JP6965093B2 - インクジェットインク用樹脂組成物水性分散体 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は、ポリウレタン樹脂(A)、酸変性ポリオレフィン(X)及び水性媒体を含有するインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体であって、酸変性ポリオレフィン(X)が、分子末端に二重結合を有するポリオレフィンを不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物(B)で変性したポリオレフィンであり、酸変性ポリオレフィン(X)の酸価が1〜60mgKOH/gであるインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q);並びに前記インクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q)、顔料(P)及び保湿安定助剤(M)を含有するインクジェットインク(J)である。
ポリウレタン樹脂(A)は水性媒体中に分散されていることが好ましく、酸変性ポリオレフィン(X)は水性媒体中に分散されていることが好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)は、特に限定されないが、分散安定性の観点から酸基及び/又は酸アニオン基を有するものが好ましく、ポリイソシアネート(a)、ポリオール(b)、分子内にカルボン酸(塩)基(α)またはスルホン酸(塩)基(β)を有し、さらに分子内に2個以上の活性水素原子含有基を含有する化合物(d)を必須構成原料とするポリウレタン樹脂が更に好ましい。
(b11)には、縮合型ポリエステル(b111)、ポリラクトンポリオール(b112)、ポリカーボネートポリオール(b113)及びヒマシ油系ポリオール(b114)が含まれる。
(b12)には、活性水素原子含有化合物のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物(b121)及びそのカップリング体(b122)が含まれる。
これらのポリオール(b)のうち、ポリエステルポリオール(b11)、ポリエーテルポリオール(b12)が好ましい。
また、ポリエステルポリオール(b11)のうち、耐加水分解性の観点からポリラクトンポリオール(b112)、ポリカーボネートポリオール(b113)が好ましく、さらにポリカーボネートポリオール(b113)が好ましい。
多価アルコール(b21)には、2価アルコール(b211)及び3〜8価の水酸基を有するアルコール(b212)が含まれる。
2価アルコール(b211)としては、例えばC2〜18の脂肪族2価アルコール(b2111)、C4〜12の脂環式2価アルコール(b2112)及びC6〜18の芳香族2価アルコール(b2113)が含まれる。
脂環式2価アルコール(b2112)としては、環状基を有する低分子ジオール、たとえば特公昭45−1474号公報記載のものが挙げられる。
芳香族2価アルコール(b2113)としては、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等が挙げられる。
多価フェノール(k12)としては、単環多価フェノール(k121)及びビスフェノール類(k122)等が挙げられる。
単環多価フェノール(k121)としては、ピロガロール、カテコール及びヒドロキノン等が挙げられる。
ビスフェノール類(k122)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等が挙げられる。
モノアミン(k21)としては、アンモニア(k211)、1級モノアミン(k212)、アルカノールアミン(k213)及び2級モノアミン(k214)が含まれる。
1級モノアミン(k212)としては、C1〜20のモノハイドロカルビルアミンが使用でき、例えばブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン及びベンジルアミン等が挙げられる。
アルカノールアミン(k213)としては、C2〜4のヒドロキシアルキル基を有するアミンが使用でき、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
脂肪族ポリアミン(k221)としては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
ポリアルキレンポリアミン(k222)としては、例えばジエチレントリアミン等が挙げられる。
脂環式ポリアミン(k223)としては、例えばジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミン(k224)としては、例えばキシリレンジアミン等が挙げられる。
芳香族ポリアミン(k225)としては、例えばフェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン及びポリフェニルメタンポリアミン等が挙げられる。
複素環式ポリアミン(k226)としては、例えばピペラジン、N−アミノエチルピペラジン及びその他特公昭55−21044号公報記載の化合物等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸(k41)としては、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸(k42)としては、例えばダイマー酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸(k43)としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等が挙げられる。
3価又はそれ以上のポリカルボン酸(k44)としては、トリメリット酸及びピロメリット酸等が挙げられる。
