%以上、または、TS×λの値が40000MPa・%以上、のうちのいずれかを備えていないことが確認された。
Figure 0006965956
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Claims (7)

  1. 質量%で、
    C:0.10%以上0.20%以下、
    Si:0.01%以上2.50%以下、
    Mn:3.5%以上6.0%以下、
    P:0.100%以下、
    S:0.0500%以下、
    Al:0.01%以上0.50%以下および
    N:0.010%以下を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、
    鋼板組織全体に対する面積率で、
    下部ベイナイトが30%以上80%未満、
    焼戻しマルテンサイトを含むマルテンサイトが10%以上50%未満、
    残留オーステナイトが10%以上30%以下、
    ポリゴナルフェライトが10%以下(0%を含む)、
    前記残留オーステナイト中の平均Mn量が質量%で7%以上、
    下部ベイナイト、マルテンサイトおよびポリゴナルフェライト中の平均Mn量が質量%で4%以下である鋼板組織と、を有し、
    引張強さが1300MPa以上、引張強さ×全伸びが18000MPa・%以上、
    引張強さ×穴拡げ率が40000MPa・%以上であることを特徴とする高強度鋼板。
  2. 前記成分組成は、さらに、質量%で、
    Cr:0.005%以上1.000%以下、
    V:0.005%以上1.000%以下、
    Ni:0.005%以上1.000%以下、
    Mo:0.005%以上1.000%以下および
    Cu:0.01%以上2.00%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 前記成分組成は、さらに、質量%で、
    Ti:0.005%以上0.100%以下および
    Nb:0.005%以上0.100%以下
    のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度鋼板。
  4. 前記成分組成は、さらに、質量%で、
    B:0.0003%以上0.0050%以下
    を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高強度鋼板。
  5. 前記成分組成は、さらに、質量%で、
    Ca:0.001%以上0.005%以下および
    REM:0.001%以上0.005%以下
    のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高強度鋼板。
  6. 前記成分組成は、さらに、質量%で、
    Sb:0.200%以下、
    Sn:0.200%以下、
    Ta:0.100%以下、
    W:0.500%以下、
    Mg:0.0050%以下、
    Zr:0.1000%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の高強度鋼板。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の高強度鋼板の製造方法であって、
    前記成分組成からなる鋼片を、熱間圧延後、(Ac変態点+20℃)以上Ac変態点以下の温度域で600s以上108000s以下保持する第1の熱処理工程と、
    第1の熱処理工程後の鋼板を冷却し、該鋼板を冷間圧延により冷延鋼板とし、
    ついで該冷延鋼板を、オーステナイト単相域で15秒以上1000秒以下焼鈍した後、(Ms点−100℃)以上Ms点未満の第1温度域まで平均冷却速度:10℃/s以上で冷却し、その後、250℃以上、(Bs点−20℃)または450℃のうちのいずれか低い温度以下の第2温度域に昇温し、引き続き該第2温度域に15秒以上1000秒以下保持する第2の熱処理工程と、を有することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
    ここで、Ms点はマルテンサイト変態開始温度であり、Bs点は、下記式により求められる値である。
    Bs(℃)=830−270×[C%]−90×[Mn%]−37×[Ni%]−70×[Cr%]−83×[Mo%] ただし、[X%]は鋼板の成分元素Xの質量%とする。
JP2020050460A 2019-03-26 2020-03-23 高強度鋼板およびその製造方法 Active JP6965956B2 (ja)

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