AO付加反応終了後は、必要により触媒を中和し吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
(b122)には、(b121)の2分子又はそれ以上をC1〜6のアルキル基を有するアルキレンハライド(例えばメチレンジクロライド)でカップリングさせたものが含まれる。
(b12)としては、不飽和度が少ない(好ましくは0.1meq/g以下、更に好ましくは0.05meq/g以下、特に好ましくは0.02meq/g以下)ものが望ましく、また好ましくは少なくとも30%、更に好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%の第1級水酸基含有率を有するものが望ましい。
アルキレンカーボネート(h2)としてはC2〜8のアルキレンカーボネートが使用でき、例えばエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート等が挙げられる。これらはそれぞれ2種以上併用してもよい。
(b113)の市販品としては、ニッポラン980R[Mn=2,000,日本ポリウレタン工業(株)製]、T5652[Mn=2,000、旭化成(株)製]及びT4672[Mn=2,000、旭化成(株)製]が挙げられる。
(b114)としては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油及びヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物等が挙げられる。
ポリアルカジエン系ポリオール(b131)としては、例えばポリブタジエンジオール[1,2−ビニル構造及び/又は1,4−トランス構造を有するポリブタジエン(ブタジエンホモポリマー及びコポリマーたとえばスチレンブタジエンコポリマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー)ジオール]、並びにこれらの水素添加物(水素添加率:たとえば20〜100%)等が挙げられる。ポリブタジエンジオールの例としてはNISSO−PBGシリーズ(G−1000、G−2000、G−3000等)(日本曹達製)及びPoly Bd(R−45M、R−45HT、CS−15、CN−15等)(米国ARCO社製)が挙げられる。
(b14)は、好ましくは30〜70%(更に好ましくは40〜60%、特に好ましくは50〜55%)の重合したモノマーすなわち重合体がポリオールに分散した、半透明ないし不透明の白色ないしは黄褐色の分散体である。(b14)の水酸基価は、好ましくは10〜300、更に好ましくは20〜250、特に好ましくは30〜200である。
(d21)としては、3−(2,3−ジヒドロキプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸、2,2−ジメチロールスルホン酸、2,2−ジメチロールブタンスルホン酸、2,2−ジメチロールヘプタンスルホン酸、2,2−ジメチロールオクタンスルホン酸、5スルホ−(ジヒドロキシエチル)イソフタレート及びN,Nビス(2−ヒドロキシエチル)2−アミノエタンスルホン酸等が使用できる。
(d22)としては、N−(β−スルホエチル)エチレンジアミン等が使用できる。
1価アルコール(e11)としては、脂肪族アルコール(e111)、芳香族アルコール(e112)及び脂環式アルコール(e113)が含まれる。
脂肪族アルコール(e111)としては、C1〜15のアルキル基をもつアルコールが使用でき、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、デカノール及びイソプロピルアルコール等が挙げられる。
芳香族アルコール(e112)としては、C7〜20のアリール基を有するアルコールが使用でき、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
脂環式アルコール(e113)としては、C7〜20の脂環をもつアルコールが使用でき、例えば、シクロヘキシルアルコール及びシクロペンタンアルコール等が挙げられる。
酸基及び/又は中和された酸アニオン基の合計含有量(mmol/g)=(酸価)/56.1
100mlのフラスコ中でジメチルホルムアミド(以下DMFとする)50mlにポリウレタン樹脂を所定量溶解後、フェノールフタレイン指示薬を用いて、0.1mol/l水酸化カリウム・メチルアルコール滴定用溶液で滴定を行い(終点は、指示薬の色が透明から微紅色になった点)滴定ml数を読み取り、次式により酸価を算出する。
a:0.1mol/l水酸化カリウム・メチルアルコール滴定用溶液の滴定ml数。
f:0.1mol/l水酸化カリウム・メチルアルコール滴定用溶液の力価。
S:ポリウレタン樹脂採取量(g)
上記の測定方法が困難な場合は、親水性基と活性水素原子を含有する化合物(d)の含有量から、以下の計算式により求めることができる。
酸基及び/又は中和された酸アニオン基(mmol/g)=[(d)の含有量(g)]×[(d)の一分子中に有する酸基個数]×1000/{[(d)の分子量]×x[ポリウレタン樹脂の重量(g)]}
はじめに、ポリイソシアネート(a)、ポリオール(b)及び分子内にカルボン酸(塩)(α)基又はスルホン酸(塩)基(β)を有し、さらに分子内に2個以上の活性水素原子含有基を含有する化合物(d)を反応させてウレタンプレポリマー(A0)を得る。
必要により使用することのできる、NCO基と実質的に非反応性の有機溶媒としてはアセトン及びエチルメチルケトン等のケトン類、エステル類、エーテル類並びにアミド類が挙げられる。これらのうち好ましいのはアセトンである。
一方、上記の(d)を必須構成原料としないポリウレタン樹脂の場合は、乳化剤(m)を用いることにより、ポリウレタン樹脂(A)を水性媒体に分散させたポリウレタン樹脂の水性分散体(A1)を製造することができる。
水と親水性溶剤との重量比は好ましくは100/0〜50/50、更に好ましくは100/0〜80/20、特に好ましくは100/0である。
親水性溶剤を使用した場合には、ポリウレタン樹脂水性分散体形成後に必要によりこれらを留去してもよい。
1)錨型撹拌方式、2)回転子−固定子式方式[例えば「エバラマイルダー」(荏原製作所製)]、3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、7)高圧衝撃式[例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社)]、8)乳化式[例えば膜乳化モジュール]及び9)遠心薄膜接触式[例えばフィルミックス]。
これらのうち、好ましいのは、5)、8)及び9)である。
この工程での水性媒体との混合及び反応における温度は、好ましくは10℃〜60℃、より好ましくは20℃〜40℃である。
(e2)の使用量は、(A0)のNCO基1当量に対して、好ましくは0.5当量以下、更に好ましくは0.03〜0.3当量となるような量である。(e2)は水性媒体中に含有させておいても、プレポリマーが鎖伸長された段階で加えてもよい。
酸変性ポリオレフィン(X)としては、特に限定なく使用できるが、二重結合を有するポリオレフィン(D)を不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物(B)で変性したポリオレフィンであることが好ましい。
二重結合を有するポリオレフィン(D)としては、分子末端に二重結合を有する観点からポリオレフィン(D0)の熱減成物であることが好ましい。
上記オレフィンには、炭素数(以下、Cと略記することがある)2〜30のアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1−又は2−ブテン及びイソブテン、並びにC5〜30のα−オレフィン(1−ヘキセン、1−デセン及び1−ドデセン等);他の単量体には、オレフィンとの共重合性を有するC4〜30の不飽和単量体、例えば、酢酸ビニル等が含まれる。
装置 :高温ゲルパーミエイションクロマトグラフ
[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製]
検出装置 :屈折率検出器
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列
[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
カラム温度 :135℃
また、分子末端及び/又は分子鎖中に二重結合を有するのであれば、熱減成ではなく重合法により得られたポリオレフィン樹脂を用いても構わない。
(D)の炭素1,000個(炭素数1,000個ともいう)当たりの該分子の二重結合数は、(B)との反応性の観点から、好ましくは0.2〜8個、更に好ましくは0.5〜2個である。
ここにおいて、該二重結合数は、(D)の1H−NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから求めることができる。
該(B)のうち、不飽和モノカルボン酸としては、脂肪族(C3〜24、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸及びイソクロトン酸等)、脂環含有(C6〜24、例えばシクロヘキセンカルボン酸等);不飽和ポリ(2〜3又はそれ以上)カルボン酸(無水物)としては、不飽和ジカルボン酸(無水物)[脂肪族ジカルボン酸(無水物)(C4〜24、例えばマレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸及びこれらの無水物等)、脂環含有ジカルボン酸(無水物)(C8〜24、例えばシクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸及びこれらの無水物等)等]等が挙げられる。(B)は1種単独でも、2種併用してもいずれでもよい。
これらのうち、ポリオレフィン(D)との重合性の観点から好ましいのは不飽和ジカルボン酸無水物、更に好ましいのは無水マレイン酸である。
ポリオレフィンに酸が2分子以上連なった共重体(上記の(g2))であることは、酸が全く付加していないもの(上記の(D))よりは水分散性がよいが、(g1)と比較すると水分散性の向上にそれほど寄与せず、いたずらに混合物の酸価を上げることになり、耐水性の悪化につながる。
そのため、水分散性と耐水性を両方満たす目的として、前述の酸変性ポリオレフィン(X)の組成を、(g1)を主成分とし、(D)、(g2)及び(g3)をできるだけ少なくすることが有効である。
二重結合を有するポリオレフィン(D)を不飽和ポリカルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物(B)で酸変性する方法については、(D)の融点以上で(D)と(B)とを加熱混合すればよい。
その際ラジカル開始剤(C)を用いて付加させる方法が一般的であるが、ラジカル開始剤(C)を用いて付加させる場合、(B)が自己重合しやすく、結果的に水分散性や耐水性を悪くする(B)が片末端又は両末端に共重合されているポリオレフィン(g2)、酸のみが単独重合した重合体(g3)が生成しやすい環境となる。
酸が片末端又は両末端に共重合されているポリオレフィン(g2)や酸のみが単独重合した重合体(g3)の生成を抑制し、酸が片末端に1分子又は両末端に1分子ずつ付加しているポリオレフィン(g1)を生成しやすくする条件としては、上記のようにラジカル開始剤(C)を使用しないことが好ましい。
(C)としては、例えばアゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等]、過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)(ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド及びジクミルパーオキシド等)及び多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート及びジアリルパーオキシジカーボネート等]〕等が挙げられる。
これらのうち(D)及び(B)の反応性の観点から好ましいのは、過酸化物、更に好ましいのは単官能過酸化物、特に好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド及びジクミルパーオキシドである。
上記の方法で作製された酸変性ポリオレフィン(X)は、従来のものより低酸価で安定性の良い水性分散体を作製することができる。
[1](D)及び(B)を適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン及びキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(ジ−、トリ−又はテトラクロロエタン並びにジクロロブタン等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びジ−t−ブチルケトン等)、エーテル(エチル−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル及びジオキサン等)]に懸濁あるいは溶解させ、これに必要により(C)[若しくは(C)を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液]及び後述の連鎖移動剤(t)、重合禁止剤(f)を加えて加熱撹拌する方法(溶液法);
[2](D)、(B)及び必要により(C)、(t)及び(f)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサー及びニーダ等を用いて溶融混練する方法(溶融法)。
(t)の使用量は、(D)及び(B)の合計重量に基づいて好ましくは30%以下、(D)及び(B)の反応性の観点から好ましくは0.1〜20%である。
(f)の使用量は、(D)及び(B)の合計重量に基づいて好ましくは5%以下、(D)及び(B)の安定性及び重合性の観点から好ましくは0.01〜0.5%である。
ここにおける酸価は、JIS K0070に準じて以下の(i)〜(iii)の手順で測定して得られる値である。
(i)100℃に温度調整したキシレン100gに(X)1gを溶解させる。
(ii)同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬工業(株)製]で滴定を行う。
(iii)滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(単位:mgKOH/g)を算出する。
なお、上記測定では1個の酸無水物基は1個のカルボキシル基と等価になる結果が得られる。後述の実施例における酸価は該方法に従った。
酸変性ポリオレフィン(X)に付加又は共重合する(B)の数は、(X)1分子あたり不飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸無水物の合計分子数として平均で0.5〜10分子であることが好ましく、0.7〜3分子がより好ましく、1〜2分子が特に好ましい。
10分子以下であると耐水性が良好である。0.5分子以上であると水分散性が良好である。1分子あたりの(X)に付加又は共重合している平均の(B)の数の求め方は、前述した酸価と数平均分子量(Mn)から、下式の通り算出する。
[(X)1分子あたりの平均の(B)の数]
=[(X)の酸価]×[(X)のMn]/56,100
水溶性有機溶剤としては、塗膜から除去し易い点から、沸点が250℃以下のものが好ましく、50〜200℃のものが特に好ましい。沸点が250℃を超える水溶性有機溶剤は、樹脂塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、塗膜の耐水性や基材との接着性等が悪化する場合がある。
使用される水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール及びシクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル及びエチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、更には、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン及びトリメチルグリセリン等が挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、樹脂を溶解させ易い点から、ケトン類、エーテル類及びエステル類からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
塩基性化合物の添加量は、酸変性ポリオレフィン(X)に含まれる酸基(酸無水物基1モルはカルボキシル基2モルとみなす)に対して0.3〜3倍当量であることが好ましく、0.5〜2倍当量がより好ましく、0.6〜1.5倍当量が特に好ましい。0.3倍当量以上では、塩基性化合物の添加効果が認められ、3倍当量以下では、分散体の臭気の問題や塗膜や接着層等を形成する際の乾燥時間が長くならない。
これらの中でも、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン及びN,N−ジエチルエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。なお、2種以上を併用してもよい。
中和した酸変性ポリオレフィン(X)の水溶性有機溶剤溶液に、水を添加してW/O型の分散体を形成させ、続いて水を添加しながらこれをO/W型に転相させる。添加する水の温度は特に制限されないが、好ましくは、10〜90℃であり、30〜70℃がより好ましい。更に、水の添加速度も特に制限されないが、系内の状態(樹脂の凝集や析出の状態)をみながら適宜、調整すればよい。また、添加する水の量も特に制限されないが、最終的に、(X)の固形分が1〜50%、好ましくは5〜40%、より好ましくは、5〜30%になるようにすればよい。
酸変性ポリオレフィン(X)の粒子のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置による体積平均粒子径は、インクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q)の分散安定性向上の観点から10〜300nmが好ましく、20〜200nmが更に好ましい。
上記で述べたポリウレタン樹脂水性分散体(A1)、酸変性ポリオレフィン水性分散体(X1)及びインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q)の体積平均粒径の測定方法は、水性分散体をイオン交換水で樹脂の固形分が0.01重量%となるよう希釈した後、光散乱粒度分布測定装置[ELS−8000{大塚電子(株)製}]を用いて測定することができる。
本発明のインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q)は、上述のポリウレタン樹脂(A)の水性分散体(A1)と酸変性ポリオレフィン(X)の水性分散体(X1)を混合することで得られ、また、ポリウレタン樹脂(A)と酸変性ポリオレフィン(X)の混合物を水性分散体としてもよい。
(Q)は、ポリオレフィン樹脂等の非極性基材への密着性及び耐擦過性の観点からポリウレタン樹脂(A)の水性分散体(A1)と酸変性ポリオレフィン(X)の水性分散体(X1)を混合して得るほうが好ましい。
(A):(X)が30:70〜90:10であるとPETフィルムやナイロンフィルム等の極性基材への密着性が良好となる。また、(A):(X)が10:90〜45:55であると印刷の対象となる紙等の基材に対する耐ブロッキング性が良好となる。
インクジェットインク(J)には、本発明のインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q)の他に、顔料(P)、保湿安定助剤(M)が含有される。
水性分散体(Q)の固形分は、水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
ポリウレタン樹脂水性分散体(A1)及び酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(X1)の固形分も(Q)と同様に測定することができる。
消泡剤としては、長鎖アルコール(オクチルアルコール等)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレート等)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン及びポリエーテル変性シリコーン等)等が挙げられる。
劣化防止剤及び安定化剤(紫外線吸収剤及び酸化防止剤等)としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系及びベンゾトリアゾール系劣化防止剤及び安定化剤等が挙げられる。
凍結防止剤としては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。
粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤の各含有量は、インクジェットインク(J)の重量に基づいてそれぞれ好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。
撹拌機及び加熱装置を備えた反応容器に、Mnが2,000のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ製 「デュラノール G4672」)447.0部、1,4−ブタンジオール 1.1部、2,2−ジメチロールプロピオン酸 57.4部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン製 「イルガノックス245」)1.5部、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)263.0部及びアセトン330部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下92〜98℃で10時間反応させ末端イソシアネート基ウレタンプレポリマーを得た。得られた該アセトン溶液を50℃以下に冷却してアセトン108部、紫外線吸収剤(BASFジャパン製 「チヌビン144」)2.3部、トリエチルアミン43.3部を加えた。水1155部を該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、減圧下でアセトンを留去し、室温まで冷却した後に水を加えてポリウレタン樹脂(A−1)の水性分散体(A1−1)を得た。水性分散体(A1−1)の固形分濃度は40.3重量%、体積平均粒子径は93nmであった。
反応容器に、プロピレン70モル%及び1−ブテン30モル%を構成単位とするMw200,000のポリオレフィン(D0−1)100部を仕込み、気相部分に窒素を通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で70分間熱減成を行い、二重結合を有するポリオレフィン(D−1)を得た。(D−1)は、Mw8,000、炭素1,000個当たりの分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数は7.4個であった。続いて、反応容器に(D−1)100部、無水マレイン酸(B−1)4部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにジクミルパーオキシド[日油製 「パークミルD」](C−1)1部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−1)を得た。酸変性ポリオレフィン(X−1)の酸価は21、Mwは50,000であった。(D−1)1分子あたりに付加した平均の(B−1)は5.6分子であった。
空冷にて30℃まで冷却して、144部の水を約5分かけて添加した後、更に系を密閉し、110℃で1時間攪拌した。その後、空冷にて、攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。得られた水性分散体200部と蒸留水38部とを1Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、水性媒体を留去した。約110部の水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。
冷却後、フラスコ内の液状成分を600メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾液の固形分濃度を測定したところ、25.4質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が25.0質量%になるように調整した。酸変性ポリオレフィン(X−1)の水性分散体(X1−1)の固形分濃度は25.0重量%、体積平均粒子径は154nmであった。
反応容器に、プロピレン70モル%及び1−ブテン30モル%を構成単位とするMw200,000のポリオレフィン(D0−1)100部を仕込み、気相部分に窒素を通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら330℃で80分間熱減成を行い、ポリオレフィン(D−2)を得た。(D−2)は、Mw50,000、炭素1,000個当たりの分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数は1.1個であった。続いて、反応容器に(D−2)100部、無水マレイン酸(B−1)0.8部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここに(C−1)0.1部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−2)を得た。酸変性ポリオレフィン(X−2)の酸価は5、Mwは62,000であった。(D−2)1分子あたりに付加した平均の(B−1)は2分子であった。
更に、撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に(X−2)100部、N,N−ジメチルエタノールアミン1.5部、テトラヒドロフラン80部を仕込み、攪拌下60℃に温調して均一に溶解させた。水233部を5時間かけて少しずつ投入し、転相乳化を行った。室温まで冷却後、減圧下でテトラヒドロフランを除去してから、固形分が25.0重量%となるように水を加えた。酸変性ポリオレフィン(X−2)の水性分散体(X1−2)の固形分濃度は25.0重量%、体積平均粒子径は220nmであった。
製造例3で得られた(D−2)100部、無水マレイン酸(B−1)3.2部を反応容器に仕込み、窒素置換後、窒素通気下に200℃まで加熱昇温した。200℃で15時間撹拌した後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−3)を得た。酸変性ポリオレフィン(X−3)の酸価は5、Mwは60,000であった。(D−2)1分子あたりに付加した平均の(B−1)は1.8分子であった。
更に、撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に(X−3)100部、N,N−ジメチルエタノールアミン1.5部、テトラヒドロフラン80部を仕込み、攪拌下60℃に温調して均一に溶解させた。水233部を5時間かけて少しずつ投入し、転相乳化を行った。室温まで冷却後、減圧下でテトラヒドロフランを除去してから、固形分が25.0%となるように水を加えた。酸変性ポリオレフィン(X−3)の水性分散体(X1−3)の固形分濃度は25.0重量%、体積平均粒子径は223nmであった。
製造例4で得られた(X−3)100部、N,N−ジメチルエタノールアミン1.5部、高級アルコールのEO付加物[三洋化成工業製「エマルミン50」]8部、テトラヒドロフラン80部を撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に仕込み、攪拌下60℃に温調して均一に溶解させた。水233部を5時間かけて少しずつ投入し、転相乳化を行った。室温まで冷却後、減圧下でテトラヒドロフランを除去してから、固形分が25.0%となるように水を加えた。酸変性ポリオレフィン(X−3)の水性分散体(X1−4)の固形分濃度は25.0重量%、体積平均粒子径は150nmであった。
反応容器に、プロピレン70モル%及び1−ブテン30モル%を構成単位とするMw200,000のポリオレフィン(D0−1)100部を仕込み、気相部分に窒素を通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で20分間熱減成を行い、ポリオレフィン(D−3)を得た。(D−3)は、Mw140,000、炭素1,000個当たりの分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数は1.5個であった。
続いて、反応容器に(D−3)100部、無水マレイン酸(B−1)4部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここに(C−1)1部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−4)を得た。酸変性ポリオレフィン(X−4)の酸価は21、Mwは670,000であった。(D−3)1分子あたりに付加した平均の(B−1)は75分子であった。
空冷にて30℃まで冷却して、144部の水を約5分かけて添加した後、更に系を密閉し、110℃で1時間攪拌した。その後、空冷にて、攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。得られた水性分散体200部と蒸留水38部とを1Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、水性媒体を留去した。約110部の水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。
冷却後、フラスコ内の液状成分を600メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾液の固形分濃度を測定したところ、25.7質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が25.0質量%になるように調整し、酸変性ポリオレフィン(X−4)と界面活性剤を含有する水性分散体(X1−5)を得た。(X1−5)の固形分濃度は25.0重量%、体積平均粒子径は158nmであった。
撹拌機及び加熱装置を備えた反応容器に、Mnが2,000のポリカプロラクトンジオール(ダイセル製 「プラクセル CL220」)438.8部、1,4−ブタンジオール 26.1部、2,2−ジメチロールプロピオン酸 36.8部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン製 「イルガノックス245」)1.5部、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)266.8部及びアセトン330部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下92〜98℃で10時間反応させ末端イソシアネート基ウレタンプレポリマーを得た。得られた該アセトン溶液を50℃以下に冷却してアセトン108部、紫外線吸収剤(BASFジャパン製 「チヌビン144」)2.3部、トリエチルアミン27.6部を加えた。水1155部を該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後にエチレンジアミン10重量%水溶液33.1部を加え、減圧下でアセトンを留去し、室温まで冷却した後に水を加えてポリウレタン樹脂(A−2)の水性分散体(A1−2)を得た。水性分散体(A1−2)の固形分濃度は40.3重量%、体積平均粒子径は100nmであった。
撹拌機及び加熱装置を備えた反応容器に、Mnが2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱ケミカル製 「PTMG 2000」)379.9部、1,4−ブタンジオール40.5部、2,2−ジメチロールプロピオン酸 36.8部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン製 「イルガノックス245」)1.5部、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)311.3部及びアセトン330部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下92〜98℃で10時間反応させ末端イソシアネート基ウレタンプレポリマーを得た。得られた該アセトン溶液を50℃以下に冷却してアセトン108部、紫外線吸収剤(BASFジャパン製 「チヌビン144」)2.3部、トリエチルアミン27.6部を加えた。水1155部を該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後にジエチレントリアミン10重量%水溶液46.2部を加え、減圧下でアセトンを留去し、室温まで冷却した後に水を加えてポリウレタン樹脂(A−3)の水性分散体(A1−3)を得た。水性分散体(A1−3)の固形分濃度は40.3重量%、体積平均粒子径は90nmであった。
撹拌機及び加熱装置を備えた反応容器に、Mnが2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱ケミカル製 「PTMG 2000」)534.8部、1,4−ブタンジオール 37.2部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン製 「イルガノックス245」)1.5部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)196.4部及びアセトン330部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換したのち、攪拌下92〜98℃で10時間反応させ末端イソシアネート基ウレタンプレポリマーを得た。
得られた該アセトン溶液を50℃以下に冷却してアセトン108部、紫外線吸収剤(BASFジャパン製 「イルガノックス245」)2.3部、乳化剤としてのポリオキシアルキレンアルキルエーテル(三洋化成工業製 「ナロアクティー CL120」)115.5部を加えた。水1155部を該アセトン溶液に加えホモミキサーで1分間攪拌して乳化した後、減圧下でアセトンを留去し、室温まで冷却した後に水を加えて、比較例用のポリウレタン樹脂(A−4)の水性分散体(A1−4)を得た。水性分散体(A1−4)の固形分濃度は40.3重量%、体積平均粒子径は350nmであった。
製造例1で得られた水性分散体(A1−1)100部と製造例2で得られた水性分散体(X1−1)69部を混合し、ポリウレタン樹脂(A−1)と酸変性ポリオレフィン(X−1)の重量比が70:30となるように調整した。その後、イオン交換水23部を用いて希釈して固形分濃度30重量%のインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q−1)を得た。体積平均粒子径は134nmであった。
実施例1と同様にして、表1に記載の部数の水性分散体(A1−1)〜(A1−4)および水性分散体(X1−1)〜(X1−5)、必要によりイオン交換水を用いて、樹脂組成物水性分散体(Q−2)〜(Q−9)および(Q’−1)〜(Q’−2)を得た。表1に体積平均粒子径を記載した。
実施例1〜9で得られたインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q−1)〜(Q−9)を用いて、表2に記載の顔料(P)としてカーボンブラック水分散体[「Aqua−Black162」、東海カーボン(株)製、固形分20wt%]及び保湿安定助剤(M)としてプロピレングリコールとグリセリンを配合して、インクジェットインク(J−1)〜(J−89)および(J’−1)〜(J’−2)を得た。
40℃に温調したポリウレタン樹脂水性分散体を7日間静置しておき、沈降物の発生を目視にて評価した。
沈降物が発生しない場合を○、沈降物が発生した場合を×とした。
作製したインクジェットインク(J−1)〜(J−9)及び(J’−1)〜(J’−2)を5cm×20cmのPP製合成紙「(株)ユポ・コーポレーション製スーパーユポFRB110」に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう、バーコーターで塗布し、100℃で10分加熱して印刷物を作製した。この塗膜に対して、布粘着テープ(商品名:123LW−50、ニチバン株式会社製)を使用した碁盤目剥離試験を実施し、試験マス目100個の残存マス数をカウントした。
PPフィルム基材に、作製したインクジェットインク(J−1)〜(J−9)及び(J’−1)〜(J’−2)を5cm×10cmのPPフィルムに乾燥後の膜厚が2μmとなるよう、バーコーターで塗布し、80℃で10分加熱して印刷物を作製した。作製した塗膜を乾いた木綿(カナキン3号)で学振型摩擦試験機を用いて、200gの荷重をかけて50往復擦過した後、目視により以下の基準で評価した。
○:印刷面の画像濃度に変化は見られないが、木綿にわずかに色移りが見られる。
△:印刷面の画像濃度が低下する。
×:印刷面のインクが剥がれてしまう。
作製したインクジェットインク(J−1)〜(J−9)及び(J’−1)〜(J’−2)を、5cm×20cmのOKトップコートマット(王子製紙(株)製)に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう、バーコーターで塗布し、100℃で10分加熱して印刷物を作製した。この塗膜に塗工していないOKトップコートマットを重ね、ブロッキングテスターを用いて、1kg/cm2の荷重を加えながら、40℃のオーブンで24時間放置した。その後、試験サンプルを取り出して、重ね合わせたOKトップコートマットを剥離した。剥離した塗工していないOKトップコートマットへの色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
○:色移りしないが、剥離時にやや抵抗がある。
△:色移りがややあり、剥離時にやや抵抗がある。
×:色移りがあり、剥離時に抵抗がある。
Claims (10)
- ポリウレタン樹脂(A)、酸変性ポリオレフィン(X)及び水性媒体を含有するインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体であって、
酸変性ポリオレフィン(X)が、分子末端に二重結合を有するポリオレフィンを不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物(B)で変性したポリオレフィンであり、
酸変性ポリオレフィン(X)の酸価が1〜60mgKOH/gであるインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q)。 - ポリウレタン樹脂(A)が水性媒体に分散されてなり、酸変性ポリオレフィン(X)が水性媒体に分散されてなる請求項1に記載の水性分散体。
- ポリウレタン樹脂(A)と酸変性ポリオレフィン(X)の重量比[(A):(X)]が5:95〜95:5である請求項1又は2に記載の水性分散体。
- 分子末端に二重結合を有するポリオレフィンがポリオレフィン(D0)の熱減成物である請求項1〜3のいずれか記載の水性分散体。
- 分子末端に二重結合を有するポリオレフィンが、炭素数1,000個当たり0.2〜8個の二重結合を有するポリオレフィンである請求項1〜4のいずれか記載の水性分散体。
- 酸変性ポリオレフィン(X)の重量平均分子量が20,000〜120,000である請求項1〜5のいずれか記載の水性分散体。
- 酸変性ポリオレフィン(X)が、分子末端に二重結合を含有するポリオレフィン1分子に対し、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物(B)を不飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸無水物の合計分子数として平均で1〜2分子付加したものである請求項1〜6のいずれか記載の水性分散体。
- ポリウレタン樹脂(A)が、ポリイソシアネート(a)と、ポリオール(b)と、分子内にカルボン酸(塩)基(α)またはスルホン酸(塩)基(β)を有し、さらに分子内に2個以上の活性水素原子含有基を有する化合物(d)とを必須構成原料とするポリウレタン樹脂である請求項1〜7のいずれか記載の水性分散体。
- ポリオール(b)がポリカーボネートポリオール(b113)である請求項1〜8のいずれか記載の水性分散体。
- 請求項1〜9のいずれか記載のインクジェットインク用樹脂組成物水性分散体(Q)、顔料(P)及び保湿安定助剤(M)を含有するインクジェットインク(J)。
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